説明

昇華型プリンタ

【課題】 モータの1方向回転でサーマルヘッドとプラテンローラ間の離合を行う昇華型プリンタで、駆動側カムにフォロワレバーを常に押し付けることなく、フォロワレバーの駆動消費電流を低減させ、駆動側カムとフォロワレバー間の駆動衝撃音を低減させ、駆動側カムを小型にし、かつモータの他方向回転を有効に活用すること。
【解決手段】
昇華型プリンタの構成を、1モータの1方向回転を用いて駆動される駆動側ギアと、該駆動側ギアにフォロワピンを有し、従動側のカムレバーにカムを有し、該駆動ギアが回転しても該カムレバーが動かないカム領域があり、プラテンローラとサーマルヘッドの相対位置を可変せしめる駆動ユニットと、該カムレバーから駆動力を得て該駆動ユニットを押圧する押圧レバーと、該フォロワピンはカムレバー回転中心から遠い位置から駆動ユニット押圧を開始するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドを用いて記録メディアにインクを印刷する昇華型プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
1つのモータを用いて、各種動作を実施することでコストダウンや小型化を実現させる提案が幾つか提案されている。
【0003】
特許文献1では1方向ギア回転駆動を用いてヘッドとプラテンの離合動作を行い、他方回転でグリップローラ紙搬送とリボン搬送、グリップローラ紙リターン搬送を実施できる提案がなされている。
【特許文献1】特開2000-218892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来例では、カム20にフォロワレバー33をばね40で常に付勢し続けなければならないリンク機構であるため、フォロワピン34をカムに押し付ける付勢手段必要であり、このため常にカム駆動が重いため消費電流が大きくなる問題が発生する。
【0005】
またカム20とフォロワレバー33間が付勢ばね40で付勢されているだけなので、ヘッド離合動作時に、フォロワレバーがカムから浮き上がり再度カムへ衝突する衝撃時の騒音も問題であった。浮き上がりが発生しないようにするためには付勢ばね40を強くする必要があった。
【0006】
またヘッドの移動量を大きくしたい時、すなわちレバー33の回転角を増やしたい時は、回転角度はカム20の回転中心から半径側の移動量しかとれないためカム20の半径を大きくしなければならず大型化してしまった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するため、本発明における昇華型プリンタでは、
1つのモータの1方向回転を用いて駆動される駆動側ギアと、該駆動側ギアにフォロワピンを有し、従動側のカムレバーにカムを有し、該駆動ギアが回転しても該カムレバーが動かないカム領域があり、プラテンローラとサーマルヘッドの相対位置を可変せしめる駆動ユニットと、該カムレバーから駆動力を得て該駆動ユニットを押圧する押圧レバーと、該フォロワピンはカムレバー回転中心から遠い位置から駆動ユニット押圧を開始するを有したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
上述の構成により、
カム溝にカムフォロワが入りっ放しになるため、カムにカムフォロワを付勢する付勢手段が不用になりコストダウン、小型化になる。
【0009】
また駆動ユニットを押圧する時のみ大きな付勢力が必要であり、逆に駆動ユニットを退避させる時は駆動ユニットの重さを駆動させるだけで済むため、消費電力が少ない。
【0010】
従来例の特開2000-218892号公報が駆動カムギアの半径の動きだけをカムフォロワーの動きに変換していたのに対して、本発明では、駆動ギア直径のカムフォロワーの動きを用いてカムレバーを駆動させているので、カムレバー回転角度がと同じだと、駆動カムを小型化できる。
【0011】
またカムフォロワーが駆動ユニットの押圧を開始する位置で、カムレバー駆動方向に最も効率の良いほぼ平行位置でかつカムレバー回転中心から最も遠い位置で押し始めることが出来るため、カム及びカムレバーの駆動伝達効率が良い。
【0012】
該駆動ギアが回転しても該カムレバーが動かないカム領域があるため、駆動ギアの停止位置が粗くても、駆動ユニットの停止位置精度が出せるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【0014】
以下に本発明の実施例を示す。
【0015】
図1は本発明の昇華型プリンタの模式図である。
【0016】
1はプリンタ本体、2は印刷するためのメディアをロール状に巻いたロールメディア、2aはプリンタ内部に送出されたロールメディア、3は該ロールメディアを送り出したり巻き戻したりするためのロールメディア駆動ブッシュでロールメディアと係合している。4はグリップローラで表面にメディアに突き刺さる突起を有しており、メディアを搬送するための駆動力を有している。5はピンチローラで、グリップローラと対向する位置にあり、付勢ばね6によりグリップローラ側に押し付けられている。7は供給側インクリボンで供給側リボンコア8に印刷枚数分以上のリボンがあらかじめ巻き取れれており、不図示のプリンタ側のブッシュと回動可能に嵌合している。9は巻上側インクリボンで、不図示の巻上側リボンコアに印刷の終了した印刷メディアから剥離された使用済みリボンが巻き取られている。10はリボン巻取りボビン駆動ブッシュで、巻上側リボンコアと係合している。11はサーマルヘッド、12は剥離板、13は駆動ユニットで、13aの回転中心に回動可能に軸支されており、先端部に剥離板を一体で保持したヘッドが装着されている。13eは押圧レバー16の押圧力を弾性部材15を介してヘッドを間接的に押すためのプリチャージ板、13bはプリチャージ板13eから一体で伸びた腕部。13dはプリチャージ板の回転中心、13cはプリチャージ板のチャージ位置規制を行う規制部、14はヘッド11の発熱部正面に設けられた回動可能に軸支されたプラテンローラ、16は押圧レバーで、16aは回転中心で不図示のカムレバーと一体で回る。16bは押圧レバーが上昇した時に、駆動ユニット腕部13bに当接し、駆動ユニットを吊り上げるための突起、16cはプリチャージ板13eを押圧する押圧部である。17はロールメディアを切るためのカッターユニットで、17aは固定刃、17bは可動刃である。18は排紙ローラで、18aは駆動側排紙ローラ、18bは駆動側排紙ローラと対向位置にある従動側排紙ローラで、付勢ばね19により駆動側排紙ローラ側に付勢されている。20はモータで、ロールメディア駆動、グリップローラ駆動、リボン巻上駆動、排紙ローラ駆動を行っている。21はモータで、不図示の遊星ギアにて動力を切り替えており、押圧レバー駆動、カッター駆動を行っている。
【0017】
ヘッド駆動ユニット13の昇降は、印刷時には押圧レバー16の押圧部16cでプリチャージ板13eを押すことで駆動ユニットを降下させて、サーマルヘッド11をインクリボンと印刷メディアを挟んだ状態でプラテンローラ14に密着させ、印刷時以外は押圧レバー16の突起部16bで腕部13bを吊り上げることでサーマルヘッド11をプラテンローラ14から退避させる。
【0018】
また、ロールメディア切断時は不図示の遊星切換機構により、ギア回転方向を切り替えることで、押圧レバー駆動側からカッター駆動側へ切換えて、カッター切断駆動を行いロールメディアを切断する。
【0019】
図2は、本実施例のヘッド駆動ユニット部の詳細図で、(A)は組立状態、(B)は分解状態を表している。図1で示したように、ヘッド駆動ユニットは、ヘッド11をプラテンローラ14に対して密着させる状態と、離間させる状態に駆動する。駆動ユニット13は、不図示の本体シャーシに回転中心13aで回動自在に軸支され、先端部にヘッド11と剥離板12を一体に保持している。
【0020】
駆動ユニット13は先端部にプリチャージ板13eを13dの嵌め合わせ部で回転可能にかつ規制部13cで抜け止めして保持し、かつ弾性部材15の開き力によってプリチャージされている。
【0021】
不図示のモータ21から駆動力を得る駆動側ギア22は、動力を得るギア部22aと、動力を出力するカムフォロワー22b部を有している。押圧レバー16には、駆動力を得るためのカムレバー16eがあり、カムレバー16eにはカム16fがある。カムフォロワー22bはカム16bに嵌入されている。駆動側ギア22にはカム回転位置を検出するための一体に設けたスリット板23と、駆動ギア22とは独立して固定される該スリットの有無を検出するセンサを有する検出板24を有している。
【0022】
ヘッド11をプラテンローラ14に対して密着させる状態では、押圧レバー16の押圧部16cがプリチャージ板13e表面を直接押圧し、弾性部材15を介してヘッド11を押す。プリチャージ板13eは規制部13cから離間している。
【0023】
ヘッド11をプラテンローラ14に対して離間させる状態では、押圧レバー16の押圧部16cがプリチャージ板13e表面から離れ、プリチャージ板13eは規制部13cとヘッド11の間でプリチャージされた状態になり、突起部16bが腕部13bを吊り上げている状態になる。
【0024】
図3は本実施例のカッターユニットの詳細分解図である。モータ21から遊星ギア機構を用いて駆動ギア25に伝達される。27はカッターウォームギアで、駆動ギア25から駆動力がギア軸26を介して出力ギアとなるウォームギア27に伝達される。28はカッター駆動カムギアで、前記ウォームギア27から動力を得る斜歯ギア部28aとカッター駆動刃を駆動するための駆動ピン28bを有している。ウォームギア27とカッター駆動カムギア28は、不図示のギア軸やブッシュ等でギア地板29に回転可能に軸支されている。30はカッターユニット本体でカッター固定刃17aとギア地板29が固定されている。17bはカッター可動刃で、左右端面をカッターユニット本体に嵌合されており、また前後方向を弾性ばね31でカッターユニット本体に抱き寄せられるように保持されており、カッター切断動作方向である上下方向だけ移動可能に保持されている。カッター駆動カムギア28の駆動ピン28bは、組み上がり状態では、カッター可動刃17bの長穴17b-1に嵌入されており、カッター駆動カムギアが1回転する度に、カッター可動刃が1回上下して、固定されている固定刃にロールメディアを挟み込み切断する。カッター駆動カムギアの停止位置は、不図示の電気スイッチによって確認される。駆動ギア25を1方向回転させることにより、カッターユニットは、カッター可動刃の退避、切断、退避を繰り返すことが出来る。
【0025】
図4は本実施例のヘッド駆動ユニットとカッターユニットの斜視図である。21は駆動ユニット13とカッターユニットを駆動させるためのモータで、ウォームギア31を有しており、これに太陽ギア32が噛合っている。太陽ギアには遊星ギア34が噛合っており、太陽ギア32と遊星ギア34の軸間隔を保持し、回転可能に軸支する遊星板33がある。モータ21の1方向回転でモータ駆動力を、ウォーム31から遊星ギア34を不図示のギア列に接続させて駆動ギア22に伝達する。モータ21の逆回転でモータ駆動力を、ウォーム31から遊星ギア34を駆動ギア25に接続を変えて、カッター駆動カムギア28に伝達する。
【0026】
図5は本実施例のヘッド駆動ユニットがプラテンローラから最も離間した状態の斜視図(A)と側面図(B)である。カムフォロワー22bはカムフォロワー最外周部の回転軌跡22cと等しいカム部16f-1に当接している。図5の状態は、ヘッド駆動ユニット13を、突起部16bで吊り上げている状態である。駆動ユニット13に一体で具備されているヘッド11や、剥離板12や、弾性部材15や、プリチャージ板13eの重さを、回転中心13aで回転支持しながら突起部16aが支持している状態である。駆動ユニット13が自重で回転軸13a中心に(i)方向に回転しようとする所を、押圧レバー16の突起部16bが腕部13bから自重を受けて回転中心16a中心に(iii)方向に回転しようとする。カムレバー16eはカム部16f-1をカムフォロワー22bに押し付けており、カムフォロワー22bはカム部16f-1と接している法線方向(駆動ギア22回転中心方向)に力を受ける。駆動側ギア22は回転中心で軸支されているため、駆動ギアは回転中心とカムレバー16eに挟持される形で保持される。駆動ギア22は図中(X)方向に回転する。カム部16f-1は溝の形状が駆動ギア22の回転起動と同等の弧状をなしているため駆動側ギア22が回転してもカムレバー16eが動かないカム領域である。故に駆動ギア22の停止精度が低くても、カム部16f-1域内にカムフォロワー22bが停止しさえすれば、最もヘッド駆動ユニットが上昇した位置が保たれることになる。またカムフォロワー22bがカム16fに嵌入しているため、仮に駆動ユニット13の自重が働かなかったとしても、駆動ユニット13は上昇駆動は可能となる。駆動ユニット上昇のために特別な付勢部材は必要としない。
【0027】
図6は本実施例のヘッド駆動ユニットがプラテンローラへの押圧を始める状態の斜視図(A)と側面図(B)である。図5の状態から、駆動ギア22が図中(X)方向に不図示モータ21駆動力により回転し、カムレバー16eがα度回転する。押圧レバー16の突起部16bは、駆動ユニット13の腕部13bから離れ、押圧部16cがプリチャージ板13eに当接し、駆動ユニット13のプラテンローラ14への押し付けを開始する。
【0028】
カムフォロワー22bは、カム部16f-1を通過してカムフォロワー外径と等しい嵌合溝部16f-2に入っていく。カムフォロワー22bは、カムレバー16eの回転中心16aから最も遠い図6の位置からヘッドの押圧を開始する。カムレバー16eを回転させるための付勢位置的な検地から、カムレバー回転トルク発生に非常に効率が良い。また駆動ギア22のカムフォロワー22bの回転力をカム当接面16f-2で受けるため、(Y)方向に回転力が発生する。(Y)方向は、カムレバー16eの回転方向と一致する。カムレバー16eを回転させるための付勢方向的な検地から、カムレバー回転トルク発生に非常に効率が良い。
【0029】
また、仮に駆動ユニット13をヘッド昇降の中間位置である図6の位置で停止させたいとき、カムフォロワー22bには、駆動ユニットに付随する部品の重力しか働いておらず、さらにカムフォロワー22bはカム16fの嵌合溝部16f-2にほぼ隙間無く嵌入されているためがたが無く、駆動ギア22を停止するだけで、ヘッド昇降の中間位置で保持可能となる。ヘッド駆動ユニット13の保持をより確実なものにするためには、遊星ギア34から駆動ギア22までの何処かにばねや座金などでギア自体に回転摩擦を設けて、ギアを回りにくくすることでも容易に実現可能である。
【0030】
図7は本実施例のヘッド駆動ユニットがプラテンローラに最も密着した状態の斜視図(A)と側面図(B)である。図6の状態から、駆動ギア22が図中(X)方向に不図示モータ21駆動力により回転し、カムレバー16eがβ度回転する。図5の状態からはα+β度回転したことになる。カムフォロワー22bはカムフォロワー最外周部の回転軌跡22cと等しいカム部16f-3に当接している。
【0031】
図7の状態は、ヘッド駆動ユニット13のプリチャージ板13eを、押圧レバー16の押圧部16cで押圧している状態である。プリチャージ板13eが弾性部材15のチャージ力で押し上げられ、押圧レバー16は図示(iii)方向に回転しようとする。カムレバー16eはカム部16f-3をカムフォロワー22bに押し付けており、カムフォロワー22bはカム部16f-3と接している法線方向(駆動ギア22回転中心方向)に力を受ける。駆動側ギア22は回転中心で軸支されているため、駆動ギアは回転中心とカムレバー16eに挟持される形で保持される。
【0032】
駆動ギア22は図中(X)方向に回転する。カム部16f-3は駆動側ギア22が回転してもカムレバー16eが動かないカム領域である。故に駆動ギア22の停止精度が低くても、カム部16f-3域内にカムフォロワー22bが停止しさえすれば、最もヘッド駆動ユニットが下降した位置が保たれることになる。またカムフォロワー22bがカム16fに嵌入しているため、もし仮に弾性部材15が無かったとしても、駆動ユニット下降のために特別な付勢部材は必要としない。
【0033】
また本実施例では、ヘッド11をプラテンローラ14に密着させるためにプリチャージ板13eと弾性部材15を用いたが、プラテンローラを形成するゴムの弾性力だけを用いて、押圧レバー16で直接ヘッド11を押圧しても構わない。
【0034】
図8は本実施例のヘッド駆動ユニットがプラテンローラから退避を行っている状態の斜視図(A)と側面図(B)である。図7の状態から、駆動ギア22が図中(X)方向に不図示モータ21駆動力により回転し、カムレバー16eがβ度回転する。図5からはα+β下側に回転し、逆にβ度戻った回転をしたことになる。押圧レバー16の突起部16bは、駆動ユニット13の腕部13bとの当接しはじめ、押圧部16cがプリチャージ板13eから離間する。
【0035】
カムフォロワー22bは、カム部16f-3を通過してカムフォロワー外径と等しい嵌合溝部16f-4に入っていく。カムフォロワー22bは、カムレバー16eの回転中心16aから最も近い図8の位置から駆動ユニット13の吊り上げを開始する。駆動ユニット13吊り上げの場合は、駆動ユニットの自重を吊り上げればいいだけなので、カムレバー16eを回転させるためのカムレバー16eの回転中心16aから最も近い付勢位置であっても必要とされるトルクが少ないため問題無い。
【0036】
また駆動ギア22のカムフォロワー22bの回転力をカム当接面16f-4で受けるため、(Z)方向に回転力が発生する。(Z)方向は、カムレバー16eの回転方向と一致する。カムレバー16eを回転させるための付勢方向的な検地から、カムレバー回転トルク発生に非常に効率が良い。
【0037】
また、仮に駆動ユニット13をヘッド昇降の中間位置である図8の位置で停止させたいとき、カムフォロワー22bには、駆動ユニットに付随する部品の重力しか働いておらず、さらにカムフォロワー22bはカム16fの嵌合溝部16f-4にほぼ隙間無く嵌入されているためがたが無く、駆動ギア22を停止するだけで、ヘッド昇降の中間位置で保持可能となる。ヘッド駆動ユニット13の保持をより確実なものにするためには、遊星ギア34から駆動ギア22までの何処かにばねや座金などでギア自体に回転摩擦を設けて、ギアを回りにくくすることでも容易に実現可能である。
【0038】
図5、図6、図7、図8は駆動ギア22の1方向回転を続けることで位置変化が可能である。また(X)方向とは逆方向でも駆動可能であるが、上記図6でも述べたように、駆動ユニット13の押圧の効率から言って駆動ギアの駆動力が増えることになる。
【0039】
また、実施例は駆動ギア22の1方向回転で使用することが望ましいが、正逆回転で用いても問題ない。但し、この場合は、ヘッド昇降しない状態でカッターユニットだけ単独で駆動できる方法を用いなければならない。
【0040】
図5、図6、図7、図8のように、駆動ギア22のカムフォロワー22bは、カムレバー16eを、駆動ギア回転中心に妨げられずに駆動ギア最外径の回転軌跡22cを使ってα+β度回転駆動させている。本実施例の形態にすれば、従来例の特開2000-218892号公報のような従動レバーが駆動ギア回転中心に妨げられるものよりもカムレバー回転角度が必然的に大きくなる。逆に言えば、同じカムレバー回転角度を設計する場合、駆動ギア直径を小さくすることが出来るため小型化になる。
【0041】
図5、図6、図8駆動時は、駆動ユニット13と一体の重さしか突起部16bに働かないため、消費電流を低く抑えることが出来る。
【0042】
図5、図7では、駆動ユニット13はカムレバー16eと駆動ギアの間で挟持され、図6,図8ではがたの少ないカム溝部16f-2、16f-4で支持されるため、本実施例は駆動時にがたが少ない系となっている。よって駆動時のカム/カムフォロワー間のばたつき音が少なく、感性の良い装置となる。
【0043】
本実施例では、1方向回転をヘッド11を持つ駆動ユニット13の駆動で説明したが、ヘッド11は固定とし、プラテンローラ14側を駆動する駆動ユニットにしても構わない。
【0044】
さらに本実施例では、1方向回転をサーマルヘッドとプラテンローラ間隔の離合動作に用いて、他方回転をカッター駆動に用いたが、他方回転をリボン搬送駆動、紙搬送駆動、各種ローラの離合駆動に用いても構わない。モータの他方向回転を有効に利用できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の昇華型プリンタの模式図。
【図2】本実施例のヘッド駆動ユニット部の詳細図。
【図3】本実施例のカッターユニットの詳細分解図。
【図4】本実施例のヘッド駆動ユニットとカッターユニットの斜視図。
【図5】本実施例のヘッド駆動ユニットがプラテンローラから最も離間した状態の図。
【図6】本実施例のヘッド駆動ユニットがプラテンローラへの押圧を始める状態の図。
【図7】本実施例のヘッド駆動ユニットがプラテンローラに最も密着した状態の図。
【図8】本実施例のヘッド駆動ユニットがプラテンローラから退避を行っている状態の図。
【符号の説明】
【0046】
1 プリンタ本体
2 ロールメディア
3 ロールメディア駆動ブッシュ
4 グリップローラ
5 ピンチローラ
6 付勢ばね
7 供給側インクリボン
8 供給側リボンコア
9 巻上側インクリボン
10 リボン巻取りボビン駆動ブッシュ
11 サーマルヘッド
12 剥離板
13 駆動ユニット
14 プラテンローラ
15 弾性部材
16 押圧レバー
17 カッターユニット
18 排紙ローラ
19 付勢ばね
20 モータ
21 モータ
22 駆動側ギア
23 スリット板
24 検出板
25 駆動ギア
26 ギア軸
27 ウォームギア
28 カッター駆動カムギア
29 ギア地板
30 カッターユニット本体
31 弾性ばね
32 太陽ギア
33 遊星板
34 遊星ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのモータの1方向回転を用いて駆動される駆動側ギアと、
該駆動側ギアにフォロワピンを有し、従動側のカムレバーにカムを有し、
該駆動ギアが回転しても該カムレバーが動かないカム領域があり、
プラテンローラとサーマルヘッドの相対位置を可変せしめる駆動ユニットと、
該カムレバーから駆動力を得て該駆動ユニットを押圧する押圧レバーと、
該フォロワピンはカムレバー回転中心から遠い位置から駆動ユニット押圧を開始する、
ことを特徴とする昇華型プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載の昇華型プリンタにおいて、
前記駆動ユニットは、サーマルヘッド又はプラテンローラの少なくとも一方を駆動することで相対位置を変えるユニットであり、前記押圧レバーは、サーマルヘッド又はプラテンローラの駆動側を押圧するための押圧レバーである、
ことを特徴とする昇華型プリンタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の昇華型プリンタにおいて、
カム溝はフォロワピン外径と等しい第1カム部と、
フォロワピンの回転外周軌跡と等しい第2カム部があり、
フォロワピンを第2カム部で受ける駆動ギア停止位置がある、
ことを特徴とする昇華型プリンタ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の昇華型プリンタにおいて、
第1カム部は少なくともヘッド押圧を解除する位置に設けられている、
ことを特徴とする昇華型プリンタ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の昇華型プリンタにおいて、
1方向回転でヘッド-プラテン離合動作を行う第1手段と、
1方向回転でカッター駆動を行う第2手段があり、
1つのモータの動力を、
第1の回転方向で繋ぎ先きを第1手段に、
第2の回転方向で繋ぎ先きを第2手段に、
遊星ギアを用いて切換えを行う昇華型プリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−137437(P2010−137437A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315688(P2008−315688)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】