説明

新規アデノウイルスを用いた癌治療方法及び組成物

本発明は、哺乳類の癌細胞を効果的に死滅させることのできる新規のウイルスを含む。上記ウイルスは二つの非毒性の前駆薬物を強力な化学治療剤に切り替える新規タンパク質を生成する。このような化学治療剤は局部的に生成され、ウイルスが癌細胞を死滅することを助けるだけでなく、癌細胞が放射線に対して敏感になるようにする。前臨床試験において、上記ウイルスが単独で使用されるか、前駆薬物療法及び/又は放射線療法と並行された場合、多様な哺乳類の癌細胞の死滅に効果的であることが立証された。本発明によりヒト癌に対する安全で効果的な治療を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、癌治療に関し、より詳しくはアデノウイルスに基づいた癌治療に関する。
【0002】
〔背景技術〕
癌についての診断及び治療方法において、相当な発展が遂げられてきたにも関わらず、癌関連の年間死亡者数は過去60年間減少していない。既存の癌治療法(手術、放射線療法、化学療法)は初期段階の癌患者に対しては高い治療率を見せるが、多くの場合は癌が再発し、また既に進展した癌患者の場合は結局死亡することになる。既存の癌治療の限界は腫瘍を除去する能力の不足に起因するものではなく、患者の正常細胞に毒性を与えることなく治療することのできる能力の不在に起因する。かかる毒性のため、手術時の切断程度、放射線投与用量、放射線照射部位の範囲、化学抗癌剤などの配合とその用量などが制約を受けることになる。ある治療法に対する癌組織と正常組織との間の反応差(つまり治療指数)が大きくないのであれば、その方法の効果を高めることは何らの臨床的価値も無い。
【0003】
それにも関わらず、癌を治療するための向上した方法と新しい製剤により、多くの様々な癌患者の生存期間と生存率が増加した。例えば局所腫瘍の場合、手術方法と放射線治療過程の発達により、非常に効果的に腫瘍を除去することができるようになった。しかし手術の場合、腫瘍の位置や腫瘍細胞の転移などの理由で適用に制約を伴うことがある。放射線方法もまた、投与可能な用量に限界があるため制限を受けることがある。放射線に耐性を有する腫瘍の場合、現在許容されている用量では治療が成せないという状況である。
【0004】
放射線療法、化学療法、手術法、免疫治療法などの場合、単独治療でも患者の状態を改善することはできるが、それぞれの方法を並行して使用すると、より良い治療効果が得られることがある。特に、癌が他の組織に転移しているか、転移の確率が高い場合、放射線療法(主に局部腫瘍治療に適用)と、全身療法である化学療法又は免疫療法とを並行して治療することができる。しかし不幸にも、腫瘍が放射線耐性を有する場合は、放射線の照射を受ける癌組織周辺の正常組織に致命的な毒性を起こすため、用量を無制限に増加させることはできず、治療効果は制限を受けざるを得ない。従って、放射線療法に対する癌細胞の敏感度を増加させ、腫瘍の悪性程度を減少させる必要がある。さらに、特定の癌細胞にだけ放射線治療を選択的に適用させる方法を開発することにより、正常細胞を放射線照射の毒性から保護する必要がある。
【0005】
同様に、一部の抗癌剤の毒性を緩和するための方案として、非毒性物質又は“前駆薬物(prodrug)"を治療効果を有する物質に切り替える"化学遺伝子(chemogenes)"を腫瘍細胞に導入するために、アデノウイルスが使用されてきた。遺伝子治療法のような様々な新しい試みが、癌治療の治療指数を増加させる方案として研究されている。
【0006】
これらの方法の内の一つが、所謂“自殺遺伝子療法(suicide gene therapy)"というものであり、この方法は、非毒性の前駆薬物を毒性の抗代謝物に切り替える酵素を指示する非哺乳動物の遺伝子を癌細胞に伝達して発現させることを含む。臨床試験で現在評価されている二つの"自殺遺伝子"は、大腸菌(E. coli)由来のシトシンデアミナーゼ(CD)と単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ(HSV-1 TK)遺伝子であって、これらはそれぞれ5−フルオロシトシン(5-FC)とガンシクロビル(GCV)に対する敏感性を与える。このような遺伝子が腫瘍に標的運搬されると、前駆薬物5-FC及びGCVは強力な化学治療剤に局所的に切り替えられ、顕著な腫瘍細胞の死滅を導く(下記文献:1)。従って、既存の化学治療法で現れる全身毒性による使用用量に対する制約は大きく緩和されることになる。
【0007】
従来、バクテリアCDと野生型HSV-1 TK遺伝子を結合して新しいCD/HSV-1 TK融合遺伝子を生成していた(下記文献:1)。CD/HSV-1 TK融合遺伝子は、CD/5-FC及びHSV-1 TK/GCV自殺遺伝子治療の並行使用を可能にする。CD/5-FC及びHSV-1 TK/GCV自殺遺伝子治療は、悪性細胞に特定の薬理学的製剤に対する敏感性を与え、又重要なことは、腫瘍細胞に放射線敏感性を与えるものとして、以前の研究で提示されてきた(下記文献:1−9)。原型(prototype)のCD/HSV-1 TK融合遺伝子を含む、新規で、腫瘍細胞溶解性のある複製可能アデノウイルス(Ad5-CD/TKrep)(下記文献:10)を使用し、放射線治療と並行したりしなかったりして、増殖可能アデノウイルス媒介の二重自殺遺伝子療法について、多様な前臨床研究癌モデル(下記文献:10−13)において、より最近では前立腺癌患者対象の臨床試験(下記文献:14、15)において、その安全性及び効能が立証されている。
【0008】
ヒトの前立腺癌を対象にするこれら臨床試験において、最高3週間、5-FC及びGCV(vGCV)の前駆薬物治療法と並行したAd5-CD/TKrepウイルスは、通常用量(70Gy)の三次元立体造形放射線治療法(3DCRT)を並行しないか(下記文献:14)又は並行した(下記文献:15)時に、最高1012ウイルス粒子(Vp)の投与まで安全性が立証された。さらに、このような治療方式は臨床的効果に対する徴候を現した(下記文献:14、15)。
【0009】
このような進展にも関わらず、癌治療に使用する効果的な方法及び組成物が顕著に要求されているのが実情である。本発明はこのような欠点及び他の欠点の見地から開発された。
【0010】
〔発明の要約〕
本発明は、哺乳類の癌細胞を効果的に死滅させることのできる新規ウイルスを含む、新しく向上した癌治療用の方法及び組成物を含む。上記ウイルスは非毒性前駆薬物を強力な化学治療剤に切り替える新しいタンパク質を生成する。このような化学治療剤は局所的に生成され、ウイルスが癌細胞を死滅させることを助けるだけでなく、腫瘍細胞に放射線に対する敏感性を与える。前臨床研究において、上記ウイルスは単独で使用される場合よりも、前駆薬物療法及び/又は放射線療法と併せて使用される場合に多様なヒト癌細胞を効果的に死滅させることが明らかとなった。
【0011】
本発明は、従来から開示されている原型Ad5-CD/TKrepウイルスに比べて相対的に少なくとも二つの顕著な向上性を有する新しい"第2世代"アデノウイルス("Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADP"と命名 )を含む。 Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、その生成物が前駆薬物5-FC及びGCVをこれらの活性化学治療剤に切り替えるのにより効果的な、向上したyCD/mutTKSR39融合遺伝子を有する。さらに、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPはAd5 ADPタンパク質を発現し、これは複製能を有するアデノウイルスの腫瘍細胞溶解活性を顕著に増加させる。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、前臨床癌モデルにおいて、原型Ad5-CDITKrepウイルスに比べて相対的により優秀なウイルス性腫瘍細胞溶解活性及び化学治療活性を現した。このデータは、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルスを含む本発明が、5-FC及びGCVの前駆薬物療法と放射線療法とに結合された場合に、臨床的に低い毒性及び顕著な抗腫瘍活性を現すことを提示する。
【0012】
本発明の他の見地は、下記の図面及び詳細な説明を通して、当該技術分野の熟練者に容易に理解されることであろう。
【0013】
〔図面の簡単な説明〕
本発明を下記の図面と関連付けて例示することにより説明する。
【0014】
図1は本発明のウイルスAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPの概要図である。
【0015】
図2は本発明のADP遺伝子の有用性を表す図面である。
【0016】
図3A及び図3Bは本発明の向上したyCD/mutTKSR39遺伝子の有用性を表す図面である。
【0017】
図4は本発明のADP遺伝子の有用性を現す図面である。
【0018】
図5は前立腺内LNCaP C4-2マウスモデルにおいてAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPを用いたKaplan-Meierプロットを表す。
【0019】
〔発明を実施するための最良の形態〕
一般的に、本発明は癌治療用の方法及び組成物を含む。より詳しくは、本発明は、前駆薬物と共に投与すると癌細胞が死滅し、また残存する癌細胞を放射線に対してさらに敏感にすることのできる治療方法及び組成物を提供する。
【0020】
本発明の具現により、非毒性前駆薬物を化学治療剤に切り替えることのできるタンパク質を生成する新しいウイルスが提供される。上記前駆薬物は局部的に生成されるか、或いは治療と関連して投与される。上記ウイルスは、これに限定するものではないが、例えばAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPのような腫瘍細胞溶解性の複製能を有するアデノウイルスであることが好ましい。このように治療を必要とする患者に投与すると、上記アデノウイルスは少なくとも二つの前駆薬物を化学治療剤に切り替える。かかる前駆薬物には、これに限定するものではないが、5−フルオロシトシン(5-FC)とガンシクロビル(GCV及びこれらの誘導体)が含まれる。
【0021】
前駆薬物を化学治療剤に切り替える能力に付加して、本発明の具現は細胞を放射線に対して敏感にする。細胞を敏感にすることにより、 放射線の有益性を制限することなく、放射線投与量をより少なく抑えることができる。また、癌細胞が放射線に対してより敏感になる一方、正常細胞はあまり敏感にならず、これにより癌治療の副作用を制限するため、放射線治療がより有効になる。本発明の治療方法及び組成物は、手術、化学治療、ホルモン治療及び免疫治療のような他の治療と共に使用することができる。
【0022】
好ましい具体例として、本発明は酵母シトシンデアミナーゼ(yCD)/突然変異SR39単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ(mutTKSR39)融合遺伝子及びアデノウイルス5型(Ad5)アデノウイルス死滅タンパク質(ADP)遺伝子を含有する、新規で、腫瘍細胞溶解性の複製能を有するアデノウイルス(Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADP)を含む。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPはヒト癌細胞内で複製され、ヒト癌細胞を効果的に死滅させる。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは二つの前駆薬物、即ち5−フルオロシトシン(5-FC)及びガンシクロビル(GCV;及びGCV誘導体)を強力な化学治療剤に切り替えることのできる新しいyCD/mutTKSR39 融合タンパク質を生成する(二重自殺遺伝子治療として言及される)。yCD/5-FC及びHSV-1 TKSR39自殺遺伝子治療はともに強力な化学治療活性を現し、腫瘍細胞をイオン化放射線に対して敏感にする。
【0023】
例えば、前臨床研究は Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルスがそのまま使用されるか、或いは他の二重自殺遺伝子治療及び/又は放射線療法と共に使用される場合に、多様なヒト癌細胞を効果的に死滅させるとしている。臨床設定の際、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルスは、ウイルス媒介の腫瘍細胞溶解性の効果のために単一療法で使用され、複合ウイルス性腫瘍細胞の溶解/化学治療の効果のためにyCD/5-FC及びHSV-1 Ad5-TKSR39/GCV自殺遺伝子治療と併せて使用され、或いは複合ウイルス性腫瘍細胞の溶解/化学治療/放射線敏感化の効果(三重治療として言及される)のためにyCD/5-FC及びHSV-1 TKSR39/GCV自殺遺伝子治療及び放射線療法と併せて使用されることができる。三重治療はヒト癌の管理時における手術、化学治療、ホルモン治療及び免疫治療のような他の通常の癌治療と結合されることができる。
【0024】
癌治療などのこのような遺伝子治療を基礎とした方法をさらに発達させるため、原型Ad5-CD/TKrepウイルスに比べて相対的に二つの顕著な向上性を有する新しい第2世代アデノウイルス(Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADP)を開発した。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、その生成物が前駆薬物5-FC及びGCVをこれらの活性化学治療剤に切り替えるのにより効果的な、向上したyCD/mutTKSR39融合遺伝子を有する。さらに、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPはAd5 ADPタンパク質を発現し、これは複製能を有するアデノウイルスの腫瘍細胞溶解活性を顕著に増加させる。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、前臨床癌モデルにおいて、原型Ad5-CDITKrepウイルスに比べて相対的により優秀なウイルス性腫瘍細胞溶解活性及び化学治療活性を現す。
【0025】
ウイルス感染による本発明の核酸の導入は、他に列挙した方法に比べて多様な長所を提供する。ウイルス感染性に起因してより高い効率が獲得できる。さらに、ウイルスは非常に特殊化されており、典型的に特定の細胞タイプに感染及び増殖するようになっている。従って、これらウイルスの特異的性向は、生体内で又は組織や混合された細胞培養物でベクトルを特定の細胞に標的化することに使用することができる。ウイルスベクトルはまた、特定受容体又はリガンドに変形され受容体媒介イベントを介して標的特異性が変わることも可能である。
【0026】
また、安全性の確保及び/又は治療効率の増大のために、付加的な特性をベクトルに加えることができる。このような特性は、例えば組換えウイルスに感染した細胞の陰性的選別に使用可能なマーカーを含む。このような陰性的選別マーカーの例としては、抗生物質ガンシクロビルに対する敏感性を付与する、上述したTK遺伝子が挙げられる。従って、陰性的選別は、誘導可能な自殺を提供するため、その感染が抗生物質の添加により調節され得る手段である。このような保護は、例えば変換された形態のウイルスベクトル又は組換え配列を生成する突然変異が発生する場合、細胞の形質転換が起こらないことを確実にする。
【0027】
特定の細胞タイプに対する発現を制限する特性がまた、一部の具現に含まれることができる。このような特性は、例えば所望の細胞タイプに対して特異的なプロモーター及び調節エレメントを含む。
【0028】
また、組換えウイルスベクトルは側面感染及び特異性をターゲッティングする長所を提供するため、本発明の核酸の生体内発現に有用である。側面感染は、レトロウイルスの場合のように本来ライフサイクルに存在するもので、単一感染した細胞から生成された色んな子孫ビリオン(virion)が放出されて(bud off)隣り合う周辺細胞を感染させることである。その結果、初めは元々のウイルス粒子により感染しなかった大部分の地域が迅速に感染することになる。これは感染源が娘子孫を通してのみ広がる垂直型感染とは対照的と見られる。側面に広がることのできないウイルスベクトルもまた生成され得る。この特性は特定の遺伝子を限られた数の標的細胞にのみ導入することを目的とする場合に有用であろう。
【0029】
上記したように、ウイルスは宿主防御メカニズムを避けるために多くのケースに進化した非常に特殊化された感染源である。一般にウイルスは、特定の細胞タイプに感染してその細胞で増殖する。ウイルスベクトルを特定の場所に選択的にターゲッティングすることは、主にウイルス自体が元々有している選択的特異性を用いて既に決められている細胞類型にターゲッティングすることであり、これにより組換え遺伝子をその感染細胞に導入させる。本発明の方法に使用されるベクトルは、ターゲットとする細胞類型によって変わるものであり、当該技術分野の熟練者には公知のものである。例えば、もし治療しようとするものが乳房癌である場合、その上皮細胞に対して特異的なベクトルが使用可能である。同様に、治療しようとするものが造血システムの疾病又は病理的条件である場合、血液細胞及びこれらの前駆体に対して特異的な、好ましくは特定タイプの造血細胞に対して特異的なウイルスベクトルが使用可能である。
【0030】
組換えベクトルは様々な方式で投与されることができる。例えば、その方法はウイルスベクトルのターゲット特異性を用いることができ、この場合、疾患部に局所的に投与する必要がない。しかし、局所投与はより迅速で効果的な治療を提供することができる。また投与は、対象者に対して静脈内又は皮下注射のような方式で行われる。注入後、これらウイルスベクターは選択的にターゲットして感染させることのできる宿主細胞に出会うまで循環する。
【0031】
また別の投与方式としては、疾病又は病理的条件の部位に局所的に直接接種したり、或いは栄養分を供給する血管系に接種する方式がある。局所投与は稀釈効果が無くて有利であり、このため、多数の標的細胞での発現はより少ない投与量で済む。また、局所投与はベクトルが接種された地域内全ての細胞の感染に使用可能なため、他の投与形態を必要とする標的要件を緩和させることができる。もし接種された地域内の特定細胞の部分集団でのみ発現されることを望む場合は、所望の部分集団に対して特異的なプロモータ及び調節エレメントが、かかる目的の達成のために使用されることができる。このような非標的ベクトルには、例えばウイルスベクトル、ウイルスゲノム、プラスミド、ファージミドなどが挙げられる。リポソームのようなトランスファクション運搬体がまた、上記非ウイルスベクトルの接種地域内の受容細胞内への導入に使用可能である。このようなトランスファクション運搬体は当該技術分野の熟練者に公知となっている。
【0032】
本発明の化合物は、各患者の臨床的状態、投与部位及び投与方法、投与日程、患者の年齢、性別、体重及び医者に知られているその他要因を考慮して、優秀な医学的実行により投与及び投薬される。本発明の目的上、薬学的に“有効量”は、当該技術分野で知られている通り上記のような考慮事項を基に決定される。その量はこれに限定するものではないが、生存率の向上、より迅速な回復、症状の向上、当該技術分野の熟練者により適切な測定値として選択されるような他の指標の向上、又は除去を含む向上の達成に効果的でなければならない。
【0033】
本発明の方法において、本発明の化合物は様々な方式で投与可能である。化合物での投与が可能であり、単独で或いは薬学的に許容されたキャリア、希釈剤、補助剤、及び運搬体と共に活性成分としても投与可能である。上記化合物は経口、皮下注射又は静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内及び鼻腔内投与だけでなく、髄膜腔内及びインフュージョン技術を含む非経口的な投与も可能である。上記化合物の移植もまた有用である。治療を受ける患者は温血動物、特にヒトを含む哺乳類である。薬学的に許容されたキャリア、希釈剤、補助剤及び運搬体だけでなく、移植物キャリアは、一般に本発明の活性成分と反応しない非活性、非毒性の固体フィラー、液体フィラー、希釈剤又はカプセル化物質を称する。
【0034】
一般的に本明細書に例示されているマウスや他の実験動物よりも、ヒトはさらに長い治療期間を有する事実に注意しなければならず、その治療期間は疾病の進行期間及び薬物効果の期間に比例する。投与には単日投与と数日にわたる多重投与がある。治療期間は一般的に、疾病の進行期間、薬物効果及び治療しようとする対象種によって比例する。
【0035】
本発明の化合物を非経口的に投与する場合、一般的に単位投与可能な形態(溶液、懸濁液、エマルジョン)で配合される。注入に適切な薬学配合物は、無菌の受容液や分散物及び無菌注入可能な溶液や分散物で再構成するための無菌粉末を含む。キャリアには、例えば水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、これらの適切な混合物、及び野菜オイルを含有する溶媒又は分散媒体がある。
【0036】
例えば、レシチンのようなコーティング剤の使用、分散物の場合に要求される粒子サイズの維持、及び界面活性剤の使用により適当な流体性の維持が可能である。綿実油、ごま油、オリーブ油、大豆油、コーン油、ひまわり油又は落花生油のような非水性運搬体、及びイソプロピルミリステートのようなエステルが化合組成物用の溶媒システムに使用可能である。また、抗菌保存剤、抗酸化剤、キレート剤及びバッファを含む組成物の安定性、無菌性及び等張性を増加させる多様な添加剤も添加可能である。微生物の活性の抑制は、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸など様々な抗菌剤及び防カビ剤により確保することができる。多くの場合、例えば糖、塩化ナトリウム(sodium chloride)などのような等張性製剤を含むことが好ましいであろう。注入可能な薬剤形態の吸収を遅らせるには、例えばアルミニウムモノステアレート及びゼラチンなど吸収を遅らせる製剤を使用することができる。しかし、本発明に使用されるいずれの運搬体、希釈剤又は添加剤も、上記化合物と混和されなければならない。
【0037】
無菌注入可能な溶液は、必要に応じて様々な他の成分を有する適切な必要量の溶媒に、本発明の実施に使用される化合物を混入させることにより準備することができる。
【0038】
本発明の薬理学的配合物は、様々な運搬体、補助剤、添加剤及び希釈剤のような何らかの混和可能なキャリアを含有する注入可能な配合物として患者に投与されることができ、本発明に使用される化合物は、徐々に放出される皮下移植物又はモノクローナル抗体、ベクトル化した運搬体、イオン透過担体、重合体マトリックス、リポゾーム、マイクロスフェアのような標的運搬システムの形態で患者に非経口的に投与されることができる。移植物、運搬システム及びモジュールのような他の多くのものは当該技術分野の熟練者によく知られている。
【0039】
一具体例において、本発明の化合物は、初めは適切な水準の血中濃度(blood level)を得るために静脈内注射により投与されることができる。その後、患者の水準は経口投与形態で維持されるが、患者の状態によって、上記したような他の投与形態が使用可能である。投与される量は治療対象の患者により変わる。
【0040】
〔定義〕
別途言及しない限り、下記の用語及び句は次のような意味を有する。
【0041】
本発明で使用される“遺伝子治療”とは、関心ある遺伝物質(例えばDNA又はRNA)を宿主内に伝達して、遺伝学的又は後天的な疾病や条件表現型を治療又は予防することを称する。関心ある遺伝物質は、生体内で生成しようとする生成物(タンパク質、ポリペプチド、ぺプチド、機能性RNA、アンチセンスなど)を暗号化する。例えば、関心ある遺伝物質は治療的価値のあるホルモン、受容体、酵素、ポリペプチド又はペプチドを暗号化することができる。関心ある遺伝物質はまた、自殺遺伝子を暗号化することができる。検討のために"Gene Therapy"(Advances in Pharmacology 40, Academic Press, 1997)を参考にしてもらいたい。
【0042】
“生体内遺伝子治療”とは、伝達される遺伝物質がその受容体内に存在する元位置で(in situ)受容体器官の標的細胞内へ導入される場合を称する。治療後、遺伝的に変換された標的細胞は元位置でトランスファクションされた遺伝物質を発現する。このような治療はまた、宿主遺伝子に欠陥がある場合、元位置でその遺伝子を修復することを含む。
【0043】
“遺伝子発現運搬体”とは、二種性核酸を宿主細胞内に運搬/伝達することのできる運搬体を称する。発現運搬体は、当該技術分野で知られている通り、細胞選別方式で核酸の標的、発現及び転写を調節するエレメントを含むことができる。時々遺伝子の5'UTR及び/又は3'UTRが発現運搬体の5'UTR及び/又は3'UTRに代替される。従って、本明細書に使用されている発現運搬体は、運搬される実際の遺伝子の5'UTR及び/又は3'UTRを含むだけでなく、特定のアミノ酸暗号部位を含むことができる。発現運搬体は二種性物質の転写を調節するプロモータを含むことができ、選択的な転写を可能にする構成的或いは誘導性のプロモータでもあり得る。必要な転写調節の確保に要求されるエンハンサーが任意で含まれ、エンハンサーは一般にプロモータにより指示される基本転写水準を変化させるために暗号配列と隣接して作動する(インシス(in cis))ある非翻訳のDNA配列である。発現運搬体はまた、選別遺伝子を含むことができる。
【0044】
以下、実施例を通して本発明をより詳細に説明する。
【0045】
<実施例1:Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPアデノウイルスの特徴>
Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPアデノウイルスの全長DNA、部分DNA及び翻訳されたタンパク質配列、yCD/mutTKSR39融合遺伝子、及びADP遺伝子(配列番号:1〜5)を配列目録に表した。下記実施例はこのような配列の見地から表したものである。
【0046】
実施例のAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルス(配列番号:1)は、E1領域に向上したyCD/mutTKSR39融合遺伝子及びE3領域にAd5 ADP遺伝子を含む、複製能を有するアデノウイルス5型(その配列は当該技術分野の熟練者に容易に知られており入手可能)である。 Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPの概要を図1に示す(同図で、"CMV"=ヒトサイトメガロウイルスプロモータ;"SV40"=シミアンウイルス40ポリアデニル化配列;及び"mu"=マップユニット)。図1に表したように、CMV-yCD/mutTKSR39-SV40発現カセットは、欠失した55kDa E1B遺伝子の部位内E1領域に位置する。CMV-ADP-SV40発現カセットは、欠失したE3遺伝子の部位内E3領域に位置する。
【0047】
Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、55kDa E1B遺伝子(配列番号:2)で1,255塩基対(bp)欠失(塩基2,271−3,524)を含む。当該技術分野の熟練者に知られている方法を使用して、二つの早熟な(premature)翻訳停止コドンを、切断された非機能性の78アミノ酸E1Bタンパク質を生成する55kDa E1B遺伝子内に操作した。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADP は、野生型Ad5 E1A及び19kDa E1Bタンパク質を発現する。yCD/mutTKSR39融合遺伝子(配列番号:4)は、欠失した55kDa E1B遺伝子の位置に挿入した。yCD/mutTKSR39融合遺伝子の発現は、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモータにより誘導され、シミアンウイルス40(SV40)ポリアデニル化エレメントを使用した。yCD/mutTKSR39融合遺伝子は59kDa yCD/mutTKSR39融合タンパク質をコーディングし、これは酵素的に5−フルオロシトシン(5-FC)をフルオロウラシル(5-FU)に切り替え、ガンシクロビル(GCV)及びその誘導体をこれらの相応するモノホスフェイトに切り替えることができる(例えばGCV-MP)。5-FU及びGCV-MPの下流(downstream)代謝産物はDNA複製の強力な抑制剤であり、分裂する細胞の死滅を引き起こす。このような下流代謝産物はまた、強力な放射増減剤であって、放射線治療の効果を顕著に増加させることができる(下記文献1−14)。yCD/mutTKSR39融合タンパク質を発現する細胞だけでなく、バイスタンダー効果で、周囲細胞はyCD/5-FC及びHSV-1 TKSR39/GCV自殺遺伝子治療により死滅し、イオン化放射線の死滅効果に敏感になる。
【0048】
Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPはまた、宿主免疫反応を抑制するが、ウイルス複製に必要な遺伝子に影響を与えるE3領域に2.68kb欠失を(塩基28,133〜30,181)含む(配列番号:3)。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、天然Ad5 E3遺伝子の位置にAd5 ADP発現カセットを有する。ADP遺伝子(配列番号:5)の発現はヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモータにより誘導され、シミアンウイルス40(SV40)ポリアデニル化エレメントを使用する。変形していない元来の111.6kDa Ad5 ADPタンパク質が生成され、これは複製能を有するアデノウイルスの腫瘍溶解活性を顕著に増加させる。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、他の知られている全てのAd5 E3遺伝子(gp19、10.4kDa、14.5kDa及び14.7kDa遺伝子)が欠乏している。
【0049】
<実施例2:Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPアデノウイルスの製作>
Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPの製作に使用されたアデノウイルス配列を含むプラスミドは、Microbix(Toronto、Canada)から入手した。pCMV-yCD/mutTKSR39発現プラスミド(左末端ベクトル)を生成するために、突然変異SR39 HSV-1 TK遺伝子(下記文献:16)を線形化されたpET23d:HSVTKSR39を鋳型として用い、重合酵素連鎖反応(PCR)を通して生成した。下記プライマー対を、mutTKSR39 PCR産物の生成に使用した:
5'-GATCGGATCCCTCGAGATC2CTAGCATGGCTTCGTACCCCGGC-3
5'-GATCGAATTCTTCCGTGTTTCAGTTAGCCTC-3
その結果物である1,128bp断片をBamHI(GGATCC) + EcoRI(GAATTC)で切断し、原型CD/HSV-1 TK融合遺伝子を除去した後、pCA14-CDglyTK-E1aE1b(下記文献:10)のBamHI + EcoRI部位の間にクローニングしてpCA14- CMV -mutTKSR39-E1aE1b を生成した。yCD遺伝子(下記文献:17)を鋳型として線形化されたpBAD-ByCDを使用して生成した。下記プライマー対を、yCD PCR産物の生成に使用した:
5'-GATCCTCGAGCCACCATGGTGACAGGGGGAATG-3'
5'-GATCGCTAGCACCTCCCCCACCGCCTCtCCCTCCACCCTCACCAATATCTTC-3'
その結果物である526bp断片をXhoI(CTCGAG) + NheI(GCTAGC)で切断し、pCA14-CMV-mutTKSR39-E1aE1bのXhoI + NheI部位の間にクローニングしてpCA14-CMV-yCD/mutTKSR39-E1aE1bを生成した。
【0050】
pBHG10-Paclmod-CMV-ADP(右末端ベクトル)を生成するために、ADP遺伝子をPCRにより生成し、pBHG10-PacImodのPacIとSwaI部位の間にクローニングした。pBHG10-PacImodはpBHG10(Microbix; Toronto, Canada)の誘導体であり、指向性クローニングを容易にするためにE3領域にPacI及びSwaI部位を含む。
【0051】
pBHG10は、E1領域に塩基188〜1,339、及びE3領域に塩基28,133〜30,818が除外された、全体アデノウイルス5型ゲノムを含む。鋳型として野生型Ad5 DNAを使用し、ADP遺伝子を含有する333bp PCR産物を生成した。下記プライマー対を、ADP PCR産物の生成に使用した:
5'-GATCGGATCCCCTGCTCCAGAGATGACCGGC-3'
5'-GATCAAGCTTGGAATCATGTCTCAMAATC-3'
その結果物である333bp PCR産物をBamHI(GGATCC) + HindIII(AAGCTT)で切断し、BamHI-HindIII切断されたpCA14(Microbix; Toronto, Canada)内にクローニングしてpCA14-ADPを生成した。全体CMV-ADP-SV40ポリA発現カセットを、下記プライマー対を用いてPCRにより生成した:
5'-GATCATTTAAATAATTCCCTGGCATTATGCCCAGTA-3'
5'-GATCTTAATTAATCGATGCTAGACGATCCAGACATG-3'
SwaI制限部位(ATTTAAAT)を 5'プライマー内CMVプロモータの上流(upstream)に導入し、PacI制限部位(TTAATTAA)は 3'プライマーを有するSV40ポリA領域の下流に導入した。PCR産物をSwaI及びPacIで切断し、SwaI-PacI切断されたpBGH10-PacImod内にクローニングしてpBGH10-PacImod-CMV-ADPを生成した。
【0052】
Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルスを生成するために、pCA14-CMV-yCD/mutTKSR39-E1aE1b(10μg)をPvuI切断により線形化し、ClaI-線形化されたpBHG10-PacImod-CMV-ADP(30μg)と共にCaPO4-DNA沈殿法を用いてHEK293細胞(Microbix)に共トランスファクションを行った。分離したプラークを7〜14日後に収去し、HEK 293細胞で2回プラーク精製した。2回精製されたプラークから得られたウイルスを使用し、HEK293細胞を感染させて未精製ウイルス上層液及びCsCl勾配−精製されたアデノウイルスを生成させた。
【0053】
<実施例3:試験管内でAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPに含有されたADP遺伝子の長所>
ヒトDU145前立腺腺癌細胞を24ウェルプレートに5×104細胞/ウェルの濃度でプレーティングし、等級量のAd5-CD/TKrep(レーン1)及びAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルス(レーン2)で感染させた。5日後、細胞を固定させてクリスタルバイオレットで染色した。その結果(図2に図示、"Vp"=ウイルス粒子)、Ad5 ADP遺伝子を含有しADPタンパク質を発現する、複製能を有するアデノウイルス(つまり、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADP)は、ADPが欠失したアデノウイルスより著しく優秀な腫瘍溶解活性を有することが確実に立証された。即ち、Ad5 ADP遺伝子の存在は、複製能を有するアデノウイルスの腫瘍溶解活性を著しく増加させた。このような結果は、試験管内でAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPに含有されたADP遺伝子の有用性を立証する。
【0054】
<実施例4:試験管内でAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPに含有されたyCD/mutTKSR39遺伝子の長所>
〔A.CDアッセイ〕
LNCaP C4-2細胞をモック(mock)−感染させるか(レーン1及び5)、又は該細胞を10 MOIでAd5-CD/TKrep(レーン2及び6)、 Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADP(レーン3及び7)、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-hNIS(レーン4及び8)を使用して感染させた。72時間後、基質として[14C]-シトシン(レーン1〜4)及び[3H]-5-FC(レーン4〜8)を用いて、細胞をCD活性について検査した。その結果を、図3A[(シトシン(左下側の矢印)、ウラシル(左上側の矢印)、 5-FC(右上側の矢印)、 5-FU(右下側の矢印))に表した。図3Aに表したように、組換えアデノウイルスは、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPのように向上したyCD/mutTKSR39rep遺伝子を発現し、これは原型Ad5-CD/TKrepウイルスに含有されたCD/HSV-1 TK融合遺伝子を発現するウイルスに比べて、シトシンからウラシルへの転換ではない、5-FCから5-FUへのより優秀な転換を表す。
【0055】
〔B.細胞変性効果アッセイ〕
細胞(106細胞、60mmディッシュ)をモック(mock)−感染させるか、或いは該細胞を3 MOIでAd5-CD/TKrep又はAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPを使用して感染させた。翌日、細胞を様々な濃度(μg/ml)の5-FC(ウェル3〜7及び15〜19、左から右へ、上から下へ)又はGCV(ウェル8〜12及び20〜24、左から右へ、上から下へ)を含有する培地に再びプレーティングした。9日後、細胞をクリスタルバイオレットで染色した。その結果(図3Bに図示)、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPのような向上したyCD/mutTKrep遺伝子を発現する組換えアデノウイルスは、原型Ad5-yCD/TKrepウイルスに含有されたCD/HSV-1 TK融合遺伝子を発現するウイルスよりも5-FC前駆薬物療法と結合された場合に、より優秀な細胞死滅を達成することが明らかになった。また、図3A及び図3Bの結果は、試験管内でAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPに含有されたyCD/mutTKSR39遺伝子の有用性を表す。
【0056】
本実施例の結果はまた、yCD/5-FC及びHSV-1 TKSR39/GCV自殺遺伝子治療がAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルス自体の治療効果の増大に使用可能であることを立証する。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、その生成物が原型Ad5-CD/TKrepウイルスにより生成されるCD/HSV-1 TK融合タンパク質に比べて相対的に向上した触媒活性を有する、新しいyCD/mutTKSR39融合遺伝子を有する。向上したyCD/mutTKSR39融合タンパク質を発現する組換えアデノウイルスは、原型CD/HSV-1-TK融合タンパク質を発現するウイルスに比べて、5-FCから5-FUへのより優秀な転換を表し、またGCVからGCV-MPへのより優秀な転換を表すこともできる。従って、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPウイルスの腫瘍破壊効果を増大させるために、yCD/5-FC及びHSV-1 TKSR39/GCV自殺遺伝子は独立して使用されることもでき、共に使用されることもできる。
【0057】
<実施例5:生体内でAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPに含有されたADP遺伝子の長所>
筋肉内(脚)注射で、C33A腫瘍(150〜200mm3)に1010vpのAd5-CD/TKrep又はAd5-CD/TKrep-ADPを第0、2及び4日に注入した(図4の下向きの黒い矢印頭)。5-FC(500mg/kg/day)及びGCV(30mg/kg/day)を第5〜11日に投与した(図4の斜線で表した棒)。腫瘍体積を隔日でモニタリングした。予め決められている終結時点は500mm3であった。生存は第90日に腫瘍を有していないか(治療)、又は<500mm3の腫瘍を有する動物と定義した。その結果(図4及び下記表1に表示)、生体内でより優秀な腫瘍細胞破壊が表れ、これはAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPに含有されたADP遺伝子の有用性を立証する。つまり、Ad5 ADP遺伝子の存在は試験管内でだけでなく、生体内でも複製能を有するアデノウイルスの腫瘍溶解活性を増加させた。
【0058】
【表1】

<実施例6:マウスモデルで生体内Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPの効果>
前立腺内に形成されたLNCaP C4-2腫瘍(サイズ:約25〜50mm3)を有する雄SCIDマウスに、約109vpのAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPを第0日に注入した(図5の下向きの黒い矢印頭)。5-FC(500mg/kg/day)及びGCV(30mg/kg/day)を第3〜9日に投与した(図5の斜線で表した棒)。血清PSAを毎週測定した。予め決められている終結時点はPSA=500ng/mlであった。その結果(図5及び表2に表示)、本発明のAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPを用いたマウスモデルにおいて、平均生存時間及び/又は腫瘍治療率の増加が見られた。
【0059】
【表2】

<実施例7:yCD/5-FC及びHSV-1 TKSR39/GCVを用いて放射線敏感度が増加した(Radiosensitized)ヒト癌細胞>
本発明者による以前の実験に示されているように(下記文献:1〜14)、yCD/5-FC及びHSV-1 TKSR39/GCV自殺遺伝子治療はまた、ヒト癌細胞の放射線に対しての敏感度の増加に使用することができる。Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、その生成物が原型Ad5-CD/TKrepウイルスによって生成されるCD/HSV-1 TK融合タンパク質に比べて、相対的に向上した触媒活性を有する、新しいyCD/mutTKSR39融合遺伝子を有する。先行の研究は、CD/5-FC及びHSV-1 TK/GCV自殺遺伝子治療によりヒトの腫瘍細胞をイオン化放射線に対して敏感にすることができることを立証した。従って、Ad5-yCD/mutTKSR39rep-ADPは、向上したyCD/mutTKSR39融合タンパク質を発現するため、生体内でより優秀な腫瘍細胞の放射線敏感度を導くことができる。
【0060】
本明細書の全般における各種参考文献は参考文献番号で表記されている。番号で表記された参考文献の目録を下記に示す。これらの参考文献の全体説明は、本発明と関連する技術分野の状態をより完全に説明するために本明細書に参考文献として含まれる。
【0061】
本発明については、特定的で、且つ上記のような好ましく択一的な具体例及び実施例を参考に説明したが、下記の請求範囲に定義されているように、本発明の実施にあたっては、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく本明細書に記述された本発明の具現例に対して様々な選択的方案が使用可能なものと理解されるべきである。下記の請求範囲は、本発明の範囲を定義し、よってこの請求範囲の範囲内の方法、組成物及びこれらの等価物を含むものである。このような本発明の説明には、本明細書に記述された要素の新規で且つ自明でない組み合わせの全てが含まれると理解すべきであり、請求範囲はこのような要素の或る新規で且つ自明でない組み合わせについて、本出願或いは後続出願として提出されることができる。上述した具体例は例示的なものであり、いずれの単一特徴又は要素も、本出願又は後続出願にて請求され得る全ての可能な組み合わせに必須的なものではない。請求範囲がこれら等価物の「一つ」又は「第一」の要素を引用する場合、この請求範囲はそのような要素を二つ又はそれ以上に必要とするか排除するものではなく、そのような要素を一つ又はそれ以上含むものとして理解されるべきである。
【0062】
〔参考文献目録〕
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【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は本発明のウイルスAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPの概要図である。
【図2】図2は本発明のADP遺伝子の有用性を表す図面である。
【図3】図3A及び図3Bは本発明の向上したyCD/mutTKSR39遺伝子の有用性を表す図面である。
【図4】図4は本発明のADP遺伝子の有用性を現す図面である。
【図5】図5は前立腺内LNCaP C4-2マウスモデルにおいてAd5-yCD/mutTKSR39rep-ADPを用いたKaplan-Meierプロットを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵母シトシンデアミナーゼ/突然変異体SR39単純ヘルペスウイルス(HSV)1型チミジンキナーゼ融合遺伝子のヌクレオチド配列を含み、上記遺伝子が配列番号:4のヌクレオチド配列を含むことを特徴とする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
酵母シトシンデアミナーゼ/突然変異体SR39単純ヘルペスウイルス(HSV)1型チミジンキナーゼ融合遺伝子、及びアデノウイルス5型アデノウイルス死滅タンパク質遺伝子のヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを含み、上記アデノウイルス5型アデノウイルス死滅タンパク質遺伝子が配列番号:5のヌクレオチド配列を含むことを特徴とする、組換えアデノウイルス。
【請求項3】
酵母シトシンデアミナーゼ/突然変異体SR39単純ヘルペスウイルス(HSV)1型チミジンキナーゼ融合遺伝子のヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドにより暗号化されたアミノ酸配列を含み、前駆薬物である5フルオロシトシン及びガンシクロビルを活性化学治療剤に切り替え、上記アミノ酸配列が配列番号:6のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、単離されたポリペプチド。
【請求項4】
酵母シトシンデアミナーゼ/突然変異体SR39単純ヘルペスウイルス(HSV)1型チミジンキナーゼ融合遺伝子、及びアデノウイルス5型アデノウイルス死滅タンパク質遺伝子のヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを含み、上記遺伝子が配列番号:1のヌクレオチド配列を含むことを特徴とする、組換えアデノウイルス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−524435(P2009−524435A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552509(P2008−552509)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/002682
【国際公開番号】WO2007/087462
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(508227189)
【氏名又は名称原語表記】HENRY FORD HEALTH SYSTEM
【住所又は居所原語表記】1 Ford Place,Detroit,Michigan 48202,United States of America
【Fターム(参考)】