説明

旋回カメラ装置

【課題】外部からの指示に依らず、装置内の制御に依る旋回・加熱協調制御により、装置全体の電力消費量を低減させたことにより、簡素な制御並びに構成で信頼性を損なうことなく消費電力の低減化を図ることができる旋回カメラ装置を提供する。
【解決手段】旋回制御ユニット21は、旋回部20を旋回駆動制御する指示を外部から受けたとき、ヒーター14,24,34およびデフロスタガラス12に供給する動作用電源を遮断した後、上記指示に従い水平旋回モーター22、垂直旋回モーター23を駆動制御し、旋回駆動終了後、ヒーター14,24,34およびデフロスタガラス12の電源遮断状態を解除する旋回・加熱協調シーケンス制御手段を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCTV(closed-circuit Television)システムに適用して好適な旋回カメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CCTVシステムに適用される監視用の旋回カメラ装置は、カメラ本体を所定の旋回角を単位に上下左右に駆動制御する複数のモータを備えた旋回駆動機構と、ヒーターを用いた寒冷対策のための周囲温度制御機構とを有して構成される。具体例を挙げると、カメラ本体を収容するカメラ部筐体と、装置電源部を収容する台座部筐体と、台座部筐体に支承されてカメラ本体を水平および垂直方向に旋回駆動する旋回機構を備えた旋回部筐体とを具備し、上記各筐体のそれぞれに、筐体内における機器の周囲温度(筐体内温度)を制御するヒーターを有し、旋回機構に水平旋回モータおよび垂直旋回モータを有し、カメラ本体に撮像窓の曇りを除去するデフロスタガラスを有して構成される。このような寒冷対策を施した旋回カメラ装置は、寒冷地での使用において、上記各旋回モータと上記各ヒーターとデフロスタガラスと回路動作を含めた消費電力が必要とされ、旋回カメラ装置全体の電力消費量が問題となっていた。
【0003】
この種旋回カメラ装置の従来技術として、季節による期間を定めて雲台の電力供給タイムおよび加熱手段のオン、オフ温度を設定したテーブルを備え、このテーブルをもとに雲台および加熱手段の動作時間を制御するカメラ装置(特許文献1参照)、または、設定した温度範囲について供給電力を定めたメモリテーブルを記憶する記憶装置を備えて、このメモリテーブルに基づき、温度検出部の検出温度に応じて電源を制御するカメラ装置(特許文献2参照)が存在した。
【0004】
しかしながら、この種のテーブルを用いた電力制御は、プログラム制御による依存度が高く、制御の度に大きなトラフィックが発生することから、煩雑かつ頻度の高い遠隔操作による回線制御を必要とし、これに伴いソフトウェアを含む装置全体の構成が著しく煩雑になることから保守並びに信頼性の面で問題がある。
【0005】
このような背景のもと、旋回カメラ装置を複数台接続可能にしたCCTVシステムにおいては、信頼性を確保した旋回カメラ装置個々の省電力化が課題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−094401号公報
【特許文献2】特開2005−094545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の旋回カメラ装置においては、システムの信頼性を確保した省電力化が課題となっていた。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、簡素な制御並びに構成で信頼性を損なうことなく消費電力の低減化が図れる旋回カメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、カメラ本体と、前記カメラ本体を旋回駆動する、旋回駆動モーターを含む旋回部と、前記カメラ本体および前記旋回部の周囲温度を制御するヒーターと、前記旋回部を外部からの指示に従い駆動制御する旋回制御部とを具備し、前記旋回制御部は、前記旋回部を駆動制御する指示を外部から受けたとき、前記ヒーターに供給する動作用電源を遮断した後、前記指示に従い前記旋回部を駆動制御し、前記旋回部の駆動終了後、前記ヒーターの電源遮断状態を解除する旋回・加熱協調シーケンス制御手段を具備した旋回カメラ装置を特徴とする。
【0010】
また、本発明は、筐体を別にする、カメラ部と、前記カメラ部を旋回駆動する旋回部と、前記旋回部を支承する台座部とを具備し、前記カメラ部は、デフロスタガラスを有する撮像カメラ本体と、筐体内の温度を制御するヒーターとを具備し、前記旋回部は、水平旋回モーターおよび垂直旋回モーターを備えた旋回駆動部と、外部と通信を行う通信手段を備え、受信した指示に従い前記水平旋回モーターおよび垂直旋回モーターを駆動制御する旋回制御部と、筐体内の温度を制御するヒーターとを具備し、前記台座部は、前記カメラ部および前記旋回部に動作用電源を供給制御する電源部と、筐体内の温度を制御するヒーターとを具備し、前記旋回制御部は、受信した旋回駆動の指示をもとに、前記各筐体毎に設けられた前記各ヒーターに供給する動作用電源を遮断制御するヒーター電源遮断制御手段と、前記各ヒーターの電源遮断に同期して前記受信した指示に従い前記旋回駆動部を駆動制御する旋回駆動制御手段と、前記旋回駆動部の駆動終了に同期して前記各ヒーターの電源遮断状態を解除するヒーター電源遮断解除制御手段とを備えた旋回・加熱協調シーケンス制御手段を具備した旋回カメラ装置を特徴とする。
【0011】
また、前記旋回カメラ装置において、前記旋回・加熱協調シーケンス制御手段は、前記ヒーターの電源遮断および遮断解除に同期して前記デフロスタガラスを電源遮断および遮断解除することを特徴とする。
【0012】
また、前記旋回カメラ装置において、前記旋回制御部は、外部から電力制御有効または電力制御無効を示す動作モードの指示を受けて当該指示された動作モードを保持する手段と、前記保持した動作モードが電力制御有効を示す動作モードであるとき、前記旋回・加熱協調シーケンス制御手段を有効にし、前記保持した動作モードが電力制御無効を示す動作モードであるとき、前記旋回・加熱協調シーケンス制御手段を無効にして前記各ヒーターに常時動作用電源を供給する制御手段をさらに具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外部からの指示に依らず、装置内の制御に依る旋回・加熱協調制御により、装置全体の電力消費量を低減させたことにより、簡素な制御並びに構成で信頼性を損なうことなく消費電力の低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る旋回カメラ装置の構成を示すブロック図。
【図2】上記実施形態に係る旋回カメラ装置の外観構成を示す正面図(a)および側面図(b)。
【図3】上記実施形態に係る旋回カメラ装置の電力制御有効動作モード時における制御シーケンスを示すフローチャート。
【図4】上記実施形態に係る旋回カメラ装置の電力制御無効動作モード時における制御シーケンスを示すフローチャート。
【図5】上記実施形態に係る旋回カメラ装置の旋回・加熱協調シーケンス制御手段おける制御シーケンスを示すフローチャート。
【図6】上記実施形態に係る旋回カメラ装置の旋回・加熱協調シーケンス制御手段おける制御シーケンスを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0016】
本発明の実施形態に係る旋回カメラ装置の構成並びに機能の概要を図1乃至図3を参照して説明する。なお、この実施形態では、水平旋回および垂直旋回を可能にした、3筐体(カメラ部筐体、旋回部筐体、台座部筐体)構造の旋回カメラ装置を例に示している。
【0017】
本発明の実施形態に係る旋回カメラ装置は、図1および図2に示すように、筐体を別にする、カメラ部10と、カメラ部10を旋回駆動する旋回部20と、旋回部20を支承する台座部30とを具備して構成される。図1に示すように、カメラ部10は、デフロスタガラス12を有する撮像カメラ本体11と、筐体10A内の温度を制御するヒーター(ヒーター3)14とを具備し、旋回部20は、水平旋回モーター22を備えた水平旋回駆動部DHおよび垂直旋回モーター23を備えた垂直旋回駆動部DVと、外部と通信を行う通信手段33を備え、受信した指示に従い前記水平旋回モーター22および垂直旋回モーター23を駆動制御する旋回制御部(旋回制御ユニット)21と、筐体20A内の温度を制御するヒーター(ヒーター2)24とを具備し、台座部30は、カメラ部10および旋回部20に動作用電源を供給制御する電源部(装置電源)31と、筐体30A内の温度を制御するヒーター(ヒーター1)34とを具備して構成される。
【0018】
旋回部20に設けられた旋回制御ユニット21は、マイクロプロセッサを備え、シリアル通信線路を介して外部の操作機40とシリアル通信を行う送受信機能を具備して、図3に示す電力制御有効動作モード時における制御シーケンス、または図4に示す電力制御無効動作モード時における制御シーケンスによる処理を実行する。電力制御有効動作モード時における制御シーケンス処理では旋回・加熱協調シーケンス制御手段が適用される。旋回・加熱協調シーケンス制御手段は、図3に示すように、受信した旋回駆動の指示をもとに、各筐体10A,20A,30A毎に設けられた各ヒーター14,24,34の動作用電源を遮断制御するヒーター電源遮断制御手段(B1)と、上記各ヒーター14,24,34の電源遮断(B1)に同期して上記受信した指示に従い旋回駆動部DHおよびDVを駆動制御する旋回駆動制御手段(C1)と、上記旋回駆動部DHおよびDVの駆動終了(C2)に同期して上記各ヒーター14,24,34の電源遮断状態を解除するヒーター電源遮断解除制御手段(B2)とを具備する。
【0019】
上記した旋回・加熱協調シーケンス制御では、旋回駆動時において、各筐体10A,20A,30A内のヒーター14,24,34およびデフロスタガラス12の通電が断たれるが、上記各筐体10A,20A,30Aは、図2に示すように、密閉若しくは密閉状態に近い構造であり、かつ旋回駆動に費やされる時間は、ヒーター14,24,34の駆動時間に比して極く僅かな時間であることから、旋回駆動時において、筐体10A,20A,30A内の温度変化は殆ど無く(極く僅かな温度低下に留まり)、従ってヒーター14,24,34を駆動しない旋回駆動が介在しても筐体10A,20A,30A内の温度は、ほぼ一定の設定温度範囲内に留まり、これによって筐体10A,20A,30A内の各機器類を正常な動作が継続できる環境に維持しておくことができる。
【0020】
上記したような、外部からの指示に依らず、装置内の制御に依る旋回・加熱協調制御により、装置全体の電力消費量を低減させたことにより、簡素な制御並びに構成で信頼性を損なうことなく消費電力の低減化を図ることができる。
【0021】
なお、この実施形態では、水平旋回および垂直旋回を可能にした、3筐体(カメラ部筐体、旋回部筐体、台座部筐体)構造の旋回カメラ装置を例に示しているが、例えば、台座部(据付部)に対して水平旋回または垂直旋回を可能にした、単筐体構造または2筐体構造の旋回カメラ装置においても本発明に係る電力制御(旋回・加熱協調シーケンス制御)を実現可能である。
【0022】
上記した本発明の実施形態について、図面を参照してより詳細に説明する。
【0023】
本発明の実施形態に係る旋回カメラ装置は、図1および図2に示すように、カメラ部10と、カメラ部10を支承し水平・垂直方向に旋回駆動する旋回部20と、旋回部20を支承する台座部30とを具備して構成される。カメラ部10は旋回部20に垂直旋回駆動部DVを介して垂直方向に所定角の回動範囲で旋回可能に支承され、旋回部20は台座部30に水平旋回駆動部DHを介して水平方向に旋回可能に支承されている。
【0024】
カメラ部10と旋回部20と台座部30は、それぞれ独自の筐体10A,20A,30Aにより構成されている。ここでは筐体10Aをカメラ部筐体、筐体20Aを旋回部筐体、筐体30Aを台座部筐体と称す。
【0025】
カメラ部10は、カメラ部筐体10Aに、撮像カメラ本体11、デフロスタガラス12、DC電源部13、ヒーター(ヒーター3)14等の構成要素を収容して構成される。
【0026】
撮像カメラ本体11は、撮像窓部にデフロスタガラス12、およびワイパー15を備え、カメラ本体内部の光軸上にCMOSセンサまたはCCDセンサ等のエリア・イメージ・センサを内蔵される。デフロスタガラス12は、DC電源部13から動作用電源を受けて撮像窓の曇りを除去する。DC電源部13は、デフロスタガラス12に動作用直流電源を供給する。ヒーター14は、予め温度設定されたサーモスイッチを有し、台座部30から動作用電源を受けて、カメラ部筐体10A内の温度(撮像カメラ本体11の周囲温度)を設定された温度範囲内に保つ。例えば筐体10A内温度(周囲温度)がセ氏−10°以下になるとサーモスイッチがスイッチオンしてヒーター14を通電状態にし(加熱動作させ)、筐体10A内温度がセ氏10°を超えるとサーモスイッチがスイッチオフしてヒーター14を非通電状態にして加熱動作を停止させる。
【0027】
旋回部20は、旋回部筐体20Aに、旋回制御ユニット21、水平旋回モーター22、垂直旋回モーター23、ヒーター(ヒーター2)24、リレー25等の構成要素を収容して構成される。
【0028】
旋回制御ユニット21は、上記したように、マイクロプロセッサを備え、シリアル通信線路を介して外部の操作機40とシリアル通信を行う送受信機能を具備して、図3に示す電力制御有効動作モード時における制御シーケンス、または図4に示す電力制御無効動作モード時における制御シーケンスによる処理を実行する。この処理において、水平旋回モーター22を備えた水平旋回駆動部DHおよび垂直旋回モーター23を備えた垂直旋回駆動部DVを駆動制御し、さらに、この駆動制御に連繋して、リレー25をスイッチ制御し、ヒーター14,24に供給する動作用電源(この例ではAC100V)を供給・遮断制御する。
【0029】
水平旋回モーター22は水平旋回駆動部DHの駆動源となるもので旋回制御ユニット21により駆動制御され、旋回部20を台座部30に対して水平方向に旋回駆動する。垂直旋回モーター23は垂直旋回駆動部DVの駆動源となるもので旋回制御ユニット21により駆動制御され、カメラ部10を旋回部20に対して垂直方向に旋回駆動する。ヒーター24は予め温度設定されたサーモスイッチを有し、台座部30から動作用電源を受けて、旋回部筐体20A内の温度(駆動部の周囲温度)を上記したヒーター14と同様の設定された温度範囲内に保つ。リレー25は旋回制御ユニット21により励磁駆動されて、ヒーター14,24の動作用電源供給路に介在したスイッチをオン/オフ制御する。
【0030】
台座部30は、台座部筐体30Aに、装置電源31、リレー32、通信インターフェイスコネクタ33、ヒーター(ヒーター1)34、電源コネクタ35等の構成要素を収容して構成される。
【0031】
装置電源31は、ヒーター14,24,34を除いたカメラ部10および旋回部20の各部に動作用電源を供給する電源ユニットを構成している。リレー32は、旋回制御ユニット21により励磁駆動されて、ヒーター34の動作用電源供給路に介在したスイッチをオン/オフ制御する。通信インターフェイスコネクタ33は、旋回制御ユニット21の通信手段を実現するシリアル通信線の接続ポートとして機能する。ヒーター34は予め温度設定されたサーモスイッチを有し、台座部筐体30A内の温度(電源ユニットの周囲温度)を上記したヒーター14,24と同様の設定された温度範囲内に保つ。電源コネクタ35は外部から供給された商用交流電源(AC100V)を入力する。
【0032】
電源コネクタ35に供給された商用交流電源(AC100V)は、上記リレー25のスイッチを介してヒーター14,24に供給されるとともに、上記リレー32のスイッチを介してヒーター34に供給される。また上記商用交流電源(AC100V)は、装置電源(電源ユニット)31に一次電源として供給される。
【0033】
通信インターフェイスコネクタ33は、装置内部のシリアル通信信号線と装置外部のシリアル通信線路とをインターフェイス接続し、旋回制御ユニット21と外部の操作機40との間にシリアルデータ伝送路を形成する。このシリアルデータ伝送路を介して操作機40と旋回制御ユニット21との間で図3乃至図5に示す各種のコマンドを含むデータの授受が行われる。なお、通信インターフェイスコネクタ33を介して撮像カメラ本体11で撮影した映像データが外部に送信されるが、ここでは、この映像データのデータ転送について説明を割愛する。
【0034】
ここで、電力制御有効動作モード時の電力制御処理について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。この電力制御有効動作モード時の電力制御は、装置内の制御に依る旋回・加熱協調制御の処理により実現される。この電力制御有効動作モードによる電力制御では、旋回駆動のための電力消費量とヒーター14,24,34およびデフロスタガラス12による加熱のための電力消費量とがほぼ等しい。従ってリレー25,32が常時スイッチオン状態にある寒冷地での運用において、ヒーター14,24,34およびデフロスタガラス12による加熱を常時行っている電力制御無効動作モードによる電力制御に比べて、装置全体の電力消費量が半減される。
【0035】
旋回制御ユニット21は操作機40から電力制御有効動作モードを指定する電力制御有効コマンドを受信すると(図3ステップA1)、電力制御モードが旋回・加熱協調制御による電力制御有効動作モードであることを示す電力制御有効フラグを立て(電力制御有効フラグをセットし)、上記コマンドの受信応答を操作機40に返す(図3ステップA2)。
【0036】
旋回制御ユニット21は操作機40から旋回開始コマンドを受信すると(図3ステップA3)、上記各ヒーター14,24,34およびデフロスタガラス12の加熱動作をオフ(停止)し(図3ステップB1)、上記コマンドの受信応答を操作機40に返す(図3ステップA4)。さらに旋回制御ユニット21は、コマンドの指示内容に従い一定のコマンド処理時間を経て旋回部20の旋回モーター(水平旋回モーター22、垂直旋回モーター23の双方若しくは片方)を駆動制御し、カメラ部10をコマンド指示に従い旋回駆動する(図3ステップC1)。
【0037】
旋回制御ユニット21は操作機40から旋回停止コマンドを受信すると(図3ステップA5)、旋回部20の旋回モーターを停止制御し(図3ステップC2)、上記コマンドの受信応答を操作機40に返す(図3ステップA6)。さらに旋回制御ユニット21は、旋回モーターの停止を確認して、上記各ヒーター14,24,34およびデフロスタガラス12の加熱停止状態を解除し加熱動作をオン(開始)する(図3ステップB2)。
【0038】
つぎに電力制御無効動作モード時の電力制御処理について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。この電力制御無効動作モード時の電力制御はリレー25,32のスイッチが介在しない既存の電源供給回路による電力制御であり、上記各ヒーター14,24,34およびデフロスタガラス12に、常時、加熱動作用電源が供給されている。すなわち装置内の制御に依る旋回・加熱協調制御の処理(ステップB1,B2)が介在しない。
【0039】
旋回制御ユニット21は操作機40から電力制御無効動作モードを指定する電力制御無効コマンドを受信すると、電力制御モードが電力制御無効動作モードであることを示す電力制御無効フラグを立て(電力制御無効フラグをセットし)、上記コマンドの受信応答を操作機40に返す(図4ステップA1,A2)。
【0040】
旋回制御ユニット21は操作機40から旋回開始コマンドを受信すると、上記コマンドの受信応答を操作機40に返し(図4ステップA3,A4)、コマンドの指示内容に従い一定のコマンド処理時間を経て旋回部20の旋回モーターを駆動制御する(図4ステップC1)。
【0041】
旋回制御ユニット21は操作機40から旋回停止コマンドを受信すると、旋回部20の旋回モーターを停止制御し、上記コマンドの受信応答を操作機40に返す(図3ステップA5,A6)。
【0042】
上記した電力制御有効動作モードによる電力制御と、電力制御無効動作モードによる電力制御とを電力消費量で対比する。ここでは、上述したように、旋回駆動のための電力消費量とヒーター14,24,34およびデフロスタガラス12による加熱のための電力消費量とがほぼ等しいことから、リレー25,32が常時スイッチオン状態にある寒冷地での運用において、図3および図4に「消費電力」として示すように、電力制御有効動作モードによる電力制御は、電力制御無効動作モードによる電力制御に比べ、消費電力を略50%抑制でき、装置全体の電力消費量を半減できる。
【0043】
上記した電力制御処理におけるより詳細な処理手順の一例を図5および図6に示している。ここでは、ヒーター14,24,34と、デフロスタガラス12とを個別に電力制御可能にした例を示している。
【0044】
旋回制御ユニット21は操作機40から受信したコマンドが、電力制御有効コマンドであるとき(図5ステップS11〜S13)、電力制御有効フラグをセットし(図5ステップS13a)、電力制御無効コマンドであるとき(図5ステップS11、S12,S14)、電力制御有効フラグをリセットする(図5ステップS14a)、
上記受信コマンドがヒーター有効コマンドであるとき、ヒーター有効フラグをセットして、ヒーター14,24,34およびデフロスタガラス12の電源供給路を電源供給状態にし(図5ステップS15,S15a,S15b)、ヒーター無効コマンドであるとき、ヒーター有効フラグをリセットして、ヒーター14,24,34およびデフロスタガラス12の電源供給路を電源遮断状態にする(図5ステップS16,S16a,S16b)。
【0045】
上記受信コマンドがデフロスタ有効コマンドであるとき、デフロスタ有効フラグをセットして、デフロスタガラス12を電源供給状態にし(図5ステップS17,S17a,S17b)、デフロスタ無効コマンドであるとき、デフロスタ無効フラグをセットして、デフロスタガラス12を電源遮断状態にする(図5ステップS18,S18a,S18b)。
【0046】
上記受信コマンドが旋回開始コマンドであるとき、電力制御有効フラグがセットされていれば、ヒーター有効フラグ、デフロスタ有効フラグの内容に従い、電力制御有効動作モードによる電力制御を実行し(図6ステップS20〜S25)、カメラ部10をコマンド指示に従い旋回駆動する(図6ステップ26)。上記電力制御有効フラグがセットされていなければ、カメラ部10をコマンド指示に従い旋回駆動する(図6ステップS21,26)。
【0047】
上記受信コマンドが旋回停止コマンドであるとき、旋回駆動を停止し、電力制御有効フラグがセットされていれば、電力制御有効動作モードによる電力停止状態を解除する(図6ステップS30〜S36)。上記電力制御有効フラグがセットされていなければ処理を終了する。
【0048】
上記したように、本発明の実施形態によれば、外部からの指示に依らず、装置内の制御に依る旋回・加熱協調制御により、装置全体の電力消費量を低減させたことにより、簡素な制御並びに構成で信頼性を損なうことなく消費電力の低減化を図ることができる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、台座部(据付部)に対して水平旋回または垂直旋回を可能にした、単筐体構造または2筐体構造の旋回カメラ装置においても本発明に係る電力制御(旋回・加熱協調シーケンス制御)を実現可能である。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせ(例えばワイパー15とデフロスタガラス12を同時駆動する構成)、または、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除した構成であっても、本発明に係る旋回・加熱協調シーケンス制御による電力制御が可能な旋回カメラ構造であれば本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10…カメラ部、10A…カメラ部筐体、11…撮像カメラ本体、12…デフロスタガラス、13…DC電源部、14,24,34…ヒーター、15…ワイパー、20…旋回部、20A…旋回部筐体、21…旋回制御部(旋回制御ユニット)、22…水平旋回モーター、23…垂直旋回モーター、25,32…リレー、30…台座部、30A…台座部筐体、31…電源部(装置電源)、33…通信手段(通信インターフェイスコネクタ)、35…電源コネクタ、40…操作機、DH…水平旋回駆動部、DV…垂直旋回駆動部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体と、
前記カメラ本体を旋回駆動する、旋回駆動モーターを含む旋回部と、
前記カメラ本体および前記旋回部の周囲温度を制御するヒーターと、
前記旋回部を外部からの指示に従い駆動制御する旋回制御部とを具備し、
前記旋回制御部は、
前記旋回部を駆動制御する指示を外部から受けたとき、前記ヒーターに供給する動作用電源を遮断した後、前記指示に従い前記旋回部を駆動制御し、前記旋回部の駆動終了後、前記ヒーターの電源遮断状態を解除する旋回・加熱協調シーケンス制御手段を具備することを特徴とする旋回カメラ装置。
【請求項2】
前記カメラ本体は、同カメラ本体の撮像窓部にデフロスタガラスを有し、前記旋回・加熱協調シーケンス制御手段は、前記ヒーターに供給する動作用電源の遮断および遮断解除に同期して前記デフロスタガラスを動作停止および停止解除することを特徴とする請求項1に記載の旋回カメラ装置。
【請求項3】
前記カメラ本体は、同カメラ本体の撮像窓部にデフロスタガラスおよびワイパーを有し、前記旋回・加熱協調シーケンス制御手段は、前記ヒーターに供給する動作用電源の遮断および遮断解除に同期して前記デフロスタガラスおよびワイパーを動作停止および停止解除することを特徴とする請求項1に記載の旋回カメラ装置。
【請求項4】
筐体を別にする、カメラ部と、前記カメラ部を旋回駆動する旋回部と、前記旋回部を支承する台座部とを具備し、
前記カメラ部は、デフロスタガラスを有する撮像カメラ本体と、筐体内の温度を制御するヒーターとを具備し、
前記旋回部は、水平旋回モーターおよび垂直旋回モーターを備えた旋回駆動部と、外部と通信を行う通信手段を備え、受信した指示に従い前記水平旋回モーターおよび垂直旋回モーターを駆動制御する旋回制御部と、筐体内の温度を制御するヒーターとを具備し、
前記台座部は、前記カメラ部および前記旋回部に動作用電源を供給制御する電源部と、筐体内の温度を制御するヒーターとを具備し、
前記旋回制御部は、受信した旋回駆動の指示をもとに、前記各筐体毎に設けられた前記各ヒーターに供給する動作用電源を遮断制御するヒーター電源遮断制御手段と、
前記各ヒーターの電源遮断に同期して前記受信した指示に従い前記旋回駆動部を駆動制御する旋回駆動制御手段と、
前記旋回駆動部の駆動終了に同期して前記各ヒーターの電源遮断状態を解除するヒーター電源遮断解除制御手段と
を備えた旋回・加熱協調シーケンス制御手段を具備することを特徴とする旋回カメラ装置。
【請求項5】
前記旋回・加熱協調シーケンス制御手段は、前記ヒーターの電源遮断および遮断解除に同期して前記デフロスタガラスを電源遮断および遮断解除することを特徴とする請求項3に記載の旋回カメラ装置。
【請求項6】
前記旋回制御部は、外部から電力制御有効または電力制御無効を示す動作モードの指示を受けて当該指示された動作モードを保持する手段と、
前記保持した動作モードが電力制御有効を示す動作モードであるとき、前記旋回・加熱協調シーケンス制御手段を有効にし、前記保持した動作モードが電力制御無効を示す動作モードであるとき、前記旋回・加熱協調シーケンス制御手段を無効にして前記各ヒーターに常時動作用電源を供給する制御手段をさらに具備したことを特徴とする請求項3に記載の旋回カメラ装置。
【請求項7】
前記ヒーターは、周囲温度を検知して前記ヒーターに動作電源を供給制御するサーモスイッチを具備していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の旋回カメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−199709(P2011−199709A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65690(P2010−65690)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000220620)東芝テリー株式会社 (116)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】