説明

映像信号処理装置

【課題】
本発明の課題は、使い勝手がよく、より精度の高い被写体検出装置を提供し、あるいは装置の規模およびコストを低減できる映像信号処理装置を提供することにある。
【解決手段】
輝度信号と色信号とをN:1(Nは自然数)の割合で含む映像信号が入力される入力手段と、前記入力手段からの映像信号を少なくとも水平方向に縮小する映像縮小手段と、前記映像縮小手段からの縮小された映像信号を入力として被写体を検出する被写体検出手段とを具備し、前記映像縮小手段は輝度信号を水平方向に(N×M)分の1(Mは自然数)に縮小し、色信号をM分の1に縮小することにより、縮小後の輝度信号と色信号のサイズを同じくすることにより、前記被写体検出手段の処理を簡素化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号の処理装置であって、例えば顔などの被写体を検出する映像信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、監視装置等においては、人物や顔などの特定の被写体を検出して、人物が映っている映像のみを記録媒体に記録するなど、被写体検出の技術が必要となっている。入力映像から顔を検出する従来技術としては、特許文献1に、顔画像のデータベースから作成したテンプレートを適用して顔画像を判定する検出が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−52547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入力映像信号から例えば人間の顔などの被写体を検出する方法としては、入力映像信号に含まれる輝度信号を用いる方法が一般的であるが、より高い精度の検出方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、特許請求の範囲に記載の発明により達成される。
【0006】
具体的には、輝度信号と色信号とをN:1(Nは自然数)の割合で含む映像信号が入力される入力手段と、前記入力手段からの映像信号を少なくとも水平方向に縮小する映像縮小手段と、前記映像縮小手段からの縮小された映像信号を入力として被写体を検出する被写体検出手段とを具備し、前記映像縮小手段は輝度信号を水平方向に(N×M)分の1(Mは自然数)に縮小し、色信号をM分の1に縮小することにより、縮小後の輝度信号と色信号のサイズを同じくすることにより、前記被写体検出手段の処理を簡素化する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使い勝手がよく、より精度の高い被写体検出装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
本発明の第1の実施形態を、図1を用いて説明する。
【0010】
図1は本発明による映像信号処理装置を、複数のカメラからの映像を記録・再生・表示する監視装置に適用したものである。図1において、101は入力端子、102は入力端子、103は入力端子、104はスイッチ部、105はYC分離部、106は映像縮小部、107は映像縮小部、108はバッファメモリ、109は顔検出部、110はフレームスイッチャ部、111は記録再生制御部、112は記録媒体、113は表示処理部、114は出力端子、115はシステム制御部である。また、図2は映像信号入力とYC分離部105の動作を説明するためのタイミングチャートであり、図1に示した信号と同じ符号を付している。さらに、図3は映像縮小部106、107の動作を説明するためのタイミングチャートであり、図1に示した信号と同じ符号を付している。
【0011】
入力端子101.102、103にはそれぞれデジタルの映像信号が入力される。デジタル映像信号の形式としては、例えばITU−R BT.656と呼ばれる規格などが知られている。図2の104aに入力映像信号の例を示す。このように、輝度信号(Y)と2種類の色信号である色差信号(Cb、Cr)とが交互に入力される。従って、この映像信号は、輝度信号(Y)と2種類の色差信号(Cb、Cr)とを4:2:2の割合で含む。各入力端子101、m102、103から入力された映像信号は、スイッチ部104により時分割で切り替えられ、YC分離部105に入力される。YC分離部は、入力された映像信号を輝度信号(Y)と2種類の色差信号(Cb、Cr)とに分離して出力する。この様子を図2に示す。分離の処理は、シリアル・パラレル変換により輝度信号(Y)と色差信号(Cb、Cr)とを分離し、さらに色差信号をシリアル・パラレル変換によりCb信号とCr信号とに分離することで実現される。図2において、104aはYC分離部105への入力信号、105yは分離後の輝度信号(Y)、105cbは分離後の色差信号(Cb)、105crは分離後の色差信号(Cr)である。このように、分離後の各信号のサンプルレートは元々の入力信号に含まれる比率に従っている。
YC分離部105の出力は映像縮小部106、107に入力される。映像縮小部106、107は少なくとも水平方向に映像信号を縮小する。この動作を図3を用いて説明する。図3において、106yは映像縮小部106の出力信号、107cbおよび107crは映像縮小部107の出力信号である。本実施例では、輝度信号(Y)を水平方向に4分の1に縮小し、2種類の色差信号(Cb、Cr)それぞれを2分の1に縮小している。これにより、各映像縮小部106、107の出力信号のサンプルレートはすべて同一となる。
こうして縮小された信号はバッファメモリ108を介して顔検出部109に入力される。顔検出部109は入力される縮小された輝度信号(Y)と2種類の色差信号(Cb、Cr)とから顔画像を検出し、検出結果として検出した顔画像や顔の位置を示す座標情報をシステム制御部115に送信する。
【0012】
一方、入力端子101、102、103から入力された映像信号は、フレームスイッチャ部110に送られる。フレームスイッチャ部110は、システム制御部115からの制御信号に従って内蔵するメモリ領域に各映像信号を蓄え、表示処理部113あるいは記録再生制御部111に要求された映像信号を出力する。記録再生制御部111はシステム制御部115からの制御信号に従ってフレームスイッチャ部110からの映像信号を記録媒体112に記録し、また、システム制御部115からの制御信号に従って記録媒体112から要求された映像信号を再生し、表示処理部113に出力する。表示処理部113は、システム制御部115からの制御信号に従ってフレームスイッチャ部110からの映像信号、あるいは記録再生制御部111からの映像信号を図示していないモニタ等に表示可能な映像信号形式に変換して出力端子114に出力する。
【0013】
また、表示処理部113は、システム制御部115からの制御信号に従って、顔検出部109が顔を検出した場合には、顔を検出した旨を知らせるマークを表示させる、検出した顔画像を表示する、あるいは、顔の位置情報から該当する位置に枠を表示するなどの動作をする。
【0014】
さらに、システム制御部115は、顔検出部109が顔を検出した場合には、該当する映像信号の記録媒体112への記録位置を記憶し、使用者の要求があれば、記録再生制御部111を制御して該当する映像信号検索して再生する。
【0015】
本実施形態において、映像縮小部106、107の縮小率をそれぞれ4分の1、2分の1としたが、本発明の本質はこれに限られるものではない。入力映像信号に含まれる輝度信号と色信号との割合がN:1(Nは自然数)である場合に、記映像縮小部106、107は、輝度信号を水平方向に(N×M)分の1(Mは自然数)に縮小し、色信号をM分の1に縮小することにより、縮小後の輝度信号と色信号とのサンプルレート、すなわち画像サイズとタイミングとをあわせることが本発明の目的である。また、垂直方向の縮小については記述していないが、映像信号を垂直方向にも縮小することにより、顔検出部109の処理量を減らすことができる。
なお、本実施形態では説明を簡略化するために入力された映像信号をそのまま記録再生することとして説明したが、実際には記録媒体への記録効率を高めるためにMPEGやJPEGなどといった映像圧縮技術を用いるのが一般的であり、その場合には、記録再生制御部111の前段には映像圧縮部が、また、記録再生制御部111の子段には映像伸張部が挿入される。
以上により、本発明の第1の実施形態によれば、入力映像信号に含まれる輝度信号だけでなく色信号も用いた被写体検出ができるので、輝度信号のみを用いた場合に比べて検出精度を高くすることができる。また、縮小した映像信号を被写体検出部への入力とすることにより、被写体検出部での検出処理時間を短くすることができる。また、縮小した映像信号は輝度信号と色信号とのサイズが同じであるので、被写体検出部では輝度信号と色信号とで同一の処理により映像のエッジや形状を検出できるなど、検出の信号処理を単純化することができる。さらには、複数の映像信号を時分割で切り替えながら被写体検出を行えるので、複数の映像信号入力に対して同時に被写体検出を行うことができる。また、フレームスイッチャ部と顔検出部とを一体のLSI等として構築すれば、LSIとしての入力端子101,102、103を共通にできるので、装置基板の配線面積を少なくでき、装置を小型化あるいは低コスト化を図ることができる。
【実施例2】
【0016】
本発明の第2の実施形態を、図4を用いて説明する。
【0017】
図2は本発明による映像信号処理装置を、複数のカメラからの映像を記録・再生・表示する監視装置に適用したものである。図2において、201はスイッチ部である。その他の部分で図1と同じ部分には、同一の符号を付している。
【0018】
以下、第1の実施形態と異なる部分のみを説明する。スイッチ部104からの映像信号と記録再生制御部111からの映像信号とが、スイッチ部201に導かれる。スイッチ部201は、システム制御部115からの制御信号に従ってスイッチ部104からの映像信号と記録再生制御部111からの映像信号とを切り替えてYC分離部105に出力する。その他の動作は第1の実施形態と同じである。
以上により、本発明の第2の実施形態によれば、記録媒体からの再生画像に対しても被写体の検出を行うことができるので、使い勝手がよい被写体検出を行うことができる。
【0019】
本発明は、例えば映像信号から被写体を検出する映像信号の処理装置に採用可能である。
【0020】
本発明によれば、使い勝手がよく、より精度の高い被写体検出装置を提供でき、あるいは装置の規模およびコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態における装置のブロック構成図
【図2】本発明の第1の実施形態における動作を示すタイムチャート図
【図3】本発明の第1の実施形態における動作を示すタイムチャート図
【図4】本発明の第2の実施形態における装置のブロック構成図
【符号の説明】
【0022】
101 入力端子
102 入力端子
103 入力端子
104 スイッチ部
105 YC分離部
106 映像縮小部
107 映像縮小部
108 バッファメモリ
109 顔検出部
110 フレームスイッチャ部
111 記録再生制御部
112 記録媒体
113 表示処理部
114 出力端子
115 システム制御部
201 スイッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輝度信号と色信号とをN:1(Nは自然数)の割合で含む映像信号が入力される入力手段と、
前記入力手段からの映像信号を少なくとも水平方向に縮小する映像縮小手段と、
前記映像縮小手段からの縮小された映像信号を入力として被写体を検出する被写体検出手段とを具備し、
前記映像縮小手段は輝度信号を水平方向に(N×M)分の1(Mは自然数)に縮小し、色信号をM分の1に縮小することを特徴とする映像信号処理装置。
【請求項2】
輝度信号と2種の色信号とをN:1:1(Nは自然数)の割合で含む映像信号が入力される入力手段と、
前記入力手段からの映像信号を少なくとも水平方向に縮小する映像縮小手段と、
前記映像縮小手段からの縮小された映像信号を入力として被写体を検出する被写体検出手段とを具備し、
前記映像縮小手段は輝度信号を水平方向に(N×M)分の1(Mは自然数)に縮小し、2種の色信号をそれぞれM分の1に縮小することを特徴とする映像信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−27217(P2009−27217A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185218(P2007−185218)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】