説明

新規な結晶構造を有するチオアルミン酸バリウム蛍光体材料

本発明は、高い輝度を改善された色座標を有し、新規な結晶構造を有するチオアルミン酸蛍光体化合物BaAl及びBaAlを提供する。また、本発明は、フィルムからのエレクトロルミネッセンス光放出を増加させる新規な結晶格子構造を有する蛍光体化合物を含む希土類元素で活性化されたチオアルミン酸バリウム蛍光体フィルムに関する。この蛍光体フィルムは、電子放出ディスプレイに使用され、特に、圧膜誘電体電子放出ディスプレイに使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チオアルミン酸バリウム蛍光体の輝度とエネルギー効率の改善に関する。より詳細には、本発明は、高い光輝と改善された表色を示す新規な結晶構造を有する新規なチオアルミン酸バリウム蛍光体を提供する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーロピウムで活性化されたチオアルミン酸バリウムまたはチオアルミン酸化膜バリウムマグネシウム薄膜蛍光体は、薄膜誘電体電子発光ディスプレイで使用されている。これらの蛍光体材料の性能は、全体の表示構造に対する改善、特に、蛍光体フィルムに近接する化学障壁層及び電子注入強化層の提供を介すると共に、最新の蒸着及び結晶化方法を用いて実質的に向上されており、従来技術で知られるこれらの蛍光体材料によって提供されるものよりも高い輝度とエネルギー効率を有する蛍光体材料を有することが依然として望まれている。
【0003】
従来技術のBaAl及びBaAl化合物は、それぞれ1つの結晶構造を有するものと同定されている。BaAlにおいて、ここでBaAl(I)について言及すると、これは、12.65オングストローム単位の格子定数を有し、結晶対称性を定義するハーマンマウギン(Hermann Mauguin)空間群Pa−3に従って配置された結晶単位内に12個のBaAl分子を含む立方格子である。ハーマンマウギン空間群の定義は、ローレンスライブモアナショナル研究所(Lawrence Livemore National Laboratory;LLNL)のウェブサイトである“http://www.structure.llnl.gov/xray/comp/sapce instr/htm”で見ることができる。上述され、X線回折データで決定されたこの化合物の結晶構造は、“Materials Research Bulletin Volume 17(1992), page 1169”で公開されている。このBaAl(I)の結晶構造は、銅Kα線(Cu Kα x−rays)が回折データを生成するために使用された場合、回折角θ=15.7度及び23.3度におけるX線回折反射を有して特徴付けられる。この結晶構造は、バリウム原子を含む12の原子サイトを有し、それらのうちの8つは、その空間群の対称要素によって等価的であり、残りの4つも、その空間群の対象要素によって関連付けられているが、バリウム原子の2つの群は、結晶格子内の原子的に非等価のサイトを占める。化学的にバリウムに類似するユーロピウムがその化合物にドーピングされた場合、ユーロピウム原子が、バリウム原子によって占有されていた原子サイトを通常占有するであろうことが理解される。ユーロピウム原子が占有することができる2つ異なるサイトがあり、従って、各々のサイトのタイプに対応するユーロピウムによって異なるエレクトロルミネッセンス放出特性を引き起こすことが理解される。
【0004】
BaAlにおける周知の結晶構造は、ここでBaAl(I)について言及すると、a=14.81Å、b=6.22Å、c=5.89Åの格子定数を有する斜方格子を有し、結晶対称性を定義するハーマンマウギン空間群Pmn21に従って配置された単位格子内に2つのBaAl分子を有する。この結晶構造は、単位セル内にバリウムを有する、この空間群の対象要素によって互いに関連付けられる2つの原子サイトを有し、ユーロピウムが置換されることができる1つのタイプのサイトのみがある。この化合物の結晶構造は、アイゼンマンらによって“Chim Miner. Volume 20 (1983),pp.329”に記述されたX線回折データで決定される。結晶学的データから計算されるその密度は、2.88g/cmである。
【0005】
堆積されたフィルムの元素組成が所望の蛍光体化合物の化学量論に相応しい場合、この蛍光体材料の性能は向上されるが、従来技術は、所定の化学量論における1つ以上の結晶相の存在を予想せず、蛍光体材料が好ましい結晶相または好ましい結晶相の混合物から形成されることを保証することによって実現されることができる性能の利点を示唆ないし提案することもない。
【0006】
したがって、従来技術に比べて向上したエレクトロルミネッセンス光放出を有するチオアルミン酸バリウム蛍光体を提供することが望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術に比べて向上したエレクトロルミネッセンス光放出を有するチオアルミン酸バリウム蛍光体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、青色光を放出する新規なチオアルミン酸バリウム蛍光体化合物と、蛍光体フィルムとして使用されるフルカラーの交流電子発光ディスプレイにおける新規な結晶構造を有する組成物を提供し、前記蛍光体フィルムは、従来技術で知られる結晶構造を有するチオアルミン酸バリウム蛍光体フィルムに対して高い輝度と改善された表色を有する。
【0009】
本発明の一側面は、化合物からのエレクトロルミネッセンス光の放出を増加させる結晶格子構造を有する化合物を含む、希土類元素で活性化されたチオアルミン酸バリウム蛍光体フィルムである。
【0010】
本発明の一側面は、フィルムからのエレクトロルミネッセンス光の放出を増加させる結晶格子構造を有する化合物を備える、希土類元素で活性化されたチオアルミン酸バリウム蛍光体フィルムである。
【0011】
本発明の他の側面は、前記フィルムからのエレクトロルミネッセンス光の放出を増加させる結晶格子構造を有する1つ又はそれ以上の化合物を含む、希土類元素で活性化されたチオアルミン酸バリウム蛍光体フィルムである。
【0012】
本発明のさらなる側面は、前記化合物からのエレクトロルミネッセンス光の放出を増加させる結晶格子構造を有する化合物を含む、希土類元素で活性化されたチオアルミン酸バリウム蛍光体フィルムであり、前記化合物は、約475から約495nmの青色光の放出のピーク波長を有する。
【0013】
本発明の他の側面は、前記化合物からのエレクトロルミネッセンス光の放出を増加させる結晶構造を有する1つ又はそれ以上のチオアルミン酸バリウム蛍光体化合物を含む、希土類元素で活性化されたチオアルミン酸バリウム蛍光体組成物である。
【0014】
本発明のさらなる側面は、面心斜方結晶格子構造を有する、希土類元素で活性化されたBaAl蛍光体化合物である。
【0015】
本発明の他の側面は、面心斜方結晶格子構造を有する、希土類元素で活性化されたBaAl蛍光体化合物である。
【0016】
ある側面において、これらの蛍光体化合物は、ユーロピウムとセリウムとからなる群から選択される、活性剤としての希土類元素がドーピングされる。さらなる側面において、この希土類元素は、ユーロピウムである。
【0017】
本発明のさらなる側面は、以下の化合物の1つ又は複数の混合物を含むチオアルミン酸バリウム蛍光体組成物であって、少なくとも以下の化合物(b)または(d)を含み、青色光を放出する、希土類元素で活性化されたチオアルミン酸バリウム蛍光体組成物である。
(a)立方結晶格子構造を有するBaAl(I)蛍光体化合物、
(b)面心斜方結晶格子構造を有するBaAl(II)蛍光体化合物、
(c)斜方結晶格子構造を有するBaAl(I)蛍光体化合物、
(d)面心斜方結晶格子構造を有するBaAl(II)蛍光化合物。
【0018】
本発明の他の側面は、希土類元素で活性化された青色光を放出するチオアルミン酸バリウム蛍光体組成物であり、前記組成物は、(a)立方結晶格子構造を有するBaAl(I)化合物と、(b)面心斜方結晶格子構造を有するBaAl(II)化合物との混合物を含む。
【0019】
ある側面において、この組成物は、前記(a)と(b)との合計に対する(b)のモル比率が約0.3から0.9の範囲である。
【0020】
本発明の他の側面は、青色光を放出する、ユーロピウムで活性化されたチオアルミン酸バリウム蛍光体フィルムであり、前記蛍光体フィルムは、BaAl(I)とBaAl(II)との混合物を含む。
【0021】
本発明の他の側面は、青色光を放出する、希土類元素で活性化されたチオアルミン酸バリウム蛍光体組成物であり、前記組成物は、(a)面心斜方結晶格子構造を有するBaAl(II)化合物と、(b)面心斜方結晶格子構造を有するBaAl(II)化合物との混合物を含む。
【0022】
上記側面の何れかにおいて、前記希土類元素活性剤は、ユーロピウムを含む。
【0023】
上記側面の何れかにおいて、本発明の化合物は、前記結晶格子構造内の硫黄を部分的に置換する酸素をさらに含んでもよい。
【0024】
上記側面の何れかにおいて、本発明の化合物は、前記結晶格子構造内のバリウムを部分的に置換する、周期律表のIIA族の元素を含んでもよい。
【0025】
当業者には、本発明の蛍光体化合物が希土類活性剤、バリウムを部分的に置換する周期律表のIIA族の元素、及び、硫黄を部分的に置換する酸素の何れの組合せを含んでもよいことが理解される。
【0026】
ある側面において、本発明は、1つ又はそれ以上の希土類元素で活性化されるチオアルミン酸バリウム蛍光体化合物を含む蛍光体フィルムを堆積する方法を含み、前記1つ又はそれ以上の蛍光体化合物の少なくとも1つは、前記蛍光体フィルムからのエレクトロルミネッセンス光の放出を増加させる結晶構造を有する。
【0027】
本発明のさらなる側面は、化学式としてBaAl4−xを有する新規な蛍光体化合物であり、ここで、xは、硫黄への酸素の置換が第2結晶相を引き起こさない程度に十分小さい。
【0028】
本発明のさらなる側面は、化学式としてBaAl7−xを有する新規な蛍光体化合物であり、ここで、xは、硫黄への酸素の置換が第2結晶相を引き起こさない程度に十分小さい。
【0029】
本発明のある側面において、本発明のチオアルミン酸バリウム化合物または組成物の何れかにおける前記希土類元素活性剤は、ユーロピウムである。この側面において、前記蛍光体化合物は、Ba1−xREAl及びBa1−xREAlで表され、ここで、蛍光体の発光中心として作用する希土類元素で部分的に置換されるバリウムがあり、さらに、ここで、xの値は、第2結晶相の析出がない程度に十分小さい。
【0030】
本発明の他の側面は、Ba1−xAl及びBa1−xAlを形成する要素Mで部分的に置換されるバリウムを有する蛍光体化合物である。Mは、周期律表のIIA族またはIIB族から選択され、xは、第2結晶相が析出しないように十分に小さい。
【0031】
他の側面において、希土類元素で活性化された本発明のチオアルミン酸バリウム化合物または組成物は、電子発光ディスプレイ、特に、厚膜の誘電体電子発光ディスプレイ内に蛍光体フィルムとして含まれる。
【0032】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明で明らかになるであろう。しかしながら、本発明の実施形態を示す詳細な説明及び特定の実験例は例示の目的のみで与えられるものであり、本発明の目的や範囲内における様々な変形や修正は、詳細な説明から当業者に明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は、以下に与えられた詳細な説明及び添付の図面で完全に理解されるであろう。この詳細な説明及び図面は、本発明の所望の範囲を制限することなく、例示の目的のみで与えられるものである。
【0034】
図1は、多相のチオアルミン酸バリウム蛍光体フィルムからのエレクトロルミネッセンス照射のCIE−y座標を示す。
【0035】
図2は、BaAl(II)を含む蛍光体フィルムに対する粉末X線回折データ及び精密な結晶パラメータで計算されたパターンを示す。
【0036】
図3は、BaAl(II)を含む蛍光体フィルムに対する粉末X線回折データ及び精密な結晶パラメータで計算されたパターンを示す。
【0037】
図4は、BaAl(II)からなる蛍光体フィルムを備えるエレクトロルミネッセンス素子において印加電圧を関数とする輝度を示す。
【0038】
図5は、BaAl(II)とBaAl(II)とからなる蛍光体フィルムを備えるエレクトロルミネッセンス素子において印加電圧を関数とする輝度を示す。
【0039】
図6は、少量のBaAl(II)を有してBaAl(II)を主成分とする蛍光体フィルムを備えるエレクトロルミネッセンス素子において印加電圧を関数とする輝度を示す。
【0040】
図7は、ほぼ同量のBaAl(I)とBaAl(II)とからなる蛍光体フィルムを備えるエレクトロルミネッセンス素子において印加電圧を関数とする輝度を示す。
【0041】
図8は、BaAl(II)とBaAl(II)を含む蛍光体フィルムを有するエレクトロルミネッセンス素子の面輝度の依存性を2つの相の相対濃度の関数として示す。
【0042】
図9は、BaAl(II)とBaAl(II)を含む蛍光体フィルムを有するエレクトロルミネッセンス素子の1931CIE−y座標の依存性を2つの相の相対濃度の関数として示す。
【0043】
図10は、BaAl(I)とBaAl(II)を含む蛍光体フィルムを有するエレクトロルミネッセンス素子の面輝度の依存性を2つの相の相対濃度の関数として示す。
【0044】
本発明は、チオアルミン酸バリウム蛍光体からのエレクトロルミネッセンス光の放出を増加させる結晶構造を具体化することによって、その蛍光体の輝度及びエネルギー効率を改善することに関する。出願人は、従来技術の化合物に比べて改善された光放出と改善された色を示す新規なチオアルミン酸バリウム蛍光体化合物を開発した。この化合物は、エレクトロルミネッセンス素子に薄膜蛍光体として堆積される。
【0045】
本発明の一側面において、出願人は、新規な結晶構造を有するBaAl蛍光体化合物を開発した。この新規な構造は、ここでは、BaAl(II)について言及するが、格子定数が、a=21.91Å、b=20.98Å、c=12.13Åである面心斜方結晶格子を有し、結晶対称性を定義するハーマンマウギン空間群Fdddに従って配置された、結晶単位セル内に32個のBaAl分子を含む。面心結晶構造は、それらに対するミラー指数h、k、lで特徴付けられ、通常、(hkl)という標記を用いて示される。ここで、h、k、lは、例えば、キッテル固体物理第3版頁21(Kittel, Solid State Physics, third edition page 21)で定義される整数であり、全ての偶数または全ての奇数であり、相対的に小さい反射数を有するX線回折パターンをもたらす。BaAl(II)結晶構造は、単位格子内にバリウム原子を含む32個の原子サイトを有し、16個の群は、空間群の対照要素によって等価的であり、他の8個の群は、空間群の対照要素によって等価的であり、残りの8個の群は、対照要素によって等価的であるが、第1及び第2の群とは異なる。従って、その構造体は、2:1:1の相対的な領域比率でユーロピウムによって置換されることができる3つのタイプのサイトを有する。結晶構造は、粉末X線回折データによって確認される。
【0046】
本発明のさらなる側面において、出願人は、新規な結晶構造を有するBaAl蛍光体化合物も開発した。この新規な構造は、ここでは、BaAl(II)について言及するが、面心斜方結晶格子構造を有する。この新規な結晶格子構造は、回折データを生成するために銅KαX線が使用される場合、θ=16.8度の回折角でX線回折反射を有するが、23.3度には有しない。これは、粉末X線回折の解析によって確認されることができる。通常のX線回折技術による角度が23.3度より大きな区別可能な角度であるが、それは、θ=23.7度に相対的に小さい振幅を有する反射を有する。その回折データに一致する1つの結晶構造は、格子定数がa=10.6Å、b=7.3Å、c=10.5Åであり、結晶対称性を定義するハーマンマウギン空間群Fmm2に従って配置された、結晶単位セル内に4個のBaAl分子を含む。場合によっては、原子的に高い密度構造は、アルミニウムよりいくらか大きいガリウムイオンを収容することができないので、この構造は、従来技術のBaAl(I)における2.88g/cmと比較して実質的により高い計算値である3.78g/cmの密度を有し、類似のチオアルミン酸バリウム構造が現れない。BaAl(II)構造は、その空間群の対称性要素によって全てが互いに関連される単位セル内にバリウムを含む4個の原子サイトを有し、従って、ユーロピウムで置換されることができる1つのサイトのみを有する。
【0047】
本発明は、BaAl4−x、BaAl7−x、BaAl4−xSe、または、BaAl7−xSeで表される、結晶格子内の硫黄が酸素またはセリウムによって部分的に置換された新規な結晶構造の蛍光体化合物を包含する。ここで、Xの値は、硫黄の酸素への置換が第2結晶相の析出を引き起こすことがない程度に十分に小さい。
【0048】
また、本発明は、Ba1−xREAl及びBa1−xREAlで表現される、蛍光体フィルム材料の発光中心として使用されるユーロピウムのような希土類元素(RE)によってバリウムが部分的に置換された新規な結晶構造の蛍光体化合物を包含する。ここで、Xの値は、第2結晶相の析出が起こらない程度に十分に小さい。
【0049】
さらに、本発明は、Ba1−xAl及びBa1−xAlで表される同類の材料を形成するために周期律表のIIA族の元素Mを有する本発明の新規な蛍光体化合物のバリウムの部分的な置換を包含する。ここで、Mは、蛍光体フィルムの放出特性を修正し、または、蛍光体フィルムに対する堆積条件及び結晶化条件を修正するために、周期律表のIIA族またはIIB族から選択される元素であり、Xの値は、前記置換が第2結晶相の析出を引き起こさない程度に十分に小さいものとされる。BaAl(II)及びBaAl(II)における結晶格子のバリウムに対するこれらの元素の部分的な置換は、これらの相の格子定数をほんの少し変更し、その結果、回折角度と回折光線の相対強度とにおける小さなシフトをもたらす。
【0050】
一般に、本発明の新規な蛍光体化合物及び組成物は、例えば、スパッタリング、電子線蒸着及び化学気相蒸着のような周知の方法によって適切な基板上に蛍光体薄膜として堆積される。スパッタリングは、ある側面では、好ましい方法である。スパッタリングは、約0.05から2Paの範囲の動作圧力でアルゴンと硫化水素とを含み、動作圧力の約0.05%未満の分圧の酸素を含む雰囲気中で実施される。所望の硫化水素の分圧は、この範囲の上端に近い分圧を要求する金属ターゲットの使用と、より低い分圧を要求する硫化物ターゲットの使用とに伴って、使用されるスパッタリングターゲットの化学組成に依存する。そのフィルム基板は、約5から100Å/秒の範囲の堆積速度において室温から約300℃の間の温度に維持される。原料内のアルミニウムに対するバリウムの原子比率は、約1:2から1:4の範囲の堆積フィルムの所望の比率を提供する周知の手段によって調整される。本発明のチオアルミン酸蛍光体化合物におけるこの新規な結晶構造の提供は、例えば、基板の性質、基板の温度、堆積速度、ドーパントのタイプ及び濃度、真空雰囲気の圧力及び組成のような堆積処理の多様な条件に依存する。当業者は、堆積された蛍光体フィルムを容易に調査することができ、X線回折格子解析のような方法によって、そのフィルムが、本発明に従う所望の新規な結晶構造を実際に有することを確認することができるであろう。
【0051】
より具体的には、本発明は、堆積処理中の適切な時点で、堆積条件、特に、アルミニウム、バリウム、硫黄、酸素、及び、水素のような他の元素の相対比を制御することによって行われる。
【0052】
BaAl(II)化合物は、蛍光体化合物中で4:1のアルミニウム対バリウム比を提供することによって形成され、堆積されたアルミニウムの全てがBaAl(II)化合物を形成するために利用されるわけではないことが理解される。なぜなら、それらの幾らかは、堆積された蛍光体中またはAlを形成する層に近接する酸素、または、Al(OH)を形成する酸素または水素と選択的に反応するからである。したがって、4:1より大きなバリウムに対するアルミニウムの比は、アルミニウム酸化物または類似の化合物を形成する酸素とアルミニウムとの反応を考慮して堆積されなければならない。最適な条件は、近接する層または蛍光体フィルムと共に堆積される層から利用可能な酸素または水酸化物の量に依存して実験的に決定される。さらに、その分解を引き起こすようにそれが形成される場合、BaAl(II)は、酸素または水に晒されるべきではない。
【0053】
BaAl(I)とBaAl(II)を形成する条件は、2:1のバリウムに対するアルミニウムの小さい比を要求し、依然として、アルミニウムの全てがこの化合物を形成するために利用されるわけではなく、AlまたはAl(OH)を形成する酸素と水素と反応することが理解され、従って、この正確な比率は、上述のような処理の最適化を介して実験的に決定されなければならない。通常、堆積に続いて、この蛍光体材料は、BaAl(II)である。その混合物を提供する際のBaAl(II)に対するBaAl(I)の比は、BaAl(II)の幾らかをBaAl(I)に変換するために変数としての処理時間と酸素濃度を用いて酸素含有雰囲気下で、堆積後の後処理によって制御されることができる。BaAl(I)化合物は従来技術で知られているが、BaAl(I)とBaAl(II)の制御された混合物は知られていない。
【0054】
上述のように、BaAlまたはBaAlへのある不純物を制御されたドーピングは、堆積された蛍光体フィルム中に形成される結晶構造に影響を与えることができる。例えば、蛍光体フィルム堆積中にBaAlに制御された濃度のマグネシウムをドーピングすることは、BaAl(II)結晶構造の優先的な結晶化を引き起こす。酸素含有雰囲気下での堆積フィルムの焼きなましは、BaAl(II)結晶構造からBaAl(I)結晶構造への変換を引き起こす。上記にも関わらず、多過ぎる不純物の導入は、通常望まれない1つ又はそれ以上の付加的な結晶相の共結晶化を引き起こす。当業者は、蛍光体フィルム内に優先的な結晶化を引き起こす、周期律表から選択される他の不純物におけるその傾向を決定することができる。
【0055】
本発明のある側面において、従来技術の蛍光体化合物と同様に本発明の蛍光体化合物の様々な混合物を含む蛍光体組成物が提供される。これは、様々な化合物が組み合わされた様々な有益な特性を有するからである。例えば、BaAl(I)化合物は、約475nmのピーク発光波長を有する、表示器の用途において最も適切な青い発光のスペクトルを有し、BaAl(II)化合物は、最も高い輝度と光輝及び長い波長を有するが、485から495nmの範囲の容認可能な青い発光のピークも有する。従って、本発明の側面において、蛍光体組成物を提供するための化合物の混合物は、高い輝度の最適な組合せと最適なCIE色座標を提供するかもしれない。単独の、または、従来の蛍光体化合物と組み合わされる、本発明の新規な蛍光体化合物を含む新規な蛍光体組成物は、例えば、(a)立方結晶格子構造を有するBaAl(I)蛍光体化合物、(b)面心斜方結晶格子構造を有するBaAl(II)蛍光体化合物、(c)斜方結晶格子構造を有するBaAl(I)蛍光体化合物、(d)面心斜方結晶格子構造を有するBaAl(II)蛍光体化合物のうちの1つ又はそれ以上を含む新規な蛍光体組成物を包含する。ある側面において、この組成物は、(a)立方結晶構造を有するBaAl(I)化合物、及び、(b)面心斜方結晶格子構造を有するBaAl(II)化合物の混合物を含んでもよい。この点において、この組成物は、0.3から0.9の範囲の前記(b)と(a)の合計に対する(b)のモル比率を有する。
【0056】
本発明のある実施形態は、BaAl(I)とBaAl(II)の混合物を含む蛍光体化合物であり、この組成物は、BaAl(I)またはBaAl(II)単独よりも高い輝度を示す。本発明のある側面において、この2つの結晶相は、5から30nmの範囲の粒径を有し、その蛍光体フィルム中において実質的に均一に分布される。
【0057】
本発明の他の実施形態は、BaAl(I)またはBaAl(II)またはこれらの化合物のあらゆる組合せの混合物よりも高いエネルギー変換効率(画素への全電気エネルギー入力に対する全ての集積された光輝エネルギーの比)を提供するBaAl(II)を含む蛍光体組成物である。BaAlは、青い画素に不都合な緑がかった放出を提供し、その放出の緑の部分は、フィルタリングされなければならず、それによって、効率利点を打ち消す。それにも関わらず、この蛍光体フィルム材料は、赤や緑の光輝性の蛍光体を励起する主要な光源として有利である(本出願人による出願であるPCT/CA03/01567に記載されているように)。これは、緑色にシフトされたスペクトルが、主要な蛍光体としてBaAl(I)またはBaAl(II)材料を用いた青から緑または赤への変換効率と同様に、緑がかった青から赤または緑への同一の量の変換効率を提供するためである。
【0058】
BaAl(I)、BaAl(II)及びBaAl(II)の3つの全ての相の混合物を含む蛍光体フィルムは、BaAl(I)とBaAl(II)化合物の輝度の支配的な寄与の反射を受ける低い閾値電圧の直ぐ上に比較的低いy座標と、BaAl(II)化合物からの輝度への増加する寄与の反射を受ける高い電圧における高いy座標とを有して、印加電圧に依存する発光スペクトルを示す。この傾向は、このような蛍光体フィルムにおいて図1に図式的に示される。蛍光体フィルムから放出された光の色座標の空間的な変化を避けるために、この蛍光相は、そのフィルム中で均一に分布されるべきである。
【0059】
この様々な結晶化合物における閾値電圧は、ディスプレイ設計にある程度依存するが、これらの蛍光体化合物を含む厚い誘電性の電子発光ディスプレイにおいて、BaAl(II)化合物における閾値電圧は、160Vから185Vの範囲になる傾向にあり、BaAl(I)化合物における閾値電圧は、中間的で、通常170Vから195Vの範囲になる傾向があり、BaAl(II)化合物における閾値電圧は、幾らか高くなり、約180Vから205Vの範囲になる傾向にある。
【0060】
本発明は、例えば、本出願人による出願であるWO00/70917(参照することによってここに含まれる)に記述されるような電子発光ディスプレイまたはエレクトロルミネッセンス素子の蛍光体フィルムとしての使用に適している。このようなエレクトロルミネッセンス素子は、行電極が位置する基板を有する。厚膜誘電体は、その上に薄膜誘電体を有して提供される。この蛍光体フィルムは、このラミネートされた誘電体構造物の上部に堆積される。上部の薄膜誘電体層は、蛍光体層の上部に提供され、透明電極フィルムは、上部の誘電体層の上部に堆積され、画素の列を形成するためにパターニングされる。ある実施形態においては、蛍光体層は、フルカラーディスプレイにおける赤、緑、青の副画素を形成するためにパターニングされてもよい。
【0061】
当業者に容易に理解できるように様々な基板が使用されることができる。特に、基板は、硬い耐熱性シートであり、ある側面では、導電性フィルム上に堆積される厚い誘電体層を有する伝導性フィルムがその上に堆積される。適切な耐熱性シート材料の例には、アルミナなようなセラミック材料に限定されるわけではなく、金属セラミックス複合材、ガラスセラミック材料、高温ガラス材料が含まれる。適切な導電性フィルムは、限定されるわけではないが、金や銀の合金のようなものが当業者に知られている。厚い誘電体層は、強誘電体材料を含む。厚い誘電体層は、その上に1つ又はそれ以上の薄膜誘電体層を含んでもよい。
【0062】
詳細な説明の以下の例は、結晶化された蛍光体フィルムによる性能の利点を示すために役立ち、結晶化された蛍光体が精製された化学量論を有するだけではなく、精製された結晶構造または最適に選択された結晶構造物の混合物を有することを抑制することによって実現されることができる。それらは、BaAl(I)、BaAl(II)、及び、BaAl(II)を含む蛍光体フィルムを形成する手段を示すが、当業者に理解されるように本発明の範囲を制限するものではない。以下の例は、各々の相における粒子の寸法が蛍光体フィルムの厚さに比べて小さく、あらゆる相の濃度が蛍光体フィルムの表面に沿った方向で大きく変化しないのであれば、ある条件下で、2つ又はそれ以上の結晶相を含むフィルムが効果的に均一な閾値電圧を有することもできることを示すために役立つ。
【0063】
上記の開示は、本発明を一般的に記述する。より完全な理解は、以下の特定の例を参照することによって得られることができる。これらの例は、単に例示の目的で記載されてものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。状況によっては、形態の変化及び等価物の置換が行われる。ここで、特定の用語が使用されているが、これらの用語は記述的な意味で使用されており、限定を目的とするものではない。
【0064】
(実験例)
(実験例1)
蛍光体フィルムは、本出願人による米国特許出願番号10/736,255(この出願の開示は完全にここに含まれる)に示された方法に原則従ってRFスパッタリングによってシリコンウエハ上に堆積された。この堆積は、6モル%の硫化ユーロピウムでドーピングされた圧縮された硫化バリウムで満たされた長方形のホールの配列を有する、7.6cmの直径のアルミニウムプレートからなるスパッタリングターゲットを用いて実行された。アルミニウムの露出された公称表面積に対する硫化バリウムの露出された公称表面積の比は、約7:3であった。スパッタリングターゲットに印加されたRF出力は、200Wであった。このスパッタリングは、0.1Paの圧力下で硫化水素を有するアルゴン雰囲気で実行された。この堆積中における、スパッタリングチャンバーへのアルゴンの流速は、7.5sccmであり、硫化水素の流速は約2.3sccmであった。スパッタリングされたフィルムの厚さは、約1.0μmであった。
【0065】
堆積に続いて、この試料は、約5分間、窒素下で750℃のピーク温度でベルト炉において熱処理された。加熱処理に続いて堆積されたフィルム上で実施されたエネルギー分散解析によれば、バリウムに対するアルミニウムの原子濃度の比は、2.26:1であった。堆積されたフィルムは、1.5406Åの波長を有する銅KαX線を使用してブルッカー回折装置(BRUKER-AXS DS Discover x-ray diffractometer)を用いて、堆積されたフィルムの結晶構造を解析するX線回折解析に供された。この回折データは、このフィルムの主要な結晶相における前述の未知の結晶構造を得るために、ロスアラモスナショナル研究所(Los Alamos National Laboratory)によって開発されたリートベルト解析とGSASソフトウエアを用いて精製された。BaAl(II)に指定された化学組成BaAlを有する化合物における精製された結晶構造に起因するパターンに対するこのデータの比較は、図2に示される。このデータから見られるように、実験データに対する精製された構造物の良好な適合がある。
【0066】
(実験例2)
蛍光体フィルムは、本出願人の米国特許6,610,352及び米国分割特許出願番号60/443,540(これらの出願の開示は、完全にここに含まれる)で示される方法に従う電子蒸着を原則的に用いてシリコンウエハ上に堆積された。この蒸着は、硫化アルミニウムからなる2つ蒸着源と、約3原子%の硫化ユーロピウムがドーピングされた硫化バリウムからなる2つ蒸着源とからなる4つの蒸着源を用いて実行された。この堆積チャンバーは、堆積中に、堆積チャンバー内の酸素含有種の濃度を最小化するための液体窒素冷却コールドフィンガーを備えている。硫化水素は、堆積中に、0.0005Paのシステム圧力を維持した状態で約16sccmの速度で堆積チャンバー内に注入された。堆積基板は、堆積中に、基板温度を調整するために使用されたヒーターの前であって堆積基板の後に位置する放射線遮蔽に固定された熱電対を用いて測定され、512℃の公称温度に保持された。堆積基板の実際の温度は、これよりも実質的には低くなるようである。堆積速度は、12Å/秒であり、全体の堆積厚さは、約0.46μmであった。堆積処理に続いて、その試料は、約4分間、750℃のピーク温度で、窒素中で、ベルト炉中で焼きなましされた。加熱処理に続いて試料上で実施されたエネルギー分散解析によれば、バリウムに対するアルミニウムの原子濃度の比は、約4.5:1であった。回折データは、実験例1に示されるようにGSAS回折解析ソフトウエアを用いて精製された。その解析によって、その試料が新規な未知の結晶相を有するBaAl(II)からなることが分かった。23.3°において大きな1つのピークを有する、BaAl(II)にもっぱら関与するピークは、実験データから除去され、残りのピークは、BaAl(II)を指定する化学組成BaAlを有する未知の化合物の結晶構造を精製するために使用された。計算された回折パターンと実験データの比較は、図3に示される。図3の回折角に応じるデータのギャップは、BaAl(II)におけるピークの削除によるものであることは注意すべきことである。このデータから分かるように、実験データに対する精製された構造の適合は、削除されたBaAl(II)に起因するピークを有しており、良好である。BaAl(II)の回折パターンは、BaAl(II)の回折パターンと類似しており、23.3°に回折ピークはなく、16.8°により大きな強度のピークがある。
【0067】
BaAl(I)、BaAl(II)及びBaAl(II)の混合物を含むフィルムにおいて、X線回折データを用いてその相の相対存在量をほぼ同定することが可能である。例えば、15.7°と23.3°に回折ピークを有し、16.8°に回折ピークを有しないBaAl(I)の結晶構造の同定がアイゼンマン(Eisenmann)らによって報告されている(Material Researc Bulletin Vol.17 (1982) page 1169)。BaAl(II)における回折パターンは、15.7°に回折ピークを有しないが、16.8°と23.3°に回折ピークを有する。最後に、BaAl(II)における回折パターンは、15.7°または23.3°に回折ピークを有しないが、16.8°にピークを有する。この情報と、この化合物における公表されたX線回折データからの15.7°と23.3°のピークにおけるBaAl(I)の回折強度比とに伴って、BaAl(I)からの23.3°のピークにおける強度に対する寄与は取り除かれることができる。この補正に伴って、BaAl(II)とBaAl(II)の濃度の相対比を決定するために、23.3°のピークの残りの強度は、16.8°の強度と比較されることができる。BaAl(I)の相対濃度は、この相のみからなる試料における15.7°のピークと比較した15.7°のピークの強度から決定されることができる。最終段階として、得られた情報は、他の相が高い濃度で存在せず、その試料の厚さが一定であると仮定して、その試料の各相の絶対濃度を決定するために組み合わされることができる。
【0068】
(実験例3)
この実験例は、この素子において閾値電圧におけるメリハリのある輝度のターンオンと閾値電圧以上における輝度の線形増加とを達成するための単一の蛍光体相からなる蛍光体を有する素子の性能を示す。エレクトロルミネッセンス素子においてチタン酸ジルコン酸鉛を含む平滑化層で覆われたニオブ酸マグネシウム酸鉛を含む厚い誘電体層と電極層は、本願に完全に含まれる米国特許出願10/326,777号で示された方法に従って、5cm×5cmのガラス基板上に製造された。チタン酸バリウムの100nmの厚い層は、本願に完全に含まれる米国特許出願6,589,674号で示される方法を用いて、その平滑層の上に堆積された。70から80nmの厚さのタンタル酸バリウムとその上の20から30nmの厚さのアルミナ層は、スパッタリング方法を用いてチタン酸バリウム層の上に堆積された。次に、0.49μmのBaAlの厚い層からなる蛍光体フィルムは、電子ビーム蒸着を用いて、部分的に組み立てられたエレクトロルミネッセンス素子の上に堆積された。硫化アルミニウムを含む2つ蒸着源と、約2原子%の硫化ユーロピウムがドーピングされ、マグネシウムとバリウムの合計に対するマグネシウムの原子比が約0.65である硫化マグネシウムバリウムを含む2つ蒸着源とからなる4つの電子ビーム蒸着源がこの堆積に用いられた。この堆積チャンバーは、堆積中に、堆積チャンバー内の酸素含有種及び他の有害な種の濃度を最小化するための液体窒素冷却コールドフィンガーを備えている。硫化水素は、米国分割特許出願60/484,290号(その開示は、完全に含まれる)に従って、堆積中に、0.001Paのシステム圧力を維持した状態で約250sccmの速度で蒸着源の近距離から堆積チャンバー内に注入された。堆積基板は、堆積中に、基板の後で測定され、512℃の設定温度に保持された。基板がその後方から熱を放って加熱されるので、基板の実際の温度は、大幅に低くなる。堆積速度は、12Å/秒であり、合計の堆積厚さは約0.46μmであった。堆積に続いて、堆積された蛍光体フィルムを有する素子は、蛍光体層の置換酸素なしに、酸素を有する下層の誘電体層の飽和を保証するために、加熱され、約10体積%の酸素を含む窒素中で、大気圧下で、約75分間、約620度の温度に保持された。それから、室温に冷却される前に、窒素中で、さらに75分間、さらに約740℃の温度まで加熱された。同様の蛍光体は、シリコンウエハ上に堆積され、窒素中で、750℃で、約5分間、熱処理された。それから、エネルギー分散型X線解析(EDX)を用いて粉末X線回折解析及び元素分析にかけられた。このEDX解析は、蛍光体フィルム中のバリウムの原子濃度に対するアルミニウムの原子濃度の比が約3.5:1であることを示した。このエレクトロルミネッセンス素子は、第2電極を得るために、50nmの厚さの窒化アルミニウム層とITO層を堆積することによって完成された。この素子は、特定の電圧と、30μ秒のパルス幅と、240Hzのパルス繰り返し数で、繰り返し変化する極性の電圧パルスを印加することによって試験された。この素子における電圧に対する輝度は、図4に示される。図4から、約180Vの閾値電圧で青い発光の開始が起こり、輝度は閾値電圧以上の電圧の増加に伴って240V(閾値電圧より60V高い)で100カンデラ/mまでゆっくり増加することが分かった。
【0069】
蛍光体層は、ベルト炉内で、窒素中、約750℃のピーク温度において、約5分間、熱処理された後、同じ条件でシリコンウエハ上に堆積された蛍光体層上でX線回折解析が行われた。それは、蛍光体フィルムがほとんどBaAl(II)からなることを示した。そのITO層を介したこの装置上の蛍光体層のX線回折解析は、それが実質的にBaAl(II)からなることを示した。
【0070】
(実験例4)
この実験例は、1つ以上の相が存在する場合に、均一に混合された蛍光体相を有する必要性を示す。マグネシウムとバリウムの合計に対するマグネシウムの原子比が0.65ではなく0.5であり、2原子%ではなく3原子%の硫化ユーロピウムでドーピングされた硫化マグネシウムバリウム源を用いて蛍光体が堆積されることを除いては、実験例3のものと類似のエレクトロルミネッセンス素子が構成された。真空堆積雰囲気は、酸素含有種の様々な分圧を有していたが、これは正確に測定することができなかった。このフィルムの結晶化は、これらの酸素含有種の存在と堆積処理中の基板温度とによって大いに影響を受けると考えられる。この蛍光体フィルムの結晶化種の比は、これらの種の分圧以上の思慮深い制御と堆積中の基板温度の制御とによって調整されることができる。
【0071】
エレクトロルミネッセンス素子は、実験例3の素子と同様の方式で試験された。電圧を関数とする輝度は、図5に示される。このデータから分かるように、発光の開始は、約175Vであり、その輝度は、この電圧以上で初めにゆっくり増加し、約210Vで約100カンデラ/mまで増加し、それから、この電圧以上で大きく増加し、約240V(閾値電圧より60V高い)で約500カンデラ/mまで増加した。同一の堆積パラメータ及び熱処理パラメータを用いてシリコンウエハ上に堆積された蛍光体フィルムは、X線回折を用いて解析され、BaAl(II)とBaAl(II)との両方を含むことが分かった。
【0072】
閾値電圧以上の輝度の段階的なターンオンは、2つの蛍光体相において電圧に応じて増加する異なる閾値電圧と異なる発光割合のためである。同様の蛍光体の顕微鏡検査から、蛍光体表面のある領域が、電圧が増加するにつれて比較的低い割合の輝度を有して初めに照射し、より高い閾値電圧では、残った領域が発光し、その後、電圧の増加に伴って急速に増加することが明らかになった。前者の領域は、主としてBaAl(II)からなることが見られ、後者の領域は、主としてBaAl(II)からなることが分かった。
【0073】
輝度のゆっくりとした初期の増加は、本願に完全に含まれる米国特許6,448,950号に説明されている理由で望ましくなく、アドレス指定すると共に閾値電圧以上で輝度の段階的なターンオンを有するパッシブマトリクスを用いてアドレス指定される電子発光ディスプレイの電力消費は、受け入れることができないほど高い。
【0074】
(実験例5)
この実験例は、この二相が均一に混合された場合、BaAl(II)とBaAl(II)の混合物からなる蛍光体を有する素子で実現できる高い光輝を示し、ここで、両方の相の濃度の合計に対するBaAl(II)の濃度の比は、0.5より大きい。このような蛍光体は、受容可能な青色を実現するためにその出力の厳格な光学フィルタリングなしで、フルカラービデオディスプレイの青い副画素に適切なCIE座標を有しない。しかしながら、米国分割特許出願10/686,850号(その開示が完全に含まれる)に記載されるような色変換層を用いて赤及び緑の副画素において高い光輝の励磁蛍光体として有用である。緑色と赤色との変換の蛍光体の量子効率は、それが、光学スペクトルの青から青緑の部分に並んでいるならば、励磁蛍光体からの放射の色スペクトルに大きく依存しない。この蛍光体が大幅に小さい硫化水素流と、堆積中に原料から部分的に生成する種を含む酸素の様々な分圧を用いて、実験例3に類似するエレクトロルミネッセンス素子が構成された。エレクトロルミネッセンス素子は、実験例3の素子と同様の方式で試験された。電圧を関数とする輝度は、図6に示された。このデータから分かるように、発光の開始は、約165Vであり、輝度は、略電圧に比例して約225V(閾値電圧より60V高い)で約800カンデラ/mまで増加した。CIE−y座標は、約0.18であった。同じ堆積パラメータと熱処理パラメータを用いてシリコンウエハ上に堆積された蛍光体フィルムは、X線回折を用いて解析され、約35%のBaAl(II)と65%のBaAl(II)を含むことが分かった。
【0075】
(実験例6)
この実験例から、高い輝度と優れた青いCIE−y座標が約50%のBaAl(I)と50%のBaAl(II)の均一な混合物からなる蛍光体を有する素子で実現されることができることが分かった。この場合、輝度は、2つの相からの付加的な寄与に基づいて予想されるものより大幅に高い。この2つの相の間の相互作用のために相乗的な利益がある。この蛍光体が実験例3、4、5とは異なる酸素含有種の分圧下で堆積されたことを除いて、実験例3のものと同様のエレクトロルミネッセンス素子が構成された。この素子は、実験例3に記載されるような試験が行われた。電圧を関数とする輝度は、図7に示される。このデータから分かるように、発光の開始は、230Vすなわち閾値電圧より60V高い電圧で1000カンデラ/mの輝度まで、170Vの閾値電圧より高い、線形的で急速に増加した輝度の閾値電圧であった。シリコンウエハ上に堆積された同様の蛍光体フィルムは、X線回折解析が行われ、BaAl(I)と50%のBaAl(II)からなることが示された。
【0076】
(実験例7)
この実験例は、様々な比でBaAl(II)とBaAl(II)とを含む蛍光体フィルム組成物を有する多くの素子において輝度と色座標の付加的な効果を示す。実験例3、4、5、6の素子と同様の50個のサンプル素子が構成され、その試料のものに類似する組成を有する蛍光体フィルムのX線回折パターンが測定され、そのデータから、BaAl(I)、BaAl(II)及びBaAl(II)の相対濃度が決定された。局所基板温度または堆積中に存在する蒸気種の局所分圧のような蛍光体堆積における処理条件の変化のために、結晶相の比は、かなり変化されたこれらの素子において蛍光体フィルムに存在する。この素子のセットから、大量にBaAl(II)とBaAl(II)のみを含む蛍光体を有する素子のサブセットが選択された。試料の輝度とx及びyのCIE色座標は、240Vの駆動電圧まで測定された。色座標データとCIE1931チャートは、スペクトル放射がピーク波長に中心がある広い対称性のピークであるという仮定で、これらの試料から放射スペクトルのピーク波長を決定するために使用された。これは、その線が単色光を表すチャートの境界に垂直になるように、x、y点からの線をカラーチャート上で伸ばすことによって行われた。その線と境界との交差点は、そのピーク波長になった。それから、その輝度値は、その放出がピーク波長で起こるという仮定を用いて、相対的な光輝効率及び550nmにおける4.6W/カンデラの変換要因とピーク波長に対する変換テーブルを用いて領域の光輝に変換された。これは、近似計算であったが、放射ピークの幅が広すぎない場合に、その精度は非常に良好であった。
【0077】
図8は、蛍光体フィルム中のBaAl(II)とBaAl(II)の量の合計に対するその蛍光体フィルム中のBaAl(II)の量の割合の関数として印加された最大の電圧付近でのその領域の光輝曲線の傾斜を示す。そのグラフの左側は純粋なBaAl(II)に対応し、右側は純粋なBaAl(II)に対応する。このデータから分かるように、BaAl(II)の一部が2つの相からの光輝への付加的な寄与を示しながら増加するにつれて、その光輝は線形に増加する。純粋なBaAl(II)を有する素子は作製されていないけれども、そのデータは、BaAl(II)における光輝傾斜が閾値電圧より大きい約0.15W/m・Vであるのに対して、純粋なBaAl(II)におけるその光輝傾斜が閾値電圧より大きい約1W/m・Vであるということを示すことを推定されることができる。比較のために、BaAl(I)における光輝傾斜は、閾値電圧より高い約0.4W/m・Vである。図9は、BaAl(II)の部分を関数とするCIE−y座標を示す。このy座標の値は、各々の相のy値を考慮して、この相からの付加的な輝度の寄与に従う。
【0078】
(実験例8)
この実験例は、様々な比率でBaAl(I)とBaAl(II)からなる蛍光体フィルムを有する多くの素子における輝度において相乗的な効果を示す。最大の光輝は、各々の相のほぼ等しい割合において得られる。実験例7の約50の素子から、大量にBaAl(I)とBaAl(II)のみを含む蛍光体を有する素子のサブセットが選択される。その試料における輝度とx及びyのCIE座標は測定され、その光輝は実験例7のように計算された。図10は、その蛍光体フィルムのBaAl(I)とBaAl(II)の量の合計と比較した蛍光体フィルムのBaAl(I)の量の比の関数として印加された最大の電圧付近の領域の光輝曲線の傾斜を示す。グラフの左側は純粋なBaAl(II)に相当し、右側は純粋なBaAl(I)に相当する。このデータから分かるように、その光輝は、この2つの相のほぼ等しい濃度において最大に達し、この相の間の光輝における相乗的な効果を示す。この挙動は、実験例7の2つの相の混合物とは非常に異なる。各々の相のy座標は、略等しく、混合物におけるy座標は、その相の比に応じて一定である。
【0079】
本発明の好ましい実施形態がここに詳細に記載されたが、当業者には、本発明の精神から逸脱することなく変形がなされることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】多相のチオアルミン酸バリウム蛍光体フィルムからのエレクトロルミネッセンス照射のCIE−y座標を示す。
【図2】BaAl(II)を含む蛍光体フィルムに対する粉末X線回折データ及び精密な結晶パラメータで計算されたパターンを示す。
【図3】BaAl(II)を含む蛍光体フィルムに対する粉末X線回折データ及び精密な結晶パラメータで計算されたパターンを示す。
【図4】BaAl(II)からなる蛍光体フィルムを備えるエレクトロルミネッセンス素子において印加電圧を関数とする輝度を示す。
【図5】BaAl(II)とBaAl(II)とからなる蛍光体フィルムを備えるエレクトロルミネッセンス素子において印加電圧を関数とする輝度を示す。
【図6】少量のBaAl(II)を有してBaAl(II)を主成分とする蛍光体フィルムを備えるエレクトロルミネッセンス素子において印加電圧を関数とする輝度を示す。
【図7】ほぼ同量のBaAl(I)とBaAl(II)とからなる蛍光体フィルムを備えるエレクトロルミネッセンス素子において印加電圧を関数とする輝度を示す。
【図8】BaAl(II)とBaAl(II)を含む蛍光体フィルムを有するエレクトロルミネッセンス素子の面輝度の依存性を2つの相の相対濃度の関数として示す。
【図9】BaAl(II)とBaAl(II)を含む蛍光体フィルムを有するエレクトロルミネッセンス素子の1931CIE−y座標の依存性を2つの相の相対濃度の関数として示す。
【図10】BaAl(I)とBaAl(II)を含む蛍光体フィルムを有するエレクトロルミネッセンス素子の面輝度の依存性を2つの相の相対濃度の関数として示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムからのエレクトロルミネッセンス光の放出を増加させる結晶格子構造を有する蛍光体化合物を備える、希土類元素で活性化されたチオアルミン酸バリウム蛍光体フィルム。
【請求項2】
前記蛍光体化合物は、面心斜方結晶格子構造を有する、請求項1に記載の蛍光体フィルム。
【請求項3】
前記希土類元素は、ユーロピウムまたはセリウムからなる群から選択される、請求項2に記載の蛍光体フィルム。
【請求項4】
前記希土類元素は、ユーロピウムである、請求項3に記載の蛍光体フィルム。
【請求項5】
前記蛍光体化合物は、BaAl(II)である、請求項4に記載の蛍光体フィルム。
【請求項6】
前記蛍光体化合物は、BaAl(II)である、請求項4に記載の蛍光体フィルム。
【請求項7】
前記蛍光体フィルムは、立方結晶格子構造を有するBaAl(I)をさらに含む、請求項5または6に記載の蛍光体フィルム。
【請求項8】
前記蛍光体フィルムは、実質的に均一なBaAl(I)とBaAl(II)との混合物を含む、請求項7に記載の蛍光体フィルム。
【請求項9】
前記BaAl(I)とBaAl(II)の粒径は、約5から約30nmの範囲である、請求項8に記載の蛍光体フィルム。
【請求項10】
BaAl(I)とBaAl(II)との合計に対するBaAl(II)のモル比率は、約0.3から0.9の範囲である、請求項9に記載の蛍光体フィルム。
【請求項11】
前記蛍光体フィルムは、斜方結晶格子構造を有するBaAl(I)をさらに含む、請求項5または6に記載の蛍光体フィルム。
【請求項12】
前記蛍光体フィルムは、実質的に均一なBaAl(I)とBaAl(II)との混合物を含む、請求項11に記載の蛍光体フィルム。
【請求項13】
前記蛍光体化合物は、REを希土類元素とし、第2結晶相の析出がない程度にxの値が十分に小さい場合、Ba1−xREAlまたはBa1−xREAlで表される、請求項4に記載の蛍光体フィルム。
【請求項14】
前記化合物は、さらに酸素を含む、請求項4または13に記載の蛍光体フィルム。
【請求項15】
前記酸素は、前記化合物の結晶格子構造内の硫黄を部分的に置換する、請求項14に記載の蛍光体フィルム。
【請求項16】
前記化合物は、REを希土類元素とし、前記硫黄から酸素への置換が前記フィルム内に第2結晶相を析出しない程度にxが十分に小さい場合、化学式としてBaAl4−xREを有する、請求項15に記載の蛍光体フィルム。
【請求項17】
前記化合物は、REを希土類元素とし、前記硫黄から酸素への置換が前記フィルム内に第2結晶相を析出しない程度にxが十分に小さい場合、化学式としてBaAl7−xREを有する、請求項15に記載の蛍光体フィルム。
【請求項18】
前記化合物は、周期律表のIIA族の要素Mをさらに含む、請求項4、13または14に記載の蛍光体フィルム。
【請求項19】
前記要素Mは、前記化合物の結晶格子構造内のバリウムを部分的に置換する、請求項18に記載の蛍光体フィルム。
【請求項20】
前記化合物は、REを希土類元素とし、前記フィルム内に第2結晶相を析出しない程度にxが十分に小さい場合、化学式としてBa1−xAlREまたはBa1−xAlREで表される、請求項19に記載の蛍光体フィルム。
【請求項21】
前記化合物はBaAl4−xSeで表され、前記フィルム内に第2結晶相を析出しない程度にxが十分に小さい、請求項4に記載の蛍光体フィルム。
【請求項22】
前記化合物はBaAl7−xSeで表され、前記フィルム内に第2結晶相を析出しない程度にxが十分に小さい、請求項4に記載の蛍光体フィルム。
【請求項23】
以下の化合物の1つ又は複数の混合物を含むチオアルミン酸バリウム蛍光体組成物であって、以下の化合物(b)または(d)の少なくとも一方を含み、青色光を放出する、希土類元素で活性化されたチオアルミン酸バリウム蛍光体組成物。
(a)立方結晶格子構造を有するBaAl(I)蛍光体化合物、
(b)面心斜方結晶格子構造を有するBaAl(II)蛍光体化合物、
(c)斜方結晶格子構造を有するBaAl(I)蛍光体化合物、
(d)面心斜方結晶格子構造を有するBaAl(II)蛍光化合物。
【請求項24】
前記組成物は、実質的に均一な前記(a)と前記(b)の混合物を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記(a)及び(b)は、前記(b)と(a)との合計に対する前記(b)のモル比率が約0.3から0.9の範囲で提供される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物は、実質的に均一な前記(b)と(d)の混合物を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
前記希土類元素は、ユーロピウムまたはセリウムからなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
前記希土類元素は、ユーロピウムである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物は、前記化合物の何れかに酸素をさらに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
前記酸素は、前記化合物の結晶格子構造内の硫黄を部分的に置換する、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記組成物は、前記化合物の何れかに周期律表のIIA族の要素Mをさらに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項32】
前記要素Mは、前記化合物の結晶格子構造内のバリウムを部分的に置換する、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記組成物は、前記化合物の何れかに、酸素と周期律表のIIA族の要素Mとをさらに含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項34】
実質的に均一なBaAl(I)とBaAl(II)との混合物を含む蛍光体フィルム組成物。
【請求項35】
前記BaAl(I)とBaAl(II)の粒径は、約5から約30nmの範囲である、請求項34に記載の蛍光体フィルム組成物。
【請求項36】
BaAl(II)に対するBaAl(I)のモル比率は、約0.3から0.9の範囲である、請求項34に記載の蛍光体フィルム組成物。
【請求項37】
前記組成物は、薄膜として提供される、請求項23に記載の蛍光体フィルム組成物。
【請求項38】
請求項1に記載の蛍光体フィルム、請求項23に記載の蛍光体フィルム組成物または請求項34に記載の蛍光体フィルム組成物を含む、エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項39】
請求項34に記載の蛍光体組成物を含む、エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項40】
前記エレクトロルミネッセンス素子は、薄膜誘電体層を含む薄膜誘電体エレクトロルミネッセンス素子である、請求項38または39に記載のエレクトロルミネッセンス素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−509233(P2008−509233A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524148(P2007−524148)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001214
【国際公開番号】WO2006/012748
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(505089913)アイファイアー・テクノロジー・コープ (18)
【Fターム(参考)】