説明

映像再生装置

【課題】映像信号をフレーム圧縮した2次記憶媒体から再生する場合、2次記憶媒体の時間ばらつきを吸収するためのバッファとしてDRAM等の1次記憶媒体が設けられているが、再生速度を変更した場合は遅れとなり、応答性が悪くなる。
【解決手段】再生速度nが2<nであるときに、2次記憶媒体上のフレームデータのうちnフレーム毎にmフレーム(ただし、1<m≦n/2)の比率でフレームデータを読み出しておき、1次記憶媒体上のフレームデータのうちmフレーム毎に1フレームの比率で1次記憶媒体から読み出して出力するようにし、再生速度nでの再生中にn/m≦k<nとなる再生速度kに減速する際には、再生速度の減速前にすでに1次記憶媒体に読み込み済みのフレームデータに対しては、mフレーム毎にn/kフレームの比率で1次記憶媒体から読み出して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像データを可変速度で再生する、映像再生装置に関し、特に可変速再生中に再生速度を落とす際の再生制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の映像再生装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがあった。図6は、特許文献1に記載された従来の映像再生装置のブロック図である。図6において、ディスク記録装置101は、符号化された映像信号を記録している。バッファメモリ102は、ディスク記録装置101から読み込んだ映像信号を一時保管するために使用される。これはデコーダ103の処理の時間的ばらつきや、ディスク記録装置101からの読み込みの時間的ばらつきを吸収し、映像再生を連続させるために必要なバッファメモリである。デコーダ103は、符号化された映像信号を伸張してフレームメモリ104に書き込む。フレームメモリ104は複数フレーム分の映像信号を一時保管可能であり、映像の連続性を確保すると共に、低速(1倍速未満)再生時にはフレームメモリ104から同じフレームの映像信号を繰り返し再生する処理を実施する。一方、高速(1倍速よりも高速)再生時には、ディスク記録装置101から読み込む映像信号を飛び越しさせたり、フレームメモリ104内のデータを飛び越しさせたりして間引いて映像信号を再生することにより、高速再生を実現している。さらに、フレームメモリ104内の最後に出力したフレームの映像信号の近傍の映像信号をもデコードしてフレームメモリ内に保管しておくことにより、高速再生から1倍速再生へ移行する際の応答性を改善している。
【特許文献1】特開平10−341414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、高速再生から1倍速再生への移行時の改善はされているが、例えば32倍速等の高速再生からの減速に備えて前後の全フレームの映像信号を保管しておくためには大容量のバッファメモリが必要となり、非現実的であるという課題があった。
【0004】
本発明は上記課題に鑑み、再生速度変更に対する応答性の良い映像再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するため、本発明の映像再生装置は、再生速度nの入力を受け付ける入力部と、映像信号である複数のフレームデータを記録した2次記憶媒体と、前記2次記憶媒体から読み出したフレームデータを一時的に保管する1次記憶媒体と、前記再生速度nに応じて、前記2次記憶媒体から前記フレームデータを読み出して前記1次記憶媒体に保管させると共に前記1次記憶媒体から前記フレームデータを読み出して出力する制御部と、を備え、前記制御部は、前記再生速度nが1<nであるときに、前記2次記憶媒体上のフレームデータのうちnフレーム毎にmフレーム(ただし、1<m≦n/2)の比率でフレームデータを読み出しておき、前記1次記憶媒体上のフレームデータのうちmフレーム毎に1フレームの比率で前記1次記憶媒体から読み出して出力するようにし、前記再生速度nでの再生中にn/m≦k<nとなる再生速度kに減速する際には、再生速度の減速前にすでに前記1次記憶媒体に読み込み済みのフレームデータに対しては、mフレーム毎にn/kフレームの比率で前記1次記憶媒体から読み出して出力する構成とした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の映像再生装置によれば、高速再生から減速していく際の応答性を容易に高めることができるので、任意の再生速度変更について応答性の良い映像再生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0008】
図1は、本発明の実施の形態における映像再生装置のブロック図である。2次記憶媒体1は、HDDやフラッシュメモリのように、1次記録媒体2よりも低速で大容量の記録媒体で、映像信号をフレーム単位で圧縮したフレームデータが順番に記録されている。図2は、2次記憶媒体1上でのフレームデータが記録されている様子を示した図である。連続するフレームに時間順(1倍速時の再生順)に番号を付与しており、図2は、フレーム1からフレーム16までが順番に記録されていることを示している。HDDのシークやフラッシュメモリのリトライ等により2次記録媒体1からのフレームデータの読み出し速度は一定にならず、揺らいでいる。1次記憶媒体2は、DRAMやSRAMのように2次記録媒体1よりも高速かつ小容量の記録媒体で、2次記憶媒体1の読み出し時の時間揺らぎの吸収や、1倍速未満の低速再生時の繰り返し再生に使用される。制御部4は、1次記憶媒体において次に2次記憶媒体から読み出したフレームデータを書き込むべきアドレス(領域)と、次にデコーダ3に対して出力するために読み出すべきアドレス(領域)とを示すポインタを管理しており、各々書き込みおよび読み出しの処理を行う毎に適宜更新される。フレーム圧縮されたフレームデータは、1次記憶媒体2から1フレーム時間あたり1フレームが出力される。ここでの1フレーム時間は映像信号出力の映像フォーマット、特にフレームレートにより決まり、例えば映像信号出力のフレームレートが30フレーム/秒であれば、1フレーム時間は1/30秒である。1次記憶媒体2から出力されたフレームデータをデコーダ3で伸張することにより、映像信号出力を得る。すなわち、再生速度が変化しても、画像の繰り返しや飛び越しなどにより、映像がゆっくり再生されたり早く再生されたりしているように見えていて、デコーダ3は毎フレーム時間に1フレーム分の画像をデコードして出力しているだけである。
【0009】
外部コントローラ5は、人が操作して、1倍速再生・低速再生・高速再生いわゆる、プレイ・ジョグ・シャトル等の操作で映像の再生速度を決めている。外部コントローラ5からの指示は、ここでは何倍速で再生するかを示す再生速度とし、この再生速度は制御部4へ通知される。
【0010】
制御部4は、2次記憶媒体1から1次記憶媒体2への単位時間当たりのフレームデータ入力量の制御と、1次記憶媒体2からデコーダ3へどのフレームデータを出力するかを、外部コントローラ5から指示される再生速度に従って、制御する。
【0011】
図3は、1次記憶媒体における入出力データの状態を説明するための図である。図3を用いて、1次記憶媒体2の入出力データがどのように変化するかを説明する。図3は、再生速度が1/2倍速、1倍速、2倍速および4倍速の各々における、1次記憶媒体2に対して入出力されるフレームデータの様子を示している。数字は図2と同様、フレームデータに便宜上付与した番号である。また、「入力データ」および「出力データ」において各矩形は入力/出力される1フレームデータを示し、右から順にフレームデータが入力/出力されるものとする。また、「内部状態」において各矩形は一時記憶媒体2における1つのフレームデータを保管する領域を示している。
【0012】
「入力データ」は、2次記憶媒体1から読み込んで1次記憶媒体2に入力されるフレームデータを示している。「内部状態」は、1次記憶媒体2が一時保管しているフレームデータを示している。また、○の付いたフレームデータは高速再生時において、現在の再生速度で再生するときにデコーダ3に対して出力すべきフレームデータを示している。「出力データ」は、1次記憶媒体2からデコーダ3に出力されるフレームデータを示している。
【0013】
1倍速再生時、制御部4は、1次記憶媒体2からデコーダ3にフレームデータを出力し、これにより1次記憶媒体2に空きスペースができると、2次記憶媒体1から、順番に次の映像フレームデータを読み込む。1倍速の場合、1次記憶媒体2からは毎フレーム時間につき1フレームのデータをデコーダ3に出力させるので、毎フレーム時間につき1フレームのデータを2次記憶媒体1から読み込む。2次記憶媒体1からは、1フレーム時間内に1フレームのデータを読み出せるとは限らないので、例えば1フレーム時間内に読み出せない場合は、次の1フレーム時間にて、2フレームを順番に読み込む。再生時には毎フレーム時間、1次記憶媒体2からデコーダ3にフレームデータが出力され、デコーダ3はこのフレームデータを順次デコードして出力するので、映像としては途切れなく連続して1倍速で再生される。図3において1倍速再生時には、1次記憶媒体2に対する入力データは1,2,3,4となっており、これは連続するフレーム1〜4が順次入力されていることを示す。そして出力データも同様に1,2,3,4となっており、一時保管していたすべてのフレーム1〜4が順次出力されていることを示す。
【0014】
次に、例えば1/2倍速の場合、1次記憶媒体2から、まずフレーム1が出力され、次のフレーム時間においても再びフレーム1が出力される。3フレーム目にフレーム2が出力され、4フレーム目も再びフレーム2がデコーダ3に出力される。すなわち1次記憶媒体2に保管されたフレームデータを再生速度に応じて繰り返し出力することにより、映像データの低速再生を実現する。この場合、1次記憶媒体2には2フレーム時間につき1フレーム分の空きしかできないので、2フレーム時間に1回、2次記憶媒体1から1次記憶媒体2へ、次の再生順番の1フレームデータを読み込む。
【0015】
また、低速再生の範囲内で加減速を行う場合、すなわち再生速度n(単位:倍速、通常再生時の再生速度を1倍速、すなわちn=1とする)が0<n≦1の範囲で変化する場合は、1次記憶媒体2から出力するフレームデータの繰り返し回数を変化させればよい。すなわち、1次記憶媒体2に保管されているフレームデータ1フレームにつきn回繰り返して出力するような比率でフレームデータを出力すればよいので、低速再生の範囲内での再生速度の変更(加速、減速)は容易に実現できる。
【0016】
次に、例えば2倍速再生の場合、制御部4は、2次記憶媒体1から1次記憶媒体2へフレームデータを読み込む。このとき、2倍速再生に必要なフレーム数、すなわち2次記憶媒体1に記憶されている連続する2フレームにつき1フレームのみを読み込むのではなく、その倍の1フレーム毎にフレームデータを読み込む。図3においては、1次記憶媒体2に対する入力データは実際に2倍速再生で必要なフレーム2,4ではなく1,2,3,4となっており、これは連続するフレーム1〜4が順次入力されていることを示す。一方制御部4は、1次記憶媒体2から1フレームおきにフレームデータを出力する。図3においては、出力データは2,4,6,8となっており、1次記憶媒体2から1フレームおきに出力されていることを示す(フレーム6,8はこの図の入力データとしては表れていないが、2次記憶媒体1から1次記憶媒体2に順次フレーム5,6,7,8、…が入力されているものとする。以下同様。)。1次記憶媒体2は1フレーム時間毎に2フレーム分のデータを失うので、2次記憶媒体1からは1フレーム時間毎に、2フレーム分のデータを読み込む。
【0017】
次に、例えば4倍速再生の場合、制御部4は、2次記憶媒体1から1次記憶媒体2へフレームデータを読み込む。このとき、4倍速再生に必要なフレーム数、すなわち2次記憶媒体1に記憶されている連続する4フレームにつき1フレームのみを読み込むのではなく、その倍の2フレームにつき1フレームのみ、すなわち1フレームおきにフレームデータを読み込む。図3においては、1次記憶媒体2に対する入力データは実際に4倍速再生で必要なフレーム4,8,12,16ではなく2,4,6,8となっており、これは1フレームおきにフレームデータが順次入力されていることを示す。一方制御部4は、1次記憶媒体2から1フレームおきにフレームデータを出力する。図3においては、出力データは4,8,12,16となっており、1次記憶媒体2から1フレームおきに出力されていることを示す。1次記憶媒体2は1フレーム時間毎に2フレーム分のデータを失うので、2次記憶媒体1からは1フレーム時間毎に、1フレームおきの2フレーム分のデータを読み込む。その結果、デコーダ3は1フレーム時間毎に2次記憶媒体1に記憶されているフレームとして4フレーム毎のフレームデータをデコードするために、4倍速の映像が再生される。
【0018】
より一般化して説明すると、再生速度nが1<n≦2である場合には、1次記憶媒体2にはすべてのフレームを読み出しておき、そのうち指定された再生速度nでの再生に必要なフレームだけを読み出して再生するようにする。すなわち、1次記憶媒体2に保管された連続するnフレームにつき1フレームの比率でフレームデータを読み出して再生すればよい。
【0019】
また、再生速度nが2<nである場合には、1次記憶媒体2には再生速度nでの再生に必要なフレーム数の2倍のフレームを読み出しておき、そのうち指定された再生速度nでの再生に必要なフレームだけを1次記憶媒体2から読み出して再生するようにする。すなわち、1次記憶媒体2には2次記憶媒体1上の連続するnフレームにつき2フレームの比率でフレームデータを読み出しておき、1次記憶媒体2に保管された連続する2フレームにつき1フレームの比率でフレームデータを読み出して再生すればよい。
【0020】
なお、2倍速再生時の制御方法は、上記2<nの場合と同じ方法でもよい。すなわち、上記方法は、2≦nのときに適用可能である。
【0021】
なお、2次記憶媒体1から連続するnフレームにつき2フレームの比率でフレームデータを読み出す際には、均等の間隔で読み出すべきフレームデータを選択することが望ましい。例えば4倍速再生の場合、連続する4フレームから2フレームの比率でフレームデータを読み出すが、連続する2フレームを選択して読み出し、続く2フレームは読み出さないようにするのではなく、1フレームおきに2フレームを選択するほうがより自然な映像が再生できるので望ましい。
【0022】
図4は、制御部4が2次記憶媒体1から1次記憶媒体2へフレームデータを読み込む処理についてのフローチャートである。図4では、再生速度として2倍速以下、4倍速および8倍速に対応したときのフローチャートを示している。まず、1次記憶媒体2に、フレームデータを読み込むための空き領域があるかどうかを確認し(S401)、空きがなければ空きができるまで待機する。空きができれば、現在の再生速度が2倍速以下かどうかを確認し(S402)、2倍速以下であれば、1次記憶媒体2にすでに格納されているフレームデータに続くフレームデータを読み込む(S403)。再生速度が4倍速であれば(S404)、1次記憶媒体2にすでに格納されているフレームデータに対して2フレーム後のフレームデータを読み込む(S405)。この結果、1次記憶媒体2には、1フレームおきにフレームデータが格納されることになる。また、再生速度が8倍速であれば(S406)、1次記憶媒体2にすでに格納されているフレームデータに対して4フレーム後のフレームデータを読み込む(S407)。この結果、1次記憶媒体2には、4フレーム毎にフレームデータが格納されることになる。
【0023】
図5は、制御部4が1次記憶媒体2からフレームデータを読み出してデコーダ3に出力する処理についてのフローチャートである。制御部4は、1フレーム時間毎の再生タイミングであるかどうかを確認し(S501)、再生タイミングであれば、1次記憶媒体2の次に読み出すべきアドレスのフレームデータを読み出してデコーダ3に対して出力する(S502)。
【0024】
次に、現在の再生速度nを確認する(S503)。再生速度に応じて次に1次記憶媒体2から読み出すべきフレームデータが変わるので、1次記憶媒体2のフレームデータを廃棄する数を制御して次回の読み出し時に読み出すフレームデータが適切なものとなるようにする。
【0025】
再生速度nが0<n<1、すなわち低速再生であるときには次の処理を行う。低速再生時には、nに応じて1次記憶媒体2上の同じフレームデータを繰り返し読み出す必要がある(読み出すステップはS502である)。例えばn=0.5(1/2倍速)の場合には、各フレームデータを2回ずつ繰り返して読み出すことになる。同じフレームデータを何回繰り返して読み出すかについては、例えば以下のような方法ととることができる。すなわち、制御部4において1次記憶媒体2からフレームデータを読み出す毎に1増加するカウンタtを用意し、t×nの整数部が(t−1)×nの整数部と同じである間は繰り返し回数に達していない、整数部が異なるときに繰り返し回数に達したと判断し(S504)、繰り返し回数に達したら、S502にて読み出したフレームデータを廃棄し(S505)、次回は次のフレームデータを読み出すようにする。繰り返し回数に達していないときにはS502にて読み出したフレームデータを1次記憶媒体2に残した状態でS501に戻る。
【0026】
再生速度nがn=1、すなわち1倍速再生であるときには次の処理を行う。1倍速再生時には、各フレームデータを1回ずつ読み出せばよい。したがって、S502で読み出したフレームデータを廃棄して(S506)、S501に戻る。
【0027】
再生速度nがn>1、すなわち高速再生であるときには次の処理を行う。高速再生時には、1次記憶媒体2上には、再生速度nでの再生に必要な数以上のフレームデータが保管されているため、これらを必要に応じて飛び越して読み出す必要がある。まずS502で読み出したフレームデータを廃棄して(S507)、次のフレームデータも飛び越すかどうかを判断し(S508)、飛び越す場合にはその次のフレームデータも廃棄して(S509)、S501に戻る。飛び越さない場合はそのままS501に戻る。飛び越すかどうかの判断は、例えば次のような方法を取ることができる。すなわち、再生速度nが1<n≦2である場合には、1次記憶媒体2に保管された連続するnフレームにつき1フレームの比率でフレームデータを読み出せばよいので、t/nの整数部が(t−1)/nの整数部と同じであるときには飛び越すようにする。また、再生速度nがn>2である場合には、1次記憶媒体2に保管された連続する2フレームにつき1フレームの比率でフレームデータを読み出せばよいので、tが偶数(または奇数)であるときに飛び越すようにすればよい。
【0028】
次に、高速再生時に再生速度nを変化させる場合について説明する。
【0029】
まず一例として、2倍速再生時において4倍速に加速する場合について説明する。外部コントローラ5から再生速度として4倍速が指定された時点では、1次記憶媒体2には2倍速再生を想定してフレームデータが読み込まれている。そこで、再生速度の変更直後には1次記憶媒体2に保管されているフレームデータを飛び越して、すなわち2倍速時には1フレームおきに読み出していたものを4フレーム毎に読み出してデコーダ3に出力すればよい。このようにするため、外部コントローラ5の指示に対しての応答性は良い。なお、外部コントローラ5から4倍速の指示があった直後より、制御部4は2次記憶媒体1からのフレームデータの読み出しを4倍速再生時の処理に変更するため、2倍速再生時に読み込んだフレームデータをすべてデコーダ3に出力完了後、4倍速再生の定常状態に移行する。したがって、その後、8倍速等に順次加速していくこともできる。
【0030】
このように再生速度nが1<nのときに加速、すなわち再生速度nを大きくする場合、再生速度の変更直後には1次記憶媒体2に保管されているフレームデータを通常(1フレームおき)よりもさらに飛び越して読み出すことにより、順次加速していくことができる。なお、応答性よく一度に加速できる範囲は、主に1次記憶媒体2の容量と2次記憶媒体1から1次記憶媒体2への読み込み速度とに依存する。
【0031】
次に、例として2倍速再生時において1倍速に減速する場合について説明する。再生速度nが1<n≦2である場合には、1次記憶媒体2にはすべてのフレームを読み出してあるため、すべてのフレームを読み出して再生すれば、瞬時に1倍速再生に移行できる。
【0032】
このように、再生速度nが1<n≦2のときには、2次記憶媒体1上のフレームデータをすべて読み出しておく。これと並行して、1フレーム時間毎に、1次記憶媒体2上のフレームデータのうち、nフレーム毎に1フレームの比率で1次記憶媒体2から読み出してデコーダ3に出力するようにする。このようにして再生速度n(1<n≦2)にて高速再生中に、1≦k<nとなるような再生速度kに減速する際には、再生速度の減速前にすでに1次記憶媒体2に読み込み済みのフレームデータに対しては、kフレーム毎に1フレームの比率で1次記憶媒体2から読み出して出力する。
【0033】
次に例として4倍速再生時において2倍速に減速する場合について説明する。外部コントローラ5から再生速度として2倍速が指定された時点では、1次記憶媒体2には4倍速再生時の説明の通り、1フレームおきにフレームデータが読み込まれている。そこで、再生速度の減速前にすでに1次記憶媒体2に読み込み済みのフレームデータに対しては、1次記憶媒体2に保管されているフレーム2,4,6,8をすべて読み出してデコーダ3に出力すればよい。このようにするため、外部コントローラ5の指示に対しての応答性は良い。なお、外部コントローラ5から2倍速の指示があった直後より、制御部4は2次記憶媒体1からのフレームデータの読み出しを2倍速再生時の処理に変更するため、4倍速再生時に読み込んだフレームデータをすべてデコーダ3に出力完了後、2倍速再生の定常状態に移行する。したがって、その後、さらに1倍速等に順次減速していくこともできる。
【0034】
このように再生速度nが2<nのときに減速、すなわち再生速度nを小さくする場合、再生速度の変更直後には1次記憶媒体2に保管されているフレームデータを通常(1フレームおき)よりも細かく読み出すことにより、順次減速していくことができる。なお、本実施の形態では1次記憶媒体2には再生速度nでの再生に必要なフレーム数の2倍のフレームを読み出しておく構成としたために、応答性よく一度に減速できる範囲は元の再生速度に対して1/2倍まで(例えば、4倍速再生時には2倍速にまで減速可能)となるが、高速再生時に2次記憶媒体1から1次記憶媒体2に読み出すフレームデータを、指定された再生速度nでの再生に必要なフレーム数(nフレーム毎に1フレーム)のm倍のフレームを読み出しておけば、元の再生速度に対して1/m倍までの再生に対応できる。
【0035】
上記構成を一般化すると、次のようになる。再生速度nが2<nであるときには、2次記憶媒体1上のフレームデータのうちnフレーム毎にmフレーム(ただし、1<m≦n/2とする)の比率でフレームデータを読み出しておく。これと並行して、1フレーム時間毎に、1次記憶媒体2上のフレームデータのうち、mフレーム毎に1フレームの比率で1次記憶媒体2から読み出してデコーダ3に出力するようにする。このように再生速度nにて高速再生中に、n/m≦k<nとなるような再生速度kに減速する際には、再生速度の減速前にすでに1次記憶媒体2に読み込み済みのフレームデータに対しては、mフレーム毎にn/kフレームの比率で1次記憶媒体2から読み出して出力する。
【0036】
なお、mの値としては、2<n<4のときにはm=n/2とすることができる。こうすることで、再生速度が2倍速より高く4倍速未満の場合には、まず2倍速まで減速可能となる。一旦2倍速まで減速した後で下記のように2倍速再生時の制御を行うことにより、そこから必要に応じてさらに2倍速以下の所望の再生速度まで減速することが出来る。また、4≦nのときにはm=2とすることができる。こうすることで、再生速度が4倍速以上の場合には、まず現在の再生速度の半分の再生速度(現在8倍速再生しているのであれば4倍速)まで減速した後で減速後の再生速度での制御を同様に行うことにより、そこから必要に応じてさらに減速することが出来る。
【0037】
以上のように、再生速度nが2<nのときに上記のような制御を行うことにより、大容量の1次記憶媒体2を必要とせずに、再生速度の減速に応答よく対応することが可能となる。特に、再生速度nが1<n≦2のときにすべてのフレームデータを1次記憶媒体2に読み出しておく制御を行うようにすることで、2倍速以下のときには1倍速以下も含めたそれ以下の任意の再生速度に瞬時に減速することも可能となる。
【0038】
なお、本実施の形態では、再生速度nが1<n≦2である場合には、1次記憶媒体2にはすべてのフレームを読み出しておき、そのうち指定された再生速度nでの再生に必要なフレームだけを読み出して再生する構成を示したが、この範囲においても上記一般化した構成を適用してもよい。すなわち、再生速度nが1<nであるときには、2次記憶媒体1上のフレームデータのうちnフレーム毎にmフレーム(ただし、1<m<nとする)の比率でフレームデータを読み出しておく。以下同様にすることで、n/m≦k<nとなるような再生速度kにまで減速することが可能な構成とすることができる。
【0039】
以上説明したように、1次記憶媒体2に、高速再生時における減速のため、現在の再生速度での再生に必要な量以上のフレームデータを充填する機能を制御部4にもたせることにより、高速再生からの減速時にも応答性の良い映像再生装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の映像再生装置は、高速再生から減速するときに1次記憶媒体に保管されたフレームデータをデコーダに出力することで瞬時に対応できるので、速度変更の高い応答性が必要とされる映像再生装置等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態1におけるブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における2次記憶媒体のフレームデータを示す図
【図3】本発明の実施の形態1における1次記憶媒体の入出力データ/状態説明図
【図4】本発明の実施の形態1における1次記憶媒体の出力フローチャート
【図5】本発明の実施の形態1における1次記憶媒体の入力フローチャート
【図6】従来の映像信号再生装置のブロック図
【符号の説明】
【0042】
1 2次記憶媒体
2 1次記憶媒体
3 デコーダ
4 制御部
5 外部コントローラ
101 ディスク記録装置
102 バッファメモリ
103 デコーダ
104 フレームメモリ
105 内部コントローラ
106 外部コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生速度nの入力を受け付ける入力部と、
映像信号である複数のフレームデータを記録した2次記憶媒体と、
前記2次記憶媒体から読み出したフレームデータを一時的に保管する1次記憶媒体と、
前記再生速度nに応じて、前記2次記憶媒体から前記フレームデータを読み出して前記1次記憶媒体に保管させると共に前記1次記憶媒体から前記フレームデータを読み出して出力する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記再生速度nが2<nであるときに、前記2次記憶媒体上のフレームデータのうちnフレーム毎にmフレーム(ただし、1<m≦n/2)の比率でフレームデータを読み出しておき、前記1次記憶媒体上のフレームデータのうちmフレーム毎に1フレームの比率で前記1次記憶媒体から読み出して出力するようにし、前記再生速度nでの再生中にn/m≦k<nとなる再生速度kに減速する際には、再生速度の減速前にすでに前記1次記憶媒体に読み込み済みのフレームデータに対しては、mフレーム毎にn/kフレームの比率で前記1次記憶媒体から読み出して出力する、
映像再生装置。
【請求項2】
再生速度nの入力を受け付ける入力部と、
映像信号である複数のフレームデータを記録した2次記憶媒体と、
前記2次記憶媒体から読み出したフレームデータを一時的に保管する1次記憶媒体と、
前記再生速度nに応じて、前記2次記憶媒体から前記フレームデータを読み出して前記1次記憶媒体に保管させると共に前記1次記憶媒体から前記フレームデータを読み出して出力する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記再生速度nが1<nであるときに、前記2次記憶媒体上のフレームデータのうちnフレーム毎にmフレーム(ただし、1<m<n)の比率でフレームデータを読み出しておき、前記1次記憶媒体上のフレームデータのうちmフレーム毎に1フレームの比率で前記1次記憶媒体から読み出して出力するようにし、前記再生速度nでの再生中にn/m≦k<nとなる再生速度kに減速する際には、再生速度の減速前にすでに前記1次記憶媒体に読み込み済みのフレームデータに対しては、mフレーム毎にn/kフレームの比率で前記1次記憶媒体から読み出して出力する、
映像再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−28329(P2010−28329A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185547(P2008−185547)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】