説明

旋回作業車

【課題】キャビンに内装した空気調和装置の外気取込部に清浄な外気を取り込む。
【解決手段】旋回台上に運転操作部を覆うキャビンを備え、該キャビンの側方に掘削作業装置4の基部を配置可能とする旋回作業車において、前記キャビン内に空気調和装置40を設け、該キャビン前部の前記掘削作業装置4の基部側方に、該空気調和装置40に備えたエアコンユニット41の外気取込部41aに外部から外気を導入するための外気導入口46aを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回台上に運転操作部を覆うキャビンを備えた旋回作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、旋回台上に運転操作部を覆うキャビンを備え、該キャビン内に空気調和装置を設けた旋回作業車は公知となっている。このような旋回作業車において、空気調和装置はキャビン内に設置された運転席の下方付近に配置され、外気を外気取入れ口から取り込んで、冷却または加温して調和した後、キャビン内に送出して空調を行うようになっていた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−273055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前述のような旋回作業車では、外気取入れ口が旋回台の外周部に取り付けられたカバー体に設けられていたため、車体の外側方から外気を取り入れることになり、外気とともに塵埃などを取り込みやすくなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、旋回台上に運転操作部を覆うキャビンを備え、該キャビンの側方に旋回台に支持した作業装置の基部を配置可能とした旋回作業車において、前記キャビン内に空気調和装置を設け、該キャビン前部の前記作業装置の基部側方に、該空気調和装置の外気取込部に外気を導入するための外気導入口を設けたものである。
【0006】
請求項2においては、前記外気導入口の近傍に前記空気調和装置を配置して、該外気導入口と空気調和装置の外気取込部とを外気導入ダクトで連通し、該外気導入ダクトを前記キャビンの側壁に沿わせて配置したものである。
【0007】
請求項3においては、前記外気導入口から取り込んだ外気を調和して送出する吹出口を、前記キャビン内で運転席の前方に設置したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0009】
請求項1においては、掘削作業装置の基部やキャビンなどで囲まれたスペースから外気を外気導入口に導入することが可能となる。したがって、外気導入口に車体から排出される排風や、塵埃などが導入され難くなり、空気調和装置の外気取込部に清浄な外気を取り込むことができる。
【0010】
請求項2においては、外気導入口から導入する外気をキャビン内の空気調和装置の外気取込部に簡単な構造で取り込むことが可能となる。また、外気導入ダクトの短縮化を図ることができる。
【0011】
請求項3においては、運転席に着座するオペレータに空気調和した外気を効率良く送り、キャビン内を速やかに快適にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施例に係る旋回作業車の全体的な構成を示した側面図、図2は運転操作部付近の構成を示した左前方斜視図、図3は空気調和装置付近の構成を示した左前方斜視図、図4は空気調和装置付近の構成を示した右前方斜視図、図5は空気調和装置付近の構成を示した平面断面図である。
【0014】
まず、本発明の一実施例に係る旋回作業車1の概略構成について説明する。
【0015】
図1、図2に示すように、旋回作業車1は、クローラ式走行装置2と、該クローラ式走行装置2の上部中央に左右旋回可能に支持される旋回体3と、該旋回体3の前部左右中央に装着される掘削作業装置4とを備えて構成されている。クローラ式走行装置2では、前後一側に排土装置6が上下回動可能に取り付けられて、該排土装置6により掘削作業に伴う整地作業を行うことができるようになっている。
【0016】
旋回体3では、旋回台7後部にエンジン8が設けられ、その後方および左右両側方からボンネット11で覆われている。旋回台7の左側前部から後部にかけては支持台12が設けられ、該支持台12の下方に前記エンジン8や油圧ポンプなどが配置される一方、該支持台12の上方に運転操作部30が運転席31や各種装置の操作具、ステップ35などを備えて構成され、キャビン18で覆われている。
【0017】
掘削作業装置4は、ブーム21と、アーム22と、バケット23とを備えて構成されている。ブーム21と、アーム22と、バケット23とはそれぞれシリンダ24・25・26の一端と連結されて、その伸縮駆動により回動可能とされている。そして、これらの各部材が運転操作部30の操作具の操作で回動するように構成されて、掘削作業装置4にて掘削作業や積込作業などを行うことができるようになっている。
【0018】
次に、前記運転操作部30およびその周辺の構成について説明する。
【0019】
運転操作部30はキャビン18で覆われており、図2に示すように、その内部で旋回台7上に支持された支持台12の後部左右中央に運転席31が設置され、該運転席31の左または右側方に掘削作業装置4の操作レバー32・33などの操作具や操作パネルが配設されている。運転席31の前下方にはステップ35が左右方向に延設され、該ステップ35の前部左右中央に走行レバー36が配設されている。
【0020】
そして、運転席31の右前方、すなわちキャビン18内の右前部に空気調和装置40が操作パネルに設けられた操作具の操作で外気導入と内気循環とを切替可能に配設されている。この空気調和装置40はステップ35の右側方で支持台12上に載置固定され、キャビン18の右側面下部の側壁を構成する外カバー46に取り付けられている。
【0021】
図2から図5に示すように、空気調和装置40は熱交換器や送風機などからなるエアコンユニット41や、外気導入ダクト42や、外気フィルタ43や、内気循環用の部材などを備えて構成されている。エアコンユニット41は、支持台12から立設された固定プレート44の内側面に固定されて、キャビン18内において内カバー45により被装されている。
【0022】
外気導入ダクト42はエアコンユニット41を取り付けた固定プレート44と、キャビン18の側壁となる外カバー46との間に配置されている。この外気導入ダクト42は所定の空気の流れが得られるように、進行方向左側が開放された左右幅が短く上下方向に長い箱体状とされており、固定プレート44に沿って前後方向に延設されて、その開口部側で当該固定プレート44の外側面に固定され、その内側に外気が通る外気通路42aを形成して構成されている。但し、外気導入ダクト42を進行方向右側の面を開放した箱体状として外カバー46に取り付け、該外気導入ダクト42にエアコンユニット41を取り付けるように構成することも可能である。
【0023】
外気導入ダクト42の外気通路42aに面する固定プレート44の後部には、エアコンユニット41の後部外側に設置された外気取込部41aにあわせて開口44aが設けられている。この固定プレート44の開口44aにより外気導入ダクト42の外気通路42aの後部とエアコンユニット41の外気取込部41aとが連通されている。
【0024】
また、外気導入ダクト42の前部外側(前部右側)に開口42bが設けられ、該開口42bの外側の外カバー46に外気導入口46aがこれを構成する複数の長孔を開口42bの位置にあわせて設けられている。この外気導入ダクト42の開口42bと外カバー46の外気導入口46aとにより、該外気導入ダクト42の外気通路42aの前部とキャビン18の右側前下部周辺の外部とが連通されている。但し、前記外気導入口46aは長孔の形状に限定するものではなく、開口部として網などを設ける構成であってもよい。
【0025】
外気フィルタ43は外気用のエアフィルタであり、外気導入ダクト42の開口42bと外カバー46の外気導入口46aとの間に介装されている。すなわち、この外気フィルタ43を介して前述のように外気導入ダクト42の外気通路42aがその前部で開口42bと外カバー46の外気導入口46aとを通じてキャビン18の右側前下部周辺の外部と連通されている。なお、外気フィルタ43は設けない構成とすることも、外気導入ダクト42内に設けることも可能である。
【0026】
こうして、エアコンユニット41の外気取込部41aと外カバー46の外気導入口46aとが外気導入ダクト42を介して連通されて、空気調和装置40の作動により外気が外カバー46の外気導入口46aから外気フィルタ43を経て外気導入ダクト42の開口42bを通じて外気通路42aに導入され、該外気通路42aで後方へ案内された後、エアコンユニット41の外気吸入部41aからその後部に取り込まれるようになっている。
【0027】
そして、エアコンユニット41に取り込まれた外気が当該エアコンユニット41にて冷却または加温されて調和された後、前部に配置された送出部41bからこれを被装する内カバー45の前面、側面もしくは上面の適所に設けられた複数の長孔からなる吹出口45a・45b・45cからキャビン18内に送風されるようになっている。
【0028】
ここで、吹出口45a・45b・45cは回動可能に設けた風向変更部材48で送風方向を調整可能とし、キャビン18内前部から後方へ、つまり後部に設置された運転席31側に空気調和された外気を送風する構成とされている。これにより、キャビン18内で空調を効率良く行って、該キャビン18の快適化を図ることができるようになっている。
【0029】
また、エアコンユニット41及び外気導入ダクト42は左右幅を短くして構成され、キャビン18内の居住空間を大きくとることができるようになっている。
【0030】
このような構成において、キャビン18の右側前下部の側方には、旋回台7の前部左右中央の支持部7aに支持する前記掘削作業装置4、すなわちブーム21の基部を収容可能な広さをもった収容スペース50が設けられている。
【0031】
すなわち、収容スペース50はブーム21を後方へ回動した時にその下部を収容可能とする空間であり、旋回作業車1がアーム22及びバケット23を後方に回動させた状態でブーム21を大きく後方へ回動させた場合に、掘削作業装置4を平面視で旋回台7の旋回内に収めて、所謂、後方超小旋回を行うことができるように設けられている。
【0032】
この収容スペース50は、前記外カバー46と、その側方に配設されたボンネット11の側壁52と、該外カバー46と側壁52の下部および後部の間に湾曲しながら横設されたカバー53とで車体の前部における左右中央に後下方へ凹む凹部を形成して構成されている。
【0033】
そして、前記収容スペース50、もしくは当該収容スペース50に収容されたブーム21の基部を臨むように、前記外カバー46の外気導入口46aが配置されている。
【0034】
こうして、前記空気調和装置40が外気を外気導入口46aから外気導入ダクト42を介して取り込む際に、外気導入口46aが車体前部左右略中央に位置して、該外カバー46とボンネット11の側壁52とカバー53とブーム21とで囲まれ、外気を車体後部のボンネット11から排出される排風などからの影響を受け難く、塵埃なども入り込み難い当該収容スペース50から導入することができるようになっている。
【0035】
なお、カバー53は後方のボンネット11に連続して設けられており、その一部に透明な開閉窓55を付設した開口部を備えて構成されている。これにより、カバー53の開閉窓55を閉じたまま、ボンネット11内を視認することができ、さらにその開閉窓55を開くことにより開口部からボンネット11内のエンジン8等のメンテナンスを簡単に行うことができるようになっている。
【0036】
以上のように、旋回台7上に運転操作部30を覆うキャビン18を備え、該キャビン18の側方に掘削作業装置4の基部を配置可能とする旋回作業車1において、前記キャビン18内に空気調和装置40を設け、該キャビン18前部の前記掘削作業装置4の基部側方に、該空気調和装置40に備えたエアコンユニット41の外気取込部41aに外部から外気を導入するための外気導入口46aを設けたことにより、掘削作業装置4の基部やキャビン18などで側方を囲まれた収容スペース50から外気を外気導入口46aに導入することが可能となる。したがって、外気導入口46aに車体から排出される排風や、塵埃などが導入され難くなり、空気調和装置40のエアコンユニット41の外気取込部41aに清浄な外気を取り込むことができる。
【0037】
また、前記旋回作業車1において、前記外気導入口46aの近傍に前記空気調和装置40を配置して、該外気導入口46aと空気調和装置40のエアコンユニット41の外気取込部41aとを外気導入ダクト42で連通し、該外気導入ダクト42を前記キャビン18の側壁となる外カバー46に沿わせて配置したことにより、該外気導入口46aから導入する外気をキャビン18内の空気調和装置40のエアコンユニット41の外気取込部41aに簡単な構造で取り込むことが可能となる。また、外気導入ダクト42の短縮化を図ることができる。
【0038】
また、前記旋回作業車1において、前記外気導入口46aから取り込んだ外気を調和して送出する吹出口45a・45b・45cを、前記キャビン18内で運転席31の前方に設置したことにより、該運転席31に着座するオペレータに空気調和した外気を効率良く送り、キャビン18内を速やかに快適にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例に係る旋回作業車の全体的な構成を示した側面図。
【図2】運転操作部付近の構成を示した左前方斜視図。
【図3】空気調和装置付近の構成を示した左前方斜視図。
【図4】空気調和装置付近の構成を示した右前方斜視図。
【図5】空気調和装置付近の構成を示した平面断面図。
【符号の説明】
【0040】
1 旋回作業車
4 掘削作業装置
7 旋回台
18 キャビン
30 運転操作部
31 運転席
40 空気調和装置
41a 外気取込部
42 外気導入ダクト
45a 吹出口
45b 吹出口
45c 吹出口
46 外カバー(キャビン18の側壁)
46a 外気導入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回台上に運転操作部を覆うキャビンを備え、該キャビンの側方に旋回台に支持した作業装置の基部を配置可能とした旋回作業車において、前記キャビン内に空気調和装置を設け、該キャビン前部の前記作業装置の基部側方に、該空気調和装置の外気取込部に外気を導入するための外気導入口を設けたことを特徴とする旋回作業車。
【請求項2】
前記外気導入口の近傍に前記空気調和装置を配置して、該外気導入口と空気調和装置の外気取込部とを外気導入ダクトで連通し、該外気導入ダクトを前記キャビンの側壁に沿わせて配置したことを特徴とする請求項1に記載の旋回作業車。
【請求項3】
前記外気導入口から取り込んだ外気を調和して送出する吹出口を、前記キャビン内で運転席の前方に設置したことを特徴とする請求項1また請求項2に記載の旋回作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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