説明

既存のTDD技術の利用によるFDD機能の実現

DL伝送とUL伝送の周波数を2つのTDD搬送波が2つの半二重FDD搬送波として動作するようにオフセットすることにより、同じペア・スペクトル内で2つのTDD搬送波を使用するシステムおよび方法が開示される。DLとUL伝送および受信の期間は、任意の一時点ではDL上をTDD搬送波の1つのみが伝送され、他方のTDD搬送波はUL上を伝送されるように事前に定義される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景であるが、現行の従来型WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)プロファイルはFDD(Frequency Division Duplexed:周波数分割復信)通信プロトコルをサポートしない。802.16e標準はFDDオプションについて記載しているが、802.16eでのFDDオプションは、まったく新しいフレーム構造(例えば、ASICおよびソフトウェア)を必要とする。802.16eで説明されるFDDオプションは、労力と時間がかかるデバッグ手順が必要であり、それが実施されるとすると、そのFDDオプションは、現行のWAVE 1およびWAVE 2 WiMAXのTDD(Time Division Duplexed:時間分割複信)プロファイルと相当に異なるので、システムを定義し、開発するには相当な労力と時間が必要になる。
【0002】
したがって従来のWiMAXプロファイルの主要な欠点は、それらがTDD通信しかサポートしないことである。多くの新しい周波数帯域(例えば、米国のAWSおよび700MHz)では、帯域がペアにされ、FDD技術をサポートしようとしているので、TDD技術は基本的に制限される。
【0003】
上記で参照した欠点およびその他を解決するシステムおよび方法のための技術には、満たされていない要望がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
TDD伝送搬送波、フレーム構造、ASIC、およびFDD通信ソリューションを定義するためのソフトウェアを使用するための方法および装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、セル式通信システムは、ダウンリンク(DL)周波数帯域で1つまたは複数の移動体デバイスに情報を伝送し、アップリンク(UL)周波数帯域で1つまたは複数の移動体デバイスから情報を受信する基地伝送局(BTS)、ならびに第1および第2のTDD(Time Division Duplexed:時分割複信)搬送波を所定の切り替えスケジュールに従って交互にDL周波数帯域の伝送信号に適用するFDD(Frequency Division Duplex:周波数分割複信)プロセッサを備える。このシステムは、所定の切り替えスケジュール、TDD搬送波識別情報、ならびにDLおよびUL周波数帯域に関する情報を記憶するメモリをさらに備える。
【0006】
別の態様によれば、FDD通信を行うために既存のTDD通信の構造を使用する方法は、DL周波数帯域で伝送フレームの第1の部分の間に第1のTDD搬送波を使用してDL信号を伝送するステップと、UL周波数帯域で伝送フレームの第1の部分の間に第2のTDD搬送波を使用してUL信号を受信するステップと、DL周波数帯域で伝送フレームの第2の部分の間に第2のTDD搬送波を使用してDL信号を伝送するステップとを含む。この方法は、UL周波数帯域で伝送フレームの第2の部分の間に第1のTDD搬送波を使用してUL信号を受信するステップと、伝送フレームの第1の部分と第2の部分の間で発生する第1の遷移ギャップの間に、DL周波数帯域で第1のTDD搬送波から第2のTDD搬送波へ、およびUL周波数帯域で第2のTDD搬送波から第1のTDD搬送波へ切り替えるステップをさらに含む。
【0007】
別の態様によれば、2つのTDD搬送波を半二重FDD搬送波として動作させることによりワイヤレス通信を容易にするシステムは、DL周波数帯域で伝送フレームの第1の部分の間に第1のTDD搬送波を使用してDL信号を伝送する手段と、UL周波数帯域で伝送フレームの第1の部分の間に第2のTDD搬送波を使用してUL信号を受信する手段と、DL周波数帯域で伝送フレームの第2の部分の間に第2のTDD搬送波を使用してDL信号を伝送する手段とを含む。このシステムは、UL周波数帯域で伝送フレームの第2の部分の間に第1のTDD搬送波を使用してUL信号を受信する手段と、伝送フレームの第1の部分と第2の部分の間で発生する第1の遷移ギャップの間に、DL周波数帯域で第1のTDD搬送波から第2のTDD搬送波へ、およびUL周波数帯域で第2のTDD搬送波から第1のTDD搬送波へ切り替える手段をさらに含む。加えて、このシステムは、伝送フレームの終わりに発生する第2の遷移ギャップの間に、DL周波数帯域で第2のTDD搬送波から第1のTDD搬送波へ、およびUL周波数帯域で第1のTDD搬送波から第2のTDD搬送波へ切り替える手段も含む。伝送、受信および搬送波の切り替えは、通信イベントの間、複数の伝送フレームにわたって反復して行われる。
【0008】
本明細書で説明される様々な態様の1つの利点は、TDDソリューションが限定的である周波数帯域用にFDDソリューションが作成されることである。
【0009】
別の利点は、ベンダが、FDDオプションを実施する際に現行のフレーム構造、ASIC、およびTDDソリューションのソフトウェアを利用および/または再使用できるようにすることにある。
【0010】
さらなる利点は、FDDオプションを実施する際にTDDソリューションの規模の経済を利用することにより、ベンダおよび通信事業者のコストを低減することにある。
【0011】
さらに別の利点は、真のFDDソリューションに近いスペクトル効率を提供することにある。
【0012】
別の利点は、送受切り替え器を必要としない半二重端末を利用することにより、全二重FDDソリューションに比較して端末コストを低減することにある。
【0013】
さらに別の利点は、802.16e標準で定義されたFDDソリューションを使用して得られるよりも製品化時間が短縮されたFDDオプションを提供するために現行TDDソリューションを利用することにある。
【0014】
上記の革新を適用可能な、さらなる範囲は以下の詳細な説明から明らかになろう。ただし、以下の詳細な説明および具体的な例は、本発明の様々な実施形態を示しているが、当業者には、本発明の趣旨および範囲内で様々な変更および修正を加えられることが明らかになるであろうから、それらは例としてのみ記載されていることを理解すべきである。
【0015】
本発明は、デバイスの様々な部分の構成、仕組みおよび組み合わせとして、ならびに方法のステップとして存在し、本発明が意図する目的は、これ以降でより詳しく記載され、特許請求の範囲で明確に指摘され、添付の図面で図示されるように達成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本明細書で説明される様々な態様による、TDD(Time Division Duplexed:時分割複信)アーキテクチャを使用してFDD(Frequency Division Duplexed:周波数分割複信)通信を提供するシステムを示した図である。
【図2】BTSでFDD通信用に利用できる移動体デバイスを示した図である。
【図3】本明細書で説明される様々な態様による、FDDプロセッサが実行できるような伝送/受信方式70を示した図である。
【図4】2つの「802.16e WiMAX TDD搬送波」を使用する、802.16e準拠のWiMAX FDD伝送方式であって、DLおよびUL伝送が、それぞれ、第1および第2の周波数帯域f1およびf2に変換され、その結果、それぞれの半FDD(H−FDD)搬送波になる伝送方式の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、802.16e定義のWiMAX TDD搬送波を2つの伝送周波数帯域ミッドフレーム間で切り替えて、それによりTDD搬送波を半二重FDD搬送波として動作させることによりFDD通信機能を提供するために既存のTDDのASIC、ソフトウェアおよび基盤を利用するための方法および装置に関する。
【0018】
本発明は、特にセル式通信技術に関し、したがって、それを明確に参照して説明されるが、本発明は他の分野および用途にも役立ち得ることが理解できよう。例えば、本発明は、通信デバイス、ゲーム・デバイス、または周波数再利用の改善、干渉の低減などが望ましい他のデバイスでも使用できる。
【0019】
図面の表示は、例示の実施形態を図示することを目的としているのみであって、特許請求の範囲における主題を限定することは目的としておらず、ここで図面を参照すると、図1は、本明細書で説明される様々な態様による、TDD(Time Division Duplexed:時分割複信)アーキテクチャを使用してFDD(Frequency Division Duplexed:周波数分割複信)通信を提供するシステムを示している。一態様によれば、現在定義されているWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)TDDプロファイルに現在準拠する既存のWiMAX TDDソリューションを利用するWiMAX FDDソリューションが定義され、このソリューションでは、TDD WiMAXソリューション/エコシステムの再利用が最大である。本明細書で説明される本態様および他の態様は、他のTDDワイヤレス・エア技術に適用することができ、WiMAXに限定されることはない。
【0020】
一実施形態では、WiMAX FDDソリューションは、フレーム構造をWAVE 1および2 WiMAX TDDプロファイルとして維持し、異なる周波数帯域での伝送および受信をサポートするために高周波(RF)レベルで変更を行い、それにより、WAVE 1および2 WiMAX TDDソリューション用に設計され、開発されたASICおよびソフトウェアの利用が容易になる。したがって、本明細書では、802.16e標準で定義されたFDDソリューションとは異なるWiMAX FDDソリューションが説明される。
【0021】
図1に示されたシステムは、アップリンク(UL)、すなわち逆方向リンク上で、1つまたは複数の移動体デバイス(図示せず)から情報を受信するための1つまたは複数の受信機12を備える基地送受信局(BTS)10を含む。受信機12は、1つまたは複数の移動体デバイスから受信された情報信号を多重化解除および/または復調するデマルチプレクサ/復調器14に結合される。プロセッサ16は、多重化解除された信号データを受信し、信号処理などに関する情報を記憶する機械読み取り可能なメモリ18に結合される。一実施形態では、メモリ18は、当業者には理解できようが、ワイヤレス通信および/またはセル式通信に関連した様々な機能、例えば、限定ではないが、アップリンク上で受信される信号の多重化解除、信号に含まれる情報の処理、ダウンリンク(DL)、すなわち順方向リンクでの伝送用の信号の生成と多重化、および任意の他の適切な通信プロトコルなどを実行するためのアルゴリズムを記憶している。プロセッサ16は、1つまたは複数の送信機22による1つまたは複数の移動体デバイス(図示せず)へのダウンリンクでの伝送用に、プロセッサ16によって生成または中継される伝送信号を多重化および/または変調するマルチプレクサ20に結合される。
【0022】
受信機12、demux 14、プロセッサ16、メモリ18、マルチプレクサ20、および送信機(1つまたは複数)22は、TDDの基盤およびソフトウェアを使用してFDDの通信プロトコルを実施するための命令を実行するFDDプロセッサ24にさらに結合される。例えば、FDDプロセッサ24は、図3について以下で説明するように、DL伝送とUL伝送の周波数をオフセットし(例えば、2つの半二重FDD搬送波を使用する)、DLとUL伝送/受信の期間を任意の一時点ではDL上をTDD搬送波の1つのみが伝送される(第2のTDD搬送波はUL上を伝送される)ように定義することにより、同じペア・スペクトル内で2つのTDD搬送波を使用することができる。
【0023】
図2は、BTS 10でFDD通信用に利用できる移動体デバイス50を示している。移動体デバイス50は、携帯電話、ラップトップ、スマートフォン、ワイヤレス・コンピューティング・デバイス、またはいずれか他の適切なワイヤレス通信デバイスであってよい。移動体デバイス50は、1つまたは複数の基地局(図1)からDL上で情報を受信するための1つまたは複数の受信機52を備える。受信機52は、(1つまたは複数の)基地局から受信された情報信号を多重化解除および/または復調するデマルチプレクサ/復調器54に結合される。プロセッサ56は、多重化解除された信号データを受信し、信号処理などに関する情報を記憶する機械読み取り可能なメモリ58に結合される。一実施形態では、メモリ58は、当業者には理解できようが、ワイヤレス通信および/またはセル式通信に関連した様々な機能、例えば、限定ではないが、ダウンリンク上で受信される信号の多重化解除、信号に含まれる情報の処理、ULでの伝送用の信号の生成と多重化、および任意の他の適切な通信プロトコルなどを実行するためのアルゴリズムを記憶している。プロセッサ56は、1つまたは複数の送信機62による1つまたは複数の基地局へのDLでの伝送用に、プロセッサ56によって生成または中継される伝送信号を多重化および/または変調するマルチプレクサ60に結合される。
【0024】
受信機52、demux/demod 54、プロセッサ56、メモリ58、マルチプレクサ60、および送信機(1つまたは複数)62は、TDDの基盤およびソフトウェアを使用してFDDの通信プロトコルを実施するための命令を実行するFDDプロセッサ64にさらに結合される。例えば、FDDプロセッサ64は、図3について以下で説明するように、DL伝送とUL伝送の周波数をオフセットし(例えば、2つの半二重FDD搬送波を使用する)、DLとUL伝送/受信の期間を任意の一時点ではDL上をTDD搬送波の1つのみが伝送される(第2のTDD搬送波はUL上を伝送される)ように定義することにより、同じペアのスペクトル内で2つのTDD搬送波を使用することができる。
【0025】
図3は、本明細書で説明される様々な態様による、FDDプロセッサが実行できるような伝送/受信方式70を示した図である。この通信プロトコルでは、BTSおよび移動体端末は、DL対UL伝送の周波数変換に修正を加えて、TDD通信プロトコルを利用しているかのように動作することができる。BTSは、2つのペア周波数帯域72、74からなるペア周波数帯域全体を利用し、そのため、真のFDDシステムと同様のスペクトル効率を得ることができる。第1の周波数帯域72はDL伝送専用であり、第2の伝送域74はアップリンク伝送専用である。例によれば、第1の周波数帯域72は約1710kHzから1755kHzであり、第2の周波数帯域74は約2110kHzから2155kHzである。他の例では、周波数帯域72、74のペア・スペクトルは、GSM(global system for mobile:移動体向けグローバル・システム)通信のペア・スペクトル帯域、例えば、T−GSM 380、T−GSM 410、GSM 450、GSM 480、GSM 710、GSM 750、T−GSM 810、GSM 850、P−GSM 900、E−GSM 900、R−GSM 900、T−GSM 900、DCS 1800、PCS 1900などと整合する。説明される態様は、前述のペア・スペクトル帯域幅に限定されることはなく、任意の適切なペア・スペクトル帯域幅とともに使用できることが理解できよう。
【0026】
通信方式70は周波数を時間の関数として示しており、通信方式70において、第1のDL伝送期間76では、DL伝送を、第1の周波数帯域72で第1のTDD搬送波(TDD搬送波1)を使用して行うことができ、第1のUL伝送期間78では、UL伝送を、第2の周波数帯域74で第2のTDD搬送波(TDD搬送波2)を使用して行うことができる。所定の時間に、UL伝送もDL伝送も行われない遷移期間80が実行される。一例では、遷移期間は約60μsの持続時間を有するが、他の持続時間も考えられる。遷移期間中、搬送波は、第2のDL伝送期間82中は、DL伝送が第1の周波数帯域72で第2のTDD搬送波を使用して行われ、UL伝送が第2の周波数帯域74で第1のTDD搬送波を使用して行われるように切り替えられる。このように、遷移期間は、UL伝送およびDL伝送が両方の周波数帯域上で同じTDD搬送波を使用して同時に行われないようにするために使用され、それにより、TDDソリューションの利用が容易になる。第2の伝送期間82、84の終わりに、別の遷移期間が使用され、その期間中に、それぞれのDLおよびUL伝送搬送波が再び切り替えられる。
【0027】
図4は、2つの「802.16e WiMAX TDD搬送波」を使用する、802.16e準拠のWiMAX FDD伝送方式であって、DLおよびUL伝送が、それぞれ、第1および第2の周波数帯域f1およびf2に変換され、その結果、それぞれの半FDD(H−FDD)搬送波になる伝送方式の例を示している。2つのTDD搬送波は、いくつかの伝送フレームで陰影付き(H−FDD搬送波1)および陰影なし(H−FDD搬送波2)記号として図示されている。伝送フレームは、一例では、47個の記号で構成され、それぞれの記号は約100μsの長さである。第1および第2のTDD搬送波は、例えば、2つの異なるプリアンブルを使用することにより互いに区別できる。最初に、移動体デバイスは、高い相関関係を生み出すプリアンブルを見つけるために全プリアンブルを検索する(例えば、移動体機器は、所与の移動体の構成に応じて、異なる順でプリアンブルを検索するようにプログラミングされる。)
【0028】
図示された例は、DL:UL記号比「29:18」を使用する1つのWiMAX H−FDD搬送波が、「19:27」のDL:UL記号比を使用する第2のWiMAX H−FDD搬送波とどのように組み合わせできるかを示している。この図は、H−FDD搬送波2のプリアンブルの時間オフセットが、そのプリアンブルが第1のH−FDD搬送波の伝送時間ギャップ(TTG)インターバル中に送信されるように、どのように適用されるのかも示している。TTG中は、第1のH−FDD搬送波を使用してデータは伝送されず、第1のH−FDD搬送波のULが周波数f2で伝送される。したがって、H−FDD搬送波1からのプリアンブル/FCH/DLおよびUL/DL−MAPトラフィックのみが時間tからtで伝送され、その時間は、一例では、約1.8msであろう。この時点で、移動体デバイスはDL周波数帯域f1で2つのプリアンブルを受信する。ランダム性のため、一部の移動体デバイスはH−FDD搬送波1からのプリアンブルにロックされ、他の移動体デバイスはH−FDD搬送波2にロックされる。不均衡な数の移動体デバイスが搬送波の一方にロックされる状況が発生した場合、当業者には理解できようが、より重い負荷の搬送波から、より軽い負荷の搬送波にユーザを移動させるために負荷平衡化プロシージャが使用される。
【0029】
図示されているように、DL伝送は、ある期間(省略記号によって示されている)、周波数f1で行われる。m番目のフレームの記号m18の後、伝送時間ギャップ(TTG)が発生し、その長さは、例えば、おおよそ150μsであろう。j番目のフレームが記号j47で終わるまで、H−FDD搬送波1を使用する帯域f1のDL伝送と並行して、H−FDD搬送波2を使用する周波数帯域f2でUL伝送が行われる。j番目のフレームが完了すると、受信時間ギャップ(RTG)が発生し、その長さは、おおよそ60μs(例えば、または1つの記号の持続時間未満)であろう。次いで、DL伝送は周波数帯域f2のH−FDD搬送波2に切り替わり、そのためのプリアンブルが伝送され、移動体デバイスがDL周波数帯域f2上の新しい搬送波を識別できるようになる。次いで、DL用のフレーム制御ヘッダ(FCH)情報がk番目のフレーム(例えば、k番目のフレームは、H−FDD搬送波1の完了したj番目のフレームの後に続く)で伝送され、FCH情報の後に、移動体デバイス用の伝送スケジュールを記載するDLおよびULマッピング情報が続く。一方、H−FDD搬送波2のm番目のフレームがUL伝送の周波数帯域f2上で記号m21から再開される。この例では、m番目のフレームの記号m19およびm20(例えば、約200μs)は伝送に使用されないが、それは、周波数帯域f1およびf2間で搬送波を切り替えるための遷移時間(例えば、時間tおよびt間の持続時間)が、これら2つの記号と重なり合う約150μsの期間を占有するからである。
【0030】
周波数帯域f2のH−FDD搬送波1のm番目のフレームの47番目の記号が完了すると、別のRTG期間が発生し、その間、DL伝送が、H−FDD搬送波2を使用する周波数帯域f1で記号k28中に行われる。遷移ギャップが時間tとtの間で発生し、その持続時間は、おおよそ100μs(例えば、1つの記号)であろうが、その間に、搬送波1が伝送のn番目のフレームを開始するので、周波数帯域f1でH−FDD搬送波1のプリアンブル情報が伝送される。周波数帯域f1の搬送波1の記号n1の間にFCHおよびDLマップ情報が伝送され、その間、搬送波2を使用する周波数帯域f2の記号k30でUL伝送が再開される。搬送波1および2が周波数帯域f1とf2の間で切り替えられるとき、記号k29は遷移ギャップと重なり合うので、記号k20は図から省略されていることに留意されたい。
【0031】
おおよその時間値を使用する別の例では、一連の時間点がラベルt〜tを付けて示されている。tが5.0msで発生する場合、tは、例えば、約5.15msで発生するであろう。tの時間値は、約7.98(例えば、それぞれ100μsの持続時間を有する約28個の記号)であろう。次いで、時間tが8.09ms(例えば、tの約100μs後)で発生するであろう。時間tは、約9.73ms、またはtの約16個の記号後(例えば、1.8ms後)で発生するであろう。記号は長さが約100μsであるため、時間tおよびtは、それぞれ、約9.84msおよび9.94msで発生するであろう。時間tは、tで始まる60μsのRTGの後で、約10.0msで発生するであろう。時間tは、tで始まる搬送波遷移ギャップの後で、約10.15msで発生するであろう。
【0032】
前述の例は本質的に例示であり、本明細書で説明される搬送波切り替え方式は、上述の具体的な時間マッピング、記号識別情報、遷移ギャップ持続時間、周波数帯域、UL:DL比などに限定されないことを理解されたい。
【0033】
上記の説明は本発明の特定の実施形態の開示を提供するだけで、本発明をその実施形態に限定するようには意図されていない。そのため、本発明は、上述の実施形態のみに限定されない。正しくは、当業者は、本発明の範囲に含まれる代替実施形態を考案できることが理解できよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダウンリンク(DL)周波数帯域(72)で1つまたは複数の移動体デバイス(50)に情報を伝送し、アップリンク(UL)周波数帯域(74)で前記1つまたは複数の移動体デバイス(50)から情報を受信する基地伝送局(BTS)(10)と、
第1および第2の時分割複信(TDD)搬送波を所定の切り替えスケジュールに従って交互に前記DL周波数帯域(72)の伝送信号に適用する周波数分割複信(FDD)プロセッサ(24)と、
前記所定の切り替えスケジュール、TDD搬送波識別情報、ならびにDLおよびUL周波数帯域に関する情報を記憶するメモリと、を含むセル式通信システム。
【請求項2】
前記BTS(10)が、伝送フレームの第1の部分の間に前記第1のTDD搬送波を使用して、そして前記伝送フレームの第2の部分の間に前記第2のTDD搬送を使用して、前記DL周波数帯域(72)で伝送し、前記BTSが、伝送フレームの第1の部分の間に前記第1のTDD搬送波を使用して、そして前記伝送フレームの第2の部分の間に前記第2のTDD搬送を使用して、前記UL周波数帯域(74)で受信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記FDDプロセッサ(24)が、前記伝送フレームの前記第1の部分の間に前記第1のTDD搬送波を前記伝送信号に適用し、前記伝送フレームの前記第2の部分の間に前記第2のTDD搬送波を前記伝送信号に適用し、そして第1の遷移ギャップを適用するものであり、前記第1の遷移ギャップの間に前記FDDプロセッサが前記第1のTDD搬送波から第2のTDD搬送波に切り替え、前記BTSが前記第1の遷移ギャップの間は前記UL周波数帯域(74)で情報を受信しない、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記伝送フレームの前記第1の部分がN個の記号を含み、前記Nは正の整数であり、前記伝送フレームの前記第2の部分がM−N個の記号を含み、前記Mはフレームごとの記号の数である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記FDDプロセッサ(24)が第2の遷移ギャップを適用し、前記第2の遷移ギャップの間に前記FDDプロセッサ(24)が前記DL周波数帯域での次の伝送フレームの第1の部分の伝送用に前記第2のTDD搬送波から前記第1のTDD搬送波に切り替え、前記第2の遷移ギャップが前記第1の遷移ギャップより短い、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
同じTDD搬送波を使用して前記DL周波数帯域(72)での伝送および前記UL周波数帯域(74)での受信が並行して行われることを防ぐために、前記UL周波数帯域(74)上に、各遷移ギャップ(80)の直前に受信時間ギャップ(RTG)をさらに有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
同じTDD搬送波を使用して前記DL周波数帯域(72)での伝送および前記UL周波数帯域(74)での受信が並行して行われることを防ぐために、前記記号の間に、前記第1の遷移ギャップ(80)の直前に伝送時間ギャップ(TTG)をさらに有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
FDD通信を行うために既存のTDD通信の構造を使用する方法であって、
DL周波数帯域(72)で伝送フレームの第1の部分の間に第1のTDD搬送波を使用してDL信号を伝送するステップと、
UL周波数帯域(74)で前記伝送フレームの前記第1の部分の間に第2のTDD搬送波を使用してUL信号を受信するステップと、
前記DL周波数帯域(72)で前記伝送フレームの第2の部分の間に前記第2のTDD搬送波を使用して前記DL信号を伝送するステップと、
前記UL周波数帯域(74)で前記伝送フレームの前記第2の部分の間に前記第1のTDD搬送波を使用して前記UL信号を受信するステップと、
前記伝送フレームの前記第1の部分と第2の部分の間で発生する第1の遷移ギャップの間に、前記DL周波数帯域(72)で前記第1のTDD搬送波から前記第2のTDD搬送波へ、および前記UL周波数帯域(74)で前記第2のTDD搬送波から前記第1のTDD搬送波へ切り替えるステップと、
前記伝送フレームの終わりに発生する第2の遷移ギャップの間に、前記DL周波数帯域(72)で前記第2のTDD搬送波から前記第1のTDD搬送波へ、および前記UL周波数帯域(74)で前記第1のTDD搬送波から前記第2のTDD搬送波へ切り替えるステップと、
同じTDD搬送波を使用して前記DL周波数帯域(72)での伝送および前記UL周波数帯域(74)での受信が並行して行われることを防ぐために、前記UL周波数帯域上に、各遷移ギャップの直前で受信時間ギャップ(RTG)を使用するステップと、を含む方法。
【請求項9】
前記伝送フレームの前記第1の部分がN個の記号を含み、前記Nは正の整数であり、前記伝送フレームの前記第2の部分がM−N個の記号を含み、前記Mはフレームごとの記号の数であり、前記第2の遷移ギャップが前記第1の遷移ギャップより短い、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
2つのTDD搬送波を半二重FDD搬送波として動作させることによりワイヤレス通信を容易にするシステムであって、
DL周波数帯域(72)で伝送フレームの第1の部分の間に第1のTDD搬送波を使用してDL信号を伝送する手段(16、18、20、22、24)と、
UL周波数帯域(74)で前記伝送フレームの前記第1の部分の間に第2のTDD搬送波を使用してUL信号を受信する手段(12、14)と、
前記DL周波数帯域(72)で前記伝送フレームの第2の部分の間に前記第2のTDD搬送波を使用して前記DL信号を伝送する手段(16、18、20、22、24)と、
前記UL周波数帯域で前記伝送フレームの前記第2の部分の間に前記第1のTDD搬送波を使用して前記UL信号を受信する手段(12、14)と、
前記伝送フレームの前記第1の部分と前記第2の部分の間で発生する第1の遷移ギャップの間に、前記DL周波数帯域で前記第1のTDD搬送波から前記第2のTDD搬送波へ、および前記UL周波数帯域で前記第2のTDD搬送波から前記第1のTDD搬送波へ切り替える手段(64)と、
前記伝送フレームの終わりに発生する第2の遷移ギャップの間に、前記DL周波数帯域で前記第2のTDD搬送波から前記第1のTDD搬送波へ、および前記UL周波数帯域で前記第1のTDD搬送波から前記第2のTDD搬送波へ切り替える手段(24)と、を含み、
前記伝送、受信および搬送波切り替えが、通信イベントの間、複数の伝送フレームにわたって反復して行われる、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−512064(P2011−512064A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542263(P2010−542263)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/000068
【国際公開番号】WO2009/089003
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】