新規オリゴ糖及びその製造方法
【課題】 セロデキストリンホスホリラーゼのアクセプターとなりうる化合物を見つけ出し、これまでにない新規なオリゴ糖を提供する。
【解決手段】 アラビノース、ガラクトース、キシロース、マンノース、マルトースをアクセプターとし、グルコース−1−リン酸の存在下でセロビオースホスホリラーゼを作用させ、前記各単糖類又はマルトースを構成するグルコースに、1個以上のグルコースがβ−1,4−結合したオリゴ糖を得る。
【解決手段】 アラビノース、ガラクトース、キシロース、マンノース、マルトースをアクセプターとし、グルコース−1−リン酸の存在下でセロビオースホスホリラーゼを作用させ、前記各単糖類又はマルトースを構成するグルコースに、1個以上のグルコースがβ−1,4−結合したオリゴ糖を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規オリゴ糖及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腸内細菌フローラのバランスを改善することによって、宿主の健康に好影響を与えるいわゆる善玉菌を増やす効果を有するプレバイオティクスとして、ガラクトオリゴ糖やフラクトオリゴ糖などのオリゴ糖が注目されている。オリゴ糖は単糖がグリコシド結合によって結合した2〜数十の糖から構成される糖類である。オリゴ糖の1種であるセロオリゴ糖は、グルコース同士がβ−1,4−結合した複数のグルコースから構成されるオリゴ糖である。ヒトの消化管に常在する腸内細菌は、セロオリゴ糖をはじめとする各種のオリゴ糖を分解・吸収し増殖することができる。しかしながら、ヒトはβ−1,4−結合を分解する酵素を有しないので、ヒトはβ−1,4−グルコシド結合を有するオリゴ糖(以下、少なくとも1つのβ−グルコシド結合を有するオリゴ糖を「β−グルカンオリゴ糖」という。)を分解・吸収できず資化できない。このためにβ−グルカンオリゴ糖はプレバイオティクスとしての利用価値が高いといえる。また、これらのβ−グルカンオリゴ糖は、プレバイオティクスとしての利用のみならず、甘味料としての使用、抗う触作用や整腸作用、免疫賦活作用等を有する各種機能性食品の素材としての使用が大いに期待されている。
【0003】
こうしたβ−グルコシド結合を有するオリゴ糖(β−グルカンオリゴ糖)を製造する方法として、例えば特開平2−16992号公報(特許文献1)には、セロビオースホスホリラーゼ(CBPase)の加リン酸分解反応の逆反応によって、グルコースやキシロースをアクセプター(プライマー)としてα−D−グルコース−1−リン酸を反応させ、β−1,4−結合を有する二糖類を製造する方法が開示されている。また、特開2001−112496号公報(特許文献2)には、セロビオースホスホリラーゼ及びセロデキストリンホスホリラーゼ(CDPase)の加リン酸分解の逆反応によって、グルコースをアクセプターとしてα−D−グルコース−1−リン酸を反応させ、β−1,4−結合を有するセロオリゴ糖を製造する方法が開示されている。さらに、特開2008−54506号公報(特許文献3)には、セロビオースホスホリラーゼの加リン酸分解の逆反応によって、グルコースやキシロースのみならず、ガラクトースなどの単糖類をアクセプターとしてα−D−グルコース−1−リン酸を反応させ、β−グルコシド結合を有する二糖類を製造する方法が開示されている。
【0004】
このような状況下において、本願発明者らは、グルコースのアナログであるデオキシノジリマイシン(DNJ)に、グルコースないしα−1,4−グルカンオリゴ糖の還元末端がα−1,4−グルコシド結合したα−グルカンDNJ(α−1,4−グルカン−DNJオリゴ糖)が、種々のアミラーゼ酵素阻害剤として機能すること、及びその阻害特異性について、阻害する酵素の反応生成物の結合数(重合度)と、α−グルカンDNJのグルコース及びDNJの結合数は同一であることを明らかにしている(非特許文献1、図6参照)。また、セロデキストリンホスホリラーゼが、DNJにグルコースの還元末端がβ−1,4−結合した4−O−β−D−グルコピラノシル−DNJをアクセプターとして、1個ないし数個のグルコースがβ−1,4−結合したβ−グルカンDNJ(β−グルカンDNJオリゴ糖:Glc(n)(β−1,4−)DNJ、ただしnは2〜6の整数)を生成することを報告している(非特許文献2)。これらのβ−グルカンDNJオリゴ糖も各種β−グルカナーゼ(β−グルカン加水分解酵素)に対する阻害剤として機能することが明らかにされている(非特許文献2、図7参照)。これらの化合物も、プレバイオティクスとしての利用のみならず、新たな機能性食品の素材としての使用が期待される。
【0005】
セロビオースホスホリラーゼ(CBPase)は、単糖類であるグルコースをアクセプターとして、これにグルコース−1−リン酸を加リン酸分解の逆反応によって結合させてグルコースがβ−1,4−結合した二単糖であるセロビオースを合成する酵素である。セロデキストリンホスホリラーゼ(CDPase)は、2個以上のグルコースがβ−1,4−結合したβ−グルカンオリゴ糖をアクセプターとして、これにグルコース−1−リン酸のグルコース残基を加リン酸分解の逆反応によって結合させて、グルコース残基が1つ増えたβ−グルカンオリゴ糖を合成する酵素である。これらホスホリラーゼの一方の基質であるグルコース−1−リン酸に対する特異性は非常に高く、また、これらのホスホリラーゼのアクセプターに対する特異性も非常に高いので、アクセプターは上記のβ−グルカンオリゴ糖及び非特許文献2に開示されたβ−グルカンDNJオリゴ糖に限られると考えられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−16992号公報
【特許文献2】特開2001−112496号公報
【特許文献3】特開2008−54506号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Arai M., et al, Agric. Biol. Chem., 50, 639-644, 1986
【非特許文献2】Kawaguchi T., et al, J. Ferment. Bioeng., 85, 144-149, 1998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、CDPase関し、DNJがグルコースのアナログとして機能し、β−グルカンDNJオリゴ糖がCDPaseのアクセプターとなりえることが明らかにされていたとはいえ、どのような範囲の化合物がβ−グルカンDNJオリゴ糖と同じくCDPaseのアクセプターとなり得るのかは分からなかった。特にCDPaseは二糖以上のセロオリゴ糖をアクセプターとする酵素である限り、単糖類がアクセプターになり得るとは考えられないことであった。
【0009】
また、CBPaseは単糖類のみをアクセプターとするが、キシロースを基質とすることは、Tanaka K.らの論文(Tanaka K., et al, J. Ferment. Bioeng., 79, 212-216, 1995)やAlexanderらの論文(Alexander, JK, J. Biol. Chem., 243, 2899-2904, 1968)において報告されているが、キシロースやグルコース以外の単糖類をアクセプターとして、これらの単糖類にグルコースがβ−1,4−結合するとの報告は見あたらない。特許文献3においても、キシロース以外の単糖類とグルコースがβ−1,4−結合した二糖類が実際に製造されたとする記載はない。
【0010】
ここにおいて、CDPaseがセロビオースや、DNJがグルコースないしβ−グルカンオリゴ糖とβ−1,4−結合したβ−グルカンDNJ以外のオリゴ糖をアクセプターとするならば、新規なβ−グルカンオリゴ糖が提供され、化学合成などに頼ることなく新規なβ−グルカンオリゴ糖を製造できる。また、これら新規β−グルカンオリゴ糖がプレバイオティクス効果だけでなく、整腸作用や免疫賦活作用を示し、新たな生理活性物質として整腸剤や免疫賦活剤、アレルギー抑制剤などに利用され、ヒトをはじめとする各種動物の疾病の治療や予防に寄与することが大いに期待される。
【0011】
本願発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであって、セロデキストリンホスホリラーゼのアクセプターとなりうる化合物を見つけ出し、これまでにない新規なオリゴ糖を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、単糖類又は二糖類をアクセプターとして、グルコース−1−リン酸の存在下においてセロデキストリンホスホリラーゼの加リン酸分解反応の逆反応(脱リン酸合成反応)によって、当該アクセプターにグルコースがβ−1,4−結合したオリゴ糖を製造する方法並びにアラビノース、マンノース、ガラクトースの何れかの単糖類にグルコースがβ−1,4−結合した二糖類、さらにマルトースそのもの、及びガラクトース、キシロース、マンノースの何れかの単糖類にグルコースがβ−1,4−結合した二糖類からなる群から選ばれる二糖類にグルコースがβ−1,4−結合した三糖類、ないしこれら三糖類にさらにグルコースがβ−1,4−結合することを繰り返した三糖類以上のオリゴ糖である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると新規なオリゴ糖が提供され、プレバイオティクスだけでなく、ヒトや動物に対する新たな機能性素材としての利用が期待される。また、これらの新規オリゴ糖はセロデキストリンホスホリラーゼの作用により生成されるので、化学合成による方法と比べて、目的のβ−グルカンオリゴ糖の光学異性体の生成を伴わず、効率良くこれらのオリゴ糖を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】セロデキストリンホスホリラーゼによる反応を示す図である。
【図2】アラビノースをアクセプターとした反応を示す図である。
【図3】マルトースをアクセプターとした反応を示す図である。
【図4】(a)はガラクトース、(b)はキシロース、(c)はマンノースをアクセプターとした反応を示す図である。
【図5】CDPaseによる反応生成物の薄層クロマトグラムを示す画像である。レーン1はグルコース−1―リン酸、レーン2はアラビノース、レーン3はガラクトース、レーン4はキシロース、レーン5はマンノース、レーン6はフルクトース、レーン7はマンニトール、レーン8はキシリトール、レーン9はソルビトール、レーン10はマルトース、レーン11はラクトース、レーン12はスクロースである。
【図6】DNJ−α−1,4−グルカンオリゴ糖(α−1,4−DNJ誘導体)とそれが阻害する酵素との関係を示す図である。
【図7】DNJ−β−1,4−グルカンオリゴ糖(β−1,4−DNJ誘導体)とそれが阻害する酵素との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のオリゴ糖は、2ないし数十程度の糖からなる新規なオリゴ糖であって、アラビノース又はマンノースにグルコースがβ−1,4−結合した二糖類、アラビノース、ガラクトース、キシロース、マンノースの何れかの単糖類にグルコースがβ−1,4−結合した二糖類及びマルトースからなる群から選ばれる二糖類を構成するグルコースにβ−1,4−結合により1ないし複数個のグルコースが結合した三糖類以上のオリゴ糖である。
【0016】
これらのオリゴ糖は、アラビノース、ガラクトース、キシロース、マンノースの何れかの単糖類やマルトースをアクセプターとして、グルコース−1−リン酸の存在下でCDPaseを作用させることにより製造される。アクセプターとなる糖にはD体、L体の何れの糖も存在しうるが、本発明のオリゴ糖ではアラビノースを除く構成糖はD体であり、アラビノースはL体である。また、アクセプターの構成糖のアノマー水酸基はα配位、β配位の何れの配位も取り得る。
【0017】
CDPaseは、図1に示すように、N個のグルコース(Nは正の整数)がβ−1,4−結合したセロデキストリンとグルコース−1−リン酸から(N+1)個のグルコースがβ−1,4−結合したセロデキストリンを合成する反応(脱リン酸合成反応)と、その逆反応である加リン酸分解反応を触媒する。生理的な条件下ではこれらの反応の平衡は加リン酸分解反応に傾いており、CDPaseはセロオリゴ糖の分解に寄与している。しかしながら、これらの反応は可逆的であり、グルコース−1−リン酸の濃度及び/又は無機リン酸(脱リン酸合成反応の生成物)の濃度を調整して、β−グルカンオリゴ糖のグルコース残基を1個の増加させる合成反応を促進させることができる。
【0018】
すなわち、CDPaseの存在下で、上記のアクセプターとなる単糖類又は二糖類と過剰量のグルコース−1−リン酸を反応させるか、及び/又は生成したリン酸を中和などにより反応系から除去すれば、平衡は脱リン酸合成反応側に傾くので、目的のオリゴ糖の生成量を増加させることができる。
【0019】
例えば、L−アラビノースをアクセプターとした場合には、図2に示すように、L−アラビノースの4位の水酸基にD−グルコースの1位水酸基がβ−グリコシド結合した新規な二糖類(1-β-D-glucopyranosyl-4-α-L-arabinopyranose)が合成される。
【0020】
また、セロデキストリンホスホリラーゼは、図1に示すように、二糖類だけでなく、三糖類又はそれ以上の糖がβ−1,4−グルコシド結合したβ−グルカンオリゴ糖に対して、β−1,4−結合により1個のグルコース残基をさらに付加する。このため、前記二糖類や三糖類などに対してもCDPaseが作用し、N個のグルコースがβ−1,4−結合したオリゴ糖にグルコースがさらに1個付加され、(N+1)個のグルコースがβ−1,4−結合したオリゴ糖が生成される。
【0021】
マルトースをアクセプターとした場合も、図3に示すように、D−マルトースを構成する非還元末端側のD−グルコースの4位水酸基にβ−1,4−結合により1個のD−グルコースがさらに付加されたトリオース(1-β-D-glucopyranosyl-1-α-D-glucopyranosyl-4-α-glucopyranose)が生成される。さらに、この生成したトリオースに対してもCDPaseが作用することが繰り返すと、マルトースにN個のグルコースがβ−1,4−結合したオリゴ糖にグルコース残基がさらに1個付加され、(N+1)個のグルコースがβ−1,4−結合したマルトースが生成される。
【0022】
ガラクトースやキシロース、マンノースをアクセプターとした場合も、図4に示すようにアラビノースと同様にD−グルコースがβ−1,4−結合によって前記単糖類に結合した二糖類が生成される。また、この二糖類に対してもCDPaseが作用することを繰り返して、N個のグルコース残基がβ−1,4−結合したアクセプター糖にグルコース残基がさらに1個付加され、(N+1)個のグルコースがβ−1,4−結合したオリゴ糖が生成される。
【0023】
酵素反応の条件は上記したようにグルコースの付加反応、即ちオリゴ糖の合成反応が進むように、グルコース−1−リン酸の濃度や無機リン酸(生成物)の濃度、反応系のpH、反応温度は適宜調整されうる。しかしながら、CDPaseはpH3〜11の反応系で安定であり、温度安定性も約60℃までである。また、その至適pHは6〜8、至適温度は約60℃である。従って、当該至適pH域及び至適温度である約60℃付近で反応を行わせるのが好ましい。
【0024】
これらのβ―グルカンオリゴ糖は、天然に存在する報告例がないオリゴ糖もあり、様々な生理作用を有する可能性が期待される。例えば、腸内細菌の選択的生育促進による整腸作用や免疫賦活作用が期待できる。また、甘味剤などの食品添加物として使用できる。また、これらのオリゴ糖はβ−1,4−グルコシド結合を有するオリゴ糖であるのでヒトの消化管では消化されず、その摂取カロリーは非常に少ない。このため、摂取カロリーが制限されている人のための食品素材、すなわちダイエット食品素材として大変好適に用いられる。
【0025】
本発明において用いられるCDPaseは、例えばClostridium属に属する細菌などから分離・精製された酵素に限らず、Clostridium属に属する細菌などの細菌からクローニングされたCDPase遺伝子を用いた遺伝子組換え技術により得られた酵素(例えば非特許文献1参照)が利用できる。
【実施例1】
【0026】
次に下記実施例に基づき本発明についてさらに詳細する。なお、下記実施例は例示であって、本発明は下記の実施例に限定されないのは言うまでもない。
【0027】
各種単糖類及び二糖類に対して、グルコース−1−リン酸の存在下にCDPaseを作用させた。用いた単糖類はアラビノース、ガラクトース、キシロース、マンノース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、ソルビトールであり、用いた二糖類は、マルトース、ラクトース、スクロースである。これらはそれぞれ市販の試薬を用いた。また、グルコース−1−リン酸も市販の試薬(和光純薬工業社製)を用いた。
【0028】
CDPaseは非特許文献2に記載の方法を参考にし、次の方法により調製したものを用いた。Clostridium thermocellum由来のCDPase遺伝子を含む約3.5kbのSsp I - Hind III断片を大腸菌発現ベクターpTrc99A(ファルマシア社製)に挿入することで、trcプロモーター制御下でCDPase遺伝子を発現する発現プラスミドpTEH1を構築した。このpTEH1を大腸菌DH5αF株に形質転換し、2×YT培地(1.6% Bacto trypton、1.0% Yeast Extract、0.5% NaCl)1.5mLに1白金耳接種し、37℃で16時間振とう培養した。遠心分離(12,000rpm、1min、4℃)にて菌体を回収し、0.1%の2-mercaptoethanolを含む 50mM Tris-HCl(pH7.5)500μLに懸濁した。これを超音波破砕し、遠心分離(15,000rpm、10min、4℃)して上清を回収した。この上清を無細胞抽出液(48.5U/mL)として、以後の合成実験に供した。なお、1Uは、15分間で1μMのリン酸Piを遊離する酵素量と定義する(測定条件は非特許文献1参照)。
【0029】
pH7.0のリン酸バッファー溶液に、各糖類を200ミリモル濃度、グルコース−1−リン酸を50ミリモル濃度、EDTAを1ミリモル濃度、DTT(ジチオトレイトール)を10ミリモル濃度、CDPaseを2.4ユニット(上記無細胞抽出液50μL)となるように添加し、37℃で16時間反応を行った。この反応液5μlを用いて次の条件で薄層クロマトグラフィを行った。その結果を図5に示す。
〔TLC条件〕
薄層板:シリカゲル
展開溶媒:n-ブタノール:エタノール:クロロホルム:25%アンモニア水=4:5:2:8
検出方法:バニリンを1%になるように濃硫酸に溶かした発色試薬を噴霧し、120℃で加熱して発色させた。
【0030】
この結果、図5から明らかなようにアラビノース、ガラクトース、キシロース、マンノース、マルトースからはグルコース残基が結合したオリゴ糖が観察された。スポットの位置から、これらのオリゴ糖はそれぞれアクセプターにグルコースが1個結合した二糖類(アラビノース、ガラクトース、キシロース、マンノース)及び三糖類(マルトース)であると確認された。また、これらアクセプターへのグルコース残基の結合位置及び様式は、用いた酵素の特異性から4位にβ−グルコシド結合していると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によるとグルコースがβ−グルコシド結合により結合した新規なオリゴ糖が提供される。これにより、このオリゴ糖の機能を活用した新たな医薬品や機能性食品の提供が期待される。また、これらの新規オリゴ糖はCDPaseにより生成されるので、目的外の光学異性体の生成がない、効率的な生産が可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は新規オリゴ糖及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腸内細菌フローラのバランスを改善することによって、宿主の健康に好影響を与えるいわゆる善玉菌を増やす効果を有するプレバイオティクスとして、ガラクトオリゴ糖やフラクトオリゴ糖などのオリゴ糖が注目されている。オリゴ糖は単糖がグリコシド結合によって結合した2〜数十の糖から構成される糖類である。オリゴ糖の1種であるセロオリゴ糖は、グルコース同士がβ−1,4−結合した複数のグルコースから構成されるオリゴ糖である。ヒトの消化管に常在する腸内細菌は、セロオリゴ糖をはじめとする各種のオリゴ糖を分解・吸収し増殖することができる。しかしながら、ヒトはβ−1,4−結合を分解する酵素を有しないので、ヒトはβ−1,4−グルコシド結合を有するオリゴ糖(以下、少なくとも1つのβ−グルコシド結合を有するオリゴ糖を「β−グルカンオリゴ糖」という。)を分解・吸収できず資化できない。このためにβ−グルカンオリゴ糖はプレバイオティクスとしての利用価値が高いといえる。また、これらのβ−グルカンオリゴ糖は、プレバイオティクスとしての利用のみならず、甘味料としての使用、抗う触作用や整腸作用、免疫賦活作用等を有する各種機能性食品の素材としての使用が大いに期待されている。
【0003】
こうしたβ−グルコシド結合を有するオリゴ糖(β−グルカンオリゴ糖)を製造する方法として、例えば特開平2−16992号公報(特許文献1)には、セロビオースホスホリラーゼ(CBPase)の加リン酸分解反応の逆反応によって、グルコースやキシロースをアクセプター(プライマー)としてα−D−グルコース−1−リン酸を反応させ、β−1,4−結合を有する二糖類を製造する方法が開示されている。また、特開2001−112496号公報(特許文献2)には、セロビオースホスホリラーゼ及びセロデキストリンホスホリラーゼ(CDPase)の加リン酸分解の逆反応によって、グルコースをアクセプターとしてα−D−グルコース−1−リン酸を反応させ、β−1,4−結合を有するセロオリゴ糖を製造する方法が開示されている。さらに、特開2008−54506号公報(特許文献3)には、セロビオースホスホリラーゼの加リン酸分解の逆反応によって、グルコースやキシロースのみならず、ガラクトースなどの単糖類をアクセプターとしてα−D−グルコース−1−リン酸を反応させ、β−グルコシド結合を有する二糖類を製造する方法が開示されている。
【0004】
このような状況下において、本願発明者らは、グルコースのアナログであるデオキシノジリマイシン(DNJ)に、グルコースないしα−1,4−グルカンオリゴ糖の還元末端がα−1,4−グルコシド結合したα−グルカンDNJ(α−1,4−グルカン−DNJオリゴ糖)が、種々のアミラーゼ酵素阻害剤として機能すること、及びその阻害特異性について、阻害する酵素の反応生成物の結合数(重合度)と、α−グルカンDNJのグルコース及びDNJの結合数は同一であることを明らかにしている(非特許文献1、図6参照)。また、セロデキストリンホスホリラーゼが、DNJにグルコースの還元末端がβ−1,4−結合した4−O−β−D−グルコピラノシル−DNJをアクセプターとして、1個ないし数個のグルコースがβ−1,4−結合したβ−グルカンDNJ(β−グルカンDNJオリゴ糖:Glc(n)(β−1,4−)DNJ、ただしnは2〜6の整数)を生成することを報告している(非特許文献2)。これらのβ−グルカンDNJオリゴ糖も各種β−グルカナーゼ(β−グルカン加水分解酵素)に対する阻害剤として機能することが明らかにされている(非特許文献2、図7参照)。これらの化合物も、プレバイオティクスとしての利用のみならず、新たな機能性食品の素材としての使用が期待される。
【0005】
セロビオースホスホリラーゼ(CBPase)は、単糖類であるグルコースをアクセプターとして、これにグルコース−1−リン酸を加リン酸分解の逆反応によって結合させてグルコースがβ−1,4−結合した二単糖であるセロビオースを合成する酵素である。セロデキストリンホスホリラーゼ(CDPase)は、2個以上のグルコースがβ−1,4−結合したβ−グルカンオリゴ糖をアクセプターとして、これにグルコース−1−リン酸のグルコース残基を加リン酸分解の逆反応によって結合させて、グルコース残基が1つ増えたβ−グルカンオリゴ糖を合成する酵素である。これらホスホリラーゼの一方の基質であるグルコース−1−リン酸に対する特異性は非常に高く、また、これらのホスホリラーゼのアクセプターに対する特異性も非常に高いので、アクセプターは上記のβ−グルカンオリゴ糖及び非特許文献2に開示されたβ−グルカンDNJオリゴ糖に限られると考えられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−16992号公報
【特許文献2】特開2001−112496号公報
【特許文献3】特開2008−54506号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Arai M., et al, Agric. Biol. Chem., 50, 639-644, 1986
【非特許文献2】Kawaguchi T., et al, J. Ferment. Bioeng., 85, 144-149, 1998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、CDPase関し、DNJがグルコースのアナログとして機能し、β−グルカンDNJオリゴ糖がCDPaseのアクセプターとなりえることが明らかにされていたとはいえ、どのような範囲の化合物がβ−グルカンDNJオリゴ糖と同じくCDPaseのアクセプターとなり得るのかは分からなかった。特にCDPaseは二糖以上のセロオリゴ糖をアクセプターとする酵素である限り、単糖類がアクセプターになり得るとは考えられないことであった。
【0009】
また、CBPaseは単糖類のみをアクセプターとするが、キシロースを基質とすることは、Tanaka K.らの論文(Tanaka K., et al, J. Ferment. Bioeng., 79, 212-216, 1995)やAlexanderらの論文(Alexander, JK, J. Biol. Chem., 243, 2899-2904, 1968)において報告されているが、キシロースやグルコース以外の単糖類をアクセプターとして、これらの単糖類にグルコースがβ−1,4−結合するとの報告は見あたらない。特許文献3においても、キシロース以外の単糖類とグルコースがβ−1,4−結合した二糖類が実際に製造されたとする記載はない。
【0010】
ここにおいて、CDPaseがセロビオースや、DNJがグルコースないしβ−グルカンオリゴ糖とβ−1,4−結合したβ−グルカンDNJ以外のオリゴ糖をアクセプターとするならば、新規なβ−グルカンオリゴ糖が提供され、化学合成などに頼ることなく新規なβ−グルカンオリゴ糖を製造できる。また、これら新規β−グルカンオリゴ糖がプレバイオティクス効果だけでなく、整腸作用や免疫賦活作用を示し、新たな生理活性物質として整腸剤や免疫賦活剤、アレルギー抑制剤などに利用され、ヒトをはじめとする各種動物の疾病の治療や予防に寄与することが大いに期待される。
【0011】
本願発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであって、セロデキストリンホスホリラーゼのアクセプターとなりうる化合物を見つけ出し、これまでにない新規なオリゴ糖を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、単糖類又は二糖類をアクセプターとして、グルコース−1−リン酸の存在下においてセロデキストリンホスホリラーゼの加リン酸分解反応の逆反応(脱リン酸合成反応)によって、当該アクセプターにグルコースがβ−1,4−結合したオリゴ糖を製造する方法並びにアラビノース、マンノース、ガラクトースの何れかの単糖類にグルコースがβ−1,4−結合した二糖類、さらにマルトースそのもの、及びガラクトース、キシロース、マンノースの何れかの単糖類にグルコースがβ−1,4−結合した二糖類からなる群から選ばれる二糖類にグルコースがβ−1,4−結合した三糖類、ないしこれら三糖類にさらにグルコースがβ−1,4−結合することを繰り返した三糖類以上のオリゴ糖である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると新規なオリゴ糖が提供され、プレバイオティクスだけでなく、ヒトや動物に対する新たな機能性素材としての利用が期待される。また、これらの新規オリゴ糖はセロデキストリンホスホリラーゼの作用により生成されるので、化学合成による方法と比べて、目的のβ−グルカンオリゴ糖の光学異性体の生成を伴わず、効率良くこれらのオリゴ糖を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】セロデキストリンホスホリラーゼによる反応を示す図である。
【図2】アラビノースをアクセプターとした反応を示す図である。
【図3】マルトースをアクセプターとした反応を示す図である。
【図4】(a)はガラクトース、(b)はキシロース、(c)はマンノースをアクセプターとした反応を示す図である。
【図5】CDPaseによる反応生成物の薄層クロマトグラムを示す画像である。レーン1はグルコース−1―リン酸、レーン2はアラビノース、レーン3はガラクトース、レーン4はキシロース、レーン5はマンノース、レーン6はフルクトース、レーン7はマンニトール、レーン8はキシリトール、レーン9はソルビトール、レーン10はマルトース、レーン11はラクトース、レーン12はスクロースである。
【図6】DNJ−α−1,4−グルカンオリゴ糖(α−1,4−DNJ誘導体)とそれが阻害する酵素との関係を示す図である。
【図7】DNJ−β−1,4−グルカンオリゴ糖(β−1,4−DNJ誘導体)とそれが阻害する酵素との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のオリゴ糖は、2ないし数十程度の糖からなる新規なオリゴ糖であって、アラビノース又はマンノースにグルコースがβ−1,4−結合した二糖類、アラビノース、ガラクトース、キシロース、マンノースの何れかの単糖類にグルコースがβ−1,4−結合した二糖類及びマルトースからなる群から選ばれる二糖類を構成するグルコースにβ−1,4−結合により1ないし複数個のグルコースが結合した三糖類以上のオリゴ糖である。
【0016】
これらのオリゴ糖は、アラビノース、ガラクトース、キシロース、マンノースの何れかの単糖類やマルトースをアクセプターとして、グルコース−1−リン酸の存在下でCDPaseを作用させることにより製造される。アクセプターとなる糖にはD体、L体の何れの糖も存在しうるが、本発明のオリゴ糖ではアラビノースを除く構成糖はD体であり、アラビノースはL体である。また、アクセプターの構成糖のアノマー水酸基はα配位、β配位の何れの配位も取り得る。
【0017】
CDPaseは、図1に示すように、N個のグルコース(Nは正の整数)がβ−1,4−結合したセロデキストリンとグルコース−1−リン酸から(N+1)個のグルコースがβ−1,4−結合したセロデキストリンを合成する反応(脱リン酸合成反応)と、その逆反応である加リン酸分解反応を触媒する。生理的な条件下ではこれらの反応の平衡は加リン酸分解反応に傾いており、CDPaseはセロオリゴ糖の分解に寄与している。しかしながら、これらの反応は可逆的であり、グルコース−1−リン酸の濃度及び/又は無機リン酸(脱リン酸合成反応の生成物)の濃度を調整して、β−グルカンオリゴ糖のグルコース残基を1個の増加させる合成反応を促進させることができる。
【0018】
すなわち、CDPaseの存在下で、上記のアクセプターとなる単糖類又は二糖類と過剰量のグルコース−1−リン酸を反応させるか、及び/又は生成したリン酸を中和などにより反応系から除去すれば、平衡は脱リン酸合成反応側に傾くので、目的のオリゴ糖の生成量を増加させることができる。
【0019】
例えば、L−アラビノースをアクセプターとした場合には、図2に示すように、L−アラビノースの4位の水酸基にD−グルコースの1位水酸基がβ−グリコシド結合した新規な二糖類(1-β-D-glucopyranosyl-4-α-L-arabinopyranose)が合成される。
【0020】
また、セロデキストリンホスホリラーゼは、図1に示すように、二糖類だけでなく、三糖類又はそれ以上の糖がβ−1,4−グルコシド結合したβ−グルカンオリゴ糖に対して、β−1,4−結合により1個のグルコース残基をさらに付加する。このため、前記二糖類や三糖類などに対してもCDPaseが作用し、N個のグルコースがβ−1,4−結合したオリゴ糖にグルコースがさらに1個付加され、(N+1)個のグルコースがβ−1,4−結合したオリゴ糖が生成される。
【0021】
マルトースをアクセプターとした場合も、図3に示すように、D−マルトースを構成する非還元末端側のD−グルコースの4位水酸基にβ−1,4−結合により1個のD−グルコースがさらに付加されたトリオース(1-β-D-glucopyranosyl-1-α-D-glucopyranosyl-4-α-glucopyranose)が生成される。さらに、この生成したトリオースに対してもCDPaseが作用することが繰り返すと、マルトースにN個のグルコースがβ−1,4−結合したオリゴ糖にグルコース残基がさらに1個付加され、(N+1)個のグルコースがβ−1,4−結合したマルトースが生成される。
【0022】
ガラクトースやキシロース、マンノースをアクセプターとした場合も、図4に示すようにアラビノースと同様にD−グルコースがβ−1,4−結合によって前記単糖類に結合した二糖類が生成される。また、この二糖類に対してもCDPaseが作用することを繰り返して、N個のグルコース残基がβ−1,4−結合したアクセプター糖にグルコース残基がさらに1個付加され、(N+1)個のグルコースがβ−1,4−結合したオリゴ糖が生成される。
【0023】
酵素反応の条件は上記したようにグルコースの付加反応、即ちオリゴ糖の合成反応が進むように、グルコース−1−リン酸の濃度や無機リン酸(生成物)の濃度、反応系のpH、反応温度は適宜調整されうる。しかしながら、CDPaseはpH3〜11の反応系で安定であり、温度安定性も約60℃までである。また、その至適pHは6〜8、至適温度は約60℃である。従って、当該至適pH域及び至適温度である約60℃付近で反応を行わせるのが好ましい。
【0024】
これらのβ―グルカンオリゴ糖は、天然に存在する報告例がないオリゴ糖もあり、様々な生理作用を有する可能性が期待される。例えば、腸内細菌の選択的生育促進による整腸作用や免疫賦活作用が期待できる。また、甘味剤などの食品添加物として使用できる。また、これらのオリゴ糖はβ−1,4−グルコシド結合を有するオリゴ糖であるのでヒトの消化管では消化されず、その摂取カロリーは非常に少ない。このため、摂取カロリーが制限されている人のための食品素材、すなわちダイエット食品素材として大変好適に用いられる。
【0025】
本発明において用いられるCDPaseは、例えばClostridium属に属する細菌などから分離・精製された酵素に限らず、Clostridium属に属する細菌などの細菌からクローニングされたCDPase遺伝子を用いた遺伝子組換え技術により得られた酵素(例えば非特許文献1参照)が利用できる。
【実施例1】
【0026】
次に下記実施例に基づき本発明についてさらに詳細する。なお、下記実施例は例示であって、本発明は下記の実施例に限定されないのは言うまでもない。
【0027】
各種単糖類及び二糖類に対して、グルコース−1−リン酸の存在下にCDPaseを作用させた。用いた単糖類はアラビノース、ガラクトース、キシロース、マンノース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、ソルビトールであり、用いた二糖類は、マルトース、ラクトース、スクロースである。これらはそれぞれ市販の試薬を用いた。また、グルコース−1−リン酸も市販の試薬(和光純薬工業社製)を用いた。
【0028】
CDPaseは非特許文献2に記載の方法を参考にし、次の方法により調製したものを用いた。Clostridium thermocellum由来のCDPase遺伝子を含む約3.5kbのSsp I - Hind III断片を大腸菌発現ベクターpTrc99A(ファルマシア社製)に挿入することで、trcプロモーター制御下でCDPase遺伝子を発現する発現プラスミドpTEH1を構築した。このpTEH1を大腸菌DH5αF株に形質転換し、2×YT培地(1.6% Bacto trypton、1.0% Yeast Extract、0.5% NaCl)1.5mLに1白金耳接種し、37℃で16時間振とう培養した。遠心分離(12,000rpm、1min、4℃)にて菌体を回収し、0.1%の2-mercaptoethanolを含む 50mM Tris-HCl(pH7.5)500μLに懸濁した。これを超音波破砕し、遠心分離(15,000rpm、10min、4℃)して上清を回収した。この上清を無細胞抽出液(48.5U/mL)として、以後の合成実験に供した。なお、1Uは、15分間で1μMのリン酸Piを遊離する酵素量と定義する(測定条件は非特許文献1参照)。
【0029】
pH7.0のリン酸バッファー溶液に、各糖類を200ミリモル濃度、グルコース−1−リン酸を50ミリモル濃度、EDTAを1ミリモル濃度、DTT(ジチオトレイトール)を10ミリモル濃度、CDPaseを2.4ユニット(上記無細胞抽出液50μL)となるように添加し、37℃で16時間反応を行った。この反応液5μlを用いて次の条件で薄層クロマトグラフィを行った。その結果を図5に示す。
〔TLC条件〕
薄層板:シリカゲル
展開溶媒:n-ブタノール:エタノール:クロロホルム:25%アンモニア水=4:5:2:8
検出方法:バニリンを1%になるように濃硫酸に溶かした発色試薬を噴霧し、120℃で加熱して発色させた。
【0030】
この結果、図5から明らかなようにアラビノース、ガラクトース、キシロース、マンノース、マルトースからはグルコース残基が結合したオリゴ糖が観察された。スポットの位置から、これらのオリゴ糖はそれぞれアクセプターにグルコースが1個結合した二糖類(アラビノース、ガラクトース、キシロース、マンノース)及び三糖類(マルトース)であると確認された。また、これらアクセプターへのグルコース残基の結合位置及び様式は、用いた酵素の特異性から4位にβ−グルコシド結合していると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によるとグルコースがβ−グルコシド結合により結合した新規なオリゴ糖が提供される。これにより、このオリゴ糖の機能を活用した新たな医薬品や機能性食品の提供が期待される。また、これらの新規オリゴ糖はCDPaseにより生成されるので、目的外の光学異性体の生成がない、効率的な生産が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラビノース、マンノース、ガラクトースの何れかの単糖類にグルコースがβ−1,4−結合した二糖類であるオリゴ糖。
【請求項2】
アラビノース、マンノース、ガラクトース、キシロースの何れかの単糖類の4位水酸基にグルコースがβ−1,4−結合した二糖類及びマルトースからなる群から選ばれる二糖類を構成するグルコースに、β−1,4−結合により1ないし複数個のグルコースが結合した三糖類以上のオリゴ糖。
【請求項3】
グルコース−1−リン酸の存在下において、セロビオースを除く二糖類又は単糖類にセロデキストリンホスホリラーゼを作用させることを特徴とするオリゴ糖の製造方法。
【請求項4】
前記単糖類はアラビノース、マンノース、ガラクトース、キシロースの何れかであり、前記二糖類はマルトースである請求項3に記載のオリゴ糖の製造方法。
【請求項5】
セロデキストリンホスホリラーゼが、Clostridium属に属する細菌由来である請求項3又は請求項4に記載のオリゴ糖の製造方法。
【請求項1】
アラビノース、マンノース、ガラクトースの何れかの単糖類にグルコースがβ−1,4−結合した二糖類であるオリゴ糖。
【請求項2】
アラビノース、マンノース、ガラクトース、キシロースの何れかの単糖類の4位水酸基にグルコースがβ−1,4−結合した二糖類及びマルトースからなる群から選ばれる二糖類を構成するグルコースに、β−1,4−結合により1ないし複数個のグルコースが結合した三糖類以上のオリゴ糖。
【請求項3】
グルコース−1−リン酸の存在下において、セロビオースを除く二糖類又は単糖類にセロデキストリンホスホリラーゼを作用させることを特徴とするオリゴ糖の製造方法。
【請求項4】
前記単糖類はアラビノース、マンノース、ガラクトース、キシロースの何れかであり、前記二糖類はマルトースである請求項3に記載のオリゴ糖の製造方法。
【請求項5】
セロデキストリンホスホリラーゼが、Clostridium属に属する細菌由来である請求項3又は請求項4に記載のオリゴ糖の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図5】
【公開番号】特開2011−155916(P2011−155916A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20746(P2010−20746)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り A.産官学連携フェア2009開催告知書 (1)刊行物名 「大阪府立大学産官学連携フェア2009」の開催告知書 (2)発行日 平成21年8月25日 (3)発行所 (財)大阪市都市型産業振興センター 大阪産業創造館 イベント・セミナー事務局 (4)該当ページ 第2ページ (5)公開者 炭谷順一、片山貴之、谷修治、川口剛司 B.シーズガイドブック (1)刊行物名 大阪府立大学産官学連携フェア2009 シーズガイドブック (2)発行日 平成21年9月24日 (3)発行所 公立大学法人大阪府立大学 産官学連携機構 (4)該当ページ 第10〜12ページ (5)公開者 炭谷順一、片山貴之、谷修治、川口剛司
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り A.産官学連携フェア2009開催告知書 (1)刊行物名 「大阪府立大学産官学連携フェア2009」の開催告知書 (2)発行日 平成21年8月25日 (3)発行所 (財)大阪市都市型産業振興センター 大阪産業創造館 イベント・セミナー事務局 (4)該当ページ 第2ページ (5)公開者 炭谷順一、片山貴之、谷修治、川口剛司 B.シーズガイドブック (1)刊行物名 大阪府立大学産官学連携フェア2009 シーズガイドブック (2)発行日 平成21年9月24日 (3)発行所 公立大学法人大阪府立大学 産官学連携機構 (4)該当ページ 第10〜12ページ (5)公開者 炭谷順一、片山貴之、谷修治、川口剛司
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【Fターム(参考)】
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