説明

新規なラクトバチルス属微生物および哺乳動物用乳酸菌製剤

【課題】牛、豚や馬などの哺乳動物のストレスを軽減するとともに、下痢症や胃潰瘍などの消化器疾患を予防・治療することができるラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物およびその微生物を含有する乳酸菌製剤を提供する。
【解決手段】ストレス軽減作用を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物を含有する哺乳動物用乳酸菌製剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレス軽減効果を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する新規微生物およびその微生物を含有する乳酸菌製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
豚や牛、馬等の家畜は、飼育にあたって様々なストレスに曝され、例えば、競走馬であれば、調教や輸送などにおいて多大なストレスを受け、輸送熱などの症状となって顕れることもある。したがって、日常飼育の中でのストレスを軽減することが望まれていた。
【0003】
また、家畜の飼育においては、このようなストレス等に起因する下痢症や胃潰瘍などの消化器疾患がしばしば問題となる。これらの消化器疾患は、消化吸収に影響を及ぼし栄養障害につながるため、家畜の発育を阻害する要因となる。したがって、これら哺乳動物のストレスを軽減するとともに、下痢症などの消化器疾患を予防・治療する手段が望まれていた。
【0004】
近年、馬などの哺乳動物に対して下痢の予防や治療、増体重の促進を目的として、乳酸菌を添加した飼料が使用されている。しかしながら、従来ストレス軽減効果を有する乳酸菌は知られていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、牛や馬などの哺乳動物のストレスを軽減するとともに、下痢症や胃潰瘍などの消化器疾患を予防・治療することができるラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物およびその微生物を含有する乳酸菌製剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、優れた競走馬の腸内に常在するラクトバチルス(Lactobacillus)属の分布や構成を調べ、この馬の消化管由来株の分離同定を行う過程で、3種類のラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物の未同定菌株を分離した。そしてその菌株を哺乳動物に投与することにより、優れたストレス軽減効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、ストレス軽減作用を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物を含有することを特徴とする哺乳動物用乳酸菌製剤である。
【0008】
また本発明は、ストレス軽減作用を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物が、配列表の配列番号1に示す16SrRNA遺伝子の塩基配列を相同性97%以上で含み、かつ以下の(イ)および(ロ)の化学分類学的性質を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物である哺乳動物用乳酸菌製剤:
(イ)G+C含量が48.3±2.0mol%
(ロ)近縁菌種の基準株であるラクトバチルス・デルブリッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)JCM 1002T株およびラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus) JCM 1185TのDNA−DNA相同性が60%未満である。
【0009】
さらに本発明は、配列表の配列番号2に示す16SrRNA遺伝子の塩基配列を相同性97%以上で含み、かつ以下の(ハ)および(ニ)の化学分類学的性質を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物である哺乳動物用乳酸菌製剤:
(ハ)G+C含量が40.5±2.0mol%
(ニ)近縁菌種の基準株であるラクトバチルス・ヴィチュリナス(Lactobacillus vitulinus) JCM 1143T、カテニバクテリウム・ミツオカイ(Catenibacterium mitsuokai)JCM 10609T株およびラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)ST18T株とのDNA−DNA相同性が60%未満である。
【0010】
さらにまた本発明は、ストレス軽減作用を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物が、配列表の配列番号3に示す16SrRNA遺伝子の塩基配列を相同性97%以上で含み、かつ以下の(ホ)および(ヘ)の化学分類学的性質を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物である哺乳動物用乳酸菌製剤:
(ホ)G+C含量が45.5±2.0mol%
(ヘ)近縁菌種の基準株であるラクトバチルス・ガストリカス(Lactobacillus gustricus) DSM 16045T、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum) JCM 1173T、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae) JCM 12515T株とのDNA−DNA相同性が60%未満である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の乳酸菌は、哺乳動物に投与することにより、優れたストレス軽減効果を発揮し、ストレスに起因する下痢症などの消化器疾患を予防・治療し得るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の3種の新規な微生物はいずれも、競走馬の糞便より分離されたものである。
健常なサラブレッドの排泄後すぐの新鮮な糞便を、嫌気パック(アネロガスパック:三菱ガス化学製)に入れ、これを糞便が凍結しない7℃以下の冷蔵で運搬した。運搬された糞便を嫌気的な段階希釈法(光岡知足、「腸内菌の世界」、第2版、53−65、叢文社、1984)で段階希釈し、これの一部をBS寒天培地、BL寒天培地または変法LBS寒天培地(ともに栄研化学製)に塗抹し、嫌気培養した。嫌気培養は、アネロガスパック(三菱ガス化学株式会社)によるガスパック法または二酸化炭素でガス置換したスチール・ウール法(東量三、扇元敬司、須藤恒二、Steel woolを用いる嫌気性培養法、日本細菌学雑誌、17:802-806(1962);秦興也、田中饒、嫌気性培養法に関する研究 Steel wool法の検討(その1)、日本細菌学雑誌、23:827-832(1968))により行った。37℃で48時間嫌気培養して形成されたコロニーから3種の新規なラクトバチルス属微生物を分離した。以下にこれら微生物の性質を示す。
【0013】
ラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI70株の分類学的性質
ラクトバチルス・エスピーDI70株の(a)形態的性質、(b)培養的性質、(c)生理学的性質および(d)化学分類学的性質について以下に示す。
(a)形態的性質
(1)細菌の形:桿菌(湾曲状)
(2)細菌の大きさ: 0.5〜1×10〜30μm
(3)先端:円形
(4)配列:単在
(5)胞子:無
(6)運動性:無
【0014】
(b)培養的性質(生育状態)
BL寒天培地での37℃、48時間嫌気培養により、下記性状のコロニーを生じる。
(1)形状:不定形
(2)大きさ:7〜10mm
(3)隆起:扁平状
(4)周縁:樹根状
(5)表面:円滑
(6)構造:均質
(7)色調:褐色
(8)透明度:不透明
(9)硬度:膜状
【0015】
(c)生理学的性質
(1)グラム染色性:陽性
(2)カタラーゼ反応:陰性
(3)好気生育:なし
(4)グルコースから産生される乳酸の旋光性:D型
(5)グルコースからのガス発生:なし
(6)生育の範囲
温度 15℃ なし
45℃ わずかにあり
(7)糖類からの酸生成の有無
生育可能な下記組成の液体培地のsugar free培地を作成し、sugar free培地5mlに糖類を0.05g添加し、完全に溶解して試験培地とした。これに、各糖類を添加し、121℃、15分間高圧蒸気滅菌した。ただし、peptose類(arabinose、ribose、xylose、rhamnose)を含む試験培地は除菌フィルター(0.2μm孔径、ザルトリウス)によるフィルター滅菌を行った。増菌した菌液を50mlずつ各試験培地に接種し、37℃のインキュベーターで72時間嫌気培養した。インキュベーターから取り出し、ボルテックスで各試験培地をよく撹拌した。
1.0mg/ml BCP溶液を500mlずつ各試験培地に添加し、溶液が黄色に変化したものを陽性とした。
【0016】
(sugar free ABCMブイヨン培地)
Bacto(商標)Peptone(ペプトン、BD) 10g
Tryptone(トリプトン、ナカライテスク) 10g
Peptone, Soy(ソイペプトン、ナカライテスク) 3g
Dipotassium Hydrogenphosphate(リン酸水素二カリウム、ナカライテスク) 2.5g
Extract Yeast Dried(乾燥酵母エキス、ナカライテスク) 5g
Lab-lemco powder (Oxoid) 3g
Sodium Chloride(塩化ナトリウム、ナカライテスク) 2g
L-cystein HCl・H2O(L-システイン塩酸塩・一水和物、ナカライテスク) 0.3g
Sodium Thioglycolate(チオグリコール酸ナトリウム、ナカライテスク) 0.3g
Hemin from Bovine(ヘミン(ウシ)、ナカライテスク) 0.005g
精製水 1,000ml
【0017】
(Sugar free MRS液体培地)
Bacto(商標)Peptone(ペプトン、BD) 10g
Lab-lemco powder (Oxoid) 8g
Extract Yeast Dried(乾燥酵母エキス、ナカライテスク) 4g
Tween 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオエレート、ナカライテスク) 1ml
Dipotassium Hydrogenphosphate(リン酸水素二カリウム、ナカライテスク) 2g
Sodium Acetate Trihydrate(酢酸ナトリウム・三水和物、ナカライテスク) 5g
tri-Ammonium Citrate(クエン酸三アンモニウム、ナカライテスク) 2g
Magnesium Sulfate・7H2O(硫酸マグネシウム・七水和物、関東化学) 0.2g
Manganese Sulfate Pentahydrate
(硫酸マンガン・五水和物、ナカライテスク) 0.054g
精製水 1,000ml
【0018】
(+:酸生成あり、W:酸生成わずかにあり、−:酸生成なし)
L−アラビノース −
D−リボース −
D−キシロース −
グルコネート −
グルコース +
フルクトース +
ガラクトース +
マンノース +
ラムノース −
セロビオース +
ラクトース +
メリビオース W
ラフィノース W
サリシン +
トレハロース −
メレジトース −
マンニトール +
ソルビトース −
スターチ W
【0019】
また生理学的性質について、近縁菌種の基準株(L. delbrueckii subsp. bulgaricus
JCM 1002TおよびL. crispatus JCM 1185T )と比較した。結果を表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
(d)化学分類学的性質
(1)G+C含量
Mesbahらの方法(Mesbah, M., U. Premachandran, and W. E. Whitman. Precise measurement of the G+C content of deoxyribonucleic acid by high-performance liquid chromatography. Int. J. Syst. Bacteriol. 39: 159-167, 1989)によって測定した。
G+C含量:48.3±2.0mol%
(2)細胞壁のペプチドグリカンタイプ:L−Lys−D−Asp(A4α)
(3)16SrRNA遺伝子塩基配列の相同性
(16SrRNA遺伝子の塩基配列決定方法)
コロニーPCRにより、16SrRNA遺伝子領域を増幅し、ABI PRISM 3100DNA Sequencer(Applied Biosystem社製)により全16SrRNA遺伝子塩基配列を決定した。以下の27F、75R、520F、520R、930F、800R、1100F、1100Rのプライマーを用いた。
<16S rDNA遺伝子増幅用および塩基配列決定用PCRプライマー>
27F:5’−AGAGTTTGATCCTGGCTCAG−3’
75R:5’−CCCGGGATCCAAGCTTACGGTTACCTTGTTAC
GACTT−3’
520F:5’−CAGGAGTGCCAGCAGCCGCGG−3’
520R:5’−ACCGCGGCTGCTGGC−3’
930F:5’−GCACAAGCGGTGGAGCATGTGG−3’
800R:5’−CAGGACTACCAGGGTATCTAAT−3’
1100F:5’−CAGGAGCAACGAGCGCAACCC−3’
1100R:5’−AGGGTTGCGCTCGTTG−3’
【0022】
決定したラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI70株の16SrRNA遺伝子の塩基配列を配列表の塩基配列1に示す。
【0023】
(相同性検索)
このラクトバチルス・エスピーDI70株の16SrRNA遺伝子の塩基配列について、BLASTサーチ(日本DNAデータバンク)により既知の菌種との相同性検索を行った。この結果、最も近縁のL. delbrueckii subsp. bulgaricus JCM 1002T株(アクセッションナンバーAB007908)との相同性は96%であった。配列表の塩基配列1に対し相同性97%以上であれば、本発明の微生物に含まれる。
【0024】
(系統解析)
さらに解析ソフトCLUSTAL Wにより系統樹を作成した。図1は、既知のラクトバチルス属微生物とラクトバチルス・エスピーDI70株との関係を示した系統樹の図である。図中の分岐点に示された数値は、ブートストラップ信頼値であり、また括弧内の記号はアクセッションナンバーを表す。
【0025】
(4)近縁種とのDNA−DNA相同性
DNA−DNAハイブリダイゼーション方法は、Ezakiらの蛍光検出によるマイクロプレート法(Int. J.Syst. Bacteriol.,39,224−229、1989)により行った。2株の近縁菌種の基準株(L. delbrueckii subsp. bulgaricus JCM 1002TおよびL. crispatus JCM 1185T)を、ラクトバチルス・エスピーDI70株と比較するのに使用した。
【0026】
(DNA−DNA相同性)
L. delbrueckii subsp. bulgaricus JCM 1002T:43%
L. crispatus JCM 1185T:16%
【0027】
一般的に60%以上のDNA−DNA相同性を持つ菌群を同一菌種とされる。しかしながら、ラクトバチルス・エスピーDI70株は、上記近縁菌種の基準株とのDNA−DNA相同性が50%未満の低い相同性しか示さなかった。本願発明の微生物には、上記近縁菌種の基準株とのDNA−DNA相同性が60%未満のものが含まれる。
【0028】
以上の化学分類学的性質により、ラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI70株は、いままでに報告されていない新規な乳酸菌であると判断された。このラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI70株を平成19年8月2日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに、微生物寄託番号 NITE (P−387)として寄託した。
【0029】
ラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI71株の分類学的性質:
ラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI71株の(a)形態的性質、(b)培養的性質、(c)生理学的性質および(d)化学分類学的性質について以下に示す。
(a)形態的性質
(1)細菌の形:桿菌
(2)細菌の大きさ: 1〜1.5×3〜5μm
(3)先端:円形
(4)配列:単在
(5)胞子:無
(6)運動性:無
【0030】
(b)培養的性質(生育状態)
BL寒天培地での37℃、48時間嫌気培養により、下記性状のコロニーを生じる。
(1)形状:円形
(2)大きさ:2〜3mm
(3)隆起:円錐状
(4)周縁:円滑
(5)表面:円滑
(6)構造:顆粒状
(7)色調:褐色
(8)透明度:不透明
(9)硬度:粘稠
【0031】
(c)生理学的性質
(1)グラム染色性:陽性
(2)カタラーゼ反応:陰性
(3)好気生育:なし
(4)グルコースから産生される乳酸の旋光性:D型
(5)グルコースからのガス発生:あり
(6)生育の範囲
温度 15℃ なし
45℃ あり
(7)糖類からの酸生成の有無
上記と同様の方法により試験した。
(+酸生成あり、W酸生成わずかにあり、−酸生成なし)
L−アラビノース −
D−リボース −
D−キシロース −
グルコネート +
グルコース +
フルクトース +
ガラクトース +
マンノース +
ラムノース −
セロビオース +
ラクトース +
メリビオース +
ラフィノース +
サリシン +
トレハロース +
メレジトース −
マンニトール −
ソルビトース −
スターチ W
【0032】
また生理学的性質について、近縁菌種の基準株(L. vitulinus JCM 1143TCatenibacterium mitsuokai JCM 10609 T株、Lactobacillus sp. ST18株(NITE P-300))と比較した。結果を表2に示す。
【0033】
【表2】

【0034】
(d)化学分類学的性質
下記項目について上述した方法によって調べた。
(1)G+C含量
G+C含量:40.5±2.0mol%
(2)細胞壁のペプチドグリカンタイプ:meso−DAP型
(3)16SrRNA遺伝子塩基配列の相同性
【0035】
決定したラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI70株の16SrRNA遺伝子の塩基配列を配列表の塩基配列2に示す。
【0036】
(相同性検索)
最も近縁のL. vitulinus JCM 1143T(アクセッションナンバーM23723)との相同性は92%であった。配列表の塩基配列2に対し相同性97%以上であれば、本発明の微生物に含まれる。
【0037】
(系統解析)
図2は、既知のラクトバチルス属微生物とラクトバチルス・エスピーDI71株との関係を示した系統樹の図である。図中の分岐点に示された数値は、ブートストラップ信頼値であり、また括弧内の記号はアクセッションナンバーを表す。
【0038】
(4)近縁種とのDNA−DNA相同性
3株の近縁菌種の基準株(L. vitulinus JCM 1143TCatenibacterium mitsuokai JCM 10609T株、Lactobacillus sp. ST18株(NITE P−300))を、ラクトバチルス・エスピーDI71株と比較するのに使用した。
【0039】
(DNA−DNA相同性)
L. vitulinus JCM 1143T:45%
Catenibacterium mitsuokai JCM 10609 T:24%
Lactobacillus sp. ST18株(NITE P-300):9%
【0040】
ラクトバチルス・エスピーDI71株は、上記近縁菌種の基準株とのDNA−DNA相同性が50%未満の低い相同性しか示さなかった。本願発明の微生物には、上記近縁菌種の基準株とのDNA−DNA相同性が60%未満のものが含まれる。
【0041】
以上の化学分類学的性質により、ラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI71株は、いままでに報告されていない新規な乳酸菌であると判断された。このラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI71株を平成19年8月2日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに、微生物寄託番号 NITE P−388として寄託した。
【0042】
ラクトバチルス・エクイジェネロシ(Lactobacillus equigenerosi)DI83株
の分類学的性質:
ラクトバチルス・エクイジェネロシ(Lactobacillus equigenerosi)DI83株の(a)形態的性質、(b)培養的性質、(c)生理学的性質および(d)化学分類学的性質について以下に示す。
(a)形態的性質
(1)細菌の形:球状
(2)細菌の大きさ: 0.5〜1×0.5〜1.5μm
(3)先端:円形
(4)配列:束状
(5)胞子:無
(6)運動性:無
【0043】
(b)培養的性質(生育状態)
MRS寒天培地での37℃、48時間嫌気培養により、下記性状のコロニーを生じる。
(1)形状:円形
(2)大きさ:3〜5mm
(3)隆起:扁平状
(4)周縁:円滑
(5)表面:円滑
(6)構造:均質
(7)色調:白色
(8)透明度:半透明
(9)硬度:脂状
【0044】
(c)生理学的性質
(1)グラム染色性:陽性
(2)カタラーゼ反応:陰性
(3)好気生育:あり
(4)グルコースから産生される乳酸の旋光性:DL型
(5)グルコースからのガス発生:なし
(6)生育の範囲
温度 15℃ なし
45℃ なし
(7)糖類からの酸生成の有無
API 50 CH System (BioMereux社製)を用いた。
(+酸生成あり、W酸生成わずかにあり、−酸生成なし)
L−アラビノース −
D−リボース −
D−キシロース −
グルコネート W
グルコース +
フルクトース W
ガラクトース −
マンノース −
ラムノース −
セロビース −
ラクトース +
メリビオース +
ラフィノース +
サリシン −
トレハロース −
メレジトース −
マンニトール −
ソルビトース −
スターチ −
【0045】
また生理学的性質について、近縁菌種の基準株(L. gustricus DSM 16045TL. fermentum JCM 1173TL. mucosae JCM 12515T)と比較した。結果を表3に示す。
【0046】
【表3】

【0047】
(d)化学分類学的性質
下記項目について上述の方法により調べた。
(1)G+C含量
G+C含量:45.5±2.0mol%
(2)細胞壁のペプチドグリカンタイプ:グルタミン酸−アラニン−リジンを含む
(3)16SrRNA遺伝子塩基配列の相同性
【0048】
決定したラクトバチルス・エクイジェネロシ(Lactobacillus equigenerosi)DI83株の16SrRNA遺伝子の塩基配列を配列表の塩基配列3に示す。
【0049】
(相同性検索)
このラクトバチルス・エクイジェネロシDI83株の16SrRNA遺伝子の塩基配列について、BLASTサーチ(日本DNAデータバンク)により既知の菌種との相同性検索を行った。この結果、最も近縁のL. gustricus DSM 16045T(アクセッションナンバーAY253657)との相同性は98%であった。配列表の塩基配列3に対し相同性97%以上であれば、本発明の微生物に含まれる。
【0050】
(系統解析)
図3は、既知のラクトバチルス属微生物とラクトバチルス・エクイジェネロシDI83株との関係を示した系統樹の図である。図中の分岐点に示された数値は、ブートストラップ信頼値であり、また括弧内の記号はアクセッションナンバーを表す。
【0051】
(4)近縁種とのDNA−DNA相同性
3株の近縁菌種の基準株(L. gustricus DSM 16045TL. fermentum JCM 1173TL. mucosae JCM 12515T)を、ラクトバチルス・エクイジェネロシDI83株と比較するのに使用した。
【0052】
(DNA−DNA相同性)
L. gustricus DSM 16045T:32%
L. fermentum JCM 1173T:16%
L. mucosae JCM 12515T :9%
【0053】
ラクトバチルス・エクイジェネロシDI83株は、上記近縁菌種の基準株とのDNA−DNA相同性が40%未満の低い相同性しか示さなかった。本願発明の微生物には、上記近縁菌種の基準株とのDNA−DNA相同性が60%未満のものが含まれる。
【0054】
ラクトバチルス(Lactobacillus)属の細胞形態は、桿菌であると一般に認識されている。ラクトバチルス・ガストリカス(Lactobacillus gustricus) DSM 16045Tも桿菌である、とする論文もあるが(Roos S, Engstrand L, and Jonsson H., Lactobacillus gastricus sp. nov., Lactobacillus antri sp. nov., Lactobacillus kalixensis sp. nov. and Lactobacillus ultunensis sp. nov., isolated from human stomach mucosa, Int. J. Syst. Evol. Microbiol.,55: 77-82, 2005.)、この菌種の細胞形態は球菌である。細胞形態は球菌であるが、16S rRNA配列の系統樹はLactobacillusのクラスターに存在するので、Lactobacillus属が妥当である。このLactobacillus gastricusに近縁であるDI83株も、細胞形態は球菌であるが、Lactobacillus属が妥当と判断された。
【0055】
以上の生理学的、化学分類学的性質等により、DI83株は、いままでに報告されていない新規な乳酸菌であると判断され、ラクトバチルス・エクイジェネロシ(Lactobacillus equigenerosi)と命名された。このラクトバチルス・エクイジェネロシ(Lactobacillus equigenerosi)DI83株を平成19年8月2日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに、微生物寄託番号 NITE P−389として寄託した。
【0056】
上記3種の本発明の微生物を得るには、通常の培養方法に準じて培養を行えばよい。例えばラクトバチルス・エスピーDI70および71株は、ABCMブイヨン培地に接種し、37℃で14時間程度嫌気培養して得られる。また、ラクトバチルス・エクイジェネロシDI83株は、MRS液体培地に接種し、37℃で14時間程度嫌気培養して得ることができる。嫌気培養は、アネロガスパック(三菱ガス化学株式会社)によるガスパック法や、二酸化炭素でガス置換したスチール・ウール法(東量三、扇元敬司、須藤恒二、steel woolを用いる嫌気性培養法、日本細菌学雑誌、17:802-806(1962);秦興也、田中饒、嫌気性培養法に関する研究 steel wool法の検討(その1)、日本細菌学雑誌、23:827-832(1968))により行うことができる。
【0057】
本発明の乳酸菌製剤は、上記のように培養した本発明の3種の新規乳酸菌の培養液をそのまま用いることもできるが、遠心分離等の手段を用いて集菌した菌体をスキムミルク等に分散して懸濁液として用いてもよい。さらに、培養液や懸濁液を凍結乾燥等により乾燥させた乾燥菌体として用いることもできる。
【0058】
本発明の乳酸菌製剤の剤型としては特に限定はなく、錠剤、粉剤、粒剤、カプセル、ペレット、液剤等の任意の剤型とすることができ、ブドウ糖、ショ糖、乳糖、シュクロース、スキムミルク等の賦形剤やその他フラクトオリゴ糖など各種のプレバイオティクス成分等の任意成分を配合することもできる。
【0059】
かくして得られた本発明の新規乳酸菌を哺乳動物に投与することにより、乳酸菌が消化管に付着・定着し、ストレスを軽減し、下痢や胃潰瘍などの消化器疾患を予防・治療することができる。新規乳酸菌の投与量は、例えば馬の場合1頭当たり1日に1×107〜1×109cfu(コロニー形成単位)程度、特に1×108〜1×1010cfu程度が好ましい。
【0060】
本発明の乳酸菌製剤の投与対象である哺乳動物としては、馬、牛、豚、ヒツジ、山羊等が挙げられる。種々の哺乳動物のストレス反応に関して、ラット、マウス、ブタ、ヒト、サルなどを対象とし、ストレス―腸内環境(乳酸菌、ビフィズス菌など)―神経系の相互作用は、各哺乳動物でも共通した方向であることが示唆されている(須藤信行、ストレスと腸内フローラ、腸内細菌学会誌、19:25−29、2005)。また、腸内環境を考える際、経口投与されるラクトバチルス(Lactobacillus)属はその腸管定着性や効果が宿主特異的であることが知られており、本発明の3菌種は、すべてサラブレッドの消化管から新菌種として分離されていることから、特にウマに対してストレス軽減効果を発揮するものである。
【0061】
本発明の乳酸菌製剤は、哺乳動物に直接、経口投与してもよく、飼料や餌等に混ぜて投与してもよい。
【0062】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0063】
実 施 例 1
ラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI70株の培養:
ABCMブイヨン培地(栄研社製)に、BL寒天培地(栄研社製)で37℃、48時間培養したラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI70株のコロニーを接種し、37℃、14時間、アネロガスパック(三菱ガス化学株式会社)によるガスパック法により嫌気培養した。培養後の菌数は、5.5×10個/mlであった。
【0064】
実 施 例 2
ラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI71株の培養:
ABCMブイヨン培地(栄研社製)に、BL寒天培地(栄研社製)で37℃、48時間培養したラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI71株のコロニーを接種し、37℃、14時間、アネロガスパック(三菱ガス化学株式会社)によるガスパック法により嫌気培養した。培養後の菌数は、4.0×10個/mlであった。
【0065】
実 施 例 3
ラクトバチルス・エクイジェネロシ(Lactobacillus equigenerosi)DI83
株の培養:
MRS液体培地(栄研社製)に、BL寒天培地(栄研社製)で37℃、48時間培養したラクトバチルス・エクイジェネロシ(Lactobacillus equigenerosi)DI83株のコロニーを接種し、37℃、14時間、アネロガスパック(三菱ガス化学株式会社)によるガスパック法により嫌気培養した。培養後の菌数は、2.3×10個/mlであった。
【0066】
試 験 例 1
拘束ストレス試験:
ラットに拘束ストレスを負荷し、血中コルチコステロンの濃度を測定することによりストレス軽減効果を評価した。金属製の拘束装置を用い、ラットを8時間(午前0時〜午前8時)拘束した。拘束の前後で尾静脈からの採血を行いコルチコステロンの血中濃度を測定した。コルチコステロン量の測定は、ACTIVE Rat Corticosterone EIA kit(DSL社、10−81100)を用いてイムノアッセイ法で測定した。試験群には、実施例1ないし3で得られた10の8乗レベルとなる量のラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI70株およびDI71株、ラクトバチルス・エクイジェネロシ(Lactobacillus equigenerosi)DI83株をそれぞれ5日間連続で経口投与した(n=6)。乳酸菌を与えない群をコントロールとした。5日目に拘束ストレスをかけ、前日の血中コルチコステロン濃度と拘束ストレス負荷後の血中コルチコステロン濃度を求めた。結果を図4に示す。
【0067】
哺乳動物はストレスがかかると、血液中のコルチコステロン濃度が上昇する。コントロール群および各乳酸菌投与群ともにストレス負荷をかける前は、図のとおり43〜105 ng/mlの範囲であった。血中コルチコステロン量は、コントロール群は、ストレス負荷後に有意に上昇しており、有効なストレス刺激が負荷されたことが確認された。ラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI70株およびDI71株、ラクトバチルス・エクイジェネロシ(Lactobacillus equigenerosi)DI83株投与群はいずれもコントロール群に比べて血中コルチコステロン濃度は有意に低くなり、ストレス軽減効果を認められた。
【0068】
試 験 例 2
強制水泳ストレス試験:
直径20cm、高さ50cmのプラスチック製の円筒に27℃の水を40cmまで入れ、ラットを15分間強制水泳させ、強制水泳前後で尾静脈から採血し血中コルチコステロン量を測定した。試験群には、実施例1ないし3で得られた10の8乗レベルとなる量のラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI70株およびDI71株、ラクトバチルス・エクイジェネロシ(Lactobacillus equigenerosi)DI83株をそれぞれ5日間連続で経口投与した(n=6)。乳酸菌を与えない群をコントロールとした。5日目に強制水泳させ、前日の血中コルチコステロン濃度と強制水泳ストレス負荷後の血中コルチコステロン濃度を求めた。結果を図4に併せて示す。
【0069】
血中コルチコステロン量は、コントロール群はストレス負荷後に有意に上昇しており、有効なストレス刺激が負荷されたことが確認された。乳酸菌投与群はそれぞれコントロール群に比べ血中コルチコステロン量が有意に抑制され、ラットのストレス軽減効果があることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明のラクトバチルス属微生物は、馬などの哺乳動物に投与することによってそのストレスを軽減することができ、ストレスに起因する下痢や胃潰瘍など消化器疾患の予防・治療効果を有するものである。
【0071】
したがって、本発明のラクトバチルス属微生物は、馬などの哺乳動物に投与する乳酸菌製剤として有利に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】既知のラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物とラクトバチルスDI70株との関係を示した系統樹である。
【図2】既知のラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物とラクトバチルスDI71株との関係を示した系統樹である。
【図3】既知のラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物とラクトバチルスDI83株との関係を示した系統樹である。
【図4】試験例1における、拘束ストレス負荷前後の各乳酸菌投与群とコントロール群の血中コルチコステロン濃度および試験例2における、強制水泳ストレス負荷前後の各乳酸菌投与群とコントロール群の血中コルチコステロン濃度を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレス軽減作用を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物を含有することを特徴とする哺乳動物用乳酸菌製剤。
【請求項2】
ストレス軽減作用を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物が、配列表の配列番号1に示す16SrRNA遺伝子の塩基配列を相同性97%以上で含み、かつ以下の(イ)および(ロ)の化学分類学的性質を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物である請求項1記載の哺乳動物用乳酸菌製剤:
(イ)G+C含量が48.3±2.0mol%
(ロ)近縁菌種の基準株であるラクトバチルス・デルブリッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)JCM 1002T株およびラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus) JCM 1185TのDNA−DNA相同性が60%未満
【請求項3】
ストレス軽減作用を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物が、ラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI70株(寄託番号 NITE P−387)である請求項第1項または第2項記載の哺乳動物用乳酸菌製剤。
【請求項4】
ストレス軽減作用を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物が、配列表の配列番号2に示す16SrRNA遺伝子の塩基配列を相同性97%以上で含み、かつ以下の(ハ)および(ニ)の化学分類学的性質を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物である請求項第1項記載の哺乳動物用乳酸菌製剤:
(ハ)G+C含量が40.5±2.0mol%
(ニ)近縁菌種の基準株であるラクトバチルス・ヴィチュリナス(Lactobacillus vitulinus) JCM 1143T、カテニバクテリウム・ミツオカイ(Catenibacterium mitsuokai)JCM 10609T株およびラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)ST18株とのDNA−DNA相同性が60%未満
【請求項5】
ストレス軽減作用を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物が、ラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI71株(寄託番号 NITE P−388)である請求項第1項または第4項記載の哺乳動物用乳酸菌製剤。
【請求項6】
ストレス軽減作用を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物が、配列表の配列番号3に示す16SrRNA遺伝子の塩基配列を相同性97%以上で含み、かつ以下の(ホ)および(ヘ)の化学分類学的性質を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物である請求項第1項記載の哺乳動物用乳酸菌製剤:
(ホ)G+C含量が45.5±2.0mol%
(ヘ)近縁菌種の基準株であるラクトバチルス・ガストリカス(Lactobacillus gustricus) DSM 16045T、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum) JCM 1173T、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae) JCM 12515T株とのDNA−DNA相同性が60%未満
【請求項7】
ストレス軽減作用を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物が、ラクトバチルス・エクイジェネロシ(Lactobacillus equigenerosi)DI83株(寄託番号 NITE P−389)である請求項第1項または第6項記載の哺乳動物用乳酸菌製剤。
【請求項8】
哺乳動物が馬である請求項1ないし7のいずれかの項に記載の乳酸菌製剤。
【請求項9】
配列表の配列番号1に示す16SrRNA遺伝子の塩基配列を相同性97%以上で含み、かつ以下の(ト)および(チ)の化学分類学的性質を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物:
(ト)G+C含量が48.3±2.0mol%
(チ)近縁菌種の基準株であるラクトバチルス・デルブリッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)JCM 1002T株およびラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus) JCM 1185TのDNA−DNA相同性が60%未満
【請求項10】
ラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI70株(寄託番号 NITE P−387)である請求項第9項記載の微生物。
【請求項11】
配列表の配列番号2に示す16SrRNA遺伝子の塩基配列を相同性97%以上で含み、かつ以下の(リ)および(ヌ)の化学分類学的性質を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物:
(リ)G+C含量が40.5±2.0mol%
(ヌ)近縁菌種の基準株であるラクトバチルス・ヴィチュリナス(Lactobacillus vitulinus) JCM 1143T、カテニバクテリウム・ミツオカイ(Catenibacterium mitsuokai)JCM 10609T株およびラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)ST18T株とのDNA−DNA相同性が60%未満
【請求項12】
ラクトバチルス・エスピー(Lactobacillus sp.)DI71株(寄託番号 NITE P−388)である請求項第11項記載の微生物。
【請求項13】
配列表の配列番号3に示す16SrRNA遺伝子の塩基配列を相同性97%以上で含み、かつ以下の(ル)および(ヲ)の化学分類学的性質を有するラクトバチルス(Lactobacillus)属微生物:
(ル)G+C含量が45.5±2.0mol%
(ヲ)近縁菌種の基準株であるラクトバチルス・ガストリカス(Lactobacillus gustricus) DSM 16045T、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum) JCM 1173T、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae) JCM 12515T株とのDNA−DNA相同性が60%未満
【請求項14】
ラクトバチルス・エクイジェネロシ(Lactobacillus equigenerosi)DI83株(寄託番号 NITE P−389)である請求項第13項記載の微生物。
【請求項15】
請求項9ないし14の何れかの項記載の微生物を有効成分として含有することを特徴とする哺乳動物の抗ストレス用乳酸菌製剤。
【請求項16】
哺乳動物が馬である請求項15の抗ストレス用乳酸菌製剤。
【請求項17】
哺乳動物(ヒトを除く)に請求項9ないし14の何れかの項記載の微生物を含有する乳酸菌製剤を投与することを特徴とする哺乳動物(ヒトを除く)のストレス軽減方法。
【請求項18】
哺乳動物が馬である請求項17に記載のストレス軽減方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−100692(P2009−100692A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276415(P2007−276415)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(507045889)クロスフィールドバイオ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】