説明

新規ポリビニルアルコール分解菌

【課題】PVA分解力に優れた微生物を提供する。
【解決手段】新規ポリビニルアルコール分解菌であって、ポリビニルアルコールを唯一の炭素源として生育し、窒素源の存在下、30℃10日間の好気培養で、添加されたポリビニルアルコールの少なくとも40%を分解し、そして配列番号1、2または3で示されるヌクレオチド配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする16SリボソームRNA遺伝子を有する、細菌。好ましくは、この細菌は、シュードモナス属またはアシネトバクター属に属する。上記窒素源は、硝酸アンモニウム、酵母エキス、および尿素からなる群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規ポリビニルアルコール分解菌、およびこれを利用した排水処理プロセスに関する。
【従来の技術】
ポリビニルアルコール(以下PVAと記する)は、1924年に、西ドイツのウイリー・オー・ヘルマン(Willy O Hermann)博士らによって、ポリ酢酸ビニルを鹸化して得られる水溶性の高分子として発見されたポリマー物質である(非特許文献1)。図14にPVAの構造を示す。その後、日本の倉敷レーヨン(株)が、ビニロンの原料としてPVAの開発および生産を開始し、現在では、PVAは、織物工業の経糸剤(サイジング剤)、接着剤、フィルム、紙加工材などとして広く用いられている。
PVAがこれらの原料として用いられるに至った理由は、1)PVAの重合度を変えることによってPVA溶液の粘度を変えることができる;2)鹸化度、鹸化方法を変えることによって界面活性、乳化力および分散力に優れた製品が得られる;3)曳糸性、造膜性および接着力に優れる;4)結晶性ポリマーであって、乾燥、熱処理によって結晶化し、適度な耐水性をもたせることが可能である。その一方、結晶性を低下させることによって水溶性を失わないようにすることが可能である;5)形成された皮膜は無色透明で、機械的強度に優れ、適度の吸湿性および透湿性をもつが、酸素、窒素、炭酸ガスなどのガスは通過しにくい;6)耐油性および耐有機薬品性があり、ほとんどの有機溶媒に溶解しない;7)反応性に富む水酸基を多数有し、エーテル化、エステル化、アセタール化などの反応によって特有のポリマーを形成し得る。熱硬化性樹脂と縮合反応を行うことも可能である;9)微生物、日光などに対し比較的安定であって、これらに曝しても強度の低下は少ない、などの優れた特徴を備えているからである。
現在、日本では、年間約20万トンのPVAが生産され、そのうち約4万トンが繊維用に、残りが非繊維用途に使用されているといわれている(非特許文献2)。経糸糊剤として用いられたPVAは、紡繊後、染色加工工程の前の糊抜き(デサイジング)によってそのほとんどが排水中に含まれることになる。合成高分子の懸濁重合に使用されたPVAもまた同様に排水中に含まれることになる。排水中のPVAは、その他の合成高分子物質同様、水環境保全上、COD/BOD比の高い難分解性物質(非特許文献3)となっている。
PVAを含有する排水は、気泡分離法、凝集沈殿法、限外濾過法、活性炭吸着法、重金属キレート法などの物理化学的方法(非特許文献3)、および活性汚泥法などの生物学的方法で処理されている。しかし物理学的方法は、多量の薬剤を必要とするためコストを要し、また生物学的方法では、用いる活性汚泥中に、PVAを分解または資化できる菌の割合が低いか、または存在していたとしてもその増殖速度が非常に小さいため、通常の滞留時間では効率良く処理されていない(非特許文献6〜10)。
そこで、PVAに対する馴養操作を施した馴養活性汚泥を用いる方法(非特許文献4、5および11〜14)、土壌から単離されたPVA分解菌を混合したPVA活性汚泥を用いる方法(非特許文献6および7:上述)が研究されているが、いずれの場合においても、PVA分解菌を活性汚泥中に高濃度で安定に保持することがプロセス成功の鍵となっている。また、それらPVA処理の研究と同時に、PVA分解菌やPVA分解酵素に関する知見を得るため、いくつかのPVA分解菌の分離(非特許文献15〜19)およびPVA分解酵素の精製(非特許文献20〜26)が行われている。
鈴木らは、土壌中から、PVA分解細菌を初めて分離し、Pseudomonas sp.O−3と同定した(非特許文献16:上述)。このO−3株は、酵母エキスを添加したPVA培地で生育したが、PVA以外の炭素源を用いて生育させたときPVAを分解しなかった。嶋尾らは、PVAが、Pseudomonas sp.VM15CとPseudomonas sp.VM15Aの二種類の細菌による共生系によって分解されることを見出した(非特許文献17:上述)。VM15A株は、VM15C株の増殖因子であるPQQの生産を担い、PQQが存在すれば、VM15C株は単独でPVAを分解・資化した(非特許文献27〜29)。橋本らは、PVAを分解する活性汚泥を馴養したが、PVA分解細菌の生育速度は遅く、通常の水処理に適用される条件下では、活性汚泥から排除(wash out)された(非特許文献13:上述)。
【非特許文献1】
長野浩一、豊島賢太郎(1981)ポバール
【非特許文献2】
通商産業大臣官房調査統計部編(1993)化学工業統計年報、(財)通商産業調査会
【非特許文献3】
福永和二、宮本靖、植田晃三(1976)PVA含有排水の処理、化学工業、20(12)、67〜70頁
【非特許文献4】
鈴木智雄、市原好博、太宰宙朗、御園光信(1973)ポリビニルアルコール(PVA)含有廃水の活性スラッジ処理の基礎的条件の検討、発酵工学会雑誌、(51)(9)、692〜698頁
【非特許文献5】
桑原正章、松原智子(1988)高濃度活性スラッジによる有機廃水の好気処理、香川大学農学部学術報告、40(1)、47〜55頁
【非特許文献6】
鈴木智雄、太宰宙朗、福永和二(1978)ポリビニルアルコールの微生物分解とその含有排水処理への応用、環境研究、(22)、2〜8頁
【非特許文献7】
鈴木智雄、太宰宙朗、福永和二(1977)ポリビニルアルコールの微生物分解とその含有排水処理への応用、農芸化学会誌、51(7)、コロニー13〜58頁
【非特許文献8】
Wheatley、Q.D.&Baines,F.C.(1976)Biodegradation of polyvinyl alcohol in wastewater、Textile Chemist&Colorist、8(2)、28〜38頁
【非特許文献9】
Nishikawa,H.&Fujita,Y.(1975)Polyvinyl alcohol degradation techniques using microorganisms.、Chemical Economy&Engineering Review、7(4)、33〜41頁
【非特許文献10】
橋本奨、尾崎保夫(1980)活性汚泥法による難分解性物質の処理に関する研究(第2報)、下水道協会誌、17(191)、30〜36頁
【非特許文献11】
橋本奨、尾崎保夫(1980)活性汚泥法による難分解性物質の処理に関する研究(第3報)、下水道協会誌、17(192)、17〜26頁
【非特許文献12】
橋本奨、尾崎保夫(1980)活性汚泥法による難分解性物質の処理に関する研究(第4報)、下水道協会誌、17(195)、24〜33頁
【非特許文献13】
橋本奨、尾崎保夫(1980)活性汚泥法による難分解性物質の処理に関する研究(第5報)、下水道協会誌、17(198)、19〜29頁
【非特許文献14】
橋本奨、尾崎保夫(1980)活性汚泥法による難分解性物質の処理に関する研究(第6報)、下水道協会誌、18(201)、19〜29頁
【非特許文献15】
Mori,T.、Sakimoto,M.、Kagi,T.&Sakai.T.(1996)Isolation and characterizationof a strain of Bacillus megaterium that degrades poly(vinyl alcohol).、Bioscience、Biotechnology and Biochemistry、60(2)、330〜332頁
【非特許文献16】
Suzuki,T.、Ichihara,Y.、Yamada,M.&Kenzo,T.(1973)Some characteristics of Pseudomonas O−3 which utilizes polyvinyl alcohol.、Agricultural and Biological Chemistry、37(4)、747〜756頁
【非特許文献17】Shimao,M.、Fukuta,I.、Kato,N.&Sakazawa,C.(1984)Mixed continuous cultures of polyvinyl alcohol−utilizing symbionts Psudomonas putida VM15A and Pseudomonas sp.strain VM15C.、Applied and Environmental Microbiology、48(4)、751〜754頁
【非特許文献18】
Sakai,K.、Hamada,N.&Watanabe,Y.(1987)Identification and characteristics of a poly(vinyl alcohol)−degradating bacterium.、科学と工業、61(9)、372〜377頁
【非特許文献19】
Matsumura,S.、Kurita,H.&Shimokobe,H.(1993)Anaerobic biodegradability of polyvinyl alcohol.、Biotechnology Letters、15(7)、749〜754頁
【非特許文献20】
Suzuki,T.、(1976)Purification and some properties of polyvinyl alcohol degrading enzyme produced by Psudomonas o−3.、Agricultural and Biological Chemistry,40(3)、497〜504頁
【非特許文献21】
Suzuki,T.、(1978)Oxidation of secondary alcohols by polyvinyl alcohol−degrading enzyme produced by Pseudomonas O−3.、Agricultural and Biological Chemistry、42(6)、1187〜1194頁
【非特許文献22】
Sakai,K.、Hamada,N.&Watanabe,Y.(1985)Purification and properties of secondary alcohol oxidase with an acidic isoelectric point.、Agricultural and Biological Chemistry、49(3)、817〜825頁、
【非特許文献23】
Sakai,K.、Hamada,N.&Watanabe,Y.(1985)Purification and properties of oxidized poly(vinyl alcoho)hydrolase withan acidic isoelectric point.、Agricultural and Biological Chemistry、49(3)、827〜833頁
【非特許文献24】
Shimao,M.、Taniguchi,Y.、Shikata,S.、Kato,N.&Sakazawa,C.(1982)Production ofpolyvinyl alcohol oxidase by a symbiotic mixed culture.、Applied and Environmental Microbiology、44(1)、28〜32頁
【非特許文献25】
Hatanaka,T.、Asahi,N.&Tsuji,M.(1995)Purification and characterization of poly(vinyl alcohol)dehydrogenase from Pseudomonas sp.113P3.、Bioscience、Biotechnology and Biochemistry、59(10)、1813〜1816頁
【非特許文献26】
Mingjie,C.&Yinshan,W.(1995)Degradation of PVA by symbiotic bacteria SB1II.Study on production、purification and properties of PVA oxidase of symbiotic bacteria SB1.、Acta Scientiae Circumstantiae、15(2)、208〜216頁
【非特許文献27】
Shimao,M.、Yamamoto,H.、Ninomiya,K.、Kato,N.、Adachi,O.、Ameyama,M.&Sakazawa,C.(1984)Pyrroloquinoline quinone as an essential growth factor for a poly(vinyl alcohol)−degrading symbiont、Pseudomonas sp.VM15C.、Agricultural and Biological Chemistry、48(11)、2873〜2876頁
【非特許文献28】
Shimao,M.、Fujita,I.、Kato,N.&Sakazawa,C.(1985)Enhancement of pyrroloquinoline quinone production and polyvinyl alcohol degradation in mixed continuous cultures of Pseudomonas putidaVM15A and Pseudomonas sp.strain VM15C with mixed carbon sources.、Applied and Environmental Microbiology、49(6)、1389〜1391頁
【非特許文献29】
Shimao,M.、Onishi,S.、Kato,N.&Sakazawa,C.(1989)Pyrroloquinoline quinone−dependent cytochrome reduction in polyvinyl alcohol−degrading Pseudomonas sp.strain VM15C.、Applied and Environmental Microbiology、55(2)、275〜278頁
【発明が解決しようとする課題】
上記先行技術は、PVAを分解できる菌が活性汚泥を含む自然環境中に存在していることを示す。上記先行技術はまた、たとえPVA分解菌を含んでいたとしても、通常の活性汚泥法でPVAを分解することは非常に困難であることをも示している。従って、これらの菌を含む活性汚泥を用いてPVAを分解するためには、その分解活性を最大限に発揮させるための条件の設定、またはこれらの菌に最も適したプロセスを開発する必要がある。本発明は、このような作業を必要としない、上記従来のPVA分解菌を凌駕する新規PVA分解菌、およびそれを利用した排水処理プロセスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明は、新規ポリビニルアルコール分解菌に関し、この菌は、ポリビニルアルコールを唯一の炭素源として生育し、窒素源の存在下、30℃10日間の好気培養で、添加されたポリビニルアルコールの少なくとも40%を分解し、そして配列番号1、2または3で示されるヌクレオチド配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする16SリボソームRNA遺伝子を有する。
好ましくは、上記ポリビニルアルコール分解菌は、配列番号1で示されるヌクレオチド配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする16SリボソームRNA遺伝子を有する。
好ましくは、上記ポリビニルアルコール分解菌は、配列番号2で示されるヌクレオチド配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする16SリボソームRNA遺伝子を有する。
好ましくは、上記ポリビニルアルコール分解菌は、配列番号3で示されるヌクレオチド配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする16SリボソームRNA遺伝子を有する。
上記ポリビニルアルコール分解菌は、シュードモナス属に属する細菌であり得る。
上記ポリビニルアルコール分解菌は、アシネトバクター属に属する細菌であり得る。
好ましくは、上記窒素源は、硝酸アンモニウム、酵母エキス、および尿素からなる群から選択される。
好ましくは、上記ポリビニルアルコール分解菌は、FERM P−19204であり得る。
好ましくは、上記ポリビニルアルコール分解菌は、アシネトバクターIAM−3株であり得る。
好ましくは、上記ポリビニルアルコール分解菌は、アシネトバクターIAM−4株であり得る。
本発明はまた、上記の細菌のいずれか1つ、または上記の細菌の複数種を含む微生物製剤に関する。
本発明はまた、上記微生物剤と、この微生物剤に酸素を供給する手段とを備えた、排水処理プロセスに関する。
【発明の実施の形態】
本発明において利用される一般的な分子生物学的手法は、例えば、Ausubel F.A.ら編(1988)、Current Protocols inMolecular Biology、Wiley、New York、NY;Sambrook Jら (1987) Molecular Cloning: A Laboratory Manual,2nd Ed.および同第三版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYなどに記載され、当業者によって容易に実施される。
本明細書で用いる用語は、特に示されなければ、当該分野で通常用いられる意味で用いられる。また、本明細書で用いる用語は、一般に、特に示されなければ、単数形の表現であってもその複数形の概念をも含む。また、本明細書で用いる「%」は、特に示されなければ重量%を意味する。
本明細書で用いる用語「炭素源」は、一般に、微生物によって吸収利用される炭素を含む化合物(炭素化合物)を意味し、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖などの炭水化物、多価アルコール、有機酸類類、およびこれらを含む原材料を包含する。
本明細書で用いる用語「窒素源」は、一般に、微生物がその体を構成するタンパク質、核酸、その他の窒素化合物の原材料として、外界から取り入れられる窒素を含む化合物(窒素化合物)を意味し、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの無機窒素化合物、アミノ酸、アミド、アミン、尿素などの有機窒素化合物、およびこれらを含む、ペプトン類、酵母エキス(以下しばしばYEと略記する)、肉エキス、コーンスティープリカーなどの原材料を包含する。
本明細書で用いる用語「好気培養」は、通常は、振盪、攪拌、通気などをおこなって培養液内を好気的に保つ培養をいう。本発明のPVA分解菌は、簡便には、実験室規模の振盪培養によって評価され得る。
以下、本発明を説明する。本発明の新規ポリビニルアルコール分解菌は、代表的には、グラム陰性の桿状形態の一群の細菌であって、特に、その優れたPVA分解能力および16SリボソームRNA遺伝子のヌクレオチド配列によって既存の細菌と区別され得る。
本発明の新規ポリビニルアルコール分解菌は、自然界、特に下水処理場の新鮮な活性汚泥などから、以下の実施例に代表される手法を用いて分離され得る。
本発明は、新規ポリビニルアルコール分解菌に関し、この菌は、ポリビニルアルコールを唯一の炭素源として生育し、窒素源の存在下、30℃10日間の好気培養で、添加されたポリビニルアルコールの少なくとも40%を分解し、そして配列番号1、2または3で示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%の相同性を有する16SリボソームRNA遺伝子を有する。
本発明のPVA分解菌は、10〜0.01%の範囲、通常5〜0.02%の範囲、より好ましくは1〜0.05%の範囲で、PVA分解菌が生育する溶液(培養液)に添加されたポリビニルアルコールを分解する。本発明のPVA分解菌は、窒素源の存在下30℃10日間の好気培養で添加されたポリビニルアルコールの少なくとも40%を、好ましくは、少なくとも90%を分解する。
本発明のPVA分解菌は、配列番号1、2または3で示されるヌクレオチド配列と少なくとも80%の相同性を有する16SリボソームRNA遺伝子を有している。
本明細書で用いる用語「RNA」は、リボ核酸(ribonucleic acid)の略称であり、当該分野において最も広義に用いられるのと同じ意味で用いられ、(塩基)−(D−リボース)−(リン酸)からなるヌクレオチドが鎖状に重合したポリヌクレオチドまたはその等価物をいう。本明細書で用いる用語「ヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」は、互いに等価な意味で用いられ、用語「ヌクレオチド」は、ポリヌクレオチドを含む意味で用いられる。本明細書で用いる用語「リボソームRNA」または「rRNA」は、通常用いられるように、リボソームを構成するRNAであって、特に「16S・rRNA」または「16SリボソームRNA」は、原核細胞のrRNAを構成する30Sサブユニットに含まれる分子量0.6×10の分子をいう。16S・rRNAは、その3’末端近傍でmRNAと結合することが知られている。本明細書で用いる用語「16SリボソームRNA遺伝子」は、16SリボソームRNAをコードするDNAをいう。本明細書で用いる用語「DNA」は、当該分野で通常用いられる意味で用いられる。
本明細書において用いるヌクレオチドの「相同性」とは、2種類以上のヌクレオチド配列の、互いに対する同一性の程度をいう。従って、ある2つのヌクレオチド配列の相同性が高いほど、それらのヌクレオチドの配列の同一性または類似性は高い。2種類のヌクレオチド配列が相同性を有するか否かは、配列の直接の比較によって調べることができる。2つのヌクレオチド配列を直接比較する場合、それらのヌクレオチド配列が、代表的には少なくとも50%同一である場合、好ましくは少なくとも70%同一である場合、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である場合、それらのヌクレオチド配列は相同性を有している。
ヌクレオチド配列の同一性、類似性および相同性の比較は、例えば、Altschulら(J.Mol.Biol.215,403−410(1990))が開発したアルゴリズムを使用した検索プログラムBLASTをデフォルトパラメータを用いて算出される。ヌクレオチド配列の相同性は、BLASTを用いることにより、scoreで類似度が示される。
あるいは、2つのヌクレオチド配列が相同性を有するか否かは、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション法によって調べることができる。本明細書において、「ストリンジェントな条件」とは、当該分野で慣用される周知の条件をいう。
本発明のPVA分解菌は、配列番号1、2または3で示されるヌクレオチド配列またはその部分配列から選択されたヌクレオチド配列をプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法などを用いることにより、「ストリンジェントな条件」でハイブリダイズする16SリボソームRNA遺伝子を有している。
具体的には、本発明のPVA分解菌は、配列番号1、2または3で示されるヌクレオチド配列を固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃で対象ヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することによっても保持される16SリボソームRNA遺伝子を有している。
ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning 2nd ed.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1〜38、DNA Cloning 1:Core Techniques,A Practical Approach,Second Edition,Oxford University Press(1995)などの実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。
本発明のPVA分解菌は、好気条件下で良好に生育し、そしてPVAを分解する。好気条件は、通常、微生物に酸素を供給する手段によって行われる。
上記微生物剤に酸素を供給する手段は、微生物の生存および増殖に必要な酸素を微生物に提供し得る任意の手段を含み、通常、空気を曝気することによりなされる。曝気方式には、散気装置を用いる散気方式、浸漬タービン曝気方式、ジェットエアレーション法、機械式表面曝気法などを用い得る。散気方式として、旋回流方式、全面曝気方式などを用い得る。空気に代えて高濃度酸素もまた用い得る。
本発明のPVA分解菌は、微生物剤の形態で用いても良く、それによってPVA分解効率を向上し得る。ここで、「微生物剤」とは、1種以上のPVA分解菌と任意の材料とを含む固体または液体の組成物をいい、PVA分解菌とともに含まれる材料の例として、土壌に含まれる無機物および有機物のような微生物が存在する天然環境において微生物の周囲に通常近接して存在する材料、微生物の固定化に用いられるバーミキュライト、シリカ、ゼオライト、活性炭、光硬化性樹脂、各種樹脂などの天然または合成の担体材料が挙げられる。
あるいは、本発明のPVA分解菌を培養した後、当該分野で公知の固定化法によって上記公知の天然または合成の担体材料に固定化して微生物剤として用い得る。
本発明の微生物剤は、通常、既存の浄化槽、グリーストラップ、接触曝気槽、活性汚泥槽などに適当量投入して使用し得る。あるいは、前記浄化槽などに充填し固定床しても使用し得る。
【実施例】
本発明を実施例により説明する。以下の実施例は、本発明の例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1) PVA分解菌の分離
分離手順
下水処理場の活性汚泥から、以下の手順(図13にその概略を示す)によりPVA分解菌の単離を行った。
(i)PVAを含有する4種類の培地(表1および図13にそれぞれ▲1▼▲2▼▲3▼▲4▼として示される)に活性汚泥を添加し、30℃で振盪培養した。
(ii)表2に示す手順でPVAを定量してその分解を測定するとともに、各培養液の液相に含まれていた菌体およびフラスコ面に付着してた菌体をそれぞれ表1に▲1▼および▲2▼で示す培地に再懸濁し、集積培養を行った。
(iii)集積培養を繰り返した培養液6種を適当な希釈倍率でPVA+YE寒天培地(表1の▲2▼)に播種し、コロニーを単離した。その中の4種のコロニーについて表1に示す培地▲2▼に植菌し、表2に示す手順に従ってPVAを定量してPVAの分解を測定した。
(iv)また、ここまでの培養でPVAの分解能が大きかった集積培養の3種類(集積培養1、2および3)について、窒素源の種類、および酵母エキスの有無(表1に▲1▼▲2▼▲5▼および▲6▼で示される培地)によるPVA分解能および菌の増殖に対する影響を調べた。さらに、(iii)で単離した4種のコロニーのうちPVAの分解を確認した3種(コロニー1、3および4)についても同様に調べた。
(v)同様に、4種類のコロニーの16S・rRNAの一部をシーケンスし、BLAST検索を行った。
表1.PVA分解菌の分離に用いた培地
▲1▼基礎PVA培地
PVA 1000mg/L、KHPO 1400mg/L、KHPO 270mg/L、MgSO 50mg/L、CaCl 50mg/L、FeSO 20mg/L、NaCl 20mg/L、NHNO 100mg/L。
▲2▼PVA+YE培地
基礎PVA培地+Yeast Extract 1000mg/L。
▲3▼原排水
組成不明(染色工場排水)
▲4▼合成廃水
PVA 50mg/L、ペプトン 75mg/L、肉エキス 50mg/L、尿素 25mg/L、NaHPO 25mg/L、KCl 3.5mg/L、CaCl 3.5mg/L、MgSO 2.5mg/L、NaCl 7.5mg/L。
▲5▼窒素源違い培地組成
基礎PVA培地−NHNO 100mg+NHCONH 100mg
▲6▼窒素源違い培地組成
PVA+YE培地−NHNO 100mg+NHCONH 100mg
表2.PVAの定量法
【表2】

結果
今回試験した試料(上記(iii)および(iv)の集積培養3種類および単離したコロニー3つ)についての結果を図1〜図12に示す。図1〜図12において示されるグラフは、いずれも、培養における菌体量(OD660nm)およびPVA量の経時変化を示したものである。いずれのグラフも、横軸は培養時間(日数)を、縦軸はPVA量(%)または培養液のOD660nm値を示してある。また、各グラフの上には、試験した試料(集積培養1、2、および3、またはコロニー1、3および4)と、用いた培地の炭素源および窒素源を示した。以下に得られた結果を要約する。
−全体−
図1〜図12に見られるように、今回試験したすべての試料について、基礎PVA培地(▲1▼および▲5▼:炭素源はPVAのみ)を用いてもPVAの分解が観察された。培養10日までにPVAを90%以上分解したものも存在した(図3上、下、図5上、および図7上、中)。
−培地の検討−
基礎培地(▲1▼および▲5▼)に酵母エキスを添加したPVA+YE培地(それぞれ▲2▼および▲6▼)を用いた場合、基礎PVA培地に比べ、PVA分解能、菌の増殖ともに大きくなった(培養3〜5日目で90%以上のPVA分解が観察された場合が多い)(図1と2との比較、図3と4との比較、図5と6との比較、図7と8との比較)。
−集積培養の結果−
集積培養1:基礎PVA培地(▲1▼および▲5▼)においても、集積培養1は、比較的分解速度が速く、8日目でPVAを90%以上分解した(図5上および図7上)。YEを加えた場合に分解速度の上昇が観察された(図6上および図8上)。
集積培養2:基礎PVA培地において、窒素源が尿素の場合(▲5▼)に10日目でPVAを90%以上分解した(図7中)。窒素源が硝酸アンモニウムの場合(▲1▼)は10日目でPVAの70%が分解された(図5中)。YEを加えた場合は分解速度の上昇が観察された(図6中および図8中)。
集積培養3:基礎PVA培地において、菌の増殖および分解能は比較的低いことが判明した(10日目にPVA分解は40〜60%、OD660は0.2〜0.3(図5下および図7下))。PVA+YE培地では、菌の増殖およびPVAの分解は促進されるが、菌の増殖は2〜3日目から減少した(図6下および図8下)。
−単離した菌(コロニー1、3および4)
コロニー1:基礎PVA培地(▲1▼および▲5▼)においてPVAの分解が観察され、尿素を窒素源として加えた場合にPVA分解が若干促進された(図1下と図3下との比較)。YEを加えた場合にPVA分解速度の上昇が観察された(培養4日目にPVA分解90%以上)(図2下および図4下)。
コロニー3:コロニー1および4と比較して、いずれの培地においてもPVA分解活性は低いことが判明した(図1中〜図4中)。
コロニー4:コロニー1とほぼ同程度の分解活性を示したが、基礎PVA培地に窒素源として硝酸アンモニウムを加えた場合、増殖およびPVA分解活性はコロニー1より小さかった(図1上と下との比較)。
次いで、コロニー1およびコロニー4をさらなる解析に供した。
−集積培養とコロニー培養との比較
コロニー1および4は、集積培養2および1からそれぞれ単離したものである。そこで、それぞれのコロニーを用いた培養を、そららが分離された集積培養を用いた培養とを比較した。
コロニー1と集積培養2との比較:コロニー1は、PVAの分解が基礎PVA培地(窒素源として尿素を用いた場合、培養9〜10日目に90%以上のPVA分解が観察された)、およびPVA+YE培地(培養4〜5日目に90%以上のPVA分解が観察された)ともに、集積培養2より少し良好であった(図9および図10)。従って、集積培養2のPVA分解作用の大部分はコロニー1によることが示唆された。
コロニー4と集積培養1との比較:PVA+YE培地において、コロニー4は、集積培養1よりも菌の増殖はやや少なかったが、PVA分解はほぼ同程度(培養4日目で90%以上のPVA分解)であったので、集積培養1においてもコロニー4がPVAの分解に寄与していると考えられた(図11)。しかし、基礎PVA培地では、両者に菌の増殖に差はないものの、PVAの分解は、コロニー培養よりも集積培養の方が早いため、酵母エキスがない場合、他の菌または他の菌から放出される物質が分解を促進していることが示唆された(図12)。
−BLAST結果(詳細は以下の実施例2に記載する)
コロニー1:Psudomonas sp.、Pseudomonas putidaなどと相同性を示した。
コロニー2:Bacillus cereus、およびBacillus anthracisと相同性を示した。
コロニー3:Acinetobacter sp.と相同性を示した。コロニー4:Alvinella pompejana symbiont、acinetobacter sp.と相同性を示した。
コロニー3および4から得た菌は、ペア〜短連鎖し、グラム陰性であって、対数増殖期には長さ1.0〜2.5μmの短桿菌である。増殖の定常期には短くなり球状になる傾向があった。胞子は形成せず、鞭毛は存在しない。オキシダーゼ陰性であり、カタラーゼ陽性であって、アセトイン、インドールおよびHSは産生しない。至適生育温度30〜32℃、そして至適生育は約7であり、ペニシリン耐性であった。
なお、コロニー1は、FERM P−19204として、2003年2月7日付けで産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている。また、コロニー3および4は、Acinetobacter sp.IAM−3株およびIAM−4株として、京都大学工学研究科(京都市左京区吉田本町)に保存され、請求により分譲される。
(実施例2) PVA分解菌の特徴付け
1.コロニー1
コロニー1から由来の株は、桿状の細菌であった。グラム染色性は陰性であった。この菌は、カタラーゼおよびオキシダーゼ陽性であった。コロニー1の16S・rRNA遺伝子を定法に従い単離し増幅した。要約すれば、16S・rRNA増幅用PCRプライマーとして、5’−AGAGTTTGATCCTGGCTCAG−3’(大腸菌16S・RNAの遺伝子における位置:8〜27)および5’−AAAGGAGGTGATCCAGCC−3’(大腸菌16S・rRNAにおける位置:1543〜1525)を用い、コロニー1から単離された16S・rRNAから、コロニーPCR法により約1.5kbのDNAを増幅した。PCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、目的の長さの断片を切り出して精製した。このPCR増幅産物のダイレクトシーケンシングを行い、配列を決定した。
決定されたコロニー1の16S・rRNA配列を配列表の配列番号1に示す。この配列を、既存のデータベース(GENBANK−UPD)にある配列とBLASTを用いて比較したところ、コロニー1はシュードモナス属の細菌に近縁であることが示された。図15にコロニー1のBLAST解析結果を示す。図16は、BLAST解析で用いた参照配列の1つを示す。
2.コロニー3および4
上記1に記載したコロニー1の場合と同様に、コロニー3および4の16S・rRNA配列を決定した。決定されたコロニー3および4の16S・rRNA配列を配列表の配列番号2および3にそれぞれ示す。
図17にコロニー3のBLAST解析結果を示す。図18は、BLAST解析で用いた参照配列の1つを示す。
図19にコロニー4のBLAST解析結果を示す。図20は、BLAST解析で用いた参照配列の1つを示す。
図17および図19に示されるように、コロニー3およびコロニー4のいずれもがアシネトバクター(Acinetobacter)属の細菌と最も高い相同性を示した。
(実施例3) PVA分解菌を用いたPVAの分解
容量が約1mのタンクを用い、分離されたコロニー1、3および4を含む活性汚泥を用いてPVAの分解試験を行った。処理水としては、表1に示す▲4▼合成排水を用いた。まず、分離されたコロニー1、3および4を含む小量の種汚泥を、合成廃水で約2日間回分培養して増やした後、倍容量の合成廃水を添加して約2間回分培養した。以後同様の操作を繰り返し、タンク内のPVAの濃度を経時的に測定した。図21にその結果を示す。
図21において、横軸は、試験開始からの日数を示す。図中の点線は、タンク内の液の容量を、黒丸は定法に従って測定したCDOを、そして白丸は、表2に示す方法で測定したPVAの濃度を示す。図21に示されるように、10日の試験で、液量を約800Lまで増加させた。各回分培養で、PVA濃度およびCODが漸次低下した。得られた結果を、PVA負荷およびCOD負荷に換算すると、それぞれ、0.38kg/m/日および0.84kg/m/日であった。
【発明の効果】
PVAを含む排水を浄化する能力に優れた細菌、およびこれを用いた排水処理プロセスが提供される。
【配列表】





【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の細菌によるPVA分解の経時変化を示す図である。基礎PVA培地(窒素源:硝酸アンモニウム)を使用。
【図2】本発明の細菌によるPVA分解の経時変化を示す図である。PVA+YE培地(窒素源:硝酸アンモニウム)を使用。
【図3】本発明の細菌によるPVA分解の経時変化を示す図である。基礎PVA培地(窒素源:尿素)を使用。
【図4】本発明の細菌によるPVA分解の経時変化を示す図である。PVA+YE培地(窒素源:尿素)を使用。
【図5】本発明の細菌によるPVA分解の経時変化を示す図である。基礎PVA培地(窒素源:硝酸アンモニウム)を使用。
【図6】本発明の細菌によるPVA分解の経時変化を示す図である。PVA+YE培地(窒素源:硝酸アンモニウム)を使用。
【図7】本発明の細菌によるPVA分解の経時変化を示す図である。基礎PVA培地(窒素源:尿素)を使用。
【図8】本発明の細菌によるPVA分解の経時変化を示す図である。PVA+YE培地(窒素源:尿素)を使用。
【図9】本発明の細菌によるPVA分解の経時変化を示す図である。集積培養と単離培養との比較を示す。
【図10】本発明の細菌によるPVA分解の経時変化を示す図である。集積培養と単離培養との比較を示す。
【図11】本発明の細菌によるPVA分解の経時変化を示す図である。集積培養と単離培養との比較を示す。
【図12】本発明の細菌によるPVA分解の経時変化を示す図である。集積培養と単離培養との比較を示す。
【図13】本発明のPVA分解菌の単離手段の概略を示す図である。
【図14】PVAの構造を示す図である。
【図15】本発明のコロニー1から単離された細菌のBLAST解析結果を示す図である。
【図16】BLAST解析で用いた参照配列を示す図である。
【図17】本発明のコロニー3から単離された細菌のBLAST解析結果を示す図である。
【図18】BLAST解析で用いた参照配列を示す図である。
【図19】本発明のコロニー4から単離された細菌のBLAST解析結果を示す図である。
【図20】BLAST解析で用いた参照配列を示す図である。
【図21】本発明の細菌を含む活性汚泥のPVA分解の経時変化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新規ポリビニルアルコール分解菌であって、
ポリビニルアルコールを唯一の炭素源として生育し、窒素源の存在下、30℃10日間の好気培養で、添加されたポリビニルアルコールの少なくとも40%を分解し、そして配列番号1、2または3で示されるヌクレオチド配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする16SリボソームRNA遺伝子を有する、細菌。
【請求項2】
配列番号1で示されるヌクレオチド配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする16SリボソームRNA遺伝子を有する、請求項1に記載の細菌。
【請求項3】
配列番号2で示されるヌクレオチド配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする16SリボソームRNA遺伝子を有する、請求項1に記載の細菌。
【請求項4】
配列番号3で示されるヌクレオチド配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする16SリボソームRNA遺伝子を有する、請求項1に記載の細菌。
【請求項5】
シュードモナス属に属する、請求項2に記載の細菌。
【請求項6】
アシネトバクター属に属する、請求項3または4に記載の細菌。
【請求項7】
前記窒素源が、硝酸アンモニウム、酵母エキス、および尿素からなる群から選択される、請求項1に記載の細菌。
【請求項8】
FERM P−19204である、請求項5に記載の細菌。
【請求項9】
アシネトバクターIAM−3株である、請求項6に記載の細菌。
【請求項10】
アシネトバクターIAM−4株である、請求項6に記載の細菌。
【請求項11】
請求項2、3、および4に記載の細菌からなる群から選択される細菌を含む微生物製剤
【請求項12】
請求項1に記載の細菌を含む微生物剤と、該微生物剤に酸素を供給する手段とを備えた、排水処理プロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−180706(P2006−180706A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−64208(P2003−64208)
【出願日】平成15年3月10日(2003.3.10)
【出願人】(503092755)有限会社アイピーバイオ (2)
【Fターム(参考)】