説明

新規イソクロマン化合物とその抗がん剤等への利用

【課題】 天然に存在し、有用な生理活性を有する新規化合物を見出すこと、とりわけ抗がん作用を有する新規化合物を見出し、同化合物を利用した抗がん剤、医薬、機能性食品などを提供すること。
【解決手段】 海藻に寄生する海洋微生物から単離精製された新規イソクロマン化合物pseudodeflectusinは、下記の式(1)により表される化学構造を有し、ヒト癌細胞種に対して選択的に高い増殖抑制活性を示し、新規抗がん物質として医薬品、機能性食品等に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規イソクロマン化合物とその利用に関するものである。本発明の新規化合物は、ヒト癌細胞種に対して選択的毒性を示し、抗がん剤等の医薬として利用できるほか、癌の予防、治療に効果のある機能性食品等としても利用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
これまでに陸生の微生物から、有用な生理活性をもつ新規化合物が数多く分離精製され、これら化合物は、医薬品、飲食品、化粧品などに利用されてきた。このように天然から得られた化合物は、人体に対する安全性も比較的高く、医薬品等への応用にも結びつきやすいものである。さらに最近では、海洋微生物の代謝産物からの有用な新規物質の単離、発見を目的とする調査研究も盛んになってきている(例えば、下記の非特許文献1・2参照)。
【0003】
【非特許文献1】Pietra, F. Nat. Prod. Rep. 1997, 14, 453-464頁
【非特許文献2】Cuomo, V.; Palomba, I.; Perretti, A.; Guerriero, A.; D’Ambrosio, M.; Pietra, F. J. Mar. Biotechnol. 1995, 2, 199頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、天然に存在し、有用な生理活性を発揮する新規化合物を見出すことにあり、とりわけ未だ探索が十分進んでいない海洋微生物に着目し、海洋微生物から産業上有用な新規化合物を単離・同定することにある。
【0005】
また、抗がん作用を有する新規化合物、とりわけ癌の種類に応じて選択的に高い抗がん作用を有する新規化合物を見出し、同化合物を利用した抗がん剤、医薬、機能性食品などを提供することも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意研究を進めた結果、海洋微生物(Aspergillus pseudodeflectus)から分離精製された新規イソクロマン化合物(即ち、後述のpseudodeflectusin)がヒト癌細胞種に対して選択的に高い増殖抑制を示すこと、また、LDH-細胞毒性テストにより、同化合物が癌細胞に対して細胞毒性を示すことや、細胞内グルタチオン量を減少させる作用を有すること、等を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、産業上および医療上有用な発明として、下記A)〜E)の発明を包含するものである。
【0008】
A) 下記の式(1)により表される化合物(即ち、後述のpseudodeflectusin :9-hydroxy-7-methyl-2-(methylethylidene)-furano[3,2-H]isochroman-3-one)、又はその薬理上許容される塩。
【化2】

【0009】
B) 上記式(1)により表される化合物、又はその薬理上許容される塩を有効成分とする抗がん剤。
【0010】
C) 上記式(1)により表される化合物、又はその薬理上許容される塩を有効成分とする医薬用組成物。
【0011】
D) 上記式(1)により表される化合物、又はその薬理上許容される塩を含有する食用組成物。
【0012】
E) 上記式(1)により表される化合物を産生するアスペルギルス・シュードデフレクタス(Aspergillus pseudodeflectus)Hiji005株(FERM AP-20008)。
【発明の効果】
【0013】
上記式(1)の新規イソクロマン化合物には、後述の実施例に示すように、抗がん作用が認められるので、同物質並びにその薬理上許容される塩は、新規抗がん物質として医薬品、機能性食品等に利用することができる。とりわけ、本発明に係るイソクロマン化合物は、浮遊系のがん細胞に対して強い増殖抑制活性を示したので、白血病(リンパ腫・血液性悪性腫瘍)などのがんに対する効果的な抗がん剤としての利用が期待できる。
また、本発明に係るイソクロマン化合物は、抗がん作用のほかにも有用な生理活性を有している可能性があり、医薬品、食品、さらには化粧品など産業上種々の利用が期待できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の具体的態様等について詳しく説明する。
本発明者は、海藻に寄生する海洋微生物アスペルギルス・シュードデフレクタス(Aspergillus pseudodeflectus)Hiji005株(受領番号FERM AP-20008)の抽出物から化合物を精製し、その構造を高分解能エレクトロスプレーイオン化質量分析(HR-ESIMS)、1H−核磁気共鳴(NMR)スペクトル、および、13C−核磁気共鳴スペクトル等により解析した結果、前記式(1)の構造を有する新規イソクロマン化合物であると判断し、Aspergillus pseudodeflectusから得られた新規物質として「pseudodeflectusin(シュードデフレクタシン)」と命名した。
【0015】
上記pseudodeflectusinの精製方法について簡単に説明すると、まず伊豆にて採取した海藻(Sargassum fusiforme)からDifco社製ポテトデキストロース寒天培地に菌(Aspergillus sp.)を単離し、得られた菌株をポテトデキストロース培地(24g/1L)にて暗所、静置条件で三週間培養した。そして、4Lの培養液を塩化メチレンで抽出し、442.3mgの粗抽出物を得た。この粗抽出物をヘキサン:酢酸エチル=4:1〜1:4のシリカゲルカラムクロマトで分離精製し、3.4mgの画分Aと284.2mgの画分Bを得た。次に、画分Bをクロロホルム:メタノール=19:1でシリカゲルカラムクロマトを行い、その後、クロロホルム:メタノール=99:1〜95:5でシリカゲルカラムクロマトを行い、画分Cにおいて1.2mgの化合物を分離精製した。構造解析の結果から、この化合物は前記式(1)の構造を有する新規イソクロマン化合物(即ち、pseudodeflectusin)であると判断された。
【0016】
このように、本発明の新規イソクロマン化合物pseudodeflectusinは、アスペルギルス種など天然に存在する微生物等から分離精製することができるが、本発明の化合物の製造方法としてはこれに限定されるものではなく、化学合成したものであってもよいし、天然物から得られた物質を出発物質として反応等の処理を施し、製造してもよい。
【0017】
上記pseudodeflectusinについて、ヒト癌細胞に対する増殖抑制活性をMTTアッセイにより検討したところ、癌細胞種に応じて選択的に高い増殖抑制活性を示した(図1参照)。具体的には、使用した4種類のヒト癌細胞(NUGC−3(胃癌細胞)、HeLa(子宮癌細胞)、HL−60(白血球細胞)、A549(肺癌細胞))のうち、HL−60に対して最も強い増殖抑制活性を示し、NUGC−3、HeLaに対しても増殖抑制活性を示した(50%阻害濃度はそれぞれ39μM、49μM、47μM)。他方、扁平上皮細胞であるA549に対しては、増殖抑制活性は認められなかった。
【0018】
本発明の新規化合物pseudodeflectusinは、ヒト癌細胞種(細胞株)に対して選択的に増殖抑制を示すため、副作用の少ない抗がん剤になることが期待できる。さらに、新規な機能を有する抗がん剤として、既存の抗がん剤との併用により癌治療の相乗効果が期待される。
【0019】
LDH-細胞毒性テストにより、上記pseudodeflectusinの細胞毒性を検討したところ、pseudodeflectusinは癌細胞であるHeLa細胞に対して強い細胞毒性を示した(図2参照)。また、pseudodeflectusinは、HeLa細胞に対し細胞内グルタチオン量を減少させる作用を有していた(図3参照)。細胞内グルタチオンはアポトーシス誘導剤や抗がん剤に対する耐性と関係しているとの報告もあり、細胞内グルタチオン量の減少が細胞毒性の発現につながっている可能性が考えられた。
【0020】
このように本発明の新規化合物pseudodeflectusinは、細胞死を誘導したことからアポトーシス誘導剤としても有用である。本発明の新規化合物はそのほかにも有用な生理活性を有している可能性があり、医薬品、食品、さらには化粧品など産業上種々の利用が期待できるものである。勿論、本発明の新規化合物を生化学試薬などに利用することも可能である。
【0021】
本発明には上記pseudodeflectusinの薬理上許容される塩も含まれるが、このような薬理上許容される塩としては、フッ化水素酸塩、塩酸塩などのハロゲン化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの無機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、スルホン酸塩、および、有機酸塩を例示することができる。
【0022】
本発明の化合物(pseudodeflectusin又はその薬理上許容される塩)を医薬品へ利用する場合、その一態様として、本発明の化合物を医薬品開発過程におけるリード化合物として利用するものであってもよい。
【0023】
本発明の化合物を医薬品(医薬用組成物)に用いる場合の一例について説明する。本発明の化合物は、これをそのまま、あるいは慣用の医薬製剤担体とともに医薬用組成物となし、ヒト(または動物)に投与することができる。医薬用組成物の剤形としては特に制限されるものではなく必要に応じて適宜選択すればよいが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤、注射剤、坐剤、塗布剤等の非経口剤が挙げられる。
【0024】
錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤は、例えば、デンプン、乳糖、白糖、トレハロース、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を用いて常法に従って製造される。これらの製剤中の本発明の化合物の配合量は特に限定されるものではなく適宜設定できる。この種の製剤には、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を適宜に使用することができる。
【0025】
非経口剤の場合、患者の年齢、体重、疾患の程度などに応じて用量を調節し、例えば、静注、点滴静注、皮下注射、筋肉注射などによって投与する。この非経口剤は常法に従って製造され、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水等を用いることができる。さらに必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤を加えてもよい。また、この非経口剤は安定性の点から、バイアル等に充填後冷凍し、通常の凍結乾燥処理により水分を除き、使用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することもできる。さらに必要に応じて、等張化剤、安定剤、防腐剤、無痛化剤を加えてもよい。これら製剤中の本発明の化合物の配合量は特に限定されるものではなく任意に設定できる。その他の非経口剤の例として、外用液剤、軟膏等の塗布剤、直腸内投与のための坐剤等が挙げられ、これらも常法に従って製造される。
【0026】
なお、公知のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を利用し、例えば、本発明の化合物をリポソームなどの運搬体に封入して体内投与してもよい。このとき標的部位の癌細胞等を特異的に認識する運搬体などを利用すれば、標的部位に本発明の化合物を効率よく運ぶことができ効果的である。
【0027】
本発明の化合物を食品(食用組成物)に用いる場合は、各種飲料や各種加工食品の原材料として本発明の化合物を飲食品に添加したり、必要に応じてデキストリン、乳糖、澱粉等の賦形剤や香料、色素等とともにペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、またゼラチン等で被覆してカプセルに成形加工して健康食品や保健食品等として利用できる。
【実施例】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0029】
〔実施例1:海藻に寄生する海洋微生物からの新規イソクロマン化合物の単離・精製〕
海藻に寄生する海洋微生物から、本発明の新規イソクロマン化合物を以下のような手順で抽出・精製し、その構造を決定した。
【0030】
まず、伊豆三浦半島にて採取した海藻(Sargassum fusiforme)を滅菌水で洗い、小片に切り刻み、3.6%食塩水に浸漬後、Difco社製ポテトデキストロース寒天培地にて培養し、菌(Aspergillus pseudodeflectus Samon & Mouchacca)を単離した。単離した菌株は、さらにポテトデキストロース培地(24g/1L)にて暗所、静置条件で三週間培養した。その後、4Lの培養液をブフナー漏斗でろ過し、菌体を取り除いた後、塩化メチレンで抽出し、有機層から442.3mgの粗抽出物を得た。
【0031】
この粗抽出物に対して三回シリカゲルカラムクロマト(関東化学社製、シリカゲル60N 球状・中性)を行い、含有物質を分離精製した。具体的には、まずヘキサン:酢酸エチル=4:1〜1:4でシリカゲルカラムクロマトを行い、3.4mgの画分Aと284.2mgの画分Bを得た。次に、画分Bについてクロロホルム:メタノール=19:1でシリカゲルカラムクロマトを行い、その後クロロホルム:メタノール=99:1〜95:5でシリカゲルカラムクロマトを行い、画分Cにおいて1.2mgの非晶質固体の化合物1を得た。後述の構造解析の結果、この化合物1は、前記式(1)の化学構造を有する新規イソクロマン化合物であると判断し、本発明者はこの新規化合物を「pseudodeflectusin」と命名した。
【0032】
他方、構造解析の結果、上記画分Aには、下記式(2)の化学構造を有する化合物2(7-methyl-2-(1-methylethylethlidene)-furo[3,2-H]isoquinoline-3-one)が同定された。
【化3】

【0033】
この化合物2の構造は、文献Kohno, J.; Hiramatsu, H.; Nishio, M.; Sakurai, M.; Okuda, T.; Komatsubara, S. Tetrahedron 1999, 55, 11247頁において、Aspergillus urtusから単離されたTMC-120Bとして報告されている物質の構造と同じであり、既知物質であった。後述の実施例では、化合物1との生理活性を比較するため、この化合物2を使用した。
【0034】
〔実施例2:新規イソクロマン化合物の構造決定〕
上記方法により得られた化合物1の旋光度を測定し、旋光度[α]D23.2=+11°(c=0.18, MeOH)を得た。
【0035】
化合物1の構造を決定するため、同化合物を高分解能エレクトロスプレーイオン化質量分析(HR-ESIMS)に供した。m/z 283.0950(M+H+), 理論値283.0940という結果から、化合物1は分子式C15164であることが示された。
【0036】
化合物1について、溶媒にCDCl3を、内部標準としてTMSを用いて、1H−NMR、13C−NMRを測定し、以下の表1に掲げるデータを得た。
【表1】

【0037】
また化合物1のIRスペクトルを測定したところ、以下の値が得られた。IR(film): 3338.18, 3019.98, 1690.30, 1644.98, 1607.38, 1436.71, 1289.18, 1119.48, 1079.94, 1022.09, 855.28, 669.18。
【0038】
こうして得られたデータをもとにHMBCスペクトル解析、COSYスペクトル解析によって構造解析を進めた結果、化合物1は、下記の構造を有するものと判断された(なお、式中の各数値は表1の炭素原子の番号に対応する)。
【0039】
【化4】

【0040】
〔実施例3:化合物1および化合物2のヒト由来癌細胞増殖抑制効果〕
化合物1および化合物2がヒト由来の癌細胞増殖抑制作用を有するかどうか検討した。実験では、ヒト胃癌細胞株であるNUGC−3細胞、ヒト子宮癌細胞株であるHeLa細胞、ヒト白血球細胞株であるHL−60細胞、ヒト肺癌細胞株であるA549細胞の4種類の癌細胞を使用し、種々の濃度の化合物1又は化合物2を添加してインキュベーションし、48時間後、各癌細胞の生存率をMTTアッセイにより決定した。
【0041】
図1は、上記実験結果を示すグラフであり、各グラフにおいて、黒色丸印は化合物1、白色丸印は化合物2の結果を示す。(a)〜(d)は、それぞれ、ヒト由来癌細胞株NUGC−3、HeLa、HL−60、A549の結果である。化合物1はNUGC−3,HeLa,HL−60の3種類のヒト癌細胞株に対して濃度依存的に細胞増殖抑制効果を発揮した。その中でもHL−60に対しては50%阻害濃度が39μMと最も強く阻害した。一方、A549細胞は扁平上皮細胞であり、これに対しては増殖抑制を示さなかった。化合物1は、ヒト由来癌細胞種に対する選択性があると考えられる。
【0042】
化合物2は、すべてのヒト由来癌細胞株に対して増殖抑制を示さなかった。
【0043】
〔実施例4:遊離乳酸脱水素酵素(LDH)活性の測定〕
化合物1を培地に添加してHeLa細胞を48時間培養した後、培養上清中のLDH活性および残存細胞の総LDH量を測定した。これにより、培養中における細胞死と、細胞の増殖抑制の双方が測定できる。LDH活性の測定は和光純薬工業株式会社のLDH-細胞毒性テストワコーを用いて測定した。総LDH量を100%とし、化合物1存在下および非存在下(コントロール)で培養した細胞の培養上清中に遊離したLDH活性を総LDH量に対する割合で示した(図2参照)。
【0044】
同図に示すように、化合物1の存在下で培養することにより遊離LDH活性は増加し、コントロール群と比較して約4倍の増加を示した。以上の結果から、化合物1は癌細胞に対する細胞毒性を示すことが明らかとなった。
【0045】
〔実施例5:細胞内総グルタチオン(GSH)量の測定〕
細胞内グルタチオンは酵素的サイクリング法により測定した。化合物1を培地に添加してHeLa細胞を48時間培養した後、細胞を回収し、5%TCA溶液を用いて、細胞粗抽出液を調製した。この細胞粗抽出液を0.5N NaOHで中和し、反応液(0.2mM DTNB、0.3mM NADPH、1.5mU グルタチオンレダクターゼ、0.1M リン酸緩衝液(pH 7.5)に溶解)を添加することにより反応を開始し、405nmの吸光度変化速度を測定した。グルタチオン量は検量線から計算することにより求めた。
【0046】
上記実験結果が図3に示される。同図に示すように、コントロール(化合物1非添加)群における細胞内総GSH量を100%とすると、化合物1を添加した細胞では約70%まで減少した。細胞内グルタチオンはアポトーシス誘導剤や抗癌剤に対する耐性と関係しているとの報告もあり、細胞内グルタチオン量の減少が細胞毒性の発現につながっていることが示唆された。
【0047】
以上の結果から、化合物1で細胞を処理することにより、細胞内グルタチオン量が減少し、細胞死が誘導され、LDH活性が上昇したものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明は新規イソクロマン化合物に関するものであり、前述したとおり、抗がん剤として利用できるほか、医薬品、食品、さらには生化学試薬等として産業上幅広く利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(a)〜(d)は、それぞれ、ヒト由来癌細胞株NUGC−3、HeLa、HL−60、A549に対する本発明の新規イソクロマン化合物の増殖抑制効果を調べた結果を示すグラフである。各データは独立に4回行った実験の平均。
【図2】LDH-細胞毒性テストにより、本発明の新規イソクロマン化合物の細胞毒性を検討した結果を示すグラフである。データは独立に4回行った実験の平均。
【図3】本発明の新規イソクロマン化合物による細胞内グルタチオン量の減少の有無を検討した結果を示すグラフである。データは独立に4回行った実験の平均。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(1)により表される化合物、又はその薬理上許容される塩。
【化1】

【請求項2】
請求項1記載の式(1)により表される化合物、又はその薬理上許容される塩を有効成分とする抗がん剤。
【請求項3】
請求項1記載の式(1)により表される化合物、又はその薬理上許容される塩を有効成分とする医薬用組成物。
【請求項4】
請求項1記載の式(1)により表される化合物、又はその薬理上許容される塩を含有する食用組成物。
【請求項5】
アスペルギルス・シュードデフレクタス(Aspergillus pseudodeflectus)Hiji005株(FERM AP-20008)。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−223902(P2007−223902A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−123491(P2004−123491)
【出願日】平成16年4月19日(2004.4.19)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】