説明

新規な含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩

【課題】従来技術と比べて、難燃化プラスチックを高性能化するための先進材料として期待できる含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸誘導体を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される
【化1】


(式中のRf及びRfはそれぞれ同一又は互いに異なるペルフルオロアルキル基を、R3fはペルフルオロアルキレン基であり、また、Yは-OMで表される金属アルコキシド基、−NHM又は=NMで表される金属アミド基又は金属イミド基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム塩を示す)
含窒素ペルフルオロアルカンカンスルホン酸塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペルフオロ(N,N-ジアルキルアミノ)基を有するペルフルオロアルカンスルホン酸の塩、並びにこのものを含有してなる難燃化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、難燃性グレードのプラスチックやカーテンなどには、有機臭素系化合物や有機リン化合物(リン酸エステル類)などが広く使用されているが、最近、これらの難燃化剤による環境汚染が大きな社会問題になっている。
すなわち、難燃化剤として使用されてきた臭素系化合物からはダイオキシン類の発生が観測され、また、有機リン化合物については多様で複雑な神経毒性が明らかになってきており、安全性の高い難燃化剤の開発がますます重要な課題になっている。
【0003】
一方、ポリカーボネート系プラスチックなどへの難燃性を付与するための添加剤として、炭素数が4から8までのペルフルオロブタンスルホン酸やペンタンフルオロヘキサンスルホン酸のアルカリ金属塩やイミド塩が公知である(特許文献1〜4)。
これらのペルフルオロアルカンスルホン酸塩は、従来の難燃化剤に比べて、他の添加剤との相溶性や樹脂の透明特性に優れ、熱安定性と同時に高度の難燃性を付与できることなどの特長があるものの、プラスチックの高性能化のためには、更に少量の添加で高度の火焔耐力を付与できる高性能のフッ素系難燃化剤の開発が求められている。
【0004】
しかしながら、これまでに可燃性の熱可塑性樹脂などに耐焔性を付与できるフッ素系添加剤としては、上述のペルフルオロブタンスルホン酸やペルフルオロヘキサンスルホン酸などの数種のスルホン酸誘導体が知られているのみであり、フッ素系難燃化剤としての選択の巾が制限されることを免れることができなかった。
【0005】
【特許文献1】英国特許第1,299,618号明細書(1970)
【特許文献2】特公昭47-40445号公報
【特許文献3】特公昭54-32456号公報
【特許文献4】特開2004-83831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、少量の添加でも高い難燃性を呈し、たとえば可燃性の熱可塑性樹脂などに、難燃化性を付与するための添加剤として有用な新規なペルフオロ(N,N-ジアルキルアミノ)基を有するペルフルオロアルカンスルホン酸の塩(ナトリウム、カリウム、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミドやイミドの塩など)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、長年、含窒素ペルフルオロカルボン酸の合成、並びにそれらより合成される含窒素ペルフルオロアルキル基を含有する官能性化合物について鋭意検討してきたが、(CF3)2N-,
(C2F5)2N-, CF3(C2F5)N-などのペルフルオロジアルキルアミノ基を持つスルホン酸塩(アルカリ金属、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩等)が、ペルフルオロアルキルラジカルを効率良く発生出来る分子構造を有し、熱可塑性樹脂等への添加型の不燃化剤として使用した場合には、従来公知のペルフルオロアルキルスルホン酸塩よりも高い不燃化性能を付与し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) 一般式(1)
【化1】

(式中のRf及びRfはそれぞれ同一又は互いに異なるペルフルオロアルキル基であり、R3fはペルフルオロアルキレン基を示す。また、Yは-OMで表される金属アルコキシド基、−NHM又は=NMで表される金属アミド基又は金属イミド基を示し、Mはカリウム、ナトリウム、アルカリ土類金属、又はアンモニウム塩を示す)で表される含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩。
(2) 一般式(1)において、R3fが炭素数1〜2のペルフルオロアルキレン基であり、YがONa又はOKであることを特徴とする上記(1)に記載の含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩。
(3) 下記一般式(2)で表される含窒素ペルフルオロアルキルハロゲニドを、非プロトン性溶媒中、還元剤と弱アルカリ金属塩の存在下に亜硫酸ガスと反応させて、下記一般式(3)で表わされる含窒素ペルフルオロアルカンスルフィン酸塩を得、これを酸化した後、フッ素化物とし、ついで対応する塩とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩の製造方法。
【化2】

(式中のRf、Rf及びR3fは一般式(1)と同じ。Xはヨウ素又は臭素原子を表す)
【化3】

(式中のRf、Rf、R3f及びYは、前記一般式(1)と同じ。
(4)上記一般式(2)で表される含窒素ペルフルオロアルキルハロゲニドを、亜二チオン酸塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩、亜硫酸水素塩、及びピロ亜硫酸塩から選ばれた試薬と反応させて上記一般式(3)で表わされる含窒素ペルフルオロアルカンスルフィン酸塩を得、酸化した後、これをフッ素化物し、ついで対応する塩とすることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩の製造方法。
(5) 上記一般式(2)で表される含窒素ペルフルオロアルキルハロゲニドを、非プロトン性溶媒中、IIB族の金属の存在下に亜硫酸ガスと反応させて、下記一般式(4)で表わされる含窒素ペルフルオロアルカンスルフィン酸塩を得、これを酸化した後、フッ化物とし、ついで対応する塩とすることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩の製造方法。
【化4】

(式中のRf、Rf及びR3fは一般式(1)と同じ。Xはヨウ素又は臭素原子を表す。またZはIIB族の金属を示し、mは2又は1で、nは0又は1である)
(6)上記(1)又は(2)に記載の含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩を含有してなる難燃化剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る新規な含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩は、分子中に(CF3)2N-,
(C2F5)2N-, CF3(C2F5)N-などのペルフルオロ(N,N-ジアルキルアミノ)基を持ち、難燃化剤として使用した場合には、効率良くペルフルオロアルキルラジカルを発生できる構造を有することから、従来公知のペルフルオロアルカンスルホン酸塩よりも高い不燃化能の付与が可能である。従って、本発明化合物は、フッ素系難燃化剤の先進材料として工業的価値の極めて高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る難燃化剤として有用な新規な含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩は、下記一般式(1)で示される。
【化5】

(式中のRf及びRfはそれぞれ同一又は互いに異なるペルフルオロアルキル基を、R3fはペルフルオロアルキレン基を示す。また、Yは-OMで表される金属アルコキシド基、−NHM又は=NMで表される金属アミド基又は金属イミド基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム塩を示す)
【0010】
前記一般式(1)において、Rf及びRfとしては、炭素数1〜5の分岐状又は直鎖状のペルフルオロアルキル基が挙げられ、炭素数1〜3のペルフロアルキル基が好ましい。
【0011】
また、下記式で示されるアミノ基
【化6】

の例としては、以下のようなものを挙げることができる。
【化7】

【0012】
また、R3fの例としては、炭素数1〜4の分岐状又は直鎖状のペルフルオロアルキレン基が挙げられ、たとえば以下のようなものが例示される。好ましいR3fは炭素数1〜2のペルフロアルキル基である。
【化8】

また、Yは-OMで表される金属アルコキシド基、−NHM又は=NMで表される金属アミド基や金属イミド基を示し、Mとしては、Na, K, Li, Ca, Mg、アンモニウム塩などを挙げることができる。
【0013】
本発明の前記一般式(1)で示される化合物は、たとえば、Yが-OMで表される金属アルコキシド塩の場合は、含窒素ペルフルオロアルカンスルフィン酸塩を過酸化水素で酸化することにより、或いは含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸ハロゲン化物を相当する水酸化アルカリ、又はアルカリ土類金属の水溶液で中和し、蒸発乾固の後で抽出操作により製造することができる。又はより簡便な合成法として、ペルフルオロアルカンスルホン酸フルオリドを、ナトリウムトリメチルシリルアルコラート[分子式:(CH3)3SiONa]やカリウムトリメチルシリルアルコラート[分子式:(CH3)3SiOK]などのようなトリアルキルシリルアルコラート等と反応させるそれ自体既知の塩合成を適用することにより、簡便に対応する含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩とすることができる。
【0014】
この場合、原料の含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸ハロゲン化物は、1)含窒素アルカンスルホン酸クロリド・塩酸塩の電解フッ素化反応、あるいは2)相当する含窒素ペルフルオロアルカンハロゲン化物を原料として、これをスルフィニル化反応に付すことにより簡単に合成することができる。本発明で好ましく採用される方法は2)の方法である。
【0015】
2)の方法の具体例としては、たとえば、
下記一般式(2)
【化9】

(式中のRf、Rf及びR3fは前記と同じ)
で表される含窒素ペルフルオロアルキルハロゲニドからまず下記一般式(3)または下記一般式(4)で示される含窒素ペルフルオロアルカンスルフィン酸塩を合成し、このものを酸化し、しかる後フッ化物とし、ついで塩とする方法などを挙げることができる。
【化10】

(式中のRf、Rf、R3f及びYは、前記一般式(1)と同じ。)

【化11】

(式中のRf、Rf及びR3fは一般式(1)と同じ。Xはヨウ素又は臭素原子を表す。またZはIIB族の金属を示し、mは2又は1で、nは0又は1である)
【0016】
これらのスルフィン酸塩の合成方法としては、前記一般式(2)で表される含窒素ペルフルオロアルキルハロゲン化物を、(a)非プロトン性極性溶媒中、弱アルカリ金属塩の存在下還元剤とともに亜硫酸ガスで反応させる方法、(b)弱アルカリ性水溶液中、亜二チオン酸塩、重亜硫酸塩やヒドロキシメタンスルフィン酸塩などを用いて脱ハロゲンスルニル化反応する方法、又は(c)非プロトン性極性溶媒中、亜鉛やカドミウムなどのIIB族の金属とともに亜硫酸ガスと反応させる方法などを挙げることができる。
【0017】
本発明の難燃化性効果を高めるために分子設計された新規な含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩は、(CF3)2N-,
(C2F5)2N-, CF3(C2F5)N-などのペルフルオロ(N,N-ジアルキルアミノ)基を持つために、難燃化剤として使用した場合には、効率良くペルフルオロアルキルラジカルを発生できる構造を有することから従来公知のペルフルオロアルカンスルホン酸塩よりも高い不燃化能の付与が可能である。また、導入された含窒素ペルフルオロアルキル基の特性により、表面の汚染性や帯電防止性能の改善などの相乗的な効果も期待できる。
【0018】
したがって、本発明化合物は、難燃性(耐焔性)の付与が要求されるたとえば紙、樹脂、合成ゴム、シリコーンなどの種々の材料およびこれらからなる製品の難燃化剤として好適に利用することができる。
本発明で好適に使用される材料は、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂である。
【0019】
また、本発明化合物を熱可塑性樹脂の難燃化剤として使用する場合には、樹脂と均一に分散させるために、その形状できるだけ小さくし、好ましくは100ミクロン以下の粒径としておくことが望ましい。
【0020】
添加する量は、難燃性樹脂組成物中において、0.001重量%〜3重量%の範囲、好ましくは0.005重量%〜0.1重量%の範囲が選ばれるが、それぞれ樹脂の特性や、他の添加剤(酸化防止剤、充填剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤など)の種類や量に応じて適宜選択される。各成分の配合方法や混合の順序は特に限定されない。
【0021】
また、本発明の難燃化剤には、その性能を損なわない範囲で、従来公知の水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウムなどのような金属水酸化物や三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどのアンチモン化合物のような難燃化剤を含有させてもよい。
【実施例】
【0022】
次に、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら規制されるものではない。
【0023】
実施例1
[ペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルフィン酸ナトリウム]、並びにペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルホン酸クロリド]の調製]
原料として用いたペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルヨージド]は、3-ジメチルアミノプロピオン酸メチルの電解フッ素化反応により得られた粗製のペルフルオロ[3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピオニルフルオリド]とヨウ化リチウムとの反応により合成した。
上部にコールドフィンガー(ドライアイス)の付属した還流冷却器(0℃)を三口フラスコ(50mL)に、接続した。この中に25mLのジメチルホルムアミドを仕込み、室温で磁気撹拌しながら、21分間亜硫酸ガスを60mL/minの割合で吹き込んだ。次いで蟻酸ナトリウム(1.02g)を加えて、フルオロカーボン{この中にペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルヨージド]1.93gを含む}2.87gを10分間かけて滴下した。三時間反応後、濾過により不溶物を除いた後で、溶媒を留去したところ、白いペースト状の化合物が得られた。この化合物を19F-NMRにより分析したところ、大部分がペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルフィン酸ナトリウム]であることが分かった。次いで、この化合物に10mLの水を加えて溶解し、濾過した後で、塩素ガスを50mL/minの割合で10分間吹き込んだところ、徐々に黄色透明の液体(上層)とフルオロカーボンに分離してきた。このフルオロカーボン(1.15g)をガスクロマトグラフィー(キャリアーガス:He、液層:Fomblin-H、担体:60〜80メッシュ Chromosorb
PAW)、IR、19F-NMR、Massなどにより分析したところ、ほぼ純粋(95.3% pure)のペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルホン酸クロリド]であった(収率:64%)。
ペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルフィン酸ナトリウム] 及びペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルホン酸クロリド]は文献未載の新規化合物である。
ペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルフィン酸ナトリウム]の19F-NMRデータは次の通りである。

19F-NMRデータ
【化12】


ケミカルシフト(ppm: 外部標準:CF3C(O)OH基準/溶媒:CD3C(O)CD3)
(1) 25.8 (triplet-triplet)
(2) -12.1 (septet)
(3) -52.2 (septet)

カップリングコンスタント(Hz)
(1)−(2)=14-17、(1)−(3)=8.5

ペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルホン酸クロリド]は沸点95.5〜96.5℃、nD20
1.3303、d420 1.7949を有する室温では透明の液体である。また、該化合物の分光学的データ(IR, MS及び19F-NMR)は次の通りである。

IRデータ (gas)
1435 (ms) ν(asym SO2).

質量分析データ
252 [M-S(O)2Cl]+
(0.8), 69 CF3+ (100).

19F-NMRデータ
【化13】

ケミカルシフト(ppm: CFCl3基準/溶媒:CDCl3)
(1) -52.8 (triplet-triplet)
(2) -88.1 (septet)
(3) -105.1 (septet)

カップリングコンスタント(Hz)
(1)−(2)=14.1、(1)−(3)=8.5
【0024】
[ペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルホン酸フルオリド]の調製]
ペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルホン酸クロリド] 2.22g (純度90%)とフッ化セシウム1.46gを50mlステンレス反応容器中に仕込み、70℃で17時間反応させたところ、ペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルホン酸フルオリド]1.78g(5.31mmol)が得られた(収率:94%)。該化合物は、物理化学性質として、沸点108.0~108.5℃、nD20
1.2999、d420 1.8445を有する室温では透明の液体である。また、該化合物の分光学的データ(IR, MS及び19F-NMR)は次の通りである。

IRデータ (gas)
1474 (ms) ν(asym SO2).

質量分析データ
202 [M-CF2S(O)2F]+
(27.3), 69 CF3+ (100).

19F-NMRデータ
【化14】

ケミカルシフト(ppm: CFCl3基準/溶媒:CDCl3)
(1) -52.8 (multiplet)
(2) -89.6 (multiplet)
(3) -108.5 (multiplet)
(4) 45.6 (multiplet)
【0025】
[ペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルホン酸ナトリウム]の調製]
磁気攪拌子を含むフラスコ(50ml)に、ナトリウム トリメチルシラノレート[分子式:(CH3)3SiONa]
(7mmol)の塩化メチレン溶液を加えた。この中にペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルホン酸フルオリド]2.28g(6.8mmol)を、真空ラインを使って移送し、室温で20時間反応後、溶媒を除去したところ、ペルフルオロ[2-(ジメチルアミノ)エタンスルホン酸ナトリウム]が白色の固体(1.58g)として得られた(収率:65%)。該化合物は、融点が380℃以上を持つ文献未載の新規化合物であり、該化合物の19F-NMRデータは次の通りである。
【化15】

ケミカルシフト(ppm: 外部標準:CF3C(O)OH/溶媒:CD3C(O)CD3)
(1) 26.0 (triplet-triplet)
(2) -11.0 (heptet)
(3) -36.5 (heptet)

カップリングコンスタント (Hz)
(2)-(1)=14.1、(3)-(1)=8.5
【0026】
[ペルフルオロ[2-(ジメチルアミノ)エタンスルホン酸カリウム]の調製]
ナトリウム トリメチルシラノレートの替わりに、カリウム
トリメチルシラノレートを使用した以外は、上記と同様にして実験を行った。ペルフルオロ[2-(ジメチルアミノ)エタンスルホン酸カリウム]は、文献未載の新規化合物であり、融点が380℃以上を持つ白色の固体として得られた(収率:60%)。該化合物の19F-NMRデータは次の通りである。
【化16】

ケミカルシフト(ppm: 外部標準:CF3C(O)OH/溶媒:CD3C(O)CD3)
(1) 26.0 (triplet-triplet)
(2) -11.0 (heptet)
(3) -36.5 (heptet)

カップリングコンスタント (Hz)
(2)-(1)=14.1、(3)-(1)=8.5

【0027】
実施例2
[ペルフルオロ[2-(ジエチルアミノ)エタンスルフィン酸ナトリウム]、並びにペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルホン酸クロリド]の調製]
原料として用いたペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エチルヨージド]は、3-(ジエチルアミノ)プロピオン酸メチルの電解フッ素化反応により得られた粗製のペルフルオロ[3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピオン酸フルオリド]とヨウ化リチウムとの反応により合成した。
容量が200mlのナスフラスコに、混合溶媒(20mlの水と4mLのアセトニトリル)、亜二チオン酸
(7.1g) 、重炭酸ナトリウム(2.4g)を仕込み、次いでこの中にフルオロカーボン14.4g{この中にペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エチルヨージド]
9.4gを含む}を滴下し、磁気撹拌しながら60℃で10時間反応を行った。反応後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、更に反応生成物を蒸発乾固してから酢酸エチルで抽出し、溶媒を除去したところ、褐色の固体(11.8g)が得られた。この化合物の19F-NMRにより分析したところ、大部分がペルフルオロ[2-(ジエチルアミノ)エタンスルフィン酸ナトリウム]であることが分かった。次いでこの化合物を、30mlの水に溶解し、50mlの三口フラスコを用いて、塩素ガスを約20mlの割合で60分間吹き込んだところ上層は黄色透明の液体になり、下層にはフルオロカーボンが生成してきた。このフルオロカーボンをガスクロマトグラフィー(キャリアーガス:He、液層:Fomblin-H、担体:60〜80メッシュ Chromosorb
PAW)、IR、19F-NMR、Massなどにより分析したところ、ペルフルオロ[2-(ジエチルアミノ)エタンスルホン酸クロリド]7.9g(17.5mmol)が得られた(収率:89%)。ペルフルオロ[2-(ジエチルアミノ)エタンスルフィン酸ナトリウム]及び[ペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルホン酸クロリド]は文献未載の新規化合物である。
ペルフルオロ[2-(ジエチルアミノ)エタンスルフィン酸クロリド]の19F-NMRデータは次の通りである。

19F-NMRデータ
【化17】


ケミカルシフト(ppm: 外部標準:CF3C(O)OH基準/溶媒:CD3C(O)CD3)
(1) -3.0 (multiplet)
(2) -10.8 (multiplet )
(3) -6.2 (multiplet )
(4) -49.9 (multiplet )

[ペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルホン酸クロリド]は、沸点142〜144℃、nD20
1.3317、d420 1.8541を有する室温では透明の液体である。また、該化合物の分光学的データ(IR, MS及び19F-NMR)は次の通りである。

IRデータ (gas)
1435 (ms) ν(asym SO2).

質量分析データ
302 [M-CF2S(O)2Cl]+
(5.8), 119 C2F5+ (100).

19F-NMRデータ
【化18】

ケミカルシフト(ppm: CFCl3基準/溶媒:CDCl3)
(1) -81.6 (multiplet)
(2) -89.6 (multiplet )
(3) -82.3 (multiplet )
(4) -101.2 (multiplet )

【0028】
[ペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルホン酸フルオリド]の調製]
ペルフルオロ[2-(ジメチルアミノ)エタンスルホン酸クロリド]の替わりにペルフルオロ[2-(ジエチルアミノ)エタンスルホン酸クロリド]を用いた以外は、実施例1と同様にして実験を行った(収率:73%)。ペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルホン酸フルオリド]は文献未載の新規化合物であり、物理化学性質として、沸点108〜108.5℃、nD20
1.2999、d420 1.8445を有する室温では透明の液体である。また、該化合物の分光学的データ(IR, MS及び19F-NMR)は次の通りである。

IRデータ (gas)
1474 (ms) ν(asym SO2).

質量分析データ
302 [M-CF2S(O)2F]+
(6.0), 119 C2F5+ (100).

19F-NMRデータ
【化19】

ケミカルシフト(ppm: CFCl3基準/溶媒:CDCl3)
(1) -81.6 (multiplet)
(2) -89.6 (multiplet )
(3) -83.3 (multiplet )
(4) -104.4 (multiplet )
(5) 45.0 (multiplet)
【0029】
[ペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルホン酸]カリウムの調製]
ペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルホニルフルオリド]の替わりに、ペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルホニルフルオリド]を使用した以外は、実施例1と同様にして実験を行った。ペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルホン酸カリウム]は、文献未載の新規化合物であり、融点が380℃以上を持つ白色の固体として得られた(収率:62%)。また、該化合物の19F-NMRデータは次の通りである。
【化20】

ケミカルシフト(ppm: 外部標準:CF3C(O)OH/溶媒:CD3C(O)CD3)
(1) -2.3 (multiplet)
(2) -10.2 (multiplet )
(3) -5.2 (multiplet )
(4) -33.8 (multiplet )
【0030】
実施例3
[ペルフルオロ[(N,N-ジメチルアミノ)メタンスルフィン酸ナトリウム]、並びにペルフルオロ[(N,N-ジメチルアミノ)メタンスルホン酸クロリド]の調製]
原料としてペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルヨージド]の代わりにペルフルオロ[(N,N-ジメチルアミノ)メチルヨージド]を用いた以外は、実施例2と同様にして反応を行った。ペルフルオロ[(N,N-ジメチルアミノ)メチルヨージド]
はN,N-ジメチルアミノ酢酸メチルの電解フッ素化反応により得られたペルフルオロ(N,N-ジメチルアミノ酢酸フルオリド)とヨウ化リチウムとの反応により合成した。
得られたペルフルオロ[(N,N-ジメチルアミノ)メタンスルフィン酸ナトリウム]及びペルフルオロ[(N,N-ジメチルアミノ)メタンスルホン酸クロリド]は文献未載の新規化合物である。
ペルフルオロ[(N,N-ジメチルアミノ)メタンスルフィン酸ナトリウム] の19F-NMRデータは次の通りである。

19F-NMRデータ
【化21】


ケミカルシフト(ppm: 外部標準:CF3C(O)OH基準/溶媒:CD3C(O)CD3)
(1) 25.3 (triplet)
(2) -80.6 (heptet)

カップリングコンスタント(Hz)
(1)−(2)=9-11

ペルフルオロ[(N,N-ジメチルアミノ)メタンスルホン酸クロリド]は物理化学性質として、沸点85.5〜86.5℃、nD20
1.3340、d420 1.7631、を有する室温では透明の液体である。また、該化合物の分光学的データ(IR,
MS及び19F-NMR)は次の通りである。

IRデータ (gas)
1431 (ms) ν(asym SO2).

質量分析データ
202 [M-S(O)2Cl]+
(33.5), 69 CF3+ (100).

19F-NMRデータ
【化22】

ケミカルシフト(ppm: CFCl3基準/溶媒:CDCl3)
(1) -52.6 (triplet)
(2) -80.6 (heptet)

カップリングコンスタント(Hz)
(1)−(2)=14.1
【0031】
[ペルフルオロ[(N,N-ジメチルアミノ)メタンスルホン酸フルオリド]の調製]
ペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルホン酸クロリド]の替わりにペルフルオロ[(N,N-ジメチルアミノ)メタンスルホン酸クロリド]を用いた以外は、実施例1の場合と同様にして実験を行った(収率:95%)。ペルフルオロ[(N,N-ジエチルアミノ)メタンスルホン酸フルオリド]は文献未載の新規化合物であり、室温では揮発性の液体であった{沸点:61.2℃(蒸気圧測定による)}。また、該化合物の分光学的データ(IR,
MS及び19F-NMR)は次の通りである。

IRデータ (gas)
1470 (ms) ν(asym SO2).

質量分析データ
202 [M-S(O)2F]+
(41.5), 69 CF3+ (100).

19F-NMRデータ (#2585)
【化23】

ケミカルシフト(ppm: CFCl3基準/溶媒:CDCl3)
(1) -52.9 (triplet-doublet)
(2) -80.3 (heptet-doublet)
(3) 37.5 (multiplet)

カップリングコンスタント(Hz)
(1)−(2)=14.1
(2)−(3)=14.1
(1)−(3)=2.8
【0032】
[ペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)メタンスルホン酸ナトリウム]の調製]
ペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルホン酸フルオリド]の替わりに、ペルフルオロ[(N,N-ジメチルアミノ)メタンスルホン酸フルオリド]を使用した以外は、実施例1と同様にして実験を行った。ペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)メタンスルホン酸ナトリウム]は、文献未載の新規化合物であり、融点が380℃以上を持つ白色の固体として得られた(収率:61%)。また、該化合物の19F-NMRデータは次の通りである。

19F-NMRデータ
【化24】

ケミカルシフト(ppm: 外部標準:CF3C(O)OH/溶媒:CD3C(O)CD3)
(1) 26.4 (triplet)
(2) -7.1 (heptet)

カップリングコンスタント(Hz)
(1)−(2)=14.1

【0033】
実施例4
[ペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルフィニル亜鉛ヨージド]、並びにペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルホン酸クロリド]の合成]
原料として用いたペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エチルヨージド]は、3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピオン酸メチルの電解フッ素化反応により得られたペルフルオロ[3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピオン酸フルオリド]とヨウ化リチウムとの反応により合成した。
コールドフィンガー(ドライアイス)の付属した三口フラスコ(容量:50ml)に、ジメチルスルホキシド(DMSO)(6ml)と銅―亜鉛2元金属粉末(Zn/Cu){文献記載の方法により調製:H.
Blancou, A. Commeyras, J. Fluorine Chemistry, 9, 309 (1977)}0.83gを仕込み、磁気撹拌しながら、温度を40〜45℃に保った。次いで、この中に亜硫酸ガスを25ml/minの割合で吹き込みながら、20分を要して、原料のフルオロカーボン{この中にペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エチルヨージド65.3%を含む]7.38gを滴下し、更に15分間、亜硫酸ガスを吹き込みながら攪拌を続けたところ、黄緑色の粘ちゅうな液体を与えた。次に、大部分のDMSOを減圧で留去し、この化合物を19F-NMRにより分析したところ、大部分がペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルフィニル亜鉛ヨージド]であることが分かった。次いで、この化合物を15mlの水に溶解、ロ過した後で、塩素ガスを20mLの割合で30分間吹き込んだところ上層は赤褐色の液体になり、下層にはフルオロカーボンが生成してきた(3.00g)。このフルオロカーボンを分離ロ過し、5mlの水を加えて、もう一度10分間塩素ガスを吹き込んだところ、無色透明なフルオロカーボンが得られた。これをガスクロマトグラフィー(キャリアーガス:He、液層:Fomblin-H、担体:60〜80メッシュ Chromosorb
PAW)、IR、19F-NMR、Massなどにより分析したところ、ペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルホン酸クロリド] 3.00gが得られた(収率:67%)。
ペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルフィニル亜鉛ヨージド]は文献未載の新規化合物であり、その19F-NMRデータは次の通リである。

19F-NMRデータ
【化25】


ケミカルシフト(ppm: 外部標準:CF3C(O)OH基準/溶媒:(CD3)2SO)
(1) -2.1 (multiplet)
(2) -10.4 (multiplet)
(3) -6.1 (multiplet)
(4) -48.6 (multiplet)
【0034】
[ペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルホン酸カリウム]の調製]
得られたペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルホン酸クロリド]は、実施例2に準じて、まずフッ化セシウムと処理することによりペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルホン酸フルオリド]に誘導し、次いで、カリウム
トリメチルシラノレートと反応させることにより相当するペルフルオロ[2-(N,N-ジエチルアミノ)エタンスルホン酸カリウム]を合成した。
【0035】
実施例5
[含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩の難燃性の評価]
難燃性の評価は、評価の対象となる含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩を含浸させた試験紙を調製し、一定の長さの試験紙が燃焼に要する時間と基準物質{ペルフルオロブタンスルホン酸カリウム((株)ジェムコ社製)}の燃焼時間と比較することにより行った。
【0036】
[試験紙の調製、及び実験方法]
一定の濃度(2%及び3%)に調製した含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩(PAS塩)の水溶液中に、短冊形(巾10mm×長さ120mm)に切り抜いたロ紙(Advantec社製 No.1)を含浸、乾燥させることにより試験紙を調製した。ロ紙には、燃焼時間の測定のために先端より20mmと90
mmの位置に目印をつけた。調製した試験紙は、横長に水平に縦置きに配置して、片方の末端を固定した。次いで、試験紙の末端に着火して、長さ20mmの予備燃焼の後で、規定の長さ(70mm)まで燃焼に要する時間を測定、比較することにより難燃性を評価した。これらの結果を表1に示した。
【0037】
【表1】

1)ロ紙1gあたりに換算したPAS塩含有量
2)2%PAS塩の水溶液で調製
3)3%PAS塩の水溶液で調製
4)着火後に、6〜7秒後に自然鎮火
5)着火後に、2〜3秒後に自然鎮火
【0038】
表1において、Run2とRun3の結果を比較すると、Run2における基準物質[ペルフルオロブタンスルホン酸カリウム]が80〜87 mg/gの含有量で試験紙の燃焼時間が20〜24秒であるのに対して、Run3では、該発明化合物のペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルホン酸カリウム]を使用した場合には、基準物質よりも少ない40〜47
mg/gの含有量で規定の長さの試験紙が燃焼する前に自然鎮火することから、明らかにペルフルオロ[2-(N,N-ジメチルアミノ)エタンスルホン酸カリウム]の方がより燃焼性の抑制効果があると結論される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中のRf及びRfはそれぞれ同一又は互いに異なるペルフルオロアルキル基であり、R3fはペルフルオロアルキレン基を示す。また、Yは-OMで表される金属アルコキシド基、−NHM又は=NMで表される金属アミド基又は金属イミド基を示し、Mはナトリウム、カリウム、アルカリ土類金属、又はアンモニウム塩を示す)で表される含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩。
【請求項2】
一般式(1)において、R3fが炭素数1〜2のペルフルオロアルキレン基であり、YがONa又はOKであることを特徴とする請求項1に記載の含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩。
【請求項3】
下記一般式(2)で表される含窒素ペルフルオロアルキルハロゲニドを、非プロトン性溶媒中、還元剤と弱アルカリ金属塩の存在下に亜硫酸ガスと反応させて、下記一般式(3)で表わされる含窒素ペルフルオロアルカンスルフィン酸塩を得、これを酸化した後、フッ化物とし、ついで対応する塩とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩の製造方法。

【化2】

(式中のRf、Rf及びR3fは一般式(1)と同じ。Xはヨウ素又は臭素原子を表す)

【化3】

(式中のRf、Rf、R3f及びYは、前記一般式(1)と同じ。)

【請求項4】
上記一般式(2)で表される含窒素ペルフルオロアルキルハロゲニドを、亜二チオン酸塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸塩、亜硫酸水素塩、及びピロ亜硫酸塩から選ばれた試薬と反応させて上記一般式(3)で表わされる含窒素ペルフルオロアルカンスルフィン酸塩を得、これを酸化した後、フッ化物とし、ついで対応する塩とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩の製造方法。

【請求項5】
上記一般式(2)で表される含窒素ペルフルオロアルキルハロゲニドを、非プロトン性溶媒中、IIB族の金属の存在下に亜硫酸ガスと反応させて、下記一般式(4)で表わされる含窒素ペルフルオロアルカンスルフィン酸塩を得、これを酸化した後、フッ化物とし、ついで対応する塩とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩の製造方法。

【化4】

(式中のRf、Rf及びR3fは一般式(1)と同じ。Xはヨウ素又は臭素原子を表す。またZはIIB族の金属を示し、mは2又は1で、nは0又は1である)

【請求項6】
請求項1又は2に記載の含窒素ペルフルオロアルカンスルホン酸塩を含有してなる難燃化剤。

【公開番号】特開2006−1839(P2006−1839A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176443(P2004−176443)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】