説明

新規示差画像形成法

本発明は、アドレナリン作動性造影剤を用いてヒト被験者における心臓神経伝達をインビボで造影する改良法に関する。本発明は、同一のアドレナリン作動性造影剤を用いて別の2画像を得ることを含む。該画像の一方は、問題としている特定の造影剤の取込みを妨害することが知られている化合物の投与と共に得られる。2画像を比較することにより、アドレナリン作動性造影剤だけを用いた造影と比べ、ヒト被験者における心臓神経伝達の状態に関して、追加情報を得ることができる。本発明は、造影剤の取込みを妨害することが知られている薬剤の非医薬用量の投与と共に、アドレナリン作動性造影剤を用いて単一画像を得る、ヒト被験者における心臓神経伝達をインビボで造影する方法も提供する。更に、本発明は、画像装置を操作する方法、アドレナリン作動性造影剤の第2の医療使用、並びに本発明の方法を実施するのに適当なキットも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被験者の医用画像の分野に関する。特に、本発明は、被験者の心臓神経伝達画像に関し、公知の画像診断法と比較して、追加の臨床データが得られる新規画像診断法を提供する。
【背景技術】
【0002】
心臓神経伝達に関与する組織をターゲットとし、その機能の低下した疾患の診断及びモニタリングに有用な各種の放射性医薬品が知られている。かかる放射性医薬品の例には、18F−フルオロドーパミン、11C−ヒドロキシエフィドリン(11C−HED)、11C−エフィドリン(11C−EPI)、123I−meta−ヨードベンジルグアニジン(123I−mIBG)、11C−4−(3−t−ブチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−ベンズイミダゾール−1(11C−CGP)、11C−カラゾロール、18F−フルオロカラゾロール及び11C−メチルキヌクリジニルベンジレート(11C−MQNB)がある。かかる放射性医薬品の使用により、シナプス後受容体の領域分布及び活性の他に、シナプス前の再取込み及び神経伝達物質貯蔵のインビボ検査が可能となる。
【0003】
123Iで標識した放射性医薬品は、単一光子放射断層撮影(SPECT)を用いた外部造影に使用でき、11C又は18Fで標識したものは、陽電子放出断層撮影(PET)を用いた外部造影に使用できる。これらの医薬品の特性及び使用に関する最近の総説については、Carrio,Journal of Nuclear Medicine 2001 42(7)pp1062−76を参照されたい。
【0004】
三環系抗うつ薬、β遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、交感神経様作用薬及びコカインなど様々な種類の医薬が、放射性医薬品の取込みを妨害することが知られている。偽陰性の結果が出る可能性を低減するため、上述の放射性医薬品の1種を投与する前は、これらの妨害性医薬は中断すべきであると強く勧告されている(Solanki et al.,Nuclear Medicine Communications 1992 13 pp513−21;Kurtaran et al.,European Journal of Radiology,2002 41 pp123−30;CIS−US Inc.“Lobenguane Sulfate 131I Injection Diagnostic”pack insert July 1999)。
【非特許文献1】Carrio,Journal of Nuclear Medicine 2001 42(7)pp1062−76
【非特許文献2】Solanki et al.,Nuclear Medicine Communications 1992 13 pp513−21
【非特許文献3】Kurtaran et al.,European Journal of Radiology,2002 41 pp123−30
【非特許文献4】CIS−US Inc.“Lobenguane Sulfate 131I Injection Diagnostic”pack insert July 1999
【非特許文献5】Endocrine&Metabolic Disorders 2001 2 pp297−311中の総説
【非特許文献6】2002 J Lab Comp Radiopharm,45 pp.485−528
【非特許文献7】Luxen et al 1990 Int J Rad Appl Instrum.41 pp 275−81
【非特許文献8】Chirakal et al Nuc Med Biol 1996 23 pp 41−5
【非特許文献9】1993 Nucl Med Biol 20 pp 939−44
【非特許文献10】1990 J Nucl Med 31 pp 1328−34
【非特許文献11】1981 J Nucl Med.22 pp 129−32
【非特許文献12】1999 Nucl Med Comm.20 pp 537−45
【非特許文献13】Garg et al 1994 Nucl Med Biol.21 pp97−103
【非特許文献14】1994 J Med Chem.37 pp3655−62
【非特許文献15】1991 Int Rad Appl Instrum.[A].42 pp621−8
【非特許文献16】Schafers et al 1998 Eur J Nuc Med.25 pp 435−41
【非特許文献17】1992 Int J Rad Appl Instrum B.19 pp 563−9
【非特許文献18】1996 Nucl Med Biol.23 pp 159−67
【非特許文献19】Le Guludec et al 1997 Circulation 96 pp 3416−22
【非特許文献20】1994 Nucl Med Biol.21(1)pp49−55
【非特許文献21】1997 J Nucl Med.38(2)pp330−4
【非特許文献22】2001 J Nucl Med.42(2)pp376−81
【非特許文献23】2001 J Nuc Med.42 pp 1062−76
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、造影剤を用いてヒト被験者における心臓神経伝達をインビボで造影する改良法に関する。本方法は、同じ造影剤で2つの別個の画像を得ることを含む。一方の画像は、問題とする特定の造影剤の取込みを妨害することが知られている医薬品の投与に伴って得られる。2つの画像の比較によって、被験者における心臓神経伝達の状態に関して追加の情報を得ることができる。完全なニューロンでは、造影剤の取込みの妨害により、取込み効率が変化することはない。対照的に、欠陥があるために心臓神経伝達が安静時の最大能力で働くか、又はその効率が低下する場合は、造影剤の取込みが妨害剤によってかなり変化する。本発明は、被験者における心臓神経伝達をインビボで造影する方法であって、造影剤の取込みを妨害することが知られている医薬品の非医薬用量の投与に伴って造影剤を用いて単一画像を得る方法も提供する。更に、本発明は、造影装置、並びに本発明の方法を実施するのに適当なキットを操作する方法も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
第1の態様において、本発明は、ヒト被験者の心臓神経伝達を検査する方法であって、
(i)インビボ造影に適した量のアドレナリン作動性造影剤の被験者への投与、
(ii)アドレナリン作動性造影剤を用いた被験者のインビボ造影、
(iii)アドレナリン作用阻害剤の被験者への投与、
(iv)段階(i)及び(ii)の繰返し、及び
(v)(ii)及び(iv)で得た画像の比較
を含んでなる方法に関する。
【0007】
本方法は、段階(iii)を第1段階として行っても実施できる。
【0008】
本発明に関して、「心臓神経伝達」という用語は、心臓におけるアドレナリン作動神経の正常な機能に関与する全ての過程を含む。本発明に関して対象とする特定の過程は、ノルエピネフリン(NE)の合成、貯蔵、放出、再取込み、及び代謝である。
【0009】
NEは、能動輸送系によって血流からニューロン内に取込まれるアミノ酸、チロシンから合成される(合成ルートについては図1を参照)。一旦ニューロン内に取込まれると、チロシンの芳香環は酵素、チロシンヒドロキシラーゼによってヒドロキシル化され、ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)を形成する。次いで、DOPAが芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼの作用を受け、ドーパミン(DA)を形成する。DAはシナプス小胞内に取込まれ、ドーパミンβヒドロキシラーゼが介在するβヒドロキシル化によってNEに変換される。NEは、使用のために必要となるまでシナプス小胞内に貯蔵される。
【0010】
健常組織中では、運動、恐怖、不安等の一定の刺激に応答してアドレナリン作動神経が刺激され、シナプス小胞からシナプス内にNEを放出する。放出されたNEは、特定の細胞型上に存在する受容体に応じて器官を興奮させるか、又は抑制するように作用する、即ち、α−1及びβ−1は興奮を起こし、α−2及びβ−2は抑制を起こす。
【0011】
シナプス及び受容体に展開した後、NEは、エネルギー依存性ナトリウム依存性uptake−1系によって、主としてニューロン内に再び取込まれる。ニューロン内に再び取込まれると、NEは、シナプス小胞内に再度取込まれるか、又はモノアミンオキシダーゼ(MAO)により代謝されてジヒドロキシフェニルグリコール(DHPG)となり、それは血流中に放出される。
【0012】
NEのニューロン外取込み、エネルギー依存性のいわゆる「uptake−2」も起こり得る。この取込み機構は、相対的に多量のNEで支配的となる。非ニューロン細胞内に再び取込まれると、NEの代謝は、MAO経路並びにカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)を介して起こり、後者は、血流中に放出されることになる親油性代謝物質、ノルメタネフリン(NMN)を形成するNEの代謝を担っている。NEの生化学に関する総説については、Eisenhofer等(Endocrine&Metabolic Disorders 2001 2 pp297−311中の総説)を参照されたい。
【0013】
本発明における「アドレナリン作動性造影剤」という用語は、アドレナリン作動神経を造影できる造影成分で標識した医薬品を意味する。通常、かかる医薬品は、被験者における心臓神経伝達の過程、特にNEの合成、貯蔵、放出、再取込み、及び代謝に関わる過程と相互作用し、それにより被験者における心臓神経伝達の検査が可能となる。本発明の適当なアドレナリン作動性造影剤には、神経伝達物質アナログ、例えばフルオロドーパミン(F−DOPA)、偽神経伝達物質、例えばエフェドリン(EPI)、ヒドロキシエフィドリン(HED)、meta−ヨードベンジルグアニジン(mIBG)及びmeta−フルオロベンジルグアニジン(mFBG)、βアドレナリン受容体のアゴニスト、例えば4−(3−t−ブチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−ベンズイミダゾール−1(CGP)、カラゾロール及びフルオロカラゾロール、並びにムスカリン様受容体アンタゴニスト、例えばメチルキヌクリジニルベンジレート(MQNB)の標識形が挙げられる。本発明に関する「標識形」という用語は、造影成分で標識した形態を意味する。
【0014】
「造影成分」は、アドレナリン作動性造影剤のインビボでの被験者への投与の後で、検出を可能とするもので、
(i)放射性金属イオン、
(ii)常磁性金属イオン、
(iii)γ放出放射性ハロゲン、
(iv)陽電子放出放射性非金属、
(v)過分極NMR活性核、
(vi)インビボ光学造影に適当なレポーター、
(vii)血管内検出に適当なβ放射体
から選択される。
【0015】
造影成分は、人体の外部から、或いは、血管内の放射線検出器若しくは内視鏡等の光学検出器のように、インビボ使用に合わせて設計した検出器、又は手術中の使用に合わせて設計した放射線検出器の使用を介して検出してもよい。好ましい造影成分は、インビボでの投与後に非侵襲的に外部から検出できるものである。最も好ましい造影成分は、放射性、特にγ放出放射性ハロゲン及び陽子放出放射性非金属、特にSPECT又はPETを用いる造影に適当なものである。
【0016】
造影成分が放射性金属イオン、即ち放射性金属の場合、適当な放射性金属は、64Cu、48V、52Fe、55Co、94mTc、68Ga等の陽子放射体、又は99mTc、111In、113mIn、67Ga等のγ放射体であってもよい。好ましい放射性金属は、99mTc、64Cu、68Ga及び111Inである。最も好ましい放射性金属はγ放射体、特に99mTcである。
【0017】
造影成分が常磁性金属イオンの場合、かかる適当な金属イオンには、Gd(III)、Mn(II)、Cu(II)、Cr(III)、Fe(III)、Co(II)、Er(II)、Ni(II)、Eu(III)又はDy(III)が挙げられる。好ましい常磁性金属イオンは、Gd(III)、Mn(II)及びFe(III)であり、Gd(III)が特に好ましい。
【0018】
造影成分がγ放出放射性ハロゲンの場合、放射性ハロゲンは、123I、131I、又は77Brから適当に選択される。好ましいγ放出放射性ハロゲンは123Iである。
【0019】
造影成分が陽子放出放射性非金属の場合、かかる適当な陽子放射体には、11C、13N、15O、17F、18F、75Br、76Br、又は124I等が挙げられる。好ましい陽子放出放射性非金属は、11C、13N、及び18F、特に11C及び18F、特に18Fである。
【0020】
造影成分が過分極NMR活性核の場合、かかるNMR活性核は、ゼロ以外の核スピンを有し、13C、15N、19F、29Si、及び31Pを含む。この中で、13Cが好ましい。「過分極」という用語は、平衡分極を超えるNMR活性核の分極度の増強を意味する。13Cの天然存在率(12Cに対して)は約1%であり、適当な13C標識化合物は、約5%以上、好ましくは約50%以上、最も好ましくは約90%以上に適切に濃縮された後、過分極される。
【0021】
造影成分がインビボ光学造影に適当なレポーターの場合、レポーターは、光学造影操作で直接的又は間接的に検出できる任意の成分である。レポーターは、光散乱物質(例えば、着色若しくは非着色粒子)、吸光物質又は発光物質であってもよい。より好ましくは、レポーターは、発色団や蛍光化合物等の色素である。該色素は、紫外光から近赤外光の波長を有する電磁スペクトル中の光と相互作用する任意の色素であってもよい。最も好ましくは、レポーターは蛍光特性を有する。
【0022】
好ましい発色団及び蛍光団の有機レポーターには、広範囲に非局在化した電子系を有する基、例えばシアニン、メロシアニン、インドシアニン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、トリフェニルメチン、ポルフィリン、ピリリウム色素、チアピリルプ色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、インドアニリン、ベンゾフェノキサジニウム色素、ベンゾチアフェノチアジニウム色素、アントラキノン、ナフトキノン、インダスレン、フタロイルアクリドン、トリスフェノキノン、アゾ色素、分子内及び分子間電荷移動型の色素及び色素錯体、トロポン、テトラジン、ビス(ジチオレン)錯体、ビス(ベンゼンジチオレート)錯体、ヨードアニリン色素、ビス(S,O−ジチオレン)錯体が挙げられる。緑色蛍光タンパク質(GFP)及び異なる吸光/発光特性を有するGFP修飾体等の蛍光タンパク質も有用である。ある種の希土類金属(例えば、ユーロピウム、サマリウム、テルビウム又はジスプロシウム)の錯体は、蛍光ナノ結晶(量子ドット)の場合のように一定の状況において使用される。
【0023】
使用し得る発色団の具体例には、フルオレセイン、スルホローダミン101(Texas Red)、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン19、インドシアニングリーン、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、Marina Blue、Pacific Blue、Oregon Green 488、Oregon Green 514、テトラメチルローダミン、及びAlexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750が挙げられる。
【0024】
特に好ましいものは、可視乃至近赤外域400nm〜3μm、特に600〜1300nmに吸収極大を有する色素である。
【0025】
光学造影のモダリティ及び測定技術には、特に限定されないが、発光造影、内視鏡、蛍光内視鏡、光コヒーレンス断層撮影、透過造影、時間分割透過造影、共焦点造影、非線形顕微鏡、光音響造影、音響光学型イメージング、分光法、反射分光法、干渉分光法、コヒーレンス干渉分光法、光散乱断層撮影及び蛍光式光散乱断層撮影(連続波時間領域・周波数領域方式)、並びに光散乱、吸光、偏光、発光、蛍光寿命、量子収率及び消光の測定が挙げられる。
【0026】
造影成分が血管内検出に適当なβ放射体である場合、かかる適当なβ放射体には、放射性金属として67Cu、89Sr、90Y、153Sm、186Re、188Re、又は192Ir、並びに非金属として32P、33P、38S、38Cl、39Cl、82Br及び83Brが挙げられる。
【0027】
本発明の好ましい造影成分は、人体の外部から検出できるものであり、γ放出放射性ハロゲン及び陽電子放出放射性非金属が特に好ましい。
【0028】
造影成分がヨウ素等の放射性ハロゲンである場合、アドレナリン作動性造影剤の前駆体は、ヨウ化又は臭化(放射性ヨウ素との交換ができる)アリール等の非放射性ハロゲン原子、活性化アリール環(例えば、フェノール基)、有機金属前駆体化合物(例えば、トリアルキルスズ又はトリアルキルシリル)、或いはトリアゼン等の有機前駆体を含むように選択される。放射性ハロゲン(123I及び18Fを含む)の導入法は、Bolton(2002 J Lab Comp Radiopharm,45 pp.485−528)により記載されている。放射性ハロゲン、特にヨウ素が結合できる適当なアリール基の例は、下記に示す。
【0029】
【化1】

両者共、芳香環上に放射性ヨウ素を容易に置換させることのできる置換基を含有している。放射性ヨウ素を含んだ代替置換基は、放射性ハロゲン置換、例えば下式を介する直接ヨウ素化により合成できる。
【0030】
【化2】

造影成分がヨウ素の放射性同位体である場合、放射性ヨウ素原子は、直接的共有結合を介して、ベンゼン環等の芳香環又はビニル基へ結合するのが好ましい。その理由は、飽和脂肪族系に結合するヨウ素原子は、インビボでの代謝、したがって放射性ヨウ素の消失を受け易いことが知られているからである。
【0031】
造影成分がフッ素の放射性同位体(例えば18F)を含む場合、放射性フッ素原子は、臭化アルキル、アルキルメシレート、アルキルトシレート等の良好な脱離基を有する適当な前駆体と18Fフッ化物との反応を用いる直接標識化を介して実行してもよい。また18Fは、18F(CHOMs(Msはメシレートである)等のアルキル化剤によるアミン前駆体のN−アルキル化により、N−(CH18Fを形成すること、或いは、18F(CHOMs又は18F(CHBrによるヒドロキシル基のO−アルキル化によっても、導入することができる。アリール系については、アリールジアゾニウム塩から窒素を18Fフッ化物で置換することが、アリール18F誘導体への良いルートである。18F標識誘導体へのルートに関する記載については、Bolton(2002 J.Lab.Comp.Radiopharm,45 pp.485−528)を参照されたい。
【0032】
本発明の好ましいアドレナリン作動性造影剤は、18Fフルオロドーパミン、11C−HED、11C−EPI、123I−mIBG、131I−mIBG、18F−mFBG、18F−pFBG、18F−FIBG、11C−CGP、11Cカラゾロール、18Fフルオロカラゾロール及び11C−MQNBである。本発明の最も好ましい造影剤は、123I−mIBG及び18F−mFBGであり、123I−mIBGが特に好ましい。かかる好ましい造影剤に関する更なる詳細は以下の段落に示してあり、それらの構造の幾つかは図2に例示している。
【0033】
18Fフルオロドーパミンの合成は、Lアミノ酸脱炭酸酵素を用いた18FフルオロDOPAの酵素的脱炭酸(Luxen et al 1990 Int J Rad Appl Instrum.41 pp 275−81)、或いはドーパミンの直接フッ素化(Chirakal et al Nuc Med Biol 1996 23 pp 41−5)によって都合よく実施できる。18Fフルオロドーパミンは、ドーパミンと同様にNE合成に関与するので、その過程の評価に使用できる。それは交感神経末端内に取込まれ、シナプス小胞中に輸送され、そこで18FフルオロNEに変換され、貯蔵される。NEと同様に、18FフルオロNEは、交感神経刺激時に交感神経末端から放出される。18Fフルオロドーパミンは、神経支配が関わる多様な心臓疾患において、心臓の自律神経支配の評価に使用できる。
【0034】
11C−EPI及び11C−HEDは、Chakraborty等(1993 Nucl Med Biol 20 pp 939−44)及びRosenspire等(1990 J Nucl Med 31 pp 1328−34)に概説された方法でそれぞれ合成できる。11C−EPI及び11C−HEDは、uptake−1系を介してニューロン内に輸送され、NEと同様にシナプス小胞中に貯蔵されるので、NEの取込み及び貯蔵機構を検査するために使用できる。11C−HEDと異なり11C−EPIは、NEと同じ経路によって代謝されるので、これらの経路に対するトレーサーとしても作用できる。11C−HEDによって、糖尿病やうっ血性心疾患において、また心臓移植後に神経支配の変化の画像が得られる。
【0035】
放射性ヨウ素化mIBGは、Kline等(1981 J Nucl Med.22 pp 129−32)に記載の方法に従って合成できる。無担体放射性ヨウ素化mIBGの合成法も、例えばSamnick等(1999 Nucl Med Comm.20 pp 537−45)に記載されている。131I形、123I形のmIBGが共に臨床に使用されてきたが、診断画像には123I−mIBGが好ましい。mIBGは、交感神経に選択的に作用する強力なニューロン遮断剤である偽神経伝達物質、グアネチジンのアナログである。mIBGのニューロン内取込みは、造影に通常使用される用量では主にuptake−1機構を介するが、もっと高濃度ではuptake−2機構が主となる。心筋症患者では、mIBGの取込量の減少及び流出量の増加は、交感神経の機能不全、臨床的重度及び予後の程度と相関関係がある。mIBGの低取込量、左心室駆出分画率(LVEF)及びNE循環濃度の減少は、拡張型心筋症の患者における致死性の独立予測因子である。放出量の増加及び再取込量の減少が等しく重要である、重度がより低い心筋症と比較して、進行心筋症の交感神経機能不全では、NE再取込量の減少が顕著な役割を演じることが実証された。mIBGの取込量は、対照と比較して、CHF患者ではNEの取込量及び貯蔵量が変化するために減少し、その取込量は非常に不均一であり、流出量が増加する。
【0036】
18F−mFBG、18F−pFBG及び18F−mIBGは、mIBGのフッ素化アナログである。18F−mFBG及び18F−pFBGは、各々3−及び4−ニトロベンゾニトリル上でのニトロのフッ素交換を始まりとして合成できる(Garg et al 1994 Nucl Med Biol.21 pp97−103)。18F−mIBGは、Vaidyanathan等(1994 J Med Chem.37 pp3655−62)記載の方法によって、トリフルオロメタンスルホン酸4−シアノ−2−ヨード−N,N,N−トリメチルアニリニウムから出発して調製できる。これらの18F薬剤は全て、前の段落に記載したmIBGに類似の取込みを示す、PET造影剤として作用する。
【0037】
11C−CGPの合成は、Brady等(1991 Int J Rad Appl Instrum.[A].42 pp621−8)に記載されている。このアドレナリン作動性造影剤は、高親和力で結合する非選択的なβアドレナリン受容体アンタゴニストである。11C−CGPの一使用例は、特発性心筋症患者の左心室βアドレナリン受容体部位の総数のインビボ変化をPET画像により検査することである。受容体部位の定量検査は、数学モデルの使用と共に実施することもできる(Schafers et al 1998 Eur J Nuc Med.25 pp 435−41)。
【0038】
カラゾロールは、受容体サブタイプに相対的に非特異的な高親和性のβアドレナリン受容体アンタゴニストである。この化合物の対掌体2種の11Cによる標識は、必要な標識用前駆体の合成を含めて、Berridge等(1992 Int J Rad Appl Instrum B.19 pp 563−9)に記載されている。カラゾロールの18Fによる標識は、Elsinga等(1996 Nucl Med Biol.23 pp 159−67)に記載されている。11C又は18Fで標識されたカラゾロールは、PETによるβ受容体の推定のために使用できる。そのR異性体は目標器官中に蓄積せず、カラゾロールのインビボ結合が立体選択的であることを示している。
【0039】
MQNBは、ヨウ化11C−メチルによるキヌクリジニルベンジレートのメチル化により、11Cで標識される(Le Guludec et al 1997 Circulation 96 pp 3416−22)。MQNBは、ムスカリン性受容体の特異的な親水性アンタゴニストであり、11C標識形は、心筋ムスカリン性受容体の密度及び親和性定数をPET画像によって評価するために使用できる。ムスカリン性受容体は副交感神経系の一部であり、それを刺激すると、アドレナリン作動神経からのNE放出が抑制される。うっ血性心疾患は、βアゴニストによる刺激に対する適応と思われる、心筋ムスカリン性受容体の上方調節と関係している。
【0040】
76Br−meta−ブロモベンジルグアニジン(76Br−mBBG)は、Loc’h等により報告されたCu補助ハロゲン交換反応(1994 Nucl Med Biol.21(1)pp49−55)を用いて、ヨウ素化アナログ(mIBG)及び76Br−NHから合成できる。76Br−mBBGは、60〜65%の放射化学収率、20MBq/nmolの比活性で生成した。同じ報告書中のラットにおける予備結果から、76Br−mBBGは、心臓カテコールアミン再取込障害のPETによる検査に役立ち得ることが示唆される。
【0041】
18F−FIBGは、Vaidyanathan等(1997 J Nucl Med.38(2)pp330−4)により、トリフルオロメタンスルホン酸4−シアノ−2−ヨード−N,N,N−トリメチルアニリニウムから出発し、全合成時間130分、5%の崩壊補正放射化学収率、4段階で合成された。その比活性は1500Ci/mmolを超えていた。in vitroの結合試験によれば、SK−N−SHヒト神経芽細胞腫細胞に対する18F−FIBGの結合率%は、3−log活性範囲を超えて一定を保ち、無担体131I−mIBGと同様であることが示された。18F−FIBGの特異的で高い取込みは、マウスの心臓及び副腎でも認められた。18F−FIBGのin vitro及びインビボ特性から、この化合物は、mIBGの有用な陽電子放出アナログとなり得ることが示唆される。
【0042】
18F標識2β−カルボメトキシ−3β−(4−クロロフェニル)−8−(2−フルオロエチル)ノルトロパン(18F−FECNT)は、最近開発されたドーパミン輸送リガンドであり、パーキンソン病及びコカイン耽溺の患者に潜在的な用途を有している。18F−FECNTは、Deterding等(2001 J Nucl Med.42(2)pp376−81)により、2段階反応系列で合成された。1−18F−フルオロ−2−トシルオキシエタンをジメチルホルムアミド中1350℃、45分、2β−カルボメトキシ−3β−(4−クロロフェニル)ノルトロパンでアルキル化することにより、18F−FECNTが得られ、これを半分取逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製し、前駆体2β−カルボメトキシ−3β−(4−クロロフェニル)ノルトロパンを含まず、比活性が56MBq/nmol(1.5Ci/mmol)の生成物を得た。
【0043】
本発明に規定する「アドレナリン作用阻害剤」は、心臓神経伝達の過程と相互作用する医薬品である。したがって、NEの合成、貯蔵、放出、再取込み及び代謝に関わる過程と相互作用するアドレナリン作用阻害剤は、本発明に関しては特に興味深い。本発明の適当なアドレナリン作用阻害剤には、三環系抗うつ薬、β遮断薬、カルシウムチャンネル遮断薬、交感神経様作用薬及びコカインが挙げられる(Solanki et al Nucl Med Comm.1992 13 pp513−21)。好ましくは、アドレナリン作用阻害剤は、アドレナリン作動性造影剤と同じ心臓神経伝達過程と相互作用をする。
【0044】
三環系抗うつ薬は、uptake−1機構と相互作用することが知られており、この機構は相当数のアドレナリン作動性造影剤にとって主要な取込機構である。本発明の方法に使用できる三環系抗うつ薬の例には、デシプラミン、アミトリプタリン、イミプラミン、ドキセピン、ロキサピン、ノルトリプチリン及びトリミプラミンが挙げられる。本発明の好ましい三環系抗うつ薬は、デシプラミン、アミトリプタリン及びイミプラミンである。β遮断薬のラベタロール、交感神経様作用薬のエフェドリン、及びコカインもuptake−1機構を抑制し、したがって本発明の方法に使用するのに適当であるが、かかる方法におけるコカインの臨床使用は、実際には検討し得ないと思われる。
【0045】
様々な交感神経様作用薬は、NEを貯蔵するシナプス小胞の含有物を消失させることにより、作用することが知られている。同様に、シナプス小胞中に貯蔵されることが知られている任意のアドレナリン作動性造影剤も、これらの作用薬の作用により放出されるであろう。本発明の方法に使用するのに適当な交感神経様作用薬の例には、ドブタミン、フェニルプロプラノールアミン、フェニルエフィドリン及びメタラミノールが挙げられる。本発明の好ましい交感神経様作用薬は、ドブタミンである。β遮断薬のラベタロールも、シナプス小胞の含有物を消失させることが知られている。
【0046】
ある種のカルシウムチャンネル遮断薬は、アドレナリン作動性造影剤の取込みを低下させることが示された。本発明の方法に使用するのに適当なカルシウムチャンネル遮断薬の例には、ジルチアゼム、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン及びベラパミルが挙げられる。本発明の好ましいカルシウムチャンネル遮断薬は、ジルチアゼム、ニフェジピン及びベラパミルである。
【0047】
アドレナリン作用阻害剤の投与は、本法の画像の1つを得ることと共に実施される。アドレナリン作用阻害剤の投与ルートは、適切に経口、非経口のいずれでもよい。その投与の時機も変動してもよく、アドレナリン作動性造影剤の投与の前、最中又は後に適切に実施してもよい。しかし主として、アドレナリン作用阻害剤の投与により、それがアドレナリン作動性造影剤と競合するが、該造影剤の取込みを妨害せず、それにより造影剤を取込む機構に「ストレス」を掛けるべきである。得られる2つの画像間の差異に反映されるこのストレスの効果は、測定中の心臓神経伝達の特定状況が被験者において正常に機能しているか否かに掛かろう。心臓神経伝達が正常に機能している場合、アドレナリン作動性造影剤だけで得た画像(「安静時」画像)と比較して、アドレナリン作動性造影剤の取込みは、ストレス時画像中で有意に変化しないであろう。取込機構が、安静時画像において最大能力で働いているか、又は潜在する病態生理のためにその効率が低下した場合は、ストレス時画像中でアドレナリン作動性造影剤の取込量減少が認められ、安静時画像中には見えない欠陥を示す。
【0048】
心臓神経障害は、原発性及び続発性の心臓神経障害に大別できる。原発性心臓神経障害は、自律神経障害、心臓移植、並びに特発性心室頻拍及び細動と関連付けることができる。続発性心臓神経障害は、拡張型心筋症、冠動脈疾患、肥大型心筋症、催不整脈性右室心筋症、糖尿病、高血圧、及び薬物性心毒性と関連付けることができる。Carrio(2001 J Nuc Med.42 pp 1062−76)が記載しているように、アドレナリン作動性造影剤を用いて、かかる状態全ての病態生理の評価を行うことができる。安静時対ストレス時におけるある種の取込みパターンは、被験者における心臓神経伝達の特定状態を反映しており、症候性又は非症候性心不全に付随する心臓神経障害の患者における、心力不全及び/又は生命に関わる不整脈の発生に関する重症度分類のために、予後数値を提供できる。
【0049】
第2の態様において、本発明は、ヒト被験者における心臓神経伝達を検査する方法であって、
(i)非治療用量のアドレナリン作用阻害剤の被験者への投与、
(ii)インビボ造影に適した量のアドレナリン作動性造影剤の被験者への投与、及び
(iii)被験者のインビボ造影
を含んでなる方法に関する。
【0050】
この方法を用いて、非治療用量のアドレナリン作用阻害剤の投与と共に、単一画像が得られる。本発明に関する「非治療用量」という用語は、治療効果が生じない程に十分低いが、アドレナリン作動性造影剤と競合するには十分なアドレナリン作用阻害剤の特定の用量を意味すると解される。この用量は、使用する特定のアドレナリン作用阻害剤に依存することになろうが、例えば、三環系抗うつ薬、アミトリプタリン及びデシプラミンの好ましい用量は10〜50mg、最も好ましくは25mgと思われる。好ましい実施形態では、アドレナリン作用阻害剤は単回用量として投与される。生成する画像は、健常被験者とすれば予想される事項に関して、例えば正常データのあるデータベースとの比較によって評価し、それにより被験者における心臓神経伝達の状態に関する情報を引き出すことができる。
【0051】
心臓神経伝達の検査は、被験者における心臓神経障害の状態を調べる手段として使用するのが好ましい。好ましいアドレナリン作動性造影剤及びアドレナリン作用阻害剤は、本発明の第1の実施形態について記載した通りである。
【0052】
本発明の第3の態様は、ヒト被験者におけるアドレナリン作用性神経支配組織の領域の生存性を判定する方法であって、
(i)アドレナリン作動性造影剤を用いる被験者のインビボ造影の実施、
(ii)アドレナリン作用阻害剤の被験者への投与、
(iii)段階(i)の繰返し、及び
(iv)段階(i)及び(iii)で得られる画像の比較
を含んでなる方法である。アドレナリン作用性神経支配組織は好ましくは心筋であり、該方法は、被験者における心臓神経障害の状態を調べるために使用するのが好ましい。好ましいアドレナリン作動性造影剤及びアドレナリン作用阻害剤は、本発明の第1の実施形態について記載した通りである。
【0053】
本発明の第4の態様は、ヒト被験者のある組織の交感神経支配域を造影する方法であって、
(i)アドレナリン作動性造影剤によるインビボ造影、
(ii)アドレナリン作用阻害剤の投与、
(iii)段階(i)の繰返し、及び
(iv)段階(i)及び(iii)で得られる画像の比較
を含んでなる方法である。この方法の好ましい組織は心筋であり、該方法は、被験者における心臓神経障害の状態を調べるために使用するのが好ましい。好ましいアドレナリン作動性造影剤及びアドレナリン作用阻害剤は、本発明の第1の実施形態について記載した通りである。
【0054】
本発明の第5の態様は、ヒト被験者に予め投与したアドレナリン作動性造影剤から得られるシグナルデータを用いた外部画像装置の操作方法であって、当該方法をアドレナリン作用阻害剤の被験者への予備的投与の前後に実施し、次いで得られたシグナルデータを比較する方法である。
【0055】
本発明において、「外部画像装置」という用語は、投与後のアドレナリン作動性造影剤の被験者における相対的分布を、被験者の外部から測定するのに適した任意の装置を意味すると解される。本発明の適当な外部画像装置には、造影成分がγ放射体であるγ線カメラ、造影成分が陽電子放射体であるPETカメラ、及び造影成分が常磁性金属イオン又は過分極NMR活性核であるMRIスキャナーが挙げられる。
【0056】
本発明の第6の態様は、アドレナリン作用阻害剤の投与前後に実施し、得られた画像を比較することからなるヒト被験者の交感神経支配域のインビボ造影のための医薬品の製造におけるアドレナリン作動性造影剤の使用である。
【0057】
本発明の第7の態様は、本発明の方法に使用するためのキットであって、
(i)アドレナリン作用阻害剤、及び
(ii)インビボ造影段階の実施に適した形態のアドレナリン作動性造影剤、又はその前駆体
を含むキットである。
【0058】
アドレナリン作動性造影剤の「前駆体」は、造影成分で標識することにより、アドレナリン作動性造影剤を生成することのできる化合物である。該造影成分が非金属放射性同位体、即ちγ放出放射性ハロゲン又は陽電子放出放射性非金属を含む場合、かかる前駆体は、所望の非金属放射性同位体の都合良い化学形態との化学反応を、最小限の段階数(理想的には1段階)で目立った精製(理想的には更なる精製が不要)を必要とせずに行うことにより、所望の放射性生成物を得ることができるように設計した非放射性物質を適切に含んでいる。かかる前駆体は、良好な化学純度で都合良く得ることができ、本発明のキットの一部として無菌形態で場合により供給できる。
【0059】
かかるキットは、例えば血流中への直接注射を介する、ヒトへの投与に適した無菌製品を提供するように設計される。適当なキットは、アドレナリン作用阻害剤及びアドレナリン作動性造影剤の前駆体を含んだ各容器(例えば、セプタム封止バイアル)を含む。
【0060】
該キットは、放射線防護剤、抗菌性防腐剤、pH調節剤、充填剤等の追加成分を場合により更に含んでもよい。
【0061】
「放射線防護剤」という用語は、高度反応性ラジカル、例えば、水の放射線分解で生じる含酸素ラジカルを捕捉することによって、酸化還元過程等の分解反応を抑制する化合物を意味する。本発明の放射線防護剤は、アスコルビン酸、パラアミノ安息香酸(即ち、4−アミノ安息香酸)、ゲンチジン酸(即ち、2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、及びした生体適合性陽イオンとのそれらの塩から適切に選択される。
【0062】
「抗菌性防腐剤」という用語は、細菌、酵母、カビ等の潜在的に有害な微生物の増殖を阻害する薬剤を意味する。抗菌性防腐剤は、用量に応じて幾つかの殺細菌性も示してもよい。本発明の抗菌性防腐剤の主たる役目は、再構成後の医薬組成物、即ち放射性診断製品自体においてかかる任意の微生物の増殖を阻害することである。しかし、抗菌性防腐剤は、再構成前の本発明キットの1種又は複数の成分において潜在的に有害な微生物の増殖を阻害するためにも、場合により使用してもよい。適当な抗菌性防腐剤には、パラベン類、即ちメチル、エチル、プロピル若しくはブチルパラベン、又はそれらの混合物、ベンジルアルコール、フェノール、クレゾール、セトリミド及びチオメルサールが挙げられる。好ましい抗菌性防腐剤はパラベン類である。
【0063】
「pH調節剤」という用語は、再構成されたキットのpHが、ヒトへの投与にとって許容限界内(約pH4.0〜10.5)になることを保証するのに有用な化合物、又は化合物の混合物を意味する。適当なかかるpH調節剤には、トリシン、リン酸塩、TRIS[即ち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]等の薬学的に許容できる緩衝液、及び炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、それらの混合物等の薬学的に許容できる塩基が挙げられる。リガンド複合体を酸塩形態で用いる場合、pH調節剤を場合により別のバイアル又は容器に入れることによって、キットの使用者が多段階操作の一部としてpHを調節できるようにしてもよい。
【0064】
「充填剤」という用語は、製造及び凍結乾燥中に物質の取扱いを容易にできる、薬学的に許容できる膨張性薬剤を意味する。適当な充填剤には、塩化ナトリウム等の無機塩、及びショ糖、麦芽糖、マンニトール、トレハロース等の水溶性の糖又は糖アルコールが挙げられる。
【実施例】
【0065】
実施例の簡単な説明
本発明を以下の非制限的実施例によって例示する。
【0066】
実施例1は、アドレナリン作動性造影剤が123I−mIBGであり、アドレナリン作用阻害剤がアミトリプタリンである本発明の一方法について説明する。123I−mIBGの取込量の減少は、造影した患者の半数について得られたストレス時画像において認められた。
【0067】
ストレス時画像における取込量の減少は、心筋のある領域の部分的除神経の結果であると仮定している。アドレナリン作動性造影剤の取込機構は、安静時画像に対して最大能力で働いており、そのためアドレナリン作用阻害剤の存在下では押さえ込まれ、アドレナリン作動性造影剤の取込みがかなり減少する場合がある。したがって、この方法は、比較的穏やかな形態の心臓アドレナリン作動性除神経の検出を可能とし、123I−mIBG造影の感度及び特異性がより高い方法となる潜在性を有することができる。次いで、これにより、症候性又は非症候性心不全の患者における、心力不全及び生命に関わる不整脈の発生の可能性による危険度の予後判定がより良好にできよう。
【0068】
実施例2は、アドレナリン作動性造影剤が123I−mIBGであり、アドレナリン作用阻害剤がデシプラミンである本発明の一方法について説明する。実施例1の方法について認めたように、この方法も、123I−mIBG単独による造影に加えて追加の診断情報を提供すると予想される。
【0069】
実施例1:アミトリプタリンを用いるmIBG造影
運動障害があり、年齢が66〜75歳の患者4人を本試験のために選択した。神経学的検査により、本態性振戦とパーキンソン病との鑑別診断が生じた。試験前には、mIBGの取込みを妨害することが知られている何らかの医薬品を服用していた患者はいなかった。全患者において、123I−mIBGのスキャンを2回行い、その内の1回は、123I−mIBG投与の1時間前に単回経口用量25mgのアミトリプタリンを投与した後に行った。造影処方は、以下の段落に記載するように両方のスキャンに対して実施した。
【0070】
患者は、123I−mIBGの注射30分前に過塩素酸カリウム200〜500mgで処置された。用量370MBqの123I−mIBGを静脈内カテーテルを介して安静時に投与した。胸郭の前部平面画像を、仰臥位の患者に123I−mIBG注射をしてから15分後及び4時間後に得た。ガンマカメラ(GE Millenium)は、低エネルギー平行孔の汎用コリメータ、及び123Iを使用する場合は159KeVで20%のエネルギーウィンドウを装備していた。
【0071】
SPECTは、64×64のマトリックス中3°〜6°の角度間隔で180°の軌道上、45°右前方斜め方向の投射から始め、45°左後方斜め方向の投射に終えることにより得た、各回30〜60秒の投射32回の収集で行った。
【0072】
試験は、Butterworthフィルター補正逆投影法を用いて再構築した。SPECT試験から3つの断層画像、即ち垂直長軸スライス、短軸スライス及び水平長軸スライスを得た。頂端から基底までの短軸スライスから目玉極性マップを作製することにより、心筋におけるトレーサーの相対分布を示した。再構築は、減衰及び散乱の補正をせずに行った。
【0073】
心筋123I−mIBG活性の定量に用いるパラメーターは、心臓対縦隔比(HMR)及び心臓洗い出し速度(WR)であった。HMRは、心臓対象領域(ROI)の平均ピクセル数値を縦隔ROIの平均ピクセル数値で割った値である。WRは、4時間での心筋数値から15分での心筋数値を引いた値を15分での心筋数値で割った後、100倍して計算する。10%のWRを正常と考える。
【0074】
試験で得た代表的画像を図3及び4に例示する。
【0075】
実施例2:デシプラミンを用いるmIBG造影
虚血性又は非虚血性心筋症の診断を受けた年齢任意の患者20人が試験に含まれ、非症候性年齢対応の同数の対照が対応している。虚血性心筋症患者は、冠動脈バイパス移植又は血管形成術により、心筋灌流のできる限りの増大で既に介入を受けていた。全被験者は、各主治医から心不全及び他の併発疾患に対する標準的で最大限の医療を受け続ける。
【0076】
試験の開始前に、全ての薬物療法を見直し、デシプラミン及び123I−mIBGの取込みとの潜在的な薬物相互作用を特定する。解釈に混乱を起こし、患者の臨床プロファイルを悪化させずに中断できる薬物は、中断する。しかし、かかる措置が不可能であれば(ジゴキシン、ラベタロール、ACE阻害剤)、投与中の薬物を考慮しながら結果を解釈する。試験は2日間の造影処方を含む。
【0077】
デシプラミン塩酸塩は、静脈内注入により患者及び健常対照に投与する。投与するデシプラミンの累積用量は、0.25〜0.5mg/kgであり、注入は15〜20分続ける。
【0078】
デシプラミン投与の30分後、デシプラミン注入の後に370MBqの123I−mIBGを各患者に投与し、123I−mIBGの投与後15〜30分及び4時間で画像を得る。実施例1と同様に、WRも計算する。
【0079】
24時間後、370MBqの123I−mIBGを再投与し、同じ一組の画像を繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】NE合成の生理学的ルートを示す図である。
【図2】本発明の幾つかのアドレナリン作動性造影剤の化学構造を示す図である。
【図3】実施例1で試験した被験者中の2名を表わす、アミトリプタリンの投与(A)及び非投与(B)で生成した123I−mIBG画像を示す図である。123I−mIBGの前にアミトリプタリンを投与したとき、123I−mIBGの心筋取込みの顕著な減少を認めた。
【図4】実施例1で試験した被験者中の他の2名を表わす、アミトリプタリンの投与(A)及び非投与(B)で生成した123I−mIBG画像を示す図である。アミトリプタリン投与後の123I−mIBGの心筋取込みに顕著な差はなかった。
【0081】
アミトリプタリン投与の「ストレス」に対する被験者間の反応差は、心臓神経伝達機能の程度が異なることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト被験者の心臓神経伝達を検査する方法であって、
(i)インビボ造影に適した量のアドレナリン作動性造影剤の被験者への投与、
(ii)アドレナリン作動性造影剤を用いた被験者のインビボ造影、
(iii)アドレナリン作用阻害剤の被験者への投与、
(iv)段階(i)及び(ii)の繰返し、及び
(v)(ii)及び(iv)で得た画像の比較
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記心臓神経伝達の検査が、ヒト被験者の心臓神経障害の状態を調べるために行われる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記心臓神経障害が、
(i)自律神経障害、
(ii)心臓移植、又は
(iii)特発性心室頻拍及び細動
に関連した原発性心臓神経障害である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記心臓神経障害が、
(i)拡張型心筋症、
(ii)冠動脈疾患、
(iii)肥大型心筋症、
(iv)催不整脈性右室心筋症、
(v)糖尿病、
(vi)高血圧、又は
(vii)薬物性心毒性
に関連した続発性心臓神経障害である、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記アドレナリン作用阻害剤が、
(i)三環系抗うつ薬、
(ii)β遮断薬、
(iii)カルシウムチャンネル遮断薬、
(iv)交感神経様作用薬、及び
(v)コカイン
から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記アドレナリン作用阻害剤が、デシプラミン、アミトリプタリン及びイミプラミンから選択される三環系抗うつ薬である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記アドレナリン作用阻害剤がアミトリプタリンである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記アドレナリン作動性造影剤が、mIBG、mFBG、ヒドロキシエフェドリン、エフェドリン、フルオロドーパミン、CGP、カラゾロール及びMQNBの標識形態から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記アドレナリン作動性造影剤が放射性ヨウ素化mIBGである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記アドレナリン作動性造影剤が123I−mIBGである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記インビボ造影が、SPECT又はPETで実施される外部造影である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記外部造影がSPECTで実施される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
ヒト被験者における心臓神経伝達を検査する方法であって、
(i)非治療用量のアドレナリン作用阻害剤の被験者への投与、
(ii)インビボ造影に適した量のアドレナリン作動性造影剤の被験者への投与、及び
(iii)被験者のインビボ造影
を含んでなる方法。
【請求項14】
前記心臓神経伝達の検査が、ヒト被験者の心臓神経障害の状態を調べるために行われる、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記心臓神経障害が、
(i)自律神経障害、
(ii)心臓移植、又は
(iii)特発性心室頻拍及び細動
に関連した原発性心臓神経障害である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記心臓神経障害が、
(i)拡張型心筋症、
(ii)冠動脈疾患、
(iii)肥大型心筋症、
(iv)催不整脈性右室心筋症、
(v)糖尿病、
(vi)高血圧、又は
(vii)薬物性心毒性
に関連した続発性心臓神経障害である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記アドレナリン作用阻害剤が、
(i)三環系抗うつ薬、
(ii)β遮断薬、
(iii)カルシウムチャンネル遮断薬、
(iv)交感神経様作用薬、及び
(v)コカイン
から選択される、請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記アドレナリン作用阻害剤が、デシプラミン、アミトリプタリン及びイミプラミンから選択される三環系抗うつ薬である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記アドレナリン作用阻害剤がアミトリプタリンであり、非治療用量が10〜50mgである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記アドレナリン作動性造影剤が、mIBG、mFBG、ヒドロキシエフェドリン、エフェドリン、フルオロドーパミン、CGP、カラゾロール及びMQNBの標識形態から選択される、請求項13記載の方法。
【請求項21】
前記アドレナリン作動性造影剤が放射性ヨウ素化mIBGである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記アドレナリン作動性造影剤が123I−mIBGである、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記インビボ造影が、SPECT又はPETで実施される外部造影である、請求項13記載の方法。
【請求項24】
前記外部造影がSPECTで実施される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
ヒト被験者におけるアドレナリン作用性神経支配組織の領域の生存性を判定する方法であって、
(i)アドレナリン作動性造影剤を用いる被験者のインビボ造影の実施、
(ii)アドレナリン作用阻害剤の被験者への投与、
(iii)段階(i)の繰返し、及び
(iv)段階(i)及び(iii)で得られる画像の比較
を含んでなる方法。
【請求項26】
前記アドレナリン作用性神経支配組織が心筋である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記アドレナリン作用性神経支配組織の領域の生存性の判定が、被験者の心臓神経障害の状態を調べるために行われる、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記心臓神経障害が、
(i)自律神経障害、
(ii)心臓移植、又は
(iii)特発性心室頻拍及び細動
に関連した原発性心臓神経障害である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記心臓神経障害が、
(i)拡張型心筋症、
(ii)冠動脈疾患、
(iii)肥大型心筋症、
(iv)催不整脈性右室心筋症、
(v)糖尿病、
(vi)高血圧、又は
(vii)薬物性心毒性
に関連した続発性心臓神経障害である、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記アドレナリン作用阻害剤が、
(i)三環系抗うつ薬、
(ii)β遮断薬、
(iii)カルシウムチャンネル遮断薬、
(iv)交感神経様作用薬、及び
(v)コカイン
から選択される、請求項25記載の方法。
【請求項31】
前記アドレナリン作用阻害剤が、デシプラミン、アミトリプタリン及びイミプラミンから選択される三環系抗うつ薬である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記アドレナリン作用阻害剤がアミトリプタリンである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記アドレナリン作動性造影剤が、mIBG、mFBG、ヒドロキシエフェドリン、エフェドリン、フルオロドーパミン、CGP、カラゾロール及びMQNBの標識形態から選択される、請求項25記載の方法。
【請求項34】
前記アドレナリン作動性造影剤が放射性ヨウ素化mIBGである、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記アドレナリン作動性造影剤が123I−mIBGである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記インビボ造影が、SPECT又はPETで実施される外部造影である、請求項25記載の方法。
【請求項37】
前記外部造影がSPECTで実施される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
ヒト被験者のある組織の交感神経支配域を造影する方法であって、
(i)アドレナリン作動性造影剤によるインビボ造影、
(ii)アドレナリン作用阻害剤の投与、
(iii)段階(i)の繰返し、及び
(iv)段階(i)及び(iii)で得られる画像の比較
を含んでなる方法。
【請求項39】
組織が心筋である、請求項38記載の方法。
【請求項40】
交感神経支配域の造影が、被験者の心臓神経障害の状態を調べるために行われる、請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記心臓神経障害が、
(i)自律神経障害、
(ii)心臓移植、又は
(iii)特発性心室頻拍及び細動
に関連した原発性心臓神経障害である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記心臓神経障害が、
(i)拡張型心筋症、
(ii)冠動脈疾患、
(iii)肥大型心筋症、
(iv)催不整脈性右室心筋症、
(v)糖尿病、
(vi)高血圧、又は
(vii)薬物性心毒性
に関連した続発性心臓神経障害である、請求項40記載の方法。
【請求項43】
前記アドレナリン作用阻害剤が、
(i)三環系抗うつ薬、
(ii)β遮断薬、
(iii)カルシウムチャンネル遮断薬、
(iv)交感神経様作用薬、及び
(v)コカイン
から選択される、請求項38記載の方法。
【請求項44】
前記アドレナリン作用阻害剤が、デシプラミン、アミトリプタリン及びイミプラミンから選択される三環系抗うつ薬である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記アドレナリン作用阻害剤がアミトリプタリンである、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記アドレナリン作動性造影剤が、mIBG、mFBG、ヒドロキシエフェドリン、エフェドリン、フルオロドーパミン、CGP、カラゾロール及びMQNBの標識形態から選択される、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記アドレナリン作動性造影剤が放射性ヨウ素化mIBGである、請求項38記載の方法。
【請求項48】
前記アドレナリン作動性造影剤が123I−mIBGである、請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記インビボ造影が、SPECT又はPETで実施される外部造影である、請求項38記載の方法。
【請求項50】
前記外部造影がSPECTで実施される、請求項49記載の方法。
【請求項51】
ヒト被験者に予め投与したアドレナリン作動性造影剤から得られるシグナルデータを用いた外部画像装置の操作方法であって、当該方法をアドレナリン作用阻害剤の被験者への予備的投与の前後に実施し、次いで得られたシグナルデータを比較する方法。
【請求項52】
前記アドレナリン作用阻害剤が、
(i)三環系抗うつ薬、
(ii)β遮断薬、
(iii)カルシウムチャンネル遮断薬、
(iv)交感神経様作用薬、及び
(v)コカイン
から選択される、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記アドレナリン作用阻害剤が、デシプラミン、アミトリプタリン及びイミプラミンから選択される三環系抗うつ薬である、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記アドレナリン作用阻害剤がアミトリプタリンである、請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記アドレナリン作動性造影剤が、mIBG、mFBG、ヒドロキシエフェドリン、エフェドリン、フルオロドーパミン、CGP、カラゾロール及びMQNBの標識形態から選択される、請求項51記載の方法。
【請求項56】
前記アドレナリン作動性造影剤が放射性ヨウ素化mIBGである、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記アドレナリン作動性造影剤が123I−mIBGである、請求項56記載の方法。
【請求項58】
外部画像装置がSPECT又はPET装置である、請求項51記載の方法。
【請求項59】
外部画像装置がSPECT装置である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
アドレナリン作用阻害剤の投与前後に実施し、得られた画像を比較することからなるヒト被験者の交感神経支配域のインビボ造影のための医薬品の製造におけるアドレナリン作動性造影剤の使用。
【請求項61】
前記交感神経支配が被験者の心筋にある、請求項60記載の方法。
【請求項62】
前記交感神経支配域の造影が、被験者の心臓神経障害の状態を調べるために行われる、請求項60記載の使用。
【請求項63】
前記心臓神経障害が、
(i)自律神経障害、
(ii)心臓移植、又は
(iii)特発性心室頻拍及び細動
に関連した原発性心臓神経障害である、請求項62記載の使用。
【請求項64】
前記心臓神経障害が、
(i)拡張型心筋症、
(ii)冠動脈疾患、
(iii)肥大型心筋症、
(iv)催不整脈性右室心筋症、
(v)糖尿病、
(vi)高血圧、又は
(vii)薬物性心毒性
に関連した続発性心臓神経障害である、請求項62記載の使用。
【請求項65】
前記アドレナリン作用阻害剤が、
(i)三環系抗うつ薬、
(ii)β遮断薬、
(iii)カルシウムチャンネル遮断薬、
(iv)交感神経様作用薬、及び
(v)コカイン
から選択される、請求項60記載の使用。
【請求項66】
前記アドレナリン作用阻害剤が、デシプラミン、アミトリプタリン及びイミプラミンから選択される三環系抗うつ薬である、請求項65記載の使用。
【請求項67】
前記アドレナリン作用阻害剤がアミトリプタリンである、請求項66記載の使用。
【請求項68】
前記アドレナリン作動性造影剤が、mIBG、mFBG、ヒドロキシエフェドリン、エフェドリン、フルオロドーパミン、CGP、カラゾロール及びMQNBの標識形態から選択される、請求項60記載の使用。
【請求項69】
前記アドレナリン作動性造影剤が放射性ヨウ素化mIBGである、請求項68記載の使用。
【請求項70】
前記アドレナリン作動性造影剤が123I−mIBGである、請求項69記載の使用。
【請求項71】
前記インビボ造影が、SPECT又はPETで実施される外部造影である、請求項60記載の使用。
【請求項72】
前記外部造影がSPECTで実施される、請求項71記載の使用。
【請求項73】
請求項1記載の方法に使用するためのキットであって、
(i)アドレナリン作用阻害剤、及び
(ii)インビボ造影段階の実施に適した形態のアドレナリン作動性造影剤、又はその前駆体
を含むキット。
【請求項74】
前記アドレナリン作用阻害剤が、
(i)三環系抗うつ薬、
(ii)β遮断薬、
(iii)カルシウムチャンネル遮断薬、
(iv)交感神経様作用薬、及び
(v)コカイン
から選択される、請求項73記載のキット。
【請求項75】
前記アドレナリン作用阻害剤が、デシプラミン、アミトリプタリン及びイミプラミンから選択される三環系抗うつ薬である、請求項74記載のキット。
【請求項76】
前記アドレナリン作用阻害剤がアミトリプタリンである、請求項75記載のキット。
【請求項77】
前記アドレナリン作動性造影剤が、mIBG、mFBG、ヒドロキシエフェドリン、エフェドリン、フルオロドーパミン、CGP、カラゾロール及びMQNBの標識形態から選択される、請求項73記載のキット。
【請求項78】
前記アドレナリン作動性造影剤が放射性ヨウ素化mIBGである、請求項77記載のキット。
【請求項79】
前記アドレナリン作動性造影剤が123I−mIBGである、請求項78記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−517773(P2007−517773A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542643(P2006−542643)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/039832
【国際公開番号】WO2005/053615
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(500436053)メディ−フィジックス・インコーポレイテッド (18)
【出願人】(307009779)
【出願人】(307009780)
【Fターム(参考)】