説明

新規化合物、架橋重合体粒子および吸着剤

【課題】疎水性物質吸着能力が高い化合物、それを用いて形成された架橋重合体粒子および吸着剤の提供。
【解決手段】一般式(I)及び/又は(II)で表される構成単位を有する化合物を用いる。


式(I)、(II)中、A,Bは直接結合、又は2価の有機基。Rは炭素数2〜20のフッ化アルキル。一般式(II)中、Rはハロゲン原子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、架橋重合体粒子および吸着剤に関する。詳しくは、逆相クロマトグラフィー分離法に対する適用性に優れた新規化合物およびそれを用いて形成された架橋重合体粒子およびそれを用いて形成された吸着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
架橋ポリスチレン等の芳香族系架橋重合体粒子は、合成吸着剤として発酵物、食品や薬草等からの有用物質の抽出精製に工業的に用いられている。また、微小粒径の芳香族系架橋重合体粒子は液体クロマトグラフィー充填剤としても用いられ、特に逆相液体クロマトグラフィー分離法による分析及び分取に応用されている。
架橋ポリスチレン等の芳香族系架橋重合体粒子は、酸性、アルカリ性条件でも化学的耐久性に優れること、多孔質粒子を用いることにより高い吸着量が得られること、シリカゲル系吸着剤とは吸着選択性が異なること等、合成吸着剤として優れた特性を有している。
【0003】
このような架橋重合体粒子としては、例えば特許文献1〜6に挙げられるものが開示されているが、逆相液体クロマトグラフィー分離法における分離能向上の要求に伴い、疎水性物質吸着能力(疎水性相互作用)の更なる向上が望まれている。
【特許文献1】特許3626774号公報
【特許文献2】特開59−87089号公報
【特許文献3】特開54−163993号公報
【特許文献4】特開2002−30121号公報
【特許文献5】特開平4−292605号公報
【特許文献6】特許3842288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、疎水性物質吸着能力(疎水性相互作用)が高く、特に逆相クロマトグラフィー分離法に対する適用性に優れた新規化合物およびそれを用いて形成された架橋重合体粒子および吸着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行なった結果、特定の構成単位を有する化合物が、疎水性物質吸着能力(疎水性相互作用)に優れることを見出した。即ち、本発明の要旨は以下に存する。
〔1〕下記一般式(I)および/または(II)で表される構成単位を有する化合物。
【0006】
【化3】

【0007】
一般式(I)中、Aは直接結合、または2価の有機基を示す。
は炭素数2以上20以下のフッ化アルキルを示す。
【0008】
【化4】

【0009】
一般式(II)中、Bは直接結合または炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。Rはハロゲン原子が2個以上置換されている芳香族基を示す。
〔2〕前記ハロゲン原子が臭素原子である前記〔1〕の化合物。
〔3〕前記〔1〕または〔2〕に記載の化合物を用いて形成された架橋重合体粒子。
〔4〕重量平均粒子径が0.1μm以上3000μm以下であり、且つ均一係数が1.7以下であることを特徴とする前記〔3〕に記載の架橋重合体粒子。
〔5〕前記〔3〕または〔4〕に記載の架橋重合体粒子を用いて形成された吸着剤。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によれば、疎水性物質吸着能力(疎水性相互作用)が高く、特に逆相クロマトグラフィー分離法に対する適用性に優れた化合物およびそれを用いて形成された架橋重合体粒子および吸着剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
[1]化合物
本発明の化合物は、後述する一般式(I)および/または(II)で表される構成単位を有することを特徴とする。以下、各構成単位について詳述する。
[1−1]一般式(I)で表される構成単位
本発明における下記一般式(I)で表される構成単位について説明する。
【0012】
【化5】

【0013】
一般式(I)中、Aは直接結合、または2価の有機基を示す。
2価の有機基は、好ましくは−A1−O−、−A1−O−C(=O)−、−A−C(=O)−O−(但しAは炭素数1〜4の直鎖または分枝状のアルキレン基を示す)である。
は炭素数が通常2以上、好ましくは4以上であり、通常24以下、好ましくは20以下、さらに好ましくは18以下の直鎖または分岐状フッ化アルキルを示す。炭素数が多すぎると逆相クロマトグラフィー分離に利用可能な量を担持した架橋共重合体粒子の製造が困難である。
【0014】
本発明における−A−Rの具体例としては、−Cn1(17−n1)(ただし、n1は0以上16以下の整数)、−C10n2(21−n2)(ただし、n2は0以上20以下の整数)、−C12n3(25−n3)(ただし、n3は0以上24以下の整数)、−Cn4(13−n4)(ただし、n4は0以上12以下の整数)、−Cn5(9−n5)(ただし、n5は0以上8以下の整数)、−Cn6(5−n6)(ただし、n6は0以上4以下の整数)、−Cn7(11−n7)(ただし、n7は0以上10以下の整数)、−Cn8(7−n8)(ただし、n8は0以上6以下の整数)、−Cn9(15−n9)(ただし、n9は0以上14以下の整数)、−Cn10(19−n10)(ただし、n10は0以上18以下の整数)、−C11(23−n11)(ただし、n11は0以上20以下の整数)、−C14n12(29−n12)(ただし、n12は0以上28以下の整数)、−CHOCn13(5−n13)(ただし、n13は0以上4以下の整数)、−CHOCn14(7−n14)(ただし、n14は0以上6以下の整数)、−CHOCn15(9−n15)(ただし、n15は0以上8以下の整数)、−CHOCn16(11−n16)(ただし、n16は0以上10以下の整数)、−CHOCn17(13−n17)(ただし、n17は0以上12以下の整数)、−CHOCn18(15−n18)(ただし、n18は0以上14以下の整数)、−CHOCn19(17−n19)(ただし、n19は0以上16以下の整数)、−CHOCn20(19−n20)(ただし、n20は0以上18以下の整数)、−CHOC10n21(21−n21)(ただし、n21は0以上20以下の整数)、−CHOC11n22(23−n22)(ただし、n22は0以上22以下の整数)、−CHOC12n23(25−n23)(ただし、n23は0以上24以下の整数)、−CHOC14n24(29−n24)(ただし、n24は0以上28以下の整数)、−CH−O−C(=O)−Cn25(3−n25)(ただし、n25は0以上2以下の整数)、−CH−O−C(=O)−Cn26(5−n26)(ただし、n26は0以上4以下の整数)、−CH−O−C(=O)−Cn27(7−n27)(ただし、n27は0以上6以下の整数)、−CH−O−C(=O)−Cn28(9−n28)(ただし、n28は0以上8以下の整数)、−CH−O−C(=O)−Cn29(11−n29)(ただし、n29は0以上10以下の整数)、−CH−O−C(=O)−Cn30(13−n30)(ただし、n30は0以上12以下の整数)、−CH−O−C(=O)−Cn31(15−n31)(ただし、n31は0以上14以下の整数)、−CH−O−C(=O)−Cn32(17−n32)(ただし、n32は0以上16以下の整数)、−CH−O−C(=O)−Cn33(19−n33)(ただし、n33は0以上18以下の整数)、−CH−O−C(=O)−C10n34(21−n34)(ただし、n34は0以上20以下の整数)、−C(=O)−Cn35(3−n35)(ただし、n35は0以上2以下の整数)、−C(=O)−Cn36(5−n36)(ただし、n36は0以上4以下の整数)、−C(=O)−Cn37(7−n37)(ただし、n37は0以上6以下の整数)、−C(=O)−Cn38(9−n38)(ただし、n38は0以上8以下の整数)、−C(=O)−Cn39(11−n39)(ただし、n39は0以上10以下の整数)、−C(=O)−Cn40(13−n40)(ただし、n40は0以上12以下の整数)、−C(=O)−Cn41(15−n41)(ただし、n41は0以上14以下の整数)、−C(=O)−Cn42(17−n42)(ただし、n42は0以上16以下の整数)、−C(=O)−Cn43(19−n43)(ただし、n43は0以上18以下の整数)、−C(=O)−C10n44(21−n44)(ただし、n44は0以上20以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn45(5−n45)(ただし、n45は0以上4以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn46(7−n46)(ただし、n46は0以上6以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn47(9−n47)(ただし、n47は0以上8以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn48(11−n48)(ただし、n48は0以上10以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn49(13−n49)(ただし、n49は0以上12以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn50(15−n50)(ただし、n50は0以上14以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn51(17−n51)(ただし、n51は0以上16以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn52(19−n52)(ただし、n52は0以上18以下の整数)、−C−C(=O)−O−C10n53(21−n53)(ただし、n53は0以上20以下の整数)、−C−C(=O)−O−C11n54(23−n54)(ただし、n54は0以上22以下の整数)、−C−C(=O)−O−C12n55(25−n55)(ただし、n55は0以上24以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn56(14−n56)OH(ただし、n56は0以上13以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn57(16−n57)OH(ただし、n57は0以上15以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn58(18−n58)OH(ただし、n58は0以上17以下の整数)、−C−C(=O)−O−C10n59(20−n59)OH(ただし、n59は0以上19以下の整数)、−C−C(=O)−O−C11n60(22−n60)OH(ただし、n60は0以上21以下の整数)、−C−C(=O)−O−C12n61(24−n61)OH(ただし、n61は0以上23以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn62(5−n62)(ただし、n62は0以上4以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn63(7−n63)(ただし、n63は0以上6以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn64(9−n64)(ただし、n64は0以上8以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn65(11−n65)(ただし、n65は0以上10以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn66(13−n66)(ただし、n66は0以上12以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn67(15−n67)(ただし、n67は0以上14以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn68(17−n68)(ただし、n68は0以上16以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn69(19−n69)(ただし、n69は0以上18以下の整数)、−C−C(=O)−O−C10n70(21−n70)(ただし、n70は0以上20以下の整数)、−C−C(=O)−O−C11n71(23−n71)(ただし、n71は0以上22以下の整数)、−C−C(=O)−O−C12n72(25−n72)(ただし、n72は0以上24以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn73(14−n73)OH(ただし、n73は0以上13以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn74(16−n74)OH(ただし、n74は0以上15以下の整数)、−C−C(=O)−O−Cn75(18−n75)OH(ただし、n75は0以上17以下の整数)、−C−C(=
O)−O−C10n76(20−n76)OH(ただし、n76は0以上19以下の整数)、−C−C(=O)−O−C11n77(22−n77)OH(ただし、n77は0以上21以下の整数)、−C−C(=O)−O−C12n78(24−n78)OH(ただし、n78は0以上23以下の整数)、−CH−NH−Cn79(9−n79)(ただし、n79は0以上8以下の整数)、−CH−NH−Cn80(15−n80)(ただし、n80は0以上14以下の整数)、−CH−NH−Cn81(17−n81)(ただし、n81は0以上16以下の整数)、−CH−NH−Cn82(19−n82)(ただし、n82は0以上18以下の整数)等が挙げられる。
[1−2]一般式(II)で表される構成単位
本発明における下記一般式(II)で表される構成単位について説明する。
【0015】
【化6】

【0016】
一般式(II)中、Bは直接結合または炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。中でも、原料の入手しやすさ、製造の容易などの観点から、直接結合、メチレン基、エチレン基、ブチル基が好ましい。
また、Rはハロゲン原子により置換されている芳香族基を示す。置換されるハロゲン原子としては、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子が好ましく、臭素原子がさらに好ましい。
【0017】
また、芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられ、中でもフェニル基が好ましい。
以下に、好ましい具体例を示す。
【0018】
【化7】

【0019】
なお、Rの芳香族基は、ハロゲン原子の置換数が2以上であるものが好ましい。ハロゲン原子の置換数、およびその置換数を有するRの構成比は、架橋重合体粒子の熱分解ガスクロマトグラフィーを測定することにより求められる。
【0020】
<ガスクロマトグラフィー測定法の例>
島津製作所製ガスクロマトグラフGC−14AH、フロンティアラボ製パイロライザーPY−2010SLを用いる。カラムは、ヒューレッドパッカー製HP−5内径0.25mm×長さ30m、膜厚0.25μmを用い、熱分解温度を580℃、キャリヤーガスとし
てヘリウムを用いる。ピークはFID検出器にて検出し、芳香環にハロゲン原子が1置換し
た構造を有するピークの面積、芳香環にハロゲン原子が2置換した構造を有するピークの面積、芳香環にハロゲン原子が3置換した構造を有するピークの面積の相対比から、構成比を求められる。
【0021】
[2]架橋重合体粒子
本発明の架橋重合体粒子は、上述の本発明の化合物を用いて形成される。以下、本発明の架橋重合体粒子について説明する。
[2−1]重量平均粒子径
本発明の架橋重合体粒子は重量平均粒子径が通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上、さらに好ましくは2μm以上であり、通常3000μm以下、好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは800μm以下である。重量平均粒子径が小さすぎると液体クロマトグラフィーの逆相充填剤としてカラムに充填して用いた場合に送液抵抗が高くなり移動相の送液が困難となる、大きすぎると充填カラムの理論段数が下がる為、所望の分離性能が得られない。 重量平均粒子径は、対象とする粒子の粒径分布範囲に応じて、以下の方法から選択された方法によって測定される。
【0022】
<重量平均粒子径測定法1(水篩法)>
主に粒径分布範囲300μm〜1000μmの粒子に対して用いられる。
対象とする粒子の粒径分布の範囲に従って、篩目の径が1180μm、850μm、710μm、600μm、425μm、300μm、の篩を、下方になる程、篩目の径が小さくなる様に積み重ねる。この積み重ねた篩をバットの上に置き、最上段に積み重ねられた1180μmの篩の中に架橋重合体粒子を約100mL入れる。
【0023】
水道水につないだゴム管から樹脂上にゆるやかに水を注ぎ小粒を下の方へ篩別する。1180μmの篩の中に残った架橋重合体粒子は、さらに以下の方法により、厳密に小粒を篩別する。即ち、別のバットの1/2位の深さまで水を満たし、1180μmの篩を前記バットの中で上下及び回転運動を与えて動揺させることを繰り返し、小粒を篩別する。
前記バットの中の小粒は次の850μmの篩の上へ戻し、また1180μmの篩の上に残った架橋重合体粒子はさらに別のバットに採取する。篩の目に架橋重合体粒子が詰まっ
ていれば、篩をバットに逆に置き、水道水につないだゴム管に密着させ、水を強く流して篩の目に詰まった架橋重合体粒子を取り出す。取り出した架橋重合体粒子は、1180μmの篩上に残った架橋重合体粒子を採取したバットに移し、合計をメスシリンダーで容積を測定する。この容積をa(mL)とする。1180μmの篩を通った架橋重合体粒子は850μm、710μm、600μm、425μm、300μmの篩についてそれぞれ同様の操作を行い、メスシリンダーを用いて容積b(mL)、c(mL)、d(mL)、e(mL)、f(mL)を求め、最後に300μmの篩を通った架橋重合体粒子の容積をメスシリンダーで測定しg(mL)とする。
【0024】
V=a+b+c+d+e+f+gとし、a/V×100=a’(%)、b/V×100=b’(%)、c/V×100=c’(%)、d/V×100=d’(%)、e/V×100=e’(%)、f/V×100=f’(%)、g/V×100=g’(%)を算出する。
前記a’〜g’より片軸に各篩の残留分累計(%)、他の軸に篩目の径(mm)をとり、これを対数確率紙上にプロットする。残留分の多い順に3点を取り、この3点を出来るだけ満足するような線を引き、この線から残留分累計が50%に相当する篩目の径(mm)を求め、これを重量平均粒子径とする。
なお、上記重量平均粒子径の算出法は、例えば三菱化学株式会社イオン交換樹脂事業部発行「ダイヤイオンI基礎編」第14版(平成11年9月1日)第139〜141頁に記載される公知の算出法である。
【0025】
<重量平均粒子径測定法2(ロボットシフター法)>
主に粒径分布範囲20μmから300μm以下の粒子に対して用いられる。
試料約3gをはかりとり、その中にホワイトカーボンを約0.06g入れ、使い捨てポリエチレン製手袋使用し、掌上で良くまぶし、試料表面の付着水分を取り除く。これを順次重ねた音波振動式自動篩分け粒度分布測定器(セイシン企業製ロボットシフターRPS−85)にセットされたJIS標準篩の最上部に入れる。尚、使用標準篩は、樹脂の粒度範囲に規定された篩を使用する。
【0026】
以下、粒径範囲が63μmから212μmの架橋重合体粒子サンプルの場合の具体的測定例を示す。
ロボットシフターの操作条件をLEVEL(強度)2、TIME(時間)10分、INTERVAL(間隔)1秒の条件で篩分ける。篩分けられた各フルイ上の樹脂の重量は、自動的に測定される。尚、前記ホワイトカーボンは、63μm以下の粒径な為63μm以上の篩上に残らない。
【0027】
各粒径での容積比率は、次の式により算出される。
V=a+b+c+d+e+f+gとし、a/V×100=a’(%)、b/V×100=b’(%)、c/V×100=c’(%)、d/V×100=d’(%)、e/V×100=e’(%)、f/V×100=f’(%)、g/V×100=g’(%)を算出する。
【0028】
ここで、a'(%)は、粒径212μm以上の容積比率、b'(%)は、180μm以上212μm未満の容積比率、c'(%)は150μm以上180μm未満の容積比率、d'(%)は、106μm以上150μm未満の容積比率、e'(%)は、75μm以上106μm未満
の容積比率、f'(%)は、63μm以上75μm未満の容積比率、g'(%)は、63μm未満の容積比率を示す。
【0029】
前記a’〜g’より片軸に各篩の残留分累計(%)、他の軸に篩目の径(mm)をとり、これを対数確率紙上にプロットする。残留分の多い順に3点を取り、この3点を出来るだけ満足するような線を引き、この線から残留分累計が50%に相当する篩目の径(mm)を求め、これを重量平均粒子径とする。
なお、上記重量平均粒子径の算出法は、前記測定法1と同様、例えば三菱化学株式会社イオン交換樹脂事業部発行「ダイヤイオンI基礎編」第14版(平成11年9月1日)第139〜141頁に記載される公知の算出法である。
【0030】
<重量平均粒子径測定法3(コールターカウンター法)>
主に粒径分布範囲1μm以上200μm以下の粒子に対して用いられる。
試料を所定の塩化ナトリウム水溶液の分散液とし、測定する粒径の範囲がアパチャー径の2〜60%となるアパチャーを使用する。
コールターカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて濃度計の数値が5〜10%になるように試料を7重量%の塩化ナトリウム水溶液に分散した懸濁液を用いて測定する。 測定個数を30,000個とし、測定により得られる体積統計値の平均径を重量平均粒子径とする。なお、均一係数は、測定により得られる体積統計値の40%径および90%径より、次式(I)によって求める。
【0031】
均一係数={40%径(μm)}/{90%径(μm)}・・・(I)
上記重量平均粒子径を有する本発明の架橋重合体粒子は、例えば既知の分級方法により得られる。分級法としては、篩による分別、水流を用いる水篩、気流を用いる風篩、沈降速度差を利用した沈降分級、遠心力を利用した遠心分級などが利用できる。
【0032】
[2−2]均一係数
本発明の架橋重合体粒子は粒度分布がシャープであることが好ましく、下記算出法により示される均一係数が通常1.7以下、好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.3以下である。均一係数が大きすぎると逆相クロマトグラフィー分離の為に架橋重合体粒子をカラムに充填した時、カラムの理論段数が上がらず、十分な分離性が得られない。
【0033】
<均一係数算出法>
[2−1]で前述した重量平均粒子径の算出法において算出した前記a’〜g’を用いて、片軸に各篩の残留分累計(%)、他の軸に篩目の径(mm)をとり、これを対数確率紙上にプロットする。残留分の多い順に3点を取り、この3点を出来るだけ満足するような線を引きこの線から残留分累計が90%に相当する篩目の径(mm)を求めこれを有効径とする。
【0034】
前記有効径と同一要領により、残留分累計40%に対応する篩目の径(mm)を求め、次式(I)によって均一係数を求める。
均一係数={残留分累計が40%に相当する篩目の径(mm)}/{有効径(mm)}・・・(I)
なお、上記均一粒係数の算出法は、例えば三菱化学株式会社イオン交換樹脂事業部発行「ダイヤイオンI基礎編」第14版(平成11年9月1日)第139〜141頁に記載される公知の算出法である。
【0035】
上記均一係数を有する本発明の架橋重合体粒子は、例えば既知の分級方法により得られる。分級法としては、篩による分別、水流を用いる水篩、気流を用いる風篩、沈降速度差を利用した沈降分級、遠心力を利用した遠心分級などが利用できる。又、特願昭63−0116916に記載されている均一粒径製造技術によっても、上記均一係数を有する本発明の架橋重合体粒子を得ることが出来る。
【0036】
[2−3]その他物性
本発明の架橋重合体粒子は、無孔状粒子および多孔質粒子のいずれも用いうるが、逆相
クロマトグラフィーの分離剤として使用する場合は、比表面積を大きくすることにより吸着容量を高くできることから、多孔質粒子である事が好ましい。比表面積は、通常10m/g以上、好ましくは40m/g以上、さらに好ましくは200m/g以上である。比表面積が小さすぎると、高い吸着量は得られない。一方、高速液体クロマトグラフィーのように、高い分離性能を得たい場合は、分離対象物の孔内拡散によるカラムの理論段数の低下を避ける為に無孔状粒子を用いる事ができる。
【0037】
吸着容量を高める為に多孔質化した場合、その細孔の半径は、逆相クロマトグラフィーにより分離する対象物が細孔内を拡散し、架橋重合体粒子細孔内表面と相互作用できる大きさが必要である。 従って、分離する対象物の大きさにより、好ましい細孔径が適宜選択される。粒子表面積は、窒素ガスを用いたBET(Brunauer Emmett Teller)法により、測定される。
【0038】
[2−4]製造方法
本発明の架橋重合体粒子は、例えば公知の芳香族系架橋重合体粒子をベースとして、所望の官能基を修飾することにより製造することができる。芳香族系架橋重合体粒子としては、モノビニル芳香族モノマーと架橋性芳香族モノマーの共重合で得られる架橋構造骨格を有する架橋重合体粒子が挙げられる。モノビニル芳香族モノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン等のアルキル置換スチレン類、モノビニルビフェニル、ベンジルスチレン、モノビニルビニルナフタレン、モノビニルアントラセン等の多環芳香族モノビニルモノマー類、ブロモスチレン等のハロゲン置換スチレン類が挙げられる。このうち、スチレン、エチルスチレンまたはスチレンを主体とするモノマーが好ましい。また、架橋性芳香族モノマーとしては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルナフタリン、ジビニルキシレン、ジビニルビフェニル、ジビニルジフェニルメタン等が挙げられる。このうち、ジビニルベンゼンが好ましい。工業的に製造されるジビニルベンゼンは、通常副生物であるエチルビニルベンゼン(エチルスチレン)を多量に含有しているが、本発明においてはこのようなジビニルベンゼンも使用できる。
【0039】
具体的には、例えばスチレン−ジビニルベンゼン系芳香族系架橋重合体粒子等を挙げることができる。
また、芳香族系架橋重合体粒子は市販のものを用いることができる。本発明の架橋重合体粒子に用いるベースとなる芳香族系架橋重合体粒子としては、例えば、例えば、ダイヤイオンHP21(商品名、三菱化学社製)、ダイヤイオンHP20(商品名、三菱化学社製)、ダイヤイオンHP20SS(商品名、三菱化学社製)、ダイヤイオンHP21SS(商品名、三菱化学社製)、MCI GEL CHP20P(商品名、三菱化学社製)、MCI GEL CHP20Y(商品名、三菱化学社製)、MCI GEL CHP20A(商品名、三菱化学社製)、MCI GEL CHP55Y(商品名、三菱化学社製)、MCI GEL CHP55A(商品名、三菱化学社製)、MCI GEL CHP5C(商品名、三菱化学社製)、MCI GEL CHP10M(商品名、三菱化学社製)、セパビーズSP20SS(商品名、三菱化学社製)、セパビースSP70(商品名、三菱化学社製)、セパビースSP700(商品名、三菱化学社製)、セパビースSP825(商品名、三菱化学社製)、セパビースSP825L(商品名、三菱化学社製)、セパビースSP850(商品名、三菱化学社製)、セパビースSP207(商品名、三菱化学社製)、セパビースSP207SS(商品名、三菱化学社製)、アンバーライトXAD−2(商品名、スペルコ社製)、アンバーライトXAD−4(商品名、ロームアンドハース社製)、アンバーライトXAD−16(商品名、ロームアンドハース社製)、アンバーライトXAD−18(商品名、ロームアンドハース社製)、アンバーライトXAD−1180(商品名、ロームアンドハース社製)、アンバーライトXAD−1600(商品名、ロームアンドハース社製)、アンバーライトXAD−1800(商品名、ロームアンドハース社製)、アンバーライトXAD−2000(商品名、ロームアンドハース社製)、アンバーライトXAD−2010(商品名、ロームアンドハース社製)、アンバークロムCG−161m(商品名、ロームアンドハース社製)、アンバークロムCG−161c(商品名、ロームアンドハース社製)、アンバークロムCG−300s(商品名、ロームアンドハース社製)、アンバークロムCG−300m(商品名、ロームアンドハース社製)、アンバークロムCG−1000s(商品名、ロームアンドハース社製)、アンバークロムXT−20(商品名、ロームアンドハース社製)、アンバークロムXT−30(商品名、ロームアンドハース社製)、ダウエックス L493(商品名、ダウケミカル社製)、ダウエックス オプティポアV493(商品名、ダウケミカル社製)、ダウエックス オプティポアV502(商品名、ダウケミカル社製)、ダウエックス オプティポアV503(商品名、ダウケミカル社製)、ダウエックス オプティポアSD−2(商品名、ダウケミカル社製)、ムロマック SAP−9516(商品名、室町ケミカル社製)、ムロマック SAP−9610(商品名、室町ケミカル社製)、ムロマック SAP−9630(商品名、室町ケミカル社製)、ムロマック SAP−9520(商品名、室町ケミカル社製)、レバチット VPOC 1064 MDPH(商品名、ランクセス社製)、レバチット VPOC 1163(商品名、ランクセス社製)、レバチット S 7768(商品名、ランクセス社製)、ソース15RPC(商品名、GEヘルスケア社製)等が挙げられる。
次に、上記芳香族系架橋重合体粒子に官能基を修飾する方法を説明する。
【0040】
[2−4−1]一般式(I)で表される構成単位を有する化合物の場合
一般式(I)で表される構成単位を有する架橋重合体を製造する方法としては、例えば、ベースとなる芳香族系架橋重合体のフェニル基にパーフルオロオクチル基を置換させる方法、あらかじめパーフルオロオクチル基が置換した芳香族系モノマーを芳香族系架橋モノマーと共重合する方法等を挙げることができる。
【0041】
芳香族系架橋重合体のフェニル基にパーフルオロオクチル基を置換させる方法としては、通常ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、および金属銅粉末の存在下、パーフルオロオクチルヨーダイド等のパーフルオロアルキルヨウ化物を反応させる方法が挙げられる。反応時の雰囲気温度は、通常30℃以上、好ましくは50℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは150℃以下である。
【0042】
また、反応させるパーフルオロオクチルヨーダイド等のパーフルオロアルキルヨウ化物は、ベースとなる芳香族系架橋重合体に対して、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上である。パーフルオロオクチルヨーダイド等のパーフルオロアルキルヨウ化物の量が少なすぎると芳香族系架橋モノマーへ置換する量が少なく、十分な効果が得られない。
反応終了後、反応混合物を濾別し、希塩酸、アセトン、キシレンなどの溶媒で洗浄して芳香環にパーフルオロオクチル基が置換された架橋重合体を得る。
【0043】
[2−4−2]一般式(II)で表される構成単位を有する化合物の場合
一般式(II)で表される構成単位を有する架橋重合体を製造する方法としては、例えば、ベースとなる芳香族系架橋重合体のフェニル基にベンジル基を置換させた後、前記ベンジル基にハロゲン原子を置換させる方法や、あらかじめハロゲン原子が置換したベンジル基をベースとなる芳香族系架橋重合体のフェニル基に置換する方法、ベースとなる芳香族系架橋重合体のフェニル基にクロロメチル基を置換させた後、前記クロロメチル基にフェニル基を置換させ、さらに前記クロロメチル基に置換したフェニル基にハロゲン原子を置換させる方法、ベースとなる芳香族系架橋重合体のフェニル基にクロロメチル基を置換させた後、前記クロロメチル基にハロゲン原子が置換したフェニル基を置換させる方法、ベンジル基が置換した芳香族系モノマーを芳香族系架橋モノマーと共重合して得られたベンジル基が置換した芳香族系架橋重合体のベンジル基にハロゲン原子を置換させる方法、ハロゲン原子が置換したベンジル基が置換した芳香族系モノマーを芳香族系架橋モノマーと共重合する方法などが挙げられる。
【0044】
芳香族系架橋重合体のフェニル基にベンジル基を置換させる方法としては、通常非プロトン性溶媒、およびルイス酸触媒の存在下、ベンジルブロマイドなどのベンジルハロゲン化物を反応させる方法が挙げられる。反応時の雰囲気温度は、通常−20℃以上、好ましくは0℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは100℃以下である。また、反応させるベンジルブロマイドなどのベンジルハロゲン化物は、ベースとなる芳香族系架橋重合体に対して、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上である。ベンジルハロゲン化物の量が少なすぎると芳香族系架橋モノマーへ置換する量が少なく、十分な効果が得られない。ベンジルハロゲン化物の量が多い場合は、そのまま溶媒として利用される場合がある。
【0045】
反応終了後、反応混合物を濾別し、希塩酸、アセトン、トルエンなどの溶媒で洗浄して芳香環にベンジル基が置換された架橋重合体を得る。
ベンジル基が置換された架橋重合体のベンジル基にハロゲン原子を置換させる方法としては、通常芳香族系架橋重合体を膨潤させる溶媒、ルイス酸触媒の存在下、分子状臭素などのハロゲン分子を反応させる方法が挙げられる。反応時の雰囲気温度は、通常−20℃以上、好ましくは0℃以上であり、通常200℃以下、好ましくは100℃以下である。
【0046】
また、反応させる分子状臭素などのハロゲン分子は、ベースとなる芳香族系架橋重合体に対して、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上であり、通常300重量%以下、好ましくは200重量%以下である。分子状臭素などのハロゲン分子の量が少なすぎると芳香族系架橋モノマーへ置換する量が少なく、十分な効果が得られない。
反応終了後、反応混合物を濾別し、水、アセトンなどの溶媒で洗浄して本発明の架橋重合体を得る。
【0047】
[3]吸着剤
本発明の架橋重合体粒子は吸着剤として好適に用いられる。本発明の吸着剤は、分離剤及び液体クロマトグラフィー充填剤として好適に用いられ、特に液体クロマトグラフィー充填剤として用いる場合には逆相クロマトグラフィー分離方法での使用が好ましい。
【実施例】
【0048】
以下、実施例により、本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施することができる。
【0049】
[1]実験例A:一般式(I)で表される構成単位を有する化合物を用いた架橋重合体粒

[1−1]実施例1
市販の多孔質芳香族系架橋重合体であるダイヤイオンHP21(三菱化学社製)の小粒子品(重量平均粒子径55μm、均一係数)100重量部を四つ口反応フラスコに入れ、ジメチルスルホキシド700重量部およびパーフルオロオクチルヨーダイド30重量部を加え、室温にて1時間放置後、活性銅粉末4.2重量部を加えて120℃にて5時間反応を行った。反応終了後反応混合物を60℃まで冷却後、濃塩酸を6.5重量部加えた後、濾別した。2Lの2N-塩酸、2Lの脱塩水、2Lのアセトンで順次洗浄した。得られたパーフルオロアルキル基が芳香環に置換した芳香族系架橋重合体を減圧乾燥機にて50℃に加熱することにより乾燥した。
【0050】
得られたパーフルオロアルキル基が置換した芳香族系架橋重合体の重量平均粒子径及び均一係数は、ロボットシフター法により測定した。パーフルオロアルキル基担持率は、フッ素原子の元素分析により測定した。元素分析は、フラスコ燃焼−イオンクロマト法にリ実施した。 比表面積は、BET吸着法により測定した。細孔容積は、窒素多点吸着法により測定した。重量平均粒子径、均一係数、臭素含有率、比表面積、細孔容積を表−1に示した。
【0051】
[1−2]実施例2
実施例1で用いた多孔質芳香族モノマー架橋重合体粒子を用いて、常法によりクロロメチル基を導入した。得られたクロロメチル化多孔質芳香族性モノマー架橋重合体粒子を元素分析した結果塩素元素の含有量は13.2重量%であった。
得られたクロロメチル化架橋重合体粒子100重量部を四つ口反応フラスコに入れ、テトラヒドロフラン44.5重量部および1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール100重量部を加え、室温にて1時間放置後、水素化ナトリウム24.8重量部を加えて
還流下6時間反応を行った。 反応終了後、脱塩水18.6重量部加えた後、濾別した。
2Lの脱塩水、2Lのアセトンで順次洗浄した。得られた1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル基が芳香環に置換した芳香族系架橋重合体を減圧乾燥機にて50℃に加熱することにより乾燥した。
【0052】
得られた1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル基が置換した芳香族系架橋重合体の重量平均粒子径及び均一係数は、ロボットシフター法により測定した。1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル基の担持率は、元素分析で求めたフッ素原子の含有率から計算した。 元素分析は、フラスコ燃焼−イオンクロマト法に実施した。比表面積は、BET吸着法により測定した。細孔容積は、窒素多点吸着法により測定した。
重量平均粒子径、均一係数、臭素含有率、比表面積、細孔容積を表−1に示した。
[1−3]比較例1 市販のフッ素原子含有アルキル基を担持した逆相クロマトグラフィー用カラムであるFluofix 120E(商品名、和光純薬製)を同様に評価した。
【0053】
【表1】

【0054】
[1−4]逆相クロマトグラフィー分離方法による得られた架橋共重合体の疎水性評価
得られた多孔質芳香族モノマー架橋重合体の疎水性を評価するために、送液ポンプ、オートサンプルインジェクタ、カラムオーブン、紫外吸収検出器、データ処理装置を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置を用い、逆相クロマトグラフィー条件でフタル酸ジエステル類の保持容量比を測定した。
【0055】
実施例1および2の架橋重合体を内径4.6mm、長さ150mmのステンレスカラムに充填した。比較例1は市販の充填カラムを使用した。水/アセトニトリルを体積比40
/60で混合した混合溶媒を溶離液として流速0.5ml/minにて通液し、フタル酸ジメチルエステル及びフタル酸ジ
プロピルエステルおよび間隙容量算出用の試料である硝酸ナトリウム水溶液の逆相高速液体クロマトグラフィー分析を行った。検出は254nmの紫外検出器にて行った。カラムオーブンの温度は40℃であった。
【0056】
フタル酸ジメチルエステルとフタル酸ジプロピルエステルについての保持比(k’)及び保持容量比(α)は以下の式により算出した。
k’=[(各試料の溶離容量)−(硝酸ナトリウムの溶離容量)]/[(硝酸ナトリウムの溶離容量)]。
α=(フタル酸ジメチルエステルのk’)/(フタル酸ジメチルエステルのk’)。
【0057】
得られた水/アセトニトリル混合溶離液における充填カラムのフタル酸ジメチルエステルとフタル酸ジプロピルエステルの保持比(k’)及び保持容量比(α)を表−2に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
[2]実験例B:一般式(II)で表される構成単位を有する化合物を用いた架橋重合体粒子
[2−1]実施例3
市販の多孔質芳香族モノマー架橋重合体であるダイヤイオンHP21(三菱化学社製)の小粒品(重量平均粒子径54μm、均一係数1.29)100重量部を四つ口反応フラスコに入れ、1,2−ジクロロエタン500重量部を加え、室温にて1時間放置後、塩化
第二鉄5重量部およびベンジルブロマイド100重量部を加えて50℃にて5時間反応を行った。 反応終了後反応混合物を濾別し、2Lの2N-塩酸、2Lの脱塩水、2Lのアセト
ンで洗浄した。得られたベンジル基が芳香環に置換した多孔質芳香族モノマーの架橋重合体を減圧乾燥機にて50℃に加熱することにより乾燥した。
【0060】
乾燥したベンジル基が芳香環に置換した多孔質芳香族モノマー架橋重合体100重量部を四つ口反応フラスコに入れ、1,2−ジクロロエタン500重量部を加え、室温にて1
時間放置後、塩化第二鉄5重量部および分子状臭素123重量部を加えて40℃にて10時間反応を行った。 反応終了後反応混合物を濾別し、2Lの2N-塩酸、2Lの脱塩水、2Lのアセトンで洗浄した。 得られた多孔質芳香族モノマーの架橋重合体の重量平均粒子径及び均一係数は、ロボットシフター法により測定した。臭素含有率は、フラスコ燃焼−イオンクロマト法に従い元素分析により測定した。比表面積は、BET吸着法により測定した。 細孔容積は、窒素多点吸着法により測定した。
重量平均粒子径、均一係数、臭素含有率、比表面積、細孔容積を表−3に示した。
【0061】
[2−2]実施例4
実施例3で用いた多孔質芳香族モノマー架橋重合体粒子を用いて、常法によりクロロメチル基を導入した。得られたクロロメチル化多孔質芳香族性モノマー架橋重合体粒子を元素分析した結果塩素元素の含有量は13.2重量%であった。
得られたクロロメチル化架橋重合体粒子100重量部を四つ口反応フラスコに入れ、1,2−ジクロロエタン500重量部を加え、室温にて1時間放置後、無水塩化アルミニウム30重量部およびm−ジビニルベンゼン100重量部を加えて80℃にて5時間反応を行った。 反応終了後反応混合物を濾別し、2Lの2N-塩酸、2Lの脱塩水、2Lのアセトンで洗浄し、m-ジビニルベンジル基が芳香環に置換した多孔質芳香族モノマーの架橋重合体を得た。得られた多孔質芳香族モノマーの架橋重合体の臭素含有率、比表面積、細孔容積を表−3に示した。
【0062】
[2−3]比較例2
実施例3で用いた芳香族モノマーの多孔質架橋重合体粒子100重量部を四つ口反応フラスコに入れ、1,2−ジクロロエタン500重量部を加え、室温にて1時間放置後、無
水塩化アルミニウム30重量部およびp−ブロモベンジルブロマイド100重量部を加えて80℃にて5時間反応を行った。 反応終了後反応混合物を濾別し、2Lの2N-塩酸、
2Lの脱塩水、2Lのアセトンで洗浄することにより、p−ベンジル基が芳香環に置換した多孔質芳香族モノマーの架橋重合体を得た。得られた多孔質芳香族モノマーの架橋重合体の臭素含有率、比表面積、細孔容積を表−3に示した。
【0063】
[2−4]比較例3 多孔質芳香族モノマー架橋重合体粒子として市販のダイヤイオンHP21の小粒品(重量平均粒子径54μm、均一係数1.29)を用い、同様に評価した。
[2−5]比較例4 逆相クロマトグラフィー用分離剤であるオクタデシルシリカゲルを充填した市販のカラムを同様に評価した。
【0064】
【表3】

【0065】
[2−4]逆相クロマトグラフィー分離方法による得られた架橋共重合体の疎水性評価
得られた多孔質芳香族モノマー架橋重合体の疎水性を評価するために、送液ポンプ、オートサンプルインジェクタ、カラムオーブン、紫外吸収検出器、データ処理装置を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置を用い、逆相クロマトグラフィー条件でフタル酸ジエステル類の保持容量比を測定した。
【0066】
実施例1および2で得られたを内径4.6mm、長さ150mmのステンレスカラムに充填し、水/アセトニトリルを体積比40/60で混合した混合溶媒を溶離液として流速0.5ml/minにて通液し、フタル酸ジメチルエステル及びフタル酸ジプロピルエス
テルおよび間隙容量算出用の試料である硝酸ナトリウム水溶液の逆相高速液体クロマトグラフィー分析を行った。 検出は254nmの紫外検出器にて行った。 カラムオーブンの温度は40℃であった。
【0067】
フタル酸ジメチルエステルとフタル酸ジプロピルエステルについての保持比(k’)及び保持容量比(α)は以下の式により算出した。 k’=[(各試料の溶離容量)−(硝酸ナトリウムの溶離容量)]/[(硝酸ナトリウムの溶離容量)]。 α=(フタル酸ジメチルエステルのk’)/(フタル酸ジメチルエステルのk’)。
得られた水/アセトニトリル混合溶離液における充填カラムのフタル酸ジメチルエステルとフタル酸ジプロピルエステルの保持比(k’)及び保持容量比(α)を表−4に示す。
【0068】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の新規化合物、架橋重合体粒子および吸着剤は、疎水性物質吸着能力(疎水性相互作用)が高く、特に逆相クロマトグラフィー分離法に対する適用性に優れる。よって、逆相クロマトグラフィー分離法を用いる必要のある食品分野、医薬分野、その他の発酵分野、バイオ分野等の各分野において、産業上の利用可能性は極めて高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)および/または(II)で表される構成単位を有する化合物。
【化1】

一般式(I)中、Aは直接結合、または2価の有機基を示す。
は炭素数2以上20以下のフッ化アルキルを示す。
【化2】

一般式(II)中、Bは直接結合または炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。Rはハロゲン原子が2個以上置換されている芳香族基を示す。
【請求項2】
前記ハロゲン原子が臭素原子である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物を用いて形成された架橋重合体粒子。
【請求項4】
重量平均粒子径が0.1μm以上3000μm以下であり、且つ均一係数が1.7以下であることを特徴とする請求項3に記載の架橋重合体粒子。
【請求項5】
請求項3または4に記載の架橋重合体粒子を用いて形成された吸着剤。

【公開番号】特開2008−195793(P2008−195793A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−30988(P2007−30988)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】