説明

新規ヒト形質細胞様樹状細胞株

【課題】芽球性NK細胞リンパ腫の病因の解明に役立つ新規細胞株、および当該細胞株を用いた、ヒトにおける樹状細胞を介した免疫機構の解明に役立つ手段の提供。
【解決手段】単離されたヒト形質細胞様樹状細胞株、前記細胞株を分化誘導剤で処理してなる成熟樹状細胞株、前記細胞株を担持してなる実験動物、前記細胞株または実験動物の細胞から得られる細胞成分、前記樹状細胞株から得られる細胞成分をヒトを除く動物に接種して得られる抗体、および前記細胞株を用いることを特徴とする、免疫応答に関与する物質のスクリーニング方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ヒト形質細胞様樹状細胞株に関する。詳しくは、本発明は、樹状細胞を用いる免疫応答の研究分野ならびに免疫疾患および癌の治療分野に関する。
【背景技術】
【0002】
1994年以降、日本および欧米で、皮膚浸潤と骨髄浸潤を伴う急激で攻撃的な経過を特徴とするCD56リンパ腫の報告がなされてきた(非特許文献1および2を参照)。これらの報告に注目し、WHOはブルーブック(非特許文献3を参照)の中で、これらの腫瘍を芽球性NK(Natural Killer)細胞リンパ腫として記載している。その理由として、前記腫瘍の大多数がいわゆるNKマーカーであるCD56を発現し、皮膚生検で組織病理学的に診断されてきたからである。この腫瘍細胞の異常な免疫表現型的特徴に関する証拠が蓄積されつつある。即ち、この腫瘍細胞は、通常の骨髄球系およびリンパ球系のT細胞およびB細胞マーカーを欠き(細胞系列陰性「Lin」)、CD45RA、HLA−DR、CD4およびCD56が陽性である(非特許文献4および5を参照)。このため、臨床的、細胞形態学的、免疫学的研究の結果から、この腫瘍細胞は、NK細胞系列に無関係なCD4CD56悪性腫瘍と命名された。特に、2001年、フランスグループGEIL(非特許文献6を参照)は、これらの腫瘍と、樹状細胞(DCs)の1つのサブタイプであり機能的にタイプ2DCs(DC2s)に相当する形質細胞様樹状細胞(pDCs)との間の表現型的、分子的および機能的著しい類似性を明らかにし、pDCsがCD4CD56腫瘍細胞の正常なカウンターパートであることを示した(非特許文献7および8を参照)。
【0003】
DCsは、CD34造血幹細胞由来で、ナイーブT細胞を刺激し、かつ最初の免疫反応を開始する重要な抗原提示細胞である(非特許文献9を参照)。DCサブセットの定義については異論があるが、ヒト末梢血は、主に骨髄系前駆細胞およびpDCの2種の細胞群(それぞれ表現型的にはLinHLA−DRCD11cCD123およびLinHLA−DRCD11cCD123CD4CD56で特徴付けられる)を含むことが一般に受け入れられている(非特許文献7、10および11を参照)。これらのDC前駆細胞は血管外作用部位に移動し、成熟DCに分化し、DC1およびDC2としての役割を果たす(非特許文献12を参照)。CD40Lおよびインターロイキン3(IL−3)に依存するpDCsの成熟経路は、CD34幹細胞がpDC前駆細胞に分化するリンパ球前駆細胞へと分化し、pDC前駆細胞は、さらにDC2sへと成熟する(非特許文献13を参照)。他方、Lerouxら(非特許文献14を参照)は、21症例の細胞発生学的研究の知見に基づき、CD4CD56白血病細胞は、リンパ系拘束性前駆細胞よりむしろ未分化前駆細胞に由来すると仮説を立てている。
【0004】
臨床的、形態学的、免疫学的研究の結果から、CD4CD56悪性腫瘍に相当する芽球性NK細胞リンパ腫は、新規の病態である。この疾患は、上述のように、先天性および適応性免疫において重要な役割を果たしているpDCs(以前は形質細胞様T細胞と呼ばれていた)に起因する可能性が指摘され、特に注目されている。しかし、この腫瘍細胞とpDCsの正確な関連性については未解明である。
【0005】
【非特許文献1】Adachi, M. et al., Am J Hematol. 1994, 47: 278-282
【非特許文献2】Brody, JP. et al., Cancer 1995, 75: 2474-2483
【非特許文献3】Chan, JK. et al., Pathology and Genetics of Tumors of Hematopoietic and Lymphoid Tissues. Lyon, France: IARC Press; 2001: 214-215
【非特許文献4】DiGiuseppe JA. et al., Am J Surg. Pathol. 1994, 47: 278-282
【非特許文献5】Kameoka, J. et al., Am J Clin. Pathol. 1998, 110: 478-488
【非特許文献6】Chaperoi, L. et al., Blood 2001, 97: 3210-3217
【非特許文献7】Bene, MC. Et al., Semin. Hematol. 2003, 40: 257-266
【非特許文献8】Feulliard, J. et al., Blood 2002, 99: 1556-1563
【非特許文献9】Banchereau, J. et al., Nature 1998: 392: 245-252
【非特許文献10】Robinson, S. et al., Eur J Immunol. 1999: 2769-2778
【非特許文献11】MacDonald, KP. et al., Blood 2002, 100: 4512-4520
【非特許文献12】Banchereau, J. et al., Cell 2001, 106: 271-274
【非特許文献13】Liu, Y-J. et al., Nat Immunol. 2001, 2: 585-589
【非特許文献14】Leroux, D. et al., Blood 2002, 99: 4154-4159
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、芽球性NK細胞リンパ腫の病因の解明に役立つ新規細胞株、および当該細胞株を用いた、ヒトにおける樹状細胞を介した免疫機構の解明に役立つ手段の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、後に白血病症状に転換した典型的な芽球性NK細胞リンパ腫患者に出会い、当該患者からインフォームドコンセントを得て、当該患者由来の白血病細胞を用いて株化細胞の樹立を試みた。その結果、原発性悪性腫瘍細胞から新規な細胞株、CAL−1の樹立に成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す通りである。
【0008】
〔1〕 単離されたヒト形質細胞様樹状細胞株。
〔2〕 芽球性NK細胞リンパ腫に由来するものである前記〔1〕に記載の細胞株。
〔3〕 前記細胞株の表現型が、LinHLA−DRCD11cCD123CD4CD56である前記〔1〕または〔2〕に記載の細胞株。
〔4〕 前記細胞株がCAL−1(FERM P−20595)である前記〔1〕〜〔3〕いずれかに記載の細胞株。
〔5〕 前記〔1〕〜〔4〕いずれかに記載の細胞株を分化誘導剤で処理して得られる成熟樹状細胞株。
〔6〕 前記分化誘導剤がGM−CSFまたはIL−3である前記〔5〕に記載の成熟樹状細胞株。
〔7〕 前記〔1〕〜〔4〕いずれかに記載の細胞株または前記〔5〕もしくは〔6〕に記載の成熟細胞株を担持してなる実験動物。
〔8〕 前記〔1〕〜〔4〕いずれかに記載の細胞株、前記〔5〕もしくは〔6〕に記載の成熟樹状細胞株または前記〔7〕に記載の実験動物の細胞から得られる細胞成分。
〔9〕 前記細胞成分が、核酸、タンパク質、糖および脂質からなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とするものである前記〔8〕に記載の細胞成分。
〔10〕 前記〔1〕〜〔4〕いずれかに記載の細胞株または前記〔5〕もしくは〔6〕に記載の成熟樹状細胞株から得られる細胞成分をヒトを除く動物に接種して得られる抗体。
〔11〕 前記〔1〕〜〔4〕いずれかに記載の細胞株または前記〔5〕もしくは〔6〕に記載の成熟樹状細胞株を用いることを特徴とする、免疫応答に関与する物質のスクリーニング方法。
〔12〕 前記〔1〕〜〔4〕いずれかに記載の細胞株または前記〔5〕もしくは〔6〕に記載の成熟樹状細胞株を用いることを特徴とする、樹状細胞の抗原提示機能を制御する薬剤のスクリーニング方法。
〔13〕 前記薬剤が免疫疾患または癌の治療に用いられる前記〔12〕に記載のスクリーニング方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、ヒト形質細胞様樹状細胞株を提供することが可能となり、CD4CD56腫瘍細胞のみならず正常pDCsのインビトロでの研究の進展に寄与することができる。本発明の成熟樹状細胞株は、pDC前駆細胞の細胞形態学的な特徴に類似する前記形質細胞様樹状細胞株から分化誘導剤処理することにより容易かつ大量に得ることができるので、ヒト成熟樹状細胞を用いた様々な分析が可能となる。本発明の細胞株等を担持してなる実験動物、本発明の細胞株等から得られる細胞成分および当該細胞成分から得られる抗体は、ヒト樹状細胞が関与する免疫応答の研究に供することができるとともに、ヒトの免疫疾患の治療法の開発に寄与することができる。また、本発明の細胞株を用いたスクリーニング方法によると、免疫応答に関与する物質または樹状細胞の抗原提示機能を制御する薬剤を容易にスクリーニングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、単離されたヒト形質細胞様樹状細胞株を提供する。本発明において「形質細胞様」とは、近年末梢リンパ組織や末梢血中で樹状細胞に分化可能な細胞群として見出された形質細胞様細胞(plasmacytoid cell)に形態学的、表現型的および機能的特徴において多数共通する特徴を有することをいう。共通する特徴としては、光学顕微鏡および電子顕微鏡における形質細胞様形態、細胞表面マーカー有無の同一性、同一サイトカインによる成熟型樹状細胞への分化能等があげられる。これらの具体的特徴については、後述するCAL−1細胞において説明する。
【0011】
本発明の細胞株は、芽球性NK細胞リンパ腫に由来するものであることが好ましく、この限りにおいて正常なカウンターパートである形質細胞様細胞と一部共通しない特徴を有していてもよい。共通しない特徴としては、T細胞受容体遺伝子の再配列が認められないこと等があげられる。
【0012】
前記細胞株の表現型は、LinHLA−DRCD11cCD123CD4CD56であることが好ましい。Linとは、細胞系列関連マーカーであるCD3、CD14、CD19、CD16等が陰性であることを示す。好ましくは、Linは、CD3、CD14、CD19およびCD16がすべて陰性である。
CD11cとは、骨髄系樹状細胞と形質細胞系樹状細胞とを分類するマーカーが陰性、すなわち、骨髄系樹状細胞由来であることの否定を示す。
CD123とは、骨髄系樹状細胞と形質細胞系樹状細胞とを分類するマーカーが陽性、すなわち、形質細胞系樹状細胞に分類されることを示す。
HLA−DRとは、抗原提示細胞(APC)、すなわちB細胞、単球、マクロファージまたは胸腺上皮細胞上などに存在するマーカーが陽性であることを示す。
CD4およびCD56とは、それぞれ、ヘルパーTリンパ球、NK細胞に特徴的な表面マーカーが陽性であることを示す。
【0013】
本発明の細胞株は、CAL−1であることがより好ましい。CAL−1細胞株は、2005年7月15日に、CAL−1という名称の下、日本国茨城県つくば市東1−1−1 中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにFERM P−20595として寄託されている。
【0014】
CAL−1細胞の細胞形態的、表現型的および遺伝子的特徴は、pDCsの特徴と類似性を持つことである。細胞形態的特徴としては、光学顕微鏡で偏心性核、青色細胞質、青白いゴルジ野が認められる点、ならびに電子顕微鏡で粗面小胞体(RER)の平行配列が認められる点等があげられ、これらの点から形質細胞様形態と判断される。
【0015】
細胞表現型および遺伝子的特徴としては、CD11cおよび細胞系列関連マーカー(Lin)であるCD3、CD14、CD19およびCD16が陰性、HLA−DR、CD4、CD56、CD45RAおよびCD123が陽性、ならびにTCRおよびIgH遺伝子再配列の陰性である。
【0016】
CAL−1細胞はTNF−αを分泌できるが、必ずしもIFN−αを分泌するものではない。CAL−1細胞は、トールライク受容体(TLR)−9陽性であるが、TLR−9リガンドCpGODNsによる刺激によりIFN−αを生成することができず、TNFαを生成することができる。かかる特性は、一部この細胞の腫瘍原性に基づくことを示唆している。総合的に判断すると、CAL−1細胞が密接にpDC細胞系列と関連していることを示している。他方、CAL−1細胞は、特に、大きな核小体を有する芽球様の形態である点、CD33、CD7およびCD86の発現、TLR−2およびTLR−4のmRNAの発現並びにIL−3のみならずGM−CSFへの反応性の点で、pDCsと異なる異常な表現型の特性を持つ。正常なカウンターパートと比べて、CAL−1細胞の異常な表現型の理由の一部として、2つの可能性が考えられる。第一の可能性は、CAL−1細胞は、リンパ球拘束性前駆細胞よりむしろpDCsに主に分化する未分化DC前駆細胞であること。第二の可能性は、CAL−1は腫瘍化の過程において異常な分化能を獲得したこと。
【0017】
本発明の細胞株は、分化誘導剤で処理することにより、成熟樹状細胞株に分化することができる。本発明は、かかる成熟樹状細胞株を提供する。ここで、成熟樹状細胞とは、長い樹状突起を持つ外観、ならびに処理前の細胞株と比較して、CD80およびCD86のアップレギュレーション、および成熟すると消失するとされるCXCR4のダウンレギュレーションを特徴とする細胞をいう。
【0018】
前記分化誘導剤としては、GM−CSF、IL−3等があげられ、GM−CSFおよびIL−3が好ましい。好ましい態様として、本発明の細胞株は、GM−CSFおよびIL−3の両方に応答して分化する場合、骨髄系樹状細胞(mDC)および形質細胞系樹状細胞(pDC)に分化する前段階の未分化DC前駆細胞であることが示唆される。
【0019】
本発明の細胞株、分化誘導された成熟樹状細胞株の培養条件、およびその分化誘導条件は、特に限定されるものではないが、リンパ球の培養に通常用いられる培地および方法が採用される。一例として、CAL-1の培養条件および分化誘導条件は、実施例に記載されている。
【0020】
本発明は、前記細胞株または成熟樹状細胞株を担持してなる実験動物を提供する。実験動物としては特に限定されるものではないが、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、サルなどがあげられる。細胞株の担持方法としては、培養して一定の細胞数に達した前記細胞株または成熟樹状細胞株を、皮下、皮内、静脈内、腹腔内に投与する方法などがあげられる。また、前記実験動物の一部、例えば、臓器、組織、血液なども本発明の実験動物に含まれる。また、担持した細胞株が実験動物内で増殖して得られる形成物も本発明の実験動物に含まれる。
【0021】
本発明は、前記細胞株もしくは成熟樹状細胞株または実験動物の細胞から得られる細胞成分を提供する。細胞成分としては、前記細胞に由来するあらゆる成分が限定なく用いられるが、汎用性または有用性の観点から、核酸、タンパク質、糖および脂質からなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とするものであることが好ましい。また、前記核酸には核酸と結合または複合体を形成してともに分離されるタンパク質、脂質などが含まれる。前記タンパク質には、タンパク質と結合または複合体を形成してともに分離される核酸、糖、脂質などが含まれる。前記糖には、糖と結合または複合体を形成してともに分離されるタンパク質、脂質などが含まれる。前記脂質には、脂質と結合または複合体を形成してともに分離される核酸、タンパク質、糖などが含まれる。
【0022】
細胞から細胞成分を得る方法は、公知の方法により行うことができる。一例として、一定の細胞数の前記細胞を、SDS、Triton−X(登録商標)、NP−40(登録商標)などの界面活性剤を含む溶液で可溶化し、目的の成分を目的の成分に応じて常法により分離し、必要に応じて常法により精製して細胞成分を得る方法があげられる。
【0023】
前記細胞株または成熟樹状細胞株由来の細胞成分を用いて、ヒトを除く動物に接種することにより抗体を得ることができる。本発明は、かかる抗体を提供する。抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、ヒト化抗体またはFabフラグメントやFab発現ライブラリーによって生成されるフラグメントなどのように抗原結合性を有する上記抗体の一部が包含される。
【0024】
前記抗体の製造方法は公知であり、前記抗体を常法に従って製造することができる(Current Protocol in Molecular Biology, Chapter 11.12〜11.13(2000))。一具体例として、マウスを用いたモノクローナル抗体の作製の場合、上述のようにして得られた細胞成分をマウスに免疫し、得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを細胞融合させて調製したハイブリドーマの中から得ることができる(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11.4〜11.11)。ハイブリドーマのスクリーニングは、目的に応じて適宜行うことができる。例えば、樹状細胞の機能を制御可能な抗体を得る場合、前記ハイブリドーマの培養上清を本発明の細胞株の培養液に添加し、当該細胞の機能変化を調べることにより目的の抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングすることができる。
【0025】
このようにして得られた本発明の抗体は、免疫疾患または癌の診断、治療を始めとする医療分野ばかりでなく、免疫応答の基礎研究または下記本発明のスクリーニング方法においても利用可能である。
【0026】
本発明の免疫応答に関与する物質のスクリーニング方法は、前記細胞株または成熟細胞株を用いることを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明のスクリーニング方法は、前記細胞株または成熟細胞株を用いることにより、樹状細胞の抗原提示機能を制御する薬剤をもスクリーニングすることができる。前記薬剤は、免疫疾患または癌の治療に用いられるものであることが好ましい。
【0028】
本発明のスクリーニング方法は、下記工程(a)、(b)および(c)を含む:
(a)被験物質と本発明の樹状細胞株とを接触させる工程、
(b)被験物質を接触させた細胞株における機能および被験物質を接触させない細胞株における機能を分析し、比較する工程、
(c)前記(b)の比較結果に基づいて、樹状細胞の機能を変化させる被験物質を選択する工程。
【0029】
工程(a)において、被験物質としては、いかなる公知物質および新規物質であってもよく、例えば、核酸、糖質、脂質、タンパク質、ペプチド、有機低分子化合物、コンビナトリアルケミストリー技術を用いて作製された化合物ライブラリー、固相合成やファージディスプレイ法により作製されたランダムペプチドライブラリー、あるいは微生物、動植物、海洋生物等由来の天然成分などがあげられる。
【0030】
工程(a)において、被験物質は、本発明の樹状細胞株と培養培地中で接触される。前記培養培地は、例えば、約5〜20%のウシ胎児血清を含むRPMI1640培地などである。培養条件としては、例えば、培地のpHは約6〜約8であり、培養温度は通常約30〜約40℃であり、培養時間は約12〜約72時間である。
【0031】
工程(b)において、樹状細胞の機能の分析は、対象とする機能に応じた指標を適宜選択して行うことができる。樹状細胞の形態変化を指標とする場合、被験物質を添加して一定時間経過後に顕微鏡観察により行うことができる。樹状細胞で発現するタンパク質の発現量を指標とする場合、被験物質を添加して一定時間経過後に当該タンパク質を認識する抗体を用いて免疫学的手法により測定することができる。タンパク質の発現量は、例えば、細胞から抽出液を調製し、免疫学的手法により測定することができる。免疫学的手法としては、ウェスタンブロッティング法、放射性同位元素免疫測定法(RIA法)、ELISA法、蛍光抗体法などを用いることができる。樹状細胞で発現するmRNAの発現量を指標とする場合、被験物質を添加して一定時間経過後に当該細胞からtotal RNAを調製し、RT−PCR、ノーザンブロッティングなどにより測定することができる。
【0032】
工程(b)において、樹状細胞の機能の比較は、被験物質の存在下および非存在下において、例えば、樹状細胞の形態変化の有無、タンパク質の発現量における有意差の有無、mRNAの発現量における有意差の有無に基づいて行なわれる。
【0033】
工程(c)において、樹状細胞の機能を変化させる被験物質が選択される。このように選択された被験物質は、免疫応答に関与する物質の候補である。また、前記被験物質は、樹状細胞の抗原提示機能を制御する薬剤の候補ともなりうる。前記薬剤は、免疫疾患または癌の治療に用いられるものであることが好ましい。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0035】
実施例1 患者からの培養標本
原発性の腫瘍細胞は、インフォームドコンセントを得た76歳の男性患者の末梢血から採取された。この患者は2000年6月背部皮膚腫瘍で来院した。理学的検査および画像診断から、全身性の表在性および深部リンパ節腫脹と脾腫大が認められた。血液中に異常細胞は認めらなかったが、入院時、白血球数は5.2×10/L、11.5g/Lの軽度の貧血、4.5×10/Lと血小板減少症を認めた。1ヵ月後、図1Aに示すような芽球様細胞が末梢血液および骨髄穿刺で得られた標本中で観察された。LDH(血清乳酸脱水素酵素活性)および血清IL−2受容体濃度は極端に高く、それぞれ3549U/Lおよび1091U/Lであった。リンパ節の生検標本の組織学的検査から、WHO分類に基づいて芽球性NK細胞リンパ腫と診断された。リンパ節の細胞浮遊液および末梢血液から得られた異常な芽球様細胞は、フローサイトメトリーにより、表1に示すように、CD4CD56血液リンパ腫の性格を有していた。これらの細胞は、血清学的または遺伝学的に、HTLV−1またはEBウイルスとの関連はなかった。さらに、TCRまたはIgH遺伝子再配列もなかった。
【0036】
【表1】

【0037】
実施例2 細胞株のin vitro培養
単核細胞(MNCs)は白血病期の末梢血から密度勾配遠心分離法で単離した。次いで、MNCsを0.25U/mlの遺伝子組み換型IL−2存在下または非存在下、10%ウシ胎児血清(FCS)および2mM L−グルタミン酸を含むRPMI1640培地を入れた培養フラスコ中で、37℃、5%炭酸ガス濃度の保湿インキュベーター中で培養した。
【0038】
実施例3 形態学的および免疫表現型分析
メイ グリューンワルド ギムザ染色した末梢血、骨髄穿刺液、リンパ節捺印標本およびサイトスピン塗沫標本を光学顕微鏡で観察した。また、原発細胞とCAL−1を2.5%グルタールアルデヒドおよび2%パラホルムアルデヒドで固定し、透過型電子顕微鏡による観察を行った。免疫表現型分析およびサザンブロット用DNA標本のため、著者らの標準プロトコール(Kamihira et al., Br J Haematol. 1999, 107: 852-860)に基づき、MNCsを血液および培養サンプルから密度勾配遠心分離で単離した。直接および間接ラベル法による免疫表現型分析は、表1に示したモノクローナル抗体を用い、フローサイトメトリー(FACSCalibur; BD Immunocytometry Systems, San Jose, CA, USA)で行なった。本研究で使用されたモノクローナル抗体は、Becton Dickinson Immunocytometry Systems (CD3, CD14, CD19, CD123, CD56, CD7, CD8, CD34, CD116, CD45RA, CD80, CD86)、ParMingen (CD16, CD38, CD13, CD33, CD71)、Immunotech (CD11c, CD56)、Miltenyi Biotec (BDCA2)、BD Phamingen (HLA-DR, CD62L, CCR5, CXCR4, CCR4, CXCR3)、DAKO JAPAN (CD4, CCR3, CCR6)などから購入した。
【0039】
実施例4 サザンブロット法
高分子量DNAは、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)/プロテアーゼKで消化、次いで、フェノール/クロロホルムによる抽出、さらにエタノール沈殿法により抽出した。サザンブロットハイブリット形成法(SBH)は、IgHまたはTCR遺伝子再配列プロフィールおよびHTLV−1プロウイルスの組み込みパターンの検査に用いた。即ち、高分子量DNAの一定量(5または15μg)を、既報(Kamihira et al., Br J Haematol. 2001, 114: 63-69)に準じて、適切な制限酵素で消化し、そのサイズを0.7%アガロースゲル上で分離し、ナイロン膜に移した。各SBHテストで使用したプローブは以下の通りである。データベース(GeneBank Accession, NG-001019:959069-961200)に基づくJH塩基配列に相補的な研究室保有IgH JHプローブ;他の市販IgH JHおよびCβプローブ;TCR Cβ1(SRL;八王子、東京、日本)。HTLV−1サザンブロットテストにおいて、当研究室で開発したHTLV−1プローブの全長を使用した。最終的に、各バンドパターンは、CDP−Star基質(Roche Applied Science)で可視化した。
核型分析は、標準的な手法に従って、G-またはQ−バンドの分裂中期細胞で行なった。核型の表記は、International System for Human Cytogenetic Nomenclatureの1995年勧告(Mitelman F. ed. An International System for Human Cytogenetic Nomenclature, Basel, Switzerland: Karger; 1995)に従った。
【0040】
実施例5 GM−CSFまたはIL−3存在下の形態学的変化
1×10/mLのCAL−1細胞は、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)(100 pg/ml;Schering-Plough Research Institute, Kenilworth, HJ, USA)または組換えIL−3 (10 ng/ml;Gibco BRL, Grand Island, NY, USA) および可溶型CD40L (0.5 mg/mlを20μl;Ancell, Bayport, MN, USA) を用い、10%FCSを含むRRPMI1640培地中で、3日間インキュベートした。さらに、CD80およびCD86抗原の誘導のために、6μgのCpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN2216;InvivoGene)を使用した。インキュベーション前後に、形態観察およびCD11c、CD33、CXCR3、CXCR4、CD80、およびCD86における抗原密度プロファイル変化を検討した。サイトスピン塗沫は光顕観察のためメイ グリューンワルド ギムザ染色し、蛍光顕微鏡観察のためphalloidinおよびAO-4’,6-diamindino-2-phenylindole dihydrochloride (DAPI)で染色した。
【0041】
実施例6 トールライク受容体の発現およびトールライク受容体を介したサイトカイン産生
CAL−1細胞は、トールライク受容体(TLRs)2、4、7および9に対するメッセンジャーRNA(mRNA)の発現のため、Schaeferら(Immunology, 2004, 112: 428-436)により記載されているプライマーを用い、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)分析で評価した。即ち、単離した総RNA(1μg)を、ThermoScript RT (Invitrogen) で逆転写し、PCR増幅は、94℃、30秒間、60℃、30秒間および72℃、1分間を35サイクル行なった。同じ相補DNAを用い、glyceroaldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)を内部標準として増幅した。
【0042】
CAL−1細胞のサイトカイン産生能を検査するために、ウエル当たり1×10細胞/200μlを、製造元取扱説明書に従い、6μgのCpGオリゴデオキシヌクレオチド(ODN2216)タイプA−TLR−9リガンドまたはODN2216コントロール(InvivoGene)とインキュベートした。刺激3日後、培養上清中のサイトカイン:インターフェロンα(IFN−α)、腫瘍壊死因子-α(TNF−α)、IL−12、IL−8およびIL−6を、市販の酵素-結合免疫吸着アッセイキット(BML)を用いて測定した。
【0043】
結果
1.原発性腫瘍細胞の特徴付け
図1Aおよび1Bに示すように、血液塗沫およびリンパ節(塗沫)捺印標本の形態学的な分析から、顆粒のない好塩基性の豊富な細胞質、青白いゴルジ野、1〜2個の核小体を持つ偏心性の核を特徴とする大型の芽球様細胞が認められた。芽球様細胞の免疫表現型における特徴は、表1に要約してあるが、細胞系列マーカーであるCD3,CD14,CD19,CD16およびCD11cが陰性、並びにCD4,CD56,CD45RA,HLA−DRおよびCD38が陽性である。免疫組織化学的な染色において、細胞質Igμ、骨髄ペルオキシダーゼ(MPO)抗原、EBV−潜伏膜蛋白抗原(latent membrane protein)は陰性であった。SBH技術を用いたDNA分析から、芽球様細胞はHTLV−1と関連性がないこと、さらに、TCRまたはIgH遺伝子再配列を認めないことが明らかとなった。骨髄穿刺液からの20個の分裂中期細胞における細胞遺伝学的結果は表2で要約されているが、その中で2種の細胞遺伝学的クローンが検出された。主要なクローンは、45,X,−Y,+add(1)(q32),der(1;15)(q10;q10)の核型で、もう一方のマイナーなクローンは更なる異常を伴っていた。
【0044】
【表2】

【0045】
2.CAL−1細胞株の樹立と特徴
原発性腫瘍細胞は、IL−2存在下10%FCSを含む培地では生存できなかった。しかし、標本作製6ヶ月後、IL−2非存在下でかろうじて生存していた細胞は、週2回の培地交換で、安定した増殖を開始した。長期に継代培養した細胞株を樹立し、CAL−1と命名し、樹立後4年間維持し続けた。CAL−1細胞は浮遊細胞として生育するが、図1Dに示すように、形態学的には形質細胞に類似し、かつ原発性腫瘍細胞に良く似ていた。CAL−1細胞の電子顕微鏡的な観察から、大型の核小体を持ちわずかな核の不規則化、多数のミトコンドリアおよびRussell体のない粗面小胞体(RER)の平行配列が認められた(図2)。
【0046】
この細胞の免疫表現型データは表1および図3に要約されている。抗原プロファイルは原発細胞と類似していたが、幾つかの抗原は僅かな違いを見せた。即ち、CD11c、CD7およびCD116(GM−CSFα)に対し僅かであるが陽性であった。CCRの結果は、CCR5弱陽性、CXCR4およびCXCR3強陽性であった。一方、他のCCRに対しては陰性であった。SBH分析において、HTLV−1プロウイルスはCAL−1細胞のゲノムDNA中に組み込まれていなかった。TCRまたはIgH遺伝子再配列は、TCR CβおよびIgH JHプローブでは検出されなかった。12個の分裂中期細胞が分析可能で、その結果は表2に要約されている。CAL−1細胞およびその親株である原発性腫瘍細胞は同じ核型、−Y,+add(1)(q32),der(1;15)(q10;q10)の異常を持ち、一方、CAL−1および原発細胞の幾つかの分裂中期細胞ではさらなる異常を示したことから、進化的な変化であることが示唆される。
【0047】
3.CAL−1細胞は成熟DCの外観へ変化する
CAL−1細胞の形態学的な変化を観察するために、この細胞をGM−CSFまたはIL−3/可溶性CD40L存在下で3日間培養した。培養最終日において細胞数は変化していなかったが、図5に示すように、GM−CSFおよびIL−3存在下、3日目に、当初の形質細胞様形態が著しく変化し、多数の長い樹状突起を持つ成熟DC形態へ形を変えた。さらに、GM−CSFおよびIL−3/可溶性CD40L存在下でCD11c、CD13およびCD33の弱い発現増強、並びにCXCR3およびCXCR4の発現抑制が誘導された。非刺激時(0日)のCAL−1細胞に発現しないかまたは存在しないCD80およびCD86が、IL−3/可溶性CD40L存在下3日間培養で、それぞれ平均蛍光強度(MFI)において5.6から11.2へ、45.0から103.7へアップレギュレートされた(図6A)。また、図6Bに示すように、CAL−1細胞はTLR−7およびTLR−9(それぞれ期待される551および510塩基対のバンドサイズを有していた)のみならず、TLR−2およびTLR−4(それぞれ期待される637および449の塩基対のバンドサイズを有していた)のmRNAを顕著に発現させた。TLR−9リガンドのCpGODNs(ODN2216)で刺激後、この細胞は有意なレベルのTNF−α(195pg/ml)および少量のIFN−α(10pg/ml)を産生した。他方、IL−6、IL−12、IFN−γおよびIL−8は上清中に検出できなかった。
【0048】
さらに、原発性悪性腫瘍細胞は、2種の細胞遺伝的クローンからなる。即ち、45,X,−Y,+1,der(1;15)(q10;q10)の核型を持つ主要な幹細胞クローンとさらなる異常を持つ他のクローンである。後者は主要なクローンから進化したサブクローンである可能性が高い。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によれば、芽球性NK細胞リンパ腫の病因の解明に役立つ新規ヒト樹状細胞株、および当該細胞株を用いた、ヒトにおける樹状細胞を介した免疫機構の解明に役立つ手段が提供される。これらの細胞株および手段を用いることにより、免疫疾患および癌の治療に役立つ医薬を創製可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、原発性腫瘍細胞およびCAL−1細胞の形態学的結果を示す光学顕微鏡写真である。図1aは末梢血中の原発性腫瘍細胞の塗沫標本(×1000)、図1bはリンパ節バイオプシの捺印標本(×1000)、図1cはリンパ節の病理組織(×400)、図1dはCAL−1細胞のサイトスピン標本(×1000)を示す。
【図2】図2は、CAL−1細胞の透過型電子顕微鏡写真である。図2a(×2000)、図2b(×4000)。
【図3】図3は、CAL−1細胞における代表的表面抗原に関するフローサイトメトリーの結果を示す。
【図4】図4は、CAL−1細胞およびその親細胞の核型の結果を示す。
【図5】図5は、CAL−1細胞を分化させたときの細胞の形態学的変化を示す顕微鏡写真である。パネルAはメイ グリューンワルド ギムザ染色を、パネルBはギムザ染色を示す。
【図6】図6aは、CAL−1細胞をIL−3/CD40L存在下で3日間培養した後のCD80およびCD86抗原の密度を示す。図6bは、CAL−1細胞におけるmRNAの発現をRT−PCRで解析した電気泳動図である。レーンMはサイズマーカー、レーン1はTLR−2、レーン2はTLR−4、レーン3はTLR−7、レーン4はTLR−9、レーン5はGAPDHをそれぞれ示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたヒト形質細胞様樹状細胞株。
【請求項2】
芽球性NK細胞リンパ腫に由来するものである請求項1に記載の細胞株。
【請求項3】
前記細胞株の表現型が、LinHLA−DRCD11cCD123CD4CD56である請求項1または2に記載の細胞株。
【請求項4】
前記細胞株がCAL−1(FERM P−20595)である請求項1〜3いずれかに記載の細胞株。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載の細胞株を分化誘導剤で処理して得られる成熟樹状細胞株。
【請求項6】
前記分化誘導剤がGM−CSFまたはIL−3である請求項5に記載の成熟樹状細胞株。
【請求項7】
請求項1〜4いずれかに記載の細胞株または請求項5もしくは6に記載の成熟細胞株を担持してなる実験動物。
【請求項8】
請求項1〜4いずれかに記載の細胞株、請求項5もしくは6に記載の成熟樹状細胞株または請求項7に記載の実験動物の細胞から得られる細胞成分。
【請求項9】
前記細胞成分が、核酸、タンパク質、糖および脂質からなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とするものである請求項8に記載の細胞成分。
【請求項10】
請求項1〜4いずれかに記載の細胞株または請求項5もしくは6に記載の成熟樹状細胞株から得られる細胞成分をヒトを除く動物に接種して得られる抗体。
【請求項11】
請求項1〜4いずれかに記載の細胞株または請求項5もしくは6に記載の成熟樹状細胞株を用いることを特徴とする、免疫応答に関与する物質のスクリーニング方法。
【請求項12】
請求項1〜4いずれかに記載の細胞株または請求項5もしくは6に記載の成熟樹状細胞株を用いることを特徴とする、樹状細胞の抗原提示機能を制御する薬剤のスクリーニング方法。
【請求項13】
前記薬剤が免疫疾患または癌の治療に用いられる請求項12に記載のスクリーニング方法。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−44008(P2007−44008A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234389(P2005−234389)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年2月15日 社団法人日本血液学会発行の「International Journal of Hematology Vol.81 No.2,February 2005 第81巻2号」に発表
【出願人】(504205521)国立大学法人 長崎大学 (226)
【Fターム(参考)】