説明

方法、化合物、インクおよび使用

基体へ媒質および式(1)のモノアゾ化合物又はその塩


(式中、AおよびXは、独立して、任意的に置換されてよいアリール又はヘテロアリールであり、Bは、独立して、任意的に置換されてよいアリーレン又はヘテロアリーレンであり、いずれの場合も、式(1)の化合物中の−N=N−および−NR−基とパラの位置で結合しているフェニレン環を含み、RおよびRは、独立して、H、任意的に置換されてよいアルキル又は任意的に置換されてよいアリールである。)を含むインクを塗布することを含む像を基体へ印刷する方法であって、式(1)の化合物又はその塩は水溶性染料であり、且つ、該インクは基体へインクジェットプリンターによって塗布されることを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色剤として有用なモノアゾ化合物及びその塩、該化合物又はその塩を含むインク(特に、限定するものではないが、インクジェット印刷インク)、該インクを基体へ印刷する方法、並びに該化合物のインクジェット印刷インク製造への使用に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷(以後、「IJP」と表記する。)は、ノズルを基体へ接触させずに、インクの液滴を細いノズルを通して基体へ噴出する非衝撃印刷技術である。
IJPで使用される着色剤およびインクには多くの性能上の要件が要求される。例えば、それらは、良好な耐水堅牢性、耐光堅牢性、耐オゾン堅牢性および光学濃度を有するシャープで非羽毛状の像を提供するのが望ましい。インクは、汚れを防止するために、基体に塗布したとき急速に乾くことがしばしば求められるが、インクジェットノズルの先端で固まりが形成されると、プリント品質が低下し、極端な場合はプリンターの印刷が妨げられる可能性があるので、インクはインクジェットノズルの先端で固まりを形成してはならない。インクはまた、分解したり又は細いノズルを塞ぐ可能性のある沈殿物を形成することなく、長期間の貯蔵安定性を有することが好ましい。インクが、耐湿潤性、特に印刷密度及び印刷品質を生じさせる湿気による着色剤の移動に対して耐性を有する印刷物を提供できることが望ましい。
【0003】
米国特許出願公開第2005/0051052号明細書には、尿素結合及び発色団を含有する自己組織性色素が開示されている。
特開昭58−174464号公報には、アゾ着色剤を含むインクジェット印刷用インクが記載されている。JP58−174464に記載の着色剤は、アゾ基および尿素基を含有し、該基はそれぞれナフチレン環の異なるベンゼン環に結合している。
【0004】
ポーランド特許PL146485及びPL146807には、尿素基を有するモノアゾ化合物が記載されている。該化合物がインクジェット印刷用インクとして有用であるとは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0051052号明細書
【特許文献2】特開昭58−174464号公報
【特許文献3】ポーランド特許第146485号明細書
【特許文献4】ポーランド特許第146807号明細書
【発明の概要】
【0006】
我々は、ある種のアゾ化合物が特にIJP用インクとして有用であり、前述の利点を一つ以上もたらすことを見出した。
本発明の第1の側面では、 基体に、媒質および式(1)のモノアゾ化合物又はその塩:
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、
AおよびXは、独立して、任意的に置換されてよいアリール又はヘテロアリールであり;
Bは、独立して、任意的に置換されてよいアリーレン又はヘテロアリーレンであり、いずれの場合も、式(1)の化合物又はその塩中の−N=N−および−NR−基とパラの位置で結合しているフェニレン環を含み;
およびRは、独立して、H、任意的に置換されてよいアルキル又は任意的に置換されてよいアリールである。)
を含むインクを塗布することを含む、像を基体へ印刷する方法であって、式(1)の化合物又はその塩は水溶性染料であり;そして該インクは基体へインクジェットプリンターによって塗布される、上記の方法が提供される。
【0009】
必要に応じて、また、特に断りのない限り、本明細書中に使用される単語“a”及び“an”は「1又はそれ以上の」を意味する。したがって、例えば、“a mono azo compound”は、「1種類又はそれ以上のモノアゾ化合物」を意味する。
【0010】
Aは、多環式(例えば、ナフチル)又は単環式(例えば、フェニル)のいずれでもよい。
好ましい多環式ヘテロアリール基は、1個以上の窒素、硫黄、酸素又はリン原子を5員環又は6員環に含む、該5員環又は6員環と縮合したフェニル環(例えば、インドール)を含む。
【0011】
好ましい単環式ヘテロアリール基は、1個以上の窒素、硫黄、酸素又はリン原子を含有する5員環又は6員環を含むものである。好ましい例は、ピリジン、ピリミジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、フラン、チアジアゾール、トリアゾール及びチオフェンである。
【0012】
ある具体的な態様では、Aは、環中に1個以上の硫黄を有する5員環又は6員環(特にチアゾール及びベンゾチアゾール)であるか、又はそれを含む。
別の具体的な態様では、Aは、環中に1個以上の窒素を有する5員環又は6員環(特にイミダゾール及びピラゾール)であるか、又はそれを含む。
好ましくは、Aはアリールである。
【0013】
好ましい多環式アリール基には、アントラシル、ピレニル、フェナントレニル、特にナフチルが含まれる。好ましい単環式アリール基はフェニルである。
Aが、ナフチル又はフェニルのいずれかであることが特に好ましく、ナフチルがより好ましい。
【0014】
Aがナフチルである場合、ナフチル基は式(1)の化合物中の−N=N−基に、1−ナフチル位置で結合しうるが、2−ナフチル位置で結合することがより好ましい。
Aがナフチルである場合、4個以下の置換基を有する式(2):
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、アスタリスク()はナフチル基の式(1)の化合物における−N=N−基との結合ポイントを表す。)
のナフチル基又はその塩であることが、より好ましい。
【0017】
Aは、1個以上の置換基で置換されていてよく、該置換基は同一でも異なっていてもよい。
Aで表わされる基に結合し得る、好ましい任意的な置換基には、任意的に置換されてよいアルキル、アルコキシ、アミン、アミド、エステル、ケトンおよびチオエーテル基、ハロ、酸、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アゾおよび−CF基が含まれる。
【0018】
好ましくは、任意的に置換されてよいアルキルは、C1−8アルキル基、より好ましくは任意的に置換されてよいC1−4アルキル基である。
好ましくは、任意的に置換されてよいアルコキシ基は、C1−8アルコキシ基、より好ましくは任意的に置換されてよいC1−4アルコキシ基である。
【0019】
好ましくは、任意的に置換されてよいアミン基は、RおよびRがそれぞれ独立してH又は任意的に置換されてよいアルキル、アリール若しくはヘテロアリールである式−NRのアミン基であるか、あるいはRおよびRがこれらに結合している窒素原子と一緒になって任意的に置換されてよい5員環又は6員環(例えば、ピペリジン、ピロリドン、ピリジン、ピペリジン又はモルホリン環)を形成する。
【0020】
好ましくは、任意的に置換されてよいアミド基は、RがH又は任意的に置換されてよいアルキル、アリール若しくはヘテロアリールであり、そしてRおよびRが上記定義のとおりである、式−NHC(O)NR、−C(O)NR、−S(O)NR又はNHC(O)Rのアミド基である。
【0021】
好ましい任意的に置換されてよいエステル基は、Rが任意的に置換されてよいアルキル、アリール若しくはヘテロアリールである、式−C(O)OR又はS(O)ORのエステル基である。
【0022】
好ましい任意的に置換されてよいケトン基は、Rが上記定義のとおりである、式−C(O)Rのケトン基である。
好ましい任意的に置換されてよいチオエーテル基は、Rが上記定義のとおりである、式−SRのチオエーテル基である。
【0023】
任意的に置換されてよいアルキル、アルコキシ、アミン、アミド、エステル、ケトン又はチオエーテル置換基は、1個以上のハロ、アミノ、C1−4アルコキシ、ヒドロキシ、スルホン酸、カルボン酸およびホスホン酸基で置換されていてよい。
【0024】
好ましいハロ基は、Cl、FおよびBrである。
好ましい酸基には、カルボン酸、ホスホン酸、及び、特にスルホン酸基が含まれる。
好ましくは、式(1)の化合物又はその塩がヒドロキシ基を有する場合、ヒドロキシ基はアルキルヒドロキシ基、より好ましくはC1−8アルキルヒドロキシ基である。
【0025】
好ましくは、Aは、カルボン酸、ホスホン酸、スルホンアミド、ポリエチレンオキシド及びスルホン酸基から選択される少なくとも1個の基で置換されている。好ましくは、Aは上記の基を1〜3個有する。
【0026】
好ましくは、Aは少なくとも1個の酸基で置換されている。
好ましくは、Aは少なくとも1個のスルホン酸基で置換されている。
より好ましくは、Aは1〜3個、特に2又は3個、とりわけ特に3個のスルホン酸基で置換されている。
【0027】
好ましくは、Aは1〜3個のスルホン酸基で置換されたナフチル基である。
好ましくは、Aはスルホン酸基以外の置換基をもたない。
好ましくは、Aは、式(3)、(4)もしくは(5):
【0028】
【化3】

【0029】
(式中、アスタリスク()は、式(1)の化合物又はその塩における、−N=N−基との結合ポイントを表す。)又はその塩の基である。
Xで表される基は、存在する場合、独立して、Aについて前に記載した基のいずれでもよい。X基は、1個以上の置換基で置換されていてよい。置換基は、Aで表される基について前に記載した置換基のいずれでもよい。
【0030】
好ましくは、Xはアリール、より好ましくはフェニルである。
意外にも、我々は、Xが少なくとも1個のホスホン酸である場合に、さらに改良された式(1)の化合物及びその塩が得られることを見出した。特に、これらの化合物は改善された耐湿潤性を示す印刷物を提供する。
【0031】
好ましくは、Xで表わされる基は、少なくとも1個のホスホン酸基、より好ましくは1〜3個のホスホン酸基、特に好ましくは唯一個のホスホン酸基を有する。好ましくは、ホスホン酸基はXに直接結合する。
【0032】
ある具体的な態様では、Xは、式(1)の化合物又はその塩において、−NR−基へのフェニル基の結合ポイントに関してメタ位置で置換されたホスホン酸基を有するフェニルである。
好ましくは、Xはホスホン酸基以外の置換基をもたない。
好ましくは、Xは式(6)の基
【0033】
【化4】

【0034】
(式中、アスタリスク()は、式(1)の化合物又はその塩における−NR−基との結合ポイントを表す。)である。
好ましくは、Bはアリーレンである。
【0035】
アリーレン基は多環式(例えば、ナフチレン)、又はより好ましくは単環式(例えば、フェニレン)のいずれかでありうる。
好ましくは、各Bは、独立して任意的に置換されてよいナフチレン又はフェニレンであり、より好ましくはフェニレンである。
【0036】
Bがヘテロアリーレン基である場合、それは1個以上の窒素、硫黄、酸素又はリン原子を5員環又は6員環に含む、該5員環又は6員環と縮合したフェニレン環(例えば、インドール)を含む。
【0037】
各Bは、独立して1つ以上の置換基で置換されていてよい。
該置換基は、Aで表される基について前に記載した置換基のいずれでもよい。
B上に存在しうる任意の置換基は、C1−4アルコキシ(特に、メトキシおよびエトキシ)、C1−4アルキル(特に、メチル)、−NHCONH、−NHSO−C1−4アルキル(特に、−NHSOCH)、カルボン酸、スルホン酸およびホスホン酸から選択されることが好ましい。
【0038】
好ましくは、Bは置換されていない。
好ましくは、Bは式(7):
【0039】
【化5】

【0040】
(式中、アスタリスク()は、式(1)の化合物又はその塩における−N=N−および−NR−基との結合ポイントを表す。)
を有する。
【0041】
好ましくは、Rは、H又は任意的に置換されてよいC1−4アルキル、より好ましくはHである。RがHではないとき、Rは1個以上の置換基で置換されていてもよい。これらの置換基はAで表される基について前に記載した置換基のいずれでもよい。
【0042】
は、Rについて前に記載した基のいずれでもよい。好ましいRはRと同一である。
およびRが共にHであるのが好ましい。
【0043】
好ましくは、Aは1〜3個のスルホン酸基で置換されたナフチルであり、Bはフェニレンであり、そしてXはフェニルである。
より好ましくは、Aは1〜3個のスルホン酸基で置換された2−ナフチルであり、Bは非置換フェニレンであり、そしてXは少なくとも1個のホスホン酸基を有するフェニルである。
【0044】
さらに、RおよびRが共にHであることが好ましい。
本発明の第2の側面では、式(1)のモノアゾ化合物又はその塩:
【0045】
【化6】

【0046】
(式中、A、X、B、RおよびRは上記定義のとおりであり、式(1)の化合物又はその塩は繊維反応性基をもたない水溶性染料であり;ただし、式(1)の化合物又はその塩は、式(18)の化合物又はその塩:
【0047】
【化7】

【0048】
ではない。)
が提供される。
好ましくは、式(1)の化合物又はその塩は、互いに隣接した位置にあるカルボキシ基およびヒドロキシ基が結合した芳香族基(特にフェニル基)を含まない。そのため、例えば、式(1)の化合物又はその塩は、2,3;3,4;4,5;又は5,6の各位置においてヒドロキシ基およびカルボキシ基で置換されたフェニル基を含まないことが好ましい。
【0049】
式(1)の化合物又はその塩はベンゼン環に結合したヒドロキシ基をもたないのが好ましい。
我々は、ベンゼン環に結合したヒドロキシ基および繊維反応性基をもたない本発明の第1の側面で定義したような式(1)の化合物およびそれらの塩が、インクジェット印刷において改善された耐オゾン堅牢性および操作適性を有するインクを提供することを意外にも見出した。
【0050】
ある具体的態様では、本発明の第2の側面による化合物又はその塩はホスホン酸基をもたない。
本態様では、化合物又はその塩は、スルホン酸およびカルボン酸基から選択される1つ以上の基を有するのが好ましい。好ましくは、式(1)の化合物又はその塩は、スルホン酸およびカルボン酸基から選択される1〜10個、より好ましくは1〜5個の基を有する。
【0051】
本態様では、本発明の第2の側面による化合物又はその塩は、式(8)〜(11)の化合物又はその塩のいずれかであることが好ましい。
【0052】
【化8】

【0053】
好ましい具体的態様では、本発明の第2の側面による化合物又はその塩は、少なくとも1個のホスホン酸基を有する。前に述べたように、ホスホン酸基の存在は式(1)の化合物又はその塩を含有するインクで得られる印刷物の耐湿潤堅牢性を改善する。
【0054】
式(1)の化合物又はその塩は、好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜3個、特に1個のホスホン酸基を有する。
前に述べたように、ホスホン酸基の少なくとも1個は、好ましくはXに結合しており、より好ましくはXへ直接結合している。
【0055】
少なくとも1個のホスホン酸基を有する他に、式(1)の化合物又はその塩は、スルホン酸およびカルボン酸基から選択される1個以上(より好ましくは1〜4個)の基を有する。
【0056】
好ましい態様では、式(1)の化合物又はその塩は式(12)〜(15)の化合物又はその塩のいずれかである:
【0057】
【化9】

【0058】
式(12)〜(15)の化合物およびそれらの塩は、印刷したとき、特に良好な耐オゾン堅牢性および耐湿潤堅牢性を示す。
式(1)の化合物およびそれらの塩、並びにそれらの好ましい態様を示す他の式の化合物は、本明細書に示した化合物以外に互変異性体形で存在し、そのような互変異性体は本発明の範囲および請求の範囲に含まれる。
【0059】
式(1)の化合物が1個以上のイオン基(例えば、スルホン酸、ホスホン酸又はカルボン酸基)を含むとき、これらのイオン基はそれぞれ独立して遊離酸(例えば、−SOH)の形、又はより好ましくは塩(例えば、−SONa)の形であってもよい。好ましくは、式(1)の化合物に存在するイオン基の少なくとも1個は塩の形であり、より好ましくは、式(1)の化合物に存在するイオン基の全ては塩の形である。
【0060】
好ましい塩の形は、例えばアルカリ金属塩(特に、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アンモニウム、置換アンモニウム塩およびそれらの混合塩である。
好ましいアンモニウムおよび置換アンモニウム塩はアンモニウムおよびアルキル又はアリール置換アンモニウム(例えば、アンモニウム、アルカノールアンモニウム、ピリジニウム、ピペリジニウムおよびモルホリニウム)である。
【0061】
式(1)の化合物は、ナトリウム、リチウム、カリウムもしくはアンモニウム塩の形又はそれらの混合物であることが特に好ましい。
好ましくは、式(1)の化合物又はその塩は、ポリエチレンオキシド、スルホンアミド、ホスホン酸、スルホン酸およびカルボン酸基から選択される1〜10個、より好ましくは1〜5個、特に2〜4個の基を有する。
【0062】
好ましくは、式(1)の化合物又はその塩は、ホスホン酸、スルホン酸およびカルボン酸基から選択される1〜10個、より好ましくは1〜5個の基を有する。
好ましくは、式(1)の化合物又はその塩は、少なくとも1つ、より好ましくは1〜5個、特に1〜3個のスルホン酸基を有する。
【0063】
モノアゾ化合物として、式(1)の化合物およびそれらの塩は、式(1)の化合物中で表されるようなアゾ基の他に、更なるアゾ基もたない。
式(1)の化合物又はその塩は、20℃で水に可溶性であることが好ましい。
【0064】
溶解度の測定に用いられる水は純水(例えば、逆浸透、蒸留又は脱イオンによって精製された水)であるのが好ましい。
好ましくは、式(1)の化合物又はその塩の水中での溶解度は、20℃で、少なくとも2重量%、より好ましくは少なくとも3重量%、特に少なくとも5重量%である。
【0065】
好ましくは、式(1)の化合物又はその塩は、黄色、オレンジ色又は褐色である。好ましくは、約5重量%の式(1)の化合物又はその塩を含有するインクは黄色である。
本発明の第1の側面で定義されるような化合物およびそれらの塩は、インク(特に、水性IJPインク)の製造に有用である。これらの水性IJPインクは、インクジェットプリンターにおいて特に良好な操作適性を示し、並びに良好な耐オゾン堅牢性を有する印刷物を提供する。
【0066】
好ましい具体的態様では、本発明の第1の側面で用いられる式(1)の化合物又はその塩は、ベンゼン環に結合したヒドロキシ基を含まない。より好ましくは、式(1)の化合物はアリール環に結合したヒドロキシ基を含まない。我々は、フェノール性基を含まない式(1)の化合物およびそれらの塩がさらに改善された耐オゾン堅牢性を示すことを見出した。
【0067】
式(1)の化合物およびそれら塩の多くは、三原色印刷インクセット(シアン、イエロー、マゼンタ)の黄色インクとして理想的な、明るくあざやかな黄色の色彩を有する。
繊維反応性基はインクの長期貯蔵安定性を低下させる傾向があるので、本発明の第1の側面で定義されるような式(1)の化合物およびそれらの塩は繊維反応性基を含まないことが好ましい。繊維反応性基という用語は本技術分野でよく知られており、例えば、EP 0356014 A1で用いられている。繊維反応性基は、適当な条件下で、セルロース繊維に存在するヒドロキシ基とあるいは天然繊維に存在するアミノ基と反応して、繊維と化合物との間に共有結合を形成することができる。式(1)の化合物に存在しないことが好ましい繊維反応性基の例は、ハロ−1,3,5−トリアジニル、ハロ−ピリミジル、ベータ−ハロ−プロピオニル、ベータ−ハロエチル−スルホニル、ベータ−スルホン酸エチル−スルホニル、ベータ−ハロエチルスルファミル、クロロアセチルアミノ、ベータ−スルホン酸エチルスルファミルおよびビニルスルホニル基である。
【0068】
式(1)の化合物およびそれら塩は、式(16)の化合物又はその塩と式X−NRH又はその塩:
【0069】
【化10】

【0070】
(式中、A、B、R、XおよびRは上記定義のとおりである。)
との反応によって製造しうる。反応はpH5.5〜7.5、温度40〜60℃で8〜30時間実施することが好ましい。
【0071】
式(16)の化合物又はその塩は、クロロギ酸フェニルと式(17)の化合物又はその塩:
【0072】
【化11】

【0073】
(式中、A、BおよびRは上記定義のとおりである。)
との反応によって製造するのが好ましい。
反応は、水およびN−メチルピロリドンを含む液体媒質中で0〜5℃、pH5.5〜7.5にて1〜5時間実施することが好ましい。クロロギ酸フェニルは式(17)の化合物又はその塩を含有する溶液に滴下して加えることが好ましい。
【0074】
式(17)の化合物又はその塩は、式A−NHの化合物をジアゾ化してジアゾニウム塩を得、得られたジアゾニウム塩を式B−NRH(A、BおよびRは上記定義のとおりである。)の化合物とカップリングすることによって製造することが好ましい。
【0075】
ジアゾ化は、好ましくは20℃より下、より好ましくは0〜5℃で行う。ジアゾ化は、水を含む液体、好ましくは非常に酸性のpH(3未満)を有する液体中で行うことが好ましい。そのような酸性pHを達成するために、鉱酸(例えば、HClもしくはHSO又はそれらの混合物)が一般に用いられる。
【0076】
カップリング反応は0〜5℃で一般に1〜6時間行うのが好ましい。バッファー(例えば、酢酸ナトリウム)を加えてpHを4〜5に調整することが、多くの場合望ましい。カップリング反応は水を含む液体中で行うのが好ましい。カップリング反応は25℃の温度でさらに16時間続けることが好ましい。
【0077】
インクのための媒質は低融点固体媒質でもよいが、液体媒質であることが好ましい。媒質は25℃で液体であることが好ましい。
好ましい液体媒質には、水、水と有機溶媒の混合物、および水を含有しない有機溶媒が含まれる。
【0078】
液体媒質が水と有機溶媒の混合物を含む場合、水対有機溶媒の重量比は、好ましくは99:1〜1:99、より好ましくは99:1〜50:50、特に95:5〜70:30である。
【0079】
水と有機溶媒の混合物に存在する有機溶媒は、水に混和性の有機溶媒又はそのような溶媒の混合物であるのが好ましい。好ましい水混和性有機溶媒には、C1−6−アルカノール、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、シクロペンタノールおよびシクロヘキサノール;線状アミド、好ましくはジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド;ケトンおよびケトン−アルコール、好ましくはアセトン、メチルエーテルケトン、シクロヘキサノンおよびジアセトンアルコール;水混和性エーテル、好ましくはテトラヒドロフランおよびジオキサン;ジオール、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するジオール、例えば、ペンタン−1,5−ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコールおよびチオジグリコール並びにオリゴ−およびポリ−アルキレングリコール、好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール;トリオール、好ましくはグリセロールおよび1,2、6−ヘキサントリオール;ジオールのモノ−C1−4−アルキルエーテル、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するジオールのモノ−C1−4−アルキルエーテル、特に2−メトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エタノールおよびエチレングリコールモノアリルエーテル;環状アミド、好ましくは2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、カプロラクタムおよび1,3−ジメチルイミダゾリドン;環状エステル、好ましくはカプロラクトン;スルホキシド、好ましくはジメチルスルホキシドおよびスルホランが含まれる。液体媒質は、水および2種以上の、特に2〜8種の水混和性有機溶媒を含むのが好ましい。
【0080】
特に好ましい水混和性有機溶媒は、環状アミド、特に2−ピロリドン、N−メチル−ピロリドンおよびN−エチルピロリドン;ジオール、特に1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、チオジグリコール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコール;並びにジオールのモノ−C1−4アルキルおよびジ−C1−4アルキル、より好ましくは2〜12個の炭素原子を有するジオールのモノ−C1−4アルキルエーテル、特に2−メトキシ−2−エトキシ−2−エトキシエタノールである。
【0081】
好ましい液体媒質は:
(a)水 75〜95部;および
(b)ジエチレングリコール、2−ピロリドン、チオジグリコール、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノール、カプロラクトン、カプロラクタムおよびペンタン−1,5−ジオールから選択される1種以上の溶媒 全体で25〜5部
(ここで、部は重量に基づき、(a)+(b)=100部である。)
を含む。
【0082】
水および1種以上の溶媒の混合物を含む、好適なインク媒質の更なる例は、US4,963,189、US4,703,113、US4,626,284およびEP4,251,50Aに記載されている。
【0083】
液体媒質が水を含有しない有機溶媒(すなわち、水が1重量%未満)を含む場合、有機溶媒の沸点は、好ましくは30〜200℃、より好ましくは30〜150℃、特に30〜125℃である。有機溶媒は水非混和性、水混和性又はそのような溶媒の混合物でもよい。好ましい水混和性有機溶媒は、ここに記載の水混和性有機溶媒およびそれらの混合物である。好ましい水非混和性有機溶媒は、例えば、脂肪族炭化水素;エステル、好ましくは酢酸エチル;塩素化炭化水素、好ましくはCHCl;およびエーテル、好ましくはジエチルエーテル;並びにそれらの混合物である。
【0084】
液体媒質が水非混和性有機溶媒を含む場合、式(1)の化合物の液体媒質への溶解度を高めるので極性溶媒が含まれるのが好ましい。極性溶媒の例は、C1−4−アルコールおよびケトンである。
【0085】
上記の好ましい例を考慮すると、液体媒質が水を含有しない有機溶媒である場合、それはケトン(特に、メチルエチルケトン)および/又はアルコール(特に、C1−4−アルカノール、さらにとりわけ、エタノール又はプロパノール)を含むことが特に好ましい。
【0086】
水を含有しない有機溶媒は、単一の有機溶媒又は2種以上の有機溶媒の混合物でもよい。媒質が水を含有しない有機溶媒である場合、該媒質は2〜5種の異なる有機溶媒の混合物であることが好ましい。これによって、インクの乾燥特性および貯蔵安定性が良好に調整された媒質を選択することができる。
【0087】
速乾性が求められる場合、特に疎水性の非吸収性基体、例えばプラスチック、金属およびガラス上に印刷するとき、水を含有しない有機溶媒を含むインク媒質は特に有用である。
【0088】
好ましくは、低融点固体は25℃で固体であり、50℃を越える温度で溶融する。より好ましくは、低融点固体の融点は60〜125℃の範囲である。
この温度範囲で溶融する好適な媒質には、長鎖脂肪酸、スルホンアミド又はアルコール、好ましくはC18−24鎖を有するものが含まれる。式(1)の化合物又はその塩は低沸点固体に溶解しうるか、又は低沸点固体に微分散しうる。
【0089】
インクはまた、インクジェット印刷インクに用いるのに適した追加成分、例えば粘度および表面張力調節剤、腐蝕防止剤、殺生物剤、焦げ付き防止添加剤および界面活性剤を含んでいてもよい。
【0090】
好ましいインクジェットプリンターには、熱インクジェットおよびピエゾインクジェットプリンターが含まれる。
基体へ印刷される像は、テキスト、図面又は写真等でありうる。
【0091】
本発明の第3の側面では、本発明の第2の側面による式(1)の化合物又はその塩および媒質を含むインクが提供される。媒質は前記のとおりである。
インクは、1種類以上の式(1)の化合物又はその塩を含んでよい。
【0092】
好ましくは、本発明の第3の側面によるインクは、
a)1種以上の式(1)の化合物、又はそれらの塩 0.01〜30部;および
b)液体媒質又は低融点固体媒質 70〜99.99部
(ここで、部は重量に基づき、(a)+(b)=100部である。)
を含む。
【0093】
成分(a)は、好ましくは0.1〜20部、より好ましくは0.5〜15部、特に1〜10部である。成分(b)は、好ましくは99.9〜80部、より好ましくは99.5〜85部、特に99〜90部である。
【0094】
成分(a)は、成分(b)に完全に溶解するのが好ましい。成分(a)の成分(b)への溶解度は20℃でインク全体に対して、好ましくは少なくとも3重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、特に好ましくは10重量%である。これによって、より希薄なインクの製造に用いることができる濃縮物の製造が可能となり、液体媒質の蒸発が貯蔵中に生じるとき、式(1)の化合物又はその塩が沈殿する可能性が減少する。
【0095】
インクの粘度は、好ましくは50mPa.s未満、より好ましくは20mPa.s未満、特に5mPa.s未満である。粘度は25℃で測定するのが好ましい。粘度は100rpmに相当するせん断速度で円錐平板レオメーターにより測定するのが好ましい。インクはニュートン粘度挙動を示す(すなわち、粘度はせん断速度に影響されない)ことが好ましい。
【0096】
好ましくは、インク中の1ミクロンを上回る粒径を有する材料の含有量は1%未満、より好ましくは0.1%未満、特に好ましくは0.01%未満である。これは、例えば、濾過又は遠心分離によって実現することができる。
【0097】
インクは、平均細孔サイズが10ミクロン未満のフィルターに通しておくことが好ましい。インクは、平均細孔サイズが10〜0.2ミクロン、より好ましくは5〜1ミクロンのフィルターを通過させておくことがさらに好ましい。
【0098】
インクのハロゲン化物イオン濃度は、好ましくは500ppm未満、より好ましくは100ppm未満である。インクは、2価および3価金属を全体で100ppm未満、より好ましくは50ppm未満有することが特に好ましい。ppmはインクの総重量に対する関連イオン又は金属の重量を指す。ハロゲン化物イオンおよび/又は2価および3価金属の除去に適した任意の手段(例えば、イオン交換および限外濾過)を用いてよい。
【0099】
インクは水性であり、50μS/cm未満の導電率を有するのが好ましい。
インクのpHは、好ましくは5〜10、より好ましくは7〜10である。
本発明の第4の側面では、本発明の第3の側面によるインクで印刷される基体(好ましくは紙、オーバーヘッドプロジェクタースライド又は布地材料)が提供される。
【0100】
好ましい基体は、インクのための受容層を有するものである。受容層は多孔質であっても非多孔質であってもよい。
本発明の第5の側面では、チャンバーおよびインクを含むインクジェットプリンターカートリッジであって、該インクがチャンバー内に存在し、そして該インクが本発明の第3の側面によるものである、インクジェットプリンターカートリッジが提供される。
【0101】
本発明の第6の側面では、本発明の第1の側面で規定された又は本発明の第2の側面による式(1)の化合物又はその塩の、50μS/cm未満の導電率を有する該化合物および水を含む水性インク(特に、水性インクジェット印刷インク)製造への使用が提供される。導電性がそのように低いと、熱インクジェットプリンターにおける焦げ付きの防止に役立つ。
【0102】
本発明を以下の実施例によって説明する。実施例では特に断りがない限り全ての「部」は、重量を基準としたものである。
【実施例】
【0103】
実施例1:染料(1)の製造
【0104】
【化12】

【0105】
染料(1)は段階(a)〜(c)により製造した。
段階(a):中間体(1a)の製造
【0106】
【化13】

【0107】
アナリン(511g、5.5モル)を、ホルムアルデヒド/亜硫酸水素ナトリウム付加化合物(740g、5.5モル)の水(1000ml)中の溶液へ40℃でゆっくり加えて反応混合物を形成した。
【0108】
反応混合物を50℃で3時間攪拌し、次に、塩化ナトリウム(100g)を加え、反応混合物をさらに3時間攪拌した。これによって反応混合物は25℃に冷却した。
生成物は沈殿した。生成物を濾過によって集め、乾燥して、970gの中間体(1a)を白色の固体として得た。
段階(b):中間体(1b)の製造
【0109】
【化14】

【0110】
7−アミノナフタレン−1,3,5−トリスルホン酸(76.6g、1.0モル)を水(800ml)に溶解し、2N水酸化ナトリウム溶液を添加してpH7に調整し、次に、亜硝酸ナトリウム(13.8g、0.2モル)を加えて溶液を生じさせた。
【0111】
上記の溶液を、濃硫酸(60g)および水(150ml)の混合物に0〜5℃で滴下して加え、反応混合物を生じさせた。
反応混合物を0〜5℃で2時間攪拌した。段階(a)からの中間体(1a)(37.4g、0.2モル)を0〜5℃で反応混合物へ1時間にわたって数回に分けて加え、pHは酢酸ナトリウムの添加により4〜5に調整した。次に、反応混合物を、なお0〜5℃でさらに4時間攪拌した。水酸化ナトリウム(100g)を反応混合物に添加し、その後80℃で6時間攪拌した。
【0112】
反応混合物を25℃まで冷却した後、塩化ナトリウム(200g)を添加して沈殿させた。生成物を濾過によって集め、乾燥させて、オレンジ色の固体の中間体(1b)35gを得た。
段階(c):染料(1)の製造
【0113】
【化15】

【0114】
クロロギ酸フェニル(17.3g、0.11モル)を0〜5℃で中間体(1b)(48.7g、0.1モル)の水(1000ml)およびN−メチルピロリドン(150ml)混合物溶液に滴下しながら加え、反応混合物を生じさせた。
【0115】
2N水酸化ナトリウム溶液を加えることによってpHを約6.5に維持しながら、反応混合物を0〜5℃で2時間攪拌した。
3−アミノフェニルホスホン酸(34.6g、0.2モル)の水溶液を反応混合物に加えた。反応混合物を50℃でさらに10時間攪拌した。
【0116】
生成物は減圧蒸留によって単離した。単離した生成物をアセトン(3000ml)で洗浄し、次に、水(1000ml)に溶解し、そして2N水酸化ナトリウム溶液を加えることによってpHを約8〜9に調整した。生成物は、塩化ナトリウムを加えることによって、更にまた、pHが1になるまでHClを用いて溶液を酸性化することによって沈殿させた。
【0117】
沈殿した生成物を濾過によって集め、水(500ml)に溶解して溶液を生成させ、そして2N水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを約8〜9に調整した。生成物は、半透膜管を用いて溶液を透析することによって50μS/cm未満の導電率に精製した。精製した生成物は60℃での蒸発によって単離して、30gの染料(1)を褐色粉末の形で得た。染料(1)はナトリウム塩として得られた。
【0118】
染料(1)は、印刷時に特に良好なオゾン堅牢製を示す水性インクジェット印刷インクの製造に用いることができる。染料(1)を含有する水性インクは、良好な耐光堅牢性を有し、明るく鮮やかな黄色であった。
【0119】
インク
表Iおよび表IIに記載のインクを製造することができる。表の第1欄に記載の染料は実施例1で製造した染料である。第2欄以降に示す数字は該当成分の部数であり、いずれの部も重量に基づく。インクは熱インクジェット又はピエゾインクジェット印刷によって紙へ塗布することができる。
【0120】
次の略語を表Iおよび表IIにおいて使用する。
PG=プロピレングリコール
DEG=ジエチレングリコール
NMP=N−メチルピロリドン
DMK=ジメチルケトン
IPA=イソプロパノール
MEOH=メタノール
2P=2−ピロリドン
MIBK=メチルイソブチルケトン
P12=プロパン−1,2−ジオール
BDL=ブタン−2、3−ジオール
CET=セチルアンモニウムブロミド
PHO=NaHPO
TBT=t−ブタノール、及び
TDG=チオジグリコール
【0121】
【表1】

【0122】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒質及び式(1)のモノアゾ化合物又はその塩:
【化1】

(式中、
AおよびXは、独立して、任意的に置換されてよいアリール又はヘテロアリールであり、
Bは、独立して、任意的に置換されてよいアリーレン又はヘテロアリーレンであり、いずれの場合も、式(1)の化合物又はその塩の中の−N=N−および−NR−基とパラの位置で結合しているフェニレン環を含み、
およびRは、独立して、H、任意的に置換されてよいアルキル又は任意的に置換されてよいアリールである。)
を含むインクを基体に塗布することを含む、像を基体へ印刷する方法であって、式(1)の化合物又はその塩は水溶性染料であり、且つ、該インクは基体へインクジェットプリンターによって塗布されることを特徴とする方法。
【請求項2】
式(1)の化合物又はその塩が繊維反応性基をもたない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(1)の化合物又はその塩が、ポリエチレンオキシド、スルホンアミド、ホスホン酸、スルホン酸およびカルボン酸基から選択される1〜10個の基を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
式(1)の化合物又はその塩が、ホスホン酸、スルホン酸およびカルボン酸基から選択される1〜10個の基を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
式(1)の化合物又はその塩が少なくとも1個のスルホン酸基を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
式(1)の化合物又はその塩が1個以上のホスホン酸基を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
Xが少なくとも1個のホスホン酸基を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
Xが、式(1)の化合物又はその塩の中の−NR−基とフェニル基との結合箇所に対してメタの位置でホスホン酸基により置換されているフェニル基である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Bで表される基が、置換されていないフェニレン基である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
媒質が液体である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
式(1)のモノアゾ化合物又はその塩:
【化2】

(式中、
AおよびXは、独立して、任意的に置換されてよいアリール又はヘテロアリールであり、
Bは、独立して、任意的に置換されてよいアリーレン又はヘテロアリーレンであり、いずれの場合も、式(1)の化合物又はその塩の中の−N=N−および−NR−基とパラの位置で結合しているフェニレン環を含み、
およびRは、独立して、H、任意的に置換されてよいアルキル、又は、任意的に置換されてよいアリールである。)
であって、式(1)の化合物が繊維反応性基をもたない水溶性染料であり、
ただし、式(1)の化合物又はその塩は式(18)の化合物又はその塩:
【化3】

ではないことを特徴とするモノアゾ化合物又はその塩。
【請求項12】
ベンゼン環に結合したヒドロキシ基をもたない、請求項11に記載の化合物又はその塩。
【請求項13】
少なくとも1個のホスホン酸基を有する、請求項11又は12に記載の化合物又はその塩。
【請求項14】
Xが少なくとも1個のホスホン酸基を有する、請求項13に記載の化合物又はその塩。
【請求項15】
Xが、式(1)の化合物又はその塩の中の−NR−基へのフェニル基の結合箇所に対してメタの位置でホスホン酸基により置換されているフェニル基である、請求項11〜14のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項16】
Bで表される基がフェニレン基である、請求項11〜15のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項17】
少なくとも1個のスルホン酸基を有する、請求項11〜16のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項18】
式(12)〜(15)の化合物
【化4】

又はその塩のいずれかである、請求項11又は12に記載の化合物又はその塩。
【請求項19】
式(8)〜(11)の化合物
【化5】

又はその塩のいずれかである、請求項11又は12に記載の化合物又はその塩。
【請求項20】
請求項11〜19のいずれか一項に記載の化合物若しくはその塩、及び、媒質
を含むインク。
【請求項21】
媒質が液体である、請求項20に記載のインク。
【請求項22】
請求項20又は21に記載のインクで印刷された基体。
【請求項23】
チャンバーおよびインクを含むインクジェットプリンターカートリッジであって、該インクが該チャンバー内に存在し、そして該インクが請求項20又は21に記載のインクである、インクジェットプリンターカートリッジ。
【請求項24】
式(1)の化合物:
【化6】

(式中、
AおよびXは、独立して、任意的に置換されてよいアリール又はヘテロアリールであり、
Bは、独立して、任意的に置換されてよいアリーレン又はヘテロアリーレンであり、いずれの場合も、式(1)の化合物又はその塩の中の−N=N−および−NR−基とパラの位置で結合しているフェニレン環を含み、
およびRは、独立して、H、任意的に置換されてよいアルキル又は任意的に置換されてよいアリールである。)
を含む水性インクの製造への式(1)のモノアゾ化合物又はその塩の使用であって、式(1)の化合物は水溶性染料であり、インクは50μS/cm未満の導電率を有することを特徴とする使用。

【公表番号】特表2010−502806(P2010−502806A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527192(P2009−527192)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003303
【国際公開番号】WO2008/029097
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(506139635)フジフィルム・イメイジング・カラランツ・リミテッド (75)
【Fターム(参考)】