易解体性粘着剤組成物及び易解体性粘着テープ
【課題】好適に被着体への貼付けや部品間の固定が可能で、かつ、解体時には温水等の水を使用しなくとも、加熱やエネルギー線照射により容易に解体可能である易解体性粘着テープ及び当該易解体性粘着テープを実現可能な粘着剤組成物の提供。
【解決手段】(メタ)アクリレートモノマーを主たるモノマー成分とするアクリル系重合体(X)、および、酸触媒又は酸発生剤を含有する粘着剤組成物であって、前記アクリル系重合体(X)が、カルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレートモノマー(a)から誘導される繰り返し単位からなり、その繰り返し単位数が10以上であるポリ(メタ)アクリレート鎖(A)を含有することを特徴とする易解体性粘着剤組成物。
【解決手段】(メタ)アクリレートモノマーを主たるモノマー成分とするアクリル系重合体(X)、および、酸触媒又は酸発生剤を含有する粘着剤組成物であって、前記アクリル系重合体(X)が、カルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレートモノマー(a)から誘導される繰り返し単位からなり、その繰り返し単位数が10以上であるポリ(メタ)アクリレート鎖(A)を含有することを特徴とする易解体性粘着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体への貼付け、物品間の固定を行った後、一定期間経過後に当該貼付けや固定を容易に解体できる易解体性粘着テープ及び当該易解体性粘着テープを与える易解体性粘着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープは、作業性に優れる接着信頼性の高い接合手段として、OA機器、IT・家電製品、自動車等の各産業分野での部品固定用途や、部品の仮固定用途、製品情報を表示するラベル用途等に使用されている。近年、地球環境保護の観点から、これら家電や自動車等の各種の産業分野において、使用済み製品のリサイクル、リユースの要請が高まっている。各種製品をリサイクル、リユースする際には、部品の固定やラベルに使用されている粘着テープを剥離する作業が必要となるが、当該粘着テープは製品中の各所に設けられているため、簡易な除去工程による作業コストの低減が要望されている。
【0003】
易解体性の粘着テープとしては、例えば、接着力が相違する2層以上の粘着層を有する粘着部材が開示されている(特許文献1参照)。当該粘着テープは、重畳構造の粘着層を有する粘着部材における弱粘着層を介して被着体を接合処理することにより、被着体の強固な固着と、当該弱粘着層を剥離面とする容易な解体を実現する粘着部材である。
【0004】
他の易解体性の粘着剤組成物として、脂肪族ポリエステルを含有する粘着剤組成物が開示されている(特許文献2参照)。当該粘着剤組成物は、温水浸漬での剥離作業においてポリカプロラクトンの加水分解促進作用により容易に剥離できることが開示されている。
【0005】
また、アクリル系のブロック共重合体を使用した粘着剤組成物として、アクリル系ポリマーブロック中にカルボキシル前駆基(−COOt−ブチル)を有するアクリル共重合体を製造した後、当該カルボキシル前駆基をカルボキシル基に変換したブロック共重合体を含有する粘着剤組成物が開示されている(特許文献3参照)。当該粘着剤組成物は、カルボキシル前駆基として、t−ブチル基を側鎖に有するアクリル系共重合体を製造する工程を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−140093号公報
【特許文献2】特開平9−137145号公報
【特許文献3】特開2002−167566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の粘着では、複数の粘着剤層を必須の構成とするため製造コストが高くなる問題があった。また、弱粘着層により被着体との接着が行われる構成であるため接着力を高めるには制限があり、強固に物品を固定する用途への展開が困難であった。
また、上記特許文献2に記載の粘着剤組成物では、剥離時に温水浸漬が必要であることから、解体作業を行う部材が大きい場合には設備コストが大きく、電子部品等を再利用する際などの水を使用できない部品へは適用できないものであった。
さらに、上記特許文献3に記載の粘着組成物では、得られる粘着剤組成物中には当該t−ブチル基は残存せず、解体性を有するものでは無かった。また、t−ブチル基を有するアクリル共重合体も、n−ブチルアクリレートとt−ブチルアクリレートとのランダムポリマーブロックを有するに過ぎず、易解体性を実現できるものでは無かった
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、好適に被着体への貼付けや部品間の固定が可能で、かつ、解体時には温水等の水を使用しなくとも、加熱やエネルギー線照射により容易に解体可能である易解体性粘着テープ及び当該易解体性粘着テープを実現可能な粘着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明においては、(メタ)アクリレートモノマーを主たるモノマー成分とするアクリル系重合体を含有する粘着剤組成物において、酸触媒又は酸発生剤を含有すると共に、アクリル系共重合体として、当該酸との反応により分解されるカルボキシル前駆基を有する(メタ)アクリレートモノマー(a)から誘導される繰り返し単位からなるポリ(メタ)アクリレート鎖(A)を含有するアクリル系重合体(X)を使用する。当該構成を有する粘着剤組成物により形成される粘着剤層は、貼付け時には、アクリル系重合体による粘着特性を発現し、解体を行う際には、加熱や露光等の外部刺激により発生する酸により、重合体側鎖のカルボキシル前駆基が分解され、粘着力を大きく低減でき容易に解体可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の易解体性粘着剤組成物によれば、アクリル系重合体の有する粘着特性を低減させることなく、解体時には熱や光等の簡易な手段により、容易に糊残りなく解体することができる。このため、リサイクルやリユースに適用されるOA機器、IT・家電製品、自動車等の各産業分野での部品固定用途や部品の仮固定用途、製品情報を表示するラベル用途等に特段の制限なく好適に適用でき、解体時にも簡易な加熱設備やエネルギー線照射設備等により容易に解体できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1における加熱前後の180°剥離強度(mN/20mm幅)及び剥離距離(mm)を示す図である。
【図2】実施例2における加熱前後の180°剥離強度(mN/20mm幅)及び剥離距離(mm)を示す図である。
【図3】実施例3における加熱前後の180°剥離強度(mN/20mm幅)及び剥離距離(mm)を示す図である。
【図4】実施例4における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図5】実施例5における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図6】実施例6における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図7】実施例7における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図8】実施例8における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図9】実施例9における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図10】実施例10における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図11】実施例11における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図12】比較例1における加熱前後の180°剥離強度(mN/20mm幅)及び剥離距離(mm)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[アクリル系重合体(X)]
本発明の易解体性粘着剤組成物に使用するアクリル系重合体(X)は、カルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレートモノマー(a)から誘導される繰り返し単位から構成されるポリ(メタ)アクリレート鎖(A)を含有し、当該ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)は少なくとも前記(メタ)アクリレートモノマー(a)から誘導される繰り返し単位が連続して10以上の繰り返し単位からなるポリ(メタ)アクリレート鎖である。
【0013】
当該ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)の側鎖を構成するカルボキシル前駆基は、酸触媒や粘着剤層外部からの光や熱により酸を発生する酸発生剤の酸成分によりカルボキシル基に変換され、当該ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)は、ポリ(メタ)アクリル酸鎖となる。当該ポリ(メタ)アクリル酸鎖は、粘着剤層を硬くし、粘着剤層の粘着性を低減させることから、外部刺激により生じた酸成分により側鎖が分解することで、粘着剤層の剥離性が向上し、良好に解体することが可能となる。
【0014】
カルボキシル前駆基としては、酸によりカルボキシル基となるものであれば特に制限されないが、酸によりオレフィン脱離を生じやすい第二級又は第三級炭素原子を有するアルキル基とカルボキシル基とから構成されるエステル基を好ましく使用できる。また、第二級又は第三級炭素原子を有するアルキル基以外の基として、穏和な条件で脱離しやすいベンジル基等も好ましく使用できる。当該側鎖分解時に脱離するカルボキシル前駆基のなかでも、脱離してアルキレン、アルカン等の気体を生じるものは、粘着剤層の剥離性向上に寄与するため、更に良好な再剥離性が得られるため好ましい。
【0015】
当該ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)は、具体的には下式(1)で表わされるポリマー鎖である。
【0016】
【化1】
【0017】
上記式(1)中のR1は水素原子又はメチル基を表わし、好ましくは水素原子である。また、X1は酸の影響によって脱離し、前記式(1)中にカルボキシル基を形成しうるアルキル基を表わす。X1が第二級又は第三級炭素原子を有するアルキル基である場合には、(メタ)アクリロイルオキシ基の酸素原子と、当該アルキル基の第二級又は第三級炭素原子が結合する。当該X1は、脱離することで前記式(1)中にカルボキシル基を形成しうるアルキル基であれば繰り返し単位毎に異なっていてもよいが、同一の繰り返し単位が連続した構造であることが製造上好適である。繰り返し単位数nは、10以上であれば、酸触媒や粘着剤層外部からの光や熱により酸を発生する酸発生剤の酸成分により側鎖分解し、粘着剤層の剥離に寄与することができる。当該繰り返し単位数nは、重合可能な繰り返し単位数であり、粘着特性を実現できるものであれば特に制限されるものではないが、好ましくは10以上、より好ましくは20以上であり、上限については好ましくは10万以下である。
【0018】
ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)を構成する(メタ)アクリレートモノマー(a)のうち、第二級炭素原子を有するアルキル基の第二級炭素原子と、(メタ)アクリロイルオキシ基とが結合した(メタ)アクリレートモノマー(a1−1)としては、例えば、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、sec−ヘキシル(メタ)アクリレート、sec−オクチル(メタ)アクリレート、sec−ノニル(メタ)アクリレート、sec−デシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0019】
また、第三級炭素原子を有するアルキル基の第三級炭素原子と、(メタ)アクリロイルオキシ基とが結合した(メタ)アクリレートモノマー(a1−2)としては、例えばtert−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、tert−ノニル(メタ)アクリレート、tert−デシル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等の2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0020】
また、これら以外のカルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレートモノマー(a)として、ベンジル(メタ)アクリレートも好ましく使用することができる。
【0021】
これら、(メタ)アクリレートモノマー(a)のなかでも、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートは、特に酸により好適にカルボキシル基を形成するため好ましく使用でき、中でもtert−ブチルアクリレートを特に好ましく使用できる。また、イソボルニルアクリレートは、酸による好適なカルボキシル基形成に加え、粘着剤層の熱安定性を高くできるため、特に好ましく使用できる。
【0022】
本発明に使用するアクリル系重合体(X)は、上記(メタ)アクリレートモノマー(a)からなるポリ(メタ)アクリレート鎖(A)のみからなる重合体であっても、当該ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)以外の他のポリ(メタ)アクリレート鎖(B)との共重合体であってもよい。特に、アクリル系重合体(X)を、ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)と他のポリ(メタ)アクリレート鎖(B)とのブロック共重合体とすることで、当該アクリル系重合体(X)に良好な粘着性能等を好適に付与できる。なお、当該ブロック共重合体は、一つのポリ(メタ)アクリレート鎖(A)と一つのポリ(メタ)アクリレート鎖(B)とのブロック共重合体(AB型ブロック共重合体)であっても、複数のポリ(メタ)アクリレート鎖(A)や複数のポリ(メタ)アクリレート鎖(B)がランダムにブロック重合されたブロック共重合体(ABA型、BAB型、ABAB型、ABABA型等)であっても良い。
【0023】
ポリ(メタ)アクリレート鎖(B)としては、使用する態様に応じて好適な粘着特性を有する構成であれば良く、上記(メタ)アクリレートモノマー(a)以外の他の(メタ)アクリレートモノマー(b)から誘導される繰り返し単位を含有するポリ(メタ)アクリレート鎖(B)を使用できる。当該ポリ(メタ)アクリレート鎖(B)は、(メタ)アクリレートモノマー(a)以外の他の(メタ)アクリレートモノマー(b)を主たる繰り返し単位、好ましくはポリ(メタ)アクリレート鎖(B)を構成するモノマー成分中の50質量%以上、より好ましくは80質量%以上含有するものを使用できる。また、他の(メタ)アクリレートモノマー(b)に併用して、側鎖に水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基などの官能基を有する極性基含有ビニルモノマーをモノマー成分として使用しても良い。
【0024】
ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)以外の他のポリ(メタ)アクリレート鎖(B)を構成する(メタ)アクリレートモノマー(b)としては、例えば、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート等を使用することができる。なかでも、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを主たるモノマー成分として使用することで、得られる粘着剤層の粘着性向上に好適である。
【0025】
また、(メタ)アクリレートモノマー(b)に併用して、水酸基含有ビニルモノマーを使用することもでき、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0026】
また、カルボキシル基含ビニルモノマーを使用することもでき、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、アクリル酸ダイマー、エチレンオキサイド変性コハク酸アクリレートなどのカルボキシル基を有するモノマー等を使用することができる。
【0027】
また、窒素含有ビニルモノマーを使用することもでき、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有ビニルモノマー、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有ビニルモノマーを使用することができる。
【0028】
また、イミノ基含有モノマーを使用することもでき、例えばシクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド等を使用することができる。
【0029】
本発明に使用するアクリル系重合体(X)の数平均分子量は、1万〜200万程度の範囲で使用態様に応じて適宜調整すればよく、後述するリビングラジカル重合法によって前記アクリル系重合体(X)を製造する場合には、良好な生産効率を維持する観点から1万〜10万程度とすることが好ましく、解体前の良好な粘着強度を維持する観点では15万〜100万程度とすることが好ましい。
【0030】
前記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算である。測定条件の例として、HLC−8220GPC(東ソー社製)を用いてカラムはTSKgel GMHXL[東ソー製]を用い、カラム温度は40℃、溶離液はテトラヒドロフラン、流量は1.0mL/分とし、標準ポリスチレンはTSK標準ポリスチレンを用いることで測定できる。
【0031】
分子量を調整するために、重合には連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤としては、公知の連鎖移動剤、例えばラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノールなどが使用できる。
【0032】
アクリル系重合体(X)が、ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)とポリ(メタ)アクリレート鎖(B)との共重合体である場合には、(A)と(B)との合計に対し、(A)が75モル%以下であることが好ましく、当該共重合比率が、(A)/(B)で表わされるモル比で75/25〜20/80であることがより好ましく、65/35〜20/80であることが特に好ましい。ブロック共重合比を当該範囲とすることで、ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)による好適な解体性と、ポリ(メタ)アクリレート鎖(B)の粘着性等の特性とを好適に発現しやすくなる。
【0033】
アクリル重合体(X)は、例えば前記アクリル単量体の混合物を、ラジカル重合反応することによって製造することができる。前記アクリル重合体(X)の製造方法としては具体的には、リビングラジカル重合法や、アゾ系開始剤または過酸化物を用いて行う従来知られたラジカル重合法が挙げられる。なかでも、リビングラジカル重合法を採用することが、ラジカル重合過程における連鎖移動反応や停止反応等の副反応を引き起こさず、分子量分布の狭いアクリル重合体を製造できるため好ましい。
【0034】
前記リビングラジカル重合法としては、例えば原子移動ラジカル重合法(ATRP法)、有機テルルを成長末端とするリビングラジカル重合法(TERP法)、ニトロキシドを介したリビングラジカル重合法(NMP法)、可逆的付加開裂連鎖移動重合反応法(RAFT法)等が挙げられる。
【0035】
前記原子移動ラジカル重合法(ATRP法)は、例えば遷移金属錯体と、有機ハロゲン化物との存在下で、前記したアクリル単量体を重合する方法である。
【0036】
前記遷移金属錯体を構成する遷移金属としては、例えばCu、Ru、Fe、Rh、V、Niや、それらのハロゲン化物を使用することができる。また、前記遷移金属に配位する配位子としては、ビピリジル誘導体、メルカプタン誘導体、トリフルオレート誘導体、3級アルキルアミン誘導体等が挙げられる。
【0037】
前記有機ハロゲン化物は、重合開始剤であって、例えば2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸メチル、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸エチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸エチル、塩化(または臭化)1−フエニルエチル、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸4−ヒドロキシブチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸2−ヒドロキシエチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸4−ヒドロキシブチル等を使用することができる。
【0038】
また、前記アクリル重合体(X)は、例えばカルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレートモノマー(a)を前記したラジカル重合法により重合することで前記カルボキシル前駆基を有する(メタ)アクリレートモノマー(a)のホモポリマーからなるポリ(メタ)アクリレート鎖(A)を製造し、次いで、前記と同様の方法でポリ(メタ)アクリレート鎖(B)を製造し、前記ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)と(B)とを、前記(A)及び(B)中にそれぞれ導入されたアセチレン基とアジド基との環化付加反応等のクリック反応により結合させることで製造することもできる。
【0039】
[酸触媒、酸発生剤]
本発明に使用する酸触媒としては、例えばp−トルエンスルホン酸やベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸などの有機酸や、塩酸や硫酸等の無機酸、及び、それらの水和物を使用することができる。
【0040】
本発明で使用する酸発生剤は、例えば紫外線等のエネルギー線による光照射によりカチオン重合を開始することのできる酸を発生する光酸発生剤や、加熱等によって酸を発生する熱酸発生剤である。なかでも光酸発生剤は、光と熱の二種の外部刺激により粘着剤層を好適に解体できる一方で、粘着剤組成物として保管する際や、粘着テープとして物品を固定した際には容易に分解や解体が生じにくく、安定した保存性や粘着特性を保持できるため、好ましく使用できる。
【0041】
前記光酸発生剤としては、例えばN−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドトリフラート、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(tert−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ビス(tert−ブチルフェニル)ヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、ビフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、フェニル−(3−ヒドロキシ−ペンタデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、フェニル−(3−ヒドロキシペンタデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート等を使用することができる。
【0042】
これら光酸発生剤は、使用する用途に応じて適宜好適なものを選択すればよい。例えば、これら酸発生剤は粘着剤との混合により熱分解温度が低下する場合があるため、これらのなかでも、N−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステルやビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン等の酸発生剤単独での熱分解温度が概ね150℃以上のものを使用することが、保存時等に熱の影響によって酸が発生し、粘着剤組成物の解体が進行することを防止するうえで好ましい。
【0043】
また、光酸発生剤の中でも、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン等の加熱により気体を発生する光酸発生剤は、光による酸発生と加熱による気体発生により、特に高い解体性を実現しやすいため好ましい。N−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル等の100℃程度の加熱よっても気体を発生しにくい光酸発生剤は、熱安定性の高い粘着剤層を得ることができるため好ましい。
【0044】
さらに、光酸発生剤の中でも、骨格中にベンゼン環やナフタレン環構造等の光吸収性の構造を有する光酸発生剤は、少ない光照射時間や少ない含有量で好適な解体性を実現できるため、製造コストや解体コストを低減しやすいため好ましい。一方で、これら光吸収性の構造を有さない光酸発生剤は、光照射に対する安定性が求められる場合に好ましく使用できる。
【0045】
また、前記熱酸発生剤としては、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩を使用することができ、例えば4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート等を使用することができる。
【0046】
[粘着剤組成物]
本発明の粘着剤組成物は、上記アクリル共重合体(X)と、酸触媒又は酸発生剤を含有することで、得られる粘着剤層は、貼付け時には、アクリル系重合体の粘着特性を十分に発現でき、解体を行う際には、酸触媒や、加熱や光等の外部刺激により酸を発生する酸発生剤の存在下で、加熱や光照射を行うことにより、(メタ)アクリロイルオキシ基が結合している第二級又は第三級炭素原子が分解され、粘着力を大きく低減でき容易に解体可能となる。
【0047】
粘着剤組成物中の酸触媒又は酸発生剤の含有量としては、使用する酸発生剤の種類や、所望の解体性に応じて適宜調整すればよいが、カルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレート(a)が有するカルボキシル前駆基1モルに対して10モル%以下で使用することが好ましく、1〜10モル%の範囲で使用することが特に好ましい。なかでも、光酸発生剤の場合には、光吸収性の構造を有する光酸発生剤を使用する際には0.1〜5モル%程度が好ましく、0.1〜3モル%が特に好ましい。一方、光吸収性の構造を有さない光酸発生剤を使用する際には、3〜10モル%程度が好ましく、4〜8モル%が特に好ましい。
【0048】
使用するアクリル系重合体に対しては、上記アクリル系重合体(X)100質量部に対し、15質量部以下にて使用することが好ましい。なかでも、光酸発生剤の場合には、光吸収性の構造を有する光酸発生剤を使用する際には0.1〜5重量部程度が好ましく、0.2〜3重量部が特に好ましい。一方、光吸収性の構造を有さない光酸発生剤を使用する際には、5〜15重量部程度が好ましく、7〜12重量部が特に好ましい。
【0049】
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系重合体を主たる構成成分として含有するアクリル系粘着剤組成物であり、アクリル系重合体として上記のアクリル系重合体(X)のみを含有する粘着剤組成物であっても、他のアクリル系重合体を含有する粘着剤組成物で有ってもよい。また、必要に応じて粘着付与樹脂や架橋剤、その他の添加剤等を含有していてもよい。
【0050】
(粘着付与樹脂)
本発明の粘着剤組成物においては、得られる粘着剤層の強接着性を調整するために粘着付与樹脂を使用しても良い。本発明に使用する粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン系、重合ロジン系、重合ロジンエステル系、ロジンフェノール系、安定化ロジンエステル系、不均化ロジンエステル系、テルペン系、テルペンフェノール系、石油樹脂系等が例示できる。
【0051】
(架橋剤)
本発明の粘着剤組成物においては、得られる粘着剤層の凝集力を向上させる目的で、架橋剤を使用することも好ましい。架橋剤としては、公知のイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、多価金属塩系架橋剤、金属キレート系架橋剤、ケト・ヒドラジド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、シラン系架橋剤、グリシジル(アルコキシ)エポキシシラン系架橋剤等が使用できる。
【0052】
(添加剤)
本発明の粘着剤組成物においては、添加剤として、必要に応じて本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、pHを調整するための塩基(アンモニア水など)や酸、発泡剤、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、ガラスやプラスチック製の繊維・バルーン・ビーズ・金属粉末等の充填剤、顔料・染料等の着色剤、pH調整剤、皮膜形成補助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等の公知のものを粘着剤組成物に任意で添加することができる。
前記発泡剤は、粘着剤の解体を進行するうえで使用することができ、例えば加熱することにより体積膨張する、無機発泡剤、有機発泡剤及び熱膨張性中空球体等を使用することができる。
【0053】
[易解体性粘着テープ]
本発明の易解体性粘着テープは、上記の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着テープである。粘着剤層は単層の粘着剤の層であっても良く、両面粘着テープのような複数の粘着剤の層及びシートからなる多層であっても良い。二以上の部材固定用途においては、両面粘着テープが好適に使用できる。
【0054】
本発明の易解体性粘着テープに基材を使用する場合には、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ABS、ポリカーボネート、ポリイミドフィルム、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリビニルアルコール等からなるプラスチック系フィルム、パルプ、レーヨン、マニラ麻、アクリロニトリル、ナイロン、ポリエステル等からなる不織布、紙、布、又は金属箔等が挙げられる。両面粘着テープを形成する際には、再剥離性と接着性を両立しやすいことから、中芯としてポリエステル系フィルム、不織布を好適に用いることが出来る。
また、基材、中芯と粘着剤層と密着性を向上させることを目的に、片面または両面に、コロナ処理、プラズマ処理、アンカーコート処理等を施しても良い。
【0055】
本発明の易解体性粘着テープは、基材を有する場合には、粘着剤溶液をロールコーターやダイコーター等を用い、直接基材に塗布した後、乾燥工程を経て、セパレーターを貼り合わせる直塗り法や、セパレーター上にいったん粘着剤溶液をコーティングし、乾燥工程を経た後、基材に転写する転写法により製造できる。基材を有さない場合には、セパレーター上に粘着剤溶液をコーティングし、他のセパレーターを貼り合わせる方法により製造できる。
【0056】
(解体方法)
本発明の易解体性粘着テープは、貼付け時には良好に被着対象への接着や、部品間固定がなされ、解体、剥離を行う際には、熱や光による外部刺激により良好に剥離が可能となる。熱や光の外部刺激は、使用する酸発生剤により適宜調整されれば良いが、貼付け時の通常の使用態様において発生しない温度や強度の熱、光条件にて剥離可能となることが好ましい。
【0057】
本発明の易解体性粘着テープが酸触媒を含有する場合には、加熱により、カルボキシル前駆基の脱離反応を促進すると共に、粘着剤層の流動性増加により酸を好適に粘着剤層中に拡散させることで、粘着テープを好適に解体できる。また、熱や光により酸を発生する酸発生剤を含有する場合には、光照射や加熱を行うことで酸が発生して粘着テープを好適に解体できるが、当該酸の存在下で必要に応じてさらに加熱等を行うことで、カルボキシル前駆基の脱離反応の更なる促進や、粘着剤層の流動性増加による酸の拡散により、さらに好適に粘着テープを解体できる。特に本発明では、光酸発生剤を使用し、紫外線等の光を照射することによって粘着剤を解体しうる酸を発生させ、次いで、加熱することによって、前記酸による粘着剤の解体を効率よく進行させることが好ましい。
【0058】
紫外線等の光の強度は使用する光酸発生剤が好適に酸を生じるエネルギー以上であればよく、また、加熱温度は熱酸発生剤が好適に酸を生じる温度以上で加熱すればよい。また、酸存在下での加熱温度は、粘着剤のガラス転移温度に基づき粘着剤層の流動性を上昇させ、酸を効果的に拡散できる温度や、カルボキシル前駆基の脱離反応を促進させ効率的に側鎖分解できる温度で調整すればよい。
【0059】
本発明の易解体性粘着テープは、作業工程における接着不備や、リサイクル時の部材間の分離に際して、熱や光等の外部刺激により容易に解体できる再剥離性を有する。このため、自動車、建材、OA、家電業界などの工業用途における各種製品の部品間固定を行う粘着テープとして好適に使用できる。
【実施例】
【0060】
(配位子の合成例)
<トリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン(以下、Me6TRENと略記)の合成>
37%ホルムアルデヒド水溶液17.5mlおよび蟻酸17mlを反応容器に入れ、0℃で1時間攪拌した後、トリス(2−アミノエチル)アミン3.05gと純水17.5mlの混合溶液を滴下し、95℃で11時間還流した。
反応溶液を室温まで冷却したあと、揮発成分を減圧留去した(45℃、65mmHg)。残渣に飽和水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10以上にした後、分離した有機層をジクロロメタンで抽出した(100mlで3回)。ジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを除去した後、ジクロロメタンを減圧留去し粗生成物を得た。粗生成物をさらに減圧蒸留(100℃、10mmHg)により精製し、目的生成物であるMe6TRENを得た。Me6TRENの収率は43%であった。
【0061】
(製造例1)
シュレンク管にtert−ブチルアクリレート(以下、t−ブチルアクリレートと略記)9.00g、Me6TREN77.5μl、トルエン7.4ml、アセトン3.5mlを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅42.0mgを加えて15分攪拌した後、開始剤である2−ブロモプロピオン酸メチル130.3μlを加え、60℃で1時間重合した。
t−ブチルアクリレートの反応率は、50%であった。反応率は、得られた重合混合物の1H−NMRスペクトルを測定し、残存モノマーと生成ポリマーの積分比から計算した(以下同様である)。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、残存モノマーを除去するため40℃で24時間減圧加熱し、マクロ開始剤(1)を得た。マクロ開始剤(1)は、ω−末端に臭素原子を有するポリt−ブチルアクリレートであり、数平均分子量[Mn]は4,400、重量平均分子量[Mw]は5,000、多分散度[Mw/Mn]は1.13であった。分子量の測定は、本文中記載のGPC法により行った(以下同様である)。
シュレンク管にマクロ開始剤(1)0.78g、2−エチルへキシルアクリレート3.57g、Me6TREN25.7μl、酢酸エチル1.45gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅13.9mgを加えて15分攪拌した後、60℃で25分重合した。2−エチルへキシルアクリレートの反応率は94%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてブロック共重合体(1)を得た。
ブロック共重合体(1)は、ポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は18,600、重量平均分子量[Mw]は22,800、多分散度[Mw/Mn]は1.23であった。ブロック共重合体(1)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:30量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:95量体
【0062】
(製造例2)
重合時間1時間に代えて重合時間2時間とした以外は、製造例1のマクロ開始剤(1)と同様にして、マクロ開始剤(2)を得た。t−ブチルアクリレートの反応率は、97%であった。マクロ開始剤(2)は、ω−末端に臭素原子を有するポリt−ブチルアクリレートであり、数平均分子量[Mn]は8,400、重量平均分子量[Mw]は9,200、多分散度[Mw/Mn]は1.09であった。
シュレンク管にマクロ開始剤(2)0.80g、2−エチルへキシルアクリレート1.76g、Me6TREN12.7μl、酢酸エチル0.86gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅6.9mgを加えて15分攪拌した後、60℃で18分重合した。2−エチルへキシルアクリレートの反応率は71%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてブロック共重合体(2)を得た。
ブロック共重合体(2)は、ポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は20,000、重量平均分子量[Mw]は24,100、多分散度[Mw/Mn]は1.21であった。ブロック共重合体(2)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:61量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:68量体
【0063】
(製造例3)
シュレンク管にt−ブチルアクリレート4.50g、Me6TREN25.3μl、トルエン2.2ml、アセトン3.2mlを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅13.7mgを加えて15分攪拌した後、開始剤である2−ブロモプロピオン酸メチル35.5μlを加え、60℃で3.3時間重合した。t−ブチルアクリレートの反応率は、81%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、残存モノマーを除去するため40℃で24時間減圧加熱し、マクロ開始剤(3)を得た。マクロ開始剤(3)は、ω−末端に臭素原子を有するポリt−ブチルアクリレートであり、数平均分子量[Mn]は11,800、重量平均分子量[Mw]は12,900、多分散度[Mw/Mn]は1.09であった。
シュレンク管にマクロ開始剤(3)1.42g、2−エチルへキシルアクリレート0.89g、Me6TREN15.9μl、酢酸エチル0.78gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅8.6mgを加えて15分攪拌した後、60℃で15分重合した。2−エチルへキシルアクリレートの反応率は84%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてブロック共重合体(3)を得た。ブロック共重合体(3)は、ポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は18,500、重量平均分子量[Mw]は21,600、多分散度[Mw/Mn]は1.17であった。ブロック共重合体(3)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:94量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:36量体
【0064】
(製造例4)
シュレンク管にマクロ開始剤(2)1.28g、2−エチルへキシルアクリレート2.83g、Me6TREN20.3μl、酢酸エチル4.11gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅11.0mgを加えて15分攪拌した後、60℃で2時間重合した。2−エチルへキシルアクリレートの反応率は34%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてブロック共重合体(4)を得た。ブロック共重合体(4)は、ポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は12,600、重量平均分子量[Mw]は15,000、多分散度[Mw/Mn]は1.19であった。ブロック共重合体(4)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:61量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:34量体
【0065】
(製造例5)
シュレンク管にマクロ開始剤(3)1.51g、2−エチルへキシルアクリレート1.49g、Me6TREN16.9μl、酢酸エチル1.46gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅9.2mgを加えて15分攪拌した後、60℃で0.5時間重合した。2−エチルへキシルアクリレートの反応率は75%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてブロック共重合体(5)を得た。ブロック共重合体(5)は、ポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は19,500、重量平均分子量[Mw]は23,200、多分散度[Mw/Mn]は1.19であった。ブロック共重合体(5)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:94量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:50量体
【0066】
(製造例6)
シュレンク管にt−ブチルアクリレート4.11g、Me6TREN43.8μl、トルエン3.3ml、アセトン1.6mlを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅23.0mgを加えて15分攪拌した後、開始剤である2−ブロモプロピオン酸メチル36.8μlを加え、60℃で1時間重合した。t−ブチルアクリレートの反応率は、48%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、残存モノマーを除去するため40℃で24時間減圧加熱し、マクロ開始剤(4)を得た。マクロ開始剤(4)は、ω−末端に臭素原子を有するポリt−ブチルアクリレートであり、数平均分子量[Mn]は6,200、重量平均分子量[Mw]は6,800、多分散度[Mw/Mn]は1.10であった。
シュレンク管にマクロ開始剤(4)1.20g、2−エチルへキシルアクリレート1.28g、Me6TREN33.2μl、酢酸エチル0.50gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅12.5mgを加えて15分攪拌した後、60℃で31分重合した。2−エチルへキシルアクリレートの反応率は89%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてブロック共重合体(6)を得た。
ブロック共重合体(6)は、ポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は11,300、重量平均分子量[Mw]は15,100、多分散度[Mw/Mn]は1.34であった。ブロック共重合体(6)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:53量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:39量体
【0067】
(製造例7)
シュレンク管に2−エチルへキシルアクリレート3.12g、Me6TREN58.3μl、酢酸エチル3.27gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅30.4mgを加えて15分攪拌した後、開始剤である2,6−ジブロモヘプタン二酸ジメチル95.0μlを加え、60℃で10分重合した。2−エチルへキシルアクリレートの反応率は、86%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとして2官能性マクロ開始剤(5)を得た。2官能性マクロ開始剤(5)は、両末端に臭素原子を有するポリ2−エチルへキシルアクリレートであり、数平均分子量[Mn]は6,000、重量平均分子量[Mw]は7,000、多分散度[Mw/Mn]は1.16であった。
シュレンク管に2官能性マクロ開始剤(5)0.52g、t−ブチルアクリレート0.68g、Me6TREN23.6μl、酢酸エチル0.40gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅8.7mgを加えて15分攪拌した後、60℃で17分重合した。t−ブチルアクリレートの反応率は97%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてABA型トリブロック共重合体(7)を得た。
ABA型トリブロック共重合体(7)は、Aブロックとしてポリt−ブチルアクリレートブロック、Bブロックとしてポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は12,800、重量平均分子量[Mw]は15,800、多分散度[Mw/Mn]は1.23であった。ABA型トリブロック共重合体(7)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:54量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:33量体
【0068】
(製造例8)
シュレンク管に2−エチルヘキシルアクリレート3.08g、Me6TREN52.1μl、酢酸エチル3.12gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅17.1mgを加えて15分攪拌した後、開始剤である2−ブロモプロピオン酸メチル27.4μlを加え、60℃で32分重合した。2−エチルヘキシルアクリレートの反応率は、73%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、マクロ開始剤(6)を得た。マクロ開始剤(6)は、ω−末端に臭素原子を有するポリ2−エチルヘキシルアクリレートであり、数平均分子量[Mn]は9,300、重量平均分子量[Mw]は11,000、多分散度[Mw/Mn]は1.19であった。
シュレンク管にマクロ開始剤(6)1.14g、イソボルニルアクリレート0.89g、Me6TREN17.5μl、酢酸エチル0.41gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅9.2mgを加えて15分攪拌した後、60℃で64分重合した。イソボルニルアクリレートの反応率は76%であった。この重合混合物から、クロロホルムを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。クロロホルムを減圧留去した後、5重量%程度にクロロホルムで希釈した。このクロロホルム溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてブロック共重合体(8)を得た。
ブロック共重合体(8)は、ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックとポリイソボルニルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は14,800、重量平均分子量[Mw]は19,100、多分散度[Mw/Mn]は1.29であった。ブロック共重合体(8)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリイソボルニルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリイソボルニルアクリレート:29量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:57量体
【0069】
(製造例9)
シュレンク管に、t−ブチルアクリレート4.98g、開始剤である2−ブロモプロピオン酸メチル74.3μl、Me6TREN53.5μl、トルエン3.5g、アセトン1.5gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅27.9mgを加えて10分攪拌した後、60℃で1時間重合した。t−ブチルアクリレートの反応率は、54%であった。この重合混合物から、クロロホルムを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
クロロホルムを減圧留去した後、10重量%程度にクロロホルムで希釈した。このクロロホルム溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、マクロ開始剤(7)を得た。マクロ開始剤(7)は、ω−末端に臭素原子を有するポリt−ブチルアクリレートであり、数平均分子量[Mn]は5,800、重量平均分子量[Mw]は6,600、多分散度[Mw/Mn]は1.14であった。
サンプル管に臭化銅0.92mg、Me6TREN5.32μl、アニソール0.95gを入れ、10分間攪拌し溶液(1)を得た。シュレンク管に溶液(1)0.95g、マクロ開始剤(7)0.66g、n−ブチルアクリレート1.24g、および還元剤として2−エチルヘキサン酸スズ(II)87.7μlを加えた。溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した後、60℃で120分重合した。n−ブチルアクリレートの反応率は42%であった。この重合混合物から、クロロホルムを展開溶媒、中性アルミナを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。クロロホルムを減圧留去した後、10重量%程度にクロロホルムで希釈した。このクロロホルム溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、ブロック共重合体(9)を得た。
ブロック共重合体(9)は、ポリt−ブチルアクリレートブロックとポリn−ブチルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は8,500、重量平均分子量[Mw]は9,900、多分散度[Mw/Mn]は1.17であった。ブロック共重合体(9)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリn−ブチルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:36量体
ポリn−ブチルアクリレートブロック:27量体
【0070】
(比較製造例1)
シュレンク管にt−ブチルアクリレート1.53g、2−エチルへキシルアクリレート2.20g、Me6TREN19.0μl、酢酸エチル1.26gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅17.1mgを加えて15分攪拌した後、開始剤である2−ブロモプロピオン酸メチル19.0μlを加え、60℃で16分重合した。t−ブチルアクリレートの反応率は89%、2−エチルへキシルアクリレートの反応率は88%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてランダム共重合体(1)を得た。ランダム共重合体(1)の数平均分子量[Mn]は19,800、重量平均分子量[Mw]は21,600、多分散度[Mw/Mn]は1.09であった。ランダム共重合体(1)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比から共重合体組成を計算した結果、下記のとおりであった。
t−ブチルアクリレート単位:64単位
2−エチルへキシルアクリレート単位:64単位
【0071】
(実施例1)
ブロック共重合体(1)に酸触媒としてp−トルエンスルホン酸一水和物(TS;ブロック共重合体(1)中のt−ブチル基に対して5mol%)を加え、アセトンで希釈して30重量%アセトン溶液からなる粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物をギャップ10milli−inchのアプリケータを使用して、厚さが50μmのPETフィルム上に塗布し、12時間減圧乾燥して粘着シートを作成した。粘着シートを幅20mm、長さ175mmの短冊状に切断し、幅50mm、長さ150mm、厚さ0.5mmのSUS板上に、重さ2kgのハンドローラーを1往復させ圧着することによって2個の試験片を得た。
圧着した試験片のうち1個は、室温で20分静置した後、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。180°剥離強度測定は、室温で行った(以下の実施例、比較例においても同条件にて測定)。圧着した試験片のうち1個は、100℃で1時間加熱した後室温まで放冷し、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1及び図1に示した。
なお、紫外線照射は、光源として東芝理化学用水銀ランプ「SHL−100UVQ−2」(75W)を使用し、光源と試料の距離を10cmとして、ランプ点灯後15分以上経過してから試料に照射した(以下の実施例、比較例においても同条件にて照射)。
【0072】
(実施例2)
ブロック共重合体(1)に代えて、ブロック共重合体(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を作成した。得られた粘着剤組成物について、実施例1と同様にして180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1及び図2に示した。
【0073】
(実施例3)
ブロック共重合体(1)に代えて、ブロック共重合体(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を作成した。得られた粘着剤組成物について、実施例1と同様にして180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1及び図3に示した。
【0074】
(実施例4)
ブロック共重合体(4)に、光酸発生剤としてビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン(BCD;ブロック共重合体(4)中のt−ブチル基に対して7mol%)を加え、アセトンで希釈して30重量%アセトン溶液からなる粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物をギャップ10milli−inchのアプリケータを使用して、厚さが50μmのPETフィルム上に塗布し、12時間減圧乾燥して粘着シートを作成した。粘着シートを幅20mm、長さ175mmの短冊状に切断し、幅50mm、長さ150mm、厚さ0.5mmのSUS板上に、重さ2kgのハンドローラーを1往復させて圧着することによって4個の試験片を得た。
圧着した試験片のうち1個は、室温で20分静置した後、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。圧着した試験片のうち1個は、100℃で1時間加熱した後室温まで放冷した。圧着した試験片のうち1個は、室温で紫外線を24時間照射した。圧着した試験片のうち1個は、室温で紫外線を24時間照射した後、100℃で1時間加熱し、室温まで放冷した。これらの試験片について、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1及び図4に示した。
【0075】
(実施例5)
ブロック共重合体(5)に、光酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミドトリフラート(NIT;ブロック共重合体(5)中のt−ブチル基に対して1mol%)を加え、アセトンで希釈して30重量%アセトン溶液からなる粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物をギャップ4milli−inchのアプリケータを使用して、厚さが50μmのPETフィルム上に塗布し、12時間減圧乾燥して粘着シートを作成した。粘着シートを幅20mm、長さ175mmの短冊状に切断し、幅50mm、長さ150mm、厚さ0.5mmのSUS板上に、重さ2kgのハンドローラーを1往復させて圧着することによって4個の試験片を得た。
圧着した試験片のうち1個は、室温で20分静置した後、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。圧着した試験片のうち1個は、100℃で1時間加熱した後室温まで放冷した。圧着した試験片のうち1個は、室温で紫外線を2時間照射した。圧着した試験片のうち1個は、室温で紫外線を2時間照射した後、100℃で1時間加熱し、室温まで放冷した。これらの試験片について、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1及び図5に示した。
【0076】
(実施例6)
ブロック共重合体(5)に光酸発生剤としてビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン(ブロック共重合体(5)中のt−ブチル基に対して5mol%)を加え、アセトンで希釈して30重量%アセトン溶液からなる粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物をギャップ4milli−inchのアプリケータを使用して、厚さが50μmのPETフィルム上に塗布し、12時間減圧乾燥して粘着シートを作成した。粘着シートを幅20mm、長さ175mmの短冊状に切断し、幅50mm、長さ150mm、厚さ0.5mmのSUS板上に、重さ2kgのハンドローラーを1往復させて圧着することによって4個の試験片を得た。
圧着した試験片のうち1個は、室温で1−2時間静置した後、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、100℃で1時間加熱した後室温まで放冷した(約30分)。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、室温で紫外線を8時間照射し、さらに30分静置した。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、室温で紫外線を8時間照射した後、100℃で1時間加熱し、室温まで放冷した(約30分)。これらの試験片について、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1および図6に示した。
【0077】
(実施例7)
ブロック共重合体(5)に光酸発生剤としてビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン(ブロック共重合体(5)中のt−ブチル基に対して7mol%)を加え、アセトンで希釈して30重量%アセトン溶液からなる粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物について、紫外線照射時間をいずれも8時間に代えて24時間とした以外は、実施例6と同様にして180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1および図7に示した。
【0078】
(実施例8)
ブロック共重合体(6)に、光酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミドトリフラート(ブロック共重合体(6)中のt−ブチル基に対して0.2mol%)を加え、アセトンで希釈して30重量%アセトン溶液からなる粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物について、紫外線照射時間をいずれも8時間に代えて1時間とした以外は、実施例6と同様にして180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1および図8に示した。
【0079】
(実施例9)
ブロック共重合体(6)に代えて、ABA型トリブロック共重合体(7)を用いた以外は、実施例8と同様にして180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1および図9に示した。
【0080】
(実施例10)
ブロック共重合体(8)に、光酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミドトリフラート(ブロック共重合体(8)中のイソボルニル基に対して0.5mol%)を加え、トルエンで希釈して30重量%トルエン溶液からなる粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をギャップ4milli−inchのアプリケータを使用して、厚さが50μmのPETフィルム上に塗布し、12時間減圧乾燥して粘着シートを作成した。粘着シートを幅20mm、長さ175mmの短冊状に切断し、幅50mm、長さ150mm、厚さ0.5mmのSUS板上に、重さ2kgのハンドローラーを1往復させて圧着することによって4個の試験片を得た。
圧着した試験片のうち1個は、室温で1−2時間静置した後、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、150℃で1時間加熱した後室温まで放冷した(約30分)。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、室温で紫外線を1時間照射し、さらに30分静置した。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、室温で紫外線を1時間照射した後、150℃で1時間加熱し、室温まで放冷した(約30分)。これらの試験片について、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1および図10に示した。
【0081】
(実施例11)
ブロック共重合体(9)に光酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミドトリフラート(ブロック共重合体(9)中のt−ブチル基に対して0.3mol%)を加え、トルエンで希釈して30重量%トルエン溶液からなる粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をギャップ4milli−inchのアプリケータを使用して、厚さが50μmのPETフィルム上に塗布し、12時間減圧乾燥して粘着シートを作成した。粘着シートを幅20mm、長さ175mmの短冊状に切断し、幅50mm、長さ150mm、厚さ0.5mmのSUS板上に、重さ2kgのハンドローラーを2往復させて圧着することによって4個の試験片を得た。
圧着した試験片のうち1個は、室温で1−2時間静置した後、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、100℃で1時間加熱した後室温まで放冷した(約30分)。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、室温で紫外線を1時間照射し、さらに30分静置した。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、室温で紫外線を1時間照射した後、100℃で1時間加熱し、室温まで放冷した(約30分)。これらの試験片について、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1および図11に示した。
【0082】
(比較例1)
ブロック共重合体(1)に代えて、ランダム共重合体(1)を用いた以外は、実施例1と同様にして180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1及び図12に示した。
【0083】
【表1】
*1 100℃で1時間加熱
*2 室温で紫外線照射
*3 室温で紫外線照射後100℃で1時間加熱
*4 粘着強度が弱く測定限界(≒0)
*5 低下率(%)は、次式[(解体前の剥離強度−解体後の剥離強度)/解体前の剥離強度]によって算出した値であり、低下率が大きいほど、加熱や光照射によって粘着剤が解体されたことを示す。
なお、表中の180°剥離強度は、剥離距離0〜120mmの間の平均値を示し、表中の(SS)の表記はスリップスティックによる剥離を表わす。
【0084】
表1から明らかなように、実施例1と実施例2、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを24mol%または47mol%含むブロック共重合体(1)または(2)と酸触媒からなる粘着テープの180°剥離強度は、100℃で1時間加熱後に効果的に低下し、好適に解体可能であった。
【0085】
実施例3、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを72mol%含むブロック共重合体(3)と酸触媒からなる粘着テープは、スティックスリップ現象を示す粘着テープであるが、当該粘着テープは100℃で1時間加熱することによってほぼ剥離しており、180°剥離強度が測定できない状態まで解体可能であった。
【0086】
実施例4、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを64mol%含むブロック共重合体(4)と光酸発生剤であるBCD7mol%からなる粘着テープは、紫外線照射又は加熱のみでも180°剥離強度の低下が見られ、紫外線照射後に加熱した場合には著しい低下が生じ、特に好適な解体性を有するものであった。
【0087】
実施例5、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを65mol%含むブロック共重合体(5)と光酸発生剤であるNIT1mol%からなる粘着テープは、紫外線照射又は加熱のみでも180°剥離強度の低下が見られ、紫外線照射後に加熱した場合には著しい低下が生じ、特に好適な解体性を有するものであった。
【0088】
実施例6、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを65mol%含むブロック共重合体(5)と光酸発生剤であるBCD5mol%からなる粘着テープの180°剥離強度は、紫外線照射のみでも低下し、紫外線照射後に加熱した場合は著しく低下し、特に好適に解体可能であった。
【0089】
実施例7、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを65mol%含むブロック共重合体(5)と光酸発生剤であるBCD7mol%からなる粘着テープの180°剥離強度は、紫外線照射または紫外線照射後に加熱した場合に著しく低下し、特に好適に解体可能であった。
【0090】
実施例8、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを58mol%含むブロック共重合体(6)と光酸発生剤であるNIT0.2mol%からなる粘着テープの180°剥離強度は、紫外線照射後に加熱した場合にのみ効果的に低下し、特に好適に解体可能であった。
【0091】
実施例9、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを62mol%含むABA型トリブロック共重合体(7)と光酸発生剤であるNIT0.2mol%からなる粘着テープの180°剥離強度は、紫外線照射後に加熱した場合にのみ効果的に低下し、特に好適に解体可能であった。
【0092】
実施例10、つまりポリイソボルニルアクリレートブロックを34mol%含むブロック共重合体(8)と光酸発生剤であるNIT0.5mol%からなる粘着テープの180°剥離強度は、紫外線照射後に加熱した場合にのみ効果的に低下し、特に好適に解体可能であった。
【0093】
実施例11、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを57mol%含むブロック共重合体(9)と光酸発生剤であるNIT0.3mol%からなる粘着テープの180°剥離強度は、加熱又は紫外線照射のみでも低下し、紫外線照射後に加熱した場合は著しく低下し、特に好適に解体可能であった。
【0094】
一方、比較例1、つまりランダム共重合体(1)と酸触媒からなる粘着テープの180°剥離強度は、100℃で1時間加熱後もほとんど低下が見られず、易解体性を有するものではなかった。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体への貼付け、物品間の固定を行った後、一定期間経過後に当該貼付けや固定を容易に解体できる易解体性粘着テープ及び当該易解体性粘着テープを与える易解体性粘着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープは、作業性に優れる接着信頼性の高い接合手段として、OA機器、IT・家電製品、自動車等の各産業分野での部品固定用途や、部品の仮固定用途、製品情報を表示するラベル用途等に使用されている。近年、地球環境保護の観点から、これら家電や自動車等の各種の産業分野において、使用済み製品のリサイクル、リユースの要請が高まっている。各種製品をリサイクル、リユースする際には、部品の固定やラベルに使用されている粘着テープを剥離する作業が必要となるが、当該粘着テープは製品中の各所に設けられているため、簡易な除去工程による作業コストの低減が要望されている。
【0003】
易解体性の粘着テープとしては、例えば、接着力が相違する2層以上の粘着層を有する粘着部材が開示されている(特許文献1参照)。当該粘着テープは、重畳構造の粘着層を有する粘着部材における弱粘着層を介して被着体を接合処理することにより、被着体の強固な固着と、当該弱粘着層を剥離面とする容易な解体を実現する粘着部材である。
【0004】
他の易解体性の粘着剤組成物として、脂肪族ポリエステルを含有する粘着剤組成物が開示されている(特許文献2参照)。当該粘着剤組成物は、温水浸漬での剥離作業においてポリカプロラクトンの加水分解促進作用により容易に剥離できることが開示されている。
【0005】
また、アクリル系のブロック共重合体を使用した粘着剤組成物として、アクリル系ポリマーブロック中にカルボキシル前駆基(−COOt−ブチル)を有するアクリル共重合体を製造した後、当該カルボキシル前駆基をカルボキシル基に変換したブロック共重合体を含有する粘着剤組成物が開示されている(特許文献3参照)。当該粘着剤組成物は、カルボキシル前駆基として、t−ブチル基を側鎖に有するアクリル系共重合体を製造する工程を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−140093号公報
【特許文献2】特開平9−137145号公報
【特許文献3】特開2002−167566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の粘着では、複数の粘着剤層を必須の構成とするため製造コストが高くなる問題があった。また、弱粘着層により被着体との接着が行われる構成であるため接着力を高めるには制限があり、強固に物品を固定する用途への展開が困難であった。
また、上記特許文献2に記載の粘着剤組成物では、剥離時に温水浸漬が必要であることから、解体作業を行う部材が大きい場合には設備コストが大きく、電子部品等を再利用する際などの水を使用できない部品へは適用できないものであった。
さらに、上記特許文献3に記載の粘着組成物では、得られる粘着剤組成物中には当該t−ブチル基は残存せず、解体性を有するものでは無かった。また、t−ブチル基を有するアクリル共重合体も、n−ブチルアクリレートとt−ブチルアクリレートとのランダムポリマーブロックを有するに過ぎず、易解体性を実現できるものでは無かった
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、好適に被着体への貼付けや部品間の固定が可能で、かつ、解体時には温水等の水を使用しなくとも、加熱やエネルギー線照射により容易に解体可能である易解体性粘着テープ及び当該易解体性粘着テープを実現可能な粘着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明においては、(メタ)アクリレートモノマーを主たるモノマー成分とするアクリル系重合体を含有する粘着剤組成物において、酸触媒又は酸発生剤を含有すると共に、アクリル系共重合体として、当該酸との反応により分解されるカルボキシル前駆基を有する(メタ)アクリレートモノマー(a)から誘導される繰り返し単位からなるポリ(メタ)アクリレート鎖(A)を含有するアクリル系重合体(X)を使用する。当該構成を有する粘着剤組成物により形成される粘着剤層は、貼付け時には、アクリル系重合体による粘着特性を発現し、解体を行う際には、加熱や露光等の外部刺激により発生する酸により、重合体側鎖のカルボキシル前駆基が分解され、粘着力を大きく低減でき容易に解体可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の易解体性粘着剤組成物によれば、アクリル系重合体の有する粘着特性を低減させることなく、解体時には熱や光等の簡易な手段により、容易に糊残りなく解体することができる。このため、リサイクルやリユースに適用されるOA機器、IT・家電製品、自動車等の各産業分野での部品固定用途や部品の仮固定用途、製品情報を表示するラベル用途等に特段の制限なく好適に適用でき、解体時にも簡易な加熱設備やエネルギー線照射設備等により容易に解体できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1における加熱前後の180°剥離強度(mN/20mm幅)及び剥離距離(mm)を示す図である。
【図2】実施例2における加熱前後の180°剥離強度(mN/20mm幅)及び剥離距離(mm)を示す図である。
【図3】実施例3における加熱前後の180°剥離強度(mN/20mm幅)及び剥離距離(mm)を示す図である。
【図4】実施例4における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図5】実施例5における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図6】実施例6における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図7】実施例7における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図8】実施例8における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図9】実施例9における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図10】実施例10における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図11】実施例11における加熱前後、UV照射後、ならびにUV照射及び加熱後の180°剥離強度(mN)及び剥離距離(mm/20mm幅)を示す図である。
【図12】比較例1における加熱前後の180°剥離強度(mN/20mm幅)及び剥離距離(mm)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[アクリル系重合体(X)]
本発明の易解体性粘着剤組成物に使用するアクリル系重合体(X)は、カルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレートモノマー(a)から誘導される繰り返し単位から構成されるポリ(メタ)アクリレート鎖(A)を含有し、当該ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)は少なくとも前記(メタ)アクリレートモノマー(a)から誘導される繰り返し単位が連続して10以上の繰り返し単位からなるポリ(メタ)アクリレート鎖である。
【0013】
当該ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)の側鎖を構成するカルボキシル前駆基は、酸触媒や粘着剤層外部からの光や熱により酸を発生する酸発生剤の酸成分によりカルボキシル基に変換され、当該ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)は、ポリ(メタ)アクリル酸鎖となる。当該ポリ(メタ)アクリル酸鎖は、粘着剤層を硬くし、粘着剤層の粘着性を低減させることから、外部刺激により生じた酸成分により側鎖が分解することで、粘着剤層の剥離性が向上し、良好に解体することが可能となる。
【0014】
カルボキシル前駆基としては、酸によりカルボキシル基となるものであれば特に制限されないが、酸によりオレフィン脱離を生じやすい第二級又は第三級炭素原子を有するアルキル基とカルボキシル基とから構成されるエステル基を好ましく使用できる。また、第二級又は第三級炭素原子を有するアルキル基以外の基として、穏和な条件で脱離しやすいベンジル基等も好ましく使用できる。当該側鎖分解時に脱離するカルボキシル前駆基のなかでも、脱離してアルキレン、アルカン等の気体を生じるものは、粘着剤層の剥離性向上に寄与するため、更に良好な再剥離性が得られるため好ましい。
【0015】
当該ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)は、具体的には下式(1)で表わされるポリマー鎖である。
【0016】
【化1】
【0017】
上記式(1)中のR1は水素原子又はメチル基を表わし、好ましくは水素原子である。また、X1は酸の影響によって脱離し、前記式(1)中にカルボキシル基を形成しうるアルキル基を表わす。X1が第二級又は第三級炭素原子を有するアルキル基である場合には、(メタ)アクリロイルオキシ基の酸素原子と、当該アルキル基の第二級又は第三級炭素原子が結合する。当該X1は、脱離することで前記式(1)中にカルボキシル基を形成しうるアルキル基であれば繰り返し単位毎に異なっていてもよいが、同一の繰り返し単位が連続した構造であることが製造上好適である。繰り返し単位数nは、10以上であれば、酸触媒や粘着剤層外部からの光や熱により酸を発生する酸発生剤の酸成分により側鎖分解し、粘着剤層の剥離に寄与することができる。当該繰り返し単位数nは、重合可能な繰り返し単位数であり、粘着特性を実現できるものであれば特に制限されるものではないが、好ましくは10以上、より好ましくは20以上であり、上限については好ましくは10万以下である。
【0018】
ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)を構成する(メタ)アクリレートモノマー(a)のうち、第二級炭素原子を有するアルキル基の第二級炭素原子と、(メタ)アクリロイルオキシ基とが結合した(メタ)アクリレートモノマー(a1−1)としては、例えば、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、sec−ヘキシル(メタ)アクリレート、sec−オクチル(メタ)アクリレート、sec−ノニル(メタ)アクリレート、sec−デシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0019】
また、第三級炭素原子を有するアルキル基の第三級炭素原子と、(メタ)アクリロイルオキシ基とが結合した(メタ)アクリレートモノマー(a1−2)としては、例えばtert−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、tert−ノニル(メタ)アクリレート、tert−デシル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等の2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0020】
また、これら以外のカルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレートモノマー(a)として、ベンジル(メタ)アクリレートも好ましく使用することができる。
【0021】
これら、(メタ)アクリレートモノマー(a)のなかでも、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートは、特に酸により好適にカルボキシル基を形成するため好ましく使用でき、中でもtert−ブチルアクリレートを特に好ましく使用できる。また、イソボルニルアクリレートは、酸による好適なカルボキシル基形成に加え、粘着剤層の熱安定性を高くできるため、特に好ましく使用できる。
【0022】
本発明に使用するアクリル系重合体(X)は、上記(メタ)アクリレートモノマー(a)からなるポリ(メタ)アクリレート鎖(A)のみからなる重合体であっても、当該ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)以外の他のポリ(メタ)アクリレート鎖(B)との共重合体であってもよい。特に、アクリル系重合体(X)を、ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)と他のポリ(メタ)アクリレート鎖(B)とのブロック共重合体とすることで、当該アクリル系重合体(X)に良好な粘着性能等を好適に付与できる。なお、当該ブロック共重合体は、一つのポリ(メタ)アクリレート鎖(A)と一つのポリ(メタ)アクリレート鎖(B)とのブロック共重合体(AB型ブロック共重合体)であっても、複数のポリ(メタ)アクリレート鎖(A)や複数のポリ(メタ)アクリレート鎖(B)がランダムにブロック重合されたブロック共重合体(ABA型、BAB型、ABAB型、ABABA型等)であっても良い。
【0023】
ポリ(メタ)アクリレート鎖(B)としては、使用する態様に応じて好適な粘着特性を有する構成であれば良く、上記(メタ)アクリレートモノマー(a)以外の他の(メタ)アクリレートモノマー(b)から誘導される繰り返し単位を含有するポリ(メタ)アクリレート鎖(B)を使用できる。当該ポリ(メタ)アクリレート鎖(B)は、(メタ)アクリレートモノマー(a)以外の他の(メタ)アクリレートモノマー(b)を主たる繰り返し単位、好ましくはポリ(メタ)アクリレート鎖(B)を構成するモノマー成分中の50質量%以上、より好ましくは80質量%以上含有するものを使用できる。また、他の(メタ)アクリレートモノマー(b)に併用して、側鎖に水酸基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基などの官能基を有する極性基含有ビニルモノマーをモノマー成分として使用しても良い。
【0024】
ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)以外の他のポリ(メタ)アクリレート鎖(B)を構成する(メタ)アクリレートモノマー(b)としては、例えば、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート等を使用することができる。なかでも、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを主たるモノマー成分として使用することで、得られる粘着剤層の粘着性向上に好適である。
【0025】
また、(メタ)アクリレートモノマー(b)に併用して、水酸基含有ビニルモノマーを使用することもでき、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0026】
また、カルボキシル基含ビニルモノマーを使用することもでき、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、アクリル酸ダイマー、エチレンオキサイド変性コハク酸アクリレートなどのカルボキシル基を有するモノマー等を使用することができる。
【0027】
また、窒素含有ビニルモノマーを使用することもでき、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有ビニルモノマー、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有ビニルモノマーを使用することができる。
【0028】
また、イミノ基含有モノマーを使用することもでき、例えばシクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド等を使用することができる。
【0029】
本発明に使用するアクリル系重合体(X)の数平均分子量は、1万〜200万程度の範囲で使用態様に応じて適宜調整すればよく、後述するリビングラジカル重合法によって前記アクリル系重合体(X)を製造する場合には、良好な生産効率を維持する観点から1万〜10万程度とすることが好ましく、解体前の良好な粘着強度を維持する観点では15万〜100万程度とすることが好ましい。
【0030】
前記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算である。測定条件の例として、HLC−8220GPC(東ソー社製)を用いてカラムはTSKgel GMHXL[東ソー製]を用い、カラム温度は40℃、溶離液はテトラヒドロフラン、流量は1.0mL/分とし、標準ポリスチレンはTSK標準ポリスチレンを用いることで測定できる。
【0031】
分子量を調整するために、重合には連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤としては、公知の連鎖移動剤、例えばラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノールなどが使用できる。
【0032】
アクリル系重合体(X)が、ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)とポリ(メタ)アクリレート鎖(B)との共重合体である場合には、(A)と(B)との合計に対し、(A)が75モル%以下であることが好ましく、当該共重合比率が、(A)/(B)で表わされるモル比で75/25〜20/80であることがより好ましく、65/35〜20/80であることが特に好ましい。ブロック共重合比を当該範囲とすることで、ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)による好適な解体性と、ポリ(メタ)アクリレート鎖(B)の粘着性等の特性とを好適に発現しやすくなる。
【0033】
アクリル重合体(X)は、例えば前記アクリル単量体の混合物を、ラジカル重合反応することによって製造することができる。前記アクリル重合体(X)の製造方法としては具体的には、リビングラジカル重合法や、アゾ系開始剤または過酸化物を用いて行う従来知られたラジカル重合法が挙げられる。なかでも、リビングラジカル重合法を採用することが、ラジカル重合過程における連鎖移動反応や停止反応等の副反応を引き起こさず、分子量分布の狭いアクリル重合体を製造できるため好ましい。
【0034】
前記リビングラジカル重合法としては、例えば原子移動ラジカル重合法(ATRP法)、有機テルルを成長末端とするリビングラジカル重合法(TERP法)、ニトロキシドを介したリビングラジカル重合法(NMP法)、可逆的付加開裂連鎖移動重合反応法(RAFT法)等が挙げられる。
【0035】
前記原子移動ラジカル重合法(ATRP法)は、例えば遷移金属錯体と、有機ハロゲン化物との存在下で、前記したアクリル単量体を重合する方法である。
【0036】
前記遷移金属錯体を構成する遷移金属としては、例えばCu、Ru、Fe、Rh、V、Niや、それらのハロゲン化物を使用することができる。また、前記遷移金属に配位する配位子としては、ビピリジル誘導体、メルカプタン誘導体、トリフルオレート誘導体、3級アルキルアミン誘導体等が挙げられる。
【0037】
前記有機ハロゲン化物は、重合開始剤であって、例えば2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸メチル、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸エチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸エチル、塩化(または臭化)1−フエニルエチル、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸4−ヒドロキシブチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸2−ヒドロキシエチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸4−ヒドロキシブチル等を使用することができる。
【0038】
また、前記アクリル重合体(X)は、例えばカルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレートモノマー(a)を前記したラジカル重合法により重合することで前記カルボキシル前駆基を有する(メタ)アクリレートモノマー(a)のホモポリマーからなるポリ(メタ)アクリレート鎖(A)を製造し、次いで、前記と同様の方法でポリ(メタ)アクリレート鎖(B)を製造し、前記ポリ(メタ)アクリレート鎖(A)と(B)とを、前記(A)及び(B)中にそれぞれ導入されたアセチレン基とアジド基との環化付加反応等のクリック反応により結合させることで製造することもできる。
【0039】
[酸触媒、酸発生剤]
本発明に使用する酸触媒としては、例えばp−トルエンスルホン酸やベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸などの有機酸や、塩酸や硫酸等の無機酸、及び、それらの水和物を使用することができる。
【0040】
本発明で使用する酸発生剤は、例えば紫外線等のエネルギー線による光照射によりカチオン重合を開始することのできる酸を発生する光酸発生剤や、加熱等によって酸を発生する熱酸発生剤である。なかでも光酸発生剤は、光と熱の二種の外部刺激により粘着剤層を好適に解体できる一方で、粘着剤組成物として保管する際や、粘着テープとして物品を固定した際には容易に分解や解体が生じにくく、安定した保存性や粘着特性を保持できるため、好ましく使用できる。
【0041】
前記光酸発生剤としては、例えばN−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドトリフラート、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(tert−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ビス(tert−ブチルフェニル)ヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、ビフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、フェニル−(3−ヒドロキシ−ペンタデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、フェニル−(3−ヒドロキシペンタデシルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート等を使用することができる。
【0042】
これら光酸発生剤は、使用する用途に応じて適宜好適なものを選択すればよい。例えば、これら酸発生剤は粘着剤との混合により熱分解温度が低下する場合があるため、これらのなかでも、N−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステルやビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン等の酸発生剤単独での熱分解温度が概ね150℃以上のものを使用することが、保存時等に熱の影響によって酸が発生し、粘着剤組成物の解体が進行することを防止するうえで好ましい。
【0043】
また、光酸発生剤の中でも、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン等の加熱により気体を発生する光酸発生剤は、光による酸発生と加熱による気体発生により、特に高い解体性を実現しやすいため好ましい。N−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル等の100℃程度の加熱よっても気体を発生しにくい光酸発生剤は、熱安定性の高い粘着剤層を得ることができるため好ましい。
【0044】
さらに、光酸発生剤の中でも、骨格中にベンゼン環やナフタレン環構造等の光吸収性の構造を有する光酸発生剤は、少ない光照射時間や少ない含有量で好適な解体性を実現できるため、製造コストや解体コストを低減しやすいため好ましい。一方で、これら光吸収性の構造を有さない光酸発生剤は、光照射に対する安定性が求められる場合に好ましく使用できる。
【0045】
また、前記熱酸発生剤としては、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩を使用することができ、例えば4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾリウム ヘキサフルオロアンチモネート等を使用することができる。
【0046】
[粘着剤組成物]
本発明の粘着剤組成物は、上記アクリル共重合体(X)と、酸触媒又は酸発生剤を含有することで、得られる粘着剤層は、貼付け時には、アクリル系重合体の粘着特性を十分に発現でき、解体を行う際には、酸触媒や、加熱や光等の外部刺激により酸を発生する酸発生剤の存在下で、加熱や光照射を行うことにより、(メタ)アクリロイルオキシ基が結合している第二級又は第三級炭素原子が分解され、粘着力を大きく低減でき容易に解体可能となる。
【0047】
粘着剤組成物中の酸触媒又は酸発生剤の含有量としては、使用する酸発生剤の種類や、所望の解体性に応じて適宜調整すればよいが、カルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレート(a)が有するカルボキシル前駆基1モルに対して10モル%以下で使用することが好ましく、1〜10モル%の範囲で使用することが特に好ましい。なかでも、光酸発生剤の場合には、光吸収性の構造を有する光酸発生剤を使用する際には0.1〜5モル%程度が好ましく、0.1〜3モル%が特に好ましい。一方、光吸収性の構造を有さない光酸発生剤を使用する際には、3〜10モル%程度が好ましく、4〜8モル%が特に好ましい。
【0048】
使用するアクリル系重合体に対しては、上記アクリル系重合体(X)100質量部に対し、15質量部以下にて使用することが好ましい。なかでも、光酸発生剤の場合には、光吸収性の構造を有する光酸発生剤を使用する際には0.1〜5重量部程度が好ましく、0.2〜3重量部が特に好ましい。一方、光吸収性の構造を有さない光酸発生剤を使用する際には、5〜15重量部程度が好ましく、7〜12重量部が特に好ましい。
【0049】
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系重合体を主たる構成成分として含有するアクリル系粘着剤組成物であり、アクリル系重合体として上記のアクリル系重合体(X)のみを含有する粘着剤組成物であっても、他のアクリル系重合体を含有する粘着剤組成物で有ってもよい。また、必要に応じて粘着付与樹脂や架橋剤、その他の添加剤等を含有していてもよい。
【0050】
(粘着付与樹脂)
本発明の粘着剤組成物においては、得られる粘着剤層の強接着性を調整するために粘着付与樹脂を使用しても良い。本発明に使用する粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン系、重合ロジン系、重合ロジンエステル系、ロジンフェノール系、安定化ロジンエステル系、不均化ロジンエステル系、テルペン系、テルペンフェノール系、石油樹脂系等が例示できる。
【0051】
(架橋剤)
本発明の粘着剤組成物においては、得られる粘着剤層の凝集力を向上させる目的で、架橋剤を使用することも好ましい。架橋剤としては、公知のイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、多価金属塩系架橋剤、金属キレート系架橋剤、ケト・ヒドラジド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、シラン系架橋剤、グリシジル(アルコキシ)エポキシシラン系架橋剤等が使用できる。
【0052】
(添加剤)
本発明の粘着剤組成物においては、添加剤として、必要に応じて本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、pHを調整するための塩基(アンモニア水など)や酸、発泡剤、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、ガラスやプラスチック製の繊維・バルーン・ビーズ・金属粉末等の充填剤、顔料・染料等の着色剤、pH調整剤、皮膜形成補助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等の公知のものを粘着剤組成物に任意で添加することができる。
前記発泡剤は、粘着剤の解体を進行するうえで使用することができ、例えば加熱することにより体積膨張する、無機発泡剤、有機発泡剤及び熱膨張性中空球体等を使用することができる。
【0053】
[易解体性粘着テープ]
本発明の易解体性粘着テープは、上記の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着テープである。粘着剤層は単層の粘着剤の層であっても良く、両面粘着テープのような複数の粘着剤の層及びシートからなる多層であっても良い。二以上の部材固定用途においては、両面粘着テープが好適に使用できる。
【0054】
本発明の易解体性粘着テープに基材を使用する場合には、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ABS、ポリカーボネート、ポリイミドフィルム、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリビニルアルコール等からなるプラスチック系フィルム、パルプ、レーヨン、マニラ麻、アクリロニトリル、ナイロン、ポリエステル等からなる不織布、紙、布、又は金属箔等が挙げられる。両面粘着テープを形成する際には、再剥離性と接着性を両立しやすいことから、中芯としてポリエステル系フィルム、不織布を好適に用いることが出来る。
また、基材、中芯と粘着剤層と密着性を向上させることを目的に、片面または両面に、コロナ処理、プラズマ処理、アンカーコート処理等を施しても良い。
【0055】
本発明の易解体性粘着テープは、基材を有する場合には、粘着剤溶液をロールコーターやダイコーター等を用い、直接基材に塗布した後、乾燥工程を経て、セパレーターを貼り合わせる直塗り法や、セパレーター上にいったん粘着剤溶液をコーティングし、乾燥工程を経た後、基材に転写する転写法により製造できる。基材を有さない場合には、セパレーター上に粘着剤溶液をコーティングし、他のセパレーターを貼り合わせる方法により製造できる。
【0056】
(解体方法)
本発明の易解体性粘着テープは、貼付け時には良好に被着対象への接着や、部品間固定がなされ、解体、剥離を行う際には、熱や光による外部刺激により良好に剥離が可能となる。熱や光の外部刺激は、使用する酸発生剤により適宜調整されれば良いが、貼付け時の通常の使用態様において発生しない温度や強度の熱、光条件にて剥離可能となることが好ましい。
【0057】
本発明の易解体性粘着テープが酸触媒を含有する場合には、加熱により、カルボキシル前駆基の脱離反応を促進すると共に、粘着剤層の流動性増加により酸を好適に粘着剤層中に拡散させることで、粘着テープを好適に解体できる。また、熱や光により酸を発生する酸発生剤を含有する場合には、光照射や加熱を行うことで酸が発生して粘着テープを好適に解体できるが、当該酸の存在下で必要に応じてさらに加熱等を行うことで、カルボキシル前駆基の脱離反応の更なる促進や、粘着剤層の流動性増加による酸の拡散により、さらに好適に粘着テープを解体できる。特に本発明では、光酸発生剤を使用し、紫外線等の光を照射することによって粘着剤を解体しうる酸を発生させ、次いで、加熱することによって、前記酸による粘着剤の解体を効率よく進行させることが好ましい。
【0058】
紫外線等の光の強度は使用する光酸発生剤が好適に酸を生じるエネルギー以上であればよく、また、加熱温度は熱酸発生剤が好適に酸を生じる温度以上で加熱すればよい。また、酸存在下での加熱温度は、粘着剤のガラス転移温度に基づき粘着剤層の流動性を上昇させ、酸を効果的に拡散できる温度や、カルボキシル前駆基の脱離反応を促進させ効率的に側鎖分解できる温度で調整すればよい。
【0059】
本発明の易解体性粘着テープは、作業工程における接着不備や、リサイクル時の部材間の分離に際して、熱や光等の外部刺激により容易に解体できる再剥離性を有する。このため、自動車、建材、OA、家電業界などの工業用途における各種製品の部品間固定を行う粘着テープとして好適に使用できる。
【実施例】
【0060】
(配位子の合成例)
<トリス(2−(ジメチルアミノ)エチル)アミン(以下、Me6TRENと略記)の合成>
37%ホルムアルデヒド水溶液17.5mlおよび蟻酸17mlを反応容器に入れ、0℃で1時間攪拌した後、トリス(2−アミノエチル)アミン3.05gと純水17.5mlの混合溶液を滴下し、95℃で11時間還流した。
反応溶液を室温まで冷却したあと、揮発成分を減圧留去した(45℃、65mmHg)。残渣に飽和水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10以上にした後、分離した有機層をジクロロメタンで抽出した(100mlで3回)。ジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを除去した後、ジクロロメタンを減圧留去し粗生成物を得た。粗生成物をさらに減圧蒸留(100℃、10mmHg)により精製し、目的生成物であるMe6TRENを得た。Me6TRENの収率は43%であった。
【0061】
(製造例1)
シュレンク管にtert−ブチルアクリレート(以下、t−ブチルアクリレートと略記)9.00g、Me6TREN77.5μl、トルエン7.4ml、アセトン3.5mlを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅42.0mgを加えて15分攪拌した後、開始剤である2−ブロモプロピオン酸メチル130.3μlを加え、60℃で1時間重合した。
t−ブチルアクリレートの反応率は、50%であった。反応率は、得られた重合混合物の1H−NMRスペクトルを測定し、残存モノマーと生成ポリマーの積分比から計算した(以下同様である)。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、残存モノマーを除去するため40℃で24時間減圧加熱し、マクロ開始剤(1)を得た。マクロ開始剤(1)は、ω−末端に臭素原子を有するポリt−ブチルアクリレートであり、数平均分子量[Mn]は4,400、重量平均分子量[Mw]は5,000、多分散度[Mw/Mn]は1.13であった。分子量の測定は、本文中記載のGPC法により行った(以下同様である)。
シュレンク管にマクロ開始剤(1)0.78g、2−エチルへキシルアクリレート3.57g、Me6TREN25.7μl、酢酸エチル1.45gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅13.9mgを加えて15分攪拌した後、60℃で25分重合した。2−エチルへキシルアクリレートの反応率は94%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてブロック共重合体(1)を得た。
ブロック共重合体(1)は、ポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は18,600、重量平均分子量[Mw]は22,800、多分散度[Mw/Mn]は1.23であった。ブロック共重合体(1)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:30量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:95量体
【0062】
(製造例2)
重合時間1時間に代えて重合時間2時間とした以外は、製造例1のマクロ開始剤(1)と同様にして、マクロ開始剤(2)を得た。t−ブチルアクリレートの反応率は、97%であった。マクロ開始剤(2)は、ω−末端に臭素原子を有するポリt−ブチルアクリレートであり、数平均分子量[Mn]は8,400、重量平均分子量[Mw]は9,200、多分散度[Mw/Mn]は1.09であった。
シュレンク管にマクロ開始剤(2)0.80g、2−エチルへキシルアクリレート1.76g、Me6TREN12.7μl、酢酸エチル0.86gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅6.9mgを加えて15分攪拌した後、60℃で18分重合した。2−エチルへキシルアクリレートの反応率は71%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてブロック共重合体(2)を得た。
ブロック共重合体(2)は、ポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は20,000、重量平均分子量[Mw]は24,100、多分散度[Mw/Mn]は1.21であった。ブロック共重合体(2)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:61量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:68量体
【0063】
(製造例3)
シュレンク管にt−ブチルアクリレート4.50g、Me6TREN25.3μl、トルエン2.2ml、アセトン3.2mlを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅13.7mgを加えて15分攪拌した後、開始剤である2−ブロモプロピオン酸メチル35.5μlを加え、60℃で3.3時間重合した。t−ブチルアクリレートの反応率は、81%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、残存モノマーを除去するため40℃で24時間減圧加熱し、マクロ開始剤(3)を得た。マクロ開始剤(3)は、ω−末端に臭素原子を有するポリt−ブチルアクリレートであり、数平均分子量[Mn]は11,800、重量平均分子量[Mw]は12,900、多分散度[Mw/Mn]は1.09であった。
シュレンク管にマクロ開始剤(3)1.42g、2−エチルへキシルアクリレート0.89g、Me6TREN15.9μl、酢酸エチル0.78gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅8.6mgを加えて15分攪拌した後、60℃で15分重合した。2−エチルへキシルアクリレートの反応率は84%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてブロック共重合体(3)を得た。ブロック共重合体(3)は、ポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は18,500、重量平均分子量[Mw]は21,600、多分散度[Mw/Mn]は1.17であった。ブロック共重合体(3)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:94量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:36量体
【0064】
(製造例4)
シュレンク管にマクロ開始剤(2)1.28g、2−エチルへキシルアクリレート2.83g、Me6TREN20.3μl、酢酸エチル4.11gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅11.0mgを加えて15分攪拌した後、60℃で2時間重合した。2−エチルへキシルアクリレートの反応率は34%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてブロック共重合体(4)を得た。ブロック共重合体(4)は、ポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は12,600、重量平均分子量[Mw]は15,000、多分散度[Mw/Mn]は1.19であった。ブロック共重合体(4)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:61量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:34量体
【0065】
(製造例5)
シュレンク管にマクロ開始剤(3)1.51g、2−エチルへキシルアクリレート1.49g、Me6TREN16.9μl、酢酸エチル1.46gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅9.2mgを加えて15分攪拌した後、60℃で0.5時間重合した。2−エチルへキシルアクリレートの反応率は75%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてブロック共重合体(5)を得た。ブロック共重合体(5)は、ポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は19,500、重量平均分子量[Mw]は23,200、多分散度[Mw/Mn]は1.19であった。ブロック共重合体(5)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:94量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:50量体
【0066】
(製造例6)
シュレンク管にt−ブチルアクリレート4.11g、Me6TREN43.8μl、トルエン3.3ml、アセトン1.6mlを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅23.0mgを加えて15分攪拌した後、開始剤である2−ブロモプロピオン酸メチル36.8μlを加え、60℃で1時間重合した。t−ブチルアクリレートの反応率は、48%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、残存モノマーを除去するため40℃で24時間減圧加熱し、マクロ開始剤(4)を得た。マクロ開始剤(4)は、ω−末端に臭素原子を有するポリt−ブチルアクリレートであり、数平均分子量[Mn]は6,200、重量平均分子量[Mw]は6,800、多分散度[Mw/Mn]は1.10であった。
シュレンク管にマクロ開始剤(4)1.20g、2−エチルへキシルアクリレート1.28g、Me6TREN33.2μl、酢酸エチル0.50gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅12.5mgを加えて15分攪拌した後、60℃で31分重合した。2−エチルへキシルアクリレートの反応率は89%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてブロック共重合体(6)を得た。
ブロック共重合体(6)は、ポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は11,300、重量平均分子量[Mw]は15,100、多分散度[Mw/Mn]は1.34であった。ブロック共重合体(6)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:53量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:39量体
【0067】
(製造例7)
シュレンク管に2−エチルへキシルアクリレート3.12g、Me6TREN58.3μl、酢酸エチル3.27gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅30.4mgを加えて15分攪拌した後、開始剤である2,6−ジブロモヘプタン二酸ジメチル95.0μlを加え、60℃で10分重合した。2−エチルへキシルアクリレートの反応率は、86%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとして2官能性マクロ開始剤(5)を得た。2官能性マクロ開始剤(5)は、両末端に臭素原子を有するポリ2−エチルへキシルアクリレートであり、数平均分子量[Mn]は6,000、重量平均分子量[Mw]は7,000、多分散度[Mw/Mn]は1.16であった。
シュレンク管に2官能性マクロ開始剤(5)0.52g、t−ブチルアクリレート0.68g、Me6TREN23.6μl、酢酸エチル0.40gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅8.7mgを加えて15分攪拌した後、60℃で17分重合した。t−ブチルアクリレートの反応率は97%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてABA型トリブロック共重合体(7)を得た。
ABA型トリブロック共重合体(7)は、Aブロックとしてポリt−ブチルアクリレートブロック、Bブロックとしてポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は12,800、重量平均分子量[Mw]は15,800、多分散度[Mw/Mn]は1.23であった。ABA型トリブロック共重合体(7)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:54量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:33量体
【0068】
(製造例8)
シュレンク管に2−エチルヘキシルアクリレート3.08g、Me6TREN52.1μl、酢酸エチル3.12gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅17.1mgを加えて15分攪拌した後、開始剤である2−ブロモプロピオン酸メチル27.4μlを加え、60℃で32分重合した。2−エチルヘキシルアクリレートの反応率は、73%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、マクロ開始剤(6)を得た。マクロ開始剤(6)は、ω−末端に臭素原子を有するポリ2−エチルヘキシルアクリレートであり、数平均分子量[Mn]は9,300、重量平均分子量[Mw]は11,000、多分散度[Mw/Mn]は1.19であった。
シュレンク管にマクロ開始剤(6)1.14g、イソボルニルアクリレート0.89g、Me6TREN17.5μl、酢酸エチル0.41gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅9.2mgを加えて15分攪拌した後、60℃で64分重合した。イソボルニルアクリレートの反応率は76%であった。この重合混合物から、クロロホルムを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。クロロホルムを減圧留去した後、5重量%程度にクロロホルムで希釈した。このクロロホルム溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてブロック共重合体(8)を得た。
ブロック共重合体(8)は、ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックとポリイソボルニルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は14,800、重量平均分子量[Mw]は19,100、多分散度[Mw/Mn]は1.29であった。ブロック共重合体(8)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリイソボルニルアクリレートブロックとポリ2−エチルへキシルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリイソボルニルアクリレート:29量体
ポリ2−エチルへキシルアクリレートブロック:57量体
【0069】
(製造例9)
シュレンク管に、t−ブチルアクリレート4.98g、開始剤である2−ブロモプロピオン酸メチル74.3μl、Me6TREN53.5μl、トルエン3.5g、アセトン1.5gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅27.9mgを加えて10分攪拌した後、60℃で1時間重合した。t−ブチルアクリレートの反応率は、54%であった。この重合混合物から、クロロホルムを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
クロロホルムを減圧留去した後、10重量%程度にクロロホルムで希釈した。このクロロホルム溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、マクロ開始剤(7)を得た。マクロ開始剤(7)は、ω−末端に臭素原子を有するポリt−ブチルアクリレートであり、数平均分子量[Mn]は5,800、重量平均分子量[Mw]は6,600、多分散度[Mw/Mn]は1.14であった。
サンプル管に臭化銅0.92mg、Me6TREN5.32μl、アニソール0.95gを入れ、10分間攪拌し溶液(1)を得た。シュレンク管に溶液(1)0.95g、マクロ開始剤(7)0.66g、n−ブチルアクリレート1.24g、および還元剤として2−エチルヘキサン酸スズ(II)87.7μlを加えた。溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した後、60℃で120分重合した。n−ブチルアクリレートの反応率は42%であった。この重合混合物から、クロロホルムを展開溶媒、中性アルミナを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。クロロホルムを減圧留去した後、10重量%程度にクロロホルムで希釈した。このクロロホルム溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、ブロック共重合体(9)を得た。
ブロック共重合体(9)は、ポリt−ブチルアクリレートブロックとポリn−ブチルアクリレートブロックを有するものであり、数平均分子量[Mn]は8,500、重量平均分子量[Mw]は9,900、多分散度[Mw/Mn]は1.17であった。ブロック共重合体(9)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比からポリt−ブチルアクリレートブロックとポリn−ブチルアクリレートブロックの重合度を計算した結果、下記のとおりであった。
ポリt−ブチルアクリレートブロック:36量体
ポリn−ブチルアクリレートブロック:27量体
【0070】
(比較製造例1)
シュレンク管にt−ブチルアクリレート1.53g、2−エチルへキシルアクリレート2.20g、Me6TREN19.0μl、酢酸エチル1.26gを入れ、溶存酸素を除くために凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返した後アルゴン置換した。
シュレンク管に臭化銅17.1mgを加えて15分攪拌した後、開始剤である2−ブロモプロピオン酸メチル19.0μlを加え、60℃で16分重合した。t−ブチルアクリレートの反応率は89%、2−エチルへキシルアクリレートの反応率は88%であった。この重合混合物から、アセトンを展開溶媒、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーによって触媒を除去した。
アセトンを減圧留去した後、10重量%程度にアセトンで希釈した。このアセトン溶液を約20倍量のメタノールと水の混合溶媒(メタノール/水=80/20体積分率)に投入して重合物を沈殿させ、デカンテーションにより分別した。沈殿物を40℃で12時間減圧加熱し、油状ポリマーとしてランダム共重合体(1)を得た。ランダム共重合体(1)の数平均分子量[Mn]は19,800、重量平均分子量[Mw]は21,600、多分散度[Mw/Mn]は1.09であった。ランダム共重合体(1)の1H−NMRスペクトルを測定し、積分比から共重合体組成を計算した結果、下記のとおりであった。
t−ブチルアクリレート単位:64単位
2−エチルへキシルアクリレート単位:64単位
【0071】
(実施例1)
ブロック共重合体(1)に酸触媒としてp−トルエンスルホン酸一水和物(TS;ブロック共重合体(1)中のt−ブチル基に対して5mol%)を加え、アセトンで希釈して30重量%アセトン溶液からなる粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物をギャップ10milli−inchのアプリケータを使用して、厚さが50μmのPETフィルム上に塗布し、12時間減圧乾燥して粘着シートを作成した。粘着シートを幅20mm、長さ175mmの短冊状に切断し、幅50mm、長さ150mm、厚さ0.5mmのSUS板上に、重さ2kgのハンドローラーを1往復させ圧着することによって2個の試験片を得た。
圧着した試験片のうち1個は、室温で20分静置した後、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。180°剥離強度測定は、室温で行った(以下の実施例、比較例においても同条件にて測定)。圧着した試験片のうち1個は、100℃で1時間加熱した後室温まで放冷し、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1及び図1に示した。
なお、紫外線照射は、光源として東芝理化学用水銀ランプ「SHL−100UVQ−2」(75W)を使用し、光源と試料の距離を10cmとして、ランプ点灯後15分以上経過してから試料に照射した(以下の実施例、比較例においても同条件にて照射)。
【0072】
(実施例2)
ブロック共重合体(1)に代えて、ブロック共重合体(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を作成した。得られた粘着剤組成物について、実施例1と同様にして180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1及び図2に示した。
【0073】
(実施例3)
ブロック共重合体(1)に代えて、ブロック共重合体(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を作成した。得られた粘着剤組成物について、実施例1と同様にして180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1及び図3に示した。
【0074】
(実施例4)
ブロック共重合体(4)に、光酸発生剤としてビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン(BCD;ブロック共重合体(4)中のt−ブチル基に対して7mol%)を加え、アセトンで希釈して30重量%アセトン溶液からなる粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物をギャップ10milli−inchのアプリケータを使用して、厚さが50μmのPETフィルム上に塗布し、12時間減圧乾燥して粘着シートを作成した。粘着シートを幅20mm、長さ175mmの短冊状に切断し、幅50mm、長さ150mm、厚さ0.5mmのSUS板上に、重さ2kgのハンドローラーを1往復させて圧着することによって4個の試験片を得た。
圧着した試験片のうち1個は、室温で20分静置した後、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。圧着した試験片のうち1個は、100℃で1時間加熱した後室温まで放冷した。圧着した試験片のうち1個は、室温で紫外線を24時間照射した。圧着した試験片のうち1個は、室温で紫外線を24時間照射した後、100℃で1時間加熱し、室温まで放冷した。これらの試験片について、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1及び図4に示した。
【0075】
(実施例5)
ブロック共重合体(5)に、光酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミドトリフラート(NIT;ブロック共重合体(5)中のt−ブチル基に対して1mol%)を加え、アセトンで希釈して30重量%アセトン溶液からなる粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物をギャップ4milli−inchのアプリケータを使用して、厚さが50μmのPETフィルム上に塗布し、12時間減圧乾燥して粘着シートを作成した。粘着シートを幅20mm、長さ175mmの短冊状に切断し、幅50mm、長さ150mm、厚さ0.5mmのSUS板上に、重さ2kgのハンドローラーを1往復させて圧着することによって4個の試験片を得た。
圧着した試験片のうち1個は、室温で20分静置した後、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。圧着した試験片のうち1個は、100℃で1時間加熱した後室温まで放冷した。圧着した試験片のうち1個は、室温で紫外線を2時間照射した。圧着した試験片のうち1個は、室温で紫外線を2時間照射した後、100℃で1時間加熱し、室温まで放冷した。これらの試験片について、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1及び図5に示した。
【0076】
(実施例6)
ブロック共重合体(5)に光酸発生剤としてビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン(ブロック共重合体(5)中のt−ブチル基に対して5mol%)を加え、アセトンで希釈して30重量%アセトン溶液からなる粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物をギャップ4milli−inchのアプリケータを使用して、厚さが50μmのPETフィルム上に塗布し、12時間減圧乾燥して粘着シートを作成した。粘着シートを幅20mm、長さ175mmの短冊状に切断し、幅50mm、長さ150mm、厚さ0.5mmのSUS板上に、重さ2kgのハンドローラーを1往復させて圧着することによって4個の試験片を得た。
圧着した試験片のうち1個は、室温で1−2時間静置した後、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、100℃で1時間加熱した後室温まで放冷した(約30分)。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、室温で紫外線を8時間照射し、さらに30分静置した。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、室温で紫外線を8時間照射した後、100℃で1時間加熱し、室温まで放冷した(約30分)。これらの試験片について、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1および図6に示した。
【0077】
(実施例7)
ブロック共重合体(5)に光酸発生剤としてビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン(ブロック共重合体(5)中のt−ブチル基に対して7mol%)を加え、アセトンで希釈して30重量%アセトン溶液からなる粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物について、紫外線照射時間をいずれも8時間に代えて24時間とした以外は、実施例6と同様にして180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1および図7に示した。
【0078】
(実施例8)
ブロック共重合体(6)に、光酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミドトリフラート(ブロック共重合体(6)中のt−ブチル基に対して0.2mol%)を加え、アセトンで希釈して30重量%アセトン溶液からなる粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物について、紫外線照射時間をいずれも8時間に代えて1時間とした以外は、実施例6と同様にして180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1および図8に示した。
【0079】
(実施例9)
ブロック共重合体(6)に代えて、ABA型トリブロック共重合体(7)を用いた以外は、実施例8と同様にして180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1および図9に示した。
【0080】
(実施例10)
ブロック共重合体(8)に、光酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミドトリフラート(ブロック共重合体(8)中のイソボルニル基に対して0.5mol%)を加え、トルエンで希釈して30重量%トルエン溶液からなる粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をギャップ4milli−inchのアプリケータを使用して、厚さが50μmのPETフィルム上に塗布し、12時間減圧乾燥して粘着シートを作成した。粘着シートを幅20mm、長さ175mmの短冊状に切断し、幅50mm、長さ150mm、厚さ0.5mmのSUS板上に、重さ2kgのハンドローラーを1往復させて圧着することによって4個の試験片を得た。
圧着した試験片のうち1個は、室温で1−2時間静置した後、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、150℃で1時間加熱した後室温まで放冷した(約30分)。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、室温で紫外線を1時間照射し、さらに30分静置した。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、室温で紫外線を1時間照射した後、150℃で1時間加熱し、室温まで放冷した(約30分)。これらの試験片について、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1および図10に示した。
【0081】
(実施例11)
ブロック共重合体(9)に光酸発生剤としてN−ヒドロキシナフタルイミドトリフラート(ブロック共重合体(9)中のt−ブチル基に対して0.3mol%)を加え、トルエンで希釈して30重量%トルエン溶液からなる粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をギャップ4milli−inchのアプリケータを使用して、厚さが50μmのPETフィルム上に塗布し、12時間減圧乾燥して粘着シートを作成した。粘着シートを幅20mm、長さ175mmの短冊状に切断し、幅50mm、長さ150mm、厚さ0.5mmのSUS板上に、重さ2kgのハンドローラーを2往復させて圧着することによって4個の試験片を得た。
圧着した試験片のうち1個は、室温で1−2時間静置した後、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、100℃で1時間加熱した後室温まで放冷した(約30分)。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、室温で紫外線を1時間照射し、さらに30分静置した。圧着した試験片のうち1個は、室温で30分静置後、室温で紫外線を1時間照射した後、100℃で1時間加熱し、室温まで放冷した(約30分)。これらの試験片について、引っ張り試験器を用いて30mm/分の速度で引き剥がし、180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1および図11に示した。
【0082】
(比較例1)
ブロック共重合体(1)に代えて、ランダム共重合体(1)を用いた以外は、実施例1と同様にして180°剥離強度を測定した。得られた結果を表1及び図12に示した。
【0083】
【表1】
*1 100℃で1時間加熱
*2 室温で紫外線照射
*3 室温で紫外線照射後100℃で1時間加熱
*4 粘着強度が弱く測定限界(≒0)
*5 低下率(%)は、次式[(解体前の剥離強度−解体後の剥離強度)/解体前の剥離強度]によって算出した値であり、低下率が大きいほど、加熱や光照射によって粘着剤が解体されたことを示す。
なお、表中の180°剥離強度は、剥離距離0〜120mmの間の平均値を示し、表中の(SS)の表記はスリップスティックによる剥離を表わす。
【0084】
表1から明らかなように、実施例1と実施例2、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを24mol%または47mol%含むブロック共重合体(1)または(2)と酸触媒からなる粘着テープの180°剥離強度は、100℃で1時間加熱後に効果的に低下し、好適に解体可能であった。
【0085】
実施例3、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを72mol%含むブロック共重合体(3)と酸触媒からなる粘着テープは、スティックスリップ現象を示す粘着テープであるが、当該粘着テープは100℃で1時間加熱することによってほぼ剥離しており、180°剥離強度が測定できない状態まで解体可能であった。
【0086】
実施例4、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを64mol%含むブロック共重合体(4)と光酸発生剤であるBCD7mol%からなる粘着テープは、紫外線照射又は加熱のみでも180°剥離強度の低下が見られ、紫外線照射後に加熱した場合には著しい低下が生じ、特に好適な解体性を有するものであった。
【0087】
実施例5、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを65mol%含むブロック共重合体(5)と光酸発生剤であるNIT1mol%からなる粘着テープは、紫外線照射又は加熱のみでも180°剥離強度の低下が見られ、紫外線照射後に加熱した場合には著しい低下が生じ、特に好適な解体性を有するものであった。
【0088】
実施例6、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを65mol%含むブロック共重合体(5)と光酸発生剤であるBCD5mol%からなる粘着テープの180°剥離強度は、紫外線照射のみでも低下し、紫外線照射後に加熱した場合は著しく低下し、特に好適に解体可能であった。
【0089】
実施例7、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを65mol%含むブロック共重合体(5)と光酸発生剤であるBCD7mol%からなる粘着テープの180°剥離強度は、紫外線照射または紫外線照射後に加熱した場合に著しく低下し、特に好適に解体可能であった。
【0090】
実施例8、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを58mol%含むブロック共重合体(6)と光酸発生剤であるNIT0.2mol%からなる粘着テープの180°剥離強度は、紫外線照射後に加熱した場合にのみ効果的に低下し、特に好適に解体可能であった。
【0091】
実施例9、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを62mol%含むABA型トリブロック共重合体(7)と光酸発生剤であるNIT0.2mol%からなる粘着テープの180°剥離強度は、紫外線照射後に加熱した場合にのみ効果的に低下し、特に好適に解体可能であった。
【0092】
実施例10、つまりポリイソボルニルアクリレートブロックを34mol%含むブロック共重合体(8)と光酸発生剤であるNIT0.5mol%からなる粘着テープの180°剥離強度は、紫外線照射後に加熱した場合にのみ効果的に低下し、特に好適に解体可能であった。
【0093】
実施例11、つまりポリt−ブチルアクリレートブロックを57mol%含むブロック共重合体(9)と光酸発生剤であるNIT0.3mol%からなる粘着テープの180°剥離強度は、加熱又は紫外線照射のみでも低下し、紫外線照射後に加熱した場合は著しく低下し、特に好適に解体可能であった。
【0094】
一方、比較例1、つまりランダム共重合体(1)と酸触媒からなる粘着テープの180°剥離強度は、100℃で1時間加熱後もほとんど低下が見られず、易解体性を有するものではなかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリレートモノマーを主たるモノマー成分とするアクリル系重合体(X)、および、酸触媒又は酸発生剤を含有する粘着剤組成物であって、
前記アクリル系重合体(X)が、カルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレートモノマー(a)から誘導される繰り返し単位からなり、その繰り返し単位数が10以上であるポリ(メタ)アクリレート鎖(A)を含有することを特徴とする易解体性粘着剤組成物。
【請求項2】
前記アクリル系重合体(X)が、カルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレートモノマー(a)から誘導される繰り返し単位からなり、その繰り返し単位数が10以上であるポリ(メタ)アクリレート鎖(A)、および、他の(メタ)アクリレートモノマー(b)から誘導される繰り返し単位を含有するポリ(メタ)アクリレート鎖(B)とを有するアクリル系ブロック重合体である請求項1に記載の易解体性粘着剤組成物。
【請求項3】
前記カルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレートモノマー(a)が、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びベンジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載の易解体性粘着剤組成物。
【請求項4】
前記ポリ(メタ)アクリレート鎖(B)が、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びn−ブチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種を主たるモノマー成分として含有する請求項2又は3に記載の易解体性粘着剤組成物。
【請求項5】
前記アクリル系重合体中のポリ(メタ)アクリレート鎖(A)とポリ(メタ)アクリレート鎖(B)の比率が、(A)/(B)で表わされるモル比で75/25〜20/80である請求項2〜4のいずれかに記載の易解体性粘着剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する易解体性粘着テープ。
【請求項1】
(メタ)アクリレートモノマーを主たるモノマー成分とするアクリル系重合体(X)、および、酸触媒又は酸発生剤を含有する粘着剤組成物であって、
前記アクリル系重合体(X)が、カルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレートモノマー(a)から誘導される繰り返し単位からなり、その繰り返し単位数が10以上であるポリ(メタ)アクリレート鎖(A)を含有することを特徴とする易解体性粘着剤組成物。
【請求項2】
前記アクリル系重合体(X)が、カルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレートモノマー(a)から誘導される繰り返し単位からなり、その繰り返し単位数が10以上であるポリ(メタ)アクリレート鎖(A)、および、他の(メタ)アクリレートモノマー(b)から誘導される繰り返し単位を含有するポリ(メタ)アクリレート鎖(B)とを有するアクリル系ブロック重合体である請求項1に記載の易解体性粘着剤組成物。
【請求項3】
前記カルボキシル前駆基含有(メタ)アクリレートモノマー(a)が、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びベンジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載の易解体性粘着剤組成物。
【請求項4】
前記ポリ(メタ)アクリレート鎖(B)が、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びn−ブチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種を主たるモノマー成分として含有する請求項2又は3に記載の易解体性粘着剤組成物。
【請求項5】
前記アクリル系重合体中のポリ(メタ)アクリレート鎖(A)とポリ(メタ)アクリレート鎖(B)の比率が、(A)/(B)で表わされるモル比で75/25〜20/80である請求項2〜4のいずれかに記載の易解体性粘着剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する易解体性粘着テープ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−126879(P2012−126879A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129280(P2011−129280)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(506122327)公立大学法人大阪市立大学 (122)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(506122327)公立大学法人大阪市立大学 (122)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】
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