説明

新規ヘテロレプティックイリジウム錯体

【課題】フェニルピリジンおよびジベンゾ含有配位子を含む新規の燐光性ヘテロレプティックイリジウム錯体を提供する。
【解決手段】開示した化合物は、精製を容易にしおよび様々なOLED素子の作製を可能にする低い昇華温度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
請求する発明は、共同の大学・企業研究契約に関わる1つまたは複数の以下の団体:ミシガン大学評議会、プリンストン大学、南カリフォルニア大学、およびユニバーサルディスプレイコーポレーションにより、その団体のために、および/またはその団体と関係して行われた。本契約は、請求する発明がなされた日以前に発効しており、請求する発明は、本契約の範囲内で行われた活動の結果としてなされた。
【0002】
本発明は、ヘテロレプティックイリジウム錯体、具体的にはフェニルピリジンおよびジベンゾ配位子を含む錯体に関する。本錯体は、OLED素子に使用するのに適切である。
【背景技術】
【0003】
有機材料を用いるオプトエレクトロニクス素子は、いくつかの理由によりますます望ましいものとなってきている。そのような素子を製造するために用いられる多くの材料は比較的安価であり、そのため有機オプトエレクトロニクス素子は、無機素子に対してコスト優位性について潜在力を有している。加えて、可撓性などの有機材料固有の特性は、それらをフレキシブル基板での作製などの特定用途に非常に適したものにし得る。有機オプトエレクトロニクス素子の例には、有機発光素子(OLED)、有機フォトトランジスター、有機光電池、および有機光検出器が含まれる。OLEDについては、有機材料は、従来の材料に対して性能上優位性を有し得る。例えば、有機発光層が発光する波長は、一般に、適切なドーパントで容易に調製することができる。
【0004】
OLEDは、素子に電圧を印加した場合に光を発する薄い有機フィルムを用いる。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明、およびバックライトなどの用途に用いるためのますます興味ある技術となってきている。いくつかのOLED材料および構成が、米国特許第5,844,363号、同6,303,238号および同5,707,745号に記載されており、これらはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0005】
燐光発光分子の1つの用途はフルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイのための工業規格は、「飽和」色といわれる特定の色を発するように適合した画素を要求している。特に、これらの規格は、飽和の赤、緑および青の画素を必要としている。色は、当分野で周知であるCIE座標を用いて測定できる。
【0006】
緑色発光分子の一例は、Ir(ppy)で示されるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウムであり、これは以下の構造を有する。
【化1】

【0007】
この式および本明細書の後の図において、窒素から金属(ここではIr)への供与結合が直線で表される。
【0008】
本明細書において使用される場合、「有機」という用語は、有機オプトエレクトロニクス素子を作製するために用いることができるポリマー材料ならびに小分子有機材料を包含する。「小分子」とはポリマーではない任意の有機材料を指し、「小分子」は実際には非常に大きくてもよい。小分子は、いくつかの状況では繰り返し単位を含んでもよい。例えば、置換基として長鎖アルキル基を用いることは、分子を「小分子」の種類から排除しない。小分子は、例えばポリマー主鎖のペンダント基として、または主鎖の一部として、ポリマー中に組み込まれてもよい。小分子は、コア部分に構築された一連の化学的殻からなるデンドリマーのコア部分として働くこともできる。デンドリマーのコア部分は、蛍光性または燐光性小分子発光体であってもよい。デンドリマーは「小分子」であってもよく、OLEDの分野で現在用いられている全てのデンドリマーは小分子であると考えられる。
【0009】
本明細書において使用される場合、「トップ」は、基材から最も遠くを意味する一方で、「ボトム」は基材に最も近いことを意味する。第1の層が第2の層の「上に配置される」と記載した場合は、第1の層は基材からより遠くに配置される。第1の層が第2の層と「接触している」と指定されない限り、第1の層と第2の層との間に他の層があってよい。例えば、間に様々な有機層があったとしても、カソードはアノードの「上に配置される」と記載することができる。
【0010】
本明細書において使用される場合、「溶液加工可能」とは、溶液または懸濁液の形態で、液体媒体中に溶解され、分散され、もしくは液体媒体中で輸送され、および/または液体媒体から堆積され得ることを意味する。
【0011】
配位子が発光材料の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合は、その配位子は「光活性」ということができる。配位子が発光材料の光活性特性に寄与していないと考えられる場合は、配位子は「補助」ということができるが、補助配位子は光活性配位子の特性を変え得る。
【0012】
本明細書において使用される場合、また当業者によって一般に理解されているように、第1の「最高被占分子軌道」(HOMO)または「最低空分子軌道」(LUMO)のエネルギー準位は、その第1のエネルギー準位が真空のエネルギー準位により近い場合には、第2のHOMOまたはLUMOよりも「大きい」または「高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は真空準位に対して負のエネルギーとして測定されるので、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さい絶対値をもつIP(より小さい負のIP)に対応する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さい絶対値をもつ電子親和力(EA)(より小さい負のEA)に対応する。最上部に真空準位を有する従来のエネルギー準位図において、材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMOまたはLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMOまたはLUMOエネルギー準位よりも、そのような図の最上部により近く現れる。
【0013】
本明細書において使用される場合、また当業者によって一般に理解されるように、第1の仕事関数は、その第1の仕事関数がより高い絶対値を有する場合には、第2の仕事関数よりも「大きい」または「高い」。仕事関数は、通常、真空準位に対して負の数として測定されるので、このことは「より高い」仕事関数がより負であることを意味する。最上部に真空準位をもつ従来のエネルギー準位図において、「より高い」仕事関数は真空準位から下向きの方向へより離れて図示される。したがって、HOMOおよびLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に従う。
【0014】
OLEDについてのさらなる詳細および上述の定義は、米国特許第7,279,704号に見ることができ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5,844,363号明細書
【特許文献2】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献3】米国特許第5,707,745号明細書
【特許文献4】米国特許第7,279,704号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Baldo et al.,“Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices”, Nature, vol. 395, 151−154, 1998
【非特許文献2】Baldo et al.,“Very high−efficiency green organic light−emitting devices based on electrophosphorescence”, Appl. Phys. Lett., vol. 75, No. 3, 4−6 (1999
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
式:
【化2】

式I;
式Iの化合物を提供する。式Iの化合物では、R、R、R、R4、、R、およびRは、水素、重水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびその組み合わせからなる群から独立して選択される。R、RおよびRは、モノ、ジ、トリ、またはテトラ置換を表してもよく、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、水素または重水素でない。隣接する2個の置換基R、R、R、R4、、RおよびRは、場合によって、結合して縮合環を形成する。Xは、O、SおよびSeからなる群から選択され、mは、1または2である。
【0018】
一態様では、Rはアルキルである。一態様では、RおよびRはアルキルである。一態様では、RおよびRはアルキルである。一態様では、RおよびRはアルキルである。一態様では、XはOである。一態様では、RおよびRは水素である。一態様において、mは2である。別の態様では、Rはモノアルキル置換を表し、RはNに対してパラである。
【0019】
一態様では、R、R、R、およびRは、メチル、CH(CH、およびフェニルからなる群から独立して選択される。一態様では、R、R、R、およびRは、アルキル、水素、および重水素からなる群から独立して選択される。
【0020】
別の態様では、本化合物は、10−7から10−8トールの範囲の圧力で昇華温度が約180℃から約240℃である。
【0021】
一態様では、本化合物には、式:
【化3】

式IIがある。
【0022】
一態様では、本化合物は、化合物1〜化合物63からなる群から選択される。
【0023】
一態様では、第1の素子が提供される。本素子は、第1の有機発光素子を含み、アノード、カソード、アノードとカソードとの間に配置された、式
【化4】

式Iを有する化合物を含む有機層をさらに含む。R、R、R、R4、、RおよびRは、水素、重水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびその組み合わせからなる群から独立して選択される。R、RおよびRは、モノ、ジ、トリ、またはテトラ置換を表してもよく、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、水素または重水素でない。隣接する2個の置換基R、R、R、R4、、RおよびRは、場合によって、結合して縮合環を形成する。Xは、O、SおよびSeからなる群から選択され、mは1または2である。
【0024】
一態様において、第1の素子は消費者製品である。別の態様において、第1の素子は有機発光素子である。一態様において、第1の素子は、照明パネルを含む。
【0025】
一態様では、有機層は発光層であり、化合物は非発光ドーパントである。一態様では、有機層はホストをさらに含む。
【0026】
一態様では、ホストは、ベンゾ縮合チオフェンまたはベンゾ縮合フランを含むトリフェニレンを含み、この場合、ホスト中の任意の置換基は、C2n+1、OC2n+1、OAr、N(C2n+1、N(Ar)(Ar)、CH=CH−C2n+1、C≡CHC2n+1、Ar、Ar−Ar、C2n−Arからなる群から独立して選択される縮合していない置換基、または無置換である。ArおよびArは、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール、およびそのヘテロ芳香族類似体からなる群から独立して選択され、nは1から10である。
【0027】
一態様では、ホストには、式
【化5】

がある。
【0028】
一態様では、ホストは、
【化6】

およびその組み合わせからなる群から選択される。
【0029】
一態様では、ホストは金属錯体である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】有機発光素子を示す図である。
【図2】別個の電子輸送層を有しない倒置型有機発光素子を示す図である。
【図3】式Iの化合物を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
一般に、OLEDは、アノードとカソードとの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が流されると、有機層(複数可)に、アノードは正孔を注入し、カソードは電子を注入する。注入された正孔と電子はそれぞれ、反対に帯電した電極に向かって移動する。電子と正孔が同じ分子上に局在化すると、励起エネルギー状態を有する局在化された電子−正孔対である「励起子」が形成される。励起子が発光機構経由で緩和するときに光が発せられる。いくつかの場合には、励起子は、エキシマーまたはエキシプレックス上に局在化され得る。非放射機構、例えば、熱緩和も起こり得るが、一般には好ましくないと考えられる。
【0032】
初期のOLEDは、例えば、その全体が参照によって組み込まれる米国特許第4,769,292号に記載されているように、一重項状態から光を発する(「蛍光」)発光性分子を用いていた。蛍光発光は、一般に、10ナノ秒未満の時間フレームで起こる。
【0033】
より最近、三重項状態から光を発する(「燐光」)発光材料を有するOLEDが実証された。Baldo et al.,“Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices”, Nature, vol. 395, 151−154, 1998 (“Baldo−I”); および、Baldo et al.,“Very high−efficiency green organic light−emitting devices based on electrophosphorescence”, Appl. Phys. Lett., vol. 75, No. 3, 4−6 (1999) (“Baldo−II”)、これらは参照によってその全体が組み込まれる。燐光は、米国特許第7,279,704号明細書第5〜6欄により詳細に記載されており、これらは参照によって組み込まれる。
【0034】
図1は有機発光素子100を示す。この図は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。素子100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子遮断層130、発光層135、正孔遮断層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、およびカソード160を含むことができる。カソード160は、第1の導電層162および第2の導電層164を有する複合カソードである。素子100は、記載された層を順次堆積させることによって作製できる。これらの様々な層の特性および機能ならびに例示の材料は、米国特許第7,279,704号明細書第6〜10欄により詳細に記載されており、これらは参照によって組み込まれる。
【0035】
これらの層のそれぞれについてより多くの例が得られている。例えば、可撓性でかつ透明な基材−アノードの組み合わせが米国特許第5,844,363号に開示されており、これはその全体が参照によって組み込まれる。p型ドープ正孔輸送層の例は、その全体が参照によって組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号に記載されているように、50:1のモル比で、F4−TCNQでドープしたm−MTDATAである。発光材料およびホスト材料の例は、Thompsonらの米国特許第6,303,238号に開示されており、これはその全体が参照によって組み込まれる。n型ドープ電子輸送層の例は、その全体が参照によって組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号に記載されているように、1:1のモル比でLiでドープしたBPhenである。米国特許第5,703,436号および同5,707,745号(これらはその全体が参照によって組み込まれる)は、上に重ねた透明な電気伝電性のスパッタリング堆積したITO層を有するMg:Agなどの金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。遮断層の理論と使用は、米国特許第6,097,147号および米国特許出願公開第2003/0230980号に、より詳細に記載されており、これらはその全体が参照により組み込まれる。注入層の例は、米国特許出願公開第2004/0174116号に提供されており、これはその全体が参照によって組み込まれる。保護層の記載は、米国特許出願公開第2004/0174116号に見ることができ、その全体が参照によって組み込まれる。
【0036】
図2は倒置型OLED200を示す。この素子は、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、およびアノード230を含む。素子200は、記載された層を順に堆積させることによって作製できる。最も一般的なOLEDの構成はアノードの上方に配置されたカソードを有し、素子200はアノード230の下方に配置されたカソード215を有するので、素子200を「倒置型」OLEDとよぶことができる。素子100に関して記載したものと同様の材料を、素子200の対応する層に使用することができる。図2は、素子100の構造からいくつかの層をどのように省けるかの1つの例を提供している。
【0037】
図1および2に例示されている単純な層構造は非限定的な例として提供され、本発明の実施形態は種々様々な他の構造と関連して使用できることが理解される。記載された具体的な材料および構造は事実上例示であり、その他の材料および構造も使用できる。設計、性能、およびコスト要因に基づいて、機能的なOLEDは、異なるやり方で記載された様々な層を組み合わせることによって達成でき、または、いくつかの層は完全に省くことができる。具体的には記載されていない他の層を含むこともできる。具体的に記載したもの以外の材料が使用されてもよい。本明細書に提供される例の多くは単一の材料を含むものとして様々な層を記載しているが、材料の組み合わせ、例えば、ホストおよびドーパントの混合物、または、より一般的には混合物を用いてもよいことが理解される。また、層は、様々な副層(sublayer)を有していてもよい。本明細書において様々な層に与えられた名称は、厳密に限定することを意図するものではない。例えば、素子200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、かつ発光層220に正孔を注入するので、正孔輸送層として、または正孔注入層として記載されてもよい。一実施形態において、OLEDは、カソードとアノードとの間に配置された「有機層」を有するものとして記載できる。この有機層は、単一の層を含むか、または、例えば図1および2に関連して記載したように、異なる有機材料の複数の層をさらに含むことができる。
【0038】
Friendらの米国特許第5,247,190号(これはその全体が参照によって組み込まれる)に開示されているようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)などの、具体的に記載されていない構造および材料も使用することができる。さらなる例として、単一の有機層を有するOLEDを使用することができる。OLEDは、例えば、Forrestらの米国特許第5,707,745号(これはその全体が参照によって組み込まれる)に記載されているように積み重ねてもよい。OLEDの構造は、図1および2に示されている単純な層構造から逸脱していてもよい。例えば、基板は、光取り出し(out−coupling)を向上させるために、Forrestらの米国特許第6,091,195号(これはその全体が参照によって組み込まれる)に記載されているメサ構造、および/またはBulovicらの米国特許第5,834,893号(これはその全体が参照によって組み込まれる)に記載されているピット構造などの、角度の付いた反射面を含んでいてもよい。
【0039】
特に断らないかぎり、様々な実施形態の層のいずれも、何らかの適切な方法によって堆積することができる。有機層については、好ましい方法には、熱蒸着(thermal evaporation)、インクジェット(例えば、米国特許第6,013,982号および同6,087,196号(これらはその全体が参照によって組み込まれる)に記載されている)、有機気相成長(OVPD)(例えば、Forrestらの米国特許第6,337,102号(これはその全体が参照によって組み込まれる)に記載されている)、ならびに有機気相ジェット印刷(organic vapor jet printing、OVJP)による堆積(例えば、米国特許出願第10/233,470号(これはその全体が参照によって組み込まれる)に記載されている)が含まれる。他の適切な堆積方法には、スピンコーティングおよびその他の溶液系プロセスが含まれる。溶液系プロセスは、好ましくは、窒素または不活性雰囲気中で実施される。その他の層については、好ましい方法には熱蒸着が含まれる。好ましいパターニング方法には、マスクを通しての蒸着、圧接(cold welding)(例えば、米国特許第6,294,398号および同6,468,819号(これらはその全体が参照によって組み込まれる)に記載されている)、ならびにインクジェットおよびOVJDなどの堆積方法のいくつかに関連するパターニングが含まれる。その他の方法も用いることができる。堆積される材料は、それらを特定の堆積方法に適合させるために修正されてもよい。例えば、分枝したまた分枝していない、好ましくは少なくとも3個の炭素を含むアルキルおよびアリール基などの置換基を、溶液加工性を高めるために、小分子に用いることができる。20個以上の炭素を有する置換基を用いてもよく、3〜20炭素が好ましい範囲である。非対称構造を有する材料は対称構造を有するものよりも良好な溶液加工性を有し得るが、これは、非対称材料がより小さい再結晶化傾向を有し得るからである。デンドリマー置換基は、小分子が溶液加工を受ける能力を高めるために用いることができる。
【0040】
本発明の実施形態により作製された素子は、種々様々な消費者製品に組み込むことができ、これらの製品には、フラットパネルディスプレイ、コンピューターモニター、医療のモニター、テレビ、広告板、室内もしくは屋外の照明および/または信号灯、ヘッドアップディスプレイ、完全に透明なディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話機、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピューター、デジタルカメラ、カムコーダー、ビューファインダー、マイクロディスプレイ、乗り物、大面積壁面、劇場または競技場スクリーン、または標識が含まれる。パッシブマトリクスおよびアクティブマトリクスを含む様々な制御機構を用いて、本発明にしたがって作製された素子を制御できる。素子の多くは、18℃から30℃、より好ましくは室温(20〜25℃)などの、人にとって快適な温度範囲において使用することが意図されている。
【0041】
本明細書に記載される材料および構造は、OLED以外の素子における用途を有し得る。例えば、有機太陽電池および有機光検出器などの他のオプトエレクトロニクス素子は、これらの材料および構造を用いることができる。より一般的には、有機トランジスターなどの有機素子は、これらの物質および構造を用いることができる。
【0042】
ハロ、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールキル(arylkyl)、ヘテロ環基、アリール、芳香族基、およびヘテロアリールという用語は、当分野で公知であり、米国特許第7,279,704号明細書第31〜32欄で定義されており、これは参照によって本明細書に組み込まれる。
【0043】
式:
【化7】

式Iの化合物が提供される。式Iの化合物では、R、R、R、R4、、RおよびRは、水素、重水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびその組み合わせからなる群から独立して選択される。R、RおよびRは、モノ、ジ、トリ、またはテトラ置換を表してもよく、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、水素または重水素でない。隣接する2個の置換基R、R、R、R4、、RおよびRは、場合によって、結合して縮合環を形成する。Xは、O、SおよびSeからなる群から選択され、mは1または2である。
【0044】
予想外にも、1つまたは複数のRからR位のアルキル置換が、望ましい特性を持った式Iの化合物を結果として生じることを発見した。この特性によって、式Iの化合物を組み込んだOLED素子は、効率が高いおよび寿命が長いというように特性を改善することができる。1つまたは複数のRからR位のアルキル置換はまた、これらの化合物が、RからRが残らず水素置換した化合物より分子量が高いにもかかわらず、昇華温度が低い化合物を結果として生じる。理論によって束縛されるものではないが、この昇華温度の低下は、固体状態で減少したまたはそれほど有効のよくない分子積層の結果であり、結晶格子を妨害するのに必要とするエネルギーを減少させ、結果として昇華温度が低下し得ると考えられる。昇華温度が低いことにより、有利にも、式Iの化合物の精製がより容易になり製造時に熱的安定性が良好になる。
【0045】
別の実施形態では、本化合物は、10−7から10−8トールの範囲の圧力で昇華温度が約180℃から約240℃である。
【0046】
一実施形態では、Rはアルキルである。一実施形態では、RおよびRはアルキルである。一実施形態では、RおよびRはアルキルである。一実施形態では、RおよびRはアルキルである。一実施形態では、XはOである。一実施形態では、RおよびRは水素である。一実施形態では、mは2である。別の実施形態では、Rはモノアルキル置換を表し、RはNに対してパラである。
【0047】
一実施形態では、R、R、RおよびRは、メチル、CH(CHおよびフェニルからなる群から独立して選択される。一実施形態では、R、R、RおよびRは、アルキル、水素、および重水素からなる群から独立して選択される。
【0048】
一実施形態では、本化合物に
【化8】

式IIがある。
【0049】
一実施形態では、本化合物は、
【0050】
【化9】

【0051】
【化10】

【0052】
【化11】

【0053】
【化12】

【0054】
【化13】

【0055】
【化14】

【0056】
【化15】

【0057】
【化16】

【0058】
一実施形態では、本化合物は、
【化17】

【0059】
【化18】

【0060】
一実施形態では、第1の素子が提供される。本素子は、第1の有機発光素子を含み、これは、アノード、カソード、アノードとカソードとの間に配置された、式I:
【化19】

式Iの化合物を含む有機層をさらに含む。式Iの化合物では、R、R、R、R4、、RおよびRは、水素、重水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびその組み合わせからなる群から独立して選択される。R、RおよびRは、モノ、ジ、トリ、またはテトラ置換を表してもよく、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、水素または重水素でない。隣接する2個の置換基R、R、R、R4、、RおよびRは、場合によって、結合して縮合環を形成する。Xは、O、SおよびSeからなる群から選択され、mは1または2である。
【0061】
一実施形態において、第1の素子は消費者製品である。別の実施形態において、第1の素子は有機発光素子である。一態様において、第1の素子は照明パネルを含む。
【0062】
一実施形態では、有機層は発光層であり、化合物は非発光ドーパントである。一実施形態では、有機層は、ホストをさらに含む。
【0063】
一実施形態では、ホストは、ベンゾ縮合チオフェンまたはベンゾ縮合フランを含むトリフェニレンを含み、この場合、ホスト中の任意の置換基は、C2n+1、OC2n+1、OAr、N(C2n+1、N(Ar)(Ar)、CH=CH−C2n+1、C≡CHC2n+1、Ar、Ar−Ar、C2n−Arからなる群から独立して選択される縮合していない置換基、または無置換である。ArおよびArは、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール、およびそのヘテロ芳香族類似体からなる群から独立して選択され、nは1から10である。
【0064】
一実施形態では、ホストには、式
【化20】

がある。
【0065】
一実施形態では、ホストは、
【化21】

【化22】

およびその組み合わせからなる群から選択される。
【0066】
一態様では、ホストは金属錯体である。
【0067】
素子の実施例
【0068】
例示の素子はすべて、高真空(<10−7トール)熱蒸着によって作製した。アノード電極は、インジウム錫オキシド(ITO)の1200Åである。カソードは、10ÅのLiF、続いて1,000ÅのAlで構成される。素子はすべて、製作直後に窒素グローブボックス(<1ppmのHOおよびO)中でエポキシ樹脂で密封したガラス蓋でカプセル化し、また、水分ゲッターをパッケージ内に組み込んだ。
【0069】
素子の実施例の有機スタックは、連続して、ITO面から、正孔注入層(HIL)である100Åの化合物BまたはC、正孔輸送層(HTL)である300Åの4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPD)、発光層(EML)である7、10、13重量%のIr燐光性化合物を含む、ホストとしての化合物D中にドープされた300Åの本発明の化合物、遮断層(BL)である50Åの化合物D、ETLである450ÅのAlq(トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム)からなっていた。化合物AまたはBをEMLに発光体として使用するという点を除いて、化合物AおよびBを含む比較例は、素子の例と同様に作製した。
【0070】
素子構造およびデータは、素子から表1、表2および表3に要約される。本明細書に使用される場合、化合物A、B、C、Dには、以下の構造がある。
【化23】

【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
表2は、素子データの要約である。発光効率(LE)、外部量子効率(EQE)および出力効率(PE)は、1000ニットで測定されるが、寿命(LT80%)は、素子が40mA/cmの定電流密度下でその初期輝度の80%まで衰えるのに必要な時間として定義された。
【0074】
素子の結果の表2から、3つのドーピング濃度7%、10%、13%の化合物2の外部量子効率(EQE)は、18%、18.6%、17.9%であり、これはいずれも、ドーピング濃度が上記と同じ場合の比較化合物Aの対応するEQEがそれぞれ、15.9%、15.4%および14.1%より効率的であることがわかる。比較化合物Aは、R位でのアルキル基を欠く。これはまた、発光効率(LE)にも当てはまる。同様に、比較化合物AおよびBと比較した場合、化合物1、3、4および5について、EQEおよびLEがより高いことが認められた。加えて、化合物2および1のLT80%での寿命は、様々なドーピング濃度での比較化合物AおよびBより有意に長い。
【0075】
【表3】

【0076】
表3は、式Iの化合物の昇華温度に対する、RからRの1つの位置でのアルキル化の影響を説明する。化合物1、2、4および5といった式Iの化合物は、比較化合物Aのアルキル化類似体である。化合物1、2、4および5の昇華温度は、比較化合物Aより有意に低い。検討したように、この化合物の昇華温度がより低いことは、固体状態での分子積層を阻止し、分子間相互作用を低減し、昇華温度を低下させ得るアルキル化に起因し得る。この所望の素子の結果は、素子寿命、効率および昇華温度の点で、比較化合物Aのジベンゾフランフラグメント上のアルキル置換が素子の性能を有意に改善することを示す。
他の材料との組み合わせ
【0077】
有機発光素子中の特定の層に有用なものとして本明細書に記載される材料は、素子中に存在する種々様々なその他の材料と組み合わせて使用されてもよい。例えば、本明細書に開示される発光ドーパントは、種々様々なホスト、輸送層、遮断層、注入層、電極および存在し得るその他の層と組み合わせて使用されてもよい。以下に記載される、または言及される材料は、本明細書に開示される化合物と組み合わせて有用であり得る材料の非限定的な例であり、当業者は、組み合わせて有用であり得る他の材料を特定するために容易に文献を調べることができる。
HIL/HTL:
【0078】
本発明において使用される正孔注入/輸送材料は、特に限定されず、化合物が正孔注入/輸送材料として通常使用される限り、任意の化合物を使用することができる。材料の例は、フタロシアニンまたはポルフィリン*porphryin誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フロオロハイドロカーボン含有ポリマー;伝導性ドーパントを含むポリマー;PEDOT/PSSなどの導電ポリマー;ホスホン酸およびシラン*sliane誘導体などの化合物に由来する自己組織化モノマー;MoOなどの金属酸化物誘導体;1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルなどのp型半導体有機化合物;金属錯体、および架橋性化合物を含むが、これらに限定されない。
【0079】
HILまたはHTL中に使用される芳香族アミン誘導体の例は、以下の一般構造を含むが、これらに限定されない。
【化24】

【0080】
ArからArのそれぞれは、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレンなどの芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジンおよびセレノフェノジピリジンなどの芳香族複素環式化合物からなる群;および芳香族炭化水素環式基および芳香族複素環基から選択される同一型または異なる型の基であり、直接に、または、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、シリコン原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位および脂肪族環式基の少なくとも1つを経由して互いに結合されている、2から10の環式構造単位からなる群から選択される。ここで、各Arは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、およびその組み合わせからなる群から選択される置換基によってさらに置換されている。
【0081】
一態様において、ArからArは、
【化25】

からなる群から独立して選択される
【0082】
kは、1から20までの整数であり;XからXは、C(CHを含む)またはNであり;
Arは、上記の定義と同一の基である。
【0083】
HILまたはHTLにおいて使用される金属錯体の例は、下記一般式を含むが、これらに限定されない。
【化26】

【0084】
Mは、40を超える原子量を有する金属であり;(Y−Y)は二座配位子、YおよびYは、C、N、O、PおよびSから独立して選択され;Lは補助配位子であり;mは、金属に結合し得る配位子の1から最大数までの整数値であり;また、m+nは、金属に結合し得る配位子の最大数である。
【0085】
一態様において、(Y−Y)は、2−フェニルピリジン誘導体である。
【0086】
別の態様において、(Y−Y)はカルベン配位子である。
【0087】
別の態様において、Mは、Ir、Pt、OおよびZnから選択される。
【0088】
さらなる態様において、金属錯体は、溶液中でFc/Fc対に対して約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
ホスト:
【0089】
本発明の有機EL素子の発光層は、好ましくは光発光材料としての金属錯体を少なくとも含み、ドーパント材料として金属錯体を使用するホスト材料を含んでもよい。ホスト材料の例は特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントのそれより大きい限り、任意の金属錯体または有機化合物を使用することができる。下表は様々な色を放出する素子に好ましいホスト材料を分類しているが、三重項基準が満たされる限り、任意のホスト材料を任意のドーパントとともに使用することができる。
【0090】
ホストとして使用される金属錯体の例は、下記一般式を有することが好ましい。
【化27】

【0091】
Mは金属であり;(Y−Y)は二座配位子であり、YおよびYは、独立してC、N、O、PおよびSから選択され;Lは補助配位子であり;mは、金属に結合し得る配位子の1から最大数までの整数値であり;また、m+nは、金属に結合し得る配位子の最大数である。
【0092】
一態様において、金属錯体は次の通りである。
【化28】

【0093】
(O−N)は、原子OおよびNに金属を配位させる二座配位子である。
【0094】
別の態様において、Mは、IrおよびPtから選択される。
【0095】
さらなる態様において、(Y−Y)は、カルベン配位子である。
【0096】
ホストとして使用される有機化合物の例は、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレンなどの芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジンおよびセレノフェノジピリジンなどの芳香族複素環式化合物からなる群;および芳香族炭化水素環式基および芳香族複素環基から選択される同一型または異なる型の基であり、直接に、または、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、シリコン原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位および脂肪族環式基の少なくとも1つを経由して互いに結合されている、2から10の環式構造単位からなる群から選択される。ここで、各基は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、およびその組み合わせからなる群から選択される置換基によってさらに置換されている。
【0097】
一態様において、ホスト化合物は、分子中に以下の基の少なくとも1つを含む。
【化29】

【0098】
からRは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、およびその組み合わせからなる群から独立して選択され、それがアリールまたはヘテロアリールである場合、上に言及したAr′と同様の定義を有する。
【0099】
kは、0から20までの整数である。
【0100】
からXは、C(CHを含む)またはNから選択される。ZおよびZは、NR、OまたはSから選択される。
HBL:
【0101】
正孔遮断層(HBL)は、発光層を離れる正孔および/または励起子の数を減少させるために使用することができる。遮断層を欠く同様の素子と比較して、素子中にそのような遮断層が存在すると、実質的により高い効率をもたらし得る。また、遮断層は、OLEDの所望の領域に放出を閉じ込めるために用いることができる。
【0102】
一態様において、HBLにおいて使用される化合物は、上記のホストとして使用される同じ分子または同じ官能基を含む。
【0103】
別の態様において、HBLにおいて使用される化合物は、分子中に以下の基の少なくとも1つを含む。
【化30】

【0104】
kは、0から20までの整数であり;Lは補助配位子であり、mは、1から3までの整数である。
ETL:
【0105】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することができる材料を含むことができる。電子輸送層は、固有である(ドープしていない)か、またはドープされていてもよい。ドーピングは伝導性を増強するために使用することができる。ETL材料の例は特に限定されず、それらが電子を輸送するために通常使用される限り、任意の金属錯体または有機化合物が使用されてもよい。
【0106】
一態様において、ETLにおいて使用される化合物は、分子中に以下の基の少なくとも1つを含む。
【化31】

【0107】
は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、およびその組み合わせからなる群から選択され、それがアリールまたはヘテロアリールである場合、上に言及したAr′と同様の定義を有する。
【0108】
ArからArは、上に言及したAr′と同様の定義を有する。
【0109】
kは、0から20までの整数である。
【0110】
からXは、C(CHを含む)またはNから選択される。
【0111】
別の態様において、ETLにおいて使用される金属錯体は、下記一般式を含むが、これらに限定されない。
【化32】

【0112】
(O−N)または(N−N)は、原子O、NまたはN、Nに金属を配位させる二座配位子である。Lは補助配位子であり;mは、金属に結合し得る配位子の1から最大数までの整数値である。
【0113】
OLED素子の各層において使用される任意の上記化合物において、水素原子を部分的にまたは完全に重水素化することができる。
【0114】
本明細書に開示される材料に加えて、および/または、それらと組み合わせて、多くの正孔注入材料、正孔輸送材料、ホスト材料、ドーパント材料、励起子*exiton/正孔遮断層材料、電子輸送および電子注入材料が、OLEDにおいて使用されてもよい。本明細書において開示される材料と組み合わせてOLEDにおいて使用されてもよい材料の非限定的な例は、以下の表4に列挙される。表4は、非限定的な種類の材料、各種類についての非限定的な化合物の例、および材料を開示している参考文献を列挙している。
【0115】
【表4】

【0116】
【表5】

【0117】
【表6】

【0118】
【表7】

【0119】
【表8】

【0120】
【表9】

【0121】
【表10】

【0122】
【表11】

【0123】
【表12】

【0124】
【表13】

【0125】
【表14】

【0126】
【表15】

【0127】
【表16】

【0128】
【表17】

【0129】
【表18】

【0130】
【表19】

【0131】
【表20】

【0132】
【表21】

【0133】
【表22】

【0134】
【表23】

【0135】
【表24】

【0136】
【表25】

【0137】
【表26】

【0138】
【表27】

【0139】
【表28】

【0140】
【表29】

【0141】
【表30】

【0142】
実験
【0143】
この文書の全体にわたって使用される化学の短縮形は以下のとおりである。Cyはシクロヘキシルであり、dbaはジベンジリデンアセトンであり、EtOAcは酢酸エチルであり、DMEはジメトキシエタンであり、dppeは1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンであり、THFはテトラヒドロフランであり、DCMはジクロロメタンであり、S−Phosはジシクロヘキシル(2′,6′−ジメトキシ−[1,1′−ビフェニル]−2−イル)ホスフィンである。
【0144】
化合物1の合成
【化33】

【0145】
4−ヨードベンゾ[b,d]フランの合成:1L丸底フラスコに、−78℃に冷却した300mLTHF中の2,4−ジベンゾ[b,d]フラン(25g、149mmol)を装填した。n−ブチルリチウム(102mL、164mmol)をフラスコに非常にゆっくり添加した。反応物は室温まで温め、5時間撹拌した。続いて、反応物は−78℃に冷却し直した。50mLのTHFに溶解したヨウ素の溶液(37.7g、149mmol)を、反応物に非常にゆっくり添加した。反応物を室温まで終夜温めた。水性重炭酸ナトリウム(300mL)を反応物に添加した。層の分離後、水層を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。真空下で溶媒を除去した後、粗の生成物を、カラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン中3%の酢酸エチル、v/v)にかけ、次いで、ヘキサンから結晶化して、30gの純粋な生成物(68.6%)を得た。
【化34】

【0146】
4−メチルジベンゾ[b,d]フランの合成:4−ヨードジベンゾ[b,d]フラン(10g、34.0mmol)およびリン酸カリウム(23.49g、102mmol)を、トルエン200mLおよび水20mLに溶解した。反応物は20分間窒素でパージし、次いで、2,4,6−トリメチル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン(5.34mL、5.94mmol)、Pd(dba)(0.311g、0.34mmol)およびS−Phos(0.558g、1.36mmol)を添加した。反応物を18時間還流した。反応物を室温に冷却させた後、水100mLを添加し、有機層および水層を分離し、水層をトルエン100mLで2度抽出した。有機層は、シリカゲルの筒に通してDCMで溶出した。溶媒を蒸発させた後、粗の生成物を、カラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン中3%の酢酸エチルからヘキサン中5%の酢酸エチル、v/v)にかけ、6g(96.7%)の純粋な生成物を得、これはGCで確認した。
【化35】

【0147】
(6−メチルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ボロン酸の合成:n−ブチルリチウム(51.4mL、82mmol)を、−78℃の4−メチルジベンゾ[b,d]フラン(4-methylldibenzo[b,d]furan)(6g、32.9mmol)の100mL乾燥THF中の溶液にゆっくり添加した。反応物は室温まで5時間撹拌し、次いで、−78℃に冷却し直した。ホウ酸トリメチル(12.85mL、115mmol)を、反応混合物に非常にゆっくり添加した。反応物を室温まで終夜温め、次いで、氷を含むNHOH溶液100mLへ注いだ。混合物を3x100mLの酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した。生成物は、DCM/ヘキサンから結晶化して6.5g(87%)を得、これはNMRによって確認した。
【化36】

【0148】
2−(6−メチルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ピリジンの合成:(6−メチルジベンゾ[b,d]フラン−4−イルボロン酸(6.4g、28.3mmol)およびリン酸カリウム(19.56g、85mmol)を、フラスコ中でトルエン200mL、および水20mLに溶解した。反応物を20分間窒素でパージし、次いで、2−クロロピリジン(2.66mL、28.3mmol)、Pd(dba)(0.778g、0.849mmol)およびS−Phos(1.046g、2.55mmol)を添加した。反応物を18時間還流した。室温に反応物を冷却した後、水50mLを混合物に添加し、有機層および水層を分離した。水層をDCM100mLで2度抽出した。有機層をシリカゲルの筒に通してDCMで溶出させた。溶媒を蒸発させた後、粗の生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン中5%の酢酸エチルからヘキサン中10%の酢酸エチル、v/v)にかけた。生成物は、第2のカラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン中50から100%のDCM、v/v)にかけ、3gの純粋な生成物(40.9%)を得た。
【化37】

【0149】
化合物1の合成:トリフルオロメタンスルホン酸イリジウム錯体(2.8g、3.85mmol)および2−(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ピリジン(2.99g、11.54mmol)のEtOH(25mL)およびMeOH(25mL)中混合物を窒素雰囲気下に20時間還流した。反応混合物を室温に冷却し直し、エタノールで希釈し、セライト(登録商標)を添加した。混合物を10分間撹拌し、小さいシリカゲル筒で濾過し、エタノール(3〜4回)およびヘキサン(3〜4回)で洗浄した。濾液は廃棄した。次いで、セライト(登録商標)/シリカ筒をジクロロメタンで洗浄し、生成物を溶出させた。粗の生成物をシリカゲル(ヘキサン中20%のトリエチルアミンで前処理した)でヘキサン中30%のDCMを用いてクロマトグラフィ処理した。生成物はヘキサンから結晶化し、昇華によってさらに精製して、0.6gの化合物1(20.5%)を得、これはLC/MSによって確認した。
【0150】
化合物2の合成
【化38】

【0151】
4−(プロパ−1−エン−2−イル)ジベンゾ[b,d]フランの合成:4−ヨードジベンゾ[b,d]フラン(25g、85.0mmol)およびリン酸カリウム(58.7g、255mmol)を、トルエン500mLおよび水50mLに溶解した。反応物を20分間窒素でパージし、次いで、4,4,5,5−テトラメチル−2−(プロパ−1−エン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボロラン(15.98mL、85mmol)、Pd(dba)(1.55g、1.7mmol)およびS−Phos(2.79g、6.8mmol)を添加した。反応物は18時間還流した。室温に反応物を冷却した後、水100mLを添加し、有機層および水層を分離し、水層は、酢酸エチル100mLで2度抽出した。有機層はシリカゲルの筒に通してDCMで溶出させた。溶媒を蒸発させた後、粗の生成物を、カラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン中3%の酢酸エチルからヘキサン中5%の酢酸エチル、v/v)にかけ、14.5gの純粋な生成物(82%)を得た。
【化39】

【0152】
4−イソプロピルジベンゾ[b,d]フランの合成:4−(プロパ−1−エン−2−イル)ジベンゾ[b,d]フラン(14.5g、69.6mmol)を、EtOH(100mL)を含む水素化瓶に添加した。反応混合物は10分間Nを泡立たせることにより脱気した。Pd/C(1.14g、1.39mmol)およびPt/C(2.72g、0.7mmol)を添加した。反応混合物を、Parr水素化装置に2時間置いた(H〜72psi、計算に基づく)。反応混合物を堅く充填したセライト(登録商標)床で濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。GC/MSによって完全転換を確認した。粗の生成物をシリカゲルでヘキサン中2%のDCM(v/v)を用いてクロマトグラフィー処理し、10.9gの所望の生成物(74%)を得た。生成物はGC/MSによって確認した。
【化40】

【0153】
(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ボロン酸の合成:n−ブチルリチウム(81mL、130mmol)を、−78℃の100mL乾燥THF中の4−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン(10.9g、51.8mmol)にゆっくり添加した。混合物は室温で5時間撹拌し、次いで、−78℃に冷却し直した。ホウ酸トリメチル(20.23mL、181mmol)を反応物にゆっくり添加し、反応物を室温まで終夜暖めた。反応物を、氷を含む100mLNHOH溶液へ注いだ。混合物を3x100mL酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させてDCM/ヘキサンから結晶化し、10.1gの所望の生成物(77%)を得、これはNMRによって確認した。
【化41】

【0154】
2−(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ピリジンの合成:(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ボロン酸およびリン酸カリウム(10.88g、47.2mmol)をトルエン200mLおよび水20mLに溶解した。反応物は20分間窒素でパージし、次いで、2−クロロピリジン(1.481mL、15.74mmol)、Pd(dba)(0.432g、0.472mmol)およびS−Phos(0.582g、1.417mmol)を添加した。反応物は18時間還流した。室温に反応物を冷却した後、水50mLを添加し、有機層および水層を分離し、水層を酢酸エチル100mLで2度抽出した。有機層をシリカゲルの筒に通してDCMで溶出させた。溶媒を蒸発させた後、粗の生成物を、カラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン中5%の酢酸エチルからヘキサン中10%の酢酸エチル、v/v)にかけ、2.3g(50.8%)の純粋な生成物を得た。
【化42】

【0155】
化合物2の合成:トリフルオロメタンスルホン酸イリジウム錯体(1.8g、2.47mmol)および2−(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ピリジン(2.13g、7.42mmol)のEtOH(25mL)およびMeOH(25mL)中混合物を窒素雰囲気下に20時間還流した。反応混合物を室温に冷却し直し、エタノールで希釈した。セライト(登録商標)を添加し、混合物を10分間撹拌した。混合物を小さいシリカゲル筒で濾過し、エタノール(3〜4回)およびヘキサン(3〜4回)で洗浄した。濾液は廃棄した。次いで、セライト(登録商標)/シリカ(r)筒をジクロロメタンで洗浄し、生成物を溶出させた。粗の生成物をシリカゲルでヘキサン中33%のDCM(v/v)を用いてクロマトグラフィー処理した。生成物をヘキサン/酢酸エチルから結晶化し、昇華して、0.6gの化合物2(30.8%)を得、これはLC/MSによって確認した。
【0156】
化合物3の合成
【化43】

【0157】
4−フェニルジベンゾ[b,d]フランの合成:4−ヨードジベンゾ[b,d]フラン(4g、13.60mmol)、フェニルボロン酸(1.99g、16.32mmol)、ジシクロヘキシル(2′,6′−ジメトキシ−[1,1′−ビフェニル]−2−イル)ホスフィン、Pd(dba)(0.250g、0.272mmol)、KPO(10.1g、47.6mmol)、150mLトルエンおよび15mL水を250mLフラスコに充填した。反応混合物は30分間Nを泡立たせることにより脱気し、次いで、N下で終夜加熱還流した。反応物を室温に冷却し、粗の生成物をシリカゲルカラムによって精製し、3.3g(99%)を得、これはGC−MSによって確認した。
【化44】

【0158】
(6−フェニルジベンゾ[b,d]フラン−4yl)ボロン酸の合成:n−ブチルリチウム(13.51mL、33.8mmol)を、−78℃の80mL乾燥THF中の4−フェニルジベンゾ[b,d]フラン(3.3g、13.51mmol)に滴下添加した。反応物混合物を室温で5時間撹拌し、次いで、再び−78℃に冷却した。ホウ酸トリメチル(4.52mL、40.5mmol)を反応物にゆっくり添加した。撹拌しながら反応混合物を室温にまで徐々に終温暖めた。混合物は氷を含むNHOH溶液50mLへ注いだ。水性混合物を3x80mL酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、有機層を蒸発させて、3.3g(85%)の生成物を得、これは精製なしで使用し、NMRによって確認した。
【化45】

【0159】
2−(6−フェニルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ピリジンの合成:(6−フェニルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ボロン酸(3.3g、11.45mmol)およびリン酸カリウム(6.63g、31.2mmol)をトルエン150mlおよび水15mLに溶解した。反応物を20分間窒素でパージし、次いで、2−ブロモピリジン(1.64g、10.4mmol)、Pd(dba)(0.2g、0.208mmol)およびS−Phos(0.342g、0.833mmol)を添加した。反応物を18時間還流した。冷却後、水50mLを添加し、有機層および水層を分離し、水層は酢酸エチル100mLで2度抽出した。有機層はシリカゲルの筒に通した。溶媒を蒸発させた後、粗の生成物をカラムクロマトグラフィーにかけ、2.5g(75%)の純粋な生成物を得た。
【化46】

【0160】
化合物3の合成:トリフルオロメタンスルホン酸イリジウム錯体(1.5g、2.0mmol)および2−(6−フェニルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ピリジン(2.0g,6.22mmol)のEtOH50mL中混合物を窒素雰囲気下に48時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、エタノールで希釈した。セライト(登録商標)を添加し、混合物を10分間撹拌した。混合物を小さいシリカゲル筒で濾過し、エタノール(3〜4回)およびヘキサン(3〜4回)で洗浄した。濾液は廃棄した。次いで、セライト(登録商標)/シリカ筒をジクロロメタンで洗浄し生成物を溶出させた。粗の生成物をシリカゲルでヘキサン(v/v)中60%のDCMを用いてクロマトグラフィー処理し、1.5gの化合物3(88%)を得、これはLC/MSによって確認した。
【0161】
化合物4の合成
【化47】

【0162】
2−(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−4−クロロピリジンの合成:(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ボロン酸(6-isopropylldibenzo[b,d]furan-4-yl) boronic acid)(12g、47.2mmol)および炭酸カリウム(19.58g、142mmol)を100mLDMEおよび100mL水に溶解した。反応物は20分間窒素でパージし、次いで、2,4−ジクロロピリジン(5.61mL、52mmol)、Pd(PPh(1.637g、1.417mmol)を添加した。反応物を5時間還流した。室温へ反応物を冷却し直した後、有機層および水層を分離し、水層は、酢酸エチル100mLで2度抽出した。溶媒を蒸発させた後、粗の生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン中30〜60%のDCM、v/v)にかけ、10.5g(70%)の純粋な生成物を得た。
【化48】

【0163】
2−(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−4−(プロパ−1−エン−2−イル)ピリジンの合成:4−クロロ−2−(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ピリジン(10.5g、32.6mmol)およびリン酸カリウム(potasium phosphate)(22.54g、98mmol)をトルエン500mLおよび水50mLに溶解した。反応物を20分間窒素でパージし、次いで、4,4,5,5−テトラメチル−2−(プロパ−1−エン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボロラン(6.13mL、32.6mmol)、Pd(dba)(0.598g、0.653mmol)およびジシクロヘキシル(2′,6′−ジメトキシ−[1,1′−ビフェニル]−2−イル)ホスフィン (1.072g、2.6mmol)を添加した。反応物は18時間還流した。室温に反応物を冷却した後、水100mLを反応混合物に添加した。水層を酢酸エチル100mLで2度抽出した。有機層はシリカゲルの筒に通してDCMで溶出させた。溶媒を蒸発させた後、粗の生成物を、カラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン中3%の酢酸エチルからヘキサン中5%の酢酸エチル、v/v)にかけ、6.3gの純粋な生成物(60.1%)を得た。
【化49】

【0164】
4−イソプロピル−2−(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ピリジンの合成:2−(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−4−(プロパ−1−エン−2−イル)ピリジン(8.33g、25.4mmol)を、EtOH(100mL)を含む水素化瓶に添加した。反応混合物は10分間Nを泡立たせることにより脱気した。Pd/C(0.812g、0.763mmol)およびPt/C(1.489g、0.382mmol)を添加した。反応混合物を2時間Parr水素化装置に置いた。反応混合物を堅く充填したセライト(登録商標)床で濾過す、ジクロロメタンで洗浄した。粗の生成物をシリカゲルでヘキサン中2%のDCM(v/v)を用いてクロマトグラフィー処理し、7.2gの所望の純粋な生成物(87%)を得、これはGC/MSによって確認した。
【化50】

【0165】
化合物4の合成:トリフルオロメタンスルホン酸イリジウム錯体(2.5g、3.44mmol)および4−イソプロピル−2−(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ピリジン(3.39g、10.31mmol)のEtOH(25mL)およびMeOH(25mL)中混合物を窒素雰囲気下に20時間還流した。反応混合物を室温に冷却し直し、エタノールで希釈した。10分間撹拌しながらセライト(登録商標)を混合物に添加した。混合物を小さいシリカゲル筒で濾過し、エタノール(3〜4回)およびヘキサン(3〜4回)で洗浄した。濾液は廃棄した。次いで、セライト(登録商標)/シリカ筒をジクロロメタンで洗浄し、生成物を溶出させた。粗の生成物を、シリカゲル(ヘキサン中20%のトリエチルアミンで前処理した)でヘキサン中40から100%のDCM(v/v)を用いてクロマトグラフィー処理した。生成物はDCM/ヘキサンから結晶化し、次いで昇華し、昇華後、1.37gの化合物4(48%)を得た。
【0166】
化合物5の合成
【化51】

【0167】
2−(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)4−メチルピリジンの合成:(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ボロン酸(5.5g、21.65mmol)およびリン酸カリウム(11.25g、64.9mmol)をトルエン80mLおよび水8mLに溶解した。反応物を20分間窒素でパージし、次いで、2−クロロピリジン(2.418ml、21.65mmol)、Pd(dba)(0.595g、0.649mmol)およびS−Phos(0.8g、1.948mmol)を添加した。反応物は18時間還流した。室温へ反応物を冷却し直した後、水50mLを反応混合物に添加した。水層をDCM100mLで2度抽出した。有機層はシリカゲルの筒に通してDCMで溶出させた。溶媒を蒸発させた後、粗の生成物を、カラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン中5%の酢酸エチルからヘキサン中10%の酢酸エチル、v/v)にかけ、4.3g(66%)の純粋な生成物を得た。
【化52】

【0168】
化合物5の合成:トリフルオロメタンスルホン酸イリジウム錯体(1.5g、2.06mmol)および2−フェニルピリジン(3g、6.18mmol)のEtOH(25mL)およびMeOH(25mL)中混合物を、窒素雰囲気下に20時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、エタノールで希釈し、セライト(登録商標)を添加し、混合物を10分間撹拌した。混合物を小さいシリカゲル筒で濾過し、エタノール(3〜4回)およびヘキサン(3〜4回)で洗浄した。濾液は廃棄した。次いで、セライト(登録商標)/シリカ筒をジクロロメタンで洗浄し、生成物を溶出した。粗の生成物をシリカゲルでヘキサン中70%のジクロロメタン(v/v)を用いてクロマトグラフィー処理し、0.45gの所望の生成物(28%)を得、これはLC/MSによって確認した。
【0169】
化合物6の合成
【化53】

【0170】
クロロ架橋ダイマーの合成:2−(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−4−イソプロピルピリジン(3.27g、9.92mmol)およびイリジウム(III)クロリド(1.66g、3.31mmol)を、窒素雰囲気下に、2−エトキシエタノール(45mL)および水(15mL)を含む200mLフラスコに入れた。結果として得られた反応混合物を130°Cで18時間還流した。室温へ冷却し直した後、反応混合物を濾過し、メタノールで3回、続いてヘキサンで3回洗浄した。得られた生成物は、真空下に乾燥し、2.5gの所望の生成物(60%)を得た。
【化54】

【0171】
トリフルオロメタンスルホン酸イリジウム塩の合成:イリジウムダイマー(2.5g、1.41mmol)をジクロロメタン300mLに溶解した。別個のフラスコに、トリフルオロメタンスルホン酸銀(I)(0.799g、3.11mmol)をMeOH(150mL)に溶解し、暗所で絶えず撹拌しながら室温でジクロロメタン溶液にゆっくり終夜添加した。反応混合物を、堅く充填したセライト(登録商標)床で上部を覆ったシリカゲルに通して濾過した。生成物は、溶媒の除去後、暗黄色の固体として得、2.5g(78%)を与えて、さらに精製をしないで使用した。
【化55】

【0172】
化合物6の合成:トリフルオロメタンスルホン酸イリジウム錯体(2.5g、2.01mmol)および2−フェニルピリジン(0.862g、6.03mmol)、EtOH(25mL)およびMeOH(25mL)中混合物を、窒素雰囲気下に20時間還流した。反応混合物を室温に冷却し直し、エタノールで希釈した。セライト(登録商標)を混合物に添加し、それを10分間撹拌し、次いで、小さいシリカゲル筒で濾過し、エタノール(3〜4回)およびヘキサン(3〜4回)で洗浄した。濾液は廃棄した。次いで、セライト(登録商標)/シリカ筒をジクロロメタンで洗浄し、生成物を溶出させた。粗の生成物は、シリカゲル(ヘキサン中20%のトリエチルアミンで前処理した)でヘキサン中40%のDCM(v/v)を用いてクロマトグラフィー処理し、0.8gの化合物6(40%)を得、これはLC−MSによって確認した。
【0173】
化合物7の合成
【化56】

【0174】
クロロ架橋ダイマーの合成:2−(6−イソプロピルジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−4−メチルピリジン(2.1g、6.97mmol)およびイリジウム(III)クロリド(1.229g、3.48mmol)を200mLフラスコに入れ、窒素雰囲気下に2−エトキシエタノール(45mL)および水(15mL)を添加した。結果として得られた反応混合物は130°Cで18時間還流した。室温へ冷却し直した後、反応混合物を濾過し、メタノールで3回およびヘキサンで3回洗浄した。得られた生成物を真空下に乾燥し、次のステップの反応に所望の生成物2.9g(70.1%)を得た。
【化57】

【0175】
トリフルオロメタンスルホン酸イリジウム塩の合成:イリジウムダイマー(2.9g、1.75mmol)をジクロロメタン300mLに溶解した。別個のフラスコに、トリフルオロメタンスルホン酸銀(I)(0.944g、3.36mmol)をMeOH(150mL)に溶解し、暗所で絶えず撹拌しながらジクロロメタン溶液に室温でゆっくり7時間添加した。反応混合物を、堅く充填したセライト(登録商標)床で上部を覆ったシリカゲルに通して濾過し、溶媒を真空下に除去して、暗黄色の固体の生成物3.1g(80.1%)を得た。生成物はさらに精製をしないで使用した。
【化58】

【0176】
化合物7の合成:トリフルオロメタンスルホン酸イリジウム錯体(3.0g、2.99mmol)および2−フェニルピリジン(1.85g、11.95mmol)、EtOH(25mL)およびMeOH(25mL)中混合物を、窒素雰囲気下に20時間還流した。反応混合物は室温に冷却し直し、エタノールで希釈し、セライト(登録商標)を添加した。混合物を10分間撹拌し、小さいシリカゲル筒で濾過し、エタノール(3〜4回)およびヘキサン(3〜4回)で洗浄した。濾液は廃棄した。次いで、セライト(登録商標)/シリカ筒をジクロロメタンで洗浄し、生成物を溶出させた。粗の生成物は、シリカゲル(ヘキサン中20%のトリエチルアミンで前処理した)でヘキサン中30%のDCM(v/v)を用いてクロマトグラフィー処理し、1gの化合物7(35.3%)を得、これはLC−MSによって確認した。
【0177】
本明細書において記載された様々な実施形態は、例としてのみであり、本発明の範囲を限定するようには意図されないことが理解される。例えば、本明細書において記載された材料および構造の多くは、本発明の趣旨を逸脱することなく、他の材料および構造で置換することができる。したがって、請求される本発明は、当業者には明白であるように、本明細書に記載された特定の例および好ましい実施形態からの変形を含み得る。なぜ本発明が作用するかについての様々な理論は、限定するようには意図されないことが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

式I;
[式中、R、R、R、R4、、RおよびRは、水素、重水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびその組み合わせからなる群から独立して選択され;
ここで、R、RおよびRは、モノ、ジ、トリ、またはテトラ置換を表してもよく;
ここで、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、水素または重水素でなく;
ここで、2個の隣接する置換基R、R、R、R4、、RおよびRは、場合によって、結合して縮合環を形成してもよく;
ここで、Xは、O、SおよびSeからなる群から選択され;
ここで、mは1または2である]を有する化合物。
【請求項2】
がアルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびRがアルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
およびRがアルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
およびRがアルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
XがOである請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
およびRが水素である請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
mが2である請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がモノアルキル置換を表し、RがNに対してパラである請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
、R、R、およびRが、メチル、CH(CHおよびフェニルからなる群から独立して選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
、R、RおよびRが、アルキル、水素、および重水素からなる群から独立して選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
10−7から10−8トールの範囲の圧力で昇華温度が約180℃から約240℃である請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
式:
【化2】

を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
化合物が、
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
化合物が、
【化11】

【化12】

からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
第1の有機発光素子を含む第1の素子であって、
アノード、
カソード、
アノードとカソードとの間に配置された式:
【化13】

式I[式中、R、R、R、R4、、RおよびRは、水素、重水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびその組み合わせからなる群から独立して選択され;
ここで、R、RおよびRは、モノ、ジ、トリまたはテトラ置換を表してもよく;
ここで、R、R、R、およびRの少なくとも1つは、水素または重水素でなく;
ここで、2つの隣接する置換基R、R、R、R4、、RおよびRは、場合によって、結合して縮合環を形成してもよく;
ここで、Xは、O、SおよびSeからなる群から選択され;
ここで、mは1または2である]を有する化合物を含む有機層をさらに含む素子。
【請求項17】
消費者製品である請求項16に記載の第1の素子。
【請求項18】
有機発光素子である請求項16に記載の第1の素子。
【請求項19】
照明パネルを含む請求項16に記載の第1の素子。
【請求項20】
有機層が発光層であり、前記化合物が非発光ドーパントである請求項16に記載の第1の素子。
【請求項21】
有機層がホストをさらに含む請求項16に記載の第1の素子。
【請求項22】
ホストが、ベンゾ縮合チオフェンまたはベンゾ縮合フランを含むトリフェニレンを含み;
この場合、ホスト中の任意の置換基が、C2n+1、OC2n+1、OAr、N(C2n+1、N(Ar)(Ar)、CH=CH−C2n+1、C≡CHC2n+1、Ar、Ar−Ar、C2n−Arからなる群から独立して選択される縮合していない置換基、または無置換であり;
ここで、nは1から10であり;
ここで、ArおよびArは、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール、およびそのヘテロ芳香族類似体からなる群から独立して選択される請求項21に記載の第1の素子。
【請求項23】
ホストが、式:
【化14】

を有する請求項22に記載の第1の素子。
【請求項24】
ホストが
【化15】

およびその組み合わせからなる群から選択される請求項21に記載の第1の素子。
【請求項25】
ホストが金属錯体である請求項21に記載の第1の素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−103938(P2013−103938A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−250003(P2012−250003)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【出願人】(503055897)ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション (61)
【Fターム(参考)】