説明

新規クラスIIサイトカイン受容体およびその使用

【課題】いずれのクラスIIサイトカイン受容体が、特定のサイトカインに対する結合
に関する作用を行うことができるのかを同定することを本発明の課題とする。
【解決手段】上記課題は、インターロイキン−22受容体分子およびインターロイキン−20受容体β分子を含有する、新規クラスIIサイトカイン受容体を同定することによって解決された。この複合体は、mda−7およびIL−20を含むIL−10に相同なサイトカインに結合する。インターロイキン−20、mda−7およびIL−19の細胞における作用を阻害する方法についても併せて記載されている。後者は、例えば、乾癬等の皮膚疾患の治療に対して非常に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2001年7月26日に出願された出願番号09/915,735号の一部継続
出願(CIP出願)であり、参照によりその全文は本明細書中に援用される。
【0002】
本発明はサイトカインおよび「レセプタースイッチング(receptor switching)」現象
に関する。さらに具体的には、IL−10ホモログ(homologous)およびこれらホモログ
に対する種々の受容体(レセプター)、およびこれらの用途に関する。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン−10(以下、IL−10) は、主要な抗炎症性サイトカインであ
り、元来ムーア(Moore)ら(非特許文献1)により特定された、活性化TH1リンパ球
によるサイトカイン生成を抑制する因子として知られる。IL−10が同定された後、I
L−10に対して様々な程度の相同性を有する、更なる種々のサイトカインが同定された
。これらの最初のものは、「mda−7」と名づけられたが、これは、メラニン細胞分化
関連遺伝子7(melanocytedifferentiation associated gene 7)の略称であり、その発
現がメラノーマ細胞株のインヴィトロ(in vitro)における分化の過程でアップレギュレ
ートされたからである。ジアン(Jiang)らOncogene 11:2477(1995)を参照
のこと。このタンパク質は、22%のアミノ酸がIL−10と同一であるが、当初は分泌
タンパク質であるとは認識されていなかった。mda−7の発現は、アポトーシスまたは
分化の誘導を通じて腫瘍の可逆的成長の阻止を引き起こすことで報告が行われたが、この
作用がサイトカイン受容体の典型的な経路であるパラクリンループに起因するものである
か、mda−7分子の細胞質型(cytoplasmic form)の形成に起因するものであるのかは
明らかではない。最近、シェーファー(Schaefer)らJ. I mmunol. 166:5859(
2001)により、TH2特異的サイトカインとしてmda−7のマウスオルトログ(mu
rine orthologue)が同定され、「IL−4誘導分泌タンパク質(IL−4i nduced sec
reted protein)」または「FISP」と名づけられた。ラットにおける相対物はツァン
(Zhang)らJ.Biol. Chem. 275:24436(2000)により同定され、「mob
5」と称されており、腸管上皮細胞におけるras活性化(ras activation)により発現す
る。推定ras誘導型の細胞表面受容体(a putative, ras-inducible cell surface rec
eptor)を含むオートクリンループを通じて、rasオンコジーンに媒介される腫瘍(ras
oncogene-mediatedneoplasia)においてmob5が何らかの役割を演じていることを、
ツァン(Zhang)らは示唆している。ソー(Soo)ら(J.Cell Biochem. 74:1(199
9))は、この遺伝子を創傷の治癒の際、皮膚に過剰に分泌される遺伝子としてクローニ
ングした。
【0004】
IL−10およびmda−7遺伝子は双方とも染色体lq31−32領域にマッピング
されているが、この領域では他にも二種のIL−10関連遺伝子である「IL19」およ
び「IL20」が発見されている。IL−19は、ギャラガー(Gallagher)らGenes Imm
un. 1:442(2000)に報告されるように、LPS活性化末梢血単核球細胞(peri
pheral bloodmononuclear cell)によって発現される。IL−20に関し、その生物学
的活性は、遺伝子が様々なプロモータの制御下にあり、サイトカインを過剰に発現するト
ランスジェニックマウスを用いて研究されている。ブラムバーグ(Blumberg)らCell 1
04:9(2001)に報告されるマウスは新生児期の死亡率、およびヒトの乾癬病変を
連想させる上皮の異常な分化を含む皮膚の異常に特徴づけられる。ブラムバーグ(Blumbe
rg)らは、IL−20受容体複合体(コンプレックス)が二種のオーファンクラスIIサ
イトカイン受容体のサブユニットである異種二量体(ヘテロダイマー)であると記述して
いる。特に、「IL−20Rα」の名を持つ「CRF2−8」および「IL−20Rβ」
の名を持つ「DIRS1」が提唱されている。
【0005】
IL−10サイトカインとしてその他二種、すなわち「AK155」および「IL−2
2」は、IFN−γ遺伝子の領域付近であるヒト染色体12q15に位置している。AK
155は、Tリンパ球のヘルペス サイミリ(Herpes saimiri)ウイルス感染によりアッ
プレギュレートされることで知られている。クナッペ(Knappe)ら(J. Virol. 74:3
381(2000))を参照されたい。IL−22分子は元々、IL−9誘導性(induci
ble)遺伝子として記述されており、「IL−10関連T細胞由来誘導因子(IL−10
related T cellderived inducible factor)」、すなわち「IL−TIF」と称されて
いた。ドゥムティエール(Dumoutier)らJ. Immunol. 164:1814(2000)が
参照により本明細書中に援用されるとともに、PCT出願WO 00/24758号が参
照により本明細書中に援用され、その米国優先権主張出願が参照される。IL−22の活
性には、急性期反応(acute phase response)の誘導、特に肝細胞におけるもの、が含ま
れ、CRF2−9/IL−22Rサブユニットを構成する異種二量体(ヘテロダイマー)
受容体およびIL−10受容体のβ鎖を通じて媒介される。ドゥムティエール(Dumoutie
r)らProc. Natl.Acad. Sci. USA 97:10144(2000)、コテンコ(Kotenko
)らJ.Biol. Chem. 276:2725(2000)、シエ(Xie)らJ. Biol. Chem. 2
75:31335(2000)を参照されたいが、これらすべては参照により本明細書中
に援用される。急性期反応の誘導は炎症、アレルギー反応および癌に関連していることか
ら、IL−9とIL−22との相互作用の調節がこれらの症状に関連することが示唆され
る。その細胞受容体に加えて、IL−22は、天然のIL−22拮抗物質(アンタゴニス
ト)である「IL−22BP」または「IL−22結合タンパク質」と呼ばれる、クラス
IIサイトカイン受容体ファミリーの分泌メンバー(secreted member)にも結合する。
ドゥムティエール(Dumoutier)ら(J.Immunol. 166:7090(2001))およ
びコテンコ(Kotenko)ら(J.Immnol. 166:7096(2001))は参照により本
明細書中に援用される。
【0006】
以上のことから理解されるように、サイトカイン受容体には、二つのクラス、すなわち
クラスIおよびクラスIIが存在する。クラスIサイトカイン受容体内における受容体サ
ブユニットの共有(sharing)は、非常によく知られた現象である。サブファミリーはこ
の現象の結果として定義されており、βc、gp130、およびIL−2Rγファミリー
が含まれる。一方クラスII受容体の場合、現在までに知られる共有受容体はIL−10
Rβ鎖の一例のみであり、これはIL−10およびIL−22シグナリング(signaling
)の双方に関与している。ドゥムティエール(Dumoutier)らProc. Natl. Acad. Sci. US
A 97:10144(2000)、コテンコ(Kotenko)らJ.Biol. Chem. 276:27
25(2000)、およびシエ(Xie)らJ. Biol. Chem. 275:31335(2000
)を参照されたい。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【非特許文献1】Annu. Rev. Immunol. 19:683(2001)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
いずれのクラスIIサイトカイン受容体が、特定のサイトカインに対する結合に関する
作用を行うことができるのかを同定することは興味深い。これは本発明の特徴のひとつで
あり、本発明の他の特徴とともに以下の開示に記述される。
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
インターロイキン−22受容体分子およびインターロイキン−20受容体β分子を含む
、単離複合体。
(項目2)
前記各分子が哺乳動物の分子である、請求項1に記載の単離複合体。
(項目3)
前記各分子がヒトの分子である、請求項2に記載の単離複合体。
(項目4)
細胞におけるインターロイキン−22の作用を調節(modulate)する方法であって、イ
ンターロイキン−10受容体β分子とインターロイキン−22受容体分子の相互作用を調
節する分子を、前記相互作用を調節するのに十分な量、前記細胞に接触させることを包含
する方法。
(項目5)
前記分子が抗体である、請求項4に記載の方法。
(項目6)
前記細胞がインターロイキン−9に関連する疾患に苦しむ患者の細胞である、請求項4
に記載の方法。
(項目7)
前記疾患が喘息、アトピー性アレルギー、IgEの生成過剰、腸管炎症、またはIgG
の生成不足である、請求項6に記載の方法。
(項目8)
前記分子がインターロイキン−10受容体βまたはインターロイキン−22受容体のい
ずれかの可溶型(soluble form)である、請求項4に記載の方法。
(項目9)
前記分子がIL−19突然変異体またはmda−7突然変異体であって、前記IL−1
9突然変異体またはmda−7突然変異体は受容体親和性を保持するが、その活性を失っ
ている、請求項4に記載の方法。
(項目10)
インターロイキン−20(IL−20)の細胞における作用を調節する方法であって、
前記細胞におけるIL−20の結合を調節するために十分な量の、(i)IL−20Rα
の調節物質(modulator)、(ii)IL−20Rβの調節物質、および(iii)IL
−22RおよびIL−20Rβ複合体の調節物質から選択される一種以上の調節物質を該
細胞に接触させることを含有する方法。
(項目11)
前記細胞が皮膚細胞である、請求項10に記載の方法。
(項目12)
前記阻害剤が抗体である、請求項10に記載の方法。
(項目13)
皮膚細胞の不適切な増殖に特徴づけられる症状に苦しむ被検体の細胞に接触させること
を含む、請求項10に記載の方法。
(項目14)
該症状がアトピー性皮膚炎、乾癬、脂漏性角化症、ケラトアカントーマ(keratochanth
oma)、腫瘍、または角皮症である、請求項13に記載の方法。
(項目15)
前記分子がIL−20Rαの可溶型、IL−20Rβの可溶型、またはIL−22Rの
可溶型である、請求項10に記載の方法。
(項目16)
前記分子が受容体結合能を有するが、サイトカイン活性が失われているIL−20突然
変異体である、請求項10記載の方法。
(項目17)
物質が上皮細胞増殖阻害活性を有するか否かを測定する方法であって、IL−20を提
示する上皮細胞サンプルおよび被検物質を混合し、上皮細胞の増殖を測定し、前記増殖と
、前記上皮細胞サンプルをIL−20のみと混合した場合の増殖とを比較することを含有
する方法であって、増殖の低下が該物質の上皮細胞増殖阻害活性の指標となることを含有
する方法。
(項目18)
該上皮細胞が皮膚細胞である、請求項17記載の方法。
(項目19)
IL−20またはmda−7の活性を調節する分子を同定する方法であって、IL−2
2RおよびIL−20Rβを発現する細胞を、前記分子およびIL−20またはmda−
7のいずれか一種と混合し、前記分子が前記IL−20またはmda−7の活性を調節す
るか否かを測定する目的で、前記分子の非存在下における前記細胞における前記IL−2
0またはmda−7の作用を測定することを含有する方法。
(項目20)
IL−19またはmda−7の活性を調節する分子を同定する方法であって、IL−2
0RαおよびIL−20Rβを発現する細胞を、前記分子およびIL−19またはmda
−7のいずれか一種と混合し、前記細胞における前記IL−19またはmda−7の作用
を測定し、前記分子が前記IL−19またはmda−7の活性を調節するか否かを測定す
る目的で、前記分子の非存在下における前記細胞における前記IL−19またはmda−
7の作用と比較することを含有する方法。
(項目21)
細胞における、mda−7およびIL−19の一種以上の作用を阻害する方法であって
、前記細胞を、IL−20RαおよびIL−20Rβの相互作用を阻害するために十分な
量の、前記相互作用を阻害する分子と接触させることを含有する方法。
(項目22)
前記分子が抗体である、請求項21に記載の方法。
(項目23)
前記分子がIL−20Rαの可溶型またはIL−20Rβの可溶型である、請求項21
に記載の方法。
(項目24)
前記分子がIL−20RαおよびIL−20Rβの複合体に対する親和性を有する一方
、活性を失った、IL−20の突然変異体である、請求項21の方法。
【0008】
以下の実施例では、特にIL-22R分子およびIL−20Rβ分子を含有する新規サ
イトカイン受容体複合体に関して記述する。先に示したように、この受容体複合体はmd
a−7およびIL−20等のサイトカインの結合を促進する。また、これらの実施例は、
IL−20RαおよびIL−20Rβを含む複合体が、IL−19等のこれらのサイトカ
インに結合することを示している。この両複合体は、特に、サンプル中に個々の結合パー
トナーが存在するか否かを特定するための薬剤として用いることができる。たとえば、I
L−20RαおよびIL−20Rβが、mda−7、IL−19およびIL−20に対す
る受容体を形成することを本願は示している。IL−22RとIL−20Rβの複合体は
mda−7およびIL−20に対する受容体を形成するが、IL−19に対する受容体は
形成しない。したがって、これらの受容体の種々の組み合わせを利用することによって、
IL−10関連サイトカインがサンプル中に存在するか否かを決定することが可能である
。IL−22RおよびIL−20Rβの複合体、または以下に記載の変異体等の受容体は
、IL−22RおよびIL−20Rβ間における会合または相互作用に影響を与えること
により、IL−20および/またはmda−7の機能をイン ヴィヴォで調節する薬剤お
よび物質をアッセイするために利用することが可能である。同様に、IL−20Rαおよ
びIL−20Rβ、またはその変異体との間における会合または相互作用に影響を与える
ことにより、IL−19、IL−20およびmda−7の機能を生体内で制御する物質を
測定することが可能である。このようなアッセイに用いることができると考えられるフォ
ーマットについては以下に詳述するが、端的には、被検物質の存在下または非存在下にお
ける構成成分ポリペプチド鎖同士の結合を測定すること、および/または被検物質の存在
下または非存在下において、本発明の受容体が有する、サイトカイン等のリガンドに結合
する能力を確認すること、および/または被検物質が有する、受容体が影響を与える部位
における、生物学的機能あるいは細胞機能、あるいは活性の調節能力を測定すること、が
含まれる可能性があるが、その機能または活性は、受容体への結合を示すものの中から選
択される前述の結合パートナーにより影響を受ける可能性、あるいは生物学的経路におい
て受容体の下流の活性(activity downstream)を含む可能性がある。受容体複合体の構
成成分間の結合およびこのような結合における被検物質の作用を測定することを含むアッ
セイ方法が、全長ポリペプチド鎖を用いることを必ずしも必要とするわけではない。たと
えば、受容体のコンパニオンポリペプチド鎖の構成成分の一部に対する結合能を有するフ
ラグメントも使用されるであろう。実際、以下で議論するように、ポリペプチドの自身の
フラグメントは、受容体ポリペプチド構成成分間の結合を阻害する目的で使用される可能
性がある潜在的阻害物質(putative inhibitor)のカテゴリーの代表である。
【0009】
さらに、このようにサイトカインに対する結合能を有する単離された受容体またはフラ
グメントは、それらに結合するサンプル中または被検物質中におけるサイトカイン、すな
わちIL−22RおよびIL−20Rβを含む受容体に対するIL−20またはmda−
7、およびIL−20Rα/IL−20Rβを含む受容体に対するIL−19またはmd
a−7、の存在の測定に使用できる可能性がある。これら二者については以下に詳述する

【0010】
本発明による受容体複合体は、関連する構成成分ポリペプチド鎖を内因的に産生する細
胞から精製する方法により、単離された形態で提供される可能性がある。しかしながら、
より一般的かつより好ましくは、適切な発現系においてコードされた核酸(DNA)分子
から発現を行うことによる組み換え体を産生する手段により、次に、たとえば適切な結合
抗体分子または自身のリガンドや受容体に結合するために十分な量のリガンドの一部を含
む融合タンパク質等の融合タンパク質の使用を介して精製を行うことによって、この受容
体複合体が提供される。
【0011】
受容体ポリペプチド鎖をコードする、単離核酸分子はさまざまな側面において利用され
ており、本発明の実施態様は、当技術分野において実施可能である。
【0012】
このような核酸分子は、ここで同定される受容体ポリペプチド鎖をコードするベクター
構築物を提供するために利用される可能性がある。
【0013】
本明細書において同定される、ポリペプチド鎖のコンビネーションを含む受容体は、双
方の鎖をコードする核酸分子の共発現(co-expression)によって、あるいは、個別に産
生され、そして、会合が許容されるポリペプチド鎖をコンビネーションすることによって
製造することが可能である。本発明の受容体分子はグリコシル化または非グリコシル化、
硫酸化または非硫酸化のいずれでもよく、また、これに限定されるものではないが、たと
えばアセチル化、アシル化、リン酸化、パルミトイル化、ユビキチン化、ADPリボシル
化、水酸化、グルコシル化ホスファチジルイノシチド(glucosyl phopophatidylinositid
e)付加、酸化、還元等の、他の翻訳後の改変を含む形態であってもかまわない。
【0014】
所望の分子の製造のための、コード配列の操作、および、コード化ポリペプチドおよび
ペプチド組み換え体産生に関する実施可能ないずれの技術も、当業者によって採用するこ
とができる。
【0015】
一般的に、本発明による受容体の産生、および、そのペプチド鎖またはそのフラグメン
トの産生に使用される核酸分子、たとえば本明細書中で同定される受容体ポリペプチド鎖
の新規なコンビネーションをコードするそれぞれの配列をもつ核酸分子は、単離または精
製された状態の単離物として提供されるか、発現に対する調節塩基配列の一種以上である
可能性を持つ場合を除いて、本来は付随して会合する物質、たとえばその遺伝子に、(た
とえばヒト)ゲノム内で隣接する核酸から、遊離または実質的に遊離して、提供される。
核酸分子は、その全長またはその部分配列が合成によるものであってもよく、ゲノムDN
A、cDNAおよびRNAを含み得る。
【0016】
本発明のペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸分子は、本明細書中に記載の情
報ないし参照文献、および当該技術分野に周知の技術(たとえばサムブルック(Sambrook
)およびラッセル(Russell)による「MolecularCloning, A Laboratory Manual」、第
三版、Cold SpringHarbor Laboratory Press、2001年、およびオースベル(Ausubel
)らによる「CurrentProtocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、19
92年、あるいはそれ以降の版)を用いて、当業者により容易に調製することが可能であ
る。コード化分子(encodingmolecule)を取り出し、発現部位の両端における適切な制
限酵素認識部位を同定し、この分子から、前記部位を切り出すことを含む、当該技術分野
に周知の手法を用いて、ペプチドフラグメントをコードする核酸分子を産生および使用す
ることが可能である。次に、標準的な市販の(商業的に入手可能な)発現システムにおい
て、当該部位を操作できる状態で適切なプロモータに連結させることが可能である。組み
換え手法による他の取り組みとしては、適切なPCRプライマーによりDNAの関連部位
を増幅させることが挙げられる。
【0017】
核酸分子の改変は、たとえばポリペプチドのアレル体または突然変異体等改変ポリペプ
チドの産生を行うため、または核酸の発現に使用される宿主細胞にとって好ましいコドン
を考慮するために、たとえば部位特異的突然変異(site directed mutagenesis)を用い
て行うことが可能である。
【0018】
パートナー(対を形成する)ポリペプチド鎖および/またはリガンドに対する結合能を
有する場合、アミノ酸の変異体、アレルアイソフォーム(allelic isoform)、誘導体、
または特定の野生型アミノ酸配列の突然変異体であるポリペプチドを本発明、とりわけ本
発明におけるアッセイ、において利用することは可能である。変異体、アレルアイソフォ
ーム、誘導体または突然変異体は、既知の配列に対する配列の同一性が60%を超える、
約70%を超える、約80%を超える、約90%を超える、または約95%を超えるアミ
ノ酸配列を有するものであってかまわない。この配列は、本明細書に記載のアミノ酸配列
に対する類似性が約70%を超える、約80%を超える、約90%を超える、または約9
5%を超えるものであってもかまわない。配列の比較は、本明細書中に示される関連配列
(relevantsequence)の全長に対して、あるいは、より好ましくは特定のタンパク質ド
メインの配列に対して行うことが可能である。
【0019】
配列に関するアミノ酸の「同一性(identidy)」および「類似性(similarity)」は、
当業者にとって既に確立された原理に基づく周知の用語であり、例えば、アルゴリズムG
AP(algorithmGAP)(Genetics Computer Group、ウィスコン州マディソン)を用いた
試験によって測定することが可能である。GAPは、マッチを最大限とし、ギャップが最
小限となるような二つの完全配列をアラインメントするために、ニードルマン(Needlema
n)およびウンシュ(Wunsch)のアルゴリズムを用いている。一般的に、ギャップ開始ペ
ナルティー(gapcreation penalty)=12、ギャップ伸張ペナルティー(gap creation
penalty)=4とともにデフォルトパラメータが用いられる。GAPの使用を好ましいも
のとしてもよいが、その他のアルゴリズムで一般的にデフォルトパラメータを採用するも
の、たとえばBLAST(アルチュル(Altschul)ら、J. Mol. Biol. 215:405〜
410(199年)の手法)、FASTA(ピアソン(Pearson)およびリップマン(Lip
man)、PNAS USA 85:2444〜2448(1988年))、またはスミス−ウォータ
ーマン(Smith-Waterman)のアルゴリズム(スミス(Smith)およびウォーターマン(Wat
erman)、J. Mol.Biol. 147:195〜197(1981年))等を利用してもよい

【0020】
核酸レベルにおいて、配列の相関性(relatedness of sequence)は、ストリンジェン
トな条件下における分子間の選択的ハイブリダイゼーション(selective hybridization
)によって調べることができる。
【0021】
たとえば、サムブルック(Sambrook)の方法に従い、5XのSSC(ここで「SSC」
=0.15Mの塩化ナトリウム;0.15Mのクエン酸ナトリウム;pH7)、5Xのデ
ンハルト(Denhardt)試薬、0.5〜1.0%のSDS、100μg/mLの変性フラグ
メント化サケ精子DNA、0.05%のピロリン酸ナトリウムおよび50%以下のホルム
アミドを含有するハイブリダイゼーション溶液を用いてハイブリダイゼーションを行うこ
とが可能である。ハイブリダイゼーションは37〜42℃、6時間以上行われた。以下の
ハイブリダイゼーションにおいて次のようにフィルターを洗浄した。(1)2XのSSC
および1%SDS中、室温にて5分間、(2)2XのSSCおよび0.1%SDS中、室
温にて15分間、(3)1XのSSCおよび1%SDS中、37℃にて30分〜1時間、
(4)1XのSSCおよび1%SDS中、42〜65℃にて2時間、30分毎に溶液を交
換した。
【0022】
特定の配列相同性を有する核酸分子間のハイブリダイゼーションを行うために必要なス
トリンジェント条件を計算するための一般式のひとつ(サムブルック(Sambrook))は以
下のとおり:
=81.5℃+16.6 Log[Na+]+0.41(G+C、%)−0.63(
ホルムアミド、%)−600/#bp、二本鎖中。
この公式の実例として、[Na+]=[0.368]および50%のホルムアミドを用い
、GC含有率を42%、平均プローブのサイズを200塩基、Tは57℃とした。二本
鎖DNAのTは、相同性が1%減少するごとに、1〜1.5℃減少した。したがって、
ハイブリダイゼーション温度を42℃とすることで、約75%を超える配列の同一性を有
する目的物質が観察されるであろう。
【0023】
その他の好ましい条件として、たとえば約80〜90%の同一性を有する配列の検出に
は、0.25MのNaHPO、pH7.2、6.5%のSDS、10%のデキストラ
ン硫酸中における42℃、一晩のハイブリダイゼーション、および0.1X(0.1倍量
)のSSC、0.1%のSDS中、55℃における最終洗浄が含まれる。約90%を超え
る同一性を有する配列の検出の好ましい条件には、0.25MのNaHPO、pH7
.2、6.5%のSDS、10%のデキストラン硫酸中における65℃、一晩のハイブリ
ダイゼーション、および0.1XのSSCおよび0.1%のSDS中での、60℃におけ
る最終洗浄が含まれる。
【0024】
本発明の製造に使用する核酸分子の発現を得るには、前記配列は、その発現を調節する
核酸が操作可能に連結した一つ以上のコントロール配列を有するベクターに組み込まれる
。ベクターは選択、あるいは構築することができる。これらは、プロモータ配列、ターミ
ネーターフラグメント、ポリアデニル化配列(polyadenylation sequence)、エンハンサ
ー配列、マーカー遺伝子およびその他の適切な配列、たとえばペプチドまたはポリペプチ
ドが融合物として産生される核酸配列、および/または、宿主細胞で産生されたペプチド
が細胞から分泌されるように、分泌シグナルをコードする核酸、を含む、制御配列(regu
latory sequence)を適宜含み得る。適宜、ベクターはプラスミド、ファージ等のウイル
スやファージミド(phagemid)であってかまわない。次に、ベクターが機能する宿主細胞
をベクターにて形質転換し、宿主細胞を培養して産物を生産し、この産物を宿主細胞また
は周囲の培地から回収することにより、コード化産物を得ることができる。この方法には
、既に開示した受容体ポリペプチド鎖のコンビネーションをコードする本発明の核酸分子
の宿主細胞への導入が含まれる。この導入(特にインヴィトロの導入)は「形質転換(ト
ランスフォーメーション)」または「トランスフェクション」の範疇を超えるものを一般
的に指すことが可能であり、利用可能な技術のすべてを含み得る。真核細胞に対する、好
ましい技術には、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン、電
気穿孔法、リポソームの介在によるトランスフェクション(liposome-mediated transfec
tion)およびレトロウイルスまたは他のウイルス、たとえばワクシニアや昆虫細胞に感染
するバキュロウイルスを用いた形質導入が含まれ得る。バクテリア細胞に対する好ましい
技術には、塩化カルシウムトランスフォーメーション、電気穿孔法およびバクテリオファ
ージを用いたトランスフェクションが含まれ得る。代替法として、核酸の直接注入を用い
ることもできるであろう。抗生物質に対する耐性または感受性をもつ遺伝子等のマーカー
遺伝子は、対象となる核酸を含むクローンの同定に利用することができる。
【0025】
この導入の後、核酸分子の発現が引き起こされ、または許容される。たとえば核酸分子
の発現のための条件の下、宿主細胞(該細胞には実際に形質転換されたものが含まれ得る
が、形質転換細胞の子孫である可能性のほうが高い)を培養することにより、コード化産
物が産生される。もし、リーダーペプチドのような適切なシグナルペプチドと連結した産
物が発現すれば、この産物は細胞内から培地中に分泌され得る。発現による産生に続いて
、この産物は宿主細胞および/または培養培地から単離および/または精製することが可
能であり、その場合は、引き続き本明細書中に開示されるアッセイあるいは試験等に利用
できる。
【0026】
上記の事実に基づき、本発明は明細書に記載の受容体複合体の作成方法をも提供するが
、この方法には、受容体ポリペプチド鎖をコードする核酸分子からの発現を引き起こし、
または発現を許容され、この鎖が受容体複合体を形成するべくコンビネーションし、そし
て、複合体を精製することが含まれる。複合体を形成する2つの鎖の発現には、宿主細胞
等の単一の発現系における共発現が含まれ得るが、または2つの鎖を別々に産生し、これ
を任意の中間工程である精製工程に供した後、受容体を形成するためにコンビネーション
させ、次いでこれを精製することも可能である。
【0027】
ペプチドの発現を引き起こし、または発現を許容するために適当な条件の下、核酸分子
を含む宿主細胞を培養液中で増殖させることにより、簡便に発現を行うことが可能である
。しかしながら網状赤血球ライセート等のイン ヴィトロシステムであっても発現を行う
ことは可能である。
【0028】
本明細書中に記載のポリペプチド鎖のコンビネーション等を含む受容体複合体の産生に
続いて、サイトカインの結合能を試験することができる。たとえばIL−22RおよびI
L−20Rβを含む受容体の、IL−20およびmda−7の1以上に対する結合を調べ
ることが可能であり、IL−22RβおよびIL−20Rαを含む受容体の、IL−20
、IL−19およびmda−7の1以上に対する結合を調べることが可能である。
【0029】
本発明におけるさらなる側面において、本明細書中に開示される受容体ポリペプチド鎖
をコードする、異種核酸分子を含む宿主細胞が提供される。本発明の核酸分子は、宿主細
胞のゲノム(たとえば染色体等)に組み込まれ得る。組み込み(integration)は、標準
的手法に従い、ゲノムの組み換えを促進する配列を包含することにより促進され得る。核
酸は、細胞内の染色体外のベクター上に存在するか、さもなければ細胞に対して識別可能
に異種または外来性であってよい。
【0030】
このようにして、たとえば核酸を細胞または該細胞の先祖(ancestor)に導入した結果
であるような、本発明の製造において、有用な核酸分子を含む宿主細胞は、本発明の受容
体を発現することが可能であり、当該受容体は、開示されるひとつ以上のサイトカインに
対する応答性を当該細胞に与えることが可能である。
【0031】
本発明による受容体、そのポリペプチド鎖およびフラグメントを使用するアッセイは種
々のフォーマットのいずれを採用してもかまわない。
【0032】
以下の議論では、便宜上、本発明の受容体の「第一ポリペプチド鎖」および「第二ポリ
ペプチド鎖」に対する言及を行う。別の実施態様においては、これは、本明細書中で特定
される受容体コンビネーションの各ポリペプチド鎖、すなわちIL−22R/IL−20
Rβ等を指すものと理解される。
【0033】
第一および第二ポリペプチド鎖間の相互作用を調節する薬剤のアッセイは、以下を含む
ことができる:
(a)受容体の第一ポリペプチド鎖または第一ポリペプチド鎖のフラグメントであって、
受容体の第二ポリペプチド鎖に結合することができる、該鎖または該フラグメント;受容
体の第二ポリペプチド鎖または第二ポリペプチド鎖のフラグメントであって、受容体の第
一ポリペプチド鎖に結合することができる、該鎖または該フラグメント;と被検化合物の
接触を図り、
(b)該被検化合物の非存在下における、第一および第二ポリペプチド鎖またはフラグメ
ント間の相互作用または結合と比較し、該被検化合物の存在下における、第一および第二
ポリペプチド鎖またはフラグメント間の相互作用または結合を測定する。
【0034】
受容体の第一および第二ポリペプチド鎖間の相互作用または結合を低下あるいは阻害す
る被検化合物、または、薬剤は、阻害物質である被検化合物の非存在下、第一および第二
物質が相互に作用または結合する条件において、同定および/または獲得される。
【0035】
受容体の第一および第二ポリペプチド鎖間の相互作用または結合を増加あるいは促進す
る被検化合物、または、薬剤は、試験で陽性を示す薬剤(positively-testing agent)の
非存在下、ポリペプチド鎖の相互作用または結合を妨害または障害する状況において、同
定および/または獲得される。
【0036】
本発明の他の側面では、受容体の第二ポリペプチド鎖に結合する、本発明の受容体の第
一ポリペプチド鎖の関連部分、または受容体の第一ポリペプチド鎖に結合する、本発明の
受容体の第二ポリペプチド鎖の関連部分、と相互に影響を与えることができる物質のアッ
セイ方法が提供されるが、この場合、以下の方法を含むことが可能である:
(a)受容体の第二ポリペプチド鎖に結合することができる、本発明の受容体の第一ポリ
ペプチド鎖またはそのフラグメント;あるいは、該第一ポリペプチド鎖に結合することが
できる、該第二ポリペプチド鎖またはそのフラグメント;と被検化合物の接触を図り、
(b)第一または第二ポリペプチド鎖あるいはそのフラグメントと該被検化合物間の相互
作用または結合を測定する。
【0037】
第一または第二ポリペプチド鎖の関連部分と相互に作用、または結合することがわかっ
た被検化合物は、第一および第二ポリペプチド鎖間の結合の調節能力(たとえば、破壊ま
たは干渉する能力)、あるいは本発明の受容体によって媒介される活性の調節能力に関す
る試験に供されることが可能である。
【0038】
本発明の他の側面において、本発明の受容体の、リガンド(たとえばサイトカイン)に
対する結合を調節する薬剤のアッセイ方法であって、以下を含有する方法が提供される:
本発明の受容体と、リガンドおよび被検物質とを、該リガンドの該受容体への結合への阻
害物質である該被検物質が存在しない条件下で接触させ、該リガンドの該受容体に対する
結合を測定する。
【0039】
結合が調節されると、前記被検物質がリガンドの受容体に対する結合を調節する薬剤で
あると特定される。
【0040】
リガンドは、本発明の受容体の調節物質(モジュレーター)として本明細書において同
定されるものの中から選択されるサイントカインであることが可能である。
【0041】
本発明の他の側面において、本発明の受容体の生物学的活性を調節する因子のアッセイ
方法が提供されるが、この方法には、宿主細胞内で該受容体を提供させて、被検物質の存
在下または非存在下で、該受容体の活性を測定することが含まれる。
【0042】
該受容体の活性は、該受容体に対するアゴニストまたはアンタゴニストである分子によ
る処理に対する、該細胞の応答の手段により測定される。たとえば、本発明の受容体を発
現する細胞をサイトカイン(たとえば、IL−22RおよびIL−20Rβを含む受容体
に対するIL−20等)で処理することであってもかまわない。
【0043】
本発明のその他のアッセイにおいて、被検化合物または被検物質の存在下における成分
の相互作用および/または結合、および/または活性を、被検化合物の非存在下における
、比較用の反応培地中、および条件における、相互作用および/または結合、および/ま
たは活性と比較することが可能である。相互作用および/または活性を調節可能な被検化
合物が同定され得る。当業者であれば、アッセイ方法を遂行する際の適切な実験管理につ
いて熟知している。
【0044】
スクリーニングされ得る化合物は、薬物スクリーニングのプログラムに使用される天然
または合成による化学物質であり得る。既に特徴付けされた、あるいは未だ特徴付けされ
ていない種々の化合物を含む、植物、微生物あるいは他の生物体からの抽出物を利用する
こともまた可能である。
【0045】
コンビナトリアルライブラリーテクノロジー(combinatorial library technology)も
また、相互作用を調節する能力に関して、さまざまな物質を大量に検査することを可能に
するために有効な方法である。他種と混在するすべての種類の天然産物、小分子およびペ
プチドに対するこのようなライブラリーおよびその使用は当該技術分野で周知事項である

【0046】
ペプチドライブラリーの使用は特定の環境において好ましいものとなり得る。該ポリペ
プチド鎖のペプチドフラグメントによる阻害されるべき本発明の受容体のポリペプチド鎖
間の結合に対する潜在力は、既に述べてきた。こうしたペプチドフラグメントは、たとえ
ば10〜40個のアミノ酸、具体例としては約10、約20、約30または約40個のア
ミノ酸、または約10〜20、約20〜30または約30〜40個のアミノ酸から構成さ
れ得る。これらは既存の技術を用いて、遺伝子組み換え的、化学的または人工的に合成す
ることができる。
【0047】
本発明のリガンドに対する本発明の受容体の結合の阻害物質であって、その他のクラス
のものとしては、エフェクター機能が無効である一方、サイトカイン等のリガンドに結合
する能力は保持するように改変された受容体が含まれる。サイトカイン受容体は通常4の
ドメインを有しており、第一ドメインはシグナルペプチドであり、15〜30個(通常約
20個)のアミノ酸領域であり、主に疎水性であり、タンパク質が小胞体にトランスファ
ーされた後、開裂(cleave)する(このため細胞表面の成熟タンパク質には存在しない)
。第二ドメインは細胞外ドメインである。本発明の受容体に関しては、このドメインはア
ミノ酸長が約200個であり、該受容体との間にいくらかのホモロジー(アミノ酸同一性
がおよそ20〜30%)を有している。第三ドメインは膜貫通ドメインであり、約20個
の疎水性アミノ酸が伸長している。最後に、細胞内ドメインはサイトカイン受容体におい
てさまざまなサイズ(20〜3000アミノ酸)を有し、同ファミリーの受容体との間の
ホモロジーをほとんど示さない。シグナルペプチドおよび膜貫通ドメインの予想のための
プログラムはウェブ上で入手可能である。(たとえば、www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM-
2.0/を参照されたい。引用文献としては、S. Moller、M.D.R.Croning、R. Apweilerによ
るEvaluationof methods for the prediction of membrane spanning regions(膜貫通
領域の予想のための方法の評価)、Bioinfomatics、17(7):646〜653、20
01年7月、またはA.Krogh、B. Larsson、G. von HeijneおよびE.L.L. Sonnhammerによ
るPredictingtransmembrane protein topology with a hidden Markov model(ハイデン
マルコフ モデルでの膜貫通タンパク質トポロジーの予想);Application to complete
genomes、Journalof Molecular Biology、305(3):567〜580、2001年
1月を参照されたい。)これは、阻害物質として利用できると考えられる細胞外ドメイン
の定義に役立つ。このような可溶性受容体の作成方法は、膜貫通ドメイン手前に終止コド
ンを挿入することによることが可能であると考えられる。他の方法として、精製をより簡
単にするために使用されるペプチド(たとえばNi2+のような金属イオンに結合するポ
リ-hisペプチド)、受容体の二量体化を可能にする(これによりリガンドに対する結合活
性が増加する)イムノグロブリンFcフラグメント等の、他のタンパク質と融合した形で
細胞外ドメインを産生することが可能である。また、2つの受容体鎖に対するIgとの融
合構築物の細胞における共発現は、ヘテロダイマーの産生を導き、イムノグロブリンFc
フラグメントを通して連結した1型または2型(type 1 or type 2)IL−20Rの複合
体を再構築する。第一鎖および第二鎖の配列間に「スペースペプチド(space peptide)
」を含む一本鎖として、二つの細胞外ドメインを作成することも可能である。このような
タンパク質は、元になる別個のタンパク質の複合体として折りたたまれる(fold)ことが
できる。
【0048】
本発明のいずれのアッセイ方法においても、本発明のアッセイ方法に添加し得る被検物
質または化合物の量は使用される化合物のタイプに応じて試行錯誤することにより通常、
決定されるであろう。一般的に約0.001nM〜1mMまたはそれを超える濃度、たと
えば0.01nM〜10mM、具体的には0.1〜50μM、より具体的な例としては約
10μM、の潜在的阻害物質(putative inhibitor compound)が使用され得る。たとえ
作用の弱い分子であったとしても、さらなる研究および開発に対する、有用なリード化合
物になり得る。
【0049】
スクリーニングまたはアッセイ方法には、混合物または抽出物からの対象となる被検化
合物および/または対象の物質の精製および/または単離、すなわち該混合物または抽出
物に含まれる一種以上の成分、たとえば元来は該被検物質に会合している成分等の含有量
を低減させることを含むことができる。スクリーニングまたはアッセイ方法には、被検混
合物または抽出物中の一つ以上のフラクション(分画)が本発明のポリペプチド鎖または
受容体に結合する能力の測定、または被検混合物または抽出物中の一つ以上のフラクショ
ンが受容体に結合する、または受容体の活性に影響を与える能力の測定が含まれ得る。
【0050】
該分子の精製および/または単離には、たとえば抗体分子を利用する等、当業者に周知
のいかなる方法を採用してもかまわない。
【0051】
本発明のポリペプチド鎖および受容体の精製におけるこれらの使用に加えて、抗体分子
は、それ自体が受容体機能の潜在的調節物質の更なるクラスを意味する。
【0052】
その受容体の他方のポリペプチド鎖に対する受容体の一方のポリペプチド鎖の結合部位
に直接作用、またはリガンドに対する受容体の結合部位に直接影響を与える抗体は、受容
体活性の潜在的調節物質の更なるクラスを形成する。候補となる阻害物質および/または
agaonist抗体は特徴付けられ、その結合領域が、結合を切断する原因となる一本
鎖の抗体およびそのフラグメントが提供するため、測定される。
【0053】
抗体は当該技術分野で標準的な技術を用いることにより得ることが可能である。抗体を
産生する方法には、関連受容体、それらのポリペプチド鎖またはペプチドフラグメントに
よる哺乳動物(たとえば、マウス、ラット、ウサギ、ウマ、ヤギ、ヒツジまたはサル等)
の免疫化が含まれる。抗体は、当該技術分野において知られる種々の技術のいずれかを用
いて免疫化動物より得られ、好ましくは対象の抗原に対する抗体の結合を利用してスクリ
ーニングが行われることが可能である。たとえば、ウエスタンブロット法または免疫沈降
反応を使用することができる(アーミテージ(Armitage)ら、Nature 357:80〜8
2,1992年、参照により本明細書に援用する)。動物由来の抗体および/または抗体
産生細胞の単離には、動物を犠牲にする工程を伴う場合がある。
【0054】
哺乳動物のペプチドを用いた免疫化に対する代替、またはこれに対する追加として、た
とえば、その表面に機能的イムノグロブリン結合領域(functional immunoglobulin bind
ing domain)を持つラムダバクテリオファージまたは糸状菌バクテリオファージを用いて
発現されたイムノグロブリン可変領域の組み換え産生ライブラリーから抗体を得ることが
可能である。たとえばPCT出願WO 92/0147号、これは引用により本明細書に
援用される、を参照のこと。これらの方法論は、ヒト化、キメラ化またはその他の型のハ
イブリッド抗体、あるいはたとえばヒト−ネズミ型、ヒト−ラット型、ヒト−ウサギ型、
あるいはヤギ、ヒツジ、チンパンジー、霊長類およびその他の動物を含む、げっ歯類以外
の他の動物同士のハイブリッドである完全抗体のフラグメントを調製する際にとりわけ好
ましい。
【0055】
本発明において有用な抗体分子はさまざまな方法で改変されることが可能である。実際
、「抗体分子」という用語は抗原に結合可能な抗体フラグメントおよび誘導体を含めるよ
うに構築されなければならない。抗原またはその他の結合パートナーに結合する抗体フラ
グメントの例は、VL、VH、C1、およびCH1ドメインで構成されるFabフラグメ
ント、VHおよびCH1ドメインで構成されるFdフラグメント、抗体である、単一のV
LおよびVHドメインで構成されるFvフラグメント、VHドメインで構成されるdAb
フラグメント、単離CDR領域、およびヒンジ領域のジスルフィド架橋により連結した二
つのFabフラグメントを含む二価フラグメントであるF(ab’)2フラグメントが挙
げられる。一本鎖Fvフラグメントもまた含まれる。
【0056】
所望の結合特性を有する抗体の産生が可能なハイブリドーマは、抗体(抗体フラグメン
トを含む)をコードする核酸を含み、これらの発現が可能な宿主細胞、真核細胞または原
核細胞として、本発明の権利範囲に含まれる。また、本発明は、抗体の産生が可能な、好
ましくは分泌が可能な条件下、抗体の産生が可能な細胞を増殖することを含有する抗体の
産生方法を提供する。
【0057】
検体に対する抗体の応答性は適切な手法のいずれかを用いて測定される。可能性の一つ
として、個々のレポーター分子(reporter molecule)でタグ化することが挙げられる。
該レポーター分子は直接的または間接的に検定可能な、好ましくは測定可能なシグナルを
生成する。レポーター分子の連結は、直接的、間接的、(たとえばペプチド結合を介して
)共有結合的に、あるいは非共有結合的に行うことができる。ペプチド結合を介した連結
は、抗体およびレポーター分子をコードする融合遺伝子(gene fusion)の組み換え発現
の結果として起こり得る。結合を測定する機序は本発明の特徴ではなく、当業者であれば
自己の優先度とその幅広い知識にしたがって、好適な形態を選択することが可能である。
【0058】
本発明のポリペプチド鎖または受容体、あるいはペプチドフラグメントの精製および/
または単離において、具体的にはコードする核酸に由来する発現によって以下のペプチド
産生を行う場合においても、抗体を利用することが可能である。関連する生物学的機能ま
たは活性を阻害するという観点により、受容体のポリペプチド鎖同士の結合あるいは受容
体とリガンドの結合を分裂するためには、治療の場(予防を含めることも可能である)に
おいて、抗体が有用となる可能性がある。抗体は、(たとえば腫瘍部位の)細胞内に、た
とえば微量注射することが可能である。
【0059】
本発明のアッセイ方法により検査される被検化合物の性質にかかわらず、本発明の受容
体のポリペプチド鎖等の物質間の相互作用又は結合は、当該技術分野で利用されている技
術のいずれかにより、定性的または定量的に測定することが可能である。ラジオイムノア
ッセイ、共免疫沈降反応(co-immunoprecipitation)、シンチレーション近接アッセイ(
scintillationproximity assay)およびELISA法などの技術がこれらに含まれる。
【0060】
一方の成分の他方に対する結合は、いずれかを検出可能なラベルによりラベル化し、こ
れを、あらかじめ固相支持体上に固定化した、他方の化合物に接触させることにより調べ
ることが可能である。好適な検出可能なラベル、特にペプチジル物質(peptidyl substan
ce)には、組み換え産生ペプチドまたはポリペプチドに取り込まれることが可能である
S−メチオニンが含まれる。組み換え産生ペプチドおよびポリペプチドは、抗体で標識
されることが可能なエピトープを含む融合タンパク質として発現させることも可能である

【0061】
固相支持体上に固定化されるポリペプチドおよびペプチドは、固相支持体に結合するポ
リペプチドに対する抗体を使用して、あるいはそれ自体が既知である他の技術を用いて固
定化され得る。好適なインヴィトロ(生体外)における相互作用には、グルタチオンSト
ランスフェラーゼ(GST)を含む融合タンパク質を用いることができる。グルタチオン
アガロースビーズ上にこれを固定化することが可能である。前記のタイプのインヴィトロ
におけるアッセイ形態では、ラベル化ペプチドまたはポリペプチド(たとえば、固定化G
ST融合ペプチド〔GSTおよびIL−22RまたはIL−20Rαの融合ペプチドを固
定化したものなど〕に結合したラベル化IL−20Rβ)の量を減少させる能力を測定す
ることにより被検モジュレーターのアッセイが行われる。これは、SDSポリアクリルア
ミドゲル電気泳動法を用いてグルタチオンアガロースビーズを分画化することにより測定
される。別の方法としては、非結合のペプチドまたはポリペプチドを除去するために該ビ
ーズを洗浄し、たとえば好適なシンチレーションカウンターで存在するラベルの量を算定
することにより、結合したペプチドまたはポリペプチドの量を測定する。
【0062】
二種の成分における結合および相互作用は、2ハイブリッドアッセイ(two-hybrid ass
ay)を用いて測定することも可能である。
【0063】
たとえば、本発明の受容体の第一ポリペプチド鎖を、酵母転写因子GAL4等における
DNA結合ドメインと融合することが可能である。GAL4転写因子は二つの機能ドメイ
ンを含有している。これらのドメインはDNA結合ドメイン(GAL4DBD)およびG
AL4転写活性化ドメイン(GAL4TAD)である。受容体の第一ポリペプチド鎖をこ
れらのドメインの一方に融合し、受容体の第二ポリペプチド鎖を夫々の対応物に融合する
ことにより、この二つのポリペプチドが相互に作用した場合のみ、機能的GAL4転写因
子が再建される。したがって、これらのポリペプチドの相互作用は、レポーター遺伝子の
転写を活性化する(activating)ことができるGAL4DNA結合部位に連結されたレポ
ーター遺伝子を利用して測定することが可能である。
【0064】
この2ハイブリッドアッセイのフォーマットはフィールズ(Fields)およびソング(So
ng)、Nature 340;245〜246、(1989年)に記載されている。これは、哺
乳動物細胞および酵母のいずれでも利用可能である。その他のDNA結合ドメインおよび
転写活性化ドメインのコンビネーションは、当該技術分野において入手可能であるが、L
exA DNA結合ドメインおよびVP60転写活性化ドメインが好ましいものであろう

【0065】
本発明のスクリーニングおよびアッセイ方法の形態の詳細なフォーマットについては、
定型的な技術および知識を用いて当業者により変更される場合がある。当業者であれは、
適切な実験管理を採用することが必要であることを十分に理解している。
【0066】
本発明はさらに、受容体のポリペプチド鎖間の結合に影響を与える、または受容体とリ
ガンド間の結合に影響を与える、あるいは受容体活性に影響を与える物質または化合物の
スクリーニングにおける、本発明の受容体のポリペプチド鎖またはそのペプチドフラグメ
ントの利用、あるいは本明細書中に開示される受容体の利用を提供する。
【0067】
本発明に係るアッセイ方法を行った後、関連(relevant)相互作用を調節する能力、ま
たは関連生物学的機能あるいは活性に影響を与える能力に関して陽性を示した化合物、物
質または分子を単離および/または製造および/または使用することが可能である。好ま
しい薬剤の同定に続いて、さらに、この薬剤について検討を行うことが可能であり、関連
相互作用を調節する能力または関連生物学的機能に影響を与える能力を変調(モジュレー
ト)せずに一種以上の特性を変化させるために、この薬剤を改変または誘導体化すること
が可能である。たとえば、一本鎖Fv抗体分子は、定常部位を含む完全抗体(たとえばIg
G抗体)に再編成することが可能である。いずれのペプチジル分子も一以上のアミノ酸の
付加、置換、挿入または欠失により、あるいは付加成分またはタンパク質ドメインを連結
させることにより改変することが可能である。活性薬剤はコンピューターシュミレーショ
ン(in silico)で分子モデリングに供することが可能であり、元来同定された薬剤のミ
メチックが作り出され得る。
【0068】
さらに、本発明の活性薬剤は製造され、および/または医薬品(medicament)、医薬組
成物または薬物(drug)といった組成物の調製(すなわち製造または調合)に利用され得
る。これらは個体に投与されることが可能である。
【0069】
ペプチド、抗体、小分子またはその他の因子であって、本発明の受容体のポリペプチド
鎖間の結合に影響を与える能力、またはこのような受容体とリガンドの結合に影響を与え
る能力を有する化合物は、さまざまな場面で治療またはその他の潜在能力を有する。治療
を目的として、このような化合物を、他のいずれかの活性物質とコンビネーションさせて
使用することが可能である。
【0070】
一般的に、本発明にしたがって同定され、また、これに引き続き使用される、このよう
な物質は、単離および/または精製された状態、すなわち実質的に純粋な状態で提供され
る。これには、少なくとも約90%の活性成分、より好ましくは約95%の活性成分、さ
らに好ましくは約98%の活性成分を示す組成物が含まれ得る。しかしながら、このよう
な組成物には不活性担体(キャリア)物質あるいは他の薬学的、生理学的に許容可能な賦
形剤(excipient)を含有することができる。したがって、組成物は、本発明を用いて得
られた活性成分および不活性担体によって構成され得る。さらに、本発明による組成物は
、本明細書に開示のモジュレーター化合物に加えて、一つ以上の治療用分子、たとえば抗
腫瘍剤、を含有することが可能である。
【0071】
さらに本発明は、本発明による受容体のポリペプチド鎖間の相互作用に影響を与える薬
剤、または本発明の受容体とリガンドの結合に影響を与える薬剤を含む組成物を患者に投
与することを含む治療方法を提供する。このような治療における治療的/予防的目的は、
本発明の受容体に結合する分子に関連するか、本発明の受容体の活性または機能に関連す
るいかなる疾患とも係わり得る。本発明の実施態様にしたがって治療され得る疾患には、
皮膚疾患、たとえばアトピー性皮膚炎、乾癬、脂漏性角化症、角皮症およびその他表皮(
上皮)および/または皮膚細胞の過剰な増殖を含む状態、が含まれる。たとえば、報告に
よれば、mda−7タンパク質は、マウスにおけるインヴィトロおよびインヴィヴォ(生
体外および生体内)双方で、この遺伝子を発現するアデノウイルスが抗腫瘍効果を有する
ことから、抗腫瘍活性を持つとされている。したがって、この結果からIL−20および
、さらにいくらか拡大して、IL−19が、同様の活性を持つことを示唆しており、抗腫
瘍剤としての効力が示唆される。
【0072】
さまざまな他の側面において、本発明は、医薬組成物、医薬品、薬剤またはそのような
目的を持つ他の組成物;一つ以上のこのような物質を含む組成物;医療方法におけるこの
ような物質の使用;たとえば、疾患の治療(予防的処置を含み得る)のための、このよう
な物質を患者に投与することを含む方法;組成物の製造におけるこのような物質の使用;
たとえば、疾患の治療を目的として等、このような目的で投与するための、医薬品または
薬物、および;このような物質を、医薬的に許容可能な賦形剤、溶媒(vehicle)または
担体、および任意の他の成分と混合することを含む医薬組成物の製造方法、を提供する。
【0073】
本発明の医療方法に使用される物質が何であれ、「予防的に有効な量」または「治療的
に有効な量」(場合によっては、予防は治療行為とみなされ得るのであるが)の投与が行
われることが好ましく、これは個体に恩恵を与えるためには十分である。投与される実際
の量および投与レートないし時間経過は治療を行う疾患の性質および重症度に左右される
。投与量の決定等の治療の処方は、一般開業医および他の医師の責任の範疇に属する。
【0074】
本発明による医薬組成物および本発明に基づくその使用には、活性成分に加えて医薬的
に許容可能な賦形剤、担体、緩衝剤、安定化剤または当該技術分野で熟知される他の物質
を含有することが可能である。このような物質は無毒かつ活性成分の効力に決して影響を
与えないものでなければならない。担体または他の物質の性質の詳細は、投与経路に依存
すると考えられ、投与形態は経口あるいは(たとえば皮膚、皮下、あるいは静脈内)注射
であってよい。
【0075】
経口投与用医薬組成物は、錠剤、カプセル、粉末吸入スプレー(たとえば噴霧器)ある
いは液体の形状をとり得る。錠剤は、ゼラチンあるいはアジュバント等の固形担体を含む
ことが可能である。液体医薬組成物は、一般的に、水、石油、動植物油、鉱油、合成油等
の液性担体を含むことが可能である。生理学的食塩水、ブドウ糖または他の糖類溶液、あ
るいはエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコ
ールが、含まれ得る。
【0076】
静脈内、皮膚あるいは皮下注射あるいは疾患部位への注射用には、活性成分は非経口的
に許容可能で、パイロジェンフリーであり、好適なpH、等張性および安定性を有する水
溶液の形状とされるであろう。当業者であれば、たとえば塩化ナトリウム注射液、リンゲ
ル注射液、乳酸加リンゲル注射液等の等張性を有する溶媒を用いて好適な溶液を調製する
能力を十分に有している。必要に応じて防腐剤、安定化剤、緩衝剤、抗酸化剤および/ま
たは他の添加剤を含むことが可能である。先述の技術およびプロトコールの例は、Reming
ton’s PharmaceuticalSciences、第16版、Osol, A.(編集者)、1980年、の中
に見つけることができる。
【0077】
このような物質は、直接投与を行うかわりに、たとえばウイルスベクターから、あるい
は体内に投与された「ネイキッドDNA(“naked DNA”)」として等、細胞に導入され
たコード化された核酸(encoding nucleic acid)からの発現により標的細胞内で産生す
ることが可能である。こうして、たとえば第一および第二ポリペプチド鎖の相互作用に対
して、たとえば干渉する等の、調節能を有するペプチド等の物質をコードする核酸が、た
とえば疾患の予防や回復(部分的または完全な回復)を目的とした、個体の治療等の遺伝
子治療方法に用いることが可能である。
【0078】
本発明の受容体の結合特性によって、特定のサイトカインやこのような受容体の他のリ
ガンドが例えば個体から採取された、検体中に存在するか否かを確立するための、物質の
使用および方法が、さらに提供される。たとえば、IL−20RαおよびIL−20Rβ
の複合体は、IL−19、IL−20およびmda−7のすべてに結合する。したがって
、対象となるサンプルをIL−20RαおよびIL−20Rβを含む受容体、またはこの
ような受容体を提示する細胞に接触させ、何らかの結合が起きたか否かを測定することが
可能である。結合が起こる場合には、これらのサイトカインのいずれかが存在している。
第二工程では、サンプルをIL−20RβおよびIL−22Rを含む受容体またはこのよ
うな受容体を提示する細胞に接触させる。結合が検出されない場合には、これによってI
L−19はサンプル中に存在するが、IL−20およびmda−7は存在しないことが示
される。結合が検出された場合には、これによってmda−7およびIL−20のいずれ
か一方あるいは両方がサンプル中に存在することが示される。サンプル成分に関するより
詳しい情報は、この物質とIL−22R/IL−20Rβ複合体との結合を、IL−20
Rα/IL−20Rβ複合体との結合と比較することにより検証することが可能であるが
、これは前者が後者よりもmda−7対してより強力に結合するためである。
【0079】
本発明の別の側面によれば、サンプル中の一種類またはそれ以上のサイトカインの存在
を測定する方法であって、該サンプルを(本明細書に開示の)本発明の受容体と接触させ
て、該受容体が該サンプルに結合するか否かを確認することを含有する方法が提供される
。この側面の好ましい実施態様において、該サンプルは、該サンプル中に存在する一種ま
たはそれ以上のサイトカインを同定するために、それぞれに異なる本発明の受容体の一以
上のコンビネーションに接触させられる。
【0080】
先に強調したように、トランスジェニックマウスの実験により、IL−20が新生児期
の致命性およびさまざまな皮膚異常と関連することが検証されている。したがって、受容
細胞へのIL−20の作用を阻害することが、たとえば該細胞をIL−20との結合にお
いて競合する他のサイトカインと接触させる、あるいは該受容体を、受容体の結合に対す
る阻害剤、たとえば抗体あるいは他の形状の阻害分子等、と接触させることにより、可能
である。このようなアンタゴニストまたは阻害剤の代表的なものとして、たとえば受容体
に対する親和性は失わずに、活性が失われるように突然変異されたmda−7またはIL
−19突然変異体やIL−20受容体の可溶性細胞外フラグメント等のIL−20に対す
る可溶性結合パートナー等が挙げられる。
【0081】
このメカニズムは、皮膚細胞等の上皮細胞の増殖が禁忌である場合の治療へのアプロー
チを提供する。このような症状の代表例としてはアトピー性皮膚炎、乾癬、脂漏性角化症
(seborrhoeickeratitis)、角皮症、および上皮および/または皮膚細胞の過剰な増殖
を含むその他の症状が挙げられる。このような治療的アプローチにおいて、IL−20に
結合する薬剤は被検体に対して必要に応じた量が投与される。このような薬剤は上記のい
ずれの阻害剤でもよく、抗体、一種以上のIL−20受容体に結合する抗体分子の一部、
受容体に結合する能力を持つがエフェクター物質としての機能は持たないIL−20自身
のフラグメント、受容体親和性は保持するが活性を失っているIL−20の突然変異型が
含まれる。このような形態の分子としては、他のインターロイキン、IL−20受容体の
可溶型等が知られている。
【0082】
この知見、すなわちIL−20が皮膚細胞等の上皮細胞の増殖を刺激するということに
基づいて、当業者は対象となる被検物質がこのような細胞の増殖に対して阻害作用を有す
るかどうかを測定するためのアッセイ方法を確立することができる。実際には、対象とな
る物質をIL−20および皮膚細胞等の上皮細胞とコンビネーションさせ、増殖を確認し
、同システムにおいてIL−20のみを用いたときの結果と比較する。増殖の減少は、被
検物質の阻害効果を意味する。その表面にIL−22RおよびIL−20Rβの複合体を
提示する細胞サンプルと、IL−20RαおよびIL−20Rβの複合体を提示する細胞
サンプルを用いた平行試験により、被検物質の具体的な活性をさらに特定することができ
る。たとえば、被検物質およびIL−20による細胞への刺激に引き続いて阻害が起こり
、その値が同等であった場合、阻害剤はIL−20自身またはIL−20Rβのいずれか
に作用しているであろう。IL−22R/IL−20Rβ複合体を提示する細胞における
阻害のほうがIL−20Rα/IL−20Rβ複合体を提示する細胞における場合よりも
大きかった場合、阻害剤はIL−22Rまたはもう一方を介して作用しているであろう。
【0083】
同様に、IL−20がIL−22RおよびIL−20Rβの複合体に応答するとの知見
は、細胞に対するIL−20の結合を増強させる、または結合を引き起こす方法を示唆す
る。たとえば、補足的な「II型(type II)」受容体複合体を形成するために十分量の
、IL−20Rβをコードする核酸分子で、標的細胞をトランスフェクトすることにより
達成することができる。先に指摘したように、IL−20およびmda−7は細胞に対し
て特定の作用を持つことが知られている。たとえば標的細胞を形質転換あるいはトランス
フェクトして大量のIL−22RおよびIL−20Rβを提示することによって、これら
の作用を増強することが可能となる。したがって、標的細胞がIL−22Rを発現するが
、IL−20Rβを発現しない場合、補足的な受容体を生成するために、IL−20Rβ
を発現するベクターでその細胞を形質転換またはトランスフェクトすることができる。か
わりに、一方の完全な分子および他方の結合部位、または二つの結合部位、これらの分子
の両方をコードする核酸分子、または二分子の融合タンパク質をコードする構築物で、こ
の細胞を形質転換またはトランスフェクトすることが可能である。関連部位または分子は
、リンカー配列またはその分子の適正な折りたたみ構造および機能性をもたらすことを促
すことができる、その他の構築物等を介して連結されることができるであろう。
【0084】
この結果は、適切なトランスフェクタントを選択することによって、特定のサイトカイ
ンが存在するかどうかを確認し、それらの定量化を行なうために患者から採取した検体等
のサンプルの「類型分類を行なう(type)」ことが可能であることを示している。上述し
たように、たとえばIL−20RαおよびIL−20Rβの複合体はIL−19、IL−
20およびmda−7のすべてに結合する。したがって、アッセイの第一段階において、
対象となるサンプルをIL−20RαおよびIL−20Rβの複合体を提示する細胞に接
触させて、何らかの結合が起きるかどうかを確認する。結合が起こった場合、これらのサ
イトカインの一つが存在している。第二段階において、サンプルをIL−20Rβおよび
IL−22Rの複合体でアッセイさせることが可能である。このアッセイの結果が陰性で
あれば、サンプル中にはIL−19が存在するが、IL−20またはmda−7は存在し
ないとの判断を行うことができる。
【0085】
同様に、両方の検定で陽性であれば、mda−7およびIL−20のいずれか一方ある
いは双方が存在するとの判断を行うことができる。サンプル成分をさらに確認することは
、物質のIL−22R/IL−20Rβ複合体に対する結合と、IL−20Rα/IL−
20Rβ複合体に対する結合を比較することによって確認することができるが、これは、
前者が後者より強力にmda−7に結合するからである。
【0086】
本発明のさらなる側面および実施態様は、当該技術分野において通常の技術知識を有す
る者にとって明白であろう。
【実施例】
【0087】
実施例1
種々のIL−10ホモログと、クラスIIサイトカイン受容体ファミリーに属する受容
体との間の相互作用を特徴づけるために、一連の実験を行った。
【0088】
このため、IL−10ホモログであるmda−7、IL−19、IL−20、およびI
L−22に対するコード配列は、抗CD3抗体によって刺激したT細胞由来のRNAを用
いて、標準的な当業界で周知の技術を用いて、RT−PCRにより増幅された。IL−2
0に対するコード配列は皮膚RNAから増幅された。
【0089】
得られたcDNA分子は、CMVプロモータの制御の下、商業的に入手可能なプラスミ
ドであるpCEP4にクローニングされた。「mda−7−flag」、「IL−19−
flag」および「IL−22−flag」と称される融合タンパク質が産生された。産
生のため、pCEP4のクローニング部位の手前にセンスプライマーおよびcDNAのS
TOPコドンを突然変異させたアンチセンスプライマーを、flag分子の最初の部分を
コードする塩基配列とともに挿入し、cDNA構築物が調製された。使用された配列は、
gtccttgtag tcacctcccccgagcttgta gaatttctg (配列番号1、mda−7とともに使用
)、
gtccttgtagtcacctcccc cagctgagga catacttc (配列番号2、IL−19とともに使用)

gtccttgtagtcacctcccc cttctgtctc ctccatcca (配列番号3、IL−20用)、および
gtccttgtagtcacctcccc cgacgcaagc atttctcag (配列番号4、IL−22とともに使用
)、である。
最初のPCR産物が調製された後、同一のセンスプライマー、全flag配列、および
NheI制限酵素認識部位、を含んだオリゴヌクレオチド、すなわち
actgctagctcacttgtcgt catcgtcctt gtagtcacct (配列番号5)、
を用いて第二回目のPCR増幅が行われた。
【0090】
これにより、pCEP4プラスミドに直接クローニング(direct cloning)が行われた

【0091】
標準的技法および商業的に入手可能な自動蛍光分析装置(automated fluorescence bas
ed system)を用いて、サイトカインflag融合cDNAを含むクローンの配列を決定
した。
【0092】
HEK293−EBNA細胞における一過性発現(transient expression)により融合
タンパク質が産生された。そのために、トランスフェクションの一日前に、6ウェルのプ
レートに8×10細胞/ウェルの細胞を播種した。トランスフェクションは、下記の製
造元の指導の下、2μgのプラスミドDNAを用い、標準化リポフェクタミン(standard
lipofectamine)を用いて行われた。
【0093】
続いて、タンパク質の産生を最大化するために、この細胞を4日間、2mlの培地中で
インキュベートした。
【0094】
flagペプチドに特異的な抗体を用いて、10μlの細胞の上清にLaemmliサ
ンプル緩衝液(samplebuffer)を配合させ、続いて5分間沸騰させることにより、ウェ
スタンブロット法を介して組み換えタンパク質を測定した。タンパク質を14%ポリアク
リルアミドゲルのプレキャスト上にて分離した。次の転写では、PVDF膜を5%脱脂粉
乳中でブロッキングし、洗浄して、ビオチン化(biotinylated)抗flag抗体(25μ
g/ml)で探索(probe)した後、ストレプトアビジンペルオキシダーゼ(streptavidi
n peroxidase)(1/5000)とともにインキュベートした。商業的に入手可能な装置
を用いて、電気化学発光測定(electrochemiluminescence)を行った。
【0095】
HEK−293細胞は、23〜30キロダルトンの範囲の異なる分子量を有するmda
−7、IL−19、およびIL−22のflag融合タンパク質を分泌した。この異種性
はグリコシル化に起因するによるものである可能性が非常に高い。IL−20のflag
融合タンパク質は、18キロダルトンの単一のバンドとして分泌された。このことは、こ
のタンパク質がグリコシル化されていないことを示唆している。
【0096】
化学発光シグナルの定量化により、IL−19およびIL−22は同レベルで産生され
たことが示された。これとは対照的に、IL−20およびmda−7は7倍量未満のレベ
ルで産生された。
【0097】
実施例2
上述のHEK−293トランスフェクタントの上清が、サイトカインとクラスIIサイ
トカイン受容体との相互作用を検討するために使用された。
【0098】
細胞ラインHT−29はIL−22RおよびIL−10Rβを内因的に発現する。これ
らの細胞のサンプルはpGRR5構築物でトランスフェクトされた。この構築物は、5コ
ピーのFcγRI遺伝子のSTAT結合部位を含有し、これはTKプロモータによる制御
されるルシフェラーゼ遺伝子の上流に挿入されており、IL−22によるSTATの活性
化の検定に利用することができる。他のIL−22ホモログに対する作用のメカニズムが
同様であるとすれば、その検出のためホモログに同様のアッセイが利用できると想定され
る。
【0099】
HT−29サンプルを、15μgのpGRR5で電気穿孔(400μL中10細胞、
250V、192Ω、1200μF)を行った。細胞を96ウェルのプレートに10
胞/ウェルで播種し、37℃にて5時間インキュベートした後、抗IL−22R抗血清(
1/500)または抗IL−10Rβ抗体(6μg/mL)のいずれかと1時間のプレイ
ンキュベートを行うか、またはプレインキュベートは行わなかった。次に、それぞれの上
清で細胞を2時間刺激した。商業的に入手可能な物質を用いて、ルシフェラーゼ活性を測
定した。
【0100】
抗hIL−22R抗体は、P815肥満細胞を、プラスミドpEF−BOS puro
に組み込まれたヒトIL−22RをコードするcDNAでトランスフェクトすることによ
り製造した。産生のため、センスプライマーである、
ggaggactagttgccagccc cgatgagga (配列番号6)
を用いて、肝癌細胞ライン、すなわち「Hep G2」から、IL−22Rに対するcD
NAが増幅された。このセンスプライマーはSpelに対する制限酵素認識部位を有して
いる。NotIに対する制限酵素認識部位を有するアンチセンスプライマーである、
gtgtggcggccgcaggcatg ggattgacag c (配列番号7)
もまた使用された。これらのプライマーは、pEF−BOS puro発現ベクター内に
おける直接クローニングを促進する。デモウリン(Demoulin)ら(Mol. Cell Biol. 16
:4710(1996))を参照されたいが、これは参照により本明細書中に援用される
。このトランスフェクタントをDBA/2マウスに注射した。マウスの腫瘍が排除された
後、得られた血清には、高力価の中和された抗−hIL−22抗体が含まれていた。これ
は上記に参照される抗血清である。
【0101】
HT−29細胞はIL-22に反応したが、他のサイトカインには反応しなかった。
【0102】
実施例3
HT−29細胞を、pGRR5、およびIL-20RβまたはIL−20Rαのいずれ
かに対するcDNA(15μg)によってコトランスフェクト(cotransfecting)を行い
、実施例2の実験を拡大した。ここで用いたその他のすべての手法は、実施例2とまった
く同一であった。
【0103】
HT−29細胞がIL−20Rβ cDNAでトランスフェクトされた場合、mda−
7およびIL−20のいずれもルシフェラーゼ産生を誘導したものの、この作用は抗IL
−22R抗血清により完全に遮断された。このことは、以前は観察されなかった、IL−
22RおよびIL−20Rβを含むIL−20Rが形成されたことを示している。
【0104】
HT−29細胞がおよびIL−20RαおよびIL−20Rβの両方に対するcDNA
でトランスフェクトされた場合、mda−7、IL−20およびIL−19のいずれに対
しても受容性を示すようになった。さらに、ルシフェラーゼ生成は抗IL−22R抗体に
よる影響を受けなかったことから、この活性がその鎖から独立していることが示された。
【0105】
IL−20RαcDNA単独でトランスフェクトされた場合、どの反応も誘発されなか
った。
【0106】
これらの結果から、IL−20Rβが上述のプロセスに必要であることが示された。
【0107】
実施例4
さらに異なるタイプの受容体複合体を特徴付けるために、さらなる一連の実験が行われ
た。
【0108】
HEK−293細胞は、内因的にIL−10Rβを発現するが、IL−22Rは発現し
ない。トランスフェクションを行っていない細胞を先述の上清と混合したが、いずれのホ
モログとも反応しなかった。トランスフェクションの前日に、HEK−29細胞のサンプ
ルを2ラ10細胞/ウェルにて24ウェルのプレートに播種し、続いて実施例1に記載
のリポフェクタミン法により、100ngのpGRR5、および500ngのIL−20
Rα、IL−20RβまたはIL−22Rをコードするプラスミドを用いてトランスフェ
クションを行った後、先述の上清でアッセイした。IL−20Rαに対するcDNAは、
胎盤ライブラリーの増幅により獲得した。細胞外ドメインをコードするcDNAフラグメ
ントは、
gccggatccatgcggccgct gccgctgccg (配列番号8)、および
atcgctagccatttagcctt gaactctgat g (配列番号9)、
を用いて増幅し、BamHI制限エンドヌクレアーゼで消化し、商業的に入手可能なpc
DEF3ベクターのBamHI部位およびEcoRV部位にクローニングした。得られた
プラスミドを、「pEF2−CRF2−8EC」と称した。膜貫通(transmembrane)ド
メインおよび細胞内ドメインをコードするPCR産物は、pEF2−CRF2−8ECへ
のクローニングを行うために、それぞれNheI部位およびEcoRI部位を有する、
gtggctagcctggtatgttt tgcccat (配列番号10)、および
gcgaattcgtctggcaaaca tttattga (配列番号11)、
を用いて産生された。
【0109】
IL−20Rβに対するcDNAは、pCEP4へのクローニングを行うために、Nh
eI部位およびNotI部位を有する、
ttggctagcaacaatgttct aggtc (配列番号12)、および
tgggcgcggccgcaaaccta tgagat (配列番号13)、
を用いて、K562白血病細胞から増幅された。
【0110】
IL−22RのcDNAが細胞内にトランスフェクトされる際、ルシフェラーゼ産生お
よびSTAT−3のリン酸化は、IL−22により誘導されたが、いずれのホモログによ
っても誘導されなかった。IL−22RおよびIL−20Rβの双方でトランスフェクト
された細胞は、IL−22、IL−20およびmda−7に応答した。IL−20Rβ単
独でのトランスフェクションでは、いずれからも応答性が得られなかった。IL−20R
αおよびIL−20Rβの両者でトランスフェクトされた場合、IL−19、IL−20
およびmda−7のすべてが応答を誘発したが、IL−22だけ誘発しなかった。IL−
20Rαが単独で用いられた場合、応答は見られなかった。
【0111】
上記いずれの実施例においても、ルシフェラーゼの誘導はSTAT−3のリン酸化と相
関関係にあった。
【0112】
実施例5
これまでの上記の実験では、2種の異なる複合体がIL−20およびmda−7に結合
することが示された。このことから、いずれか一方の複合体が、他方のサイトカインより
もより好ましく反応を示すのかどうか、との疑問が生じた。
【0113】
この疑問を検討するために、先の記載と同一の手法で、IL−20Rβ単独、またはI
L−20RαおよびIL−20Rβの両者、のいずれかにより、HT−29細胞をトラン
スフェクトした。さまざまな希釈度(10%、1%および0.1%)の上清が使用された
。ルシフェラーゼ活性は、刺激を与えた2時間後に測定した。
【0114】
IL−20RαおよびIL−20Rβの両者を細胞内にトランスフェクトした場合、m
da−7およびIL−20いずれの希釈液も同様の用量応答曲線を示したことから、いず
れのサイトカインに対しても同様の感受性を有していることが示された。IL−20Rβ
を単独でトランスフェクトした場合、不飽和状態(1%および0.1%)では、HT−2
9細胞はmda−7に対してより良い応答性を示したことから、このタイプの複合体はm
da−7に対してより感受性が高いことが示された。
【0115】
HEK−293細胞を用いてこれらの実験を繰り返したところ、同様の結果が得られた

【0116】
実施例6
これまでの上記の実験では、IL−22RはIL−10RβおよびIL−20Rβの両
者と結合できることが示され、IL−20RβおよびIL−22Rの複合体がIL−22
の応答を媒介する可能性があることが示唆された。この可能性を確認するための試験は、
IL−10Rβが偏在的に発現しているとの事実を立証するものでなければならない。し
たがって、抗IL−10Rβが抗体で、IL−10Rβの役割が検討された。pGRR5
および前記IL−20RβcDNAにより、HT−29細胞のトランスフェクションを行
った。トランスフェクタントを培養し(これも先に記載されている)、次にIL−22の
cDNAでトランスフェクトされたか、あるいは偽トランスフェクトされた、HEK−2
93由来の10%上清とともにインキュベートした。ルシフェラーゼ活性は2時間後にモ
ニターした。
【0117】
抗IL−10Rβ抗体は、コントロール(対照)細胞、およびIL−20RβのcDN
Aでトランスフェクトされた細胞のいずれにおいてもIL−22活性を阻害した、という
結果が示された。これにより、IL−22に接触しない場合、IL−20RβはIL−1
0Rβの代用物となることができないことが示された。
【0118】
関連試験によると、同一細胞において、この抗体はmda−7またはIL−20の活性
に影響を与えなかった。
【0119】
実施例7
ドゥムティエール(Dumoutier)らJ. Immunol. 166:7090(2001)および
コテンコ(Kotenko)らJ.Immunol. 166:7096(2001)の研究(両報告は参
照により本明細書中に援用される)は、IL−22BPがIL−22に結合することが示
された。この分子が他のサイトカインに結合するか否かに関する報告は見られない。この
分子が、IL−22RおよびIL−20Rαの細胞外ドメインと同程度の相同性を示した
ことから、IL−22BPもIL−20および他の分子に結合するであろうことが示唆さ
れた。
【0120】
これを検証するために、まず最初に、無水マレイン酸活性化ポリスチレンプレートを4
℃ にて、PBS中の12.5μg/mLの抗体とともに一晩インキュベートすることに
よって、ビオチン化抗flag抗体(biotinylated anti-flag antibody)でコーティン
グした。Tween20(0.01%)を含むPBS緩衝液中でプレートを洗浄し、ウシ
血清アルブミン(PBS中1%)で2時間ブロッキングした後、上記の記載により産生し
たHEK−293上清に基づく50μLのサイトカインflag融合タンパク質とともに
2時間インキュベートした。洗浄後、IL−22BP−Igを産生するベクターでトラン
スフェクトされた細胞の10%上清が加えられた。この融合タンパク質の産生に関する情
報は、先に参照により援用したドゥムティエール(Dumoutier)らを参照されたい。上清
は2時間後に取り除かれ、IL−22BP−Igに結合したもののすべてを、ペルオキシ
ダーゼと共役した(coupledto peroxidase)抗マウスIgG3ポリクローナル抗体を添
加することによって検出した。酵素活性は、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン
の添加により測定された。20μLのHSO(2M)を添加して反応を停止させた。
反応性は450nmにおける吸光度を解読することにより測定された。
【0121】
IL−22だけがIL−22BP−Igに対して結合した。いずれのホモログも活性を
示さなかった。
【0122】
関連実験において、IL−22BPとIL-22との結合に対する、IL−10ホモロ
グの阻害作用を測定した。このため、参照により本明細書中に援用される、ドゥムティエ
ール(Dumoutier)らProc.Natl. Acad. Sci USA 97:10144(2000)、に記
載されるように、先に記載のプレートを組み換えヒトIL22でコーティングした。接触
前2時間の間に種々のIL-10ホモログとともにプレインキュベートしたIL−22B
P−Ig(10%上清)とプレートを接触させた。あらゆる結合IL−22BP−Igは
、実験の最初のセットにおいて示された同じ方法において測定された。IL−22および
IL−22BPの相互作用は抗Ig抗体により検出可能であり、IL−22上清のみがI
L−22BP結合の阻害が可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターロイキン−22受容体分子およびインターロイキン−20受容体β分子を含む
、単離複合体

【公開番号】特開2009−132715(P2009−132715A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301618(P2008−301618)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【分割の表示】特願2003−515641(P2003−515641)の分割
【原出願日】平成14年7月24日(2002.7.24)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】