説明

昇圧型DC−DCコンバータ

【課題】昇圧用主スイッチ手段とソフトスイッチング用補助スイッチ手段とのオンタイミングのずれに起因するスイッチング損失の増加を抑制し、電力変換効率の低下を抑制することが可能な昇圧型DC−DCコンバータを提供する
【解決手段】一実施形態に係る昇圧型DC−DCコンバータ12は、スイッチ手段S1を有する主昇圧部12aと、スナバコンデンサC2とスナバコンデンサC2の電荷を除去するスイッチ手段S2とを有する補助昇圧部12bと、スイッチ手段S1の前にスイッチ手段S2をオンさせてソフトスイッチングを行う昇圧制御手段12eとを備え、昇圧制御手段12cは、スナバコンデンサC2の電圧とスイッチ手段S1の端子間電圧とから、スイッチ手段S1のオンタイミングずれを検出する検出手段120と、スイッチ手段S1のオンタイミングとスイッチ手段S2のオンタイミングとを相対的に調整する調整手段130とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池等の直流電源からの出力電圧を昇圧する昇圧型DC−DCコンバータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両等における駆動モータに電力を供給する電源として、燃料電池が注目されている。燃料電池は、ガス供給量の応答遅れに起因して出力電力の応答性が低い場合があり、その補償のために二次電池が併用される場合がある。これらの燃料電池や二次電池等の出力電圧は、昇圧型DC−DCコンバータによって昇圧され、インバータによって変換されて、駆動モータに供給されることとなる。
【0003】
特許文献1には、この種の昇圧型DC−DCコンバータとして、ソフトスイッチング機能を有する昇圧型DC−DCコンバータが開示されている。この昇圧型DC−DCコンバータは、直流電源の出力電圧を昇圧する主昇圧部と、ソフトスイッチング機能のための補助昇圧部及び昇圧制御手段とを備えている。主昇圧部は、直流電源の高電位側端子に接続された主コイルに対して、主スイッチ手段によってスイッチング動作を行うスイッチング型の昇圧回路であり、補助昇圧部は、主スイッチ手段に印加される電圧を調整可能なスナバコンデンサと、スナバコンデンサの印加電圧を調整する補助スイッチ手段とを有している。そして、昇圧制御手段によって、主スイッチ手段のスイッチング動作において主スイッチ手段をオンさせる前に、補助スイッチ手段をオンさせてスナバコンデンサに蓄電された電荷を除去することで、ソフトスイッチング機能を実現している。これにより、主スイッチ手段のスイッチング損失の増加を抑制し、電力変換効率の低下を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−165245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、昇圧型DC−DCコンバータでは、制御回路のばらつきや変動、制御回路とスイッチ手段との間の部品のばらつきや変動、及び、信号伝送線路等の遅延量のばらつきや変動等に起因して、昇圧用主スイッチとソフトスイッチ用補助スイッチとのオンタイミングのずれが発生すると、スナバコンデンサに蓄電された電荷の除去が適切に行われていないときに、すなわち、主スイッチ手段に印加される電圧の除去が適切に行われていないときに、主スイッチ手段をオンしてしまうことがある。その結果、主スイッチ手段のスイッチング損失が増加し、電力変換効率が低下してしまうことがある。
【0006】
そこで、本発明は、昇圧用主スイッチ手段とソフトスイッチング用補助スイッチ手段とのオンタイミングのずれに起因するスイッチング損失の増加を抑制し、電力変換効率の低下を抑制することが可能な昇圧型DC−DCコンバータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の昇圧型DC−DCコンバータは、直流電源の出力電圧を昇圧し、当該昇圧電圧を負荷に供給する昇圧型DC−DCコンバータであって、直流電源の高電位側端子に接続された主コイルに対して、主スイッチ手段によってスイッチング動作を行うことで、直流電源の出力電圧を昇圧する主昇圧部と、主スイッチ手段に対して並列に接続され主スイッチ手段に印加される電圧を調整可能なスナバコンデンサと、当該スナバコンデンサの印加電圧を調整する補助スイッチ手段とを有する補助昇圧部と、主スイッチ手段のスイッチング動作において主スイッチ手段をオンさせる前に、補助スイッチ手段をオンさせてスナバコンデンサに蓄電された電荷を除去する昇圧制御手段とを備え、昇圧制御手段は、スナバコンデンサの電荷量と主スイッチ手段の端子間電圧とから、スナバコンデンサの電荷が除去されていないときに主スイッチ手段がオンするオンタイミングずれを検出するオンタイミング検出手段と、オンタイミングずれが検出された場合に、スナバコンデンサの電荷が除去されたときに主スイッチ手段がオンするように、主スイッチ手段のオンタイミングと補助スイッチ手段のオンタイミングとを相対的に調整するオンタイミング調整手段とを有することを特徴とする。
【0008】
この昇圧型DC−DCコンバータでは、主スイッチ手段の適切なソフトスイッチングのタイミングは、スナバコンデンサの電荷が除去され、主スイッチ手段の端子間電圧が除去されたときであり、すなわち、スナバコンデンサの電荷量がゼロであり、主スイッチ手段の端子間電圧がゼロであるときである。
【0009】
この昇圧型DC−DCコンバータによれば、オンタイミング検出手段によって、スナバコンデンサの電荷量と主スイッチ手段の端子間電圧とから、スナバコンデンサの電荷が除去されていないときに主スイッチ手段がオンするオンタイミングずれを適切に検出し、オンタイミング調整手段によって、スナバコンデンサの電荷が除去されたときに主スイッチ手段がオンするように、主スイッチ手段のオンタイミングと補助スイッチ手段のオンタイミングとを相対的に調整するので、昇圧用主スイッチ手段とソフトスイッチング用補助スイッチ手段とのオンタイミングのずれに起因するスイッチング損失の増加を抑制することができ、電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0010】
上記したオンタイミング検出手段は、スナバコンデンサの電荷量及び主スイッチ手段の端子間電圧がゼロでないときに主スイッチ手段がオンするオンタイミングずれを検出し、上記したオンタイミング調整手段は、スナバコンデンサの電荷量及び主スイッチ手段の端子間電圧がゼロであるときに主スイッチ手段がオンするように、主スイッチ手段のオンタイミングと補助スイッチ手段のオンタイミングとを相対的に調整する。
【0011】
また、上記した主昇圧部は、直流電源の高電位側端子に一端が接続された主コイルと、主コイルの他端と直流電源の低電位側端子との間に接続された主スイッチ手段と、主コイルの他端と負荷との間に接続され主コイルから負荷へ向けて整流機能を有する主整流素子とを有する。
【0012】
また、上記した補助昇圧部は、主スイッチ手段に並列に設けられたスナバコンデンサと、主スイッチ手段に並列に且つスナバコンデンサに直列に設けられ主スイッチ手段からスナバコンデンサへ向けて整流機能を有する当該スナバ整流素子と、スナバコンデンサ及びスナバ整流素子の接続点と主コイルの一端との間に設けられた補助スイッチ手段とを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ソフトスイッチング機能を有する昇圧型DC−DCコンバータにおいて、昇圧用主スイッチ手段とソフトスイッチング用補助スイッチ手段とのオンタイミングのずれに起因するスイッチング損失の増加を抑制し、電力変換効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る燃料電池システムの構成を、該燃料電池システムからの電力を駆動源とする車両と共に示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る昇圧型DC−DCコンバータの構成を示す回路図である。
【図3】図2に示すスイッチング信号Ss1、Ss2の波形の一例を示す図である。
【図4】図2に示す検出信号Sd1,Sd2,Sd3の一例を示す図である。
【図5】ソフトスイッチング動作を介した昇圧型DC−DCコンバータでの昇圧のための一サイクルの動作の各部電圧電流波形である。
【図6】ソフトスイッチング動作における昇圧型DC−DCコンバータでの電流、電圧の流れるモード1〜モード6それぞれの状態を示す図である。
【図7】ソフトスイッチング動作におけるスイッチ素子S1のオンタイミングの最適状態、進角状態、遅角状態を示す図である。
【図8】ソフトスイッチング動作におけるスイッチ素子S1のオンタイミングの最適状態(a)、進角状態(b)、遅角状態(c)におけるスナバコンデンサC2の電圧Vc2とスイッチ素子S1の端子間電圧Vs1(下図)、及び、これらの差電圧Vc2−Vs1(上図)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0016】
図1は、本実施形態に係る燃料電池システムの構成を、該燃料電池システムからの電力を駆動源とする車両と共に示す図である。なお、本実施形態の燃料電池システムは、移動体である車両の駆動装置である駆動モータに対して電力を供給するものであるが、船舶やロボット等の車両以外の移動体や、移動は行わないが電力の供給を受ける必要がある物に対しても適用が可能である。
【0017】
車両1は、駆動輪2が駆動モータ(以下、単に「モータ」という。)16によって駆動されることで自走し、移動可能となる。このモータ16は、いわゆる三相交流モータであって、インバータ15から交流電力の供給を受ける。更に、このインバータ15へは、燃料電池システム10のメイン電力源である燃料電池(以下、「FC」ともいう。)11と、二次電池であるバッテリ13から直流電力が供給され、それがインバータ15で交流へ変換されている。
【0018】
ここで、燃料電池11は、水素タンク17に貯蔵されている水素ガスとコンプレッサ18によって圧送されてくる空気中の酸素との電気化学反応にて発電を行い、該燃料電池11とインバータ15との間には、昇圧型DC−DCコンバータ12が電気的に接続されている。これにより、燃料電池11からの出力電圧は、昇圧型DC−DCコンバータ12によって制御可能な範囲で任意の電圧に昇圧され、インバータ15に印加される。また、この昇圧型DC−DCコンバータ12の昇圧動作によって燃料電池11の端子電圧を制御することも可能となる。尚、昇圧型DC−DCコンバータ12の詳細な構成については、後述する。また、バッテリ13は、充放電が可能な蓄電装置であって、該バッテリ13とインバータ15との間に該インバータ15に対して上記昇圧型DC−DCコンバータ12と並列になるように、昇圧型のDC−DCコンバータ14が電気的に接続されている。これにより、バッテリ13からの出力電圧は、昇圧型DC−DCコンバータ14によって制御可能な範囲で任意の電圧に昇圧され、インバータ15に印加される。また、この昇圧型DC−DCコンバータ14の昇圧動作によってインバータ15の端子電圧を制御することも可能となる。尚、図1中に示すように、燃料電池システム10においては、昇圧型DC−DCコンバータ14に代えて、昇圧動作および降圧動作が可能な昇降圧型のDC−DCコンバータも採用可能である。以下の実施例では、主に昇圧型DC−DCコンバータ14を昇圧型のコンバータとして説明を進めていくが、これには昇降圧型のコンバータの採用を制限する意図は無く、その採用に際しては適宜調整が行われる。そして、昇圧型DC−DCコンバータを採用することにより更に特筆すべき事実については適切にその開示を行っていく。
【0019】
また車両1には、電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)20が備えられ、上述した各制御対象に電気的に接続されることで、燃料電池11の発電やモータ16の駆動等が制御されることになる。例えば、車両1には、ユーザからの加速要求を受けるアクセルペダルが設けられ、その開度がアクセルペダルセンサ21によって検出され、その検出信号がECU20に電気的に伝えられる。また、ECU20は、モータ16の回転数を検出するエンコーダにも電気的に接続され、これによりECU20でモータ16の回転数が検出される。ECU20は、これらの検出値等に基づいて、各種の制御が可能である。
【0020】
このように構成される燃料電池システム10では、車両1のユーザが踏んだアクセルペダルの開度がアクセルペダルセンサ21によって検出され、ECU20がそのアクセル開度とモータ16の回転数等に基づいて、燃料電池11の発電量やバッテリ13からの充放電量が適宜制御される。ここで、移動体である車両1の燃費を向上させるために、モータ16が高電圧低電流仕様のPMモータとなっている。従って、モータ16は、低電流で高トルクを発揮することが可能となるため、モータ内部の巻線やその他の配線での発熱を軽減することが可能となり、またインバータ15の定格出力を小さくすることが可能となる。具体的には、モータ16では低電流で比較的大きなトルク出力を可能とするためにその逆起電圧が比較的高く設定される一方で、その高逆起電圧に抗して高回転数での駆動が可能となるように、燃料電池システム10からの供給電圧が高く設定される。このとき、燃料電池11とインバータ15の間に昇圧型DC−DCコンバータ12を設け、バッテリ13とインバータ15との間にも昇圧型DC−DCコンバータ14を設けることで、インバータ15への供給電圧の高電圧化が図られる。繰り返しにはなるが、この昇圧型DC−DCコンバータ14に代えて昇降圧型のコンバータも採用可能である。
【0021】
このように燃料電池システム10を昇圧型DC−DCコンバータ12を含む構成とすることで、燃料電池11自体の出力電圧(端子間電圧)が低くても、昇圧型DC−DCコンバータ12の昇圧動作によりモータ16を駆動することが可能となるので、燃料電池11のセル積層枚数を低減する等してその小型化を図ることも可能となる。その結果、車両1の重量を低減でき、その燃費向上を更に促進することができる。
【0022】
ここで、燃料電池システム10においては、発電可能な燃料電池11がモータ16に対するメイン電力源となっている。従って、燃料電池システム10の効率を向上させるためには、燃料電池11とインバータ15との間に介在する昇圧型DC−DCコンバータ12での電力損失を低減することが、システム全体の効率向上に大きく寄与すると考えられる。もちろん、バッテリ13とインバータ15との間の昇圧型DC−DCコンバータ14にも原則的に同様のことが当てはまる。
【0023】
次に、図2に基づいて、本発明の実施形態に係る昇圧型DC−DCコンバータ12について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る昇圧型DC−DCコンバータの構成を示す回路図である。なお、図2には、昇圧型DC−DCコンバータ12と共に、直流電源として燃料電池11と、負荷としてインバータ15及びモータ16を記載している。
【0024】
昇圧型DC−DCコンバータ12は、昇圧動作を行うための主昇圧回路12aと、後述するソフトスイッチング動作を行うための補助回路(補助昇圧回路)12bと、フォトカプラ12c,12dと、主昇圧回路12a及び補助回路12bのための制御部(昇圧制御手段)12eとで構成されている。主昇圧回路12aは、スイッチ素子(主スイッチ手段)S1とダイオードD4で構成されるスイッチング回路のスイッチ動作によって、コイル(主コイル)L1に蓄えられたエネルギをモータ16側(インバータ15側)にダイオード(主整流素子)D5を介して解放することで燃料電池11の出力電圧を昇圧する。具体的には、コイルL1の一端が燃料電池11の高電位側の端子に接続される。そして、スイッチ素子S1の一端の極が、コイルL1の他端に接続されるとともに、該スイッチ素子S1の他端の極が、燃料電池11の低電位側の端子(グランド)に接続されている。また、ダイオードD5のアノード端子がコイルL1の他端に接続され、更に、コンデンサC3が、ダイオードD5のカソード端子とスイッチ素子S1の他端との間に接続されている。尚、この主昇圧回路12aにおいて、コンデンサC3は、昇圧電圧の平滑コンデンサとして機能する。尚、主昇圧回路12aには、燃料電池11側に平滑コンデンサC1も設けられ、これにより燃料電池11の出力電流のリップルを低減することが可能となる。この平滑コンデンサC3にかかる電圧VHは、昇圧型DC−DCコンバータ12の出口電圧となる。また、図2では、燃料電池11の電源電圧をVLで示し、これは平滑コンデンサC1にかかる電圧であって、且つ昇圧型DC−DCコンバータ12の入口電圧となる。
【0025】
次に、補助回路12bには、先ずスイッチ素子S1に並列に接続された、ダイオード(スナバ整流素子)D3と、それに直列に接続されたスナバコンデンサC2とを含む第一直列接続体が含まれる。この第一直列接続体では、ダイオードD3のアノード端子がコイルL1の他端に接続され、そのカソード端子がスナバコンデンサC2の一端に接続されている。更に、該スナバコンデンサC2の他端は、燃料電池11の低電位側の端子(グランド)に接続されている。更に、補助回路12bには、誘導素子であるコイルL2と、ダイオードD2と、スイッチ素子S2(補助スイッチ手段)及びダイオードD1で構成されるスイッチング回路とが直列に接続された第二直列接続体が含まれる。この第二直列接続体では、コイルL2の一端が、第一直列接続体のダイオードD3とスナバコンデンサC2との接続部位に接続される。更に、ダイオードD2のアノード端子が、コイルL2の他端に接続されるとともに、そのカソード端子が、スイッチ素子S2の一端の極に接続される。また、スイッチ素子S2の他端は、コイルL1の一端側に接続される。尚、この第二直列接続体の回路トポロジーについては、コイルL2、ダイオードD2、スイッチ素子S2等によるスイッチング回路の直列順序は、適宜入れ替えた形態も採用し得る。特に、図2に示す状態に代えて、コイルL2とスイッチ素子S2等によるスイッチング回路の順序を入れ替えることで、実際の実装回路ではコイルL1とコイルL2は一体化でき、半導体素子のモジュール化が容易となる。
【0026】
主昇圧回路12aのスイッチ素子S1及び補助回路12bのスイッチ素子S2には、それぞれ、制御部12eからのスイッチング信号Ss1、Ss2が、フォトカプラ12c、12dを介して供給される。これは、主昇圧回路12aは燃料電池11の出力電圧を高電圧まで昇圧する高電圧回路であるのに対し、制御部12eはCPU等を含む低電圧回路であるので、制御部12eを主昇圧回路12aから絶縁するためである。例えば、主昇圧回路12aにおけるスイッチ素子S1とダイオードD4、補助回路12bにおけるスイッチ素子S2とダイオードD1が、それぞれIGBTである場合、フォトカプラ12c、12dとしてはIGBT駆動用フォトカプラが適用可能である。
【0027】
次に、制御部12eは、駆動タイミング演算部110と、オンタイミング検出部120と、オンタイミング調整部130とを有している。駆動タイミング演算部110は、昇圧型DC−DCコンバータ12による昇圧比、即ち昇圧型DC−DCコンバータ12に入力される燃料電池11の出力電圧VLに対する、インバータ15にかけられる昇圧型DC−DCコンバータ12の出力電圧VHの比に基づいて、スイッチ素子S1のスイッチングデューティ比を演算し、求めたデューティ比に応じてスイッチ素子S1を駆動するためのスイッチング信号Ss1を生成する(図3)。
【0028】
また、駆動タイミング演算部110は、後述するソフトスイッチングのために、スイッチ素子S1に先行してスイッチ素子S2をオンするための先行時間T及びオン時間を演算し、求めた先行時間T及びオン時間に応じてスイッチ素子S2を駆動するためのスイッチング信号Ss2を生成する(図3)。例えば、先行時間Tは下式のように求める。
【数1】


【数2】


I:L1電流
VH:出力電圧
VL:入力電圧
L1:L1リアクタンス
L2:L2リアクタンス
C2:C2キャパシタンス
f:キャリア周波数
D:S1デューティ
【0029】
このように、このスイッチ素子S1のスイッチング動作においてスイッチ素子S1をオンさせる前にスイッチ素子S2をオンさせることで、スナバコンデンサC2の電荷を除去し、スイッチ素子S1の電圧が除去されたときにスイッチ素子S1をオンさせる、いわゆるソフトスイッチングが実現され、昇圧型DC−DCコンバータ12でのスイッチングロスを大きく低減させることが可能となる。
【0030】
オンタイミング検出部120は、スナバコンデンサC2の電圧Vc2とスイッチ素子S1の端子間電圧Vs1とから、スナバコンデンサC2の電荷が除去されていないときにスイッチ素子S1がオンするオンタイミングずれ、すなわち、スナバコンデンサC2の電圧Vc2及びスイッチ素子S1の端子間電圧Vs1が0Vでないときにスイッチ素子S1がオンするオンタイミングずれを検出する。
【0031】
オンタイミング調整部130は、オンタイミングずれが検出された場合に、スナバコンデンサC2の電荷が除去されたときにスイッチ素子S1がオンするように、スイッチ素子S1のオンタイミングとスイッチ素子S2のオンタイミングとを相対的に調整する。例えば、オンタイミング調整部130は、スナバコンデンサC2の電圧Vc2及びスイッチ素子S1の端子間電圧Vs1が0Vであるときにスイッチ素子S1がオンするように、スイッチ素子S1のオンタイミングに対するスイッチ素子S2のオンタイミングの先行時間Tを調整する。
【0032】
具体的には、オンタイミング検出部120は、2つのコンパレータ121,122と3つのラッチ回路123,124,125とで実現することができる。コンパレータ121のマイナス入力端子にはスイッチ素子S1の端子間電圧Vs1が入力され、コンパレータ121のプラス入力端子にはスナバコンデンサC2の電圧Vc2が入力される。一方、コンパレータ122のマイナス入力端子にはスナバコンデンサC2の電圧Vc2が入力され、コンパレータ122のプラス入力端子には基準電圧が入力される。
【0033】
コンパレータ121の出力電圧はラッチ回路123に入力され、コンパレータ122の出力電圧はラッチ回路124に入力される。また、コンパレータ122の出力電圧が反転されてラッチ回路125に入力される。ラッチ回路123,124,125のリセット端子にはスイッチング信号Ss1,Ss2が入力される。ラッチ回路123,124,125は、スイッチング信号Ss1,Ss2のNOR論理信号又はOR論理信号をリセット信号とするFF回路であり、それぞれ、検出信号Sd1,Sd2,Sd3を生成する。
【0034】
これらの検出信号Sd1,Sd2,Sd3の一例を図4に示す。例えば、ソフトスイッチングのタイミング、すなわち、スイッチ素子S2のオンタイミングに対するスイッチ素子S1のオンタイミングが最適であり、スナバコンデンサC2の電圧Vc2及びスイッチ素子S1の端子間電圧Vs1が0Vであるときにスイッチ素子S1がオンする場合、検出信号Sd1,Sd2,Sd3はそれぞれOFF,ON,OFFとなる。一方、ソフトスイッチングのタイミング、すなわち、スイッチ素子S2のオンタイミングに対するスイッチ素子S1のオンタイミングがずれて進角であり、スナバコンデンサC2の電圧Vc2及びスイッチ素子S1の端子間電圧Vs1が0Vになる前にスイッチ素子S1がオンする場合、検出信号Sd1,Sd2,Sd3はそれぞれON,ON,OFFとなる。また、ソフトスイッチングのタイミング、すなわち、スイッチ素子S2のオンタイミングに対するスイッチ素子S1のオンタイミングがずれて遅角であり、スナバコンデンサC2の電圧Vc2及びスイッチ素子S1の端子間電圧Vs1が0Vになった後に再び上昇するときにスイッチ素子S1がオンする場合、検出信号Sd1,Sd2,Sd3はそれぞれ不定,ON,ONとなる。
【0035】
オンタイミング調整部130は、これらの検出信号Sd1,Sd2,Sd3からスイッチ素子S1のオンタイミングの進角、遅角を判断し、スイッチ素子S1のオンタイミングが最適になるように、スイッチ素子S1のオンタイミングに対するスイッチ素子S2のオンタイミングの先行時間Tを調整する。
【0036】
次に、昇圧型DC−DCコンバータ12におけるソフトスイッチングについて説明する。図5は、ソフトスイッチング動作を介した昇圧型DC−DCコンバータ12での昇圧のための一サイクルの動作の各部電圧電流波形である。当該ソフトスイッチング動作は、制御部12eによって順次行われて一サイクルを形成するが、これらの動作における昇圧型DC−DCコンバータ12での電流、電圧の流れるモードをそれぞれモード1〜モード6として表現し、その状態を図6(a)〜(f)に示す。以下、これらの図に基づいて、昇圧型DC−DCコンバータ12でのソフトスイッチング動作について説明する。尚、図6(a)〜(f)においては、図面の表示を簡潔にするため、主昇圧回路12aと補助回路12bの参照番号の記載は省略しているが、各モードの説明においては、各回路を引用する場合がある。また、各図中、太矢印で示されるのは、回路を流れる電流を意味している。
【0037】
尚、図5に示すソフトスイッチング動作が行われる初期状態は、燃料電池11からインバータ15およびモータ16に電力が供給されている状態、即ちスイッチ素子S1、S2がともにターンオフされることで、コイルL1、ダイオードD5を介して電流がインバータ15側に流れている状態である。従って、当該ソフトスイッチング動作の一サイクルが終了すると、この初期状態と同質の状態に至ることになる。
(モード1:D5電流のソフトターンオフ)
【0038】
ソフトスイッチング動作において、先ず時刻t1では図6(a)に示されるモード1の電流・電圧状態が形成される。具体的には、スイッチ素子S1はターンオフの状態でスイッチ素子S2をターンオンする。このようにすると、昇圧型DC−DCコンバータ12の出口電圧VHと入口電圧VLの電位差によって、コイルL1及びダイオードD5を介してインバータ15側に流れていた電流が、補助回路12b側に徐々に移行していく。尚、図6(a)中には、その電流の移行の様子を白抜き矢印で示している。
(モード2:C2電荷放電)
【0039】
その後、所定時間継続すると、ダイオードD5を流れる電流がゼロとなり、代わってスナバコンデンサC2と燃料電池11の電圧VLとの電位差により、スナバコンデンサC2に蓄電されていた電荷が補助回路12b側に流れ込んでいく(図6(b)に示すモード2の状態)。このスナバコンデンサC2は、スイッチ素子S1にかかる電圧を決定する機能を有している。スイッチ素子S1をターンオンするときに該スイッチ素子S1に印加される電圧に影響を与えるスナバコンデンサC2の電荷が、モード2では補助回路12bに流れ込むことで、スナバコンデンサC2にかかる電圧が低下していく。このとき、コイルL2とスナバコンデンサC2の半波共振により、スナバコンデンサC2の電圧がゼロとなるまで、電流は流れ続ける。この結果、後述するスイッチ素子S1のターンオン時のその印加電圧を下げることが可能となる。
(モード3:S1電流立ち上げ)
【0040】
次に、時刻t2において、スナバコンデンサC2の電荷が抜け切ったら、スイッチ素子S1が更にターンオンされ、図6(c)に示されるモード3の電流・電圧状態が形成される。即ち、スナバコンデンサC2の電圧がゼロとなった状態ではスイッチ素子S1にかかる電圧もゼロとなり、そして、その状態でスイッチ素子S1をターンオンすることにより、スイッチ素子S1をゼロ電圧状態にした上でそこに電流を流し始めることになるため、スイッチ素子S1におけるスイッチング損失を理論上、ゼロとすることができる。
(モード4:L1へのエネルギ充電)
【0041】
その後、この状態が継続することで、コイルL1に流れ込んでいく電流量を増加させて、コイルL1に蓄えられるエネルギを徐々に増やしていく。次に、時刻t3において、コイルL2に流れる電流がコイルL1に切り替わると、スイッチS2がターンオフされ、コイルL1へのエネルギ蓄積を継続する。この状態が、図6(d)に示されるモード4の電流・電圧状態である。
(モード5:C2スナバ動作にて充電)
【0042】
その後、コイルL1に所望のエネルギが蓄えられると、時刻t4において、スイッチ素子S1が更にターンオフされる。すると、上記モード2で電荷が抜かれて低電圧状態となっているスナバコンデンサC2に電荷が充電され、昇圧型DC−DCコンバータ12の出口電圧VHと同電圧に至る。この状態が、図6(e)に示されるモード5の電流・電圧状態である。
(モード6:L1充電エネルギの解放)
【0043】
その後、スナバコンデンサC2が電圧VHまで充電されると、コイルL1に蓄えられたエネルギがインバータ15側に解放される。この状態が、図6(f)に示されるモード6の電流・電圧状態である。尚、このモード5が行われるとき、スイッチ素子S1にかかる電圧はスナバコンデンサC2により電圧の立ち上がりを遅らせられるため、スイッチ素子S1におけるテール電流によるスイッチング損失をより小さくできる。
【0044】
上述のようにモード1〜モード6の動作を一サイクルとしてソフトスイッチング動作を行うことで、昇圧型DC−DCコンバータ12におけるスイッチング損失を可及的に抑制した上で、燃料電池11の出力電圧を昇圧しインバータ15に供給可能となる。その結果、高電圧低電流モータであるモータ16を効率的に駆動することが可能となる。
【0045】
ここで、図5及び図7に示すように、昇圧型DC−DCコンバータ12において、スイッチ素子S1の適切なソフトスイッチングのタイミングは、スナバコンデンサC2の電荷が除去され、スイッチ素子S1の端子間電圧が除去されたとき、すなわち、スナバコンデンサC2の電圧Vc2が0Vであり、スイッチ素子S1の端子間電圧Vs1が0Vであるときである。
【0046】
しかしながら、昇圧型DC−DCコンバータ12では、スイッチ素子S1とスイッチ素子S2とを個々に駆動するので、制御部12eによってスイッチ素子S1に対するスイッチ素子S2のオンタイミングの先行時間Tを設定しても、スイッチ素子S1の最適なソフトスイッチングのタイミングがずれてしまうことがある。例えば、スイッチ素子S1、S2と制御部12eとの間のフォトカプラ12c、12dの遅延時間のばらつきや変動、スイッチング信号Ss1、Ss2のための信号伝送線路の遅延量のばらつきや変動、及び、制御部12eにおける駆動タイミング演算部110のばらつきや変動等に起因して、図7に示すように、スイッチ素子S1の適切なオンタイミングの範囲からずれてしまうことがある。例えば、スナバコンデンサC2の電荷が除去される前、すなわち、スナバコンデンサC2の電圧Vc2が0Vになる前で、スイッチ素子S1の端子間電圧Vs1が0Vになる前に、スイッチ素子S1がオンしてしまう(進角状態)。又は、スナバコンデンサC2の電荷が除去された後に再び蓄電されているとき、すなわち、スナバコンデンサC2の電圧Vc2が0Vから上昇し、スイッチ素子S1の端子間電圧Vs1が0Vから上昇するときに、スイッチ素子S1がオンしてしまう(遅角状態)。
【0047】
図8に、スイッチ素子S1のオンタイミングが適切な場合(a)、進角の場合(b)、遅角の場合(c)におけるスナバコンデンサC2の電圧Vc2とスイッチ素子S1の端子間電圧Vs1(下図)、及び、これらの差電圧Vc2−Vs1(上図)を示す。
【0048】
図8(a)に示すように、ソフトスイッチングのタイミングが最適であり、スナバコンデンサC2の電圧Vc2及びスイッチ素子S1の端子間電圧Vs1が0Vであるときにスイッチ素子S1がオンすると、スナバコンデンサC2とスイッチ素子S1との間に電位差Vc2−Vs1を生じることなく、主スイッチ手段のスイッチング損失の増加を抑制し、電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0049】
一方、図8(b)に示すように、ソフトスイッチングのタイミングが進角であり、スナバコンデンサC2の電圧Vc2及びスイッチ素子S1の端子間電圧Vs1が0Vになる前にスイッチ素子S1がオンすると、スイッチ素子S1の端子間電圧Vs1のみが強制的に0Vになり、スナバコンデンサC2とスイッチ素子S1との間に電位差Vc2−Vs1が生じる。このとき、主スイッチ手段のVs1>0[V]のときのスイッチングが原因によりスイッチング損失が増加し、電力変換効率が低下してしまう。
【0050】
また、図8(c)に示すように、ソフトスイッチングのタイミングが遅角であり、スナバコンデンサC2の電圧Vc2及びスイッチ素子S1の端子間電圧Vs1が0Vになった後、例えばスイッチ素子S2がオフし、再びスナバコンデンサC2の電圧Vc2及びスイッチ素子S1の端子間電圧Vs1が0Vから上昇したときにスイッチ素子S1がオンすると、主スイッチ手段のスイッチング損失が増加し、電力変換効率が低下してしまう。
【0051】
そこで、本実施形態の昇圧型DC−DCコンバータ12では、オンタイミング検出部120によって、スナバコンデンサC2の電圧Vc2とスイッチ素子S1の端子間電圧Vs1とから、図8(b)に示すスイッチ素子S1のオンタイミングの進角状態を検出し、図4に示す検出信号Sd1=ON,Sd2=ON,Sd3=OFFを出力する。すると、オンタイミング調整部130によって、スイッチ素子S1のオンタイミングに対するスイッチ素子S2のオンタイミングの先行時間Tが大きくなるように調整する。オンタイミング調整部130は、この調整処理を検出信号Sd1,Sd2,Sd3がそれぞれOFF,ON,OFFになるまで行うことによって、スイッチ素子S1のオンタイミングを図8(a)に示す最適状態に調整する。
【0052】
また、本実施形態の昇圧型DC−DCコンバータ12では、オンタイミング検出部120によって、スナバコンデンサC2の電圧Vc2から、図8(c)に示すスイッチ素子S1のオンタイミングの遅角状態を検出し、図4に示す検出信号Sd1=不定,Sd2=ON,Sd3=ONを出力する。すると、オンタイミング調整部130によって、スイッチ素子S1のオンタイミングに対するスイッチ素子S2のオンタイミングの先行時間Tが小さくなるように調整する。オンタイミング調整部130は、この調整処理を検出信号Sd1,Sd2,Sd3がそれぞれOFF,ON,OFFになるまで行うことによって、スイッチ素子S1のオンタイミングを図8(a)に示す最適状態に調整する。
【0053】
このように、本実施形態の昇圧型DC−DCコンバータ12によれば、オンタイミング検出部120によって、スナバコンデンサC2の電圧Vc2とスイッチ素子S1の端子間電圧Vs1とから、スナバコンデンサC2の電荷が除去されていないときにスイッチ素子S1がオンするオンタイミングずれを適切に検出し、オンタイミング調整部130によって、スナバコンデンサC2の電荷が除去されたときにスイッチ素子S1がオンするように、スイッチ素子S1のオンタイミングとスイッチ素子S2のオンタイミングとを相対的に調整するので、昇圧用スイッチ素子S1とソフトスイッチング用スイッチ素子S2とのオンタイミングのずれに起因するスイッチング損失の増加を抑制することができ、電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0054】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、オンタイミング調整部130は、ソフトスイッチング用スイッチ素子S2のオンタイミングの先行時間Tを調整したが、昇圧用スイッチ素子S1のオンタイミングを調整してもよい。この場合、スイッチングデューティ比を変えないようにオフタイミングも同様に調整する。
【0055】
また、昇圧型DC−DCコンバータでは、負荷が極端に軽くなると、ソフトスイッチング、すなわち、ゼロボルトスイッチング(ZVS)が困難となり、ローボルトスイッチング(LVS)の状態になることがある。上記したオンタイミング検出部120では、検出信号Sd1=不定,Sd2=OFF,Sd3=OFFを出力することとなり、LVSの状態をも検出することができる。この場合、例えば、オンタイミング調整部130は、スナバコンデンサC2の電圧Vc2が最小電圧となるタイミングで、すなわち、スイッチ素子S1の端子間電圧Vs1が最小電圧となるタイミングでスイッチ素子S1がオンするように調整してもよい。これによれば、LVSの状態でも、スイッチング損失の増加を抑制することができ、電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、昇圧制御手段12eが昇圧型DC−DCコンバータ12に含まれる形態を例示したが、昇圧制御手段12eはECU20(図1)に含まれてもよいし、ECU20とは独立したECUであってもよい。また、昇圧制御手段12eにおける駆動タイミング演算部110及びオンタイミング調整部130がECUで構成され、オンタイミング検出部120が電子回路で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…車両、2…駆動輪、10…燃料電池システム、11…燃料電池、12…昇圧型DC−DCコンバータ、13…バッテリ、14…昇圧型DC−DCコンバータ、15…インバータ、16…モータ、17…水素タンク、18…コンプレッサ、21…アクセルペダルセンサ、12a…主昇圧回路(主昇圧部)、12b…補助回路(補助昇圧部)、12c,12d…フォトカプラ、12e…制御部(昇圧制御手段)、C2…スナバコンデンサ、D3…ダイオード(スナバ整流素子)、D5…ダイオード(主整流素子)、L1…主コイル、L2…補助コイル、S1…スイッチ素子(主スイッチ手段)、S2…スイッチ素子(補助スイッチ手段)、110…駆動タイミング演算部、120…オンタイミング検出部(オンタイミング検出手段)、121,122…コンパレータ、123,124,125…ラッチ回路、130…オンタイミング調整部(オンタイミング調整手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源の出力電圧を昇圧し、当該昇圧電圧を負荷に供給する昇圧型DC−DCコンバータであって、
前記直流電源の高電位側端子に接続された主コイルに対して、主スイッチ手段によってスイッチング動作を行うことで、前記直流電源の出力電圧を昇圧する主昇圧部と、
前記主スイッチ手段に対して並列に接続され前記主スイッチ手段に印加される電圧を調整可能なスナバコンデンサと、当該スナバコンデンサの印加電圧を調整する補助スイッチ手段とを有する補助昇圧部と、
前記主スイッチ手段のスイッチング動作において前記主スイッチ手段をオンさせる前に、前記補助スイッチ手段をオンさせて前記スナバコンデンサに蓄電された電荷を除去する昇圧制御手段と、
を備え、
前記昇圧制御手段は、
前記スナバコンデンサの電荷量と前記主スイッチ手段の端子間電圧とから、前記スナバコンデンサの電荷が除去されていないときに前記主スイッチ手段がオンするオンタイミングずれを検出するオンタイミング検出手段と、
前記オンタイミングずれが検出された場合に、前記スナバコンデンサの電荷が除去されたときに前記主スイッチ手段がオンするように、前記主スイッチ手段のオンタイミングと前記補助スイッチ手段のオンタイミングとを相対的に調整するオンタイミング調整手段と、
を有することを特徴とする、昇圧型DC−DCコンバータ。
【請求項2】
前記オンタイミング検出手段は、前記スナバコンデンサの電荷量及び前記主スイッチ手段の端子間電圧がゼロでないときに前記主スイッチ手段がオンするオンタイミングずれを検出し、
前記オンタイミング調整手段は、前記スナバコンデンサの電荷量及び前記主スイッチ手段の端子間電圧がゼロであるときに前記主スイッチ手段がオンするように、前記主スイッチ手段のオンタイミングと前記補助スイッチ手段のオンタイミングとを相対的に調整する、
請求項1に記載の昇圧型DC−DCコンバータ。
【請求項3】
前記主昇圧部は、前記直流電源の高電位側端子に一端が接続された前記主コイルと、前記主コイルの他端と前記直流電源の低電位側端子との間に接続された前記主スイッチ手段と、前記主コイルの他端と前記負荷との間に接続され前記主コイルから前記負荷へ向けて整流機能を有する主整流素子とを有する、
請求項1に記載の昇圧型DC−DCコンバータ。
【請求項4】
前記補助昇圧部は、前記主スイッチ手段に並列に設けられた前記スナバコンデンサと、前記主スイッチ手段に並列に且つ前記スナバコンデンサに直列に設けられ前記主スイッチ手段から前記スナバコンデンサへ向けて整流機能を有する当該スナバ整流素子と、前記スナバコンデンサ及び前記スナバ整流素子の接続点と前記主コイルの一端との間に設けられた前記補助スイッチ手段とを有する、
請求3に記載の昇圧型DC−DCコンバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−211797(P2011−211797A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75710(P2010−75710)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】