説明

旋回流型マイクロバブル発生装置および圧力遮断用ノズル

【課題】音波の発生に伴う騒音、水中放出時の放出流体の再吸い込み、旋回流中心における低圧部生成による溶解気体の再気泡化などを有効に防止することができる旋回流型マイクロバブル発生装置を提供する。
【解決手段】旋回流型マイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの下流側の端面P1側に、この渦崩壊用ノズル4と同軸に、かつ渦崩壊部4bと対向して圧力遮断用ノズル21を設置する。渦崩壊部4bは噴出口Qを有する。渦崩壊部4bの端面P1と圧力遮断用ノズル21の端面P2との間に間隙22を形成し、この間隙22の間隔を渦崩壊用ノズル4および圧力遮断用ノズル21の中心軸から放射方向に直線的に徐々に増加させる。圧力遮断用ノズル21のうちの噴出口Qと対向する部分は、この噴出口Qから出てくる旋回流の中心部の低圧部をこの圧力遮断用ノズル21の下流側と遮断し、かつ渦崩壊部4bに貫入しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、旋回流型マイクロバブル発生装置および圧力遮断用ノズルに関し、マイクロバブルを利用した各種の処理に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロバブルは、発生時において気泡径が一般に10〜数10μmである微細気泡であり、水中で普通に発生する直径数mm程度の気泡と比べると極めて小さい。マイクロバブルは、このように極端に小さいため、微細なゴミを吸着して水面に浮上させる性質を持ち、水産物の洗浄や水質浄化などに応用されている。
【0003】
従来、このマイクロバブルの発生装置としては、旋回流型マイクロバブル発生装置が多く用いられている。しかしながら、この旋回流型マイクロバブル発生装置は、1)音波の発生に伴う騒音、2)水中放出時の放出流体の再吸い込み、3)旋回流の中心における低圧部生成による溶解気体の再気泡化などの多く課題を有している。1)の音波の発生は、旋回流型マイクロバブル発生装置を民生品または水質改善に使用する際の騒音問題を引き起こす。ここで、旋回流型マイクロバブル発生装置から発せられる音波は、旋回周波数と装置内部に形成される気柱の固有周波数との2種類の周波数の振動が存在することが知られている。2)はマイクロバブルによるフロックの泡沫浮上分離時に放出流体を再吸い込みすることでフロックが破壊され液中に分散される。3)は溶存気体の溶解度の上昇が阻止される。
【0004】
従来、旋回流生成用の円錐形スペースの旋回気液導出口にバッフル板(邪魔板)を設置した旋回式微細気泡発生装置が知られている(特許文献1参照。)。これによれば、微細気泡の生成および拡散を促進することができるとされている。
【0005】
また、旋回流のノズル出口に隆起部を備えたキャップを設置した微細気泡発生器およびそれを備えた微細気泡発生装置が知られている(特許文献2参照。)。これによれば、混合流体内を減圧することができ、微細気泡を効率的に発生させることができ、噴出量と旋回数とを増加させることができるとされている。特許文献2には、キャップ部とノズルとの距離は噴出孔、気体の容積、ポンプの吐出圧などによることも記載されている。
【0006】
また、旋回流の旋回を利用してこの旋回流にせん断力を作用させる気泡発生手段として旋回流のノズル出口に下流部に格子を設置した気泡発生装置が知られている(特許文献3参照。)。これによれば、旋回流に大きなせん断を働かせることができることが記載されている。
なお、渦崩壊現象を利用した旋回流型マイクロバブル発生装置が提案されている(例えば、特許文献4参照。)
【0007】
【特許文献1】特開2003−205228号公報
【特許文献2】国際公開第01/097958号パンフレット
【特許文献3】特開2005−169286号公報
【特許文献4】国際公開第06/075452号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1〜3に記載された技術では、上記の1)〜3)の課題を解決することはできない。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、音波の発生に伴う騒音、水中放出時の放出流体の再吸い込み、旋回流中心における低圧部生成による溶解気体の再気泡化などを有効に防止することができる旋回流型マイクロバブル発生装置およびこれに用いて好適な圧力遮断ノズルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第1の発明は、
マイクロバブルの噴出口を有する第1のノズルの下流側の端面側にこの第1のノズルと対向し、かつ同軸に設けられた圧力遮断用の第2のノズルを有し、
上記第1のノズルの下流側の端面と上記第2のノズルの上流側の端面との間には間隙が形成され、
上記間隙の間隔は上記第1のノズルおよび上記第2のノズルの中心軸から放射方向に増大し、
上記第2のノズルのうちの上記噴出口と対向する部分は上記噴出口から出てくる旋回流の中心部の低圧部を上記第2のノズルの下流側と遮断するように構成され、
上記第2のノズルのうちの上記噴出口と対向する部分は上記噴出口に貫入していないことを特徴とする旋回流型マイクロバブル発生装置である。
【0010】
この旋回流型マイクロバブル発生装置においては、第1のノズルの噴出口から噴出されたマイクロバブルは、第1のノズルの下流側の端面と第2のノズルの上流側の端面との間の間隙を通って外部に向かうように構成されている。気柱内圧力の極小化、言い換えると吸い込み圧力の極大化の観点からは、第1のノズルの下流側の端面の頂角をθVB、第2のノズルの上流側の端面の頂角をθSUとしたとき、θSU≦θVBであることが好ましく、Δθ≡θVB−θSU=0°〜20°であることがより好ましい。これに加えて、気柱内圧力の極小化、言い換えると吸い込み圧力の極大化の観点から、第1のノズルの下流側の端面における噴出口の直径をDe 、第1のノズルおよび第2のノズルの中心軸上における第1のノズルと第2のノズルとの間隔をtとしたとき、tがほぼDe /4であることが好ましい。第1のノズルの噴出口は典型的には円筒形状であり、この場合はこの円筒形状の噴出口の全長にわたって直径De は一定であるが、これに限定されるものではなく、必要に応じて、噴出口の長さ方向で直径De を変化させてもよい。
【0011】
典型的には、第1のノズルおよび第2のノズルは、典型的には円筒形状の管(パイプ)の内部に収容されており、第1のノズルの噴出口から噴出されたマイクロバブルは上記の間隙を通り、さらに上記の管と第2のノズルの外周面にこの第2のノズルの中心軸に平行に設けられた複数の溝との間の空間を通って外部に放出されるように構成される。あるいは、第2のノズルの外周面に溝を形成する代わりに、この第2のノズルの内部のこの第2のノズルの外周面に近接する部分に、この第2のノズルの中心軸に平行な複数の孔を設けてもよい。あるいは、第1のノズルおよび第2のノズルは、管の内部に収容されており、第2のノズルは下流側にすぼまった形状を有し、かつ第2のノズルの内部には上記の管の内壁に隣接する部分の上記の間隙と第2のノズルの下流側の端面との間を連通し、かつ第2のノズルの下流側の端面で互いに合流する複数の孔が設けられており、上記の噴出口から噴出されたマイクロバブルは上記の間隙を通り、さらに第2のノズルの上記の複数の孔を通って外部に放出されるように構成される。これらの溝または孔のアスペクト比(長さ/内径)は1より大きいことが好ましい。
【0012】
典型的には、第1のノズルは上流側から下流側に向かって順次縮流部および渦崩壊部を有する渦崩壊用ノズルである。ここで、渦崩壊とは、渦の構造が急激に変化する現象であり、スパイラル型(デルタ翼の場合などに発生する型)、バブル型(円管内流れの場合などに発生する型)の二つの顕著な型を有する。また、典型的には、第1のノズルの上流側に旋回流発生用の翼型の第3のノズルを有する。この場合、典型的には、この第3のノズルの上流側の入口に液体を供給することにより旋回流を発生させるとともに、この旋回流の中心に気体を導入し、この中心に気体が導入された旋回流を第1のノズルの縮流部に供給することにより渦崩壊部からマイクロバブルを発生させる。この第3のノズルは、典型的には、旋回流発生用翼体を円筒形状の管(パイプ)の内部に収容したもの(あるいは、旋回流発生用翼体の外側を管により覆ったもの)である。旋回流発生用翼体は、典型的には、円柱状の本体の一端部を流線形(典型的には、この本体の中心軸を回転軸とする回転体状(例えば、半球状))に成形し、本体の外周面の長手方向に複数の翼をそれらの後部が彎曲するように設け、この本体の他端部に気体の噴射孔を設けたものである。また、この旋回流発生用翼体は、典型的には、この本体の外周面に設けられた給気孔とこの本体の他端部に設けられた噴射孔とを有し、旋回流発生用翼体の翼の枚数は必要に応じて選ぶことができる。渦崩壊用ノズルにおいては、典型的には、縮流部は渦崩壊部に向かって断面積が徐々に減少しており(あるいは、縮流部は渦崩壊部に向かってすぼまっており)、渦崩壊部との境界部(あるいは接続部)において渦崩壊部と同一の断面形状を有する。好適には、渦崩壊部は円筒形状を有する第1の部分と出口に向かって広がった形状の第2の部分とを有し、第1の部分の内周面と第2の部分の端面とがなす角度をθ0 としたとき、0度<θ0 <180度あるいは90度<θ0 <180度、例えば100度程度である。渦崩壊部が円筒形状を有する第1の部分と出口に向かって広がった形状の第2の部分とを有する場合、第1の部分の内周面と第2の部分の端面とは滑らかに繋がっていることが望ましい。こうすることで、渦崩壊用ノズルの噴き出し面である第2の部分の端面に旋回流を付着させることができる。
【0013】
マイクロバブルを発生させる液体は、基本的にはどのようなものであってもよいが、具体的には、例えば、水(温水を含む)、各種の有機溶剤(アルコール、アセトン、トルエンなど)、石油、ガソリンなどの液体燃料などである。
旋回流の中心に供給する気体は、基本的にはどのようなものであってもよいが、具体的には、例えば、空気、酸素、オゾン、水素、アルゴンなどである。
【0014】
第2の発明は、
旋回流型マイクロバブル発生装置のマイクロバブルの噴出口を有するノズルの下流側の端面側にこのノズルと対向し、かつ同軸に設けられる圧力遮断用ノズルであって、
上記噴出口を有する上記ノズルの下流側の端面と上記圧力遮断用ノズルの上流側の端面との間には間隙が形成され、
上記間隙の間隔は上記噴出口を有する上記ノズルおよび上記圧力遮断用ノズルの中心軸から放射方向に増大し、
上記圧力遮断用ノズルのうちの上記噴出口と対向する部分は上記噴出口から出てくる旋回流の中心部の低圧部を上記第2のノズルの下流側と遮断するように構成され、
上記圧力遮断用ノズルのうちの上記噴出口と対向する部分は上記噴出口に貫入しないように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
この第2の発明において、マイクロバブルの噴出口を有するノズルおよび圧力遮断用ノズルは、それぞれ第1の発明における第1のノズルおよび第2のノズルに対応する。
この第2の発明においては、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、音波の発生に伴う騒音、水中放出時の放出流体の再吸い込み、旋回流中心における低圧部生成による溶解気体の再気泡化などを有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置について図面を参照しながら説明する。
まず、この実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の基礎となる旋回流型マイクロバブル発生装置について説明する(特許文献4参照。)。
第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置においては、マイクロバブルを発生させるために、パイプ中心部を閉塞させ円周方向の流速を大きくすることでパイプ内を流れる水などの液体から強い旋回流を発生するタービン翼型ノズルと、主流に比べて循環が卓越する流れを小さい流れに遷移させる渦崩壊用ノズルとを直列に配置する。
【0018】
図1は第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置1の本体、図2〜図4はこの旋回流型マイクロバブル発生装置1のタービン翼型ノズルの翼体、図5はこのタービン翼型ノズルの翼体の一つの翼の展開図、図6はこのマイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル、図7はこの旋回流型マイクロバブル発生装置1の給気装置を示す。
【0019】
図1〜図7に示すように、この旋回流型マイクロバブル発生装置1は、円筒状のパイプ2の内部に互いに同軸に直列結合されたタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4を収容したものと給気装置5とからなる。タービン翼型ノズル3は、円柱状の本体3aの前方aを半球状に成形し、この本体3aの外周面bの長手方向に複数の翼3bをそれらの後方cが彎曲するように設け、背面dに噴射孔3fを設けた翼体の外側をパイプ2により管状に覆ったものである。渦崩壊用ノズル4は、パイプ2の先端部eに配置されている。渦崩壊用ノズル4は、テーパー状に成形した縮流部4aに管状の渦崩壊部4bを連接したものである。給気装置5は、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの圧力差を検出し、タービン翼型ノズル3に供給する気体5l(図7参照)の量を調整するものである。パイプ2においては、入口2a、タービン翼型ノズル3、渦流部2b、渦崩壊用ノズル4の順に液体6が流れる。パイプ2は既存の設備に接続できるように様々なサイズに対応可能である。
【0020】
この旋回流型マイクロバブル発生装置1では、パイプ2の入口2aに、マイクロバブルを発生させようとする水などの液体6を流し、タービン翼型ノズル3により水流などの液体流6aを円周方向fに向けるとともに気柱6bを噴出させ、渦崩壊用ノズル4で縮流して渦崩壊させることを特徴とする。より詳細には、パイプ2の入口2aから入った液体6は、タービン翼型ノズル3によって中心部が閉塞されるため、流速の増した液体流6aとなる。液体流6aは、タービン翼型ノズル3の外周面bに存在する溝3dに沿って流れ、タービン翼型ノズル3の円周方向fに向きを変えられることにより旋回流6cとなって渦流部2bを進む。渦流部2bでは、タービン翼型ノズル3の噴射孔3fから放出された気柱6bが旋回流6cとともに螺旋状に流れる。渦崩壊用ノズル4に入ると、旋回流6cは縮流され、循環に比べて流れが卓越することで渦崩壊が起きる。この渦崩壊により大きな気泡が細かく潰され、マイクロバブル6dとなって渦崩壊用ノズル4の出口から放出される。ここで、渦崩壊用ノズル4の最小断面、すなわち渦崩壊部4bの断面における旋回流6cの回転周波数fe は、縮流部4aにおいて循環が保存されるとすると、渦流部2bにおける旋回流6cの回転周波数をf、パイプ2の内径をD、渦崩壊部4bの内径をDe としたとき、fe =(D/De 2 fとなる。
【0021】
タービン翼型ノズル3は、水流などの液体流6aを螺旋状の旋回流6cに変換するとともに気柱6bを放出する器具であり、パイプ2の内部に、本体3aの外周面b上に複数の翼3bを設けた翼体が固定されている。タービン翼型ノズル3は回転させる必要はなく、動力は不要である。なお、気柱6bとは、空気などの気体5lを勢い良く柱状に噴射させた気泡のことである。
本体3aは円柱状(縦断面は長方形状)であり、前方aは半球状部3c(縦断面は半円状)と連接しており、背面dの中央に噴射孔3fを有する。
【0022】
翼3bは、半球状部3cの頂部3uから本体3aの背面端3vにかけて、本体3aの外周面b上を縦断するように設けた部材であり、液体流6aの向きを本体3aの円周方向fに変えるために、背面端3vに向かうにつれて湾曲している。半球状部3cにおける翼3bも全体としては半球状に成形される。ただし、半球状部3cにおける翼3bは必要に応じて省略することが可能である。翼3bは本体3aから突起状に出ているため、隣り合う翼3bと翼3bとの間には溝3dが存在する。
【0023】
半球状部3cは、パイプ2の入口2aから入ってきた液体6がスムーズに溝3dに流れ込むように丸めてある箇所である。パイプ2は、タービン翼型ノズル3から放出される円周方向fの噴流から角運動量の大きな流体を生成するために必要である。
溝3dは、翼3bにより仕切られた液体6の流れる通路である。翼3bが湾曲していることから、水平方向(パイプ2の中心軸方向)に流れていた液体流6aが、徐々に垂直方向に曲げられ、螺旋状の旋回流6aとなってタービン翼型ノズル3から出ていく。
噴射孔3fは、マイクロバブルの基となる気柱6bを放出する孔である。気柱6bは、本体3aの外周面bに設けられた給気孔3eから気体5lを供給することにより生成される。噴射孔3fから出た気柱6bは、旋回流6cとともに流れていく。
【0024】
翼3bは、液体6の流れを等分に分割するため、同じ形状のものを等間隔に配置する。翼間隔3gは翼3bを配置する間隔であり、この場合、翼数が6枚であるので翼間隔3gは60度であるが、これに限定されるものではない。
翼角3hは半球状部3cにおける翼3bの大きさを決めるもので、中心から一定の角度を持って延びていき、本体3aに至ってからは、同じ幅を維持して延びる。なお、翼角3hは、大き過ぎると液体6の通り道が狭くなるので、例えば15度程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
液体6の通り道となる溝3dの溝深さ3nは溝3dの深さであり、翼3bの高さでもある。なお、溝深さ3nは、タービン翼型ノズル3のサイズにより適切な深さに調整することができる。
【0025】
ノズル長3iはタービン翼型ノズル3の全体の長さであり、本体3aの長さである翼長3kと半球状部3cの半径である外半径3lとの和に等しい。なお、タービン翼型ノズル3の大きさは、パイプ2の大きさが異なれば、適切な大きさも異なる。
ノズル径3jは、タービン翼型ノズル3の直径である。ノズル径3jは、翼3bの部分を含めた本体3aの直径でもあり、また、本体3aに連接することから、半球状部3cの直径でもある。
【0026】
翼3bは後方cが湾曲しているため、翼3b自体の長さは翼長3kよりも長くなる。また、半球状部3cにおける翼3bに関しては、翼長3kには含めないものとする。
外半径3lは半球状部3cの翼3bの部分を含めた全体の半径であり、半球状部3cの頂部3uから本体3aまで垂直に下りた長さでもある。なお、隣り合う翼3bと翼3bとの間には溝3dが存在するため、外半径3lは、溝3dを埋めたものと考えた場合の半径を意味する。
【0027】
内半径3mは、半球状部3cの翼3bを除いた本体3aと連接される部分の半径である。内半径3mは、外半径3lとの差である溝深さ3nの分だけ出た位置から球状にしているため、内半径3mの頂部3uは外半径3lの頂部3uと一致する。
孔距離3oは、噴射孔3fのあるタービン翼型ノズル3の背面端3vから給気孔3eの位置までの距離であり、例えば、翼長3kの半分の位置が好ましいが、これに限定されるものではない。また、給気孔3eは、液体6が通らない翼3b上に設けることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0028】
給気孔3eと噴射孔3fとはタービン翼型ノズル3の内部で繋がっており、タービン翼型ノズル3の外周面bに設けられた給気孔3eから供給された気体5lが、タービン翼型ノズル3の背面dの中央に設けられた噴射孔3fから放出される。
孔内径3pは、給気孔3eおよび噴射孔3fの直径である。孔内径3pの大きさは、噴射孔3fから出る気柱6bの量に影響を与えるため、適切なサイズに調整する必要があり、供給する気体5lの流量に応じて決められる。一例を挙げると、孔内径3pは2mm程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0029】
図5は、タービン翼型ノズル3の一つの翼3bの形状を示す展開図であり、翼3bを湾曲させた様子をグラフ上で示したものである。グラフの横軸は翼端(翼の先端)からの流れ方向にとった距離、縦軸は周方向の距離を示す。翼3bが描く曲線は、0から翼長3kまでの範囲に存在する。なお、距離3qは、翼端からの距離が0と翼長3kとの間の任意の値とし、距離3rは、翼端からの距離が翼長3kの場合の値とする。
【0030】
勾配3sは距離3qにおける傾きであり、距離3qが0の場合は勾配3sも0度であるが、距離3qが増えるにつれて勾配3sも大きくなっていく。翼3bの勾配3sは、距離3qが0では液体流6aが流れに沿うこと、距離3rでは液体流6aを円周方向fに向かわせることが必要であるため付けたものである。勾配3sにより液体流6aを旋回流6cにすることができるが、翼3bにより円周方向fの流れが主流方向の流れに比べて大きくなり、結果として渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bで渦崩壊を引き起こすためには、翼3bの終端における勾配3tが、およそ55〜60度より大きくなる必要がある。具体的には、例えば、翼3bが本体3aの円周方向fとなす角度は5〜9度(あるいは5〜6度)、すなわち、距離3rにおける勾配3tは81〜85度(あるいは84〜85度)であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0031】
渦崩壊用ノズル4は、旋回流6cとともにパイプ2の渦流部2bを流れてきた気柱6bを渦崩壊させてマイクロバブル6dを発生させる器具であり、パイプ2の端に一体的に連接する。渦崩壊用ノズル4は縮流部4aと渦崩壊部4bとからなる。縮流部4aは、テーパー状に細くなる管であり、広い側はパイプ2の渦流部2bに連接され、狭い側は渦崩壊部4bに連接される。縮流部4aの細くなる角度(テーパー角)4eは、パイプ2などの大きさに依存し、必要に応じて選ばれる。この角度4eの一例を挙げると約20度であるが、これに限定されるものではない。渦崩壊部4bは、パイプ2の渦流部2bよりも細い円筒状の管であり、一端は縮流部4aの狭い側に連接され、他端が出口となる。渦崩壊部4bの内径4fもパイプ2の大きさなどに依存し、必要に応じて選ばれる。この内径4fは例えば0.5〜1.5cmであるが、これに限定されるものではない。
【0032】
パイプ2内を流れる液体6は、渦流部2bから縮流部4aの広い側に入り、縮流部4aの径が細くなっていくことで流速を増しながら渦崩壊部4bへと至る。液体6とともに流れてきた気柱6bは、渦崩壊部4bにおいて細かくされ、マイクロバブル6dとして渦崩壊用ノズル4の出口から放出される。
渦崩壊用ノズル4の渦崩壊が発生するノズル径の最小値、すなわち臨界ノズル径は次のようにして求められる。
【0033】
詳細は省略するが、タービン翼型ノズル3の翼3bによって生成される旋回流6cの回転周波数fはCassidy et. al., J. Fluid Mech., V.41, pp.727-736, 1970 による方法により求められ、fとfe との間にはfe =(D/De 2 fの関係が成り立つから、
【数1】

と表される。ここで、R=D/2(=図4に示す外半径3l)、Qはパイプ2に供給される液体6の流量、ρは液体6の密度、ε=re /R(ただし、re =De /2)、δ=h/R(hは図4に示す溝深さ3nと等しい)、κ=Nv Δθ/2π(ただし、Nv は翼3bの枚数、Δθ(rad.)は溝3dの角度(溝角))、θf は図5に示す勾配3tと等しく、α0 、α1 は定数でα0 =0.4、α1 =1である。
【0034】
渦崩壊用ノズル4の縮流部4aにおけるサーキュレーション数Γe
【数2】

である。ただし、ue は渦崩壊用ノズル4の出口における流速、ωe は渦崩壊部4bの断面における旋回流6cの回転角周波数である。この(2)式に(1)式のfe を代入すると、Γe
【数3】

と求められる(Cassidy et. al., J. Fluid Mech., V.41, pp.727-736, 1970 を参照。)

【0035】
図8に、ε=1.5/4.0であるときの渦崩壊前のサーキュレーション数Γe のθf に対する変化をδを0.4/2、0.9/2と変えて求めた結果を示す。ただし、図8におけるΓcrは臨界サーキュレーション数でΓcr=2.0である(本旋回流型マイクロバブル発生装置ではΓcr≒2.0、より一般的な旋回流発生装置の場合の平均的な値はΓcr≒1/0.65(例えば、Spall et. al., Phys. Fluid, 30(11), pp.3434-3440, 1987)。図8に示すように、溝3dの深さ、すなわち溝深さ3n=hが大きくなるにしたがって、軸方向運動量に対する円周方向の運動量が相対的に小さくなり、結果として溝深さ3n=h、したがってδが大きいほどサーキュレーション数Γe は減少する。このため、溝深さ3n=hが大きくなると渦崩壊は起こりにくくなる。
【0036】
溝深さ3n=hおよびθf を与えたとき、渦崩壊が発生するノズル半径の最小値、すなわち臨界ノズル半径εcr(臨界半径をrecr とするとεcr=recr /R)は、Γe =Γcrとおくことにより下記のように得られる。したがって、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4をε>εcrを満たすように設計することにより、渦崩壊用ノズル4で渦崩壊を起こさせることができる。
【数4】

【0037】
図9に、渦崩壊の閾値をΓcr=2.0としたときの渦崩壊用ノズル4のε=re /Rのδ=h/Rに対する変化を、θf を50度、60度、70度、80度、84度と変えて求めた結果を示す。ただし、κ=3/4とした。図9中の○、×はそれぞれ、θf =84度として実験を行ったときに渦崩壊が生じた場合、生じなかった場合を示す。詳細は省略するが、旋回流6cによる分級効果によって、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bで放出されるマイクロバブル6dの径dは
【数5】

と表される。ただし、νw は液体6の動粘性率である。この式においてΓe =O(1)であるから、νw が小さく、fe が大きいほど微細なマイクロバブル6dが生成されることが分かる。
【0038】
パイプ2に液体6を供給するために用いるポンプのパワーを一定としたとき、fe
【数6】

となる。したがって、fe を大きくすることでマイクロバブル6dを生成するには高揚程ポンプ(Rが小さい)が有利である。
【0039】
給気装置5は、旋回流型マイクロバブル発生装置1に気体5lを供給する装置であり、タービン翼型ノズル3の給気孔3eに連結され、噴射孔3fから気柱6bを放出する。圧力検出器4cおよび圧力検出器4dは渦崩壊部4b内の圧力を検出する器具であり、圧力検出器4cは縮流部4aに連接する側に設けられ、圧力検出器4dは出口側に設けられている。これらの圧力検出器4cおよび圧力検出器4dにより圧力差を検知し、気体5lの供給量を自動的に調節する。
【0040】
給気装置5は、シリンダ5aおよびピストン5bなどの部材から構成される。この給気装置5とタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4との接続は、給気孔3eと通気孔5f、圧力検出器4cと高圧力部5j、圧力検出器4dと低圧力部5kとを繋ぐことで行う。シリンダ5aは給気装置5の外枠であり、内部に中空部分を有するほぼ円柱状の形状である。なお、シリンダ5aのサイズの一例を挙げると、長さ約7.0cm、直径約2.6cmであるが、これに限定されるものではない。
【0041】
シリンダ5aの先頭側には、シリンダ5aの側面を貫通する通気孔5fがあり、この通気孔5fの一端は、給気管5iにより給気孔3eに接続され、他端は、開放することで気体5lを取り込むが、特別な気体を使用する場合にはボンベなどを接続する。
また、シリンダ5a内の中空部分は、ピストン5bおよびダイアフラム5mにより高圧力部5jと低圧力部5kとに分けられる。先頭側の高圧力部5jは、圧力検出器4cで検知した圧力となり、背後側の低圧力部5kは、圧力検出器4dで検知した圧力となる。
なお、高圧力部5jおよび低圧力部5kには、それぞれ空気孔5gおよび空気孔5hが設けられる。空気孔5gおよび空気孔5hは、通常は閉じておくが、開放することにより内部の空気を抜くことができる。
【0042】
ピストン5bは、シリンダ5aの内部を往復移動する部材であり、可動部5c、バネ5dおよびストッパー5eなどからなる。ピストン5bが移動することにより、給気孔3eへ供給する気体5lの量を調節する。可動部5cは、シリンダ5a内を前後に動く部分であり、給気孔3eの開閉を行う杭状の前半部と、シリンダ5a内の高圧力部5jと低圧力部5kとを仕切る円柱状の後半部とからなる。可動部5cが最も前に移動した場合は、先端が通気孔5fを突き抜けて気体5lが通らないように塞いでしまい、可動部5cが最も後に移動した場合は、先端が通気孔5fから離れて気体5lを通す。
【0043】
バネ5dは、伸び縮みすることで可動部5cの移動を制御するもので、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力差と連動して可動部5cの位置を調整する。高圧力部5jの圧力が増せばバネ5dが縮んで可動部5cを後方に移動させ、低圧力部5kの圧力が増せばバネ5dが伸びて可動部5cを前方に移動させる。
ストッパー5eは、ピストン5bの端をシリンダ5aの後背部に固定することで、ピストン5bを支えている部材である。ストッパー5eで押さえることで、ピストン5bがシリンダ5a内で安定し、バネ5dの伸縮も有効に働き、可動部5cを移動させることができる。
可動部5cとストッパー5eとはバネ5dにより接続されるが、バネ5dの内側で可動部5cとストッパー5eとをスライド構造にすることにより、バネ5dの部分の安定性を保つとともに、可動範囲を制御する。
【0044】
給気装置5は、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力差を利用してピストン5bを移動させることにより、気体5lの供給を制御する。高圧力部5jおよび低圧力部5kは、圧力検出器4cおよび圧力検出器4dと管5n、5oで接続され、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの圧力を反映させる。具体的には、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの間の部分の渦崩壊部4bで渦崩壊が発生しているときは、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの圧力差が増大し、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力差がバネ5dの反力よりも大きくなると、ピストン5bが右に移動して通気孔5fが開く。
【0045】
なお、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの間の部分の渦崩壊部4bで渦崩壊が発生しない場合は、給気孔3eへの給気量が多く、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの圧力差が小さい場合であり、給気量を制御するために、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力が均衡した際のピストン5bの位置を、通気孔5fが閉まる位置にしておく。
【0046】
図10AおよびBは渦崩壊用ノズル4での渦崩壊を示す図であり、渦崩壊ありの場合(図10A)の渦崩壊用ノズル4および渦崩壊なしの場合(図10B)の渦崩壊用ノズル4の状態を示したものであ。図10Aに示すように、渦崩壊ありの場合には、縮流部4aから来た気柱6bは、渦崩壊部4bの中間付近で渦崩壊し、マイクロバブル6dとなって出て行くため、渦崩壊部4bの出口における圧力は、渦崩壊部4bの入口における圧力よりも小さくなる。
圧力検出器4cにより渦崩壊部4bの入口の圧力を検出し、圧力検出器4dにより渦崩壊部4bの出口の圧力を検出して、渦崩壊部4b内に圧力差があれば、正常に渦崩壊が起きており、このまま給気を行う。
【0047】
渦崩壊なしの場合(図10B)には、縮流部4aから来た気柱6bは、渦崩壊部4b内では渦崩壊せず、マイクロバブル6dとならないため、渦崩壊部4bの出口における圧力は、渦崩壊部4bの入口における圧力とほとんど変わらない。このとき、圧力検出器4cにより渦崩壊部4bの入口の圧力を検出し、圧力検出器4dにより渦崩壊部4bの出口の圧力を検出して、渦崩壊部4b内に圧力差がなければ、給気を抑制し、渦崩壊が起きるように調整する。
このように、給気量が適正でなければ、気柱6bは渦崩壊せずマイクロバブル6dが得られないので、この第1の実施形態では、渦崩壊しているかどうかを渦崩壊部4bの圧力差によって確認し、さらに上述のようにこの圧力差を利用して自動的に給気量を調整することができる。
【0048】
次に、気体5lの給気量(気体流量)Qa とマイクロバブル6dの径dとの関係について説明する。
渦崩壊用ノズル4の前面に張り付いた気柱6bが受ける剪断によって発生する気泡径を Hinzeスケール(圧力による分断作用と表面張力とが釣り合った平衡状態における径dH )に従って算定すると図11に示すようになる。詳細は省略するが、マイクロバブル6dが HinzeスケールdH まで微粒化されるときの気体5lの給気量Qa
【数7】

で与えられる。ここで、d0 は次の式 (8) 〜(10)から算定される。
【数8】

【数9】

【数10】

ただし、
【数11】

である。ここで、γは気体5lと液体6との界面張力係数である。
【0049】
図12、図13および図14は、Γe がそれぞれ=2、3および4のときの給気量Qa を示す。
Hinzeスケールのマイクロバブル6dを生成するときの給気量Qa と液体6の流量Qw との比は次式で表される。
【数12】

【0050】
図15、図16および図17は、Γe がそれぞれ2、3および4のときの給気量Qa と液体6の流量Qw との比をプロットしたものである。図15、図16および図17より、fe >100Hzおよびre <2cmの範囲内では、Qa /Qw はfe およびre にあまり依存しない。このときのQa /Qw を漸近的に計算すると次式のようになる。
【数13】

この式はΓe 〜2.5の実験における値Qa /Qw 〜0.005により検証されている(山田ら、流体力学会年会2005、AM05−24−002)。
【0051】
渦崩壊用ノズル4の出口のエッジでは旋回流6cの剥がれによって音が発生するが、この音は、例えば、このエッジに微細な繊維(例えば、綿状のもの)を貼ったり、渦崩壊用ノズル4の縮流部4aの入り口にその直径方向に針金(例えば、数mm径のもの)を張り渡して上流の気柱6bを乱したりすることで消音することが可能である。
タービン翼型ノズル3の具体例について説明する。図18は、タービン翼型ノズル3の具体例1〜3を示し、タービン翼型ノズル3の形状を示す。翼3bの枚数を6枚とし、翼3bを等間隔に配置することから翼間隔3gは60度となり、翼角3hを15度とすること、勾配3sを84度とすることは具体例1〜3で共通する。
【0052】
具体例1は、半球状部3cの外半径3lを0.85cm、翼長3kを2.03cm、溝深さ3nを0.3cmにした場合である。ノズル長3iは、翼長3kと外半径3lとの合計であることから2.88cmであり、内半径3mは、外半径3lより溝深さ3nの分小さいことから0.55cmとなる。本体3aの円周は、外半径3lが0.85cmであることから5.34cmとなるので、翼幅は、翼角3hが15度であることから0.22cmとなり、溝幅は、翼間隔3gが60度であることから0.89cmとなる。翼3bの円周角は、67.4×(−0.0369+0.780/(2.11−位置))の式で表現することができる。なお、位置は翼端からの距離であり、0から翼長3kの範囲の値である。例えば、位置が0の場合、翼3bの円周角は0度となり、位置が翼長3kの場合、翼3bの円周角は63.2度となる。
【0053】
具体例2は、半球状部3cの外半径3lを1.6cm、翼長3kを3.82cm、溝深さ3nを0.5cmにした場合である。ノズル長3iは、翼長3kと外半径3lとの合計であることから5.42cmであり、内半径3mは、外半径3lより溝深さ3nの分小さいことから1.1cmとなる。本体3aの円周は、外半径3lが1.6cmであることから10.05cmとなるので、翼幅は、翼角3hが15度であることから0.42cmとなり、溝幅は、翼間隔3gが60度であることから1.68cmとなる。翼3bの円周角は、35.8×(−0.0695+0.276/(3.98−位置))の式で表現することができる。なお、位置は翼端からの距離であり、0から翼長3kの範囲の値である。例えば、位置が0の場合、翼3bの円周角は0度となり、位置が翼長3kの場合、翼3bの円周角は59.3度となる。
【0054】
具体例3は、半球状部3cの外半径3lを2.1cm、翼長3kを5.00cm、溝深さ3nを0.5cmにした場合である。ノズル長3iは、翼長3kと外半径3lとの合計であることから7.10cmであり、内半径3mは、外半径3lより溝深さ3nの分小さいことから1.6cmとなる。本体3aの円周は、外半径3lが2.1cmであることから13.19cmとなるので、翼幅は、翼角3hが15度であることから0.55cmとなり、溝幅は、翼間隔3gが60度であることから2.20cmとなる。翼3bの円周角は、27.3×(−0.0912+0.476/(5.22−位置))の式で表すことができる。なお、位置は翼端からの距離であり、0から翼長3kの範囲の値である。例えば、位置が0の場合、翼3bの円周角は−3.3度となり、位置が翼長3kの場合、翼3bの円周角は56.6度となる。
【0055】
図19A、BおよびCは、タービン翼型ノズル3の形状、渦崩壊用ノズル4の形状およびタービン翼型ノズル3から渦崩壊用ノズル4までの間隔の具体例4〜6を示す。タービン翼型ノズル3については、具体例4では具体例1と同様、具体例5では具体例2と同様、具体例6では具体例3と同様である。
具体例4(図19A)は、タービン翼型ノズル3の外半径3lが約0.85cmの場合であり、タービン翼型ノズル3のノズル長は2.88cmである。タービン翼型ノズル3はパイプ2にぴったり収まることから、パイプ2の内径も約0.85cmとなり、渦崩壊用ノズル4の入口側の径も同様に約0.85cmとなる。タービン翼型ノズル3から渦崩壊用ノズル4までの間である渦流部2bの長さを約1.7cmとし、渦崩壊用ノズル4の長さを約2.6cmとすると、タービン翼型ノズル3、渦流部2bおよび渦崩壊用ノズル4の全体の長さは約7.18cmとなる。なお、渦崩壊用ノズル4の形状は、縮流部4aにおける角度4eを20度、出口側の内径4fを0.5cmとすると、入口側の径が0.85cmであることから、渦崩壊部4bなどの長さが定まる。
【0056】
具体例5(図19B)は、タービン翼型ノズル3の外半径3lが約1.6cmの場合であり、タービン翼型ノズル3のノズル長は5.42cmである。タービン翼型ノズル3はパイプ2にぴったり収まることから、パイプ2の内径も約1.6cmとなり、渦崩壊用ノズル4の入口側の径も同様に約1.6cmとなる。タービン翼型ノズル3から渦崩壊用ノズル4までの間である渦流部2bの長さを約3.2cmとし、渦崩壊用ノズル4の長さを約5.0cmとすると、タービン翼型ノズル3、渦流部2bおよび渦崩壊用ノズル4の全体の長さは約13.62cmとなる。なお、渦崩壊用ノズル4の形状は、縮流部4aにおける角度4eを20度、出口側の内径4fを1.0cmとすると、入口側の径が約1.6cmであることから、渦崩壊部4bなどの長さが定まる。
【0057】
具体例6(図19C)は、タービン翼型ノズル3の外半径3lが約2.1cmの場合であり、タービン翼型ノズル3のノズル長は7.10cmである。タービン翼型ノズル3はパイプ2にぴったり収まることから、パイプ2の内径も約2.1cmとなり、渦崩壊用ノズル4の入口側の径も同様に約2.1cmとなる。タービン翼型ノズル3から渦崩壊用ノズル4までの間である渦流部2bの長さを約4.2cmとし、渦崩壊用ノズル4の長さを約7.0cmとすると、タービン翼型ノズル3、渦流部2bおよび渦崩壊用ノズル4の全体の長さは約18.3cmとなる。なお、渦崩壊用ノズル4の形状は、縮流部4aにおける角度4eを20度、出口側の内径4fを1.5cmとすると、入口側の径が約2.1cmであることから、渦崩壊部4bなどの長さが定まる。
具体例4〜6におけるパイプ2の寸法は、マイクロバブル6dを発生させるのに好ましい数値の例であり、パイプ2の大きさに応じて、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の大きさも調整する必要がある。
【0058】
以上のように、この第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置1では、その構成要素であるタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4が直線的に配列しているため、装置の小型化および大型化とも可能であり、現有設備に容易に直結することができる。また、タービン翼型ノズル3の給気孔3eへの気体5lの給気を給気装置5により行っているため、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bにおける圧力変動に応じて給気量を自動的に調節することができ、渦崩壊を安定的に起こさせてマイクロバブル6dを発生させることができる。また、マイクロバブル6dの発生メカニズムが明瞭なため、パイプ2への液体6の供給に用いるポンプの性能に応じてマイクロバブル発生装置1の設計を容易に行うことができる。
【0059】
次に、第2の例による旋回流型マイクロバブル発生装置について説明する。
図20に示すように、この旋回流型マイクロバブル発生装置1においては、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの先端にテーパー部4hを設けて、出口をテーパー状に広げたことを特徴とする。すなわち、第1の例によるマイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル4では、渦崩壊部4bの先端である出口の角度4iが0度であるのに対し、この第2の例によるマイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル4では、渦崩壊部4bの出口の角度(テーパー角)4iを十分に大きくしたテーパー部4hを設けている。この角度4iは、具体的には、例えば60度または80度程度にするが、これに限定されるものではない。
【0060】
第1の例の渦崩壊用ノズル4の場合は、渦流部2bで旋回流6cの中心付近に生じた気柱6bが、縮流部4aで流速が増され、渦崩壊部4bで細かく潰されることにより、マイクロバブル6dが発生するのに対して、この第2の例の渦崩壊用ノズル4の場合は、気柱6bは渦崩壊部4bを通過し、テーパー部4hにおいて、コアンダ効果により気泡となって張り付く。テーパー部4hに張り付いた気泡は、渦流部2bから続く旋回流6cにより剪断または破砕され、マイクロバブル6dが発生する。このようにテーパー部4hに張り付くことにより、気泡が剪断を受ける時間が長くなり、気泡の微粒化が促進される。
なお、コアンダ効果とは、流れの中に物体を置いたときに、置いた物体に沿って流れの向きが変わる流体の性質のことで、旋回流6cが渦崩壊部4bからテーパー部4hに入ってテーパー状に広がることで気柱6bも広がり、気泡がテーパー部4hに張り付く。
【0061】
この第2の例の渦崩壊用ノズル4の寸法は、縮流部4aの入口の内径(=パイプ2の内径2d)、縮流部4aの角度4eおよび渦崩壊部4bの内径4fは、第1の例の渦崩壊用ノズル4と同様であるが、円筒状の渦崩壊部4bの長さ4gについては、内径4fと同程度である。
図21A、BおよびCは、渦崩壊部4bの形状を変えた場合の旋回流型マイクロバブル発生装置1のマイクロバブル6dの発生状況を比較した図である。
【0062】
図21Aに示すように、第1の例の渦崩壊用ノズル4の場合、パイプ2の渦流部2bから縮流部4aに流れてきた気柱6bは、渦崩壊部4bにおいて渦崩壊してマイクロバブル6dが発生するが、直線状の狭い範囲にしか広がらない。
図21Bに示す渦崩壊用ノズル4は、渦崩壊部4bの全体をテーパー部とした場合であるが、このテーパー部において発生したマイクロバブル6dは、図21Aの場合に比べて僅かに範囲が広がる程度である。
図21Cに示す渦崩壊用ノズル4の場合、テーパー部4hに張り付いた気泡を剪断または破砕することによりマイクロバブル6dが発生するので、マイクロバブル6dはテーパー状に非常に広い範囲に広がる。
【0063】
図22AおよびBは二種類の渦崩壊の様子を示す。いずれも渦崩壊用ノズル4の出口のテーパー部4hの急拡部の存在により渦は不安定となり渦崩壊が生じるが、図22Aに示す渦崩壊では、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの最小断面で流れが超臨界(supercritical)となり擾乱が上流に伝播できないのに対し、図22Bに示す渦崩壊では、渦崩壊用ノズル4の全領域で亜臨界(subcritical)となり擾乱は上流に伝播する。
【0064】
この第2の例によれば、第1の例と同様な利点に加えて、次のような利点を得ることができる。すなわち、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの先端にテーパー部4hが設けられていることにより、旋回流6cはこのテーパー部4hに張り付く。このため、マイクロバブル6dの発生効率の向上を図ることができるとともに、テーパー部4hの角度4iの選定によりマイクロバブル6dの噴き出し方向の制御を容易に行うことができる。
【0065】
次に、第3の例による旋回流型マイクロバブル発生装置1について説明する。
図23に示すように、この旋回流型マイクロバブル発生装置1は、第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置1と比べて、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4と給気装置5との接続方法が異なる。具体的には、この旋回流型マイクロバブル発生装置1においては、給気装置5の通気孔5fとタービン翼型ノズル3の給気孔3eとを、給気装置5の高圧力部5jと渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの入口側の圧力検出器4cとを接続し、給気装置5の低圧力部5kと渦崩壊用ノズル4の外側に設けた圧力検出器4dとを接続して給気を自動化したことを特徴とする。圧力検出器4cは、渦崩壊用ノズル4において内部を通過する気柱6bの圧力を検出し、圧力検出器4dは、パイプ2の外部でマイクロバブル6dの圧力を検出する。
なお、給気装置5の通気孔5fの一端とタービン翼型ノズル3の給気孔3eとを給気管5iで繋ぐことは第1の例と同様である。また、通気孔5fの他端は開放して気体51を取り込むが、特別な気体を使用する場合にはボンベなどを接続する。
【0066】
次に、第4の例による旋回流型マイクロバブル発生装置1について説明する。
図24に示すように、この旋回流型マイクロバブル発生装置1は、第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置1と比べて、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4と給気装置5との接続方法が異なる。具体的には、この旋回流型マイクロバブル発生装置1においては、給気装置5の高圧力部5jは、渦崩壊用ノズル4の出口周辺の静水圧に開放した圧力検出器4dに接続し、給気装置5の低圧力部5kは、タービン翼型ノズル3の給気孔3eに設けた圧力検出器4cと接続して給気を自動化したことを特徴とする。圧力検出器4cは、タービン翼型ノズル3において発生する気柱6bの圧力を検出し、圧力検出器4dは、パイプ2の外部でマイクロバブル6dの圧力を検出する。この旋回流型マイクロバブル発生装置1の接続方法は、渦崩壊用ノズル4に圧力検出器を設置する必要がなく簡便である。
【0067】
圧力検出器4cで検出した内部の気柱6bの圧力と圧力検出器4dで検出した外部のマイクロバブル6bの圧力との圧力差が大きいときは、マイクロバブル6bが効率よく発生している状態であり、圧力差が小さいときは、空気量が多過ぎてマイクロバブル6dの発生が少ない状態である。
内部の気柱6bの圧力と外部のマイクロバブル6bの圧力との圧力差が大きい場合は、給気装置5のピストン5bを右に移動させて通気孔5fを開放し、給気孔3eに気体51を供給する。
逆に、内部の気柱6bの圧力と外部のマイクロバブル6dの圧力との圧力差が小さい場合は、給気装置5のピストン5bを左に移動させて通気孔5fを塞いでいき、給気孔3eに供給する気体5lの量を抑制する。
【0068】
次に、第5の例による旋回流型マイクロバブル発生装置1について説明する。
図25に示すように、この旋回流型マイクロバブル発生装置1は、パイプ2を入口2aの内径2dを細くした拡大管11に替えたことが第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置1と異なる。拡大管11は、入口2a側の細管部11aの内径11dが小さく、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4のある太管部11cの内径11eが大きい形状を有する。
【0069】
細管部11aから太管部11cに至る拡大部11bについては、図25に示す二つの点線の円のように、円弧状に滑らかに内径が拡大していき、拡大部11bの後部は、タービン翼型ノズル3の半球状部3cに沿う形となっている。拡大部11bを滑らかに広げることにより、拡大管11に液体6が流れる際に、流水断面積が急増加しないので、タービン翼型ノズル3で液体流6aを拡大管11の軸方向から円周方向fに効果的に変換することができる。
この旋回流型マイクロバブル発生装置1においては、送水ポンプなどの送液ポンプなどから拡大管11の入口2aに供給された直線的な液体流6aが効率的に螺旋状の旋回流6cに変換され、また、タービン翼型ノズル3による縮流の影響も小さくなり、エネルギー損失が減少する。
この第5の例によれば、第1の例と同様な利点に加えて、マイクロバブル6dの発生効率の向上を図ることができるという利点を得ることができる。
【0070】
次に、第7の例による旋回流型マイクロバブル発生装置について説明する。
図26および図27はそれぞれ、旋回流型マイクロバブル発生装置1のマイクロバブル6dの発生状況を確認するために計測した音波のスペクトルおよび画像のスペクトルを示す。これは、渦崩壊が生じるときに発生する音(vortex whistle) を測定することで、旋回流6cの回転周波数を予測することができることを示したものである。
【0071】
図26に示す音波のスペクトルは、液中を伝搬する音を受信することができるハイドロホーンにより旋回流6cが発する音の振動数を測定したグラフであり、図27に示す画像のスペクトルは、高速ビデオ映像により旋回流6cの回転周波数を測定したグラフである。ただし、タービン翼型ノズル3のノズル径3jは4cm、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの内径4fは1cm、液体6として用いた水の流量は700cc/sである。
【0072】
図26および図27に示すように、音波のスペクトルにおける振動数と画像のスペクトルにおける周波数とは、ともに約460Hzにおいてパワースペクトルの値に特徴が見られる。また、図26に示す音波のスペクトルにおいて、約460Hzの右隣の520Hz付近に現れるピークがマイクロバブル6dの発生状況を示している。なお、パワースペクトルとは、振動する量の二乗平均値を振動数成分の分布として表したものである。
【0073】
この第6の例によれば、マイクロバブル6dが効率良く発生しているかどうかを直接マイクロバブル6dの映像を観ることなく、水中音を測定することで確認することができるため、第1〜第5の例のように渦崩壊用ノズル4の圧力を検出するのではなく、給気孔3eへの気体5lの給気量を音波の計測のみで調整することが可能となる。また、液体6が不透明である場合にも、マイクロバブル6dの発生状況を容易に把握することができる。
【0074】
次に、第7の例による旋回流型マイクロバブル発生装置について説明する。
この旋回流型マイクロバブル発生装置1においては、渦崩壊用ノズル4の出口のエッジを滑らかにすることを特徴とする。
図28Aは渦崩壊用ノズル4、図28Bはこの渦崩壊用ノズル4の出口のエッジ4kの拡大図である。
【0075】
渦崩壊用ノズル4の出口のエッジ4kを滑らかにすることにより、気柱6bが渦崩壊用ノズル4の前面に張り付き(コアンダ効果)、その旋回流6cによる剪断で気柱6bが破砕され、マイクロバブル6dが発生する。また、マイクロバブル6dは渦崩壊用ノズル4の前面の広い範囲に分散する。気柱6bが渦崩壊用ノズル4の前面に張り付くには、旋回流6cによる遠心力が主流方向の遠心力より大きくなる必要がある。このため、エッジ4kの曲率半径をρe とすると、
ρe 〜(ue /ve 2 e =Γe -2e (14)
以上とする必要がある。ただし、ve は渦崩壊用ノズル4の出口における旋回流6cの周方向速度である。すなわち、
ρe ≧Γe -2e (15)
とする。
渦崩壊用ノズル4の管状の渦崩壊部4bとテーパー部4hの前面とのなす角度θ0 は、渦崩壊用ノズル4の出口からのマイクロバブル6dの噴き出し方向を決定する。
【0076】
図29は超臨界渦崩壊の場合を示し、Γe 〜Γcrである。また、図30は亜臨界渦崩壊の場合を示し、Γe >Γcrである。
図31A、BおよびCはそれぞれ、θ0 〜100度、θ0 〜90度、θ0 〜45度の場合であり、いずれの例でも渦崩壊用ノズル4の出口のエッジ4kの曲率により旋回流6cが渦崩壊用ノズル4の前面に付着し、この前面の接線方向に流れる。
【0077】
以上の旋回流型マイクロバブル発生装置1を基礎としてこの発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置について説明する。この旋回流型マイクロバブル発生装置においては、旋回流型マイクロバブル発生装置1と同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図32A、BおよびCは、この一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置における圧力遮断用ノズルの三つの設置形態を示す。
【0078】
図32Aに示す設置形態(タイプA)においては、旋回流型マイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの下流側の端面P1側に、この渦崩壊用ノズル4と同軸に、かつ渦崩壊部4bと対向して圧力遮断用ノズル21が設置される。この場合、渦崩壊用ノズル4の外形は円柱形状を有する。圧力遮断用ノズル21の外形も円柱形状を有し、渦崩壊部4bの外周の直径と同じ直径を有する。渦崩壊部4bは円柱形状の、マイクロバブル6dの噴出口Qを有する。渦崩壊部4bの下流側の端面P1と圧力遮断用ノズル21の上流側の端面P2との間には間隙22が形成されている。この間隙22の間隔は渦崩壊用ノズル4および圧力遮断用ノズル21の中心軸から放射方向に直線的に徐々に増加している。圧力遮断用ノズル21のうちの噴出口Qと対向する部分は、この噴出口Qから出てくる旋回流の中心部の低圧部をこの圧力遮断用ノズル21の下流側と遮断するように構成されている。言い換えると、この場合、圧力遮断用ノズル21のうちの噴出口Qと対向する部分には貫通孔が設けられていない。また、この圧力遮断用ノズル21のうちの噴出口Qと対向する部分は渦崩壊部4b、より詳細には噴出口Qに貫入していない。この場合、渦崩壊部4bの噴出口Qから気液混相流(例えば、水と空気などの混相流)が噴出され、エッジ4kおよびテーパー部4hでマイクロバブルが生成され、間隙22を通って外部(水などの液体)にマイクロバブルが放出される。
【0079】
図32Bに示す設置形態(タイプB)においては、旋回流型マイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの下流側の端面P1側に、この渦崩壊用ノズル4と同軸に、かつ渦崩壊部4bと対向して圧力遮断用ノズル21が設置される。これらの渦崩壊用ノズル4および圧力遮断用ノズル21はパイプ2の内部に収容されている。この場合、渦崩壊用ノズル4の外形は円柱形状を有する。圧力遮断用ノズル21の外形も円柱形状を有し、渦崩壊部4bの外周の直径と同じ直径を有する。渦崩壊部4bは円柱形状の、マイクロバブル6dの噴出口Qを有する。渦崩壊部4bの下流側の端面P1と圧力遮断用ノズル21の上流側の端面P2との間には間隙22が形成されている。この間隙22の間隔は渦崩壊用ノズル4および圧力遮断用ノズル21の中心軸から放射方向に直線的に徐々に増加している。圧力遮断用ノズル21の外周面にはこの圧力遮断用ノズル21の中心軸に平行な複数の溝21aが、典型的には円周方向に等間隔に設けられており、圧力遮断用ノズル21の外形の直径はパイプ2の内径と等しい。溝21aの深さをd、溝21aの長さをhとしたとき、これらの溝21aのアスペクト比h/d>1である。圧力遮断用ノズル21のうちの噴出口Qと対向する部分は、この噴出口Qから出てくる旋回流の中心部の低圧部をこの圧力遮断用ノズル21の下流側と遮断するように構成されている。言い換えると、この場合、圧力遮断用ノズル21のうちの噴出口Qと対向する部分には貫通孔が設けられていない。また、この圧力遮断用ノズル21のうちの噴出口Qと対向する部分は渦崩壊部4b、より詳細には噴出口Qに貫入していない。この場合、渦崩壊部4bの噴出口Qから気液混相流(例えば、水と空気などの混相流)が噴出され、エッジ4kおよびテーパー部4hでマイクロバブルが生成され、間隙22を通り、さらにパイプ2と圧力遮断用ノズル21の外周面に形成された溝21aとの間の空間を通って外部(空中または管路)にマイクロバブルが放出される。
圧力遮断用ノズル21の外周面に溝21aを形成する代わりに、この圧力遮断用ノズル21の内部の外周面に近接する部分に、この圧力遮断用ノズル21の中心軸に平行な複数の孔21bを、典型的には円周方向に等間隔に設けてもよい。この場合、孔21bの内径をd、孔21bの長さをhとしたとき、これらの孔21bのアスペクト比h/d>1である。
【0080】
図32Cに示す設置形態(タイプC)においては、旋回流型マイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの下流側の端面P1側に、この渦崩壊用ノズル4と同軸に、かつ渦崩壊部4bと対向して圧力遮断用ノズル21が設置される。これらの渦崩壊用ノズル4および圧力遮断用ノズル21はパイプ2の内部に収容されている。この場合、渦崩壊用ノズル4の外形は円柱形状を有する。圧力遮断用ノズル21は上流から下流に向かってすぼまった形状を有し、上流側の部分は渦崩壊部4bの外周の直径と同じ直径を有する。渦崩壊部4bは円柱形状のマイクロバブル6dの噴出口Qを有する。渦崩壊部4bの下流側の端面P1と圧力遮断用ノズル21の上流側の端面P2との間には間隙22が形成されている。この間隙22の間隔は渦崩壊用ノズル4および圧力遮断用ノズル21の中心軸から放射方向に直線的に徐々に増加している。この圧力遮断用ノズル21の内部には、パイプ2の内壁に隣接する部分の間隙22とこの圧力遮断用ノズル21の下流側の端面P3との間を連通し、かつこの端面P3で互いに合流する複数の孔21bが設けられている。孔21bの内径をd、孔21bの長さをhとしたとき、これらの孔21bのアスペクト比h/d>1である。この場合、渦崩壊部4bの噴出口Qから気液混相流(例えば、水と空気などの混相流)が噴出され、エッジ4kおよびテーパー部4hでマイクロバブルが生成され、間隙22を通り、さらに圧力遮断用ノズル21の孔21bを通って外部(空中または水中(一般的には液体中))にマイクロバブルが放出される。
【0081】
上述のタイプA〜Cによれば、次の(a)〜(c)の効果を得ることができる。
(a)音波の発生に伴う騒音を低減することができる。
音波の発生は、旋回流型マイクロバブル発生装置を民生品もしくは水質改善に使用する際の騒音問題を引き起こし、また、旋回流型マイクロバブル発生装置から発せられる音波は旋回周波数と装置内部に形成される気柱の固有周波数との2種類の周波数の振動が存在する。タイプA〜Cによれば、圧力遮断用ノズル21を渦崩壊用ノズル4の下流側に設置しているので、渦崩壊をスパイラル型からバブル型に遷移させることができる。バブル型の渦崩壊は気柱を伸縮させる外力が小さいため、気柱音が小さくなる。また、圧力遮断用ノズル21は渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1側に固定しているため、旋回流6cの乱れが小さくなり、上述の旋回音および気柱音が軽減される。
【0082】
(b)水中放出時の放出流体の再吸い込みを防止することができる。
マイクロバブルによるフロックの泡沫浮上分離時に放出流体を再吸い込みすることでフロックが破壊され、液中に分散されることを阻止することができる。すなわち、タイプA〜Cによれば、圧力遮断用ノズル21により放出されたマイクロバブル水は再吸い込みされない。
(c)旋回流の中心における低圧部の生成による溶解気体の再気泡化を防止することができる。
旋回流型マイクロバブル発生装置では旋回流中心部の圧力が低下し、この気体圧力の低下は、生成気泡径の縮小と同時に、溶存気体が気体として析出することを意味する。タイプA〜Cによれば、圧力遮断用ノズル21の設置により縮流部を設けることで、渦崩壊部4bの噴出口Qにおける圧力を高くすることができる。
【0083】
タイプB、Cによれば、次の(d)、(e)の効果を得ることもできる。
(d)空中に放出する場合の空気の吸い込みによる微細気泡の不生成を防止することができる。
これは、マイクロバブル入りの空中放射ウオータージェット用ノズルの実現に重要である。渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1が大気と接していると、中心部の負圧のために大気中の空気を吸い込み液膜シートが生成される。タイプB、Cによれば、渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1の流れの低圧部を圧力遮断用ノズル21で遮蔽することができ、また、圧力遮断用ノズル21の溝21aを渦崩壊用ノズル4の中心軸から半径方向に離れた位置に設けることにより、微細気泡の生成およびジェットの生成を行うことができる。
【0084】
(e)管路途中に設置した場合の液体全体の旋回による気泡発生効率の低下を防止することができる。
渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1側にこの渦崩壊用ノズル4の外径程度の広さの空間しか取れない場合には、微細気泡の発生効率が低下するため工夫を必要とする。すなわち、旋回流型マイクロバブル発生装置を通過した流れが管路内の全体的な旋回流を励起し、旋回流型マイクロバブル発生装置による旋回流のエネルギーがこの旋回流の生成に使用される。また、旋回流型マイクロバブル発生装置の下流における渦の生成は、気泡を管路内に滞留させるとともに、微細気泡の合体を引き起こす。タイプB、Cによれば、圧力遮断用ノズル21により旋回流型マイクロバブル発生装置の下流における渦の発生および旋回流の生成を阻止することができる。
【0085】
圧力遮断用ノズル21の形状について、図33AおよびBに示すものを例にとって改めて詳細に説明する。
この圧力遮断用ノズル21の形状は以下の条件1〜4を満たす。
<条件1>
圧力遮断用ノズル21の渦崩壊用ノズル4側の端面P2は、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの端面P1の形状に依存し、図33Aに示す、渦崩壊用ノズル4および圧力遮断用ノズル21の中心軸に平行な方向の間隙22の間隔がこの中心軸から放射方向に(外向きに)直線的に徐々に増加している。
【0086】
<条件2>
圧力遮断用ノズル21のうちの渦崩壊用ノズル4の噴出口Qに対向する部分には貫通孔を設けない。
<条件3>
圧力遮断用ノズル21の上流側の端面P2は渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4b、より詳細には噴出口Qに貫入しない。
<条件4>
圧力遮断用ノズル21の溝21aのアスペクト比h/d>1である。
【0087】
本発明者は、圧力遮断用ノズル21の上流側の端面P2の頂角θSU、ならびに、渦崩壊用ノズル4および圧力遮断用ノズル21の中心軸上における渦崩壊用ノズル4と圧力遮断用ノズル21との間隔t(図33AおよびB参照)を適切に選ぶことにより、気柱内圧力を極小にすること、言い換えれば吸い込み圧力を極大にすることが可能であることを見出した。具体的には、圧力遮断用ノズル21の端面P2の頂角θSU、および、間隔tの最適値はおよそ次式で与えられる。
θSU≦θVB、t≒De /4 (16)
ここで、θVBは渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの下流側の端面P1の頂角、De は噴出口Qの直径である。間隙22の間隔は渦崩壊用ノズル4および圧力遮断用ノズル21の中心軸から放射方向に増加するが、こうすることで、渦崩壊部4bの噴出口Qにおける流れ中の低圧位置が上流に移動して流れの吸出し効果が得られることが知られている(ディフューザーの原理)。
【0088】
本発明者の検討の結果、間隙21の開角Δθ≡θVB−θSUが10°〜20°のとき、気柱内圧力が最低となった。Δθが20°よりも大きいと、間隙21内の漸拡した流れは、剥離などが発生することにより不安定となり、逆に気柱内圧力の低下量が減少する。
図34は、渦崩壊用ノズル4と圧力遮断用ノズル21との間隔tと気柱内圧力(吸い込み圧力)、発生音圧およびノズル抵抗との定性的な関係を模式的に示したものである。
図34中のS1〜S4はそれぞれ図35A〜Dに対応する。図35Aに示すS1の状態では、渦崩壊用ノズル4と圧力遮断用ノズル21との間隔tが極めて小さく、流体が間隙22を通過する際の圧力欠損が旋回流による圧力増加よりも大きくなる。この間隔tは、後に詳細に説明するように、およそ
【数14】

となる。この場合には、上記の(a)〜(e)の効果を得ることができる。ただし、この場合には流れの抵抗が大きいため、高揚程ポンプを用いる必要がある。また、旋回流型マイクロバブル発生装置1からの給気は困難となる。このS1に示す状態では、渦崩壊部4bの噴出口Qにおいて気体の加圧が促進され、間隙22を通過するに伴って溶解気体の再気泡化が促進される。
【0089】
図35Bに示すS2の状態では、流水抵抗および気柱内圧力が極小となり、発生音も小さい。旋回流型マイクロバブル発生装置1の出口で吸い込み流れが生じない条件として
t<De /4 (18)
が挙げられる。一方で、間隔tは間隙22の抵抗が旋回流型マイクロバブル発生装置1の抵抗に比べて無視することができるように、旋回流型マイクロバブル発生装置1の出口の最小断面積と同オーダー程度となっている。これは、πDe 2 /4≒t・πDe から分かる。この間隔tの最適値(気柱内圧力が最小となる位置)は
t≒De /4 (19)
である。この場合には、上記の(a)、(b)、(d)、(e)の効果を得ることができる。このS2の状態では気泡の圧壊が促進される。
【0090】
図35Cに示すS3の状態では、気柱が圧力遮断用ノズル21に付着する。この場合、
e /2<t<De (20)
である。この場合、気柱内圧力は低下せず、微細気泡発生効率は低下する。この場合には、上記の(a)、(b)、(d)、(e)の効果を得ることができる。
【0091】
図 に示すS4の領域では、気柱は渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1に付着し、発生音は大きい。
t>2De (21)
この場合には、上記の(b)、(d)、(e)の効果を得ることができる。旋回流型マイクロバブル発生装置の発生音が問題とならない場合には、この配置で気泡の発生効率は低下しない。
【0092】
次に、圧力遮断用ノズル21の効果の検証を行った結果について説明する。
実験Iでは、圧力遮断用ノズル21の端面P2の頂角θSUおよび間隔tを変化させたときの気柱内圧力および発生音の音圧について、気柱内圧力がt≒De /4で極小値をとること、および、発生音が低減されることを示す。また、実験IIでは、間隔tを詳細に変え、確かに気柱内圧力が極小値を持つことを検証した。
【0093】
<実験I>
図36AおよびBは使用した実験装置の概略図を示す。実験は、以下の2種類の旋回流型マイクロバブル発生装置を使用して行った。
(1)翼3bの枚数が3枚で溝3dの深さが小さい高旋回流用のタービン翼型ノズル3と端面P1の頂角θVBがθVB=240°である渦崩壊用ノズル4とを有する旋回流型マイクロバブル発生装置を使用する。
(b)翼3bの枚数が5枚で溝3dの深さが大きい中間旋回流用のタービン翼型ノズル3と端面P1の頂角θVBがθVB=180°である渦崩壊用ノズル4とを有する旋回流型マイクロバブル発生装置を使用する。
【0094】
(Ia)気柱内圧力(吸い込み圧)
まず、無給気にして気柱内圧力を計測した。(1)においてDe =5mm、水の流量Qw =5L/min、サーキュレーション数Γe =1.9のときの結果を図37に示す。図37に示すように、吸い込み圧は間隔tが1mmより小さいある値で極大となり、間隔tが増加すると減少する。(2)においてDe =6.5mm、水の流量Qw =10L/min、サーキュレーション数Γe =2.3のときの結果を図38に示す。図38に示すように、吸い込み圧は間隔tが1mm程度の値で極大となり、間隔tが増加すると一
旦減少するがその後増加し、ある値に漸近する。(1)、(2)のいずれの場合においても
Δθ≡θVB−θSU=10°〜20° (22)
のときに吸い込み圧が極大となる間隔tが存在することが分かる。
【0095】
(1b)音圧
圧力遮断用ノズル21を渦崩壊用ノズル4の下流側に設けることにより音圧を減少させることができることを示す。
旋回流型マイクロバブル発生装置からは主に2種類の音波が発せられる。図39に翼3bの枚数が5枚のタービン翼型ノズル3を用い、無給気としたときの旋回周波数および気柱の固有振動数と間隔tとの関係を示す。これらの旋回周波数および固有振動数は圧力遮断用ノズル21の位置および頂角θSUに差ほど依存しない。一方で、それぞれの音波について、そのエネルギーが間隔tによってどのように変化するかを図 に示す。間隔tが2mm以下のときの音波のエネルギーは間隔tが大きいときの値に比べて1/10程度となっていることが分かる。また、θSU=160°(Δθ=20°)の場合に音波の減衰が最も大きくなっている。さらに、間隔tが2mmのとき、気柱の振動から出る音波の遮蔽が顕著であることが分かる。この方法によって特に気柱音が低減されることが分かる。
【0096】
次に、間隔tを1mmに固定し、給気量Qa を変化させたときの音波のエネルギーを求めた結果について説明する。図42および図43に結果を示す。図42および図43より、吸い出し効果を持つ圧力遮断用ノズル21の方が音圧が小さいこと、および、給気量Qa を増加させても音圧を減衰する効果が維持されることが分かる。
【0097】
<実験II>
θVB=160°、De =8mmの渦崩壊用ノズル4およびθSU=140°、直径D=40mmの圧力遮断用ノズル21を用いて実験を行った。水の流量Qw は20L/min、給気量Qa は100cc/minである。
図44は気柱内圧力(吸い込み圧)、図45は間隔tによるポンプ流量の変化を示す。図44および図45より、間隔tがおよそ2mmのとき吸い込み圧は極大となり、同時にポンプ流量がt〜2De に比べて大きいことが分かる。ポンプ流量の増大は流体抵抗が減少したことを示す。
図46に、t=2.2mm(t≒De /4)およびt=15mm(t〜2De )における発生音のスペクトルを示す。図46より、間隔t、すなわち渦崩壊用ノズル4に対する圧力遮断用ノズル21の位置によって音波のスペクトルが大きく変化すること、t≒De /4のとき、吸い込み圧が極小値をとって音圧が低減することが分かる。この音圧の低減は、渦崩壊用ノズル4の下流側の気柱形状が変化したためである。
【0098】
次に、空中放射、管路内、水中における旋回流型マイクロバブル発生装置における圧力遮断用ノズル21の使用形態を説明する。
まず、水中で上述のタイプA(図32A)を用いる場合について説明する。
渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1に十分な広がりを持ち、旋回流が放射方向に広がる場合には、圧力遮断用ノズル21に孔を設ける必要はない。このとき、流体は放射方向に流出する(図32A)。この場合、音波の音圧を小さくすることを目的として圧力遮断用ノズル21を設置する。また、音波は渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1から放射されるため、圧力遮断用ノズル21を音波を透過させない材料で製作するか、ある程度の厚みを持たせることが有効である。
【0099】
次に、管路内で上述のタイプB(図32B)を用いる場合について説明する。
旋回流が旋回流型マイクロバブル発生装置の下流で形成されることを防ぐと同時に音波を低減する。圧力遮断用ノズル21の溝21aは旋回流が下流に形成されないようにa<h(aは溝21aの幅)とする(図47AおよびB参照)。また、溝21aの半径方向の距離、言い換えると深さdは渦崩壊用ノズル4の噴出口Qに達しない程度とする。特に、旋回流型マイクロバブル発生装置の抵抗に比べて溝21aの抵抗が十分小さくなるように溝21aの全体の流水断面積を大きくする。
【0100】
次に、空中放射で上述のタイプC(図32C)を用いる場合について説明する。
渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1の旋回流が広がるように、圧力遮断用ノズル21の半径は大きいほうが良い。また、旋回流型マイクロバブル発生装置の抵抗に比べて溝21aの抵抗が十分小さくなるように溝21aの全体の流水断面積を大きくする。圧力遮断用ノズル21の厚さは適宜決定するが、厚いほうが音波の外部への放射が少なくなる。圧力遮断用ノズル21の中央付近に貫通孔を設けることはできないため(気柱内に大気が吸引される)、圧力遮断用ノズル21の厚みを付けることで圧力遮断用ノズル21の内部に孔21bからなる流路を作り、ジェットの方向をコントロールしたり、これらの孔21bからなる流路を圧力遮断用ノズル21の下流側の端面P3で合流させることでウオータージェットを生成することができる。
【0101】
次に、マイクロバブルを高濃度に発生させることができる旋回流型マイクロバブル発生装置について説明する。
図48は高揚程ポンプを利用した加圧溶解型の旋回流型マイクロバブル発生装置を示す。図48に示すように、高揚程ポンプ101の吸い込み口には給気用の旋回流型マイクロバブル発生装置102を取り付ける。旋回流型マイクロバブル発生装置102の渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1に圧力遮断用ノズル21を取り付けることで、高揚程ポンプ101を通過する液体が旋回せず、給気した気体は微細化する。さらに、高揚程ポンプ101を通過した気体は高揚程ポンプ101の揚程により加圧され溶解し、高揚程ポンプ101の出口に取り付けられた旋回流型マイクロバブル発生装置103により減圧され、再気泡化する。旋回流型マイクロバブル発生装置103の渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1に取り付けた圧力遮断用ノズル21は発生音を低減する。間隔tが小さい式(17)の場合は、加圧効果が増大する一方で流れの抵抗は増大する。De /8<t<De /4では、加圧効果はないが流れの抵抗が減少するとともに再気泡化が促進される。圧力遮断用ノズル21の位置は高揚程ポンプ101の性能にしたがって決定される。
【0102】
次に、図49〜図51に示す三つの場合について、物理現象に基づいた分類を行い、渦崩壊用ノズル4と圧力遮断用ノズル21との間隔tの最適値を流体の支配方程式にしたがって求める。
図49に示す場合(図34に示すS3、S4の状態)には、旋回流型マイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズル4の出口前面の流れはほぼ圧力一定の条件を満たすため、流速はおよそ一定となる(ベルヌーイの定理)。渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1の流体層の厚さは連続の式(体積流量の保存則)から
【数15】

である。ここで、Uは流速、rは渦崩壊用ノズル4および圧力遮断用ノズル21の中心軸からの放射方向距離、ζ(r)は流速の大きい流体層の厚さである。上式から
【数16】

である。したがって、図34に示すS3、S4の状態は
【数17】

である。ζ(r)の最大値はr=De /2より、渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1のすべての領域で式(25)が満たされるためには
【数18】

が必要である。式(26)は前記の式(20)、(21)に対応する。
【0103】
次に、図50に示す場合(図34に示すS1、S2の状態)には、旋回流型マイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズル4の出口前面の流速が、渦崩壊用ノズル4と圧力遮断用ノズル21との間隔tによって決定される(前記の流体層の厚さよりも間隔が小さい)。すなわち、
【数19】

である。間隔tは、渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1のすべての領域で式(27)が満たされる場合には
【数20】

渦崩壊用ノズル4の下流側の出口のみで満たされるとすれば
【数21】

である。一般的には式(29)が満たされると、前記の流体層が破壊され流体は平均的に渦崩壊用ノズル4と圧力遮断用ノズル21とで囲まれた領域を流れると考えられ、このときr方向の流速はvr
【数22】

で与えられる。ここで、Qは流量、Sは流水断面積である。また、旋回流は旋回方向の運動方程式
【数23】

から算定される。ここで、fは抵抗係数で滑面乱流の場合には近似的に
【数24】

で与えられる。ただし、Re は渦崩壊用ノズル4と圧力遮断用ノズル21との間の流れのレイノルズ数、νは動粘性係数である。一方、粗面乱流の場合には抵抗係数は
【数25】

で与えられる。ここで、kS は相当粗度である。
【0104】
簡単のため、旋回方向の抵抗を無視すると、角運動量の保存則(運動量損失を無視)より、
【数26】

となる。ただし、Ωe は渦崩壊用ノズル4の出口における角速度である。また、圧力遮断用ノズル21の頂角θSUが180°に近いときのr方向の運動方程式から圧力勾配dP/drは
【数27】

で与えられる。式(35)の右辺第一項は流体の減速による圧力勾配、第二項は遠心力、第三項は運動量損失勾配である。式(30)を式(35)に代入すると、r方向の圧力は流体の慣性により増加し摩擦により減少することが分かる。すなわち、S2で示される状態においては、渦崩壊用ノズル4の出口の圧力が極小値をとるためには、渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1のすべての領域でdP/dr>0となる必要がある。また、S1で示される状態においては、渦崩壊用ノズル4の出口の圧力が極大値をとるためには、渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1でdP/dr<0となる必要がある。
【0105】
以下、簡単のため
【数28】

として式(34)を用い、さらにh(r)=const.=h0 の場合について議論する。
式(35)から圧力勾配が0となるr=rcrを求めると
【数29】

となる。また、
【数30】

である。このとき圧力勾配は
【数31】

である。
【0106】
S1の状態では、渦崩壊用ノズル4の出口の圧力が圧力遮断用ノズル21によって増加し、S2の状態では減少する必要があり、次式を満たすように決めることが目安となる。
【数32】

流体が水の場合には条件式(40)の境界値h0 はDe /2に比べて極めて小さいため、S2の条件は式(28)、(29)から
【数33】

となる(本実験範囲(D〜5De )では式(18)がおよその目安となったが、Dの値如何によって式(41)に基づきh0 を決定すれば良い)。また、S1に関してはh0 が小さいほど渦崩壊用ノズル4の出口の圧力は大きくなる。一方でh0 が小さいとポンプに負荷が掛かるため、式(38)を満たしポンプの効率が小さくならない範囲でh0 を決定すべきである。式(39)中のrcrをDe n /2とおくと、h0 は近似的に
【数34】

で与えられる。式(42)でrn =1と置いたh0 の場合には渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1のすべての領域で圧力勾配は負となり、渦崩壊用ノズル4の中心の圧力は必ず増加する。この場合、前記の実験IIの値を代入するとh0 =0.12mmとなる。このような小さなh0 に対しては式(31)から抵抗が支配的となり式(34)は適用できず、近似式
【数35】

の方が妥当である。この場合には式(42)の右辺第2項を0と置くことができる。最終的にS1の状態を実現するためには上記の式(17)が必要である。ここで、rn =1+(D/De −1)/2は渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1と圧力遮断用ノズル21の上流側の端面P2とで囲まれた狭窄部の放射方向半分の距離まで圧力が減少し後半で増加するとした場合である。特に、S1に示す状態の場合にも、渦崩壊用ノズル4の出口(r<De /2)の旋回流は微細気泡の生成に重要であることを実験的に確かめた。
【0107】
任意の間隔h(r)については式(31)および式(35)をr=De /2からrの正方向に積分することでノズル前面の圧力を推定することができる。h(r)がr方向に変化する場合には、圧力勾配dP/drに、式(35)の右辺第一項から
【数36】

が付加される。したがって、S2の状態においては前記の流体層が渦崩壊用ノズル4の下流側の端面P1から剥離しない範囲(式(29))でdh/dr(正)を大きくすることで渦崩壊用ノズル4の出口の圧力をより小さくすることができる。S1においてはdh/dr≦0が望まれる。
【0108】
以上、渦崩壊用ノズル4の表面が滑面の場合について議論したが、
S1:渦崩壊用ノズル4の出口の圧力が高い方が良いため、抵抗が大きくなるように渦崩壊用ノズル4の表面は粗面の方が良い。
S2:渦崩壊用ノズル4の出口の圧力が低い方が良いため、抵抗が小さくなるように渦崩壊用ノズル4の表面は滑面の方が良い。
ここで粗面とは、表面の凹凸の高さks
【数37】

より大きい場合である(前記の実験IIの値を代入するとkS 〜0.002mm程度である)。一般に、式(45)はhに比べて十分小さいため、S1でhが極端に小さくなる場合には粗度を付けて圧力を高くすることが有効である。粗面の場合の抵抗係数式(33)を用いて、式(43)の近似の下で式(17)と同様な関係式を導くと
【数38】

が得られる。間隙22のすべての領域で圧力がr方向に増加するとすると(rn =1)、粗度に対する間隔h(r)は図52で与えられる。特に研磨しない材料で渦崩壊用ノズル4を作った場合にはその表面は粗面であり、図52から間隙22の間隔h(r)はおよそ噴出口Qの半径の1/30から1/20であることが分かる。
以上の主な結論をまとめると、
圧力遮断用ノズル21は、渦崩壊用ノズル4と圧力遮断用ノズル21との間隔tを変化させることで、下記の二つの異なるタイプの気泡生成を行うことができる。
減圧後の加圧によるマイクロバブル生成
【数39】

加圧後の減圧によるマイクロバブル生成
【数40】

ただし、上記の条件は間隙22のすべての領域で圧力がr方向に増加する場合である。
【0109】
以上、この発明の一実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、形状、構造、配置などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、形状、構造、配置などを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置の本体を示す斜視図である。
【図2】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの翼体を示す斜視図である。
【図3】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの翼体を示す正面図である。
【図4】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの翼体を示す縦断面図である。
【図5】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの翼体の一つの翼の形状を示す略線図である。
【図6】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルを示す縦断面図である。
【図7】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置の給気装置を示す縦断面図である。
【図8】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルの縮流部におけるサーキュレーション数を説明するための略線図である。
【図9】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルの臨界ノズル半径を説明するための略線図である。
【図10】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルで生じる渦崩壊を示す略線図である。
【図11】Hinzeスケールを説明するための略線図である。
【図12】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が2のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量を示す略線図である。
【図13】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が3のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量を示す略線図である。
【図14】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が4のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量を示す略線図である。
【図15】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が2のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量と液体流量との比を示す略線図である。
【図16】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が3のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量と液体流量との比を示す略線図である。
【図17】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が4のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量と液体流量との比を示す略線図である。
【図18】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの実施例を説明するための表である。
【図19】第1の例による旋回流型マイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの形状、渦崩壊用ノズルの形状およびタービン翼型ノズルから渦崩壊用ノズルまでの間隔の実施例を説明するための略線図である。
【図20】第2の例による旋回流型マイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルを示す縦断面図である。
【図21】第2の例による旋回流型マイクロバブル発生装置におけるマイクロバブルの発生状況を他の例と比較した略線図である。
【図22】第2の例による旋回流型マイクロバブル発生装置における二種類の渦崩壊の様子を示す略線図である。
【図23】第3の例による旋回流型マイクロバブル発生装置を示す縦断面図である。
【図24】第4の例による旋回流型マイクロバブル発生装置を示す縦断面図である。
【図25】第5の例による旋回流型マイクロバブル発生装置の本体を示す縦断面図である。
【図26】第6の例による旋回流型マイクロバブル発生装置におけるマイクロバブルの発生状況を確認するために計測した音波のスペクトルを示す略線図である。
【図27】第6の例による旋回流型マイクロバブル発生装置におけるマイクロバブルの発生状況を確認するために計測した画像のスペクトルを示す略線図である。
【図28】第7の例による旋回流型マイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルを示す縦断面図およびこの渦崩壊用ノズルの出口のエッジの拡大図である。
【図29】第7の例による旋回流型マイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルで生じる超臨界渦崩壊を示す略線図である。
【図30】第7の例による旋回流型マイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルで生じる亜臨界渦崩壊を示す略線図である。
【図31】第7の例による旋回流型マイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルの形状の例を示す縦断面図である。
【図32】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の要部を示す断面図である。
【図33】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の要部を示す断面図である。
【図34】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の特性を説明するための略線図である。
【図35】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の要部を示す断面図である。
【図36】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の要部を示す断面図である。
【図37】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の特性を説明するための略線図である。
【図38】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の特性を説明するための略線図である。
【図39】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の特性を説明するための略線図である。
【図40】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の特性を説明するための略線図である。
【図41】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の特性を説明するための略線図である。
【図42】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の特性を説明するための略線図である。
【図43】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の特性を説明するための略線図である。
【図44】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の特性を説明するための略線図である。
【図45】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の要部を示す断面図である。
【図46】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置を用いた高濃度マイクロバブル発生装置を示す断面図である。
【図47】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の要部を示す断面図である。
【図48】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の要部を示す断面図である。
【図49】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の要部を示す断面図である。
【図50】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の要部を示す断面図である。
【図51】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の要部を示す断面図である。
【図52】この発明の一実施形態による旋回流型マイクロバブル発生装置の特性を説明するための略線図である。
【符号の説明】
【0111】
2…パイプ、2a…渦流部、3…タービン翼型ノズル、3a…本体、3b…翼、3e…給気孔、3f…噴射孔、4…渦崩壊用ノズル、4a…縮流部、4b…渦崩壊部、4h…テーパー部、4k…エッジ、6…液体、6a…液体流、6b…気柱、6c…旋回流、6d…マイクロバブル、21…圧力遮断用ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロバブルの噴出口を有する第1のノズルの下流側の端面側にこの第1のノズルと対向し、かつ同軸に設けられた圧力遮断用の第2のノズルを有し、
上記第1のノズルの下流側の端面と上記第2のノズルの上流側の端面との間には間隙が形成され、
上記間隙の間隔は上記第1のノズルおよび上記第2のノズルの中心軸から放射方向に増大し、
上記第2のノズルのうちの上記噴出口と対向する部分は上記噴出口から出てくる旋回流の中心部の低圧部を上記第2のノズルの下流側と遮断するように構成され、
上記第2のノズルのうちの上記噴出口と対向する部分は上記噴出口に貫入していないことを特徴とする旋回流型マイクロバブル発生装置。
【請求項2】
上記噴出口から噴出されたマイクロバブルは上記間隙を通って外部に向かうように構成されていることを特徴とする請求項1記載の旋回流型マイクロバブル発生装置。
【請求項3】
上記第1のノズルの下流側の端面の頂角をθVB、上記第2のノズルの上流側の端面の頂角をθSUとしたとき、θSU≦θVBであることを特徴とする請求項1または2記載の旋回流型マイクロバブル発生装置。
【請求項4】
Δθ≡θVB−θSU=0°〜20°であることを特徴とする請求項3記載の旋回流型マイクロバブル発生装置。
【請求項5】
上記第1のノズルの下流側の端面における上記噴出口の直径をDe 、上記第1のノズルおよび上記第2のノズルの中心軸上における上記第1のノズルと上記第2のノズルとの間隔をtとしたとき、tがほぼDe /4であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の旋回流型マイクロバブル発生装置。
【請求項6】
上記第1のノズルおよび上記第2のノズルは管の内部に収容されており、上記噴出口から噴出されたマイクロバブルは上記間隙を通り、さらに上記管と上記第2のノズルの外周面に上記第2のノズルの中心軸に平行に設けられた複数の溝との間の空間を通って外部に放出されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の旋回流型マイクロバブル発生装置。
【請求項7】
上記第1のノズルおよび上記第2のノズルは管の内部に収容されており、上記噴出口から噴出されたマイクロバブルは上記間隙を通り、さらに上記第2のノズルの内部の上記第2のノズルの外周面に近接する部分に上記第2のノズルの中心軸に平行に設けられた複数の孔を通って外部に放出されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の旋回流型マイクロバブル発生装置。
【請求項8】
上記第1のノズルおよび上記第2のノズルは管の内部に収容されており、上記第2のノズルは下流側にすぼまった形状を有し、かつ上記第2のノズルの内部には上記管の内壁に隣接する部分の上記間隙と上記第2のノズルの下流側の端面との間を連通し、かつ上記第2のノズルの下流側の端面で互いに合流する複数の孔が設けられており、上記噴出口から噴出されたマイクロバブルは上記間隙を通り、さらに上記第2のノズルの上記複数の孔を通って外部に放出されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の旋回流型マイクロバブル発生装置。
【請求項9】
上記第1のノズルは上流側から下流側に向かって順次縮流部および渦崩壊部を有する渦崩壊用ノズルであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の旋回流型マイクロバブル発生装置。
【請求項10】
上記第1のノズルの上流側に旋回流発生用の翼型の第3のノズルを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載の旋回流型マイクロバブル発生装置。
【請求項11】
上記第3のノズルの上流側の入口に液体を供給することにより旋回流を発生させるとともに、この旋回流の中心に気体を導入し、この中心に気体が導入された旋回流を上記第1のノズルの上記縮流部に供給することにより上記渦崩壊部からマイクロバブルを発生させることを特徴とする請求項10記載の旋回流型マイクロバブル発生装置。
【請求項12】
旋回流型マイクロバブル発生装置のマイクロバブルの噴出口を有するノズルの下流側の端面側にこのノズルと対向し、かつ同軸に設けられる圧力遮断用ノズルであって、
上記噴出口を有する上記ノズルの下流側の端面と上記圧力遮断用ノズルの上流側の端面との間には間隙が形成され、
上記間隙の間隔は上記噴出口を有する上記ノズルおよび上記圧力遮断用ノズルの中心軸から放射方向に増大し、
上記圧力遮断用ノズルのうちの上記噴出口と対向する部分は上記噴出口から出てくる旋回流の中心部の低圧部を上記第2のノズルの下流側と遮断するように構成され、
上記圧力遮断用ノズルのうちの上記噴出口と対向する部分は上記噴出口に貫入しないように構成されていることを特徴とする圧力遮断用ノズル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate

【図49】
image rotate

【図50】
image rotate

【図51】
image rotate

【図52】
image rotate


【公開番号】特開2009−247950(P2009−247950A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96836(P2008−96836)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【Fターム(参考)】