説明

既設ピン支承の耐震化方法

【課題】既設ピン支承の全体を交換することなく、使用したままの状態でその耐震性を高めることができる方法を提供する。
【解決手段】半円筒形ボス部6の内周に半環状凸部12が形成された上沓と、半円筒形ボス部11の内周に半環状凸部13が形成された下沓と、半円筒形ボス部6,11がそれぞれ嵌め合わされたピン14であって、その軸方向中間部に各半環状凸部12,13がそれぞれ嵌め合わされた環状溝15を規定する縮径部14aを有し、各半環状凸部12,13の端面と環状溝15の壁面との間に軸方向隙間が形成されているピンと、ピン14の両端部に螺着されるキャップとを備えた既設ピン支承において、キャップを半環状凸部12,13の端面と環状溝の壁面との間の軸方向隙間aの寸法と、半円筒形ボス部6,11の端面と蓋部32の内面との間の軸方向隙間bの寸法とが等しくなるように蓋部32を交換用キャップと取り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、既設ピン支承の耐震化方法に関し、より詳細には橋梁において上下部構造間に設置された既設ピン支承の耐震性を高めるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁の上下部構造間に設置され、上部構造を回転可能に鉛直支持する支承としてピン支承が知られている。このピン支承の形式として、上下沓にそれぞれ設けた半円筒形ボス部にピンを嵌め合わせるようにしたものがある(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
この形式のピン支承は支圧形式と称され、上下部構造間での橋軸直角方向の水平力の伝達は、ピンを介してなされる。具体的には、上沓及び下沓の各半円筒形ボス部の軸方向中間部内周に半環状凸部が設けられ、他方ピンの軸方向中間部には縮径部を形成することによって、これら半環状凸部が嵌り合う環状溝が設けられている。また、半環状凸部の端面と環状溝の壁面との間には上部構造の回転を阻害しないように軸方向隙間が形成されている。このような構造により、上部構造に橋軸直角方向の水平力が作用すると、荷重は半環状凸部が環状溝の壁面に当接してピンに伝達され、さらに下部構造に伝達される。
【0004】
しかしながら、上記ピン支承において橋軸直角方向の水平力の伝達は、半環状凸部と環状溝の壁面との当接によってのみなされる。このため、例えばレベル2地震動(「道路橋示方書(V耐震設計編)・同解説」(社団法人 日本道路協会編)に示されている地震動)のような大きな地震動が発生すると、環状溝を形成するピンの縮径部に過大な応力が加わって破損し、上部構造の落下につながるとういう懸念がある。
【0005】
既設ピン支承を耐震性を考慮した新たな支承と交換すれば、上記のような問題を解消することができるが、支承全体の交換は多大な施工費用が発生するだけでなく、車両通行に与える影響も大きい。このようなことから、既設ピン支承をそのまま使用した状態で、耐震性を高める対策が望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】佐伯彰一編著「図解 橋梁用語事典」株式会社山海堂、1993年5月20日(第6刷)、p.256−257
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は上記のような技術的背景に基づいてなされたものであって、次の目的を達成するものである。
この発明の目的は、既設ピン支承の全体を交換することなく、使用したままの状態でその耐震性を高めることができ、施工費用を極めて安価に抑えることができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、上沓及び下沓の各半円筒形ボス部を覆うようにピンの両端軸部に螺着されているキャップに着目した。そして、上部構造に水平力が作用した際に、半環状凸部と環状溝の壁面とが当接するのみならず、同時に半円筒形ボス部の端面がキャップにも当接するようにすれば、水平力がキャップとピンとの螺着部を介してピンの両端軸部に伝達され、水平力はピンの軸方向中間部の縮径部に加えて両端軸部の計3箇所で分担することになるので、ピンの損傷が防止されることを見出した。
【0009】
この発明は上記のような知見に基づくもので、次のような手段を採用している。
すなわち、この発明の第1は、上部構造に固定された上沓であって、下部に半円筒形ボス部を有し、その軸方向中間部内周に周方向に沿った半環状凸部が形成された上沓と、
下部構造に固定された下沓であって、上部に半円筒形ボス部を有し、その軸方向中間部内周に半環状凸部が形成された下沓と、
前記上沓及び下沓の各半円筒ボス部がそれぞれ嵌め合わされたピンであって、その軸方向中間部に前記上沓及び下沓の各半環状凸部がそれぞれ嵌め合わされた環状溝を規定する縮径部を有し、各半環状凸部の軸方向端面と環状溝の壁面との間に軸方向隙間が形成されているピンと、
このピンの両端部に形成された軸部に螺着されたキャップであって、前記軸部が挿入される取付孔を中央に有する蓋部と、この蓋部の外周に設けられて前記上沓及び下沓の各半円筒形ボス部の端部を覆う円筒形部とを有するキャップとを備えた既設ピン支承において、
前記キャップを、前記半環状凸部の軸方向端面と前記環状溝の壁面との間の軸方向隙間(a)の寸法と、前記半円筒形ボス部の軸方向端面と前記キャップの蓋部の内面との間の軸方向隙間(b)の寸法とが等しくなるように蓋部を形成した交換キャップと取り替えることを特徴とする既設ピン支承の耐震化方法にある。
【0010】
また、この発明の第2は、上部構造に固定された上沓であって、下部に複数のリブに支持された半円筒形ボス部を有し、その軸方向中間部内周に周方向に沿った半環状凸部が形成された上沓と、
下部構造に固定された下沓であって、上部に複数のリブに支持された半円筒形ボス部を有し、その軸方向中間部内周に半環状凸部が形成された下沓と、
前記上沓及び下沓の各半円筒ボス部がそれぞれ嵌め合わされたピンであって、その軸方向中間部に前記上沓及び下沓の各半環状凸部がそれぞれ嵌め合わされた環状溝を規定する縮径部を有し、各半環状凸部の軸方向端面と環状溝の壁面との間に軸方向隙間が形成されているピンと、
このピンの両端部に形成された軸部に螺着されたキャップであって、前記軸部が挿入される取付穴を中央に有する蓋部と、この蓋部の外周に設けられて前記上沓及び下沓の各半円筒形ボス部の端部を覆う円筒形部とを有するキャップとを備えた既設ピン支承の交換用キャップであって、
前記キャップを、前記半環状凸部の軸方向端面と前記環状溝の壁面との間の軸方向隙間(a)の寸法と、前記リブと前記キャップの円筒形部の端面との間の軸方向隙間(c)の寸法とが等しくなるように円筒形部を形成した交換キャップと取り替えることを特徴とする既設ピン支承の耐震化方法にある。
【0011】
さらに、この発明第3は、上部構造に固定された上沓であって、下部に複数のリブに支持された半円筒形ボス部を有し、その軸方向中間部内周に周方向に沿った半環状凸部が形成された上沓と、
下部構造に固定された下沓であって、上部に複数のリブに支持された半円筒形ボス部を有し、その軸方向中間部内周に半環状凸部が形成された下沓と、
前記上沓及び下沓の各半円筒ボス部がそれぞれ嵌め合わされたピンであって、その軸方向中間部に前記上沓及び下沓の各半環状凸部がそれぞれ嵌め合わされた環状溝を規定する縮径部を有し、各半環状凸部の軸方向端面と環状溝の壁面との間に軸方向隙間が形成されているピンと、
このピンの両端部に形成された軸部に螺着されたキャップであって、前記軸部が挿入される取付穴を中央に有する蓋部と、この蓋部の外周に設けられて前記上沓及び下沓の各半円筒形ボス部の端部を覆う円筒形部とを有するキャップとを備えた既設ピン支承において、
前記キャップを、前記半環状凸部の軸方向端面と前記環状溝の壁面との間の軸方向隙間(a)の寸法と、前記半円筒形ボス部の軸方向端面と前記キャップの蓋部の内面との間の軸方向隙間(b)の寸法とが等しくなるように蓋部を形成するとともに、前記半環状凸部の軸方向端面と前記環状溝の壁面との間の軸方向隙間(a)の寸法と、前記リブと前記キャップの円筒形部の端面との間の軸方向隙間(c)の寸法とが等しくなるように円筒形部を形成した交換キャップと取り替えることを特徴とする既設ピン支承の耐震化方法にある。
【発明の効果】
【0012】
この発明の第1によれば、上部構造に橋軸直角方向の水平力が作用すると、半環状凸部の軸方向端面と環状溝の壁面とが当接すると同時に、半円筒形ボス部の軸方向端面と交換キャップの蓋部の内面とが当接し、水平力はキャップとピンとの螺着部を介してピンの両端軸部に伝達される。したがって、水平力はピンの軸方向中間部の縮径部に加えて両端軸部の計3箇所で分担することになるので、ピンの損傷が防止される。これにより、キャップを交換するだけで既設ピン支承の耐震性向上を図ることができ、施工費用も極めて安価に抑えることができる。
【0013】
この発明の第2によれば、上部構造に橋軸直角方向の水平力が作用すると、半環状凸部の軸方向端面と環状溝の壁面とが当接すると同時に、リブの軸方向端面と交換キャップの円筒形部の端面とが当接し、水平力はキャップとピンとの螺着部を介してピンの両端軸部に伝達される。したがって、水平力はピンの軸方向中間部の縮径部に加えて両端軸部の計3箇所で分担することになるので、ピンの損傷が防止され、この発明の第1と同様の効果が得られる。
【0014】
この発明の第3によれば、上部構造に橋軸直角方向の水平力が作用すると、半環状凸部の軸方向端面と環状溝の壁面とが当接すると同時に、半円筒形ボス部の軸方向端面と交換キャップの蓋部の内面とが当接し、またリブの軸方向端面と交換キャップの円筒形部の端面とが当接し、水平力はキャップとピンとの螺着部を介してピンの両端軸部に伝達される。したがって、水平力はピンの軸方向中間部の縮径部に加えて両端軸部の計3箇所で分担することになるので、ピンの損傷が防止され、この発明の第1と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】既設ピン支承の鉛直方向半断面図である。
【図2】同既設ピン支承の分解斜視図である。
【図3】この発明によって交換用キャップを取り付けた状態を示す断面図である。
【図4】蓋部内面を誇張して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1,図2は、この発明により耐震化の対象としている既設ピン支承を示している。ピン支承は上部構造50に固定される上沓1と、下部構造51に固定される下沓2とを備えている。上沓1は、上部構造50に嵌め込まれるせん断キー3が設けられたベース4を有している。ベース4の下部には複数のリブ5が設けられ、これらのリブ5に半円筒形ボス部6が設けられている。
【0017】
下沓2も上沓1とほぼ同じ構成であり、下部構造51に埋め込まれる定着部7が設けられたベース8を有している。このベース8はアンカーボルト9を介して下部構造51に固定されている。ベース8の上部には複数のリブ10が設けられ、これらのリブ10に半円筒形ボス部11が設けられている。リブ5,10は半円筒形ボス部6,11をそれぞれ支持する支持部材である。
【0018】
上沓1及び下沓2の半円筒形ボス部6,11は、それらの軸方向に沿って延びる端面が互いに対向するように配置されて全体として円筒形となり、内側にピン孔が形成される。これらの半円筒形ボス部6,11の軸方向中間部内周には半環状凸部12,13が設けられている。これらの半環状凸部12,13も、半円筒形ボス部6,11が対向配置された状態で、全体として環状となる。
【0019】
半円筒形ボス部6,11の内周にはピン14が嵌め合わされている。ピン14は軸方向中間部に縮径部14aを設けることによって環状溝15が形成され、この環状溝15に半環状凸部12,13が嵌め合わされている。半円筒形ボス部6,11はピン14が嵌った状態で、それらの軸方向に沿う対向端面間に所定大きさの隙間16が形成され、この隙間の大きさ範囲で上沓1が鉛直方向に回転可能である。また、上部構造50に橋軸直角方向の水平力が作用すると、半環状凸部12,13の軸方向端面が環状溝15の壁面に当接し、水平力はピン14を介して上沓1から下沓2に、すなわち上部構造50から下部構造51に伝達される。
【0020】
ピン14は両端部に軸部17を有し、この軸部17にキャップ18が取り付けられている。図2に示すように、キャップ18は蓋部19とその外周に形成された円筒形部20とからなり、蓋部19には中央に軸部17の取付穴21が形成されている。キャップ18は取付穴21に軸部17を挿入し、軸部17に形成された雄ねじにナット22を螺着することによって軸部17に固定されている。このキャップ18の取付け状態で、半円筒形ボス部6,11の各軸方向端部がキャップ18の円筒形部20によって覆われる。
【0021】
この発明は上記既設ピン支承の耐震化を図るために、キャップ18を新たな交換キャップと取り替えるものである。図3に示すように、交換キャップ30はその基本構成は既設のキャップ18と同じである。すなわち、交換キャップ30はピン14の軸部17の取付穴31を有する蓋部32と、蓋部32の外周に形成されて、半円筒形ボス部6,11の軸方向端部を覆う円筒形部33とからなっている。
【0022】
図1,図2を参照しての説明では図面の都合上記載しなかったが、半円筒形ボス部6,11に形成された半環状凸部12,13の軸方向端面と、ピン14に形成された環状溝15の壁面との間には隙間aが形成されている。また、ピン14は半円筒形ボス部6,11の軸方向端面から外方に僅かに突出しており、したがって、半円筒形ボス部6,11の軸方向端面と交換キャップ30の蓋部32の内面との間にも隙間bが形成されている。さらに、交換キャップ30の円筒形部33の端面と、リブ5との間にも隙間cが形成されている。
【0023】
これらの隙間a,b,cは、上沓1の回転を阻害しないように既設ピン支承においても形成されているのであるが、既設ピン支承では隙間aの寸法が最も小さくなっている。このため、上部構造50に作用する橋軸直角方向の水平力は、上述したように、半環状凸部12,13の軸方向端面と環状溝15の壁面とが当接することによってのみ伝達され、地震時には環状溝15を規定するピン14の縮径部14aに過大な応力が加わる。
【0024】
交換キャップ30は、隙間aの寸法と隙間bの寸法とが等しくなるように蓋部32が形成されている。具体的には、図4に誇張して示すように、蓋部32の内面に環状の段差34が設けられている。この段差34は、これを境としてその内周側の内面部分35すなわちピン14の端面に当接する内面部分35が環状凹部となるような段差である。これにより、半円筒形ボス部6,11の端面と、これに対向する段差34よりも外周側の内面部分36との間の隙間bの寸法を、隙間aの寸法と等しくすることができる。隙間aの寸法は既設ピン支承の設計図書から容易に知ることができ、この寸法をもとに交換キャップ30蓋部32の内面を加工することができる。なお、いうまでもなく交換キャップ30はピン14の一方の端部にのみ取り付けられるのではなく両端部に取り付けられる。
【0025】
図3に示すように、この実施形態では、交換キャップ30の取付穴31に雌ねじが形成されている。交換キャップ30は、この雌ねじにピン14の軸部17に形成した雄ねじ17aを螺着することによってピン14に直接固定されるが、既設ピン支承に取り付けられているキャップ18のように、ナットで固定するようにしてもよい。
【0026】
上記のような交換キャップ30によれば、上部構造50に橋軸直角方向の水平力が作用すると、半環状凸部12,13の軸方向端面と環状溝15の壁面とが当接すると同時に、半円筒形ボス部6,11の軸方向端面と交換キャップ30の蓋部32の内面とが当接する。この結果、水平力はピン14の縮径部14aのみならず、キャップ30とピン14との螺着部17aを介してピン14の両端軸部17にも伝達される。したがって、水平力はピン14の軸方向中間部の縮径部14aに加えて、両端軸部17の計3箇所で分担することになるので、ピンの損傷が防止される。
【0027】
上記と同様の作用は、隙間aの寸法と隙間cの寸法とを等しくすることによっても得ることができる。すなわち、上部構造50に橋軸直角方向の水平力が作用すると、半環状凸部12,13の軸方向端面と環状溝15の壁面とが当接すると同時に、リブ5の軸方向端面と交換キャップ30の円筒形部33の端面とが当接する。このような寸法関係とするには、交換キャップ30を加工成形する際に、円筒形部33の高さを調整すればよい。また、この場合、隙間bの寸法も隙間aの寸法と等しくなるようにしてもよい。すなわち、隙間a、隙間b及び隙間cの各寸法を全て等しくなるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 上沓
2 下沓
4 ベース
5 リブ
6 半円筒形ボス部
8 ベース
10 リブ
11 半円筒形ボス部
12,13 半環状凸部
14 ピン
14a 縮径部
15 環状溝
17 軸部
18 既設キャップ
30 交換用キャップ
31 取付穴
32 蓋部
33 円筒形部
50 上部構造
51 下部構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部構造に固定された上沓であって、下部に半円筒形ボス部を有し、その軸方向中間部内周に周方向に沿った半環状凸部が形成された上沓と、
下部構造に固定された下沓であって、上部に半円筒形ボス部を有し、その軸方向中間部内周に半環状凸部が形成された下沓と、
前記上沓及び下沓の各半円筒ボス部がそれぞれ嵌め合わされたピンであって、その軸方向中間部に前記上沓及び下沓の各半環状凸部がそれぞれ嵌め合わされた環状溝を規定する縮径部を有し、各半環状凸部の軸方向端面と環状溝の壁面との間に軸方向隙間が形成されているピンと、
このピンの両端部に形成された軸部に螺着されたキャップであって、前記軸部が挿入される取付孔を中央に有する蓋部と、この蓋部の外周に設けられて前記上沓及び下沓の各半円筒形ボス部の端部を覆う円筒形部とを有するキャップとを備えた既設ピン支承において、
前記キャップを、前記半環状凸部の軸方向端面と前記環状溝の壁面との間の軸方向隙間(a)の寸法と、前記半円筒形ボス部の軸方向端面と前記キャップの蓋部の内面との間の軸方向隙間(b)の寸法とが等しくなるように蓋部を形成した交換キャップと取り替えることを特徴とする既設ピン支承の耐震化方法。
【請求項2】
上部構造に固定された上沓であって、下部に複数のリブに支持された半円筒形ボス部を有し、その軸方向中間部内周に周方向に沿った半環状凸部が形成された上沓と、
下部構造に固定された下沓であって、上部に複数のリブに支持された半円筒形ボス部を有し、その軸方向中間部内周に半環状凸部が形成された下沓と、
前記上沓及び下沓の各半円筒ボス部がそれぞれ嵌め合わされたピンであって、その軸方向中間部に前記上沓及び下沓の各半環状凸部がそれぞれ嵌め合わされた環状溝を規定する縮径部を有し、各半環状凸部の軸方向端面と環状溝の壁面との間に軸方向隙間が形成されているピンと、
このピンの両端部に形成された軸部に螺着されたキャップであって、前記軸部が挿入される取付穴を中央に有する蓋部と、この蓋部の外周に設けられて前記上沓及び下沓の各半円筒形ボス部の端部を覆う円筒形部とを有するキャップとを備えた既設ピン支承において、
前記キャップを、前記半環状凸部の軸方向端面と前記環状溝の壁面との間の軸方向隙間(a)の寸法と、前記リブと前記キャップの円筒形部の端面との間の軸方向隙間(c)の寸法とが等しくなるように円筒形部を形成した交換キャップと取り替えることを特徴とする既設ピン支承の耐震化方法。
【請求項3】
上部構造に固定された上沓であって、下部に複数のリブに支持された半円筒形ボス部を有し、その軸方向中間部内周に周方向に沿った半環状凸部が形成された上沓と、
下部構造に固定された下沓であって、上部に複数のリブに支持された半円筒形ボス部を有し、その軸方向中間部内周に半環状凸部が形成された下沓と、
前記上沓及び下沓の各半円筒ボス部がそれぞれ嵌め合わされたピンであって、その軸方向中間部に前記上沓及び下沓の各半環状凸部がそれぞれ嵌め合わされた環状溝を規定する縮径部を有し、各半環状凸部の軸方向端面と環状溝の壁面との間に軸方向隙間が形成されているピンと、
このピンの両端部に形成された軸部に螺着されたキャップであって、前記軸部が挿入される取付穴を中央に有する蓋部と、この蓋部の外周に設けられて前記上沓及び下沓の各半円筒形ボス部の端部を覆う円筒形部とを有するキャップとを備えた既設ピン支承において、
前記キャップを、前記半環状凸部の軸方向端面と前記環状溝の壁面との間の軸方向隙間(a)の寸法と、前記半円筒形ボス部の軸方向端面と前記キャップの蓋部の内面との間の軸方向隙間(b)の寸法とが等しくなるように蓋部を形成するとともに、前記半環状凸部の軸方向端面と前記環状溝の壁面との間の軸方向隙間(a)の寸法と、前記リブと前記キャップの円筒形部の端面との間の軸方向隙間(c)の寸法とが等しくなるように円筒形部を形成した交換キャップと取り替えることを特徴とする既設ピン支承の耐震化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−127072(P2012−127072A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277708(P2010−277708)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(592000886)八千代エンジニヤリング株式会社 (16)
【出願人】(509199007)株式会社川金コアテック (8)
【Fターム(参考)】