説明

新規ヒドロキシアパタイトリン酸カルシウム、その調製法およびその用途

本発明は、結晶格子のアニオンの一部が炭酸アニオンで置換されたヒドロキシアパタイト特有のX線回折パターンを有し、直接圧縮用途において良好な圧縮性および流動性を有する、粒状形態のリン酸カルシウムに関する。本発明はまた、特定の粒子サイズ分布を有するブルシャイトリン酸二カルシウム溶液を、アルカリ土類炭酸塩溶液を用いて、十分な期間処理し、ブルシャイトリン酸カルシウムをヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムに変換させる工程を含むことを特徴とする前記リン酸カルシウム顆粒を調製するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1つの観点では、本発明は、鉱物ヒドロキシアパタイト特有のX線回折パターンを有し、賦形剤として使用することができるリン酸カルシウム(calcium phosphates)に関する。より特定的には、本発明は、結晶構造のアニオンの一部が炭酸アニオンで置換されたヒドロキシアパタイト特有のX線回折パターンを有し、直接圧縮用途において良好な圧縮性および流動性を有する、粒状形態のリン酸カルシウムに関する。
【0002】
別の観点では、本発明は、リン酸カルシウム顆粒を調製するための特に経済的な方法に関する。さらに別の観点では、本発明は、好ましくは直接圧縮により得られる錠剤における賦形剤としてのリン酸カルシウム顆粒の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
本出願は、米国特許法第119条の下、2004年5月6日の仏国特許出願第04 04900号について優先権を主張する。この全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0004】
前に記述した仏国特許出願第03/08660号では、1つの型のリン酸カルシウムヒドロキシアパタイト、すなわち良好な流動性および圧縮性を有する粒状形態の製品を形成するための方法が記述されていた。ヒドロキシアパタイトは天然の鉱物構造であり、しばしば骨および歯と関連し、特別な結晶格子を有する。本明細書で使用されるように、「ヒドロキシアパタイト(hydroxyapatite)」という用語は本質的には、ヒドロキシアパタイト特有のX線回折パターンを生成するリン酸カルシウムを示す。ヒドロキシアパタイトはしばしば、業界では「リン酸三カルシウム(tricalcic phosphate)」という用語で表される。ヒドロキシアパタイトの理想的な化学式は、Ca(PO(OH)である。しかしながら、ヒドロキシアパタイトの結晶格子は、結晶ネットワークにおいてアニオンおよびカチオン置換に対し非常に寛容であることが文献で周知である。
【0005】
例えば、カチオンのマグネシウム、ストロンチウム、バリウム、ナトリウム、鉛および多数の他の原子などの元素による置換が周知である。アニオン置換は3つの異なる形態をとることができる。第一に、三価のリン酸基(PO3−)の一部をHPO2−により置換させることができる。この結果、非化学量論的アパタイト構造が得られる。第二に、三価のリン酸基(PO3−)を炭酸またはバナジウム酸などの他の錯アニオンにより置換させることができる。第三に、ヒドロキシル基(OH)を部分的にまたは完全に、フッ化物または塩化物などの他のアニオンにより置換させることができる。
【0006】
イオンが異なる電荷を有する別のイオンにより置換され、電荷中性が、異なる電荷のイオンによる結晶格子中の他の場所での置換により、または結晶格子中の空格子点により維持される結合置換(coupled substitution)もまた周知である。これらの置換全てにおいて、共通しており、材料をヒドロキシアパタイトとして識別する因子は、その特性X線回折パターンである。
【0007】
仏国特許出願第03/08660号では、他のリン酸カルシウムより優れた圧縮性を有するヒドロキシアパタイトリン酸カルシウム顆粒を製造する方法が記述されている。その中で記述されているリン酸カルシウム顆粒はまた、摩砕に抵抗し、かなりの内部多孔性が維持され、その結果、使用する場合に迅速に溶解することができる物理形態を有する。リン酸カルシウムヒドロキシアパタイト組成物の構造は、仏国特許出願第03/08660号において記述されている特別な製造方法により得られる。
【0008】
仏国特許出願第03/08660号において記述されている粒状形態の前記ヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムの調製法は、ブルシャイト(brushite)粒子の90%が260μmより小さく、かつ粒子の90%が10μmより大きい粒子サイズを有するブルシャイトリン酸二カルシウム(brushite dicalcium phosphate)溶液を、塩基性溶液を用い、pHを7.0以上で、十分な期間維持して処理し、ブルシャイトリン酸カルシウムをヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムに変換させる工程を含むことを特徴とする。方法は、ブルシャイトのヒドロキシアパタイトへのアルカリ加水分解に対する下記一般式に従いブルシャイトを変換する。
5CaHPO4,2H2O + 4MOH + H2O → Ca5(PO4)3(OH) + 2M2HPO4 + 14H2O 式[1]
(式において、Mは塩基により提供されるカチオン、好ましくはアルカリカチオン、例えば、Na、KまたはNHである)。pHは7.0以上、好ましくは7と10の間、より好ましくは8と8.5の間の値で維持される。
【0009】
仏国特許出願第03/08660号において記述されている方法は水酸化物塩基を含む。塩基NaOH、NHOH、Ca(OH)およびKOHの使用が推奨されている。この方法により下記化学式により表すことができる粒状形態のヒドロキシアパタイトが生成される。
Ca5-x(PO4)3-x(HPO4)x(OH)1-x (i)
(式において、xは0と1の間、好ましくは0.1と0.5の間で変動する)。仏国特許出願第03/08660号において記述されているように、少量、例えば5重量%未満、および好ましくは0.1〜3重量%の間のカルシウムが別のカチオン、特に塩基のカチオン(ナトリウム、カリウム)により置換されてもよい。さらに、少量の三価リン酸基(PO3−)は錯アニオン(例えば炭酸およびバナジウム酸)により置換されてもよく、ヒドロキシルイオンは別のアニオン、例えばハロゲン化物、特に塩基物またはフッ化物により置換されてもよい。
【0010】
式[1]により示されるように、ヒドロキシアパタイトと共に、多量のアルカリ金属リン酸塩、MHPOが反応で生成される。アルカリ金属リン酸塩は再利用し、または品質を向上させることが困難であることが仏国特許出願第03/08660号において記述されている方法の欠点の1つである。また、使用する特別な塩基によっては、リン酸カルシウムヒドロキシアパタイト中に望ましくない不純物が存在することがある。
【0011】
【特許文献1】仏国特許出願第03/08660号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、賦形剤として使用するのに完全に適しており、上記従来の方法の欠点を回避する鉱物ヒドロキシアパタイト特有のX線回折パターンを有するリン酸カルシウムヒドロキシアパタイト顆粒を調製するための方法を発見した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、1つの観点では、ヒドロキシアパタイトのX線回折パターンを有するリン酸カルシウム顆粒を提供する。リン酸カルシウム顆粒は、結晶格子中でリン酸アニオンと置換された炭酸アニオンを有してもよい。リン酸カルシウム顆粒の粒子サイズは、一般に、リン酸カルシウム顆粒が、経口投与のための活性成分を含む錠剤を形成するためのマトリクス中で使用するのに良好な流動性および圧縮性を有するようなものとされる。
【0014】
第2の観点では、本発明はリン酸カルシウムヒドロキシアパタイト顆粒を製造する方法を提供する。ブルシャイトリン酸カルシウムを炭酸カルシウムなどの炭酸塩基と、水中懸濁液中で混合させる。懸濁液を好ましくは、50℃を超える温度まで十分な期間加熱し、ブルシャイトと炭酸塩基を反応させ、所望の流動性および圧縮性を有するリン酸カルシウムヒドロキシアパタイトを形成させるが、望ましくない副産物は生成しない。
【0015】
リン酸カルシウムヒドロキシアパタイト顆粒は、活性成分と組み合わせて経口投与用の錠剤を形成するためのマトリクス中で使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、例えば薬学的組成物または栄養補助食品における賦形剤として使用してもよい、改善された流動性および圧縮性を有するリン酸カルシウムヒドロキシアパタイト顆粒に関する。本発明はまた、望ましくない不純物または副産物のレベルが減少した、顆粒に対し所望の特性を達成するためのリン酸カルシウムヒドロキシアパタイト顆粒の調製法に関する。
【0017】
粒状形態のリン酸カルシウムヒドロキシアパタイトを調製するための方法は、ブルシャイト粒子の90%が260μmより小さく、かつブルシャイト粒子の90%が10μmより大きいブルシャイトリン酸二カルシウム懸濁液を、アルカリ土類炭酸塩の塩基溶液を用いて、十分な期間処理し、ブルシャイトリン酸カルシウムをヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムに変換させる工程により特徴づけられる。加水分解は、好ましくはブルシャイトの水性懸濁液を加熱することにより実施する。
【0018】
本発明の方法の1つの実施形態では、水溶液を選択した反応温度まで加熱し、その後、炭酸塩基を導入する。好ましくは、炭酸塩基として炭酸カルシウムを使用する。本発明のこの実施形態では、ブルシャイトのリン酸カルシウムヒドロキシアパタイトへのアルカリ加水分解は、下記式により表すことができる。
6CaHPO4 2H2O + 4CaCO3→ Ca10(PO4)6(OH)2-2x(CO3)x+ 4-x CO2 + (14+x)H20 式[II]
(式中、xは0〜1の間である)。好ましくは、xは0.1〜0.5の間である。
【0019】
本発明の方法の別の実施形態では、ブルシャイトのヒドロキシアパタイトへのアルカリ加水分解は、下記式で表されるように、炭酸カルシウム以外のアルカリ土類炭酸塩を用いて実施される。
6CaHPO42H2O + 4MCO3 → Ca6M4(PO4)6(OH)2-2x(CO3)x+ 4-x CO2 + (14+x)H20 式[III]
(式中、Mはカルシウム以外のアルカリ土類カチオン、好ましくはマグネシウムを表し、xは0〜1の間である)。好ましくは、xは0.1〜0.5の間である。
【0020】
上記式IIおよびIIIからわかるように、本発明の方法によれば、副産物は二酸化炭素と水であり、これらは容易に廃棄される。
【0021】
上記方法により得られた顆粒は、下記物理化学特性を有する。下記特性を決定するための定義および方法は本明細書で記述する実施例で特定する。
【0022】
リン酸カルシウムヒドロキシアパタイト顆粒は白色であり、1〜500μmの範囲の粒子サイズを有する。好ましくは、粒子の少なくとも90%は10μmより大きく、かつ粒子の90%は260μmより小さい。粒子サイズは金属スクリーン上でのスクリーニングにより決定することができる。一般に、中央径(median diameter)(d50)により表される粒子サイズは100μm〜250μmの間、好ましくは150μm〜190μmの間である。中央径は、粒子の50重量%が中央径よりも大きいまたは小さい直径を有するものとして規定される。
【0023】
ヒドロキシアパタイトリン酸カルシウム顆粒は、かなり高い密度を有する。顆粒の見かけ密度(圧縮なし)は好ましくは少なくとも0.6、より好ましくは0.6〜1.0の間、好ましくは0.68〜0.72の間である。顆粒の見かけ密度(圧縮)は好ましくは少なくとも0.7、より好ましくは0.7〜1.1の間、好ましくは0.76〜0.82の間である。
【0024】
本発明のリン酸カルシウム顆粒は、想定した用途に対する十分な流動性に適した凝集力(cohesion)を有する。瞬間流動指数(instantaneous flow index)は約7よりも大きい。
【0025】
ヒドロキシアパタイトリン酸カルシウム顆粒は、他のリン酸カルシウムに比べ優れた圧縮性を有する。圧縮性プロファイルは下記のように規定することができる。
30KNの圧縮に対し15〜40KPa、
20KNの圧縮に対し7〜25KPa、
10KNの圧縮に対し3〜10KPa。
【0026】
リン酸カルシウムヒドロキシアパタイト顆粒は、摩砕に抵抗し、かなりの内部多孔性を保持し、その結果、使用する場合に十分な速度で溶解する物理形状を有する。本発明の顆粒の水中での崩壊速度(disintegration speed)は、60秒未満、好ましくは25秒未満であり、より好ましくは5〜20秒の間である。
【0027】
本明細書で記述されるように製造された粒状形態のヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムは、これらの顆粒を賦形剤として使用する場合多くの利点を提供する。顆粒はずっと高い直接圧縮能力(direct compression compacting capacity)を有し、このため、より硬く、より砕けにくい錠剤が供給され、結合剤の使用が減少し、これにより、費用、錠剤のサイズ、および所望の錠剤硬度を得るために必要とされるエネルギーが減少する。さらに、顆粒により、ブルシャイトおよびモネタイトと特に適合しない活性成分の使用が可能になる。流動性が改善されたため、顆粒により、より均一な錠剤組成物が得られ、ずっと高い圧縮速度が可能となり、普通の流動性を有する薬剤または活性成分の使用が可能となる。
【0028】
例えば、米国特許第4,335,086号のように、リン酸水素カルシウムの加水分解によるヒドロキシアパタイトの調製のための別の方法が以前に記述されているが、本発明者らは、最初のブルシャイトリン酸カルシウムの粒子サイズを選択し、制御することにより、炭酸カルシウムによるアルカリ加水分解により形成されたヒドロキシアパタイト顆粒が、最初のブルシャイトリン酸カルシウムおよび異なる方法を用いて製造したヒドロキシアパタイト材料の両方よりも優れた圧縮性を有することを、思いがけなく発見した。
【0029】
ヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムは、本明細書で記述したようにブルシャイトリン酸カルシウムを調製する当業者に公知の任意の方法を用いて製造されたブルシャイトリン酸カルシウムを用いて調製することができる。ヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムが良好な流動性を有するには、ヒドロキシアパタイトは好ましくは、粒子の90%が約260μmより小さく、かつ粒子の少なくとも90%が約10μmより大きい粒子サイズ分布を有するべきである。この特性を有するヒドロキシアパタイトを調製するためには、最初のブルシャイトリン酸カルシウムは、ブルシャイト粒子の90%が約260μmより小さく、かつブルシャイト粒子の少なくとも90%が約10μmよりも大きい粒子サイズを有するべきである。このブルシャイトに対する粒子サイズ分布は、この範囲外の粒子を除去することにより、例えばスクリーニング(screening)プロセスにより達成してもよい。
【0030】
好ましい実施形態では、中央径(d50)により表される開始ブルシャイト粒子のサイズは、100μm〜250μm、より好ましくは150μm〜190μmの間である。
【0031】
良好な流動性を有する、ある粒子サイズ分布を備えたブルシャイトリン酸カルシウムを用いて開始することにより、本方法は、消費される塩基量が、最終ヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムにおいて有益な粒度分析フラクションを加水分解するためだけに使用されるものであるという点でより効果的かつより経済的である。さらに、最終ヒドロキシアパタイト生成物は薬学的成分の使用を支配する規則に適合しなければならないので、ブルシャイトリン酸カルシウムは、適用規則または標準以外に、特定されている薬学的成分に関連する純度要求を満たさなければならない。例えば、薬学分野において使用するためのブルシャイトリン酸カルシウムに対する欧州薬学規格は、CaHPO,2HO量は98.0〜105.5%の間であり、塩化物イオン量は330ppm以下であり、フッ化物イオン量は100ppm以下であり、ヒ素量は10ppm以下であり、重金属および鉄量はそれぞれ40ppm以下および400ppm以下であることを提示している。
【0032】
本発明の方法によれば、アルカリ土類炭酸塩基を使用して、加水分解反応を起こさせる。「アルカリ土類(Alkaline earth)」は元素の周期分類の2A列の元素およびそれらの混合物、好ましくは、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムのようなアルカリ土類からなる群より選択された金属を示す。本発明の方法に完全に適し、使用されるのが好ましい塩基は炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、またはそれらの混合物である。最も好ましくは、塩基は炭酸カルシウムである。使用する塩基は、固体形態であっても、20重量%〜40重量%の間の濃度を有する水性懸濁液の形態であってもよい。
【0033】
使用する炭酸塩基の量は、上記式[II]または[III]の化学量論により規定される近似範囲内にある。このように、塩基は、ブルシャイトリン酸カルシウムに対して表される化学量論量の約80〜110%に相当するような量で提供してもよい。
【0034】
本発明による反応のpHは6.0以上であるが、これより高くてもよく、例えば6.0〜8.0の間で変動してもよい。周囲温度よりも高い温度で反応を実施すると好都合である。好ましくは、反応温度は約50℃を超え、より好ましくは60℃〜100℃の間である。最も好ましくは、反応温度は約90℃である。50℃未満の温度では、反応にはより長い時間がかかり、得られるヒドロキシアパタイト顆粒の圧縮性は、温度はより高いが、その他の点では同一の条件下での反応から生成されるヒドロキシアパタイト顆粒よりもわずかに劣ることがある。
【0035】
任意の濃度のブルシャイトを含む水性懸濁液を用いて、加水分解反応を実施することができる。好ましくは、ブルシャイトは、加水分解中ブルシャイトが懸濁液中で維持されるように十分撹拌され、生成物の均質な顆粒が得られる。過剰な撹拌により反応速度が改善されることはなく、有益な収率において対応する損失が存在する粒子の分画が得られる可能性がある。実際、濃度が約50重量%を超えると、ブルシャイトを懸濁液中に維持するのは困難である。好ましくは、懸濁液中のブルシャイト濃度は約30重量%〜40重量%の間である。
【0036】
反応開始時に塩基を全て添加することが好ましいが、反応の進行と共に塩基を徐々に添加することも可能である。一般に、塩基を添加した後、反応媒質を選択した温度で、例えば、約4〜24時間の一定期間、連続撹拌する。
【0037】
プロセスの結果、ブルシャイトリン酸カルシウムは、ネットワークのアニオンの一部が炭酸アニオンに置換されたヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムに変換される。COアニオン量は最終炭酸ヒドロキシアパタイトの約0.1重量%〜約10重量%の間、好ましくは約3重量%〜6重量%の間を示す。
【0038】
反応の終わりに、生成物を、例えば濾過または遠心分離により回収する。固体を水で洗浄し、その後乾燥させる。洗浄は、一般に固体ケーキ体積の約2倍を示す割合で使用する水を用いて実施してもよい。乾燥は、空気乾燥により、好ましくはヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムを80℃〜120℃の間の温度、より好ましくは約110℃まで加熱することにより、吸収された水分を物理的に除去することにより実施してもよい。本発明はこの点で制限されるものではなく、当業者に公知の任意の技術を用いて、ヒドロキシアパタイト生成物を回収し、洗浄し、乾燥させてもよい。
【0039】
本発明の方法を用いて調製したヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムは、ヒドロキシアパタイトのX線回折パターン特有のX線回折パターンを有する。本発明により得られたヒドロキシアパタイトホスフェート顆粒は、薬学的分野において使用してもよく、リン酸カルシウムおよび炭酸カルシウムと同じ用途で使用してもよい。さらに、ヒドロキシアパタイト顆粒は、例えば栄養補助食品において使用される場合、追加のカルシウムおよびリンを提供するという利点を有する。反応において塩基として炭酸マグネシウムを使用すると、顆粒はまた、個人の栄養摂取に対し追加のマグネシウムを提供する可能性がある。これらの元素は、神経、骨、筋肉および歯の構成および機能において重要な役割を果たす。
【0040】
本発明の顆粒は、直接圧縮による、活性成分との製剤化において直接使用可能であるという特別な利点を有する。「活性成分(Active ingredient)」は、使用者に対し有益なまたは所望の効果を有する経口用途用の任意の製品を意味する。このように、活性成分は、薬理学的特性を有する、すなわち、生命体に対し予防または治癒効果を有する任意の製品としてもよい。また、活性成分は、錠剤形態の可能性が高いビタミンまたはミネラル栄養補助食品などの薬学的製品で提供される形態をとってもよい。
【0041】
治療的活性成分の例としては、抗リウマチ薬類および非ステロイド抗炎症薬類(ケトプロフェン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、フェイルブタゾン、アロプリノール、ナブメトン、など)、麻酔性または非麻酔性鎮痛薬類(パラセタモール、フェナセチン、アスピリン、など)、咳止めシロップ類(コデイン、コデチリン、アリメマジン、など)、向精神薬類(トリミプラミン、アミネプチン、クロロプロマジンおよびフェノチアジン類の誘導体、ジアゼパム、ロラゼパム、ニトラゼパム、メプロバメート、ゾピクロンおよびシクロピロロン類のファミリーの誘導体、など)、ステロイド類(ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プロゲステロン、テストステロン、プレドニソロン、チラムシノロン、デキサメタゾン、ベアメタゾン、パラメタゾン、フルオシノロン、ベクロメタゾン、など)、バルビツレート類(バルビタール、アロバルビタール、フェノバルビタール、ペントバルビタール、アモバルビタール、など)、抗菌剤類(ペフロキサシン、スパルフロキサシンおよびキノロン類のクラスの誘導体、テトラサイクリン類、シナージスチン類、メトロニダゾール、など)、アレルギーを治療するための薬剤類、特に抗喘息薬類、鎮痙薬類および抗分泌薬類(オメプラゾール)、脳血管拡張薬類(キナカイノール、オキシプレノロール、プロパノロール、ニセルゴリン、など)、脳防護剤類、肝臓防護剤類、胃腸の問題に対する治療薬類、避妊薬類、経口ワクチン類、抗高血圧薬類および心血管薬または心臓防護剤類、例えばβ遮断薬類およびニトロ化誘導体類が挙げられる。このリストは、制限するためのものではなく、錠剤形態で投与される任意の活性成分を、本発明のヒドロキシアパタイトと組み合わせて製剤化してもよい。
【0042】
本発明の方法を用いて調製した錠剤中に組み入れられた活性成分の量は、特別な活性成分、所望の用量および他の因子に基づき、広範囲に変動してもよい。例えば、活性成分の量は総組成物の0.001重量%〜95重量%の間であってもよく、残りは錠剤マトリクスであり、主にヒドロキシアパタイトから構成される。一般に、ヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムはマトリクスの10重量%〜100重量%の間を占める。好ましくは、ヒドロキシアパタイトはマトリクスの少なくとも80重量%、より好ましくはマトリクスの少なくとも90重量%を占める。
【0043】
マトリクス部分は、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムを含んでもよい。好ましくは、潤滑剤はマトリクスの約0.5重量%を占める。顆粒と共にマトリクスに崩壊剤も添加し、錠剤のその後の消化を促進してもよい。これは、マトリクス中に約5重量%〜10重量%の量で組み入れられた、デンプンであってもよく、好ましくはトウモロコシデンプンまたはクロスカルメロースナトリウムとしてもよい。
【0044】
マトリクスはまた、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、より特定的には希釈剤、凝集剤(cohesion agent)、潤滑剤および着色剤、ならびに香味剤、例えば多糖類、特にラクトースおよびスクロース、脂肪酸類、例えばステアリン酸、例えば、ポリエチレングリコール、他のホスフェート類、例えばリン酸二カルシウム(dicalcium phosphate)、シリカ、シリコアルミネート類、セルロース誘導体類、特にHMPC、キサンタンガム、ゼラチンおよびポリビニルピロリドンを含んでもよい。
【0045】
本発明のヒドロキシアパタイト顆粒を1つ又は複数の活性成分と、および組成物の別の賦形剤と、任意の公知の固体/固体混合法を用いて混合し、直接圧縮により、すなわち、水またはエタノールなどの有機溶媒を使用せずに、乾燥圧縮する。賦形剤と1つ又は複数の活性成分を混合した後の圧縮動作は一般に、6〜10kN(岩石圧縮レベルで測定)、好ましくは8〜9kNの範囲の力の下で起きる。この圧縮動作は、好ましくは0.5〜2.5kNの範囲の力での先行圧縮後に実施する。
【0046】
本発明の方法を使用すると、錠剤の品質を変化させずに、高い圧縮速度を得ることができる。特に、150,000錠剤/時間より大きな速度を達成することができ、錠剤の開裂はない。
【0047】
本発明により得られた錠剤は、迅速に活性成分を放出することができるという利点を有するが、同時に、良好な機械特性、特に摩損度を有する。アメリカ薬局方USP26により第1216号で参照されている方法を使用して測定した、錠剤の摩損度は1%未満である。アメリカ薬局方USP26により第2040号で参照されている方法を用いて測定した崩壊時間は1分未満である。
【0048】
本発明の性質およびその使用をより完全に説明するために、本発明の実施形態の2つの実施例を提供する。実施例3は比較例であり、この場合、ヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムを、直接沈澱により調製した後、顆粒形態で予備圧縮を実施する。
【0049】
詳細な実施例を提供する前に、得られた生成物の異なる特性を決定するのに使用する方法を提供する。
【0050】
(圧縮した、および圧縮していない、見かけ密度)
圧縮した、および圧縮していない見かけ密度を、図1で示した型の装置で測定する。空のシリンダ(2)の質量を測定する。測定すべき粉末を、漏斗(1)を用いてシリンダ(2)に入れると、粉末層の上部は、250cmで合わせたシリンダの上面(レベルA)と同じ高さである。粉末の質量を、シリンダ全体の質量を測定することにより決定する。試験管を、グリップ(4)を使用して支持体(3)に固定する。試験管の底に送達させる衝撃の総数を合計するカウンタ(8)を0にリセットする。
【0051】
試験管は、カム(7)を介してモーター(6)により作動するハンマー(5)を用いてその基部に適用される垂直衝撃を受ける。得られる体積が一定になる(レベルB)と、動作を停止させる。見かけの体積の変化を、ハンマーを用いて適用した衝撃数に基づきシリンダスケール上で読み取り、変化を記録する。実験圧縮曲線が得られる。
【0052】
見かけの体積=f(衝撃数)は見かけ密度曲線=f(衝撃数)に変換される。
【0053】
見かけ密度は下記式により決定される。
見かけ密度=導入した粉末の質量(g)/見かけの体積(cm
【0054】
(粒子サイズ)
粒子サイズは、水性懸濁液中、超音波無しかつ分散剤無しで、ベックマンコールターLS230(Beckman Coulter LS230、商標)粒子サイズアナライザにより、ミー(Mie)理論を用いて、レーザ光回折により測定する。
【0055】
(流動性)
実施例全てにおいて流動性を、ヴァン−ケル(Van−Kel、商標)流量計モデル(VK10210)を使用して実施した試験を用いて測定する。試験の原理は、200gの材料を“B”“7/16”錠剤ダイを通して流れるようにすることにある。本発明者らは、200gの材料を流すのに必要な時間を規定する。流動性は流速またはg/sの観点で表される。
【実施例】
【0056】
<実施例1>
この実施例では、不連続(すなわち、バッチ)プロセスを用いて顆粒を調製する。
【0057】
二重シェル反応器中で、下記成分を25℃で、500rpmで撹拌しながら(6つの傾斜ブレード)混合する。172gの脱水リン酸二カルシウム、CaHPO.2HO、例えば、ロージア(Rhodia)から商品名DITABで販売されているもの、60gの炭酸カルシウム、CaCO、例えば、プロラボ(PROLAB)から入手されるもの、NORMAPURグレード、および460gの水。
【0058】
懸濁液の総体積は約600mlであり、DITAB濃度は300g/lである。懸濁液を90℃まで加熱するが、温度の上昇には約30分かかる。90℃で24時間後、加熱を中止し、混合物を室温まで冷却させる。
【0059】
得られた固体生成物をその後、濾過により分離し、3度、大量の水で洗浄し、100℃の加熱チャンバ内で一晩乾燥させる。
【0060】
この生成物はヒドロキシアパタイト特有のX線回折パターンを有し、その炭酸量は3質量%である。
【0061】
<実施例2>
この実施例では、半連続法を用いて顆粒を調製する。
【0062】
二重シェル反応器中で、下記成分を25℃で、500rpmで撹拌しながら(6つの傾斜ブレード)混合する。172gの脱水リン酸二カルシウム、CaHPO.2HO(DITAB)、および280gの水。懸濁液の総体積は約400mlである。
【0063】
懸濁液を90℃まで加熱するが、温度の上昇には約30分かかる。加熱を開始する時に、60gのプロラボ由来の、NORMAPURグレードの炭酸カルシウム、CaCOおよび180gの水を含む、炭酸カルシウムを含む懸濁液の添加を開始する。この添加は蠕動ポンプを用い、4時間にわたり実施する。
【0064】
90℃で24時間後、加熱を中止し、混合物を室温まで冷却させる。固体生成物をその後、濾過により分離し、3度、大量の水で洗浄し、100℃の加熱チャンバ内で一晩乾燥させる。
【0065】
この生成物はヒドロキシアパタイト特有のX線回折パターンを有し、その炭酸量は5質量%である。
【0066】
<比較実施例3>
ヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムを、12%の水酸化カルシウム懸濁液(重量/重量)を反応器に入れる工程と、懸濁液を60℃の温度にする工程と、その後、20%のHPO溶液を石灰懸濁液に、得られた懸濁液のpHが6〜7の間になるまで添加する工程とから構成される標準法を用いて調製する。懸濁液を、真空フィルター上で濾過し、110℃のオーブンで8時間乾燥させる。
【0067】
このようにして得られた乾燥生成物を、幅10cm、直径75cmのローラーを取り付けたフィッツパトリックチルソネーター(Fitzpatrick Chilsonator、商標)中に供給することにより、ヒドロキシアパタイト顆粒を調製する。ローラーは正弦溝(sinusoidal groove)で被覆された表面を有し、0.05cmのローラーギャップで分離されている。ベルトコンベアを用いて紛状混合物をチルソネーター圧縮装置内に送り込み、ローラー間を通過する時に混合物を圧縮する。1つのローラーには、もう一方に対し油圧により70kg/平方センチメートル(ゲージ圧力)で力が加えられる。圧延力は約2,143kg/線形センチメートルである。ローラーは16rpmの回転速度を有する。
【0068】
生成物はシート形態で出て行き、回転ナイフブレードを取り付けたフィッツミル(Fitzmill、商標)ミリング装置(モデルDAS06)を用いて分割される。生成物をミリング装置から、0.125cmの円形開口を有するスクリーンを通して取り出す。圧縮および製粉された生成物をその後、直接、振動スクリーニングユニット中に送り込む。
【0069】
使用したスクリーンは120cmの直径を有する。第1のスクリーンは36TBC「引張ふるい布」(または541μmのメッシュサイズ)で分類され、それ以下の第2のスクリーンは78TBC(または231μmのメッシュサイズ)で分類される。供給ロード(feed load)はこれらの振動スクリーンを用いて3つの部分に分離される。粒子の中央フラクション、すなわち、36TBCスクリーンを通過するが、78TBCスクリーンを通過することができない粒子全てを回収する。振動スクリーンから出て来た、より高いおよびより低いフラクションをチルソネーターの供給ホッパーに送り、チルソネーターに対する原料供給ロードと混合し、このようにリサイクルさせる。
【0070】
(顆粒の特性)
図2は開始材料の粒子材料と比較した、実施例1により得られた顆粒の粒子サイズ分布を示したグラフである。
【0071】
開始材料、実施例1により得られた顆粒、ならびに実施例3の比較ヒドロキシアパタイトホスフェートの物理化学特性を表1にまとめて示す。
【0072】
【表1】

【0073】
(錠剤特性)
実施例1および3から得られたヒドロキシアパタイトリン酸カルシウム顆粒(97%の割合で)、2%Ac−Di−Sol(商標)(ステアリン酸クロスカルメロース)崩壊剤および0.5%ステアリン酸マグネシウム潤滑剤を、強化バーを取り付けたV字形二重シェルミキサ(パターソンケリー(Patterson Kelley、商標))に入れることにより、錠剤を調製する。混合物は、離れた位置(off position)にある強化バーにより2分間混合プロセスを受ける。
【0074】
調合物は、標準7/16”IPT切断工具を備えた回転打錠機械(マネスティー(Manesty、商標)B3B)上での直接圧縮により錠剤に成形される。打錠機械には、記録装置に取り付けられた張力計が備えられ、各ロットの錠剤に適用された圧縮力が記録される。打錠機械の16マトリクスのうち4つを使用する。
【0075】
錠剤は16マトリクスを基本に、750錠剤/分の速度で製造される。錠剤の公称重量は675mgである。
【0076】
開始材料、すなわちブルシャイトリン酸カルシウム、実施例1により得られた本発明の顆粒、ならびに実施例3の比較ヒドロキシアパタイトの、上記機械での圧縮後に得られた錠剤の硬度特性を下記表2にまとめて示す。
【0077】
【表2】

【0078】
本明細書中の教示に基づいて当業者には認識されると思われるが、添付の請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱せずに、本明細書で記述した実施例および実施形態には多くの変更および改変が可能である。したがって、好ましい実施形態のこの詳細な説明は、制限的な意味でなく、例示的な意味で解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】リン酸カルシウムヒドロキシアパタイト顆粒の圧縮した、および圧縮していない見かけ密度を測定するための装置を示した図である。
【0080】
【図2】開始ブルシャイト材料と下記実施例1において作製したリン酸カルシウムヒドロキシアパタイトとの粒子サイズ分布の比較を示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶格子のリン酸アニオンの10%までが炭酸アニオンで置換されたヒドロキシアパタイトに特有のX線回折パターンを有し、粒子の少なくとも90%が10μmより大きく、かつ前記粒子の少なくとも90%が260μmより小さい粒子サイズを有する、粒状形態のリン酸カルシウムを含む組成物。
【請求項2】
中央径(d50)により表される前記リン酸カルシウムの顆粒のサイズは、100μm〜250μmの間である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記顆粒の圧縮されていない見かけ密度は少なくとも0.6である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記顆粒の圧縮されていない見かけ密度は約0.68〜約0.72の間である、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記顆粒の圧縮された見かけ密度は少なくとも0.7である、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記顆粒の圧縮された見かけ密度は約0.76〜約0.82の間である、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記顆粒は約7より大きい瞬間流動指数を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記顆粒は下記圧縮性プロファイルを有する、請求項1記載の組成物:
30KNの圧縮に対し15〜40KPa、
20KNの圧縮に対し7〜25KPa、
10KNの圧縮に対し3〜10KPa。
【請求項9】
前記顆粒は水中で60秒未満の崩壊速度を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
下記式を満たすこと特徴とする、請求項1記載の組成物:
Ca10(PO4)6(OH)2-2x(CO3)x
(式において、xは0〜1の間である)。
【請求項11】
下記式を満たすこと特徴とする、請求項1記載の組成物:
Ca6M4(PO4)6(OH)2-2x(CO3)x
(式において、Mはカルシウム以外のアルカリ土類カチオンであり、xは0〜1の間である)。
【請求項12】
Mはマグネシウムである、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
結晶格子のリン酸アニオンの約3%〜約6%は炭酸アニオンにより置換される、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
適当な容器に、ブルシャイトリン酸二カルシウムの水性懸濁液を提供する工程と、
前記ブルシャイト懸濁液に、アルカリ土類炭酸塩基の溶液を添加する工程と、
前記懸濁液を十分な時間混合し、ブルシャイトリン酸カルシウムをヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムに変換させる工程と、
を含み、ヒドロキシアパタイト特有のX線回折パターンを有する粒状形態のリン酸カルシウムを調製する方法。
【請求項15】
前記ブルシャイトリン酸二カルシウムは、中央径(d50)が100μm〜250μmの間にあるような粒子サイズ分布を有する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記炭酸塩基は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
ブルシャイトおよび炭酸塩基の前記懸濁液のpHを6.0以上で維持する工程をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
ブルシャイトおよび炭酸塩基の前記懸濁液を、約50℃を超える温度で加熱する工程をさらに含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
ブルシャイトおよび炭酸塩基の前記懸濁液を約90℃の温度まで加熱する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
使用する炭酸塩基の量は、前記懸濁液中の前記ブルシャイトリン酸カルシウムに対して表される化学量論量の約80%〜約110%に相当するようなものである、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記ヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムを、濾過または遠心分離により水溶液から分離する工程をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記ヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムを約80℃〜約120℃の間の温度で乾燥させる工程をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法を用いて得られたヒドロキシアパタイト特有のX線回折パターンを有する粒状形態のリン酸カルシウム。
【請求項24】
活性成分と、請求項22記載の方法により得られた粒状形態のヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムを有するマトリクスとを含む、活性成分を投与する際に使用するための錠剤。
【請求項25】
前記ヒドロキシアパタイトリン酸カルシウムは、前記マトリクスの重量の少なくとも80%を占める、請求項24記載の錠剤。
【請求項26】
前記錠剤は、総組成物の0.001重量%〜95重量%の間の量の活性成分を含む、請求項24記載の錠剤。
【請求項27】
約0.5重量%のステアリン酸マグネシウムをさらに含む、請求項24記載の錠剤。
【請求項28】
約5重量%〜約10重量%の間の崩壊剤をさらに含む、請求項27記載の錠剤。
【請求項29】
前記崩壊剤は、デンプンまたはクロスカメロースナトリウムである、請求項28記載の錠剤。
【請求項30】
前記錠剤の摩損度は1%未満である、請求項24記載の錠剤。
【請求項31】
前記錠剤は1分未満の崩壊時間を有する、請求項30記載の錠剤。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−501643(P2008−501643A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511599(P2007−511599)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/015684
【国際公開番号】WO2005/115418
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(505084756)イノフォス インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】