説明

昇降装置

【課題】 床などの固定側に対するベッドの昇降を可能にするのはもちろんのこと、その搬送性や取り付け作業性が阻害されず、また、既設のベッドに後付けしても他部に対する干渉の頻発を危惧しなくて済むようにする。
【解決手段】 下方の固定側(F)の上方に配在される昇降体(B)の下面側に水平状態に連設されるガイドレール1と、このガイドレール1に上端が移動可能に連繋されながら下端が固定側(F)に離脱可能に当接される支持脚2と、この支持脚2の中間部あるいはほぼ中間部に下端が枢着されながら上端が昇降体(B)の下面側あるいは上記のガイドレール1に枢着される連結部材3と、駆動時に支持脚2の上端をガイドレール1に副って移動させながらこの支持脚2を起伏させる駆動手段4とを有してなり、ガイドレール1,支持脚2および連結部材3がそれぞれの軸芯線を昇降体(B)の長手方向に延在される軸芯線に沿わせながら平面視で昇降体(B)の長手方向に延在される軸芯線を挟む一対とされてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、昇降装置に関し、特に、既設のベッドに後付けしてそのベッドにおける床などの固定側からの高さ位置を高低調整できるようにする昇降装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
既設のベッドに後付けしてそのベッドにおける床などの固定側からの高さ位置を高低調整できるようにする昇降装置としては、これまでに種々の提案があるが、その中で、たとえば、特許文献1には、ベッドの下面側を形成する枠体に取り付けられた一対のX字状リンク脚を起伏させることで、すなわち、言わば屈伸させることで、ベッドを昇降させるとする提案が開示されている。
【0003】
このとき、この提案にあっては、X字状リンク脚がベッドの長手方向の端部に配在されながらベッドの幅方向に沿うようにして屈伸するとし、また、この一対のX字状リンク脚の屈伸は、一方のX字状リンク脚に連繋された伸縮手段の作動で同期して実践されるとしている。
【0004】
それゆえ、この特許文献1に開示の昇降装置にあっては、一対のX字状リンク脚が伸縮手段の作動で屈伸されることで、床などの固定側に対してベッドを昇降させることが可能になり、このとき、一対のX字状リンク脚がベッドの長手方向の端部に配在されながらベッドの幅方向に沿うようにして屈伸するから、ベッドの下方における空間の有効利用を可能にし得ることになる。
【特許文献1】実開平6−41723号公報(実用新案登録請求の範囲 請求項1,明細書中の段落0012,同0028,図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1に開示の昇降装置にあっては、以下のような不具合があると指摘される可能性がある。
【0006】
すなわち、まず、X字状リンク脚は、その下端を床などの固定側の上に載置されるレールたるフレームに連繋させているが、このフレームが床などの固定側に一体的に連結される場合には、ベッドが移動不能とされることになる。
【0007】
このことは、本来移動型に形成されているベッドに上記の昇降装置を取り付けると、ベッドが設置型に変更されることを意味し、したがって、ベッドが移動型に形成されていたことの意味を失わせる、すなわち、言うなれば、無駄なことをしたような印象を抱かせる不具合がある。
【0008】
つぎに、ベッドが移動型であることを優先され、それゆえ、ベッドの移動時にはX字状リンク脚が言わば畳まれて、このX字状リンク脚の下端を連繋させるフレームがいわゆる持ち上げられる場合には、フレームの大きさによっては、ベッド周りにフレームの端部が露呈される可能性もある。
【0009】
そして、ベッド周りにフレームの端部が露呈される場合には、たとえば、このフレームの端部がベッドの移動時に他部に干渉して搬送性が阻害され易くなり、また、このベッドを利用する患者やこのベッドに近付く介護者の脚に接触し易くなるなどの不具合の招来が危惧されることになる。
【0010】
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、床などの固定側に対するベッドの昇降を可能にするのはもちろんのこと、その搬送性や取り付け作業性が大掛りにならず、また、既設のベッドに後付けしても他部に対する干渉や利用者などへの接触の頻発を危惧しなくて済み、その汎用性の向上を期待するのに最適となる昇降装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した目的を達成するために、この発明による昇降装置の構成を、基本的には、請求項1にあって、床などの固定側の上方に配在される昇降体の下面側に水平状態に連設されるガイドレールと、このガイドレールに上端が移動可能に連繋されながら下端が固定側に離脱可能に当接される支持脚と、この支持脚の中間部あるいはほぼ中間部に下端が枢着されながら上端が昇降体の下面側あるいは上記のガイドレールに枢着される連結部材と、駆動時に支持脚の上端をガイドレールに副って移動させながらこの支持脚を起伏させる駆動手段とを有してなる昇降装置において、ガイドレール,支持脚および連結部材がそれぞれの軸芯線を昇降体の長手方向に延在される軸芯線に沿わせながら平面視で昇降体の長手方向に延在される軸芯線を挟む一対とされてなるとする。
【発明の効果】
【0012】
それゆえ、請求項1の発明にあっては、昇降体の下面側に連設されるガイドレールと、このガイドレールに連繋される支持脚および連結部材とがそれぞれの軸芯線を昇降体の長手方向に延在される軸芯線に沿わせながら平面視で昇降体の長手方向に延在される軸芯線を挟む一対とするから、駆動手段の駆動で支持脚を起伏させて昇降体を昇降し得るのはもちろんこと、このとき、支持脚の起伏方向が昇降体の長手方向になるから、支持脚の起伏時に支持脚の端部が昇降体回りに露呈するような事態が招来されなくなる。
【0013】
このとき、連結部材の上端が支持脚の下端の上方に位置決められることで、連結部材の上端に作用する荷重が下方の支持脚の下端に作用することになり、昇降体が固定側の上方で安定することになる。
【0014】
また、昇降体の下面側に連設されるガイドレールが繋ぎ部材の利用で矩形フレーム構造とされることで、この矩形フレームに支持脚および連結部材、さらには、駆動手段を連繋させていわゆる一体化することが可能になり、この昇降装置における搬送性を向上させ、後付け作業の際の作業性を向上させることになる。
【0015】
その結果、この発明にあっては、床などの固定側に対する昇降体の昇降を可能にするのはもちろんのこと、その搬送性や取り付け作業性を大掛りにせず、また、既存の昇降体に後付けしても他部に対する干渉や利用者などへの接触の頻発を危惧しなくて済むことになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、図示するところでは、この発明による昇降装置は、昇降体たる既設のベッドに後付けしてそのベッドにおける床などの固定側Fからの高さ位置を高低調整できるとしている。
【0017】
すなわち、この発明による昇降装置は、図1,図2および図3に示するところでは、ガイドレール1と、支持脚2と、連結部材3と、駆動手段4とを有してなり、既設のベッドBの下面側に後付けされるとしている。
【0018】
少し説明すると、ガイドレール1は、好ましくは所定の機械的強度を具有するいわゆる軽量型鋼からなり、ベッドBの下面側に水平状態に連設されるとしている。
【0019】
このように、このガイドレール1が軽量型鋼からなるとするのは、この昇降装置における全体重量を可能な限りに小さくすることに寄与するからであり、それゆえ、所定の機械的強度を具有する限りには、鋼材からなるのに代えて、たとえば、合成樹脂材からなるとしても良いのはもちろんで、合成樹脂材からなる場合には、いわゆる作業時などに耳障りとなる金属音の発生を危惧しなくて済むことになる点で有利になると言い得る。
【0020】
そして、このガイドレール1は、具体的には、たとえば、ベッドBの下面を形成する枠体B1にボルト・ナット(図示せず)を利用するなどのいわゆる手動操作による取り付けを可能にするように構成されることが肝要とされている。
【0021】
このように、手動操作による取り付けを可能にするように構成されることで、この昇降装置の後付け作業を大きな機械音を発生させるような大掛りなものにすることを避けられ、たとえば、夜間に病院でする後付け作業を患者などにいたずらな気兼ねをすることなく進行できる利点を生むことになる。
【0022】
そしてまた、このガイドレール1は、その軸芯線がベッドBの長手方向となる軸芯線に沿うように配在されると共に、ベッドBの下面にあって、いわゆる前後にそれぞれ左右一対となるように配在される、すなわち、ベッドBの長手方向となる軸芯線を挟むように左右に配在される一対とされながら、ベッドBの長手方向となる前後に配在されるとしている。
【0023】
このように、ガイドレール1が、すなわち、昇降装置がベッドBの長手方向に沿うように配在されることで、この昇降装置がベッドBの短手方向たる幅方向に配在されなくなり、それゆえ、前記した特許文献1に開示の昇降装置のようにベッドBの幅方向に配在されるがゆえにベッドの幅方向を超えて部材が突出する事態が招来されなくなる点で有利となる。
【0024】
なお、この昇降装置にあっては、ガイドレール1をベッドBの下面に連設させる作業で、この昇降装置をベッドBの下面側に後付けする作業が終了することになるように、すなわち、ガイドレール1は、後述する支持脚2,連結部材3および駆動手段4を言わば一体的に連繋させてなるとしている。
【0025】
そのため、上記のガイドレール1は、上記した一対とされるときに、図3中に一点鎖線図で示すように、繋ぎ部材1aの連結で矩形フレームの構造に形成されてなるとし、これがベッドBの下面に上記のガイドレール1を連設する場合と同様にボルト・ナット利用で枠体B1に連設されるとしても良いことはもちろんである。
【0026】
つぎに、支持脚2は、この昇降装置における言わば主たる支持部材あるいは支持構造を形成するもので、後述する連結部材3や駆動手段4との協同でベッドBを支持するとしている。
【0027】
それゆえ、この支持脚2は、図示するところでは、細幅の菱形の立面形状を呈しながら所定の機械的強度を具有する軽量型鋼からなるとする一方で、上端が前記したガイドレール1に移動可能に、すなわち、上端に有するローラ21がガイドレール1に転動可能に連繋されるとしている。
【0028】
このように、支持脚2が軽量型鋼からなるとする理由は、前記したガイドレール1の場合と同様であり、また、ローラ21を有することで、この支持脚2における上端のガイドレール1に対する移動を容易に実現することが可能になる。
【0029】
このとき、支持脚2の上端部には、図3に示すように、上方腕部材22が貫通されていて、この上方腕部材22によって言わば一対となる左右の支持脚2を一体的に連結するとし、また、この上方腕部材22の両端に上記のローラ21を保持させるとしている。
【0030】
そして、この支持脚2は、上端をガイドレール1に移動可能に連繋させながら下端を床に対して離脱可能に当接させる、すなわち、図示するところでは、安定板23を有しながら床に離脱可能に当接させるとしている。
【0031】
このとき、支持脚2の下端は、これが直に安定板23を有していて、この安定板23を床に当接させるとしても良いが、好ましくは、図3に示すように、左右で一対となる支持脚2の下端を下方腕部材24で連結すると共に、この下方腕部材24の両端に安定板23を保持させ、この安定板23を床に当接させるとする。
【0032】
このように、下方腕部材24を設けて、この下方腕部材24の両端に安定板23を保持させるようにすることで、支持脚2のベッドBに対する位置取りを有利にし得ることになる。
【0033】
すなわち、ベッドBにおける主たる支持部材あるいは支持構造は、ベッドBを転倒させないように支持することが肝要とされていて、たとえば、ベッドBにおける短手方向、すなわち、幅方向の端(図3中に符号Hで示す)からベッドBの中央に向かって15センチ(図3中に符号Wで示す)奥まった位置に、たとえば、介護者やベッドを利用する者が体重を掛けたときにベッドBを転倒させないように機能することが要件とされている。
【0034】
このことからすると、この発明にあって、上記した左右一対とされる支持脚2は、可能な限り相間距離を大きく採って、すなわち、たとえば、図3中に仮想線図で示すように、ベッドBの四隅部に配在されるキャスタB2と同様に、ベッドBの横幅一杯の位置に配在されるのが最良と言い得る。
【0035】
しかしながら、支持脚2をベッドBの横幅一杯の位置に配在する場合には、このベッドBに近付く者の足がこの支持脚2に接触する機会が増えことを意味し、したがって、最良の選択とは言い得ないことになる。
【0036】
一方、支持脚2をベッドBの横幅一杯の位置に配在する場合には、一対となる支持脚2を図示するように適宜の幅に位置決める場合に比較して、成る程、安定した支持状態を具現化できるが、支持脚2自体の構成を頑丈に、すなわち、支持脚2自体の機械的強度を大きくする必要を招くことになる。
【0037】
そして、このことは、この支持脚2に物理的に関連する他の部材における機械的強度を大きくさせることに繋がり、結果的には、装置全体の重量を大きくして、搬送性や取り扱い性を低下させ、さらには、製品コストを高くするなど種々の不具合を発現させることになる。
【0038】
然りとすれば、図示するように、一対の支持脚2を適宜の距離をおいて位置決める一方で、下方腕部材24を設けて、この下方腕部材24に安定板23を保持させ、この安定板23を利用して安定した支持状態を具現化する方が有利になると言い得る。
【0039】
のみならず、この場合には、支持脚2全体をベッドBの横幅一杯の位置に配在する訳ではなく、ベッドBの横幅一杯の位置から最大限15センチ奥まった位置に安定板23を位置決めることになるから、ベッドBに近付く者の足がこの安定板23に接触する機会が大幅に減ることになり、言わば邪魔にならないとも言い得ることになる。
【0040】
なお、上記した安定板23が機能するところからすれば、この安定板23に代えて、たとえば、ベッドBの四隅部に配在されるキャスタB2と同一の機能を果たすもの、すなわち、図示しないが、キャスタを支持脚2の下端に保持させるとしても良いことはもちろんであり、この場合には、ベッドBの四隅部へのキャスタB2の配在を省略できることになり、ベッドBが四隅部にキャスタB2を配在されない分、このキャスタB2がベッドBに近付く者の足に接触する機会をなくせる点で有利となる。
【0041】
また、このことからすれば、既設のベッドBが設置型とされていて移動が不可能とされている場合にも、この発明による昇降装置を後付けする場合には、設置型のベッドBを移動型に直すことが可能になるとも言い得る。
【0042】
連結部材3は、図示するところでは、下端が前記した支持脚2の中間部に枢着されながら上端がベッドBの下面側に、すなわち、図示するところでは、前記したガイドレール1に枢着されるとしている。
【0043】
このように、連結部材3がガイドレール1に枢着されることで、前記した支持脚2が上端をガイドレール1に移動可能に連繋させてなるから、この連結部材3と支持脚2が共にガイドレール1に言わば一体的に連繋させる状態を具現化できることになる。
【0044】
ところで、この発明にあって、連結部材3の上端は、図1中に一点鎖線aで示すように、前記した支持脚2の下端の上方に位置決められるとしており、これによって、連結部材3の上端に作用する荷重が下方の支持脚2の下端に作用することになり、ベッドBが床Fの上方で安定することになる。
【0045】
そして、この連結部材3にあっても、下端部を腕部材31が貫通するとしており、この腕部材31によって左右で一対となる連結部材3を一体的に連結するとしているが、このとき、図示するところでは、腕部材31が支持脚2をも貫通するとしている。
【0046】
ちなみに、詳しくは図示しないが、この連結部材3における上端は、直接ガイドレール1に枢着されるとしても良く、また、上記した腕部材31に類似する軸部材を介してガイドレール1に枢着されるとしても良い。
【0047】
さらに、この連結部材3の上端は、結果的に昇降体に枢着されていることになる限りには、上記するようにガイドレール1に枢着することに代えて、図示しないが、昇降体、すなわち、ベッドBの、たとえば、枠体B1に枢着されるとしても良いことはもちろんである。
【0048】
つぎに、この連結部材3は、前記した支持脚2と立面視でいわゆるY字状を呈することで所定の支持機能を発揮するとしているから、この連結部材3の下端は、図示しないが、支持脚2の中間部でなく中間部近傍となるほぼ中間部に枢着されてなるとしても良いことになる。
【0049】
それゆえ、この連結部材3にあっては、下端が枢着する支持脚2において、これが変位しない限り、すなわち、支持脚2が下端を床上で滑らせるなどして倒れたりしない限り、この支持脚2と協同して、ガイドレール1を介してであるが、ベッドBを下方から支持することになる。
【0050】
以上からすると、図示しないが、連結部材3の下端が支持脚2の下端部あるいは下端部近傍に枢着されて、連結部材3および支持脚2の連結状態を立面視で全体として看るときV字状を呈するとしてもいわゆる支持構造の観点からは問題ないと言い得るが、その起伏の動作に大きい作用力を要することになることを勘案すると、実施可能性に欠ける提案と言い得るであろう。
【0051】
駆動手段4は、前記した連結部材3と支持脚2のいわゆる起伏を具現化するもので、図示するところでは、基端を前記したガイドレール1に枢着させながら先端を同じく前記した支持脚2に枢着させてなるとしている。
【0052】
このように、駆動手段4の基端をガイドレール1に枢着させるのは、前記した支持脚2および連結部材3がそれぞれの上端をガイドレール1に連繋させてなるから、この支持脚2および連結部材3とこの駆動手段4が共にガイドレール1に言わば一体的に連繋されている状態を具現化できるからである。
【0053】
このとき、この駆動手段4にあっては、立面視で前記した連結部材3に並列されてなるとしていて、その駆動時で連結部材3および支持脚2におけるいわゆるリンク動作の実現を可能にしている。
【0054】
このことからすれば、この駆動手段4は、図示するところでは、連結部材3に並列されてなるとしているが、これに代えて、図示しないが、連結部材3にほぼ並列される状態に配在されるとしても良いと言い得る。
【0055】
また、この駆動手段4は、図示するところでは、テレスコープ構造の伸縮体たる電動ジャッキからなるとしており、いわゆる電動の場合には作動音を小さくでき、たとえば、医療用のベッドBにおける場合に好ましく、また、たとえば、油圧シリンダであると油漏れが発現されたときに周辺汚れが危惧されることに比較して好ましい環境を演出できる点で有利になると言い得る。
【0056】
ところで、この駆動手段4は、いわゆる一本配置とされていて、この一本の駆動手段4の駆動するところで、所定の作動、すなわち、支持脚2および連結部材3による所定のリンク作動を実現可能にするとしている。
【0057】
このように、一本の駆動手段4の駆動によって左右で一対となる支持脚2および連結部材3をリンク作動させる場合には、そのリンク動作を同期させることが容易になるのはもちろんのこと、この昇降装置を全体として看るとき、いわゆる前後に配置されることになる各駆動手段4を同期して駆動させることも容易になる。
【0058】
なお、図示するところでは、駆動手段4の基端および先端には、図3に示すように、それぞれ連結軸41,42が枢支されていて、この各連結軸41,42がガイドレール1にあるいは支持脚2に枢着されてなるとしているが、特に、駆動手段4の基端にあっては、図示しないが、これが連結軸41に代わる連結ピンの利用などでガイドレール1ではなくベッドBやその枠体B1に直接枢着されるとしてもしても良いことはもちろんである。
【0059】
それゆえ、以上のように形成された昇降装置にあっては、ベッドBの下面側に連設されるガイドレール1と、このガイドレール1に連繋される支持脚2,連結部材3および駆動手段4とがそれぞれの軸芯線をベッドBの長手方向に延在される軸芯線に沿うように配在されると共に、ガイドレール1,支持脚2および連結部材3がベッドBの長手方向に延在される軸芯線に沿いながら平面視でベッドBの長手方向に延在される軸芯線を挟む一対とされるから、駆動手段4の駆動で支持脚2を起伏させてベッドBを安定した状態に昇降し得るのはもちろんこと、支持脚2をいわゆる畳んで言わば持ち上げた状態にするとき、この支持脚2の端部はもちろんのこと、この昇降装置の端部がベッドB回りに突出するような事態が招来されなくなる。
【0060】
その結果、この昇降装置を後付けしたベッドBに近付く者の脚に上記の端部が接触する機会を全くなくすことが可能になり、また、ベッドBを移動させるときに上記の端部が他部に干渉して移動性が損なわれるような事態の招来も回避できることになる。
【0061】
そして、支持脚2の下端に安定板23を保持させるについて、下方腕部材24を利用する場合には、ベッドBを安定した状態に設置することが可能になり、また、支持脚2の下端に安定板23に代えてキャスタを保持させる場合には、ベッドBの四隅部へのキャスタB2の配在を省略できるのはもちろんのこと、ベッドBが四隅部にキャスタB2が配在されない分、このキャスタB2にベッドBに近付く者の足が接触する機会をなくせることになる。
【0062】
さらに、上記した昇降装置によれば、既設のベッドBが設置型とされていて移動が不可能とされている場合にも、この発明による昇降装置を後付けする場合には、設置型のベッドBを移動型に直すことが可能になる。
【0063】
また、この発明にあっては、昇降体の下面側に連設されるガイドレールに支持脚および連結部材、さらには、駆動手段が連繋されるから、これら各部材のいわゆる一体化が可能になり、この昇降装置における搬送性を向上させ、後付け作業の際の作業性を向上させることになる。
【0064】
以上からすると、前記したことでもあるが、連結部材3および駆動手段4は、その機能するところからすれば、それぞれの上端あるいは基端が前記したガイドレール1に枢着されていなくても良いとも言い得ることになる。
【0065】
ただ、連結部材3の上端および駆動手段4の基端をガイドレール1に枢着しないでベッドBの下面側を形成する枠体B1に直接枢着する設定の場合には、ベッドBの下面側の後付けする前の昇降装置においては、連結部材3における上端および駆動手段4における基端の自由揺動が許容されていることになり、この昇降装置における搬送性が阻害され易くなると共に、この昇降装置をベッドBの下面側に後付けする作業を煩わしくする危惧がある。
【0066】
このことからすれば、この発明の好ましい実施可能性を追求すると、連結部材3の上端および駆動手段4の基端は、これがガイドレール1に枢着されているとする設定の方が良いことになる。
【0067】
前記したところは、この発明による昇降装置が既設のベッドBに後付けされて、ベッドBの床に対する高さを高低調整できるようにする場合を例にして説明したが、この発明が意図するところからすれば、ベッドBは、設置前のものでも良く、また、凡そ昇降体である限りには、ベッドBに代えて、図示しないが、たとえば、作業テーブルやリフト台にこの昇降装置が具現化されるとしても良く、その場合の作用効果も、基本的に、異ならないことはもちろんである。
【0068】
また、前記したところでは、この昇降装置が昇降体の長手方向の端部にそれぞれ配置されるいわゆる一対配置とされるとしているが、この昇降装置が機能するところを勘案すると、昇降体における長手方向の端部の一方にのみこの昇降装置が配置されて、昇降体の他方は、たとえば、壁に連繋されていて壁に副って昇降するとする言わば片利用としても良いことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】この発明による昇降装置をベッドの下面側に後付けした状態を示す立面図である。
【図2】図1における昇降装置が折り畳まれた状態を示す概念図である。
【図3】折り畳まれた状態の昇降装置を上方から見た平面視での概念図である。
【符号の説明】
【0070】
1 ガイドレール
2 支持脚
3 連結部材
4 駆動手段
B 昇降床たるベッド
F 床などの固定側
22 安定板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床などの固定側の上方に配在される昇降体の下面側に水平状態に連設されるガイドレールと、このガイドレールに上端が移動可能に連繋されながら下端が固定側に離脱可能に当接される支持脚と、この支持脚の中間部あるいはほぼ中間部に下端が枢着されながら上端が昇降体の下面側あるいは上記のガイドレールに枢着される連結部材と、駆動時に支持脚の上端をガイドレールに副って移動させながらこの支持脚を起伏させる駆動手段とを有してなる昇降装置において、ガイドレール,支持脚および連結部材がそれぞれの軸芯線を昇降体の長手方向に延在される軸芯線に沿わせながら平面視で昇降体の長手方向に延在される軸芯線を挟む一対とされてなることを特徴とする昇降装置
【請求項2】
連結部材の上端が支持脚の下端の上方に位置決められてなる請求項1に記載の昇降装置
【請求項3】
駆動手段が基端を昇降体の下面側あるいはこの下面側に連設のガイドレールに枢着させると共に先端を支持脚に枢着させるテレスコープ構造の伸縮体からなる請求項1に記載の昇降装置
【請求項4】
一対のガイドレールが一対の繋ぎ部材で連結されて昇降体の下面側に連設される矩形フレームを形成してなる請求項1に記載の昇降装置
【請求項5】
支持脚の下端に固定側上に着座する安定板あるいは固定側上を転動するキャスタが保持されてなる請求項1に記載の昇降装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−151596(P2006−151596A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345094(P2004−345094)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(592057983)カヤバ・エンジニアリング・アンド・サービス株式会社 (8)
【出願人】(594088259)日進油圧工業株式会社 (5)
【出願人】(502043695)
【Fターム(参考)】