説明

映像再生装置および記録媒体

【課題】
映像情報が記録されている記録媒体に記録されていない字幕情報を取得し、取得した字幕を表示して映像情報を再生することができる映像再生技術を提供すること。
【解決手段】
映像情報が記録されている記録媒体に記録されていない字幕情報として文字コード情報を、ネットワークを介して取得することとし、文字コード情報に対応したフォントデータを字幕として表示するようにする。なお、取得した文字コード情報に基づく文字フォントを再生装置が持っていない場合には、その文字フォントを取得することとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、字幕を表示して映像情報を再生する映像再生技術に関するものであり、特に
、字幕情報をネットワークや記録媒体から取得して映像情報を再生する映像再生技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映画などの映像情報を記録した記録媒体として、VTR(Video Tape Recorder)や光デ
ィスクなどがある。とくに家庭用にはDVD(Digital Versatile Disc)と呼ばれる光ディスクが広く普及している。
【0003】
これら記録媒体では、映像情報とともに、字幕が同時に表示できるように工夫されている。記録媒体に字幕の情報も記録しておくことで、例えば、外国映画に日本語の字幕を入れて再生することができ、内容を容易に理解することが出来る(例えば、特許文献1参照
)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−186446
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これら字幕情報は、予め記録媒体上に記録されているものを利用するため、後から別の字幕を表示させることは出来なかった。したがって、例えば、日本語の字幕が記録されていない記録媒体から映像情報を再生する場合、日本語の字幕を表示させようと思っても表示させることができず、不便であった。
【0006】
本発明の目的は、映像情報が記録されている記録媒体に記録されていない字幕情報を取得し、取得した字幕を表示して映像情報を再生することができる映像再生技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、映像情報が記録されている記録媒体に記録されていない字幕情報を映像情報が記録されている記録媒体とは別の記録媒体から取得することとする。
【0008】
好ましくは、字幕として表示させる文字の文字コード情報を取得することとする。
【0009】
さらに好ましくは、取得した文字コード情報に基づく文字フォントを再生装置が持っていない場合には、その文字フォントを取得することとする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、映像情報が記録されている記録媒体に記録されている字幕とは別の字幕を再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の再生装置のブロック図
【図2】字幕文字列情報とフォントデータの関係を示す図
【図3】光ディスク上のファイル構造を示す図
【図4】字幕言語選択時の画面を示す図
【図5】字幕言語ダウンロード時の画面を示す図
【図6】字幕情報のデータベース構造を示す図
【図7】フォントデータの記憶方法を示す図
【図8】光ディスク上のデータパケット記録構造を示す図
【図9】画像再生開始までの所要時間の比較を示す図
【図10】実施例2の再生装置のブロック図
【図11】フォントデータファイルの記録方法を示す図
【図12】ハードディスク装置内のファイル構成を示す図
【図13】ハードディスク装置内のファイル構成を示す図
【図14】一般的に考えられる字幕情報ダウンロードの手順を示す図
【図15】本実施例の再生装置での字幕文字列情報およびフォントデータのダウンロード手順を示す図
【図16】スキップ動作が行われた場合のフォントデータのダウンロード手順を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施例の概要は次のとおりである。
本実施例では、映像情報が記録されている記録媒体に記録されていない字幕情報として文字コード情報をネットワークを介して取得することとし、文字コード情報に対応したフォントデータを字幕として表示するようにする。なお、取得した文字コード情報に基づく文字フォントを再生装置が持っていない場合には、その文字フォントを取得することとする。
【0013】
一つの言語に対応したフォントデータをすべて一括でダウンロードするには時間がかかる。例えば、日本語の文字種は数千種類にも上るので、全てに対応したフォントデータをダウンロードしようとすると、電話回線などの低速なネットワーク接続を使用している場合、非常に時間がかかってしまい、その間、映像情報の再生が行えない可能性がある。
【0014】
さらに、上記のようにフォントデータはデータ量が多いため、全てを一括でダウンロードする場合、フォントデータを記憶するメモリーが大量に必要である。
【0015】
本実施例によれば、データ量が少ない文字コード情報を取得することとしたので、映像情報の再生を迅速に行うことができるし、メモリー容量を削減することができる。
【0016】
さらに、字幕表示を行う順番に文字コード情報のダウンロードを行うので、字幕情報のダウンロードを開始してから、実際の映像の再生を開始するまでの時間を短縮することが出来、ユーザーの利便性を高めることが出来る。さらには、ダウンロードを行いながら字幕の表示を行うことが出来る。
【0017】
さらには、字幕表示に必要なフォントデータを一括してダウンロードするのではなく、字幕表示を行う順番にダウンロードするので、フォントデータの記憶に必要なメモリー容量を少なくすることが出来る。
【実施例1】
【0018】
本発明を適用した実施例である再生装置の具体的な実施の形態を図面を用いて説明する

図1に、本実施例の再生装置のブロック図を示す。
図1中、101は光ディスク、102は光ディスクから信号を読み出す光ピックアップ
、103は光ディスクから再生された信号に所定の復調処理を行いデータを再生する再生信号処理回路、104は再生されたデータを所定のタイミングで出力する出力制御部、105は光ディスクの回転速度や光ピックアップの位置制御を行うサーボ部、106はサーボ部および再生信号処理回路を制御するドライブ制御部、107は再生されたパケット中からPCR(Program Clock Reference)の値を検出するPCR検出部、108は音声信号
をデコードする音声デコーダ、109はデコードされた音声信号を出力する音声出力端子
、110は映像信号をデコードする映像デコーダ、111はデコードされた映像信号に字幕信号を加算する字幕信号合成部、112は字幕情報の合成された映像信号を出力する映像出力端子、113は字幕を映像信号として出力する字幕出力部、114は再生装置全体を制御するシステム制御部、115はリモコンからの信号を受信するリモコン受信部、116はネットワークとの接続を制御するネットワーク制御部、117は外部のネットワーク、118はメモリー部である。
【0019】
ここで、字幕の表示に関し、字幕情報の記憶方法に関して説明する。
【0020】
本実施例の再生装置においては、字幕情報を文字情報として取り扱う。すなわち、表示する字幕の文字を文字コードとして扱い、画面に表示する際には、各文字コードに対応した文字の形状を示すフォントデータを使用して図形に変換して表示を行う。
【0021】
図2に、文字コードとフォントデータの関係を示す。
図2において、字幕情報は、「こんにちは」の文字コードと、「あ」「い」「う」「え
」「お」…といった日本語表示に必要な各文字の形状を表すフォントデータから成り立っ
ている。
【0022】
「こんにちは」という字幕は、「こ」「ん」「に」「ち」「は」をそれぞれ表す文字コ
ードにより表現できる。ここで、文字コードは、パーソナルコンピュータなどで広く利用されているシフトJISコードやUTF(UCS(Universal multi-octet coded Character
Set) Transformation Format)などを使用すればよい。例えば、シフトJISコードを使
用すると、「こ」は、16進数で“82B1”と表すことが出来る。シフトJISコード
により、日本語の文字は、2バイト(16ビット)のコードで表現することが可能なので
、「こんにちは」は、10バイトのコードにより表現が可能である。以下、文字コードで
表された字幕の文字列そのものを字幕文字列情報と呼ぶ。この字幕文字列情報には、必要に応じて文字の拡大・縮小、文字の色付け、文字の表示位置、文字の輪郭強調やスムージング、透明度を利用した映像画面と文字とのブレンディングなどの処理を行うためのパラメータも含まれることとする。
【0023】
「こ」という文字を画面上に表示するためには、「こ」に対応した文字コード“82B
1”だけではなく、実際に文字を表示するための「こ」の形状を表すフォントデータが必要である。フォントデータは、例えば、32×32ピクセルのビットマップで表現することができる。もちろん、文字の外枠を直線や曲線で表現したアウトラインフォントや、筆運びを表現したストロークフォントなど、様々なフォント形式があり、本実施例では、どのフォント形式を用いても良い。
【0024】
以下、ユーザーが、日本語に対応していない再生装置を用いて、日本語の字幕が記録されていない光ディスクの映像情報を日本語の字幕を表示しながら再生する場合を例に取り説明する。
【0025】
まず、ユーザーは、再生装置の電源を投入し、光ディスク101を再生装置にセットする。再生装置中のシステム制御部114は、光ディスク101がセットされたことを認識し、光ディスク101中のファイル管理情報を読み出す。ここで、ファイル管理情報は、例えばUDF(Universal Disk Format)に代表されるファイル管理システムに準拠して、
光ディスク上の所定の位置に記録されている。ファイル管理情報は、光ディスク上に記録されている各情報をファイルとして管理する。具体的には、各ファイルのファイル識別子(ファイル名)、記録開始セクター番号、ファイル長、付加情報などが記録されている。
【0026】
ファイル管理情報が読み出された後、システム制御部114は、光ディスク101の再生に必要なファイルを読み出し、順次解析を行う。
【0027】
再生を行う光ディスク101上には、図3に示すようなファイルが記録されている。
図3中、301はDVRディレクトリ中のプレイリストの数やファイル名などの情報が書かれたinfo.dvrファイル、302はメニュー表示を行うプログラムを記録したmenu.javaファイル、303は映像の再生位置や順序およびマーク位置などの情報が記録されたプレイリストファイル、304はストリームファイル上の再生開始点とそのパケット位置などの情報を記録したクリップ情報、305は映像や音声などの情報パケットが記録されたストリームファイルである。
【0028】
ここで、ストリームファイル305について説明する。
映像情報は、画像情報圧縮技術の一つであるMPEG(Moving Picture Experts Group)2方式でデータ量が削減され、トランスポートストリーム形式に変換されて記録される。MPEG2は、NTSC形式の画像やハイビジョンに代表される高画質のHD画像に対しても優れたデータ量削減を行うことが出来、原画像に対して1/10〜1/50程度にデータ量を削減することが出来る。例えば、NTSC形式の画像では6Mbps程度、HD画像でも20Mbps程度のデータ量で十分な画質を得ることが出来る。MPEG2による画像圧縮は、DVDをはじめとする画像蓄積や、ディジタル放送などにも広く用いられている。
【0029】
ここでは、MPEG2形式を例にとって説明するが、もちろん他の画像圧縮方法を用いてデータを符号化しても差し支えない。
【0030】
映像情報と同様に、音声情報に関しても、音声圧縮技術を用いてデータ量圧縮を行なう
。音声圧縮技術には、MPEG1オーディオやBSデジタル放送で用いられるAAC形式など様々な圧縮技術がある。また、音声情報は映像情報に比べてデータ量が少ないため、圧縮を行わないリニアPCM形式でデータを記録することも可能である。
【0031】
上記のように符号化された映像情報および音声情報は、伝送や蓄積が容易なように、トランスポートストリームとして多重化し、一つのファイルとして記録する。具体的には、各情報は188バイトのパケットに変換する。その際、各パケットにはパケット識別のためのPID(パケットID)を付加する。一連の情報には単一のPIDを付加することにより、再生時に容易にパケットの分別を行うことが出来る。
【0032】
トランスポートストリームには、映像・音声のほか、字幕情報や図形情報、制御コマンドなどの各種情報パケットを多重化する事が出来る。さらに、各PIDの関係を表したPMT(Program Map Table)やPAT(Program Allocation Table)、時刻情報を表すPCR(Program Clock Reference)などのパケットも多重化する。このようにして情報の多重化
を行ったトランスポートストリームを、ストリームファイル305として光ディスク101上に記録しておく。
【0033】
次に、クリップ情報ファイル304について説明する。
前述のように、映像情報はMPEG2形式の画像圧縮を行った上で記録をしている。MPEG2形式では、連続した画像の相関性を用いてデータ量削減を行っている。具体的には、連続した画像間で変化のない部分の情報は再送せずに、直前の画像のデータをそのまま使用するような処理を行っている。そのため、変化分のみが符号化された画像データでは、そのデータから全画素の情報を復号できないという欠点がある。したがって、早送りやスキップ操作などで再生を開始できる画像は、全画素が符号化された画像のみである。
【0034】
一般的に、MPEG2形式での画像圧縮は、15枚程度の画像を組にして圧縮を行うことが多い。この画像の組をGOP(Group Of Pictures)と呼ぶ。このGOPの先頭から再
生を行えば、即座に画像の再生を行うことが出来る。
【0035】
クリップ情報ファイル304には、このGOP先端のパケット位置を、その画像の符号化時刻(Presentation Time Stampの値に対応)とともに記録しておく。これにより、サーチやスキップで再生を開始する位置が容易に検索できる。
【0036】
クリップ情報ファイル304は、トランスポートストリームファイルと一対一に対応している。01000.m2tsというトランスポートストリームファイルに対応して、01000.clpiというクリップ情報ファイルを記録しておけば、ファイル間の対応が容易に識別できる。
【0037】
次に、プレイリストファイル303について説明する。
プレイリストファイル303は、トランスポートストリームファイルの再生順序を規定する情報が記録されたファイルである。プレイリストファイル303には、再生を行うストリームファイルのファイル識別子、再生開始時刻、再生終了時刻などの情報の組がプレイアイテム情報として一組ないし複数組記録されている。再生時には、指定されたプレイリストファイル303中のプレイアイテム情報にしたがい、ストリームファイル305が順次再生される。
【0038】
再生開始時には、まず、システム制御部114がメニュー表示プログラム302を読み出し、そのプログラムを実行する。メニュー表示プログラム302は、光ディスク上に記録されているコンテンツの選択や各種設定を行うことが出来るようなメニューを表示するようにプログラムされている。
【0039】
ユーザーは、再生に先立ち、字幕情報の選択を行う。例えば、再生メニュー上で、字幕切り替えを選択することにより、字幕情報の切り替えを指示する。字幕情報の切り替えが選択されると、画面上に、図4に示すような字幕選択メニューを表示するようにシステム制御部114が再生装置を制御する。
【0040】
ここで、字幕選択メニューには「日本語」がないため、ユーザーは字幕情報のダウンロードを行うために、項目「download other language」を選択し
、決定を行う。字幕のダウンロードが指定されると、メニュー表示プログラム302は、所定のファイルサーバーへの接続、字幕ダウンロードプログラムのダウンロードを実行する。字幕ダウンロードプログラムは、ダウンロードを行う字幕の言語種類の選択を行うよう、ユーザーに求める。具体的には、再生装置が図5に示すようなメニューを表示させる
。ユーザーは、図5のメニューを見て所望の言語を選択することができる。
【0041】
言語が選択されると、システム制御部114は、字幕情報のダウンロード処理を開始する。
【0042】
以下、字幕情報のダウンロードプログラムの手順を説明する。
【0043】
ここで、字幕情報には、字幕文字列情報とフォントデータがあり、それぞれをダウンロードする必要がある。ここで、字幕文字列情報は、ディスク上に記録された映像に対応して表示する字幕の文字列を列記したものである。字幕文字列情報は、比較的データ量が少ないので、全てをダウンロードしても時間がかからない。これに対し、フォントデータは
、データ量が大きくなる傾向がある。特に日本語や中国語などでは、使用される文字種が非常に多いので、全てのフォントデータをダウンロードすると非常に時間がかかる。そこで、本実施例の再生装置では、各章において使用するフォントデータのみを逐次ダウンロードする。
【0044】
字幕情報のダウンロードが指示されると、まず、字幕文字列情報をダウンロードする。ここでは、再生対象となるコンテンツに対応した字幕文字列を一通りダウンロードするものとして説明する。もちろん、全ての字幕文字列を一度にダウンロードせず、数回に分けて分割してダウンロードを行なうように制御することも可能である。
【0045】
具体的には、ユーザーによりダウンロードを行う言語が指定されると、システム制御部114は、ネットワーク制御部116を介して、ネットワーク上の所定のファイルサーバー(図示せず)への接続を行う。
【0046】
ここで、ネットワーク上のファイルサーバーとファイルサーバー上に記憶されているファイルは、URL(Unified Resource Locator)と呼ばれる識別情報により、ネットワークでの場所が特定される。このURL情報は、ダウンロードを行うメニュー表示プログラム302上に記載されていても良いし、光ディスク101上の所定のファイルに記載しておいても良い。
【0047】
ファイルサーバーと再生装置は、お互いに正当な機器であることを確認するために、認証処理を行う。この時、システム制御部114は、再生を行う光ディスク101の識別番号や再生装置の識別番号、再生対象となるコンテンツのタイトルなどの情報をファイルサーバーに送り、必要なファイルを送信するように要求する。
【0048】
ファイルサーバーによって再生装置の正当性が認証され、再生を行うタイトルに対応した字幕情報のファイルが準備され、ネットワークを介して再生装置に送信される。ここで
、字幕情報には、前述のように字幕として表示を行う文字列自体を表す字幕文字列情報と
、各文字の形状に関する情報を有するフォントデータがある。再生装置では、ネットワーク制御部116を介してシステム制御部114に字幕情報が入力され、メモリー118内の字幕文字列情報記憶領域およびフォントデータ記憶領域にそれぞれの情報を記憶する。
【0049】
なお、上記のようなダウンロード手順は、光ディスク100上のメニュー表示プログラム302に含まれているものとして説明したが、これは限定されるものではなく、システム制御部内のROMにプログラムとして予め組み込まれていても良いし、必要に応じて、ファイルサーバー側から再生装置にプログラムを送信し、システム制御部にて実行するような仕組みを設けても良い。
【0050】
字幕文字列情報の具体的な例を図6に示す。
字幕文字列情報中には、コンテンツのタイトル601や言語名602、フォント名603などの基本情報と、実際に表示を行うための字幕文字列が含まれている。
【0051】
各章(Chapter1、Chapter2...)の字幕文字列には、字幕の表示開
始時刻604、表示期間605、表示文字列606が含まれている。この例では示していないが、各字幕文字列の表示を規定するための、表示位置、表示サイズ、表示色、フォント名などの情報を個別に含めることも出来る。個別の表示情報がない場合には、予め決められた表示方法で字幕を表示する。具体的な表示方法については後述する。
【0052】
また、字幕文字列情報には、必要に応じて、章や段落の切れ目が分かるように情報を付加してもよい。これにより、ユーザーが再生時に早送り動作やスキップ動作を行った場合に、容易に字幕の表示位置を求めることが出来る。
【0053】
字幕文字情報を全てダウンロードした後、フォントデータのダウンロードを行う。ここで、フォントデータのダウンロードは、全てのフォントを一括してダウンロードするのではなく、必要な文字のフォントのみ、使用する順番にダウンロードしていく。
【0054】
ここで、ダウンロードしたフォントデータの具体的な記憶方法を以下に示す。
図7に、メモリー118内のフォントデータ記憶領域のデータ配置例を示す。
フォントデータ記憶領域には、フォント形状記憶領域とフォント管理情報領域とがある
。ダウンロードしたフォントデータは、フォント形状記憶領域に詰めて記録していく。また、ダウンロードした各フォントデータの文字コード、記録アドレスなどの情報をリストとしたものをフォント管理情報として記憶する。
【0055】
フォントデータの読み出し時には、まず、フォント管理情報を用いて、読み出しを行うフォントデータの文字コードから、記録アドレスとデータサイズを求める。ここで求めた記録アドレスからフォントデータのフォント形状の読み出しを行えばよい。
【0056】
また、フォントデータの有無を判断する場合には、フォント管理情報中に、必要なフォントデータに対応した文字コードが含まれるかどうかを調べればよい。
【0057】
以上のようにして、ダウンロードしたフォントデータをメモリー118内のフォントデータ記憶領域に記憶することができる。
【0058】
なお、字幕情報のダウンロード中、ユーザーは他の操作を行うことが出来る。具体的には、字幕情報のダウンロード中に、他の設定動作を行ったり、ダウンロードしている字幕とは対応しない映像情報の再生を開始させるなどの操作が可能である。
【0059】
字幕情報のダウンロード中に、コンテンツの再生が指示されると、字幕情報のダウンロードと平行して光ディスクの再生動作を開始する。
【0060】
映像情報の再生は、以下の手順により行われる。
まず、ユーザーが再生を指示したコンテンツに対応したプレイリストファイル303が光ディスク101上から読み出される。プレイリスト中には、一つないし複数のプレイアイテム情報が記録されており、プレイアイテム情報に対応したストリームファイル305の読み出しが行われ、プレイアイテム情報に指定されたパケット番号のパケットから読み出しが行われる。具体的には、読み出しを行うパケットの記録されているセクターの情報を読み出すよう、システム制御部114がドライブ制御部106に指示を行う。ドライブ制御部106は、指示されたセクターの読み出しが行えるように、サーボ部105を制御し、ディスク回転速度および光ピックアップの位置が所定の値となるように制御を行う。光ピックアップ102により、光ディスク101上から記録信号が読み出されると、再生信号処理部103により、誤り訂正処理、データの並び替えなどの信号処理が行われ、セクターデータとして出力制御部104に入力される。出力制御部は、システム制御部114により指定されたパケット番号のパケットから順番に、各パケットに付加されたタイムスタンプに応じた時刻にパケットを出力する。
【0061】
ここで、光ディスク上に記録されているストリームファイル305のパケットの記録形式を図8に示す。
図8中、801はパケットヘッダー、802はMPEGパケットである。
各MPEGパケットには、4バイト(32ビット)のパケットヘッダーを付加して記録しておく。パケットヘッダー中の30ビットは、パケットを出力するタイミングを表すタイムスタンプとして使用する。タイムスタンプは、27MHzのクロックを基準としてカウントした時刻を表しており、出力制御部内の27MHzのカウンターによりカウントした値と、各パケットに付加されているタイムスタンプの値とを比較し、一致した時点でパケットの出力を行うように制御する。これにより、パケットの出力タイミングを制御することが出来る。出力制御部からパケットが出力される際には、パケットヘッダーは除去され、MPEGパケットのみが出力される。
【0062】
出力制御部104から出力されたMPEGパケットは、PCR検出部107、音声デコーダ108、映像デコーダ110に入力される。各パケットにはパケット種別を判別する13ビットのPID(Packet ID)が含まれており、これによりPCRパケット
、音声データパケット、映像データパケットなどの種類が判別される。これにより、音声デコーダ108、映像デコーダ110は、所望のパケットのみを使用することが出来る。
【0063】
再生するストリームファイル内のストリームデータには、PCR(Program Clock
Reference)と呼ばれる時刻情報が含まれており、この時刻情報に同期して映像および音声の出力が行われる。PCR検出部107には、このPCRパケットが入力され、ストリーム中の時刻情報が取得される。映像デコーダ110および音声デコーダ108には、時刻情報としてこのPCR値が入力され、このPCR値を基準として映像および音声のデコード処理を行う。また、後述のように、PCR値は、字幕の表示タイミングの制御にも使用される。
【0064】
音声デコーダ108は、ストリームデータ中の音声パケットをデコードし、音声信号を出力する。デコードされた音声信号は、音声出力端子109に出力される。
【0065】
映像デコーダ110は、ストリームデータ中の映像パケットをデコードし、映像信号を出力する。映像信号は、後述の字幕出力部から出力される字幕情報が重ね合わされ、字幕情報が合成された映像信号として、映像出力端子112に出力される。
【0066】
字幕表示も、ストリームデータ中に含まれるPCRに同期して行なわれる。具体的には
、PCR検出部により検出されたPCR値がシステム制御部114に入力され、このPCR値と字幕文字列情報中の表示開始時刻とが比較され、表示時刻に一致すると、字幕の表示が行われる。
【0067】
字幕表示時には、システム制御部114は、表示字幕文字列の文字コード、文字コードに対応したフォントデータが順次メモリー118から読み出し、字幕出力部113に出力する。字幕出力部113は字幕情報が字幕の映像信号として生成する。加算部111は、映像デコーダ110でデコードした映像信号と字幕出力部113で生成した字幕の映像信号を重畳する。映像出力端子112から、字幕が重ねられた映像信号を出力し、表示装置の表示画面上に字幕が表示される。
【0068】
字幕出力部113では、字幕文字列情報中のパラメータにしたがい、文字の拡大・縮小や色付けを行い、指示された位置に表示を行う。この時、輪郭強調やスムージング、透明度を利用した映像画面とのブレンディングなどの処理を行い、字幕の表示画質の向上を行うことも可能である。
【0069】
字幕文字列情報中に指定された表示期間を経過後、字幕出力部113は、当該字幕の映像信号の出力を停止する。ここで、表示期間を0秒とした場合、表示後、画面消去を行わないと定義することにより、字幕の文字を時間をおいて1文字ずつ表示させるといった各
種表示効果にも利用可能である。以上のようにして、所定の時刻に所定の字幕が表示される。
【0070】
なお、フォントデータのダウンロードは、字幕表示よりも高速で行うことができる。
例えば、一般的な56Kbpsのモデムを用いてフォントデータのダウンロードを行う場合、フォントデータが1文字あたり1Kバイトとして、毎秒約7文字分のフォントデータをダウンロードすることができる。一方、ユーザーの字幕の読み取り可能な速度は、1分間に300文字が限度であると言われている。したがって、1秒間に5文字であり、フォントデータのダウンロード速度よりも遅いことが分かる。また、映画などの一般的なコンテンツでは、字幕の表示速度はそれよりもずっと遅く、かつ、字幕のない場面も多く存在する。従って、映像情報を再生しながらフォントデータをダウンロードし、字幕として表示させることが可能である。
【0071】
また、フォントデータのデータ量を削減ないし圧縮を行ったり、文字サイズを小さくするなどの工夫により、より高速でフォントデータを送ることも可能である。さらには、同じ文字が繰り返し表示される場合、フォントデータの送信は省略できるので、フォントデータの送信速度よりも早くなる恐れはない。もちろん、ネットワーク接続により高速な手段を用いることも出来る。
【0072】
字幕文字列情報に対応した全てのフォントデータのダウンロードが完了すると、システム制御部114は、ネットワークとの接続を終了する。この時、ユーザーに対してダウンロードの完了した旨のメッセージを発しても良い。
【0073】
図9に、字幕情報のダウンロードと映像情報の再生のタイミングを示す。
図9(a)は、一般的なダウンロード方法により字幕情報のダウンロードを行なった後
、映像情報の再生を行う場合の両者のタイミングを示している。図9(b)は、本実施例の再生装置による字幕情報のダウンロードと映像情報の再生のタイミングを示している。
【0074】
また、図14に、図9(a)に対応する、一般的に考えられる字幕情報ダウンロードの手順を示す。
【0075】
図14中、S1は開始ステップ、S2は字幕文字列情報、S3は全フォントデータのダウンロード手順、S4はディスク再生開始ステップ、S5は終了ステップである。
【0076】
一般的に考えられるダウンロード方法では、まず、字幕文字列情報をダウンロード(S2)した後、字幕表示に必要なフォントデータを全てダウンロードする(S3)。字幕文
字列情報およびフォントデータが全て揃った後、光ディスク101からの映像情報の再生を開始(S4)する。ディスク再生中には、ダウンロード済みの字幕文字列情報とフォントデータを用いて字幕の表示を行う。
【0077】
一般的に考えられるダウンロード方法では、字幕中に実際に表示する文字列に含まれるかどうかは関係なく、フォントデータを全て一括してダウンロードしていた。そのため、表示する必要のないフォントデータもダウンロードすることになるので、ダウンロードするフォントデータのデータ量が多くなってしまう。また、文字列の表示順序とは無関係にフォントデータをダウンロードしているので、全てのフォントデータをダウンロードし終わるまでコンテンツの再生を行うことが出来ない。
【0078】
したがって、図9(a)に示したように、一般的に考えられるダウンロード方法では、字幕文字列情報のダウンロード開始から、実際のディスクデータの再生まで非常に時間がかかっていた。
【0079】
図15に、図9(b)に対応する本実施例の再生装置での字幕文字列情報およびフォントデータのダウンロード手順を示す。
【0080】
図15中、S6は所定量のフォントデータのダウンロードステップ、S7は残りのフォントデータのダウンロードステップであり、その他の符号は図14と同じである。
【0081】
本実施例の再生装置では、再生処理開始時に、まず、字幕文字列情報のダウンロードを開始する(S2)。続いて、字幕文字列情報の解析を行い、メモリー118にその字幕文
字列情報に対応するフォントデータが蓄えられているかどうかを判別することで、ダウンロードが必要なフォントをシステム制御部114が判別する。ダウンロードすべきフォントデータがある場合には、字幕文字列情報中から表示時刻順に所定数のフォントデータをダウンロードする。本実施例では、字幕文字列先頭から所定数(本実施例では100文字分とする)のフォントデータがメモリー118に蓄えられるまでダウンロードを実行することとする。
【0082】
これにより、映像情報を再生する前にダウンロードするフォントデータの数を制限し、ディスク上のデータ再生開始までの時間を短縮する。なお、メモリー118に蓄えておくフォントデータの数は、100文字以外の数に決めておいてもよいことは言うまでもない
。また、この所定数を、字幕文字列情報中の文字量、ないし、単位時間あたりの文字量などにより決めてもよい。なお、メモリー118に所定数のフォントデータが既に蓄えられている場合には、字幕文字列情報のダウンロード後、フォントデータをダウンロードすることなく、すぐに映像情報の再生を開始することも可能である。
【0083】
所定量のフォントデータがメモリー118に蓄えられると、光ディスク101上のデータの再生を開始する(S4)。光ディスク101上のデータが再生されると、再生された
データは、出力制御部104からパケット形式で出力され、音声デコーダ108、映像デコーダ110およびPCR検出部107へパケットが入力される。
【0084】
PCR検出部107では、再生されたパケット中のPCRパケット内のPCR時刻を取り出し各デコーダに出力する。
【0085】
映像デコーダ110では、入力された映像パケット内のデータのデコードを行い、映像信号に変換して映像合成部111に入力する。
【0086】
音声デコーダ108では、入力された音声パケット内のデータのデコードを行い、音声信号に変換して音声信号出力端子109に出力する。音声信号出力端子109に出力された音声信号は、外部のアンプおよびスピーカーを介して音声として再生される。
【0087】
一方、システム制御部114では、メモリー118に蓄積済みの字幕文字列情報とフォントデータを用いて字幕情報をグラフィックデータに変換し、字幕出力部113に入力する。この時、表示する字幕情報のグラフィックデータには、表示時刻情報を付加して字幕出力部に入力する。
【0088】
字幕出力部113では、PCR検出部107から提供される時刻と、グラフィックデータの表示時刻とを比較し、所定の時刻に入力されたグラフィックデータを、映像データとして映像合成部111に出力する。映像合成部111では、映像デコーダ110によりデコードされた映像信号に、字幕出力部113から出力された字幕情報を合成して映像出力端子112に出力する。
【0089】
映像出力端子112に出力された映像信号は、外部のモニターに入力され、映像として表示される。
【0090】
以上のように、本実施例の再生装置では、表示を行う字幕文字列の順序に合わせてフォントデータのダウンロードを行っている。すなわち、実際に字幕の表示を行う時点で、その字幕表示に必要なフォントデータのダウンロードが完了するように制御されるので、図9(b)に示すように、全てのフォントデータのダウンロード完了を待つことなく映像情報の再生を開始することが出来る。これにより、ユーザーを待たせる時間を大幅に削減する事が出来る。
【0091】
以上のように、映像情報の再生と平行して、フォントデータのダウンロードを行うことにより、ユーザーがフォントデータのダウンロードの完了を待つことなく、コンテンツの視聴を行うことが可能となる。
【0092】
ところで、映像情報の再生中に、ユーザーにより早送り操作が行われたり、次の章(Chapter)へのスキップ操作が行われた場合、字幕として未だダウンロードの完了しない文字を表示する必要が出てくる可能性がある。この場合、再生再開を行う映像の表示時刻に対応した字幕文字列から再度フォント情報のダウンロードを再開する。なお、途中
、スキップボタンが押された場合、字幕表示画面のクリアを行い、古い字幕を消去しておくことが望ましい。
【0093】
図16は、スキップ動作が行われた場合のフォントデータのダウンロード手順を示す図である。
【0094】
スキップ動作が行われると、ストリームの再生位置が変更される。プレイリストデータ303中には、スキップマーク情報が含まれており、ユーザーによりスキップ動作が指示されると、システム制御部114は、スキップマーク情報にしたがいストリームの再生開始時刻を求める。
【0095】
次に、字幕文字列の出力開始位置の検索を行う(S7)。これは、図6に示した字幕文
字列情報中から、ストリームの再生開始位置に対応した時刻に表示すべき字幕文字列を求めることである。続いて、この表示すべき字幕文字列に対応したフォント情報のダウンロードを行う。この時も、図15のステップS2と同様に、予め決められた所定文字数に対応したフォント情報をメモリー118に蓄積すればよい。
【0096】
続いて、ディスク上のデータの再生を開始する(S4)。データの再生開始位置は、再
生開始時刻からクリップ情報304を用いて、ディスク上のストリームのパケット位置を求めることができる。パケットの出力が開始され、デコードされた映像データ及び音声データの出力が開始される。
【0097】
映像データの出力に平行して、字幕の表示が行われる。これは、前述のように、字幕文字列データとダウンロード済みのフォントデータからグラフィックデータが生成され、映像出力に合成されて外部のモニター上に表示される。
【0098】
ディスク上のデータの再生開始後、残りのフォント情報のダウンロードが行われる(S6)。これにより、ディスク上のデータおよび字幕を表示しながら、フォント情報のダウ
ンロードを行うことが出来る。
【0099】
これらの処理により、ダウンロード中にスキップ動作や早送り動作が行われた場合でも
、字幕を表示するまでの時間を最小限に抑えることが可能である。
【0100】
ここで、上記のダウンロードを行うプログラムは、光ディスク101上のメニュー表示プログラム302に含まれているとして説明したが、これは限定されるものではない。例えば、ダウンロードを行うプログラムは、システム制御部114内のROM(図示せず)に予め記録されており、ネットワークからのダウンロードが指示されたときに呼び出されて動作を行うように構成しても良い。また、ダウンロードを行うプログラムは、ネットワーク上のサーバーが記憶しており、必要に応じてネットワークを介して再生装置内のメモリーにダウンロードされ、システム制御部114により実行が行われるように構成されても良い。また、字幕表示プログラムに関しても、光ディスク101上にプログラムとして記録しておいても良いし、システム制御部114内のROMに予め記録しておいもよい。もちろん、ネットワーク上のサーバーに記録しておき、必要に応じてダウンロードして実行しても一向に構わない。
【0101】
なお、上記実施例において、ダウンロードとは、ネットワーク上のサーバーからデータを取り込むこととして説明しているがこれは限定されるものではない。例えば、メモリーカードやハードディスクなどの記録媒体が再生装置に接続されており、これらの記録媒体からデータを取り込む場合もダウンロードと呼ぶ。もちろん、ストリームファイルの記録されている光ディスク101のような記録媒体からデータを取り込む場合もダウンロードであり、本発明を適用することが出来る。
【実施例2】
【0102】
次に、本発明を適用した第2の実施例を図を用いて説明する。
図10中、119は記憶装置であるハードディスク装置であり、101から118までの符号は図1と同じである。
図10に示した再生装置では、字幕文字列情報、フォントデータを記憶するメモリー118とは別に、ハードディスク装置119を有している。
【0103】
図1に示した再生装置では、再生時にネットワークを介して字幕文字列情報とフォントデータをダウンロードし、表示を行っていた。しかしながら、光ディスクを再生するたびに、毎回ネットワークに接続しデータのダウンロードを行うと、ネットワーク利用料などの費用がかかることが予想される。また、ネットワークにも負荷がかかる。そこで、一旦ダウンロードした字幕情報は、再生装置内あるいは外部記憶装置に記憶しておき、再度同じ光ディスクを再生した際に再利用することが望ましい。再生装置内のメモリー118は容量が限られているので、本発明では、記憶装置としてハードディスク装置119を例に挙げて説明する。
【0104】
図10に示した再生装置においても、図1の再生装置と同様に、字幕文字列情報およびフォントデータのダウンロードが行われる。
【0105】
光ディスク101上のコンテンツの再生が完了し、全ての字幕文字列情報とフォントデータのダウンロードが完了すると、システム制御部114はダウンロードしメモリー118上に記憶している字幕文字列情報とフォントデータをそれぞれファイルとしてハードディスク装置119に記憶させる。ここで、字幕文字列情報は図6に示したものであり、フォントデータは図11に示した構造をしている。この時、文字コードの検索が容易なように、フォントデータ中の文字形状管理情報の文字コードを順番に並べ替えて記憶するように制御してもよい。
【0106】
図12に、ハードディスク装置上のファイル構成を示す。
図12中、1201は光ディスク101のうち第1の光ディスクに対応したデータを記憶するディレクトリ、1202は光ディスク101のうち第2の光ディスクに対応したデータを記憶するディレクトリ、1203は第1の光ディスクに対応した日本語の字幕文字列情報ファイル、1204は第1の光ディスクに対応した日本語のフォントデータファイル、1205は第2の光ディスクに対応した日本語の字幕文字列情報ファイル、1206は第2の光ディスクに対応した日本語のフォントデータファイル、1207は第2の光ディスクに対応した中国語の字幕文字列情報ファイル、1208は第2の光ディスクに対応した中国語のフォントデータファイルである。
【0107】
図12に示したハードディスク装置119中のファイル構成では、光ディスクごとに異なったディレクトリを作成し、そのディレクトリ内に対応した全てのデータを記憶している。光ディスク101の識別を行うためには、光ディスク101内に記憶しているコンテンツの識別番号や光ディスク上に記録されているBCA(Burst Cutting Area)の情報などを用いればよい。
【0108】
例えば、第1の光ディスクは「4902888」という識別番号を持つ光ディスクである。このディスクを再生した際にダウンロードした字幕文字列情報とフォントデータは、それぞれ字幕文字列情報ファイル1203とフォントデータファイル1204としてハードディスク装置119へ記録しておく。ここで、字幕文字列情報ファイルは、図6に示したものであり、表示文字列とその表示位置、表示サイズ、表示色などの情報を、表示時刻とともにリスト化したものである。また、フォントデータファイルは、図11に示すように、各文字の形状を表すフォント形状情報と、各フォント形状と文字コードとの対応を示すフォント管理情報とをファイル化したものである。
【0109】
なお、前述のハードディスク装置119への字幕情報の記憶は、光ディスク上のコンテンツの再生が完了した時点ではなく、ユーザーにより再生装置の電源OFFが指示された時や、光ディスクの取り出しが行われた時などであってもよい。もちろん、ハードディスク装置119への字幕情報の記憶の可否をユーザー問い合わせるような制御を行ってもよい。
【0110】
以下、図10に示したハードディスク装置119を有する再生装置で、再度光ディスクを再生した場合の動作を説明する。
【0111】
光ディスク101がセットされ、ユーザーにより再生操作が行われると、システム制御部114は、光ディスク101上に記録されているBCA領域の情報を読み取るよう、ドライブ制御部106へ指令を送る。ドライブ制御部106は、受信したBCA領域読み出し指令にしたがって、光ディスク上からBCA領域の情報を読み出す。BCA情報は、光ディスク101の内周部に特殊なレーザーを用いて書き込んだものであり、ディスク表面の反射率の強弱により情報を読み取ることが出来る。BCA領域には、数百ビット程度の情報を記録することが出来る。このBCA領域内に、ディスク内のコンテンツを示す数桁のディスク識別番号を含めておくことにより、光ディスクの識別を行えばよい。
【0112】
BCA領域から読み出されたディスク識別番号は、システム制御部114に送り返される。システム制御部114では、光ディスク101から読み出したディスク識別番号に対応した情報がハードディスク装置119内に記録されているかどうかを判断する。具体的には、ハードディスク装置119からファイル管理情報を読み出し、図12に示されたようなファイルの存在を認識する。システム制御部114は、BCAから読み出されたディスク識別番号に応じたディレクトリの存在を認識し、そのディレクトリ内に含まれるファイルを使用する。
【0113】
図12に示した例では、ディスク識別番号「4902888」に対応したファイルとして、日本語の字幕文字列ファイル1203と日本語のフォントデータファイル1204が含まれているので、ディスク識別番号「4902888」のディスクが挿入された際には
、日本語の字幕の表示が可能であると判断し、ユーザーに日本語字幕の表示が可能である旨のメッセージを表示、日本語字幕を使用するかどうかを選択させる。
【0114】
同様に、ディスク識別番号「5431069」には、日本語字幕と中国語字幕の情報が既にダウンロードされているので、ディスク識別番号「5431069」のディスクが挿入された場合には、日本語・中国語の字幕表示が可能である旨のメッセージを表示し、ユーザーに選択させる。
【0115】
仮に、ユーザーがハードディスク装置119内に記録されていない他の言語を要求する場合には、前述のようにネットワークへの接続を行い、他の言語の字幕情報をダウンロードすればよい。
【0116】
また、挿入された光ディスクに対応した字幕情報がハードディスク装置119内に記録されていない場合も、前述のように必要に応じてネットワークへの接続を行い、字幕情報をダウンロードする。
【0117】
以上のようにして、一旦ダウンロードを行った字幕情報をハードディスク装置119内に記憶しておくことにより、同じコンテンツを再生する際には、再度字幕情報をダウンロードする必要がなくなり、ネットワークへの接続を不要とすることが可能である。
【0118】
なお、図12に示したファイル構成では、光ディスク101の識別番号別に、字幕文字列情報とフォントデータをそれぞれ記憶しているが、これは限定されるものではない。例えば、フォントデータは、再生するタイトルが異なっても共用することが出来る。したがって、図13に示すようにフォントデータのみを別ディレクトリ内に記憶しておくことにより、同一のフォントデータを複数記憶する必要がなくなる。フォントを共用することにより、一旦ダウンロードしたフォントデータを他のタイトルでも使用できるので、フォントデータのダウンロード量も削減することが出来る。
【0119】
なお、図10に示した再生装置では、記憶装置としてハードディスク装置119を例に挙げて説明したが、これは限定されるものではない。例えば、ICカードのような取り外し可能な記憶媒体とすることにより、ユーザーはダウンロードした字幕情報を持ち運ぶことが出来る。これにより、例えばネットワーク接続機能のない再生装置や、他人の所有する再生装置でも、所望の字幕の表示が可能となる。
【符号の説明】
【0120】
101 光ディスク
102 光ピックアップ
103 再生信号処理回路
104 出力制御回路
105 サーボ部
106 ドライブ制御部
107 PCR検出部
108 音声デコーダ
109 音声出力端子
110 映像デコーダ
111 画像合成部
112 画像出力端子
113 字幕出力部
114 システム制御部
115 リモコン受信部
116 ネットワーク制御部
117 外部ネットワーク
118 メモリー
119 ハードディスク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォントデータを記憶する記憶手段と、
表示する字幕の文字コード情報を取得する取得手段と、
前記取得した文字コード情報に対応するフォントデータを前記記憶手段から読み取って字幕を生成する字幕生成手段と、を有し、
前記生成した字幕を表示しながら映像を再生する構成であることを特徴とする映像再生装置。
【請求項2】
請求項1記載の映像再生装置において、
前記文字コード情報を取得した後に前記映像の再生を行う構成であることを特徴とする映像再生装置。
【請求項3】
請求項1記載の映像再生装置において、
前記記憶手段に前記取得した文字コード情報に対応するフォントデータが記憶されていない場合には、前記記憶されていないフォントデータを前記取得手段により取得し、前記取得したフォントデータを前記記憶手段に記憶する構成であることを特徴とする映像再生装置。
【請求項4】
請求項3記載の映像再生装置において、
前記記憶されていないフォントデータを前記取得した文字コード情報の取得順に取得することを特徴とする映像再生装置。
【請求項5】
請求項4記載の映像再生装置において、
前記取得した文字コード情報に対応するフォントデータが所定数前記記憶手段に記憶された後に前記映像の再生を行う構成であることを特徴とする映像再生装置。
【請求項6】
請求項1乃至5記載の映像再生装置であって、
前記文字コード情報は表示開始時刻情報を含み、前記表示開始時刻情報に基づいて前記生成した字幕が表示されるように前記映像を再生することを特徴とする映像再生装置。
【請求項7】
請求項1乃至5記載の映像再生装置であって、
前記取得手段は、ネットワークを介して前記文字コード情報を取得することを特徴とする映像再生装置。
【請求項8】
請求項1乃至5記載の映像再生装置であって、
前記映像を記録媒体から再生する構成であり、
前記記憶手段は、前記取得した文字コード情報を前記記録媒体の識別情報と対応付けて記憶することを特徴とする映像再生装置。
【請求項9】
請求項3乃至6記載の映像再生装置であって、
前記取得手段は、ネットワークを介して前記記憶されていないフォントデータを取得することを特徴とする映像再生装置。
【請求項10】
請求項3乃至6記載の映像再生装置であって、
前記映像を記録媒体から再生する構成であり、
前記記憶手段は、前記取得したフォントデータを前記記録媒体の識別情報と対応付けて記憶することを特徴とする映像再生装置。
【請求項11】
表示する字幕の文字コード情報を取得し、
前記取得した文字コード情報に対応するフォントデータを前記記憶手段から読み取って字幕を生成し、
前記生成した字幕を表示しながら映像を再生することを特徴とする映像再生方法。
【請求項12】
請求項11記載の映像再生方法において、
前記文字コード情報を取得した後に前記映像の再生を行うことを特徴とする映像再生方法。
【請求項13】
請求項11記載の映像再生方法において、
前記記憶手段に前記取得した文字コード情報に対応するフォントデータが記憶されていない場合には、前記記憶されていないフォントデータを取得し、前記取得したフォントデータを前記記憶手段に記憶することを特徴とする映像再生方法。
【請求項14】
請求項13記載の映像再生方法において、
前記記憶されていないフォントデータを前記取得した文字コード情報の取得順に取得することを特徴とする映像再生方法。
【請求項15】
請求項14記載の映像再生方法において、
前記取得した文字コード情報に対応するフォントデータが所定数前記記憶手段に記憶された後に前記映像の再生を行うことを特徴とする映像再生方法。
【請求項16】
請求項11乃至15記載の映像再生方法であって、
前記文字コード情報は表示開始時刻情報を含み、前記表示開始時刻情報に基づいて前記生成した字幕が表示されるように前記映像を再生することを特徴とする映像再生方法。
【請求項17】
請求項11乃至15記載の映像再生方法であって、
ネットワークを介して前記文字コード情報を取得することを特徴とする映像再生方法。
【請求項18】
請求項11乃至15記載の映像再生方法であって、
前記映像を記録媒体から再生し、
前記取得した文字コード情報を前記記録媒体の識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶することを特徴とする映像再生方法。
【請求項19】
請求項13乃至16記載の映像再生方法であって、
ネットワークを介して前記記憶されていないフォントデータを取得することを特徴とする映像再生方法。
【請求項20】
請求項13乃至16記載の映像再生方法であって、
前記映像を記録媒体から再生し、
前記取得したフォントデータを前記記録媒体の識別情報と対応付けて前記記憶手段に記憶することを特徴とする映像再生方法。
【請求項21】
映像情報と、
前記映像情報に基づいて再生した映像上に表示する字幕の文字コード情報を取得するステップと、前記取得した文字コード情報に対応するフォントデータを取得するステップと
、を有するプログラムと、
を有することを特徴とする記録媒体。
【請求項22】
請求項11記載の記録媒体であって、
上記文字コード情報及びフォントデータを取得できる外部機器の位置情報を有していることを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−178344(P2010−178344A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23709(P2010−23709)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【分割の表示】特願2004−22464(P2004−22464)の分割
【原出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】