説明

新規な受容体のヘテロ二量体/ヘテロオリゴマー

少なくとも1個のケモカイン受容体サブユニットが少なくとも1個のアンジオテンシン受容体サブユニットと会合してなる、ヘテロ二量体又はヘテロオリゴマー受容体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1個のケモカイン受容体サブユニットが少なくとも1個のアンジオテンシン受容体サブユニットと会合してなるヘテロ二量体又はヘテロオリゴマー受容体に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質は、細胞内において単独で機能するわけではなく、安定的な、あるいは一時的な複合体として機能し、タンパク質間相互作用がタンパク質の機能の重要な決定因子となっている(非特許文献1参照)。更にタンパク質及びタンパク質複合体は、DNA、RNA及び小分子のような他の細胞の構成成分と相互作用を行う。これらの相互作用に関与する個々のタンパク質及びそれらの相互作用を理解することは、生物学的プロセスをより深く理解するうえで重要である。
【0003】
アレンら(非特許文献2参照)により報告されたケモカインリガンド(CCL)の主要な生理学的機能とは、「通常の免疫監視機構、炎症及び発生における細胞遊走」の調節である。CCLは、炎症性サイトカインに応じて放出され、ケモカインに対する生理学的応答を媒介するGタンパク質共役受容体の大きなファミリーと選択的に結合する。ケモカインは当初は走化性サイトカインと呼ばれていた。
【0004】
ケモカインシステムがヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染及び後天性免疫不全症候群(AIDS)の発症において重要な役割を担っていることが発見されて以来、有効な介入戦略を立てるために関与する基礎となる発症機序を理解すべく多大な努力がなされてきた(非特許文献3参照)。更に、喘息などの特定の状態にともなうあらゆる有害な免疫応答は、ほとんどといってよいくらいに機能不全に陥ったケモカインシステムによるものである。アテローム性動脈硬化症の発症にもケモカインシグナル伝達経路が関与しており、動脈病変部へのマクロファージの浸潤がこの異常炎症性疾患に直接寄与していることも示されている(非特許文献4参照)。
【0005】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)は、交感神経系及び体液恒常性において重要な役割を果たしている。レニンは、グロブリン前駆体であるアンジオテンシノーゲンからのアンジオテンシンI(AngI)の形成を媒介する、腎臓によって分泌されるタンパク質分解酵素である(非特許文献5参照)。AngI自体は、該AngIを、高い活性を有するアンジオテンシンII(AngII)に変換する第2の酵素であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)の基質となる以外には生理学的重要性はほとんどないものと考えられている。しかしながら、AngIIは、別のACEとは独立した機序によっても生成されうる点には注意を要する。次いでAngIIは、AngIIIによってアミノペプチダーゼに代謝されうる。
【0006】
AngIIは、極めて強力な血管収縮物質であり、このため心疾患及び高血圧の発症との関連において広く研究されている(非特許文献6参照)。高血圧の患者におけるAngIIの有害な血管収縮作用を抑えるため、AngIIのシグナル伝達の段階で介入する治療策が確立されている。詳細には、ACEの活性を阻害してAngIのAngIIへの変換を妨げる化合物、及びアンジオテンシン受容体(ATR)の活性を特異的に阻害する化合物がこうした状態の治療に使用されてきた(非特許文献7参照)。
【0007】
上記の考察は、あくまで本発明の理解を助けるためのものに過ぎず、本発明の以下の説明の範囲又は用途をいかなる意味においても限定するものとして解釈されるべきではなく、また、考察される情報のいずれかが、優先日における当該技術分野における当業者の通常の一般的知識の範囲内にあったことを容認するものとして解釈されるべきでもない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Auerbach et al., (2002), Proteomics 2:611−623
【非特許文献2】Allen, S. et al. (2007) Chemokine: Receptor Structure, Interactions and Antagonism. Annual Review Immunology 25:787−820
【非特許文献3】Lusso, P. (2006) HIV and the chemokine system: 10 years later. EMBO Journal 25:447−456
【非特許文献4】Boisvert, W. (2004) Modulation of Atherogenesis by Chemokines. Trends in Cardiovascular Medicine 14:161−165
【非特許文献5】Rang, H.P., et al., Pharmacology: 3rd Edition, 1995, Published by Churchill Livingstone, Edinburgh, UK.
【非特許文献6】Ramasubbu, K. (2007) Anti−angiotensin Therapy: New Perspectives. Cardiology Clinics 25:573−580
【非特許文献7】Matchar, D.B. (2008) Systematic Review: Comaprative Effectiveness of Angiotensin−Converting Enzyme Inhibitors and Angiotensin II Receptor Blockers for Treating Essential Hypertension. Annals of Internal Medicine 148:16−29
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、アンジオテンシン受容体とケモカイン受容体とが会合することを見出した。このことは、いずれかの受容体に関連した病気の治療に関して重要な意味合いを有するものである。
【0010】
最近の研究によって、GPCRは、モノマーとして機能するばかりでなく、リガンド結合、シグナル伝達、及びエンドサイトーシスに変化を引き起こすホモ二量体及びヘテロ二量体としても機能している可能性が示されている(Rios et al. (2000) Pharmacol. Ther. 92:71−87)。したがって、特定の受容体のアゴニスト又はアンタゴニストとして機能する薬物の作用は、この受容体の結合相手によって決まる。ある薬物の作用を、特定の受容体二量体によって媒介される細胞反応に限定することが望ましい場合がある。ミリガンの観察によれば(Milligan G. (2006), Drug Discovery Today 11:541−549)、創薬産業におけるホモ二量体化及びホモオリゴマー化の意義は限定的なものであるが、「GCPRのヘテロ二量体及びヘテロオリゴマーの薬理作用、機能、及び調節における差異は、異なる組織のGPCRを選択的に標的化するための手段を示唆するものであり、幾つかの薬物の機能の機序は、単一のGPCRの異種発現に頼った単純なリガンドスクリーニングプログラムから予想される機序とは生体内では異なりうることを示唆している」としている。
【0011】
「ケモカイン受容体」なる語句は、CCケモカイン受容体1(CCR1)、CCケモカイン受容体2(CCR2)、CCケモカイン受容体3(CCR3)、CCケモカイン受容体4(CCR4)、CCケモカイン受容体5(CCR5)、CCケモカイン受容体6(CCR6)、CCケモカイン受容体7(CCR7)、CCケモカイン受容体8(CCR8)、CCケモカイン受容体9(CCR9)、CCケモカイン受容体10(CCR10)などのGタンパク質共役CCケモカイン受容体(CCR)を少なくとも含むものとして理解されるべきである。「ケモカイン受容体」なる語句は更に、CXCケモカイン受容体1(CXCR1)、CXCケモカイン受容体2(CXCR2)、CXCケモカイン受容体3(CXCR3)、CXCケモカイン受容体4(CXCR4)、CXCケモカイン受容体5(CXCR5)、CXCケモカイン受容体6(CXCR6)及びCXCケモカイン受容体7(CXCR7)などのGタンパク質共役CXCケモカイン受容体(CXCR)を含むものとしても理解されるべきである。「ケモカイン受容体」なる語句は更に、Gタンパク質共役XCケモカイン受容体1(XCR1)を意味するものとしても理解されるべきである。「ケモカイン受容体」なる語句は更に、Gタンパク質共役CX3ケモカイン受容体(CXCR1)を含むものとして理解されるべきである。「ケモカイン受容体」なる語句は更に、Gタンパク質共役CCX−CKRケモカイン受容体(CCX−CKR)を含むものとして理解されるべきである。「ケモカイン受容体」なる語句は更に、Gタンパク質共役D6ケモカイン受容体(D6)を意味するものとしても理解される。「ケモカイン受容体」なる語句は更に、Gタンパク質共役DARC/Duffyケモカイン受容体(DARC)を含むものとして理解されるべきである。このケモカイン受容体のリストは、アレンによる概説(Allen, S. et al. (2007) Chemokine: Receptor Structure, Interactions and Antagonism. Annual Review Immunology 25:787−820)から編集したものである。最後に、「ケモカイン受容体」なる語句は更に、新たに発見されたあらゆるCCR/CXCR/XCR/CXCR/CCX−CKR/D6/DARCファミリーのメンバーを含むものとして理解されるべきである。
【0012】
「アンジオテンシン受容体」又は「ATR」なる語句は、ポレロらによって述べられる(Porello, E.R. (2008) The Angiotensin II Type 2 Receptor: An Enigma of Cardiovascular Pathophysiology. Frontiers in Bioscience. In Press)、アンジオテンシンII(AngII)及び/又はアンジオテンシンIII(AngIII)によって活性化されるものと類似したGタンパク質共役受容体であるアンジオテンシン受容体1(AT1R;ATR)又はアンジオテンシン受容体2(AT2R;ATR)のいずれかを意味するものとして理解されるべきである。「アンジオテンシン受容体」又は「ATR」は、新たに発見されたアンジオテンシン受容体ファミリーのメンバーを含むものとして理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様では、少なくとも1個のケモカイン受容体サブユニットが少なくとも1個のアンジオテンシン受容体サブユニットと会合してなるヘテロ二量体又はヘテロオリゴマー受容体が提供される。
【0014】
本発明の第2の態様では、ケモカイン受容体関連化合物の治療上の有効量を投与することによる、アンジオテンシン関連疾患を有する患者の治療方法が提供される。
【0015】
一実施形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物は、アンジオテンシン受容体と比較してケモカイン受容体に対して選択的である。
【0016】
一実施形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物はアンジオテンシン関連化合物と同時投与することができる。
【0017】
本発明の第3の態様では、アンジオテンシン受容体関連化合物の治療上の有効量を投与することによる、ケモカイン関連疾患を有する患者の治療方法が提供される。
【0018】
一実施形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物は、ケモカイン受容体と比較してアンジオテンシン受容体に対して選択的である。
【0019】
一実施形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物はケモカイン受容体関連化合物と同時投与することができる。
【0020】
本発明の第4の態様では、ケモカイン受容体関連化合物の治療上の有効量の使用を含む、アンジオテンシン関連疾患を有する患者の治療用の薬剤の製造方法が提供される。
【0021】
一実施形態では、前記薬剤はアンジオテンシン受容体関連化合物を含有してもよい。
【0022】
本発明の第5の態様では、アンジオテンシン受容体関連化合物の治療上の有効量の使用を含む、ケモカイン関連疾患を有する患者の治療用の薬剤の製造方法が提供される。
【0023】
一実施形態では、前記薬剤はケモカイン受容体関連化合物を含有してもよい。
【0024】
本発明の第6の態様では、ケモカインに選択的な結合物質、又はそのフラグメントの治療上の有効量を投与することによる、アンジオテンシン関連疾患を有する患者の治療方法が提供される。
【0025】
本発明の第7の態様では、アンタゴニストに選択的な結合物質、又はそのフラグメントの治療上の有効量を投与することによる、ケモカイン関連疾患を有する患者の治療方法が提供される。
【0026】
本発明の第8の態様では、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの選択的アゴニスト、選択的逆アゴニスト、選択的部分アゴニスト、選択的アンタゴニスト、又は選択的アロステリック調節因子などの前記ヘテロ二量体/オリゴマーと選択的に相互作用する他の分子の治療上の有効量を投与することを含む、ケモカイン関連疾患又はアンジオテンシン関連疾患を有する患者の治療方法が提供される。
【0027】
本発明の第9の態様では、ケモカイン関連疾患又はアンジオテンシン関連疾患を有する患者の治療用の薬剤の製造における、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの選択的アゴニスト、選択的逆アゴニスト、選択的部分アゴニスト、選択的アンタゴニスト、又は選択的アロステリック調節因子などの前記ヘテロ二量体/オリゴマーと選択的に相互作用する他の分子の使用が提供される。
【0028】
本発明の第10の態様では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてアンジオテンシン関連疾患に対する潜在的治療活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)前記試験化合物をケモカイン受容体に曝露する工程と、
b)前記試験化合物の非存在下における前記ケモカイン受容体の活性と比較して前記ケモカイン受容体の活性が調節されているか否か、及び/又はその程度を評価する工程と、を含み、
前記調節が前記アンジオテンシン関連疾患に対する潜在的治療活性を示すものである方法が提供される。
【0029】
本発明の第11の態様では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン関連疾患に対する潜在的治療活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)前記試験化合物をアンジオテンシン受容体に曝露する工程と、
b)前記試験化合物の非存在下における前記アンジオテンシン受容体の活性と比較して前記アンジオテンシン受容体の活性が調節されているか否か、及び/又はその程度を評価する工程と、を含み、
前記調節が前記ケモカイン関連疾患に対する潜在的治療活性を示すものである方法が提供される。
【0030】
本発明の第12の態様では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
前記ケモカイン受容体の非存在下で前記試験化合物が前記アンジオテンシン受容体と相互作用するか否か、及び/又はその程度と比較して、前記アンジオテンシン受容体が前記ケモカイン受容体と会合した状態で前記試験化合物が前記アンジオテンシン受容体と相互作用するか否か、及び/又はその程度を判定する工程を含み、
前記アンジオテンシン受容体が前記ケモカイン受容体と会合した状態で前記アンジオテンシン受容体と相互作用する場合に、より高い親和性及び/又は効力及び/又は薬効を示す試験化合物が、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0031】
本発明の第13の態様では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記試験化合物が前記ケモカイン受容体と相互作用するか否か、及び/又はその程度と比較して、前記ケモカイン受容体が前記アンジオテンシン受容体と会合した状態で前記試験化合物が前記ケモカイン受容体と相互作用するか否か、及び/又はその程度を判定する工程を含み、
前記ケモカイン受容体が前記アンジオテンシン受容体と会合した状態で前記ケモカイン受容体と相互作用する場合に、より高い親和性及び/又は効力及び/又は薬効を示す試験化合物が、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0032】
本発明の第14の態様では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な拮抗作用又は選択的な部分作動作用又は選択的な負のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記アンジオテンシン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)前記ケモカイン受容体を含む第3の物質と、
iv)前記アンジオテンシン受容体、前記ケモカイン受容体、及び/又は前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニストと、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とケモカイン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であった場合、前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体のアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い拮抗特性、部分作動特性又は負のアロステリック調節特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0033】
本発明の第15の態様では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な拮抗作用、選択的な部分作動作用又は選択的な負のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記ケモカイン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)前記アンジオテンシン受容体を含む第3の物質と、
iv)前記アンジオテンシン受容体、前記ケモカイン受容体、及び/又は前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニストと、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とアンジオテンシン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であった場合、前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体のアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い拮抗特性、部分作動特性又は負のアロステリック調節特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0034】
本発明の第16の態様では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な逆作動作用について試験化合物をスクリーニングための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記アンジオテンシン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)構成的な活性を有するケモカイン受容体を含む第3の物質と、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とケモカイン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであった場合、前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体の逆アゴニストであるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い逆作動特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0035】
本発明の第17の態様では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対する逆作動作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記ケモカイン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)構成的な活性を有するアンジオテンシン受容体を含む第3の物質と、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とアンジオテンシン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであった場合、前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体の逆アゴニストであるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い逆作動特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0036】
本発明の第18の態様では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な正のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記アンジオテンシン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)前記ケモカイン受容体を含む第3の物質と、
iv)前記アンジオテンシン受容体、前記ケモカイン受容体、及び/又は前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニストと、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とケモカイン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの正のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの正のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの増大を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体の正のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い正のアロステリック調節特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0037】
本発明の第19の態様では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な正のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記ケモカイン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)前記アンジオテンシン受容体を含む第3の物質と、
iv)前記アンジオテンシン受容体、前記ケモカイン受容体、及び/又は前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニストと、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とアンジオテンシン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの正のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの正のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの増大を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体の正のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い正のアロステリック調節特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0038】
本発明の上記の方法においては、前記ケモカイン受容体が前記アンジオテンシン受容体と会合した状態で前記試験化合物が前記ケモカイン受容体と相互作用するか否か、及び/若しくはその程度を判定する工程、並びに/又は、前記アンジオテンシン受容体が前記ケモカイン受容体と会合した状態で前記試験化合物が前記アンジオテンシン受容体と相互作用するか否か、及び/若しくはその程度を判定する工程は、本出願人らによる同時係属中の国際特許出願第PCT/AU2007/001722号「検出システム及びその使用」(Detection System and Uses Therefor)(国際公開第2008/055313号パンフレットとして公開)に述べられる1以上の方法によって実施することができる。
【0039】
本発明の第20の態様では、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの選択的アゴニスト及び/又は選択的アンタゴニスト及び/又は選択的逆アゴニスト及び/又は選択的アロステリック調節因子が提供される。
【0040】
本発明の第21の態様では、ケモカイン受容体及びアンジオテンシン受容体の両方を過剰発現している細胞、又は細胞の画分が提供される。
【0041】
本発明の第22の態様では、ケモカイン受容体を過剰発現し、アンジオテンシン受容体を内因的に発現している細胞、又は細胞の画分が提供される。
【0042】
本発明の第23の態様では、アンジオテンシン受容体を過剰発現し、ケモカイン受容体を内因的に発現している細胞、又は細胞の画分が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、ケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との会合を検出した方法を説明する図である。図1は、分子の会合を検出するためのシステムの基礎をなす物質の構成を示す。すなわち、第1の物質は第1のレポーター要素と結合された第1の相互作用基からなり、第2の物質は第2のレポーター要素と結合された第2の相互作用基からなり、第3の物質は第3の相互作用基からなる。
【0044】
【図2】図2は、ケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との会合を検出した方法を説明する図である。図2は、調節因子の投与が第2の相互作用基の第3の相互作用基との会合を、好ましくは第3の相互作用基と、単独で、又は第1の相互作用基と同時に相互作用することによって調節する様子を示したものである。
【0045】
【図3】図3は、ケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との会合を検出した方法を説明する図である。図3は、第1の相互作用基と第3の相互作用基とが会合する場合、第2の相互作用基と第3の相互作用基との会合が調節されると第1のレポーター要素と第2のレポーター要素との近接が結果的に調節されることによって、検出器によって検出可能なシグナルが調節されることを示している。したがって、第1のレポーター要素と第2のレポーター要素とが近接することによって発生するシグナルを検出器によって監視することは、第1の物質と第3の物質との会合を監視することである。第1の相互作用基と第3の相互作用基とが会合していない場合には、第1のレポーター要素と第2のレポーター要素とは空間的に離間したままであり、検出可能なシグナルは発生しにくい。
【0046】
【図4】図4は、IG1としてCCケモカイン受容体5(CCR5)、RC1としてRluc8、IG2としてβ−アレスチン(barr2)、RC2としてのVenus、及びIG3としてヘマグルチニンエピトープでタグ標識されたAT1R(HA−AT1R)を示している。CCR5/Rluc8及びbarr2/VenusをHA−AT1Rとともに一過性に発現しているHEK293FT細胞を、10−7Mのマクロファージ炎症性タンパク質1β(MIP1β)又は10−6MのアンジオテンシンII(AngII)のいずれか一方のみ、又はMIP1β及びAngIIの両方によって処理した後、37℃におけるeBRETを測定した。これと並行して、CCR5/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに一過性に発現しているHEKFT293細胞を、10−6MのアンジオテンシンII(AngII)によって処理した後、37℃におけるeBRETを測定した。
【0047】
【図5】図5は、IG1としてCXCケモカイン受容体2(CXCR2)、RC1としてRluc8、IG2としてβ−アレスチン(barr2)、RC2としてのVenus、及びIG3としてヘマグルチニンエピトープでタグ標識されたAT1R(HA−AT1R)を示している。CXCR2/Rluc8及びbarr2/VenusをHA−AT1Rとともに一過性に発現しているHEK293FT細胞を、10−7Mのインターロイキン8(IL8)又は10−6MのアンジオテンシンII(AngII)のいずれか一方のみ、又はIL8及びAngIIの両方によって処理した後、37℃におけるeBRETを測定した。これと並行して、CXCR2/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに一過性に発現しているHEKFT293細胞を、10−6MのアンジオテンシンII(AngII)によって処理した後、37℃におけるeBRETを測定した。
【0048】
【図6】図6は、IG1としてCXCケモカイン受容体4(CXCR4)、RC1としてRluc8、IG2としてβ−アレスチン(barr2)、RC2としてのVenus、及びIG3としてヘマグルチニンエピトープでタグ標識されたAT1R(HA−AT1R)を示している。CXCR4/Rluc8及びbarr2/VenusをHA−AT1Rとともに一過性に発現しているHEK293FT細胞を、10−7Mの間質細胞由来因子−1α(SDF1α)又は10−6MのアンジオテンシンII(AngII)のいずれか一方のみ、又はSDF1α及びAngIIの両方によって処理した後、37℃におけるeBRETを測定した。これと並行して、CXCR4/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに一過性に発現しているHEKFT293細胞を、10−6MのアンジオテンシンII(AngII)によって処理した後、37℃におけるeBRETを測定した。
【0049】
【図7】図7は、IG1としてアンジオテンシン受容体1(AT1R)、RC1としてRluc8、IG2としてβ−アレスチン(barr2)、RC2としてのVenus、及びIG3としてCCケモカイン受容体2(CCR2)を示している。AT1R/Rluc8及びbarr2/VenusをCCR2とともに一過性に発現しているHEK293FT細胞を、10−7Mの単球走化性タンパク質−1(MCP1)又は10−6MのアンジオテンシンII(AngII)のいずれかによって処理した後、37℃におけるeBRETを測定した。これと並行して、AT1R/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに一過性に発現している細胞から、10−7Mの単球走化性タンパク質−1(MCP1)による処理の後、eBRETシグナルを測定した。
【0050】
【図8】図8は、IG1としてアンジオテンシン受容体2(AT2R)、RC1としてRluc8、IG2としてβ−アレスチン(barr2)、RC2としてのVenus、及びIG3としてCCケモカイン受容体2(CCR2)を示している。AT2R/Rluc8及びbarr2/VenusをCCR2とともに一過性に発現しているHEK293FT細胞を、10−7Mの単球走化性タンパク質−1(MCP1)又は10−6MのアンジオテンシンII(AngII)のいずれかによって処理した後、37℃におけるeBRETを測定した。これと並行して、AT2R/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに一過性に発現している細胞から、10−7Mの単球走化性タンパク質−1(MCP1)又は10−6MのアンジオテンシンII(AngII)のいずれかによる処理の後、eBRETシグナルを測定した。
【発明を実施するための形態】
【0051】
略語の表記
ACE アンジオテンシン変換酵素
AIDS 後天性免疫不全症候群
AngI アンジオテンシンIペプチド
AngII アンジオテンシンIIペプチド
AngIII アンジオテンシンIIIペプチド
ATR アンジオテンシン1型受容体
ATR アンジオテンシン2型受容体
barr β−アレスチン
BP 血圧
BRET 生物発光共鳴エネルギー移動
CB カンナビノイド受容体
CCL ケモカインリガンド
CCR CCケモカイン受容体
CXCR CXCケモカイン受容体
CSF 脳脊髄液
DOP δオピオイド
eBRET 長期BRET:長時間にわたって監視されたBRET
ECFP オワンクラゲ(Aequorea victoria)緑色蛍光タンパク質(GFP)の変異体である強化シアン蛍光タンパク質
EGFP 強化緑色蛍光タンパク質が、野生型GFPの赤方に偏移した変異体
EYFP 強化黄色蛍光タンパク質
FRET 蛍光共鳴エネルギー移動
GPCR Gタンパク質共役受容体
HA ヘマグルチニンエピトープタグ
His(6) 6個の連続したヒスチジン残基からなるヒスチジンタグ
HIV ヒト免疫不全ウイルス
HPA 視床下部−下垂体−副腎軸
IG 相互作用基
KOP κオピオイド
LPO 視床下部外側視索前野
mRFP1 単量体型の赤色蛍光タンパク質
MCP1 単球走化性タンパク質1
NPY ニューロペプチドY
OR オピオイド受容体
PBS リン酸緩衝食塩水
pcDNA3 真核細胞発現ベクター
PVN 室傍核
RC レポーター要素
REM 急速眼球運動
RET 共鳴エネルギー移動
Rluc ウミシイタケルシフェラーゼ
Rluc8 改良ウミシイタケルシフェラーゼ
SWS 徐波睡眠
TYFP トパーズ黄色蛍光タンパク質
Venus 改良黄色蛍光タンパク質
WT 野生型
【0052】
(発明を実施するための最良の態様)
総論
本明細書に引用する特許及び特許出願を含むすべての刊行物は、前出又は後出によらず、その全容を本明細書に援用するものである。しかしながら、本明細書で触れる刊行物は、当該刊行物において報告され、本発明に関連して使用することが可能なプロトコール、試薬、及びベクターを説明、開示する目的で引用するものである。本明細書の一切の記載内容は、先行の発明のために本発明がこうした開示に先行するものとはならないことを容認するものとして解釈されてはならない。
【0053】
更に、特に断らないかぎり本発明の実施においては、当業者の技術の範囲内にある従来の分子生物学、化学及び蛍光法を用いている。こうした技術は当業者には周知のものであり、文献に詳細に説明されている。例えば、蛍光法については、
Coligan, Dunn, Ploegh, Speicher and Wingfield “Current protocols in Protein Science” (1999) Volume I and II (John Wiley & Sons Inc.); 及びBailey, J.E. and Ollis, D.F., Biochemical Engineering Fundamentals, McGraw−Hill Book Company, NY, 1986; Lakowicz, J. R. Principles of Fluorescence Spectroscopy, New York : Plenum Press (1983) を参照されたい。
【0054】
本明細書及び付属の特許請求の範囲において用いるところの単数形「a」、「an」及び「the」は、特に文脈において明確に規定されないかぎりは複数のものを含む。したがって例えば、「a protein」といった場合には複数のこうしたタンパク質を含むものであり、「an analyte」といった場合には1以上の検体を指す、といった要領である。
【0055】
特に定義されないかぎりは、本明細書において用いる技術的及び科学的用語はすべて、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有するものである。本明細書において述べるものと同様又は同等のあらゆる材料及び方法を本発明を実施又は試験するうえで使用することができるが、好ましい材料及び方法については以下に述べる。
【0056】
本明細書で述べる発明には1以上の値の範囲が含まれうる(例えば、サイズ、濃度など)。ある値の範囲は、その範囲を規定する値、及びその範囲の境界を規定する値のごく近傍の値と同じか又は実質的に同じ結果をもたらすその範囲の近傍の値を含む、その範囲内のすべての値を含むものとして理解される。
【0057】
本明細書の全体を通じて、文脈上特に必要とされないかぎりは、「comprise」なる単語、又は「comprises」若しくは「comprising」などのその変化形は、記載される整数又は整数群を含むことを示唆するものとして理解されるが、他の任意の整数又は整数群を除外することを示唆するものではない。
【0058】
各論
上記の本発明の概要より明らかであるように、本発明は、少なくとも1個のケモカイン受容体サブユニットが少なくとも1個のアンジオテンシン受容体サブユニットと会合してなるヘテロ二量体又はヘテロオリゴマー受容体に関する。本明細書で用いるところの「ヘテロ二量体」及び「ヘテロオリゴマー」なる用語、並びに「ヘテロ二量体の」及び「ヘテロオリゴマーの」といったその変化形は、少なくとも1個のケモカイン受容体が少なくとも1個のアンジオテンシン受容体と会合したもののことを指す。
【0059】
本明細書で用いるところの「会合した」なる語句は、任意の公知の直接的若しくは間接的な、安定化をもたらす原子若しくは分子レベルの相互作用又はそれらの任意の組み合わせを介した結合のことを指すものであり、こうした相互作用としては、これらに限定されるものではないが、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合若しくは他の任意の分子結合相互作用などの結合相互作用、静電相互作用、極性若しくは疎水性相互作用、又は他の任意の古典力学的若しくは量子力学的な安定化をもたらす原子若しくは分子相互作用が挙げられる。
【0060】
ヘテロ二量体の異なるレパートリーを有する異なる組織の例がこれまでに報告されている。例えば、よく知られたKOP受容体リガンドの類似体である6’−グアニジノアルトリンドールが、脊髄選択的な鎮痛剤としての薬効を有するDOP−KOPヘテロ二量体に選択的なアゴニストとして同定されており、DOP−KOPヘテロ二量体が脊髄において発現されるが、脳では発現されないという結論が導かれている(Waldhoer, M. et al. (2005) A hetero−dimer selective agonist shows in vivo relevance of G−protein coupled receptor dimers. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102:9050−9055)。したがって、少なくとも1個のケモカイン受容体サブユニットが少なくとも1個のアンジオテンシン受容体サブユニットと会合したヘテロ二量体又はヘテロオリゴマー受容体は新規な標的薬物を代表するものである。
【0061】
6’−グアニジノアルトリンドールの場合におけるように、既知のリガンドがヘテロ二量体受容体を活性化させる異なる能力を示す場合があり、これにより既存の分子の新たな用途が見出される可能性がある。
−ヒライレットら(Hilairet S. et al. 2003 (J. Biol. Chem. 278:23731−23737))により、CB1アンタゴニストがCB1/OxR1のヘテロ二量体のペアによって作用することにより食欲を抑制することが最近になって示されている。
−ソマトスタチンSSTR5受容体がドーパミンD2受容体と二量体化することが示されている(Rocheville M. et al. (2000) Science 288:154−157)。
【0062】
以下の例から明らかとなるように、本発明者らは本明細書においてケモカイン受容体のアンジオテンシン受容体との分子会合を特定及び特性決定したものである。
【0063】
ケモカイン受容体のアンジオテンシン受容体との会合は、一方の受容体のリガンド(アゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニスト)を含む(ただしこれらに限定されない)一方の受容体に関連した化合物を、他方の受容体に関連した疾患の治療に使用することを可能とするものであることは当業者にとっては明らかであろう。
【0064】
したがって、本発明には、ケモカイン受容体関連化合物の治療上の有効量を投与することによるアンジオテンシン関連疾患を有する患者の治療方法が含まれる。
【0065】
「ケモカイン受容体関連化合物」なる語句は、ケモカインを含むがこれに限定されない、ケモカイン受容体と相互作用する化合物、又はケモカイン受容体と相互作用する化合物と結合する化合物のことを意味するものとして理解されるべきである。
【0066】
本発明の一形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物は、ケモカイン受容体のアゴニスト、逆アンタゴニスト又はアンタゴニストである。
【0067】
一実施形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物は、ケモカイン受容体のアロステリック調節因子である。
【0068】
一実施形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物は、ケモカイン結合性物質、又はそのケモカイン結合性フラグメントである。
【0069】
一実施形態では、前記ケモカイン結合性物質は、ヒト化抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDRグラフト化抗体、及び/又は抗イディオタイプ抗体を含む抗体である。
【0070】
一実施形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物はアンジオテンシン受容体と比較してケモカイン受容体に対して選択的である。本発明の一形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物はアンジオテンシン受容体と比較してケモカイン受容体に対して少なくとも10倍選択的である。本発明の一形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物はアンジオテンシン受容体と比較してケモカイン受容体に対して少なくとも100倍選択的である。本発明の一形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物はアンジオテンシン受容体と比較してケモカイン受容体に対して少なくとも1,000倍選択的である。
【0071】
ケモカイン結合性物質又はそのケモカイン結合性フラグメントであるケモカイン受容体関連化合物との関連において、「アンジオテンシン受容体と比較してケモカイン受容体に対して選択的」なる語句は、ケモカイン結合性物質又はそのケモカイン結合性フラグメントがアンジオテンシンと比較してケモカインと選択的に結合することを意味するものとして理解されるべきである。
【0072】
一実施形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物はアンジオテンシン受容体関連化合物と同時投与される。
【0073】
「アンジオテンシン受容体関連化合物」なる語句は、アンジオテンシン受容体と相互作用する化合物、アンジオテンシンを含むがこれに限定されない、アンジオテンシン受容体と相互作用する化合物と結合する化合物、又はアンジオテンシンを含むがこれに限定されない、アンジオテンシン受容体と相互作用する化合物の産生を調節する化合物を意味するものとして理解されるべきである。
【0074】
一実施形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物は、アンジオテンシン受容体のアゴニスト、逆アゴニスト、又はアンタゴニストである。
【0075】
一実施形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物は、アンジオテンシン受容体のアロステリック調節因子である。
【0076】
一実施形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物はアンジオテンシンの産生を調節する。
【0077】
一実施形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物は、アンジオテンシン結合性物質又はそのアンジオテンシン結合性フラグメントである。
【0078】
一実施形態では、前記アンジオテンシン結合性物質は、ヒト化抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDRグラフト化抗体、及び/又は抗イディオタイプ抗体を含む抗体である。
【0079】
本発明には更に、アンジオテンシン受容体関連化合物の治療上の有効量を投与することによる、ケモカイン関連疾患を有する患者の治療方法が含まれる。
【0080】
一実施形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物は、アンジオテンシン受容体のアゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストである。
【0081】
一実施形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物は、アンジオテンシン受容体のアロステリック調節因子である。
【0082】
本発明の一形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物は、アンジオテンシンの産生を調節する化合物である。
【0083】
本発明の一形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物は、アンジオテンシン結合性物質又はそのアンジオテンシン結合性フラグメントである。
【0084】
一実施形態では、前記アンジオテンシン結合性物質は、ヒト化抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDRグラフト化抗体、及び/又は抗イディオタイプ抗体を含む抗体である。
【0085】
一実施形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物は、ケモカイン受容体と比較してアンジオテンシン受容体に対して選択的である。
【0086】
本発明の一形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物はケモカイン受容体と比較してアンジオテンシン受容体に対して少なくとも10倍選択的である。本発明の一形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物はケモカイン受容体と比較してアンジオテンシン受容体に対して少なくとも100倍選択的である。本発明の一形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物はケモカイン受容体と比較してアンジオテンシン受容体に対して少なくとも1,000倍選択的である。
【0087】
アンジオテンシン受容体と相互作用する化合物の産生を調節するアンジオテンシン受容体関連化合物との関連において、「ケモカイン受容体と比較してアンジオテンシン受容体に対して選択的である」なる語句は、当該化合物が、ケモカインの産生を調節するよりも大きな程度でアンジオテンシン受容体と相互作用する化合物の産生を調節することを意味するものとして理解されるべきである。
【0088】
アンジオテンシン結合性物質又はそのアンジオテンシン結合性フラグメントであるアンジオテンシン受容体関連化合物との関連において、「ケモカイン受容体と比較してアンジオテンシン受容体に対して選択的である」なる語句は、アンジオテンシン結合性物質又はそのアンジオテンシン結合性フラグメントが、ケモカインと比較してアンジオテンシンと選択的に結合することを意味するものとして理解されるべきである。
【0089】
一実施形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物はケモカイン受容体関連化合物と同時投与される。
【0090】
本発明の一形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物は、ケモカイン受容体のアゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストである。
【0091】
一実施形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物は、ケモカイン受容体のアロステリック調節因子である。
【0092】
一実施形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物は、ケモカイン結合性物質又はそのケモカイン受容体結合性フラグメントである。
【0093】
一実施形態では、前記ケモカイン結合性物質は、ヒト化抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDRグラフト化抗体、及び/又は抗イディオタイプ抗体を含む抗体である。
【0094】
本発明には更に、ケモカイン受容体関連化合物の治療上の有効量を投与することによる、アンジオテンシン関連疾患を有する患者の治療用の薬剤の製造方法が含まれる。
【0095】
本発明の一形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物は、ケモカイン受容体のアゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストである。
【0096】
一実施形態では、前記薬剤はアンジオテンシン受容体関連化合物を含有する。
【0097】
本発明の一形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物は、アンジオテンシン受容体のアゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストである。
【0098】
本発明には更に、アンジオテンシン受容体関連化合物の治療上の有効量を投与することによる、ケモカイン受容体関連疾患を有する患者の治療用の薬剤の製造方法が含まれる。
【0099】
本発明の一形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物は、アンジオテンシン受容体のアゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストである。
【0100】
一実施形態では、前記薬剤はケモカイン受容体関連化合物を含有する。
【0101】
本発明の一形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物は、ケモカイン受容体のアゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストである。
【0102】
したがって、本発明には、ケモカイン選択的結合性物質又はそのフラグメントの治療上の有効量を投与することによる、アンジオテンシン関連疾患を有する患者の治療法が含まれる。
【0103】
前記ケモカイン選択結合性物質は、ヒト化抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDRグラフト化抗体、及び/又は抗イディオタイプ抗体を含む抗体であってよい。
【0104】
本発明には更に、アンジオテンシン選択結合性物質又はそのフラグメントの治療上の有効量を投与することによる、ケモカイン関連疾患を有する患者の治療方法が含まれる。
【0105】
前記アンジオテンシン選択結合性物質は、ヒト化抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDRグラフト化抗体、及び/又は抗イディオタイプ抗体を含む抗体であってよい。
【0106】
本発明には更に、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの選択的アゴニスト、選択的逆アゴニスト、選択的部分アゴニスト、選択的アンタゴニスト、又は選択的アロステリック調節因子などの前記ヘテロ二量体/オリゴマーと選択的に相互作用する他の分子の治療上の有効量を投与することによる、ケモカイン関連疾患又はアンジオテンシン関連疾患を有する患者の治療方法が含まれる。
【0107】
本発明には更に、ケモカイン関連疾患又はアンジオテンシン関連疾患を有する患者の治療用の薬剤の製造における、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの選択的アゴニスト、選択的逆アゴニスト、選択的アンタゴニスト、又は選択的アロステリック調節因子などの前記ヘテロ二量体/オリゴマーと選択的に相互作用する他の分子の治療上の有効量の使用が含まれる。
【0108】
本発明の一形態では、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの選択的アゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト、又は、アロステリック調節因子などの前記ヘテロ二量体/オリゴマーと選択的に相互作用する他の分子は、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して少なくとも10倍選択的である。本発明の一形態では、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの選択的アゴニスト、逆アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、又は、アロステリック調節因子などの前記ヘテロ二量体/オリゴマーと選択的に相互作用する分子は、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して少なくとも100倍選択的である。本発明の一形態では、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの選択的アゴニスト、逆アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、又は、アロステリック調節因子などの前記ヘテロ二量体/オリゴマーと選択的に相互作用する分子は、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して少なくとも1,000倍選択的である。
【0109】
本発明には更に、選択的なアンジオテンシン受容体/ケモカイン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニスト、選択的逆アゴニスト、選択的部分アゴニスト、選択的アンタゴニスト、又は選択的アロステリック調節因子などの前記ヘテロ二量体/オリゴマーと選択的に相互作用する他の分子の治療上の有効量を投与することによる、ケモカイン関連疾患を有する患者の治療方法が含まれる。
【0110】
一実施形態では、前記選択的なアンジオテンシン受容体/ケモカイン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニスト、選択的逆アゴニスト、選択的部分アゴニスト、選択的アンタゴニスト、又は選択的アロステリック調節因子などの前記ヘテロ二量体/オリゴマーと選択的に相互作用する他の分子は、ケモカイン受容体関連化合物と同時投与される。
【0111】
一実施形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物は、ケモカイン受容体アゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストである。
【0112】
一実施形態では、前記選択的なアンジオテンシン受容体/ケモカイン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニスト、選択的逆アゴニスト、選択的部分アゴニスト、選択的アンタゴニスト、又は選択的アロステリック調節因子などの前記ヘテロ二量体/オリゴマーと選択的に相互作用する他の分子は、アンジオテンシン受容体関連化合物と同時投与される。
【0113】
一実施形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物は、アンジオテンシン受容体のアゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストである。
【0114】
本発明には更に、選択的なアンジオテンシン受容体/ケモカイン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニスト、選択的逆アゴニスト、選択的部分アゴニスト、選択的アンタゴニスト、又は選択的アロステリック調節因子などの前記ヘテロ二量体/オリゴマーと選択的に相互作用する他の分子の治療上の有効量を投与することによる、アンジオテンシン関連疾患を有する患者の治療方法が含まれる。
【0115】
一実施形態では、前記選択的なアンジオテンシン受容体/ケモカイン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニスト、選択的逆アゴニスト、選択的部分アゴニスト、選択的アンタゴニスト、又は選択的アロステリック調節因子などの前記ヘテロ二量体/オリゴマーと選択的に相互作用する他の分子は、ケモカイン受容体関連化合物と同時投与される。
【0116】
一実施形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物は、ケモカイン受容体アゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストである。
【0117】
一実施形態では、前記選択的なアンジオテンシン受容体/ケモカイン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニスト、選択的逆アゴニスト、選択的部分アゴニスト、選択的アンタゴニスト、又は選択的アロステリック調節因子などの前記ヘテロ二量体/オリゴマーと選択的に相互作用する他の分子は、アンジオテンシン受容体関連化合物と同時投与される。
【0118】
一実施形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物は、アンジオテンシンアゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストである。
【0119】
本発明には更に、選択的なアンジオテンシン受容体/ケモカイン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストの治療上の有効量の使用を含む、ケモカイン関連疾患を有する患者の治療用の薬剤の製造方法が含まれる。
【0120】
本発明には更に、選択的なアンジオテンシン受容体/ケモカイン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニスト、選択的逆アゴニスト、選択的部分アゴニスト、選択的アンタゴニスト、又は選択的アロステリック調節因子などの前記ヘテロ二量体/オリゴマーと選択的に相互作用する他の分子の治療上の有効量の使用を含む、ケモカイン関連疾患を有する患者の治療用の薬剤の製造方法が含まれる。
【0121】
一実施形態では、前記薬剤はアンジオテンシン受容体関連化合物を含有する。一実施形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物は、アンジオテンシンアゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストである。
【0122】
一実施形態では、前記薬剤はケモカイン受容体関連化合物を含有する。一実施形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物は、ケモカイン受容体アゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストである。
【0123】
本発明には更に、選択的なアンジオテンシン受容体/ケモカイン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストの治療上の有効量の使用を含む、アンジオテンシン関連疾患を有する患者の治療用の薬剤の製造方法が含まれる。
【0124】
本発明には更に、選択的なアンジオテンシン受容体/ケモカイン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニスト、選択的逆アゴニスト、選択的部分アゴニスト、選択的アンタゴニスト、又は選択的アロステリック調節因子などの前記ヘテロ二量体/オリゴマーと選択的に相互作用する他の分子の治療上の有効量の使用を含む、アンジオテンシン関連疾患を有する患者の治療用の薬剤の製造方法が含まれる。
【0125】
一実施形態では、前記薬剤はアンジオテンシン受容体関連化合物を含有する。一実施形態では、前記アンジオテンシン受容体関連化合物は、ケモカイン受容体アゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストである。
【0126】
一実施形態では、前記薬剤はケモカイン受容体関連化合物を含有する。一実施形態では、前記ケモカイン受容体関連化合物は、ケモカイン受容体アゴニスト、逆アゴニスト又はアンタゴニストである。
【0127】
ケモカイン関連疾患には、ケモカインの産生の増加又は減少、及び/又はケモカインに対する細胞の応答性の増加又は減少に関連する疾患が含まれる。ケモカイン関連疾患とは更に、ケモカイン受容体が異常特性を示すか、ケモカイン受容体が特定の病原体の標的となるか、あるいはケモカイン受容体が薬理学的介入の標的となるような状態のことも意味するものとして理解されるべきである。以下に列記するものは、ケモカイン関連疾患の幾つかの例を示すものである。
−HIV感染及びAIDS発症
−虚血再潅流傷害
−アテローム発生
−慢性閉塞性肺疾患
−喘息及びアレルギー
−腎疾患
−リウマチ性関節炎
【0128】
しかしながら「ケモカイン関連介入」なる語句、及び「ケモカイン関連疾患」なる語句はこれらに限定されるものではない点は理解されるべきである。
【0129】
公知のCCケモカイン受容体関連化合物としては、CCケモカインリガンド1(CCL1)、CCケモカインリガンド2(CCL2;単球走化性タンパク質−1(MCP−1)としても知られる)、CCケモカインリガンド3(CCL3;マクロファージ炎症性タンパク質−1α(MIP−1α)としても知られる)、CCケモカインリガンド4(CCL4;マクロファージ炎症性タンパク質−1β(MIP−1β)としても知られる)、CCケモカインリガンド5(CCL5;RANTESとしても知られる)、CCケモカインリガンド6(CCL6)、CCケモカインリガンド7(CCL7;単球走化性タンパク質−3(MCP−3)としても知られる)、CCケモカインリガンド8(CCL8;単球走化性タンパク質−2(MCP−2)としても知られる)、CCケモカインリガンド9(CCL9;マクロファージ炎症性タンパク質−1γ(MIP−1γ)又はCCL10としても知られる)、CCケモカインリガンド11(CCL11;エオタキシン−1としても知られる)、CCケモカインリガンド12(CCL12;単球走化性タンパク質−5(MCP−5)としても知られる)、CCケモカインリガンド13(CCL13)、CCケモカインリガンド14(CCL14;HCC−1としても知られる)、CCケモカインリガンド15(CCL15;マクロファージ炎症性タンパク質−5(MIP−5)、又はHCC−2としても知られる)、CCケモカインリガンド16(CCL16;肝臓発現ケモカイン(LEC)、又はモノタクチン−1(MTN−1)としても知られる)、CCケモカインリガンド17(CCL17;胸腺及び活性化調節ケモカイン(TARC)としても知られる)、CCケモカインリガンド18(CCL18;肺及び活性化調節ケモカイン(PARC)としても知られる)、CCケモカインリガンド19(CCL19;マクロファージ炎症性タンパク質−3β(MIP−3β)又はEB/1リガンドケモカイン(ELC)としても知られる)、CCケモカインリガンド20(CCL20;マクロファージ炎症性タンパク質−3α(MIP−3α)、又は肝臓活性化調節ケモカイン(LARC)としても知られる)、CCケモカインリガンド21(CCL21;6Cカイン、又はエクソダス−2、又は二次リンパ組織ケモカイン(SLC)としても知られる)、CCケモカインリガンド22(CCL22)、CCケモカインリガンド23(CCL23;マクロファージ炎症性タンパク質−3(MIP−3)、又は骨髄前駆細胞阻害因子−1(MPIF−1)としても知られる)、CCケモカインリガンド24(CCL24;骨髄前駆細胞阻害因子−2(MPIF−2)、又はエオタキシン−2としても知られる)、CCケモカインリガンド25(CCL25;胸腺発現ケモカイン(TECK)としても知られる)、CCケモカインリガンド26(CCL26;マクロファージ炎症性タンパク質−4α(MIP−4α)、又はエオタキシン−3、又は(IMAC)としても知られる)、CCケモカインリガンド27(CCL27;IL−11R−α−ローカスケモカイン(ILC)、又はスキンカイン、又はエスカイン、又は皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)としても知られる)、及びCCケモカインリガンド28(CCL28;粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、又はCCK1、又はSCYA28としても知られる)、マラビロク(CCR5)、アプラビロク(CCR5)、ビクリビロク(CCR5)が挙げられる。
【0130】
公知のCXCケモカイン受容体関連化合物としては、CXCケモカインリガンド1(CXCL1;好中球活性化タンパク質−3(NAP−3)、又はメラノーマ増殖刺激活性−α(MSGA−α)としても知られる)、CXCケモカインリガンド2(CXCL2;マクロファージ炎症性タンパク質−2α(MIP−2α)、又は増殖調節タンパク質β(Gro−β)としても知られる)、CXCケモカインリガンド3(CXCL3;マクロファージ炎症性タンパク質−2β(MIP−2β)としても知られる)、CXCケモカインリガンド4(CXCL4;血小板因子−4(PF4)としても知られる)、CXCケモカインリガンド5(CXCL5;上皮由来好中球活性化ペプチド−78(ENA−78)としても知られる)、CXCケモカインリガンド6(CXCL6;顆粒球走化性タンパク質−2(GCP−2)としても知られる)、CXCケモカインリガンド7(CXCL7;血小板前駆体塩基性タンパク質(PPBP)としても知られる)、CXCケモカインリガンド8(CXCL8;インターロイキン−8(IL−8)としても知られる)、CXCケモカインリガンド9(CXCL9;IFNγ誘導性モノカイン(MIG)としても知られる)、CXCケモカインリガンド10(CXCL10;10kDa IFNγ誘導性モノカイン(γ−IP10)又はIP−10としても知られる)、CXCケモカインリガンド11(CXCL11;IFN誘導性T細胞αケモアトラクタント(I−TAC)、又はIFNγ誘導性タンパク質−9(IP−9)としても知られる)、CXCケモカインリガンド12(CXCL12;間質細胞由来因子−1(SDF−1)としても知られる)、CXCケモカインリガンド13(CXCL13;Bリンパ球ケモアトラクタント(BLC)としても知られる)、CXCケモカインリガンド14(CXCL14;乳房及び腎臓発現ケモカイン(BRAK)としても知られる)、CXCケモカインリガンド15(CXCL15;ラングカインとしても知られる)、CXCケモカインリガンド16(CXCL16)、CXCケモカインリガンド17(CXCL17;VEGF同時調節ケモカイン−1(VCC−1)、又は樹状細胞及び単球誘引ケモカイン様タンパク質(DMC)としても知られる)が挙げられる。CX3ケモカインリガンド1(CX3CL1;フラクタルカイン又はニューロタクチンとしても知られる)。XCケモカインリガンド1(XCL1:リンフォタクチンとしても知られる)、及びXCケモカインリガンド2(XCL2)。
【0131】
ケモカイン受容体の公知のアンタゴニストとしては、レパタキシン(Repertaxin)(CXCR2)、TAK−779(CCR5)、TAK−220(CCR5)、TAK−652(CCR5)、AK692(CCR5)、CMPD167(CCR5)、BX−471(CCR1)、AMD3100(CXCR4)、AMD11070(CXCR4)、FC131(CXCR4)、MLN3897(CCR1)、CP−481715(CCR1)、GW−873140(CCR5)、プロパゲルマニウム(GE−132)(CCR2)、レスベラトロール(CCR2)、BMS CCR222(CCR2)、RS 102895(CCR2)、RS 504393(CCR2)、SB 225002(CXCR2)及びSB 265610(CXCR2)が挙げられる。
【0132】
アンジオテンシン関連疾患としては、アンジオテンシンの産生の増加又は減少、及び/又はアンジオテンシンに対する細胞の応答性の増加又は減少に関連する疾患が含まれる。以下に列記するものは、アンジオテンシンシステムの調節不全に起因するものとして提唱されているか、あるいはアンジオテンシンに基づいた介入を用いて治療することが可能と考えられる多くの状態である。
−慢性心不全、
−アテローム性動脈硬化/虚血
−高血圧
−高カリウム血症
−子癇前症
−糖尿病
−糖尿病性網膜症
−サルコイドーシス
−アルツハイマー病
【0133】
しかしながら、アンジオテンシン関連疾患なる語句はこれらに限定されるものではない点は理解されるべきである。
【0134】
公知のアンジオテンシン受容体関連化合物としては、アンジオテンシンII(AngII)及びアンジオテンシンIII(AngIII)が挙げられる。公知のATRのアンタゴニストとしては、CGP−42112A(ATRアンタゴニスト;シグマ社(Sigma)#C−160)、エプロサルタン(ATR;市販名:Teveten(登録商標)、アボット・ラボラトリーズ・ユー・エス・エー社(Abbott Laboratories USA))、ロサルタン(ATR;市販名:Cozaar(登録商標)、メルク社(Merk & Co))、バルサルタン(ATR;市販名:Diovan(登録商標)、ノバルティス社(Novartis))、テルミサルタン(ATR;市販名:Micardis(登録商標)、ベーリンガー・インゲルハイム社(Boehringer Ingelheim))、イルベサルタン(ATR;市販名:Avapro(登録商標)、サノフィ・アベンティス社(Sanofi Aventis))、オルメサルタン(ATR;市販名:Benicar(登録商標)、第一三共株式会社)、PD123319(ATR;Tocris)、ZD−7115(ATR)、サララシン((Sar−Ala)AngII)、サルスラン((Sar−Thr)AngII)、及びDuP753(ATR)が挙げられる。
【0135】
本発明の新規なヘテロ二量体の発見は、特定の実験的観察に一定の解釈を与えるものである。
【0136】
AngIIがラットの糸球体内皮細胞にケモカインの発現を誘導する能力が、腎疾患の発症に関して研究されている(Wolf et al. (1997) Angiotensin II stimulates expression of the chemokine RANTES in rat glomerular endothelial cells. Role of the angiotensin type 2 receptor. J Clin Invest 100:1047−1058)。AngII処理によって、ケモカインRANTESのmRNA及びタンパク質の発現が増大し、これにともなって単球の動員が増大した。これらの作用は、AngIIとともにATR特異的アンタゴニストを投与した場合に抑制され、この受容体サブタイプが報告された観察結果を媒介したことを示唆している。同様に、腎細胞及び単球のAngIII処理により、MCP−1のmRNA及びタンパク質の発現が増大し、培養細胞からの上清においてもマクロファージによる走化性反応が認められた(Ruiz−Ortega, M. (2000) Angiotensin III increases MCP−1 and activates NF−kappaB and AP−1 in cultured mesangial and mononuclear cells. Kidney International 57:2285−2298)。更にAngIIIは、MCP−1の発現の上昇に必要とされる転写因子NF−κBを活性化した。AngIII処理の3日後、ラットは、腎臓におけるTNFα及びMCP−1の発現が増大し、これもやはりNF−κB活性及び腎組織へのマクロファージの動員の増大との相関が認められた(Ruiz−Ortega, M. (2002) Angiotensin II regulates the synthesis of proinflammatory cytokines and chemokines in the kidney. Kidney International Supplementary: 12−22)。
【0137】
最後に、腎傷害の発生に対するCCR2bの寄与について、高血圧の塩感受性AngIIモデルにおいて評価を行った(Elmarakby, A. (2007) Chemokine Receptor 2b Inhibition Provides Renal Protection in Angiotensin II Salt Hypertension. Hypertension 50:1069−1076)。AngII及び高塩濃度の食餌を投与した高感受性の動物は、更にCCR2bアンタゴニスト(RS102895)で処理した動物と同等の血圧を示したが、マクロファージの浸潤の増大をともなう大幅に高いNF−κB及びTNDαの発現レベルを示した。著者は、CCR2bアンタゴニストは炎症反応を低減させることによって高血圧において腎臓を保護すると結論づけている。
【0138】
高血圧及びアテローム性動脈硬化症の発症に関し、研究者によってCCR2受容体を欠いたマウス系統(CCR2−/−)を用いてマクロファージの浸潤の媒介におけるこの受容体の役割の評価が行われている(Bush, E. (2000) CC chemokine receptor 2 is required for macrophage infiltration and vascular hypertrophy in angiotensin II−induced hypertension. Hypertension 36:360−363)。高血圧を誘導するためにAngII処理を行った7日後、CCR2−/−マウスでは、野生型の動物と比較してマクロファージの動員が大幅に低く、血管肥大が低いことが判明した。ヒトにおけるアテローム性動脈硬化症の表現型を反映したアポリポタンパク質E欠損マウスモデルを用い、アテローム性動脈硬化症の治療におけるATRアンタゴニストの有用な作用をもたらす機序が調べられている(Dol, F. (2001) Angiotensin AT receptor antagonist irbesartan decreases lesion size, chemokine expression, and macrophage accumulation in apolipoprotein E−deficient mice. Journal Cardiovascular Pharmacology 38:395−405)。アンタゴニストで処理した動物では12週後に病変部のサイズが縮小し、更にMCP−1及びMIP−1αのmRNAの発現レベルが大幅に低下していた。
【0139】
ケモカインの放出、NF−κβ活性、及びATRの発現に対するACE阻害剤ラミプリラートの影響がAngII処理した単球において測定されている(Schmeisser, A. (2004) ACE inhibition lowers angiotensin II−induced chemokine expression by reduction of NF−kappaB activity and AT1 receptor expression. Biochem Biophys Res Commun 325:532−540)。AngIIによって媒介されるMIP−1及びインターロイキン−8ケモカインのアップレギュレーションは、ATR特異的アンタゴニスト(ロサルタン)によって阻害されたが、ATRアンタゴニストによっては阻害されなかった。これに対してラミプリラートはAngIIによって誘導されるMIP−1のアップレギュレーションも抑制し、NF−κB活性のダウンレギュレーション及びそれにともなうATRの発現の低下との相関が認められた。更に、AngIIに応じてマクロファージの浸潤を阻害するCXCR2アンタゴニストの能力は、アテローム性動脈硬化症との関連においても示されている(Abu Nabah, Y. (2007) CXCR2 blockade impairs angiotensin II−induced CC chemokine synthesis and mononuclear leukocyte infiltration. Arterioscler Thromb Vasc Biol 27:2370−2376)。AngIIの腹腔内投与によって、CC及びCXCケモカインレベルが上昇した後、白血球の浸潤が認められたが、CXCR2アンタゴニストの存在下では抑制された。白血球の浸潤はロサルタンによっても阻害され、AngIIの作用がATRによって媒介されることが示された。
【0140】
一実施形態において、本発明は、これらに限定されるものではないが、CCケモカインリガンド1(CCL1)、CCケモカインリガンド2(CCL2;単球走化性タンパク質−1(MCP−1)としても知られる)、CCケモカインリガンド3(CCL3;マクロファージ炎症性タンパク質−1α(MIP−1α)としても知られる)、CCケモカインリガンド4(CCL4;マクロファージ炎症性タンパク質−1β(MIP−1β)としても知られる)、CCケモカインリガンド5(CCL5;RANTESとしても知られる)、CCケモカインリガンド6(CCL6)、CCケモカインリガンド7(CCL7;単球走化性タンパク質−3(MCP−3)としても知られる)、CCケモカインリガンド8(CCL8;単球走化性タンパク質−2(MCP−2)としても知られる)、CCケモカインリガンド9(CCL9;マクロファージ炎症性タンパク質−1γ(MIP−1γ)又はCCL10としても知られる)、CCケモカインリガンド11(CCL11;エオタキシン−1としても知られる)、CCケモカインリガンド12(CCL12;単球走化性タンパク質−5(MCP−5)としても知られる)、CCケモカインリガンド13(CCL13)、CCケモカインリガンド14(CCL14;HCC−1としても知られる)、CCケモカインリガンド15(CCL15;マクロファージ炎症性タンパク質−5(MIP−5)、又はHCC−2としても知られる)、CCケモカインリガンド16(CCL16;肝臓発現ケモカイン(LEC)、又はモノタクチン−1(MTN−1)としても知られる)、CCケモカインリガンド17(CCL17;胸腺及び活性化調節ケモカイン(TARC)としても知られる)、CCケモカインリガンド18(CCL18;肺及び活性化調節ケモカイン(PARC)としても知られる)、CCケモカインリガンド19(CCL19;マクロファージ炎症性タンパク質−3β(MIP−3β)又はEB/1リガンドケモカイン(ELC)としても知られる)、CCケモカインリガンド20(CCL20;マクロファージ炎症性タンパク質−3α(MIP−3α)、又は肝臓活性化調節ケモカイン(LARC)としても知られる)、CCケモカインリガンド21(CCL21;6Cカイン、又はエクソダス−2、又は二次リンパ組織ケモカイン(SLC)としても知られる)、CCケモカインリガンド22(CCL22)、CCケモカインリガンド23(CCL23;マクロファージ炎症性タンパク質−3(MIP−3)、又は骨髄前駆細胞阻害因子−1(MPIF−1)としても知られる)、CCケモカインリガンド24(CCL24;骨髄前駆細胞阻害因子−2(MPIF−2)、又はエオタキシン−2としても知られる)、CCケモカインリガンド25(CCL25;胸腺発現ケモカイン(TECK)としても知られる)、CCケモカインリガンド26(CCL26;マクロファージ炎症性タンパク質−4α(MIP−4α)、又はエオタキシン−3、又は(IMAC)としても知られる)、CCケモカインリガンド27(CCL27;IL−11R−α−ローカスケモカイン(ILC)、又はスキンカイン、又はエスカイン、又は皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)としても知られる)、CCケモカインリガンド28(CCL28;粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、又はCCK1、又はSCYA28としても知られる)、CXCケモカインリガンド1(CXCL1;好中球活性化タンパク質−3(NAP−3)、又はメラノーマ増殖刺激活性−α(MSGA−α)としても知られる)、CXCケモカインリガンド2(CXCL2;マクロファージ炎症性タンパク質−2α(MIP−2α)、又は増殖調節タンパク質β(Gro−β)としても知られる)、CXCケモカインリガンド3(CXCL3;マクロファージ炎症性タンパク質−2β(MIP−2β)としても知られる)、CXCケモカインリガンド4(CXCL4;血小板因子−4(PF4)としても知られる)、CXCケモカインリガンド5(CXCL5;上皮由来好中球活性化ペプチド−78(ENA−78)としても知られる)、CXCケモカインリガンド6(CXCL6;顆粒球走化性タンパク質−2(GCP−2)としても知られる)、CXCケモカインリガンド7(CXCL7;血小板前駆体塩基性タンパク質(PPBP)としても知られる)、CXCケモカインリガンド8(CXCL8;インターロイキン−8(IL−8)としても知られる)、CXCケモカインリガンド9(CXCL9;IFNγ誘導性モノカイン(MIG)としても知られる)、CXCケモカインリガンド10(CXCL10;10kDa IFNγ誘導性モノカイン(γ−IP10)又はIP−10としても知られる)、CXCケモカインリガンド11(CXCL11;IFN誘導性T細胞αケモアトラクタント(I−TAC)、又はIFNγ誘導性タンパク質−9(IP−9)としても知られる)、CXCケモカインリガンド12(CXCL12;間質細胞由来因子−1(SDF−1)としても知られる)、CXCケモカインリガンド13(CXCL13;Bリンパ球ケモアトラクタント(BLC)としても知られる)、CXCケモカインリガンド14(CXCL14;乳房及び腎臓発現ケモカイン(BRAK)としても知られる)、CXCケモカインリガンド15(CXCL15;ラングカインとしても知られる)、CXCケモカインリガンド16(CXCL16)、CXCケモカインリガンド17(CXCL17;VEGF同時調節ケモカイン−1(VCC−1)、又は樹状細胞及び単球誘引ケモカイン様タンパク質(DMC)としても知られる)、CX3ケモカインリガンド1(CX3CL1;フラクタルカイン又はニューロタクチンとしても知られる)、XCケモカインリガンド1(XCL1:リンフォタクチンとしても知られる)、XCケモカインリガンド2(XCL2)、レパタキシン(CXCR2)、マラビロク(CCR5)、アプラビロク(CCR5)、ビクリビロク(CCR5)、TAK−779(CCR5)、TAK−220(CCR5)、TAK−652(CCR5)、AK692(CCR5)、CMPD167(CCR5)、BX−471(CCR1)、AMD3100(CXCR4)、AMD11070(CXCR4)、FC131(CXCR4)、MLN3897(CCR1)、CP−481715(CCR1)及びGW−873140(CCR5)、プロパゲルマニウム(GE−132)(CCR2)、レスベラトロール(CCR2)、BMS CCR222(CCR2)、RS102895(CCR2)、RS504393(CCR2)、SB225002(CXCR2)及びSB265610(CXCR2)からなる群から選択されるケモカイン関連化合物の治療上の有効量を投与することによる、アンジオテンシン関連疾患を有する患者の治療方法を提供する。
【0141】
一実施形態では、本発明は、これらに限定されるものではないが、アンジオテンシンII(AngII)、アンジオテンシンIII(AngIII)、CGP−42112A(ATRアンタゴニスト;シグマ社(Sigma)#C−160)、エプロサルタン(ATR;市販名:Teveten(登録商標)、アボット・ラボラトリーズ・ユー・エス・エー社(Abbott Laboratories USA))、ロサルタン(ATR;市販名:Cozaar(登録商標)、メルク社(Merk & Co))、バルサルタン(ATR;市販名:Diovan(登録商標)、ノバルティス社(Novartis))、テルミサルタン(ATR;市販名:Micardis(登録商標)、ベーリンガー・インゲルハイム社(Boehringer Ingelheim))、イルベサルタン(ATR;市販名:Avapro(登録商標)、サノフィ・アベンティス社(Sanofi Aventis))、オルメサルタン(ATR;市販名:Benicar(登録商標)、第一三共株式会社)、カンデサルタン(市販名:Atacand(登録商標)、アストラゼネカ社(AstraZeneca))、PD123319(ATR;Tocris)、ZD−7115(ATR)、サララシン((Sar−Ala)AngII)、サルスラン((Sar−Thr)AngII)、及びDuP753(ATR)からなる群から選択されるアンジオテンシン関連化合物の治療上の有効量を投与することによる、ケモカイン関連疾患を有する患者の治療方法を提供する。
【0142】
本発明には更に、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてアンジオテンシン関連疾患に対する潜在的治療活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)前記試験化合物をケモカイン受容体に曝露する工程と、
b)前記試験化合物の非存在下における前記ケモカイン受容体の活性と比較して前記ケモカイン受容体の活性が調節されているか否か、及び/又はその程度を評価する工程と、を含み、
前記調節が前記アンジオテンシン関連疾患に対する潜在的治療活性を示すものである方法が含まれる。
【0143】
本発明には更に、アンジオテンシン関連疾患に対する潜在的治療活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)前記試験化合物をケモカイン受容体に曝露する工程と、
b)前記ケモカイン受容体の活性が調節される程度を評価する工程と、を含み、
前記調節が前記アンジオテンシン関連疾患に対する潜在的治療活性を示すものである方法が含まれる。
【0144】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてアンジオテンシン関連疾患に対する潜在的治療活性について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
前記試験化合物を動物に投与する工程を含む。
【0145】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてアンジオテンシン関連疾患に対する潜在的治療活性について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
ケモカイン受容体を発現している細胞を前記試験化合物と接触させる工程と、
ケモカイン受容体活性の変化を検出する工程と、を含む。
【0146】
ケモカイン受容体の活性が調節される程度を評価する方法、及び受容体活性の変化を検出可能な検出器は当業者には周知のものである。
【0147】
本発明には更に、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体関連疾患に対する潜在的治療活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)前記試験化合物をアンジオテンシン受容体に曝露する工程と、
b)前記試験化合物の非存在下における前記アンジオテンシン受容体の活性と比較して前記アンジオテンシン受容体の活性が調節されているか否か、及び/又はその程度を評価する工程と、を含み、
前記調節が前記ケモカイン受容体関連疾患に対する潜在的治療活性を示すものである方法が含まれる。
【0148】
本発明には更に、ケモカイン受容体関連疾患に対する潜在的治療活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)前記試験化合物をアンジオテンシン受容体に曝露する工程と、
b)前記アンジオテンシン受容体の活性が調節される程度を評価する工程と、を含み、
前記調節が前記アンジオテンシン関連疾患に対する潜在的治療活性を示すものである方法が含まれる。
【0149】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン関連疾患に対する潜在的治療活性について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
前記試験化合物を動物に投与する工程を含む。
【0150】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン関連疾患に対する潜在的治療活性について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
アンジオテンシン受容体を発現している細胞を前記試験化合物と接触させる工程と、
アンジオテンシン受容体活性の変化を検出する工程と、を含む。
【0151】
アンジオテンシン受容体の活性が調節される程度を評価する方法、及び受容体活性の変化を検出可能な検出器は当業者には周知のものである。
【0152】
本発明には、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)前記アンジオテンシン受容体が前記ケモカイン受容体と会合した状態で前記試験化合物が前記アンジオテンシン受容体と相互作用するか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記ケモカイン受容体の非存在下で前記試験化合物が前記アンジオテンシン受容体と相互作用するか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、を含み、
前記アンジオテンシン受容体が前記ケモカイン受容体と会合した状態で前記アンジオテンシン受容体と相互作用する場合に、より高い親和性及び/又は効力及び/又は薬効を示す試験化合物が、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が含まれる。
【0153】
本発明には、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)前記アンジオテンシン受容体が前記ケモカイン受容体と会合した状態で前記試験化合物が前記アンジオテンシン受容体と相互作用するか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記アンジオテンシン受容体が前記ケモカイン受容体と会合した状態で前記試験化合物が前記アンジオテンシン受容体と相互作用した場合に、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記試験化合物が前記アンジオテンシン受容体と相互作用するか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、
前記アンジオテンシン受容体が前記ケモカイン受容体と会合した状態で前記アンジオテンシン受容体と相互作用する場合に、より高い親和性及び/又は効力及び/又は薬効を示す試験化合物が、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が含まれる。
【0154】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な活性について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
前記試験化合物を動物に投与する工程を含む。
【0155】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な活性について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
アンジオテンシン受容体及びケモカイン受容体を発現している細胞を前記試験化合物と接触させる工程と、
アンジオテンシン受容体又はケモカイン受容体の活性の変化を検出する工程と、を含む。
【0156】
本発明には、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)前記ケモカイン受容体が前記アンジオテンシン受容体と会合した状態で前記試験化合物が前記ケモカイン受容体と相互作用するか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記ケモカイン受容体が前記アンジオテンシン受容体と会合した状態で前記試験化合物が前記ケモカイン受容体と相互作用した場合に、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記試験化合物が前記ケモカイン受容体と相互作用するか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、
前記ケモカイン受容体が前記アンジオテンシン受容体と会合した状態で前記ケモカイン受容体と相互作用する場合に、より高い親和性及び/又は効力及び/又は薬効を示す試験化合物が、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が含まれる。
【0157】
本発明は更に、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記試験化合物が前記ケモカイン受容体と相互作用するか否か、及び/又はその程度と比較して、前記ケモカイン受容体が前記アンジオテンシン受容体と会合した状態で前記試験化合物が前記ケモカイン受容体と相互作用するか否か、及び/又はその程度を判定する工程を含み、
前記ケモカイン受容体が前記アンジオテンシン受容体と会合した状態で前記ケモカイン受容体と相互作用する場合に、より高い親和性及び/又は効力及び/又は薬効を示す試験化合物が、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法を提供する。
【0158】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な活性について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
前記試験化合物を動物に投与する工程を含む。
【0159】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な活性について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
アンジオテンシン受容体及びケモカイン受容体を発現している細胞を前記試験化合物と接触させる工程と、
アンジオテンシン受容体又はケモカイン受容体の活性の変化を検出する工程と、を含む。
【0160】
本発明の一態様では、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な拮抗作用又は部分作動作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記アンジオテンシン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)前記ケモカイン受容体を含む第3の物質と、
iv)前記アンジオテンシン受容体、前記ケモカイン受容体、及び/又は前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニストと、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とケモカイン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト又は部分アゴニストであるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト又は部分アゴニストであるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、
c)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト又は部分アゴニストであった場合、前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体のアンタゴニスト又は部分アゴニストであるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い拮抗特性又は部分作動特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0161】
本発明の一態様では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な拮抗作用又は選択的な部分作動作用又は選択的な負のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記アンジオテンシン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)前記ケモカイン受容体を含む第3の物質と、
iv)前記アンジオテンシン受容体、前記ケモカイン受容体、及び/又は前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニストと、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とケモカイン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体のアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い拮抗特性、部分作動特性又は負のアロステリック調節特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0162】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な拮抗作用、選択的な部分作動作用又は選択的な負のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
前記試験化合物を動物に投与する工程を含む。
【0163】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な拮抗作用、選択的な部分作動作用又は選択的な負のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
アンジオテンシン受容体及びケモカイン受容体を発現している細胞を前記試験化合物と接触させる工程と、
アンジオテンシン受容体又はケモカイン受容体の活性の変化を検出する工程と、を含む。
【0164】
本発明の一態様では、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な拮抗作用又は部分作動作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記ケモカイン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)前記アンジオテンシン受容体を含む第3の物質と、
iv)前記アンジオテンシン受容体、前記ケモカイン受容体、及び/又は前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニストと、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とアンジオテンシン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト又は部分アゴニストであるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト又は部分アゴニストであるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、
c)前記試験化合物が、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト又は部分アゴニストであった場合、前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体のアンタゴニスト又は部分アゴニストであるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い拮抗特性又は部分作動特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0165】
本発明の一態様では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な拮抗作用、選択的な部分作動作用又は選択的な負のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記ケモカイン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)前記アンジオテンシン受容体を含む第3の物質と、
iv)前記アンジオテンシン受容体、前記ケモカイン受容体、及び/又は前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニストと、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とアンジオテンシン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体のアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い拮抗特性、部分作動特性又は負のアロステリック調節特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0166】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な拮抗作用、選択的な部分作動作用又は選択的な負のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法は、
前記試験化合物を動物に投与する工程を含む。
【0167】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な拮抗作用、選択的な部分作動作用又は選択的な負のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法は、
アンジオテンシン受容体及びケモカイン受容体を発現している細胞を前記試験化合物と接触させる工程と、
アンジオテンシン受容体又はケモカイン受容体の活性の変化を検出する工程と、を含む。
【0168】
本発明の一態様では、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な逆作動作用について試験化合物をスクリーニングための方法であって、
b)
i)第1のレポーター要素と結合された前記アンジオテンシン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)構成的な活性を有するケモカイン受容体を含む第3の物質と、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とケモカイン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、
c)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであった場合、前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体の逆アゴニストであるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い逆作動特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0169】
本発明の一態様では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な逆作動作用について試験化合物をスクリーニングための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記アンジオテンシン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)構成的な活性を有するケモカイン受容体を含む第3の物質と、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とケモカイン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体の逆アゴニストであるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い逆作動特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0170】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な逆作動作用について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
前記試験化合物を動物に投与する工程を含む。
【0171】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な逆作動作用について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
アンジオテンシン受容体及びケモカイン受容体を発現している細胞を前記試験化合物と接触させる工程と、
アンジオテンシン受容体又はケモカイン受容体の活性の変化を検出する工程と、を含む。
【0172】
本発明の一態様では、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーへの逆作動作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記ケモカイン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)構成的な活性を有するアンジオテンシン受容体を含む第3の物質と、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とアンジオテンシン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、
c)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであった場合、前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体の逆アゴニストであるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い逆作動特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0173】
本発明の一態様では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーへの逆作動作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記ケモカイン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)構成的な活性を有するアンジオテンシン受容体を含む第3の物質と、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とアンジオテンシン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体の逆アゴニストであるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い逆作動特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法が提供される。
【0174】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な逆作動作用について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
前記試験化合物を動物に投与する工程を含む。
【0175】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な逆作動作用について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
アンジオテンシン受容体及びケモカイン受容体を発現している細胞を前記試験化合物と接触させる工程と、
アンジオテンシン受容体又はケモカイン受容体の活性の変化を検出する工程と、を含む。
【0176】
本発明は更に、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な正のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記アンジオテンシン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)前記ケモカイン受容体を含む第3の物質と、
iv)前記アンジオテンシン受容体、前記ケモカイン受容体、及び/又は前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニストと、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とケモカイン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの正のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの正のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの増大を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体の正のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い正のアロステリック調節特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法を提供する。
【0177】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な正のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法は、
前記試験化合物を動物に投与する工程を含む。
【0178】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な正のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法は、
アンジオテンシン受容体及びケモカイン受容体を発現している細胞を前記試験化合物と接触させる工程と、
アンジオテンシン受容体又はケモカイン受容体の活性の変化を検出する工程と、を含む。
【0179】
本発明は更に、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な正のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記ケモカイン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)前記アンジオテンシン受容体を含む第3の物質と、
iv)前記アンジオテンシン受容体、前記ケモカイン受容体、及び/又は前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニストと、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とアンジオテンシン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの正のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの正のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度の判定結果として前記シグナルの増大を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体の正のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い正のアロステリック調節特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになる、方法を提供する。
【0180】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な正のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
前記試験化合物を動物に投与する工程を含む。
【0181】
一実施形態では、受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な正のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための前記方法は、
アンジオテンシン受容体及びケモカイン受容体を発現している細胞を前記試験化合物と接触させる工程と、
アンジオテンシン受容体又はケモカイン受容体の活性の変化を検出する工程と、を含む。
【0182】
本発明の好ましい一実施形態では、ケモカイン受容体がアンジオテンシン受容体と会合した状態で前記試験化合物がケモカイン受容体と相互作用するか否か、及び/若しくはその程度を判定する前記工程、並びに/若しくは、アンジオテンシン受容体がケモカイン受容体と会合した状態で前記試験化合物がアンジオテンシン受容体と相互作用するか否か、及び/若しくはその程度を判定する前記工程は、本出願人らによる同時係属中の国際特許出願「検出システム及びその使用」(Detection System and Uses Therefor)(国際公開第2008/055313号パンフレットとして公開)に述べられる方法によって実施される。
【0183】
しかしながら、説明を明確にするため、本発明の方法は、アンジオテンシン受容体がケモカイン受容体と会合した状態で前記試験化合物がアンジオテンシン受容体と相互作用するか否か、及び/若しくはその程度を判定する前記工程、並びに/又は、ケモカイン受容体がアンジオテンシン受容体と会合した状態で前記試験化合物がケモカイン受容体と相互作用するか否か、及び/若しくはその程度を判定する前記工程が、本出願人らによる同時係属中の国際特許出願「検出システム及びその使用」(Detection System and Uses Therefor)(国際公開第2008/055313号パンフレットとして公開)に述べられる方法によって実施されるような方法に限定されない点は理解されるべきである。
【0184】
アンジオテンシン受容体がケモカイン受容体と会合した状態で前記試験化合物がアンジオテンシン受容体と相互作用するか否か、及び/又はその程度を判定する前記工程、並びに/又は、ケモカイン受容体がアンジオテンシン受容体と会合した状態で前記試験化合物がケモカイン受容体と相互作用するか否か、及び/又はその程度を判定するための代替的な方法としては、Gタンパク質の利用率の変化などのシグナル伝達経路との共役における変化を観察するアッセイ、リガンド結合アッセイ、Ca2+、イノシトールリン酸、環状アデノシン一リン酸(cAMP)、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)及び/又は分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)の変化を監視するアッセイなどのシグナリングアッセイ、受容体トラフィッキングアッセイ、βアレスチン移行アッセイ、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、並びに受容体のヘテロ二量体化にともなう受容体の機能の変化を検出することが可能な他の任意のアッセイが挙げられる。
【0185】
本発明には、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの選択的アゴニスト、及び/又はアンタゴニスト、及び/又は逆アゴニストが含まれる。
【0186】
本発明には、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの選択的アゴニスト、及び/又は選択的アンタゴニスト、及び/又は選択的逆アゴニスト、及び/又は選択的アロステリック調節因子が含まれる。
【0187】
本発明には、ケモカイン受容体及びアンジオテンシン受容体の両方が過剰発現している細胞、又は細胞の画分が含まれる。
【0188】
本発明には、ケモカイン受容体が過剰発現し、アンジオテンシン受容体が内因的に発現している細胞、又は細胞の画分が含まれる。
【0189】
本発明には、アンジオテンシン受容体が過剰発現し、ケモカイン受容体が内因的に発現している細胞、又は細胞の画分が含まれる。
【0190】
本明細書の全体を通じて、文脈上特に必要とされないかぎり、「細胞の画分」なる語句には、これに限定されるものではないが、細胞膜の調製物が含まれる。当業者によれば理解されるように、細胞膜調製物は結合アッセイにおいて有用であり、あるいは抗体治療を含む抗体を誘導する抗原として有用である。
【0191】
本発明には、ケモカイン受容体及びアンジオテンシン受容体の両方が過剰発現している細胞が含まれる。
【0192】
本発明には、ケモカイン受容体が過剰発現し、アンジオテンシン受容体が内因的に発現している細胞が含まれる。
【0193】
本発明には、アンジオテンシン受容体が過剰発現し、ケモカイン受容体が内因的に発現している細胞が含まれる。
【0194】
本明細書において受容体との関連で用いる「過剰発現している」なる語句は、自然の発現レベルと比較した場合の、細胞内の受容体の異常な発現レベルのことを指す。これには、生理学的範囲に含まれると考えられる発現レベルであるが、その受容体を通常は発現しない細胞において発現されるものが含まれる。これには、生理学的範囲に含まれると考えられる発現レベルであるが、他のタンパク質との融合又は免疫標識の付加などの任意の方法によって改変された受容体を通常は発現しない細胞において発現されるものも含まれる。受容体を過剰発現している細胞は、当該技術分野では周知の標準的なアッセイ法によって特定することができる。
【0195】
本明細書において用いるところの「患者」なる用語は、1以上のアンジオテンシン関連疾患又はケモカイン関連疾患を罹患している可能性のあるあらゆる動物のことを指す。最も好ましくは、動物は哺乳動物である。この用語は、例えば、ヒト、家畜(すなわちウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、及びブタ)、家庭のペット(すなわちネコ及びイヌ)などを含むものとして理解される。
【0196】
本明細書において用いるところの「治療上の有効量」なる語句は、アンジオテンシン受容体のアゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト又はアロステリック調節因子とアンジオテンシン受容体との、又はケモカイン受容体のアゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト又はアロステリック調節因子とケモカイン受容体との、又はアンジオテンシン受容体/ケモカイン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに特異的なアゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト又はアロステリック調節因子とアンジオテンシン受容体/ケモカイン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーとの相互作用にともなう生物学的活性を調節するうえで充分な量のことを指す。
【0197】
これらに限定されるものではないがケモカインのアゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト又はアロステリック調節因子などのケモカイン受容体関連化合物、及びこれらに限定されるものではないがアンジオテンシンのアゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト又はアロステリック調節因子などのアンジオテンシン受容体関連化合物の両方が組み合わせて投与される本明細書の態様との関連において、ケモカイン受容体関連化合物の治療上の有効量とアンジオテンシン受容体関連化合物の治療上の有効量とを合わせた量は、ケモカイン受容体関連化合物が単独で投与される場合の治療上の有効量よりも低くなりうる。すなわち、ケモカイン受容体関連化合物及びアンジオテンシン受容体関連化合物を組み合わせて投与することによって、いずれか一方の治療上の用量よりも少ない用量で所定の治療効果を生じうるものである。
【0198】
異なる態様における本発明の薬剤は注射によって投与するか、又は経口、経肺、経鼻若しくは他の任意の投与形態用に調製することができる。薬剤は例えば、静脈内投与、皮下投与、筋内投与、眼窩内投与、眼内投与、心室内投与、頭蓋内投与、関節嚢内投与、髄腔内投与、大槽内投与、腹腔内投与、口腔内投与、直腸投与、膣内投与、鼻腔内投与又はエアロゾール投与によって投与されることが好ましい。
【0199】
一態様では、投与方法は、薬剤が調製された形態に少なくとも適したものである。一態様では、最も効果的な反応が得られる投与方法は経験的に決定されるものであり、後述する投与手段は例として与えられるものであって本発明の組成物の投与方法をいかなる意味においても限定するものではない。上記の製剤はいずれも医薬品業界では一般的に用いられているものであり、適当な資格を有する医師には一般的に知られているものである。
【0200】
特定の態様では、本発明の薬剤は、薬学的に許容される無害な賦形剤及び担体を含んでよく、皮下注射、静脈内注射及び腹腔内注射などの任意の非経口的方法によって投与することができる。更に、本製剤は場合に応じて1以上のアジュバントを含んでもよい。
【0201】
注射用途に適した薬剤の剤形には、場合に応じて、滅菌注射溶液又は分散液の即時調製用の滅菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液及び滅菌粉末が含まれる。また、特定の実施形態では、細胞膜を通過する輸送を助けるために本発明の化合物をリポソームに封入して注射溶液として投与してもよい。これに代えるかあるいはこれに加えて、こうした製剤は、細胞膜を通過する輸送を促進するために自己組織化型の小孔構造の成分を含む。異なる態様において、担体は、例えば、水、エタノール、多価アルコール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、これらの適当な混合物及び植物油を含む溶媒又は分散媒である。例えば、これらに限定されるものではないが、レシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合には必要な粒径の維持により、また、界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持する。特定の態様では、組成物中に例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅らせる物質を使用することによって注射組成物を長期にわたって吸収させる。
【0202】
滅菌注射溶液は、必要な量の活性化合物を適当な溶媒に、必要に応じて上記に示した各種の他の成分とともに加えてから、フィルター滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は、各種の滅菌活性成分を、ベースとなる分散媒及び上記に示したものから選ばれた必要な他の成分を含んだ滅菌溶媒に加えることによって調製される。滅菌注射溶液の調製用の滅菌粉末の場合では、特定の態様における調製法には、これに限定されるものではないが、予め滅菌フィルター処理した溶液から活性成分及び任意の更なる所望の成分の粉末を生成する真空乾燥法及び凍結乾燥法が含まれる。
【0203】
本明細書における使用が考えられるものとしては、参照によって本明細書に援用するMartin, Remington’s Pharmaceutical Sciences (18th Ed. (1990 Mack Publishing Co. Easton PA 18042) at Chapter 89)に一般的に述べられる経口固体剤形がある。固体剤形としては、錠剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤若しくはロゼンジ剤、カシェ剤、又はペレット剤が挙げられる。また、リポソーム又はプロテイノイドによる封入を用いて(例えば、米国特許第4,925,673号に報告されるプロテイノイドマイクロスフェアのように)本発明の組成物を製剤化することもできる。リポソームによる封入を用い、こうしたリポソームを各種のポリマーによって誘導体化することができる(例えば、米国特許第5,013,556号)。治療薬において使用することが可能な固体剤形についての記載が、参照によって本明細書に援用するMarshall, Modern Pharmaceutics, Chapter 10, Banker and Rhodes ed., (1979)に示されている。一般的にこうした製剤は、本発明の一部として述べられる化合物(又はその化学的に修飾された形態)及び、胃内の環境に対する保護を与え、腸内で生物学的活性物質を放出させる不活性成分を含む。
【0204】
本発明のケモカイン受容体関連化合物又はアンジオテンシン受容体関連化合物の放出部位は、胃、小腸(十二指腸、空腸、又は回腸)、又は大腸でありうる。当業者であれば、胃の中では溶解せずに、十二指腸又は腸内の他の部位で物質を放出する製剤を入手可能である。一態様では、こうした放出において、組成物を保護するか、あるいは腸などの胃内環境を超えた部位において化合物を放出することによって胃内環境の悪影響を回避する。
【0205】
胃からの保護を完全なものとするには、少なくともpH5.0で不透過性のコーティングが用いられる。腸溶コーティングとして用いられるより一般的な不活性成分の例としては、酢酸トリメリット酸セルロース(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、HPMCP50、HPMCP55、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、Eudragit L30D、Aquateric、セルロースアセテートフタレート(CAP)、Eudragit L、Eudragit S、及びセラックがある。これらのコーティングは混合フィルムとして使用することもできる。
【0206】
胃に対する保護を目的としたものではないコーティング又はコーティングの混合物を錠剤に用いることもできる。こうしたコーティングとしては、これらに限定されるものではないが、糖衣、又は錠剤を飲み込みやすくするコーティングが挙げられる。代表的なカプセル剤は、乾燥治療薬(すなわち粉末)の投与用のハードシェル(ゼラチンなど)からなるものであり、液体の剤形ではソフトゼラチンシェルを使用することもできる。特定の態様におけるカシェ剤のシェル材料は、厚いデンプン又は他の可食紙である。丸剤、ロゼンジ剤、成形錠剤又は粉薬錠剤では、これに限定されるものではないが湿式塊化法(moist massing technique)の使用も考えられる。
【0207】
特定の態様では、治療薬を粒径約1mmの顆粒又はペレットの形態で微細な多重粒子として製剤中に含有させる。特定の態様では、カプセル投与用の材料の製剤は、粉末、軽く圧縮したプラグ、又は更には錠剤である。一態様では、治療薬は圧縮によって調製することができる。
【0208】
場合に応じて着色料及び香味料をすべて添加する。例えば、化合物を製剤化(これらに限定されるものではないが、リポソーム又はマイクロスフェアへの封入などにより)した後、着色料及び香味料を含んだ冷蔵飲料などの食品に更に含有させることができる。
【0209】
一態様では、治療薬の体積を不活性物質によって希釈又は増大させる。こうした希釈剤としては、炭水化物、特にマンニトール、α−ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、修飾デキストリン類及びデンプンが挙げられる。場合に応じて、三リン酸カルシウム(calcium triphosphate)、炭酸マグネシウム及び塩化ナトリウムなどの特定の無機塩類を充填剤として使用することもできる。市販の希釈剤としてはFast−Flo、Emdex、STA−Rx1500、Emcompress及びAvicellがある。
【0210】
他の実施形態では、治療薬の製剤に崩壊剤を添加して固体剤形とする。崩壊剤として用いられる材料としては、これらに限定されるものではないが、市販のデンプンベースの崩壊剤であるExplotabなどのデンプンが挙げられる。グリコール酸デンプンナトリウム、アンバーライト、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン(ultramylopectin)、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸カルボキシメチルセルロース、天然スポンジ及びベントナイトの使用も考えられる。崩壊剤の別の形態として、不溶性カチオン交換樹脂がある。場合に応じて粉末化したガムを崩壊剤として、また結合剤として用いるが、こうした粉末化ガムとしてはこれらに限定されるものではないが、寒天、カラヤガム又はトラガカントガムなどの粉末化ガムが挙げられる。アルギン酸及びそのナトリウム塩も崩壊剤として有用である。
【0211】
治療化合物を互いに結着して硬質の錠剤を形成するための結合剤の使用も考えられ、これらに限定されるものではないが、アカシアガム、トラガカントガム、デンプン及びゼラチンなどの天然物由来の材料が挙げられる。他の結合剤としては、これらに限定されるものではないが、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)が挙げられる。治療薬を造粒するためにアルコール溶液中にポリビニルピロリドン(PVP)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を使用することも考えられる。
【0212】
製剤化プロセスの際のくっつきを防止するために場合に応じて減摩剤を治療薬の製剤に添加する。場合に応じて治療薬と金型壁との間に層として潤滑剤を用いるが、こうした潤滑剤としては、これらに限定されるものではないが、マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むステアリン酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油及び蝋などが挙げられる。代表的な可溶性潤滑剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、分子量の異なるポリエチレングリコール、Carbowax4000及び6000が挙げられる。
【0213】
場合に応じて、製剤化の際の化合物の流動性を向上させ、圧縮時の再配置を助けるための滑剤を添加する。こうした滑剤としては、これらに限定されるものではないが、デンプン、デンプン、タルク、焼成シリカ及び水和シリコアルミネートが挙げられる。
【0214】
水性環境中への治療薬の溶解を助けるため、特定の実施形態では湿潤剤として界面活性剤を添加する。界面活性剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム及びスルホン酸ジオクチルナトリウムなどのアニオン性洗剤が挙げられる。場合に応じてカチオン性界面活性剤が用いられるが、こうしたカチオン性界面活性剤としては、これらに限定されるものではないが、塩化ベンザルコニウム又は塩化ベンゼトニウムが挙げられる。製剤中で界面活性剤としての使用が考えられる潜在的な非イオン性洗剤を列記すると、ラウロマクロゴール400、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、モノステアリン酸グリセリン、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65及びポリソルベート80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロース並びにカルボキシメチルセルロースがある。これらの界面活性剤が使用される場合、化合物の製剤中に単独で、又は異なる比の混合物として添加される。
【0215】
化合物の吸収を助ける可能性のある添加剤の例としては、これらに限定されるものではないが、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸などの脂肪酸がある。
【0216】
徐放性製剤の使用も考えられる。特定の態様では、拡散又は滲出機構による放出を可能とする不活性基質(ガム類)に化合物を取り込ませる。特定の態様では、徐々に溶解する基質を製剤中に取り込ませてもよい。この治療薬の別の徐放形態として、Oros治療システム(アルザ社(Alza Corp.))に基づいた方法があるが、これは、水を流入させ、薬物を1個の小開口部から浸透圧効果によって押し出すような半透膜に薬物を封入するというものである。腸溶コーティングのなかには徐放効果を有するものもある。
【0217】
他の態様では、最適なフィルムコーティングを与えるために材料の混合物を用いる。フィルムコーティングは、これらに限定されるものではないが、例えば、パンコーター若しくは流動床中、又は圧縮コーティングによって行われる。
【0218】
本明細書においては、化合物の肺投与も考えられる。こうした態様では化合物は吸入によって哺乳動物の肺に投与され、肺の上皮内層を通過して血流に入る。
【0219】
本発明の実施においては、これらに限定されるものではないが、ネブライザー、定量吸入器、及び粉剤吸入器などのいずれも当業者にはよく知られた治療薬製品の肺投与用に設計された様々な機械的装置の使用が考えられる。
【0220】
本発明の実施に適した市販の装置の幾つかの具体例としては、これらに限定されるものではないが、例えば、マリンクロット社(Mallinckrodt, Inc.)(ミズーリ州セントルイス)の製造するUltraventネブライザー、マルクエスト・メディカル・プロダクツ社(Marquest Medical Products)(コロラド州イングルウッド)の製造するAcornIIネブライザー、グラクソ社(Glaxo Inc.)(ノースカロライナ州リサーチトライアングルパーク)の製造するVentolin定量吸入器、及び、ファイソンズ社(Fisons Corp.)(マサチューセッツ州ベッドフォード)の製造するSpinhaler粉剤吸入器がある。
【0221】
こうした装置はいずれも、化合物の投薬に適した製剤の使用を必要とする。一般的に各製剤は使用される装置の種類に固有のものであり、治療に有用な通常の希釈剤、アジュバント及び/又は担体以外に適切な推進材料を使用する。リポソーム、マイクロカプセル若しくはマイクロスフェア、包接複合体、又は他の種類の担体の使用も考えられる。
【0222】
場合に応じて、噴霧式又は超音波式を問わず、ネブライザーとの使用に適した製剤には化合物を水に懸濁したものからなる。一態様では、こうした製剤は、緩衝剤及び単糖(例えば、タンパク質の安定化及び浸透圧の調節のため)を更に含む。一実施形態では、ネブライザー製剤は、エアロゾールを形成する際に溶液の霧化によって引き起こされる表面で誘発される化合物の凝集を低減又は防止するための界面活性剤を更に含む。
【0223】
一態様では、定量吸入装置と使用するための製剤は、界面活性剤によって推進剤中に懸濁された化合物を含有する微粉末からなる。推進剤は、これらに限定されるものではないが、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンなどの、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン若しくは炭化水素、又はこれらの組み合わせなどのこの目的で使用される任意の従来の材料である。好適な界面活性剤としては、これらに限定されるものではないが、トリオレイン酸ソルビタン及び大豆レシチンが挙げられる。特定の態様では、界面活性剤としてオレイン酸の使用も考えられる。
【0224】
粉剤吸入装置から投薬するための製剤は、化合物を含有する微細な乾燥粉末からなるものであり、場合により、これらに限定されるものではないがラクトース、ソルビトール、スクロース、又はマンニトールなどの増量剤を、装置からの粉末の分散を助ける量、例えば、製剤の50重量%〜90重量%の量で含む。特定の実施形態では、化合物は、肺末梢部に最も効果的に投与されるように平均粒径が10ミクロン未満、最も好ましくは0.5ミクロン〜5ミクロンである粒子状に調製される。
【0225】
化合物の鼻腔内投与も考えられる。鼻腔内投与は、肺内に治療薬製品を蓄積させる必要なくして治療薬製品を鼻腔に投与した直後に血流にタンパク質を通過させることができる。鼻腔内投与用の製剤としては、これらに限定されるものではないが、例えば、デキストラン又はシクロデキストランを含むものが挙げられる。
【0226】
特定の態様では、本発明の薬剤は、単回投与スケジュール又は複数回投与スケジュールで投与される点は認識されるであろう。複数回投与スケジュールとは、例えば、1回〜10回の別々の投与による最初の投与期間の後、場合に応じて治療効果を維持又は強化するうえで必要な間隔で他の用量を引き続き投与するというものである。この投与計画は、患者のニーズ及び医師の判断に少なくとも一部基づいて決定される。
【0227】
本発明を以下の非限定的な実施例を参照してあくまで参考として以下により詳しく説明する。しかしながら、以下の実施例はあくまで説明的なものとして理解されるべきものであり、上記に述べた本発明の一般性をいかなる意味においても限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0228】
一般的方法
図1〜3を参照して簡単に述べると、2種類の受容体(ケモカイン受容体及びアンジオテンシン受容体)の形で相互作用基(IG)が与えられる。2種類のうちの一方はレポーター要素(RC)に結合させられる(IG1−RC1,IG3)。第2のIG(IG2−RC2)は、リガンドの結合時に受容体と相互作用する分子(例えば、β−アレスチン又はその突然変異体)から誘導される。検出システムは、ケモカイン受容体−アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体の形成を検出するばかりでなく、リガンド又は薬物が受容体ヘテロ二量体においてアゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、逆アゴニスト又は部分逆アゴニストのいずれとして作用するかを区別することができる。
【0229】
HEK293FT細胞を約630,000細胞/ウェルの密度で6穴プレートに播種し、37℃、5%CO下で10%ウシ胎仔血清(FCS;ギブコ社(Gibco))を添加した完全培地(0.3mg/mlのグルタミン、100IU/mlのペニシリン及び100μg/mlのストレプトマイシン(ギブコ社(Gibco))を含有するDMEM)中で維持した。GeneJuice(ノバジェン社(Novagen))を製造者の指示にしたがって用い、播種24時間後に一過性トランスフェクションを行った。トランスフェクションの24時間後、細胞をPBSで洗い、0.05%トリプシン/0.53mM EDTAを用いて剥離させ、5%FCSを含む、HEPESにて緩衝したフェノールレッドを含まない完全培地中に再懸濁し、ポリ−L−リシンでコーティングした白色の96穴マイクロプレート(ヌンク社(Nunc))に加えた。トランスフェクションの48時間後、細胞を、37℃、5%CO下で最終濃度30μMのEnduRen(登録商標)(プロメガ社(Promega))と予めインキュベートしてからeBRETアッセイを行った。Wallac1420ソフトウェア(パーキン・エルマー社(Perkin−Elmer))を用いたVictor Lightプレートリーダーを使用して37℃でBRET測定値を測定した。次に、フィルター処理した発光量を「供与体波長範囲(400nm〜475nm)」及び「受容体波長範囲(520nm〜540nm)」のそれぞれにおいて2秒間測定した。
【0230】
相互作用するタンパク質間で観測されたBRETシグナルは、バックグラウンドBRET比を差し引くことによって正規化される。これは、次の2つの方法のいずれかによって行うことができる(Pfleger et al. (2006) Cell Signal 18:1664−1670; Pfleger et al. (2006) Nat Protoc 1:336−344): 1)。すなわち、1)ドナー構築体のみを含む細胞試料について400nm〜475nmの発光量に対する520nm〜540nmの発光量の比を、互いに相互作用する受容体と供与体の融合タンパク質を含む試料の同様の比から差し引くか、2)溶媒で処理した細胞試料について400nm〜475nmの発光量に対する520nm〜540nmの発光量の比を、リガンドで処理した同じ細胞試料の第2のアリコートの同様の比から差し引く。以下の実施例では第2の計算法を用い、シグナルは「リガンド誘導BRET比」として述べる。
【実施例1】
【0231】
実施例1 CCR5−AT1Rヘテロ二量体を一例として用いた、ケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との分子会合を示す検出可能なシグナルの測定
【0232】
ここで図4を参照すると、CCR5/Rluc8及びbarr2/VenusをHA−AT1Rとともに一過性に発現している細胞からは、10−7Mのマクロファージ炎症性タンパク質1β(MIP1β)若しくは10−6MのアンジオテンシンII(AngII)の一方のみ、又はMIP1β及びAngIIの両方による処理後にeBRETシグナルが測定された。これと並行して、CCR5/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに一過性に発現している細胞からは、10−6MのアンジオテンシンII(AngII)による処理後にeBRETシグナルが測定された。
【0233】
リガンド処理(0分に添加)に先立って、それぞれの組み合わせについてベースラインのeBRETシグナルを記録した。CCR5/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに発現している細胞をAngII処理した場合には、リガンド誘導BRET比の増大は見られなかった。CCR5/Rluc8、barr2/Venus及びHA−AT1Rを同時発現している細胞をMIP1β処理した場合には、約0.08のピークに達するeBRETシグナルを生じた。シグナルは、CCR5/Rluc8、barr2/Venus及びHA−AT1Rを同時発現している細胞のAngII処理後にも観測された。このシグナルは約0.04に達した。CCR5/Rluc8、barr2/Venus及びHA−AT1Rを同時発現している細胞をMIP1β及びAngIIの両方で処理した場合には約0.17のピークシグナルが生じ、これはMIP1β又はAngII単独の添加後に観測されたシグナルよりも大幅に高かった。
【0234】
本実施例は、RC1とRC2とが近接することによって生じるシグナルが、CCケモカイン受容体5(CCR5)がIG1であり、Rluc8がRC1であり、β−アレスチン2(barr2)がIG2であり、VenusがRC2であり、ヘマグルチニンエピトープタグ標識AT1R(HA−AT1R)がIG3であるような組み合わせにおいて、調節因子(この場合AngII)がIG3と特異的に相互作用することによってIG2とIG3との会合を調節する場合に特異的に検出されることを示している。
【0235】
本実施例は、本発明者らがケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との分子会合を特定したことを示すものである。
【0236】
本実施例はまた、IG1リガンド(MIP1β)及びIG3リガンド(AngII;調節因子)の組み合わせによる処理では、これらを加え合わせた効果よりも効果が高くなることを示している。このような相加効果よりも高い効果は、IG2−IG3−IG1の会合に加えてIG1−IG2が会合する結果、RC1とRC2とが近接することを示していることから、このことはケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との分子会合の更なる明確な根拠を与えるものである。このことは、シグナルがIG1特異的リガンドの非存在下におけるIG1とIG2の非特異的会合に起因するものではないことを示す根拠を与える。理論によって束縛されることを望むものではないが、このような相加効果よりも高い効果は、恐らくはRC1とRC2が更に近接することを可能とするか、あるいはRC1とRC2とのより有利な相対的配向を可能とするような、シグナル発生により有利にはたらく活性IGコンホメーション(アゴニストに結合したコンホメーション)にも一部起因しているものと考えられる。
【0237】
本実施例はまた、ヘマグルチニン(HA)エピトープタグを付加することなどによってIG3をタグ標識することができるが、こうしたタグはレポーター要素を構成するものではなく、RC1とRC2とが近接することによって発生するシグナルを妨害したり、かつ/又はこうしたシグナルに寄与するものではないことを示している。このようなタグ標識は、IG3の相対的な発現レベルなどの更なる情報の確認を可能とするものである。
【実施例2】
【0238】
実施例2 CXCR2−AT1Rヘテロ二量体を一例として用いた、ケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との分子会合を示す検出可能なシグナルの測定
【0239】
次に図5を参照すると、CXCR2/Rluc8及びbarr2/VenusをHA−AT1Rとともに一過性に発現している細胞からは、10−7Mのインターロイキン8(IL8)若しくは10−6MのアンジオテンシンII(AngII)の一方のみ、又はIL8及びAngIIの両方による処理後にeBRETシグナルが測定された。これと並行して、CXCR2/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに一過性に発現している細胞からは、10−6MのアンジオテンシンII(AngII)による処理後にeBRETシグナルが測定された。
【0240】
リガンド処理(0分に添加)に先立って、それぞれの組み合わせについてベースラインのeBRETシグナルを記録した。CXCR2/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに発現している細胞をAngII処理した場合には、リガンド誘導BRET比の増大は見られなかった。CXCR2/Rluc8、barr2/Venus及びHA−AT1Rを同時発現している細胞をIL8処理した場合には、約0.10のピークに達するeBRETシグナルを生じた。シグナルは、CXCR2/Rluc8、barr2/Venus及びHA−AT1Rを同時発現している細胞のAngII処理後にも観測された。このシグナルは約0.09に達した。CXCR2/Rluc8、barr2/Venus及びHA−AT1Rを同時発現している細胞をIL8及びAngIIの両方で処理した場合には約0.19のピークシグナルを生じ、これはIL8又はAngII単独の添加後に観測されたシグナルよりも大幅に高かった。
【0241】
本実施例は、RC1とRC2とが近接することによって生じるシグナルが、CXCケモカイン受容体2(CXCR2)がIG1であり、Rluc8がRC1であり、β−アレスチン2(barr2)がIG2であり、VenusがRC2であり、ヘマグルチニンエピトープタグ標識AT1R(HA−AT1R)がIG3であるような組み合わせにおいて、調節因子(この場合AngII)がIG3と特異的に相互作用することによってIG2とIG3との会合を調節する場合に特異的に検出されることを示している。
【0242】
本実施例は、本発明者らがケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との分子会合を特定したことを示すものである。
【0243】
本実施例はまた、IG1リガンド(IL8)及びIG3リガンド(AngII;調節因子)の組み合わせによる処理では、これらを加え合わせた効果が生ずることを示している。このような相加的効果は、IG2−IG3−IG1の会合に加えてIG1−IG2が会合する結果、RC1とRC2とが近接することを示していることから、このことはケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との分子会合の更なる明確な根拠を与えるものである。このことは、シグナルがIG1特異的リガンドの非存在下におけるIG1とIG2の非特異的会合に起因するものではないことを示す根拠を与える。理論によって束縛されることを望むものではないが、このような相加的効果は、IG1リガンドがIG3に対するアロステリック効果を介してIG2とIG3との会合を調節する調節因子として作用していることにも一部起因していると考えられる。更に、この相加的効果は、恐らくはRC1とRC2が更に近接することを可能とするか、あるいはRC1とRC2とのより有利な相対的配向を可能とするような、シグナル発生により有利にはたらく活性IGコンホメーション(アゴニストに結合したコンホメーション)にも一部起因しているものと考えられる。
【0244】
本実施例はまた、ヘマグルチニン(HA)エピトープタグを付加することなどによってIG3をタグ標識することができるが、こうしたタグはレポーター要素を構成するものではなく、RC1とRC2とが近接することによって発生するシグナルを妨害したり、かつ/又はこうしたシグナルに寄与するものではないことを示している。このようなタグ標識は、IG3の相対的な発現レベルなどの更なる情報の確認を可能とするものである。
【実施例3】
【0245】
実施例3 CXCR4−AT1Rヘテロ二量体を一例として用いた、ケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との分子会合を示す検出可能なシグナルの測定
【0246】
次に図6を参照すると、CXCR4/Rluc8及びbarr2/VenusをHA−AT1Rとともに一過性に発現している細胞からは、10−7Mの間質細胞由来因子−1(SDF1α)若しくは10−6MのアンジオテンシンII(AngII)の一方のみ、又はSDF1α及びAngIIの両方による処理後にeBRETシグナルが測定された。これと並行して、CXCR4/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに一過性に発現している細胞からは、10−6MのアンジオテンシンII(AngII)による処理後にeBRETシグナルが測定された。
【0247】
リガンド処理(0分に添加)に先立って、それぞれの組み合わせについてベースラインのeBRETシグナルを記録した。CXCR4/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに発現している細胞をAngII処理した場合には、リガンド誘導BRET比の増大は見られなかった。CXCR4/Rluc8、barr2/Venus及びHA−AT1Rを同時発現している細胞をSDF1α処理した場合には、約0.01のピークに達する一過性のeBRETシグナルを生じた。シグナルは、CXCR4/Rluc8、barr2/Venus及びHA−AT1Rを同時発現している細胞のAngII処理後にも観測された。このシグナルは約0.06に達した。CXCR4/Rluc8、barr2/Venus及びHA−AT1Rを同時発現している細胞をSDF1α及びAngIIの両方で処理した場合には約0.08のピークシグナルを生じ、これはSDF1α又はAngII単独の添加後に観測されたシグナルよりも大幅に高かった。
【0248】
本実施例は、RC1とRC2とが近接することによって生じるシグナルが、CXCケモカイン受容体2(CXCR4)がIG1であり、Rluc8がRC1であり、β−アレスチン2(barr2)がIG2であり、VenusがRC2であり、ヘマグルチニンエピトープタグ標識AT1R(HA−AT1R)がIG3であるような組み合わせにおいて、調節因子(この場合AngII)がIG3と特異的に相互作用することによってIG2とIG3との会合を調節する場合に特異的に検出されることを示している。
【0249】
本実施例は、本発明者らがケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との分子会合を特定したことを示すものである。
【0250】
本実施例はまた、IG1リガンド(SDF1α)及びIG3リガンド(AngII;調節因子)の組み合わせによる処理では、これらを加え合わせた効果よりも効果が高くなることを示している。このような、相加効果よりも高い効果は、IG2−IG3−IG1の会合に加えてIG1−IG2が会合する結果、RC1とRC2とが近接することを示していることから、このことはケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との分子会合の更なる明確な根拠を与えるものである。このことは、シグナルがIG1特異的リガンドの非存在下におけるIG1とIG2の非特異的会合に起因するものではないことを示す根拠を与える。理論によって束縛されることを望むものではないが、このような相加効果よりも高い効果は、IG1リガンドがIG3に対するアロステリック効果を介してIG2とIG3との会合を調節する調節因子として作用していることにも一部起因していると考えられる。更に、このような相加効果よりも高い効果は、恐らくはRC1とRC2が更に近接することを可能とするか、あるいはRC1とRC2とのより有利な相対的配向を可能とするような、シグナル発生により有利にはたらく活性IGコンホメーション(アゴニストに結合したコンホメーション)にも一部起因しているものと考えられる。
【0251】
本実施例はまた、ヘマグルチニン(HA)エピトープタグを付加することなどによってIG3をタグ標識することができるが、こうしたタグはレポーター要素を構成するものではなく、RC1とRC2とが近接することによって発生するシグナルを妨害したり、かつ/又はこうしたシグナルに寄与するものではないことを示している。このようなタグ標識は、IG3の相対的な発現レベルなどの更なる情報の確認を可能とするものである。
【実施例4】
【0252】
実施例4 CCR2−AT1Rヘテロ二量体を一例として用いた、ケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との分子会合を示す検出可能なシグナルの測定
【0253】
次に図7を参照すると、AT1R/Rluc8及びbarr2/VenusをCCR2とともに一過性に発現している細胞からは、10−7Mの単球走化性タンパク質−1(MCP1)又は10−6MのアンジオテンシンII(AngII)の一方による処理後にeBRETシグナルが測定された。これと並行して、AT1R/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに一過性に発現している細胞からは、10−7Mの単球走化性タンパク質−1(MCP1)による処理後にeBRETシグナルが測定された。
【0254】
リガンド処理(0分に添加)に先立って、それぞれの組み合わせについてベースラインのeBRETシグナルを記録した。AT1R/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに発現している細胞をMCP1処理した場合には、リガンド誘導BRET比の増大は見られなかった。AT1R/Rluc8、barr2/Venus及びCCR2を同時発現している細胞をAngII処理した場合には、約0.07のピークに達するeBRETシグナルを生じた。シグナルは、AT1R/Rluc8、barr2/Venus及びCCR2を同時発現している細胞のMCP1処理後にも観測された。このシグナルは約0.05に達した。
【0255】
本実施例は、RC1とRC2とが近接することによって生じるシグナルが、アンジオテンシン受容体1(AT1R)がIG1であり、Rluc8がRC1であり、β−アレスチン2(barr2)がIG2であり、VenusがRC2であり、CCケモカイン受容体2(CCR2)がIG3であるような組み合わせにおいて、調節因子(この場合MCP1)がIG3と特異的に相互作用することによってIG2とIG3との会合を調節する場合に特異的に検出されることを示している。
【0256】
本実施例は、本発明者らがケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との分子会合を特定したことを示すものである。
【実施例5】
【0257】
実施例5 CCR2−AT2Rヘテロ二量体を一例として用いた、ケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との分子会合を示す検出可能なシグナルの測定
【0258】
次に図8を参照すると、AT2R/Rluc8及びbarr2/VenusをCCR2とともに一過性に発現している細胞からは、10−7Mの単球走化性タンパク質−1(MCP1)又は10−6MのアンジオテンシンII(AngII)の一方による処理後にeBRETシグナルが測定された。これと並行して、AT2R/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに一過性に発現している細胞からは、10−7Mの単球走化性タンパク質−1(MCP1)又は10−6MのアンジオテンシンII(AngII)の一方による処理後にeBRETシグナルが測定された。
【0259】
リガンド処理(0分に添加)に先立って、それぞれの組み合わせについてベースラインのeBRETシグナルを記録した。AT2R/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに発現している細胞をMCP1処理した場合には、リガンド誘導BRET比の増大は見られなかった。更に、AT2R/Rluc8及びbarr2/VenusをpcDNA3とともに発現している細胞をAngII処理した場合にも、AT2Rがbarr2と相互作用しないことと一致するリガンド誘導BRET比の増大は認められなかった(Turu, G. et al. (2006) Differential beta−arrestin binding of AT1 and AT2 angiotensin receptors. FEBS Letters 580:41−45)。同様に、AT2R/Rluc8、barr2/Venus及びCCR2を同時発現している細胞をAngII処理した場合には、リガンド誘導BRET比の増大は見られなかった。しかしながら、AT2R/Rluc8、barr2/Venus及びCCR2を同時発現している細胞のMCP1処理後にはシグナルが観測された。このシグナルは約50分間後に約0.16に達した。
【0260】
本実施例は、RC1とRC2とが近接することによって生じるシグナルが、アンジオテンシン受容体2(AT2R)がIG1であり、Rluc8がRC1であり、β−アレスチン2(barr2)がIG2であり、VenusがRC2であり、CCケモカイン受容体2(CCR2)がIG3であるような組み合わせにおいて、調節因子(この場合MCP1)がIG3と特異的に相互作用することによってIG2とIG3との会合を調節する場合に特異的に検出されることを示している。
【0261】
本実施例は、本発明者らがケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との分子会合を特定したことを示すものである。
【0262】
本実施例は更に、IG1がIG2と相互作用しない場合に検出可能なシグナルが発生しうることを示している。AT2R/Rluc8、barr2/Venus及びCCR2を同時発現している細胞をAngII処理した場合に図8で観測されるシグナルが見られないことは、この物質の組み合わせをMCP1で処理した場合に観測されるシグナルがIG1−IG2の会合によるものではないことを証明するものである。
【0263】
したがって、IG1がIG2と相互作用しないことは、IG1−IG2の会合ではなくIG2−IG3−IG1の会合の結果としてRC1とRC2とが近接することを示していることから、本実施例はケモカイン受容体とアンジオテンシン受容体との分子会合の更なる明確な根拠を与えるものである。このことは、シグナルがIG1特異的リガンドの非存在下におけるIG1とIG2の非特異的会合に起因するものではないことを示す更なる根拠となるものである。
【0264】
更に本実施例は、シグナルがIG2−IG3−IG1の会合によって発生するものであり、IG3の活性化がIG1のトランス活性化を引き起こし、このIG1がIG2と会合することによって、IG2とIG3とが会合せずにRC1とRC2とが近接することによって発生するものではないことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のケモカイン受容体サブユニットが少なくとも1個のアンジオテンシン受容体サブユニットと会合してなることを特徴とするヘテロ二量体又はヘテロオリゴマー受容体。
【請求項2】
ケモカイン受容体関連化合物の治療上の有効量を投与することを特徴とする、アンジオテンシン関連疾患を有する患者の治療方法。
【請求項3】
ケモカイン受容体関連化合物が、アンジオテンシン受容体と比較してケモカイン受容体に対して選択的であることを特徴とする請求項2に記載の治療方法。
【請求項4】
アンジオテンシン受容体関連化合物の治療上の有効量を投与することを特徴とするケモカイン関連疾患を有する患者の治療方法。
【請求項5】
アンジオテンシン受容体関連化合物が、ケモカイン受容体と比較してアンジオテンシン受容体に対して選択的である請求項4に記載の治療方法。
【請求項6】
受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてアンジオテンシン関連疾患に対する潜在的治療活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)前記試験化合物をケモカイン受容体に曝露する工程と、
b)前記試験化合物の非存在下における前記ケモカイン受容体の活性と比較して前記ケモカイン受容体の活性が調節されているか否か、又はその程度の少なくともいずれかを評価する工程と、を含み、
前記調節が前記アンジオテンシン関連疾患に対する潜在的治療活性を示すものであることを特徴とする方法。
【請求項7】
受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン関連疾患に対する潜在的治療活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)前記試験化合物をアンジオテンシン受容体に曝露する工程と、
b)前記試験化合物の非存在下における前記アンジオテンシン受容体の活性と比較して前記アンジオテンシン受容体の活性が調節されているか否か、又はその程度の少なくともいずれかを評価する工程と、を含み、
前記調節が前記ケモカイン関連疾患に対する潜在的治療活性を示すものであることを特徴とする方法。
【請求項8】
受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
前記ケモカイン受容体の非存在下で前記試験化合物が前記アンジオテンシン受容体と相互作用するか否か、又はその程度の少なくともいずれかと比較して、前記アンジオテンシン受容体が前記ケモカイン受容体と会合した状態で前記試験化合物が前記アンジオテンシン受容体と相互作用するか否か、又はその程度の少なくともいずれかを判定する工程を含み、
前記アンジオテンシン受容体が前記ケモカイン受容体と会合した状態で前記アンジオテンシン受容体と相互作用する場合に、より高い親和性、効力、及び薬効の少なくともいずれかを示す試験化合物が、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになることを特徴とする方法。
【請求項9】
受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な活性について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記試験化合物が前記ケモカイン受容体と相互作用するか否か、又はその程度の少なくともいずれかと比較して、前記ケモカイン受容体が前記アンジオテンシン受容体と会合した状態で前記試験化合物が前記ケモカイン受容体と相互作用するか否か、又はその程度の少なくともいずれかを判定する工程を含み、
前記ケモカイン受容体が前記アンジオテンシン受容体と会合した状態で前記ケモカイン受容体と相互作用する場合に、より高い親和性、効力、及び薬効の少なくともいずれかを示す試験化合物が、ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになることを特徴とする方法。
【請求項10】
受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な拮抗作用又は選択的な部分作動作用又は選択的な負のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記アンジオテンシン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)前記ケモカイン受容体を含む第3の物質と、
iv)前記アンジオテンシン受容体、前記ケモカイン受容体、及び/又は前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニストと、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とケモカイン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度の少なくともいずれかを判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度の少なくともいずれかの判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体のアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い拮抗特性、部分作動特性又は負のアロステリック調節特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになることを特徴とする方法。
【請求項11】
受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な拮抗作用、選択的な部分作動作用又は選択的な負のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記ケモカイン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)前記アンジオテンシン受容体を含む第3の物質と、
iv)前記アンジオテンシン受容体、前記ケモカイン受容体、及び/又は前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニストと、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とアンジオテンシン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度の少なくともいずれかを判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度の少なくともいずれかの判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体のアンタゴニスト、部分アゴニスト又は負のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い拮抗特性、部分作動特性又は負のアロステリック調節特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになることを特徴とする方法。
【請求項12】
受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な逆作動作用について試験化合物をスクリーニングための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記アンジオテンシン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)構成的な活性を有するケモカイン受容体を含む第3の物質と、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とケモカイン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、又はその程度の少なくともいずれかを判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、又はその程度の少なくともいずれかの判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体の逆アゴニストであるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い逆作動特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになることを特徴とする方法。
【請求項13】
受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対する逆作動作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記ケモカイン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)構成的な活性を有するアンジオテンシン受容体を含む第3の物質と、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とアンジオテンシン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、又はその程度の少なくともいずれかを判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの逆アゴニストであるか否か、又はその程度の少なくともいずれかの判定結果として前記シグナルの低下を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体の逆アゴニストであるか否か、又はその程度を判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い逆作動特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになることを特徴とする方法。
【請求項14】
受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な正のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記アンジオテンシン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)前記ケモカイン受容体を含む第3の物質と、
iv)前記アンジオテンシン受容体、前記ケモカイン受容体、及び/又は前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニストと、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とケモカイン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの正のアロステリック調節因子であるか否か、及び/又はその程度を判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの正のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度の少なくともいずれかの判定結果として前記シグナルの増大を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体の正のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度の少なくともいずれかを判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い正のアロステリック調節特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになることを特徴とする方法。
【請求項15】
受容体活性の変化を検出可能な検出器を用いてケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに選択的な正のアロステリック調節作用について試験化合物をスクリーニングするための方法であって、
a)
i)第1のレポーター要素と結合された前記ケモカイン受容体を含む第1の物質と、
ii)第2のレポーター要素と結合された相互作用基を含む第2の物質と、
iii)前記アンジオテンシン受容体を含む第3の物質と、
iv)前記アンジオテンシン受容体、前記ケモカイン受容体、及び/又は前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーのアゴニストと、を含むシステムであって、前記第1及び第2のレポーター要素が近接するとシグナルを発生し、調節因子が前記相互作用基とアンジオテンシン受容体との会合を調節するシステムと前記試験化合物とを接触させることによって、前記試験化合物が、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの正のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度の少なくともいずれかを判定する工程と、
b)前記試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの正のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度の少なくともいずれかの判定結果として前記シグナルの増大を検出する工程と、更に場合により、
c)前記試験化合物が、前記アンジオテンシン受容体の非存在下で前記ケモカイン受容体の、また、前記ケモカイン受容体の非存在下で前記アンジオテンシン受容体の正のアロステリック調節因子であるか否か、又はその程度の少なくともいずれかを判定する工程と、を含み、前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーと相互作用する場合に、より高い正のアロステリック調節特性を示す試験化合物が前記ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーに対して選択的であることになることを特徴とする方法。
【請求項16】
ケモカイン受容体/アンジオテンシン受容体のヘテロ二量体/オリゴマーの選択的アゴニスト、選択的アンタゴニスト、選択的逆アゴニスト、及び/又は選択的アロステリック調節因子。
【請求項17】
ケモカイン受容体及びアンジオテンシン受容体の両方を過剰発現している細胞、又は細胞の画分。
【請求項18】
ケモカイン受容体を過剰発現し、アンジオテンシン受容体を内因的に発現している細胞、又は細胞の画分。
【請求項19】
アンジオテンシン受容体を過剰発現し、ケモカイン受容体を内因的に発現している細胞、又は細胞の画分。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−521967(P2012−521967A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501083(P2012−501083)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000355
【国際公開番号】WO2010/108232
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(511233887)ディメリックス バイオサイエンス ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】