説明

映像処理装置、映像処理方法

【課題】3D表示の品質を損なうことなくフレームレートを高める映像処理装置を提供する。
【解決手段】映像処理装置は、互いに異なる複数の視点に対応する画素が混在する画像を含む第1映像信号から、第1映像信号よりも高いフレームレートの第2映像信号を生成する映像処理装置であって、前記複数の視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出す視点制御部120と、前記視点制御部によって取り出された視点毎の画素データから、前記複数の視点毎に補間用画素データを生成することによって、補間画像を生成する画像生成部130とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに異なる複数の視点に対応する画素が混在する画像を含む第1映像信号から、補間画像を生成する映像処理装置および映像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ受像機に用いられる表示部はフラットパネルディスプレイが一般的となり、中でも液晶パネルの占める割合が非常に大規模となっている。その中でも液晶パネルの動画応答性の低さを補って、高画質を実現できる倍速駆動液晶テレビの比率が増加してきている。倍速駆動では、元の映像信号のフレームレートに対して表示フレームレートは2倍になる。
【0003】
一方、次世代テレビとして、3D(立体視)テレビが注目を浴びており、様々な方式が提案されている。立体表示の方式に関しては、1チャンネルの映像を用いて立体表示する方式(例えば、液晶シャッタで開閉する眼鏡を用いたCRT方式の立体表示)や、2チャンネルの映像を用いて立体表示する方式(例えば、プロジェクタ2台を用いた立体表示)等、各種の立体表示方式がある。例えば特許文献1には、複数の放送方式に対応することができ、かつ立体表示においては、ユーザが指定する立体表示方式で再生表示するデジタル放送受信機を開示している。
【0004】
また、フラットパネルディスプレイの場合、上記の液晶シャッタで開閉する眼鏡を用いる方式の他に、左目と右目とに異なる角度の偏光板を備える眼鏡を用いる方式もある。この場合、フラットパネルディスプレイの全表示画素は、左目用画素と右目用画素と均等に分けられ、左目用画素と右目用画素とに異なる角度の偏光板が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−257526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、人の左目と右目の視差を生じさせる3Dフォーマットの映像信号から補間画像を生成すると画質劣化が生じる得るという問題がある。一般に、二次元映像の補間画像の生成では、例えば前後2枚のフレームの動きベクトルを利用して、フレーム画像を補間する。ところが、左目用画素と右目用画素とを1フレーム内に混在させる3Dフォーマットでは、動きベクトルを正確に検出できず、画質劣化が生じ得る。
【0007】
図9Aは、チェッカーフォーマットと呼ばれる3Dフォーマットの説明図である。この3Dフォーマットの画素配列では、左目用画素(図の白で表した画素)と右目用画素(図の黒で表した画素)とが行方向および列方向に交互に配置される。立体物を表す左目用画素と右目用画素とには、視差を生じさせるために対応する左目用画素と右目用画素の位置にずらし量(オフセットとも呼ぶ)が与えられる。このずらし量を与えられた左目用画素と右目用画素とが隣接して混在のため、このフォーマット上の立体物はずれて2つの画像がずれて重なった二次元画像になる。それゆえ、従来の動きベクトル検出処理では動きベクトルを正確に検出することができない。
【0008】
図9Bは、ラインシーケンシャルフォーマットと呼ばれる3Dフォーマットの説明図である。この3Dフォーマットでは、左目用画素(図の白塗りの画素)と右目用画素(図の黒塗りの画素)とが列方向にのみ交互に配置される。この3Dフォーマットにおいても上記と同じ理由により従来の動きベクトル検出処理では動きベクトルを正確に検出することができず、画質劣化が生じ得る。
【0009】
このような画質劣化は、動きベクトルを用いた補間画像の生成に限らず、例えば図9Aのフォーマットに対して線形補間により補間画像を生成した場合でも起こり得る。
【0010】
本発明は、3D表示の品質を損なうことなく補間画像を生成する映像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明の一面における映像処理装置は、互いに異なる複数の視点に対応する画素が混在する画像を含む第1映像信号から補間画像を生成する映像処理装置であって、前記複数の視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出す視点制御部と、前記視点制御部によって取り出された視点毎の画素データから、前記複数の視点毎に補間用画素データを生成することによって、補間画像を生成する画像生成部とを備える。
【0012】
この構成によれば、視点制御部は、視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、画像生成部は、視点毎に取り出された画素データから、視点毎に補間用画素データを生成し、さらに補間画像生成する。このように視点毎に独立して補間画像を生成するので、視点間の視差に対応するずらし量の影響を受けることなく補願画像を生成するので、3D画像の品質を損なうことを防止することができる。
【0013】
ここで、前記画像生成部は、前記補間画像を含み、表示パネルの画素配列に対応した、前記複数の視点に対応する画素データから成る第2映像信号を生成し、前記視点制御部は、第2映像信号における画素配列に対応するように、前記複数の視点毎に前記第1映像信号の画素を前記複数の視点毎に取り出すようにしてもよい。
【0014】
この構成よれば、補間画像の生成を3D画像の品質を損なうことなく行うことができさらに、第1映像信号の画素配列と第2映像信号の画素配列とが異なっている場合には、前者の画素配列から後者の画素配列への変換(フォーマット変換)を効率よく行うことができる。
【0015】
ここで、前記視点制御部は、第1映像信号の画素配置における画素アドレスと、第2映像信号の画素配置における画素アドレスとを対応付けることで、前記第1映像信号から前記第2映像信号の画素配列における画素アドレスに応じて前記複数の視点毎に画素を取り出すようにしてもよい。
【0016】
この構成よれば、第1映像信号の画素配列を第2映像信号の画素配列に変換するフォーマット変換を、前記視点制御部による画素アドレスの対応付けにより高速に実現できる。しかも、第2映像信号の画像を記憶するメモリは、フォーマット変換前の画像とフォーマット変換後の画像を二重に記憶する必要がないので、フォーマット変換に要する記憶領域を最小限に抑えることができ、コストを低減することができる。
【0017】
ここで、前記映像処理装置は、さらに、前記視点制御部によって取り出された視点毎の画素データから、前記複数の視点毎に画像の動き情報を検出する動き情報検出部を備え、前記画像生成部は、前記視点毎の動き情報を用いて前記複数の視点毎に補間用画素データを生成することによって前記複数の視点毎に補間画像を生成するようにしてもよい。
【0018】
この構成よれば、動き情報を精度を良く検出することができ、補間画像ひいては3D画像の品質を損なうことなく補間画像を生成することができる。
【0019】
ここで、前記視点制御部は、前記複数の視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、前記画像生成部に供給する第1視点制御部と、前記複数の視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、前記動き情報検出部に供給する第2視点制御部とを備えるようにしてもよい。
【0020】
この構成よれば、動き検出部による動き検出と画像生成部による画像生成とをパイプライン化することが可能であり、より高いフレームレート化に適している。例えば、2倍速より高いフレームレートへの変換や、フィルム映像を表示パネルのフレームレートに変換するのに適している。
【0021】
ここで、前記映像処理装置は、前記第1映像信号中の1フレーム以上の画像を一時的に記憶する画像記憶部を備え、前記視点制御部は、前記複数の視点毎に、前記画像記憶部から当該視点に対応する画素データを取り出し、前記画像生成部に供給するようにしてもよい。
【0022】
この構成よれば、第1映像信号の画素配列を第2映像信号の画素配列に変換するフォーマット変換を3D画像の品質を損なうことなく行うことができる。
【0023】
ここで、前記映像処理装置は、前記第1映像信号を一時的に記憶する画像記憶部を備え、前記画像記憶部は、前記第1映像信号中の1フレーム以上の画像を記憶し、前記第1視点制御部は、前記複数の視点毎に、前記画像記憶部から当該視点に対応する画素データを取り出し、前記画像生成部に供給し、前記第2視点制御部は、前記複数の視点毎に、前記画像記憶部から当該視点に対応する画素データを取り出し、前記動き情報検出部に供給するようにしてもよい。
【0024】
この構成よれば、動き検出部による動き検出と画像生成部による画像生成とをパイプライン化することが可能である。例えば、2倍速より高いフレームレートへの変換や、フィルム映像から表示パネルのフレームレートに変換するのに適しており、かつ高速化に適している。
【0025】
ここで、前記第1視点制御部は、第1映像信号の画素配置における画素アドレスと、第2映像信号の画素配置における画素アドレスとを対応付けることで、前記第1映像信号から、前記第2映像信号の画素配列における画素アドレスに応じて前記複数の視点毎に画素を取り出すようにしてもよい。
【0026】
この構成よれば、第1映像信号の画素配列を第2映像信号の画素配列に変換するフォーマット変換を、画像記憶部の領域をアドレス変換により高速に実現できる。しかも、画像記憶部は、フォーマット変換前の画像とフォーマット変換後の画像を二重に記憶する必要がないので、フォーマット変換に要する記憶領域を最小限に抑えることができ、コストを低減することができる。
【0027】
ここで、前記画像生成部は、前記視点制御部によって取り出された視点毎の画素データに対して(a)動き情報を用いた補間、(b)線形補間、および(c)フレームのコピーによる補間のうち少なくとも1つを用いて、前記補間画像を生成するようにしてもよい。
【0028】
この構成によれば、(b)補間画像を線形補間により生成する場合には、補間画像生成の処理量および処理負荷を軽くすることができ、ハードウェア規模を小さくすることができる。(c)補間画像をコピーにより生成する場合には、補間画像生成の処理量および処理負荷を大きく低減し、ハードウェア規模を増加することなく補間画像の生成を実現することができる。また、(a)〜(c)の1つ以上を組み合わせて補間することにより、処理量および処理速度に対して柔軟に対応することができる。
【0029】
ここで、前記画像生成部は、前記第1映像信号の画像間に、前記補間画像を挿入することにより、前記第1前記第2映像信号を生成し、前記第2映像信号のフレームレートは、前記第1映像信号のフレームレートより高くてもよい。
【0030】
ここで、前記第2映像信号のフレームレートは、前記第1映像信号のフレームレートの2倍または4倍であってもよい。
【0031】
この構成によれば、フレームレートのn倍速変換(例えば2倍速変換、4倍速変換)を実現することができる。
【0032】
ここで、前記第1映像信号は映画フィルムに対応するフレームレートを有し、前記第2映像信号はテレビ放送または表示パネルに対応するフレームレートであってもよい。
【0033】
この構成によれば、映画フィルムの映像信号を表示パネルのフレームレートに変換するのに適している。
【0034】
ここで、前記第1映像信号はPAL(Phase Alternation by Line)テレビ放送に対応するフレームレートを有し、前記第2映像信号はNTSC(National Television System Committee)テレビ放送に対応するフレームレートであってもよい。
【0035】
この構成によれば、PAL映像信号をNTSC映像信号に変換することができる。
ここで、前記画像生成部は、前記第1映像信号の一部の画像と、前記補間画像とを含む前記第2映像信号を生成し、前記第2映像信号のフレームレートは、前記第1映像信号のフレームレート以下であってもよい。
【0036】
この構成によれば、第1映像信号の低フレームレート化、または同じフレームレートでフレームを補間画像に置き換えることができる。
【0037】
ここで、前記第1映像信号はNTSC(National Television System Committee)テレビ放送に対応するフレームレートを有し、前記第2映像信号はPAL(Phase Alternation by Line)テレビ放送に対応するフレームレートであってもよい。
【0038】
この構成によれば、NTSC映像信号をPAL映像信号に変換することができる。
ここで、前記画像生成部は、前記補間画像を含む第2映像信号を生成し、前記第2映像信号は第1映像信号と同じフレームレートであり、前記画像生成部は、第1映像信号中の画像の一部を前記補間画像に置き換えることによって前記第2映像信号を生成してもよい。
【0039】
この構成によれば、例えば、コピーにより2:3プルダウン変換された第1映像信号に対して、動きベクトルを用いた補間画像によるデジャダーをすることができ、第2映像信号の動きを第1映像信号よりも滑らかにすることができる。
【0040】
また、本発明の一面における映像処理方法は、少なくとも第1の視点と第2の視点とを含む互いに異なる複数の視点に対応する画素が混在する画像を含む第1映像信号から、補間画像を生成する映像処理方法であって、前記第1映像信号から前記第1の視点に対応する画素データを取り出すステップと、取り出された第1の視点の画素データから、前記第1の視点に対応する補間用画素データを生成するステップと、前記第1映像信号から前記第2の視点に対応する画素データを取り出すステップと、取り出された第2の視点の画素データから、前記第2の視点に対応する補間用画素データを生成するステップと、前記第1の視点に対応する補間用画素データおよび前記第2の視点に対応する補間用画素データとから補間画像を生成するステップとを有する。
【0041】
この構成によれば、視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、視点毎に取り出された画素データから、視点毎に補間用画素データを生成し、さらに補間画像を生成する。このように視点毎に独立して補間画像を生成するので、視点間のずらし量(またはずらし量)の影響を受けないので、3D画像の品質を損なうことなく補間画像を生成することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の映像処理装置によれば、視点間のずらし量の影響を受けることなく補願画像を生成するので、3D画像の品質を損なうことなく補間画像を生成することができる。
【0043】
また、高フレーム化と、第1映像信号の画素配列から表示パネルの画素配列への変換との両者を3D画像の品質を損なうことなく行うことができる。
【0044】
さらに、第1映像信号の画素配列を第2映像信号の画素配列に変換するフォーマット変換を、画像記憶部の領域をアドレス変換により高速に実現できる。
【0045】
また、フォーマット変換前の画像とフォーマット変換後の画像を二重に記憶する必要がないので、フォーマット変換に要する記憶領域を最小限に抑えることができ、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施の形態1における映像処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2A】実施の形態1におけるチェッカーフォーマットの説明図である。
【図2B】実施の形態1における他のチェッカーフォーマットの説明図である。
【図2C】実施の形態1におけるラインシーケンシャルフォーマットの説明図である。
【図2D】実施の形態1における他のラインシーケンシャルフォーマットの説明図である。
【図2E】実施の形態1における垂直インタリーブフォーマットの説明図である。
【図2F】実施の形態1における他の垂直インタリーブフォーマットの説明図である。
【図3A】実施の形態1におけるサイドバイサイドフォーマット(フルレート)の説明図である。
【図3B】実施の形態1におけるサイドバイサイドフォーマット(ハーフレート)の説明図である。
【図3C】実施の形態1におけるフレームシーケンシャルフォーマット(インタレース)の説明図である。
【図3D】実施の形態1におけるフレームシーケンシャルフォーマット(プログレッシブ)の説明図である。
【図4】実施の形態2における映像処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態2における映像処理装置の主要部の変形例を示すブロック図である。
【図6】実施の形態3における映像処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【図7A】フレームコピーによる2:3プルダウン変換を示す説明図である。
【図7B】実施の形態3における動き補償補間によるデジャダー処理を示す説明図である。
【図8A】実施の形態3における動き補償補間によるPALからNTSCへの変換を示す説明図である。
【図8B】実施の形態3における動き補償補間によるNTSCからPALへの変換を示す説明図である。
【図8C】第1映像信号を同じフレームレートの第2映像信号を生成する処理を示す説明図である。
【図9A】チェッカーフォーマットと呼ばれる3Dフォーマットの説明図である。
【図9B】ラインシーケンシャルフォーマットと呼ばれる3Dフォーマットの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
(実施の形態1)
互いに異なる複数の視点に対応する画素が混在する画像を含む第1映像信号から、第1映像信号よりも高いフレームレートの第2映像信号を生成する映像処理装置であって、視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、視点毎に取り出された画素データから、視点毎に補間用画素データを生成し、さらに補間画像生成する構成について説明する。このように視点毎に独立して補間画像を生成するので、視点間のずらし量(またはずらし量)の影響を受けないので、3D画像の品質を損なうことなく高フレームレート化を可能にすることができる。画像生成部130は、第1補間部31、第2補間部32、・・・第n補間部3nと、出力制御部131とを備える。
【0048】
図1は、実施の形態1における映像処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。この映像処理装置は、例えば液晶表示パネル、プラズマ表示パネル、有機EL表示パネルなどのフラットパネルディスプレイを有するデジタルテレビであって、同図では、本発明に関連する主要部の構成を示している。同図のように映像処理装置は、1F遅延部110、視点制御部120、画像生成部130を備える。
【0049】
1F遅延部110は、入力される第1映像信号を1フレーム時間遅延させる遅延バッファであり、第1映像信号の現在入力されている画像よりも1フレーム時間前の画像を記憶する。ここで、第1映像信号は、互いに異なる複数の視点に対応する画素が混在する画像からなる映像信号である。複数の視点は2つ以上である。複数の視点が2つの場合の第1映像信号の画素配列を示す具体的なフォーマットを図2A〜図2F、図3A〜図3Dに例示する。
【0050】
図2Aおよび図2Bは、チェッカーフォーマットの説明図である。左目用画素および右目用画素は、行方向および列方向に交互に並ぶように配置されている。図2Aと図2Bとでは、画素の重心位置が異なっている。
【0051】
図2Cおよび図2Dは、ラインシーケンシャルフォーマットの説明図である。左目用画素および右目用画素は、列方向にのみ交互に並ぶように配置されている。図2Cと図2Dとでは、画素の重心位置が異なっている。
【0052】
図2Eおよび図2Fは、垂直インタリーブフォーマットの説明図である。左目用画素および右目用画素は、行方向にのみ交互に並ぶように配置されている。図2Eと図2Fとでは、画素の重心位置が異なっている。
【0053】
図3Aおよび図3Bは、サイドバイサイドフォーマットの説明図である。左目用画素と右目用画素とは、画像の左半分と右半分とに分けられている。図3Aと3Bとでは、フルレートであるハーフレートであるかで異なっている。
【0054】
図3Cおよび図3Dは、フレームシーケンシャルフォーマットの説明図である。図3Cと図3Dとでは、インタレースかプログレッシブかで異なっている。
【0055】
視点制御部120は、複数の視点毎に、第1映像信号の現在入力されている画像および1F遅延部110に保持された画像から当該視点に対応する画素データを取り出す。
【0056】
画像生成部130は、視点制御部によって取り出された視点毎の画素データから、前記複数の視点毎に補間用画素データを生成することによって、補間画像を生成する。画像生成部130は、第1映像信号にフレーム間補間することによって、第2映像信号を生成する。
【0057】
そのため、画像生成部130は、第1補間部31、第2補間部32、・・・、第n補間部3n、出力制御部131を備える構成としてもよい。nは2以上の視点の数であり、第1映像信号の複数の視点の数以上であればよい。以下便宜上、複数の視点を第1の視点、第2の視点、・・・第nの視点と呼ぶ。n=2の場合は、第1の視点および第2の視点は左目用画像および右目用画像にそれぞれ対応する。なお、第1補間部31〜第n補間部3nは、図1ではn個の別個のブロックとして記載しているが、1個の補間部を設けて時分割でn回処理する構成としてもよい。補間部を1個備える構成では、回路規模を低減することができる。逆にn個の補間部を備える構成では、並列動作により高速化することができる。
【0058】
第1補間部31は、視点制御部120によって取り出された第1の視点の画素データを生成する。補間画素データは、フレーム補間用である。第2補間部32、第n補間部3nも、視点が異なる点以外は、第1補間部31と同じなので説明を省略する。
【0059】
出力制御部131は、表示パネルの動作タイミング(垂直同期、水平同期など)に合わせて第2映像信号を出力する。
【0060】
以上説明してきたように、実施の形態1における視点制御部120は、視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、画像生成部130は、視点毎に取り出された画素データから、視点毎に補間用画素データを生成し、さらに補間画像生成する。このように視点毎に独立して補間画像を生成するので、視点間のずらし量(またはずらし量)の影響を受けないので、3D画像の品質を損なうことなく高フレームレート化を可能にすることができる。
【0061】
なお、第1補間部31〜第n補間部3nは、フレーム補間の方法として、動きベクトルを検出し、動きベクトルを用いた動き補償補間や、線形補間など用いることができる。
【0062】
また、画像生成部130は、フレーム補間に加えて、必要に応じて第1映像信号の元の画像に対してフレーム内補間をしてもよい。また、画像生成部130は、フレーム補間に加えて、必要に応じて第2映像信号の補間フレームに対してフレーム内補間をしてもよい。フレーム内補間をすることにより、第2映像信号のフォーマットが第1映像信号と異なっている場合でも、フォーマット変換を容易にする。
【0063】
(実施の形態2)
本実施の形態では、第1映像信号の視点毎の画素データから、複数の視点毎に画像の動き情報を検出し、視点毎の動き情報を用いて、複数の視点毎に補間用画素データを生成する映像処理装置について説明する。
【0064】
加えて、第2映像信号における複数の視点に対応する画素配列(第2フォーマット)が、第1映像信号における複数の視点に対応する画素配列(第1フォーマット)と異なっている場合に、画素配列を変換する映像処理装置について説明する。第1フォーマットの具体例は、図2A〜2F、3A〜3Dに示した何れかでもよい。第2フォーマットは、各表示画素上に偏光板を備える表示パネルに対応する第2映像信号の場合、図2C〜図2Fの何れかでもよい。
【0065】
図4は、実施の形態2における映像処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。同図の映像処理装置は、図1と比較して、視点制御部120の代わりにME視点制御部120aおよびMC視点制御部120bを備える点と、画像生成部130の代わりに動き予測部130aおよび動き補償補間部130bを備える点とが異なっている。動き予測部130aは、第1ME部31a、第2ME部32a、・・・、第nME部3naを備える。動き補償補間部130bは、第1MC部31b、第2MC部32b、・・・、第nMC部3nb、出力制御部131を備える。以下、同じ点は説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
【0066】
ME視点制御部120aは、複数の視点毎に、第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、動き予測部130aに供給する。
【0067】
MC視点制御部120bは、複数の視点毎に、第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、動き補償補間部130bに供給する。また、第2映像信号における複数の視点に対応する画素配列(第2フォーマット)が第1映像信号における複数の視点に対応する画素配列(第1フォーマット)と異なっている場合、MC視点制御部120bは、第2映像信号の画素配列に変換するように、第1映像信号の画素を複数の視点毎に取り出し、前記動き補償補間部130bに供給する。これにより、高フレーム化に加えて、第1映像信号の画素配列を第2映像信号の画素配列に変換するフォーマット変換を3D画像の品質を損なうことなく行うことができる。
【0068】
この場合の動き補償補間部130bの構成例について説明する。MC視点制御部120bは、第2映像信号の画素配置における画素アドレスと、第1映像信号の画素配置における画素アドレスとを対応付ける対応テーブル部を有し、第1映像信号の画素配列を第2映像信号の画素配列に変換するように前記対応テーブル部を用いたアドレス変換し、変換アドレスにより前記複数の視点毎に画素を取り出すようにすればよい。
【0069】
動き予測部130aは、視点制御部によって取り出された視点毎の画素データから、前記複数の視点毎に画像の動き情報(動きベクトル)を検出する動き情報検出部である。
【0070】
動き補償補間部130bは、視点毎の動き情報を用いて前記複数の視点毎に補間用画素データを生成することによって前記複数の視点毎に補間画像を生成する。
【0071】
第1ME部31aは、視点制御部によって取り出された第1の視点の画素データから、第1の視点に画像の動き情報(動きベクトル)を検出する。第2ME部32a、第nME部3naについても、視点が異なる以外は、第1ME部31aと同じ機能なので説明を省略する。
【0072】
なお、第1ME部31a〜第nME部3naは、n個の別個のブロックとして記載しているが、1個のME部を設けて時分割でn回処理する構成としてもよい。ME部を1個備える構成では、回路規模を低減することができる。逆にn個のME部を備える構成では、並列動作により高速化することができる。
【0073】
第1MC部31bは、第1ME部31aによって検出された動き情報を用いて第1の視点の補間用画素データを生成する。第2MC部32b、第nMC部3nbについても、視点が異なる以外は、第1ME部31aと同じ機能なので説明を省略する。なお、第1MC部31b〜第nMC部3nbは、n個の別個のブロックとして記載しているが、1個のMC部を設けて時分割でn回処理する構成としてもよい。MC部を1個備える構成では、回路規模を低減することができる。逆にn個のMC部を備える構成では、並列動作により高速化することができる。
【0074】
上記の第1ME部31aおよび第1MC部31bは、動き補償補間をする場合の実施の形態1の第1補間部31に相当する。
【0075】
以上のように構成された実施の形態2における映像処理装置によれば、動き情報を精度を良く検出することができ、補間画像ひいては3D画像の品質を損なうことなく高フレームレート化することができる。
【0076】
また、第1フォーマットの第1映像信号を第2フォーマットの第2映像信号に変換するフォーマット変換では、アドレス変換により高速に実現できる。しかも、フォーマット変換前の画像とフォーマット変換後の画像を二重に記憶する必要がないので、フォーマット変換に要するメモリ容量を最小限に抑えることができ、コストを低減することができる。
【0077】
なお、1F遅延部110は、汎用的なDRAM等の画像記憶部を用いて構成しても良い。
【0078】
図5は、1F遅延部110の代わりに画像記憶部100を備える構成にした場合の、映像処理装置の主要部の変形例を示すブロック図である。
【0079】
同図は、図4と比較して、1F遅延部110の機能が画像記憶部100により構成されている点が異なる。同じ点は説明を省略し、以下異なる点を中心に説明する。画像記憶部100は、DRAM等のメモリである。さらに、画像記憶部100は、キャッシュメモリを有していてもよい。これにより、ME視点制御部120a、MC視点制御部120bからの読み出しを高速化することができる。 なお、実施の形態2においてアドレス変換により第1フォーマットを第2フォーマットに変換する構成を説明したが、動き補償補間部130bによる補間の前に、第2フォーマットの画像をフレーム単位にメモリ(例えば、画像記憶部100)に展開するようにしてもよい。
【0080】
(実施の形態3)
実施の形態3では、1F遅延部を2段設けた映像処理装置について説明する。これにより、より高いフレームレート化、例えば、2倍速より高いフレームレートへの変換や、フィルム映像を表示パネルのフレームレートに変換ことなどに適している。
【0081】
図6は、実施の形態3における映像処理装置の主要部の構成を示すブロック図である。同図の映像処理装置は、図5と比較すると、1F遅延部110、111とが明記されている点と、ME情報記憶部139が追加されている点と、MC視点制御部120bの画素データを取り出す先が、1F遅延部110および1F遅延部111である点とが異なっている。以下、同じ点は説明を省略し、異なる点を中心に説明する。まら、図中の「0F」は現在入力されているフレーム画像、「1F」は現在入力されている画像より1フレーム前のフレーム画像、「2F」は現在入力されている画像よりも2フレーム前のフレーム画像を意味する。
【0082】
1F遅延部111は、第1映像信号の現在入力されている画像よりも2フレーム時間前の画像を記憶するための画像記憶部100の記憶領域である。
【0083】
第1ME部31a〜第nME部3naによって検出された動きベクトルを一時的に(ここでは、少なくとも1フレーム時間)記憶する。
【0084】
このように構成することにより、動き検出部による動き検出と画像生成部による画像生成と異なるフレーム画像に対して並列に実行することができ、つまり、パイプライン化することが可能になる。これにより、より高いフレームレート化に適している。例えば、2倍速より高いフレームレートへの変換や、フィルム映像を表示パネルのフレームレートに変換ことに適している。
【0085】
以下、さらに具体的な動作例として(A)2:3プルダウン変換、(B)PALからNTSCへの変換、(C)NTSCからPALへの変換について説明する。
【0086】
(A)2:3プルダウン変換について説明する。
図7Aは、一般的なフレームコピーによる2:3プルダウン変換を示す説明図である。
【0087】
第1映像信号は、映画フィルムに対応するフレームレートを有し、そのフレームレートは毎秒24フレームであるものとする。第2映像信号は、NTSCテレビ方式に対応するフレームレートを有し、フレームレートは、毎秒60フィールド(毎秒30フレーム)であるものとする。図中のP1、P2等の枠線はフレーム画像を表す。
【0088】
同図における2:3プルダウン変換では、第1映像信号のフレームP1を部分的にコピーすることにより、第2映像信号用に2枚のフィールドp1を生成し、第1映像信号のフレームP2を部分的にコピーすることにより、第2映像信号用に3枚のフィールドp2を生成する。というコピーを繰り返す。この場合、動きの滑らかさが損なわれる、つまりカクカクした動き(ジャダー)が発生するという欠点がある。
【0089】
図7Bは、実施の形態3における動き補償補間によるデジャダー処理示す説明図である。第1映像信号、第2映像信号のフレームレートはそれぞれ、図7Aと同じであるが、補間画像の生成の仕方が図7Aとは異なっている。
【0090】
第2映像信号中の細線枠のフィールドp1、p3は、コピーにより生成された(補間)画像を示す。これに対して、第2映像信号中の太線枠のフィールドp12a、p12b、p23a、p23bは、動き補償補間により生成された補間画像を示す。例えば、動き予測部130aおよび動き補償補間部130bは、図7Bの第2映像信号におけるフィールドp12aを、フレームP1の動きベクトルおよびフレームP2の動きベクトルの少なくとも一方を用いて、フィールドp12aのフィールド時刻に対応する補間画像を生成する。フィールドp12b、p23a、p23bについても同様に生成される。
【0091】
補間画像p12a、p12b、p23a、p23bは、図7Aの補間画像p1、p2と比べて、それぞれのフィールドの時刻における動きが反映されるので、滑らかな動きを表現することができ、画質が向上する。
【0092】
以上のように、第1映像信号は映画フィルムに対応するフレームレートを有し、第2映像信号はテレビ放送または表示パネルに対応するフレームレートである場合でも、ME視点制御部120aは、視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、画像生成部(動き予測部130aおよび動き補償補間部130b)は、視点毎に取り出された画素データから、視点毎に補間用画素データを生成し、さらに補間画像生成する。このように視点毎に独立して補間画像を生成するので、視点間の視差に対応するずらし量の影響を受けることなく補願画像を生成するので、3D画像の品質を損なうことをフレームレート変換することができる。
【0093】
なお、第1映像信号(映画フィルム)のフレームレートは、毎秒25フレーム、毎秒18フレーム等他のフレームレートであってもよい。第2映像信号のフレームレートは、毎秒60フィールドでなくてもよい。この場合、画像生成部は第1映像信号と第2映像信号のフレームレートの比に応じた数の補間画像を生成すればよい。
【0094】
なお、図7Bにおいて、第2映像信号のフレームレートが第1映像信号のn倍である場合には、n倍速変換することができる。nは2、4等の整数または実数である。
【0095】
(B)PAL(Phase Alternation by Line)からNTSC(National Television System Committee)への変換について説明する。
【0096】
図8Aは、動き補償補間によるPALからNTSCへの変換を示す説明図である。同図において、前記第1映像信号はPALテレビ放送に対応するフレームレートを有し、そのフレームレートは毎秒50フィールドであるものとする。第2映像信号はNTSCテレビ放送に対応するフレームレートを有し、そのフレームレートは毎秒60フィールドであるものとする。
【0097】
第2映像信号中の細線枠のフィールドQ1、Q3は、コピーにより生成された(補間)画像を示す。これに対して、図8A中の太線枠のフィールドQ2、Q3、Q4は、動き補償補間により生成された補間画像を示す。例えば、動き予測部130aおよび動き補償補間部130bは、図8Aの第2映像信号におけるフィールドQ2を、フィールドP1の動きベクトルおよびフィールドP2の動きベクトルの少なくとも一方を用いて、フィールドQ2のフレーム時刻に対応する補間画像として生成する。フィールドQ3〜Q5についても同様に生成される。補間画像Q2〜Q5は、それぞれのフィールドの時刻における動きが反映されるので、滑らかな動きを表現することができ、画質が向上する。
【0098】
以上のように、第1映像信号はPALテレビ放送に対応するフレームレートを有し、前記第2映像信号はNTSCテレビ放送に対応するフレームレートである場合でも、ME視点制御部120aは、視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、画像生成部(動き予測部130aおよび動き補償補間部130b)は、視点毎に取り出された画素データから、視点毎に補間用画素データを生成し、さらに補間画像生成する。このように視点毎に独立して補間画像を生成するので、視点間の視差に対応するずらし量の影響を受けることなく補願画像を生成するので、3D画像の品質を損なうことを防止なくPALからNTSCに変換することができる。
【0099】
(C)NTSCからPALへの変換について説明する。
図8Bは、動き補償補間によるNTSCからPALへの変換を示す説明図である。同図において、前記第1映像信号はNTSCテレビ放送に対応するフレームレートを有し、そのフレームレートは毎秒60フィールドであるものとする。第2映像信号はPALテレビ放送に対応するフレームレートを有し、そのフレームレートは毎秒50フィールドであるものとする。
【0100】
第2映像信号中の細線枠のフィールドP1、P5は、コピーにより生成された(補間)画像を示す。これに対して、図8B中の太線枠のフィールドP2、P3、P4は、動き補償補間により生成された補間画像を示す。例えば、動き予測部130aおよび動き補償補間部130bは、図8Aの第2映像信号におけるフィールドP2を、フィールドQ2の動きベクトルおよびフィールドQ3の動きベクトルの少なくとも一方を用いて、フィールドP2のフレーム時刻に対応する補間画像として生成する。フィールドP2〜P4についても同様に生成される。補間画像P2〜P4は、それぞれのフィールドの時刻における動きが反映されるので、滑らかな動きを表現することができ、画質が向上する。
【0101】
以上のように、第1映像信号はNTSCテレビ放送に対応するフレームレートを有し、前記第2映像信号はPALテレビ放送に対応するフレームレートである場合でも、ME視点制御部120aは、視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、画像生成部(動き予測部130aおよび動き補償補間部130b)は、視点毎に取り出された画素データから、視点毎に補間用画素データを生成し、さらに補間画像生成する。このように視点毎に独立して補間画像を生成するので、視点間の視差に対応するずらし量の影響を受けることなく補願画像を生成するので、3D画像の品質を損なうことを防止なくNTSCからPALに変換することができる。
【0102】
なお、上記(A)〜(C)の動作例では動き補償補間について説明したが、線形補間、コピーによる補間であっても、動きの滑らかさを損なうが3D画像の品質を損なうことを防止することができる。
【0103】
また、上記(A)〜(C)の動作例は、実施の形態1および実施の形態2に適用してもよい。また、画像生成部130は、視点制御部100によって取り出された視点毎の画素データに対して(a)動き情報を用いた補間、(b)線形補間、および(c)フレームのコピーによる補間のうち少なくとも1つを組み合わせて、補間画像を生成するようにしてもよい。もちろん、この組み合わせは動的に変更してもよい。
【0104】
なお、第1映像信号と第2映像信号は同じフレームレートであってもよい。この場合は、第1映像信号の動きを滑らかにすることができる。
【0105】
図8Cは、第1映像信号を同じフレームレートの第2映像信号を生成する処理を示す説明図である。図8Cの第1映像信号は、例えば図7A下段(2:3プルダウン後の映像信号)であり、図8Cの第2映像信号は、例えば図7B下段(動き補償補間後の映像信号)を示す。
【0106】
図8Cの処理において、画像生成部(動き予測部130aおよび動き補償補間部130b)は、第1映像信号中の画像の一部を、動き補償補間による補間画像に置き換えることによって第2映像信号を生成する。具体的には、第1映像信号中のフィールドp1(2つ目のp1)を補間画像p12aに、第1映像信号中の1つの画像P2(1つ目のp2)を補間画像p12bに、第1映像信号中のフィールドp2(2つ目のp2)を補間画像p12bに、・・・置き換える処理を行う。これにより、第2映像信号は、第1映像信号よりも滑らかな動きを表現することができる。図8Cでは、コピーにより2:3プルダウン変換された第1映像信号を、動きベクトルを用いた補間画像により第2映像信号に変換するので、ジャダーを低減することができる。
【0107】
このように、本実施の形態の映像処理装置は、滑らかでない不自然な動きを含む映像信号を、滑らかな動きを表現した映像信号に変換することができる。なお、滑らかでない不自然な動きを含む第1映像信号は、図7A下段(2:3プルダウン後の映像信号)に限らない。例えば、滑らかでない不自然な動きは、映像信号内のフレームをコピーにより補間した場合に生じ得る。このような映像信号のコピーにより補間された画像のみを、動き補償補間により生成された補間画像に置き換えるようにしてもよい。
【0108】
また、画像生成部130は、画像を垂直方向(縦方向)の拡大または縮小する第1拡大縮小部と、画像を水平方向(横方向)に拡大または縮小する第2拡大縮小部を備えるようにしてもよい。第1拡大縮小部および第2拡大縮小部の少なくとも一方が、視点毎に独立して生成された補間画像に対して、視点毎に拡大または縮小することにより、第1映像信号における画像の解像度と第2映像信号における画像の解像度が異なる場合にも容易に対応することができる。
【0109】
また、各実施の形態における映像処理装置は、補間画像を含む第2映像信号のフレームレートは、第1映像信号よりも高い場合でも、低い場合でも、同じ場合でも適用することができる。
【0110】
なお、画像記憶部100は、第1映像信号の現在入力されている画像よりも1フレーム時間前中の1つの画像を記憶する第1記憶領域と、第1映像信号の現在入力されている画像よりも2フレーム時間前の中の他の1つの画像を記憶する第2記憶領域とを備える構成としてもよい。第1および第2記憶領域は、1F遅延部110および111と同様に、1フレーム時間前画像および2フレーム時間前の画像を記憶してもよいし、所定フレーム数または所定フィールド数離れた複数の画像を記憶してもよい。また、画像記憶部100は、1F遅延部を3つ以上備え、複数の画像を記憶する構成としてもよい。この場合、動き予測部および動き補償部は、それぞれ、複数の画像の任意の画像を選択して用いることができる。
【0111】
なお、図2A〜図2F、図3A〜図3Dに視点数が2の場合のフォーマット例を示したが、視点数が3以上のいわゆる多眼式の場合は、これらのフォーマットを視点数に応じて拡張してもよい。
【0112】
以上説明してきたように、本発明の一面における映像処理装置は、互いに異なる複数の視点に対応する画素が混在する画像を含む第1映像信号から補間画像を生成する映像処理装置であって、前記複数の視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出す視点制御部と、前記視点制御部によって取り出された視点毎の画素データから、前記複数の視点毎に補間用画素データを生成することによって、補間画像を生成する画像生成部とを備える。
【0113】
この構成によれば、視点制御部は、視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、画像生成部は、視点毎に取り出された画素データから、視点毎に補間用画素データを生成し、さらに補間画像生成する。このように視点毎に独立して補間画像を生成するので、視点間の視差に対応するずらし量の影響を受けることなく補願画像を生成するので、3D画像の品質を損なうことを防止することができる。
【0114】
ここで、前記画像生成部は、前記補間画像を含み、表示パネルの画素配列に対応した、前記複数の視点に対応する画素データから成る第2映像信号を生成し、前記視点制御部は、第2映像信号における画素配列に対応するように、前記複数の視点毎に前記第1映像信号の画素を前記複数の視点毎に取り出すようにしてもよい。
【0115】
この構成よれば、補間画像の生成を3D画像の品質を損なうことなく行うことができさらに、第1映像信号の画素配列と第2映像信号の画素配列とが異なっている場合には、前者の画素配列から後者の画素配列への変換(フォーマット変換)を効率よく行うことができる。
【0116】
ここで、前記視点制御部は、第1映像信号の画素配置における画素アドレスと、第2映像信号の画素配置における画素アドレスとを対応付けることで、前記第1映像信号から前記第2映像信号の画素配列における画素アドレスに応じて前記複数の視点毎に画素を取り出すようにしてもよい。
【0117】
この構成よれば、第1映像信号の画素配列を第2映像信号の画素配列に変換するフォーマット変換を、前記視点制御部による画素アドレスの対応付けにより高速に実現できる。しかも、第2映像信号の画像を記憶するメモリは、フォーマット変換前の画像とフォーマット変換後の画像を二重に記憶する必要がないので、フォーマット変換に要する記憶領域を最小限に抑えることができ、コストを低減することができる。
【0118】
ここで、前記映像処理装置は、さらに、前記視点制御部によって取り出された視点毎の画素データから、前記複数の視点毎に画像の動き情報を検出する動き情報検出部を備え、前記画像生成部は、前記視点毎の動き情報を用いて前記複数の視点毎に補間用画素データを生成することによって前記複数の視点毎に補間画像を生成するようにしてもよい。
【0119】
この構成よれば、動き情報を精度を良く検出することができ、補間画像ひいては3D画像の品質を損なうことなく補間画像を生成することができる。
【0120】
ここで、前記視点制御部は、前記複数の視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、前記画像生成部に供給する第1視点制御部と、前記複数の視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、前記動き情報検出部に供給する第2視点制御部とを備えるようにしてもよい。
【0121】
この構成よれば、動き検出部による動き検出と画像生成部による画像生成とをパイプライン化することが可能であり、より高いフレームレート化に適している。例えば、2倍速より高いフレームレートへの変換や、フィルム映像を表示パネルのフレームレートに変換するのに適している。
【0122】
ここで、前記映像処理装置は、前記第1映像信号中の1フレーム以上の画像を一時的に記憶する画像記憶部を備え、前記視点制御部は、前記複数の視点毎に、前記画像記憶部から当該視点に対応する画素データを取り出し、前記画像生成部に供給するようにしてもよい。
【0123】
この構成よれば、第1映像信号の画素配列を第2映像信号の画素配列に変換するフォーマット変換を3D画像の品質を損なうことなく行うことができる。
【0124】
ここで、前記映像処理装置は、前記第1映像信号を一時的に記憶する画像記憶部を備え、前記画像記憶部は、前記第1映像信号中の1フレーム以上の画像を記憶し、前記第1視点制御部は、前記複数の視点毎に、前記画像記憶部から当該視点に対応する画素データを取り出し、前記画像生成部に供給し、前記第2視点制御部は、前記複数の視点毎に、前記画像記憶部から当該視点に対応する画素データを取り出し、前記動き情報検出部に供給するようにしてもよい。
【0125】
この構成よれば、動き検出部による動き検出と画像生成部による画像生成とをパイプライン化することが可能である。例えば、2倍速より高いフレームレートへの変換や、フィルム映像を表示パネルのフレームレートに変換するのにおける高速化に適している。
【0126】
ここで、前記第1視点制御部は、第1映像信号の画素配置における画素アドレスと、第2映像信号の画素配置における画素アドレスとを対応付けることで、前記第1映像信号から、前記第2映像信号の画素配列における画素アドレスに応じて前記複数の視点毎に画素を取り出すようにしてもよい。
【0127】
この構成よれば、第1映像信号の画素配列を第2映像信号の画素配列に変換するフォーマット変換を、画像記憶部の領域をアドレス変換により高速に実現できる。しかも、画像記憶部は、フォーマット変換前の画像とフォーマット変換後の画像を二重に記憶する必要がないので、フォーマット変換に要する記憶領域を最小限に抑えることができ、コストを低減することができる。
【0128】
ここで、前記画像生成部は、前記視点制御部によって取り出された視点毎の画素データに対して(a)動き情報を用いた補間、(b)線形補間、および(c)フレームのコピーによる補間のうち少なくとも1つを用いて、前記補間画像を生成するようにしてもよい。
【0129】
この構成によれば、(b)補間画像を線形補間により生成する場合には、補間画像生成の処理量および処理負荷を軽くすることができ、ハードウェア規模を小さくすることができる。(c)補間画像をコピーにより生成する場合には、補間画像生成の処理量および処理負荷を大きく低減し、ハードウェア規模を増加することなく補間画像の生成を実現することができる。また、(a)〜(c)の1つ以上を組み合わせて補間することにより、処理量および処理速度に対して柔軟に対応することができる。
【0130】
ここで、前記画像生成部は、前記第1映像信号の画像間に、前記補間画像を挿入することにより、前記第1前記第2映像信号を生成し、前記第2映像信号のフレームレートは、前記第1映像信号のフレームレートより高くてもよい。
【0131】
ここで、前記第2映像信号のフレームレートは、前記第1映像信号のフレームレートの2倍または4倍であってもよい。
【0132】
この構成によれば、フレームレートのn倍速変換(例えば2倍速変換、4倍速変換)を実現することができる。
【0133】
ここで、前記第1映像信号は映画フィルムに対応するフレームレートを有し、前記第2映像信号はテレビ放送または表示パネルに対応するフレームレートであってもよい。
【0134】
この構成によれば、映画フィルムの映像信号を、映画フィルムを表示パネルのフレームレートに変換を行うことができる。
【0135】
ここで、前記第1映像信号はPAL(Phase Alternation by Line)テレビ放送に対応するフレームレートを有し、前記第2映像信号はNTSC(National Television System Committee)テレビ放送に対応するフレームレートであってもよい。
【0136】
この構成によれば、PAL映像信号をNTSC映像信号に変換することができる。
ここで、前記画像生成部は、前記第1映像信号の一部の画像と、前記補間画像とを含む前記第2映像信号を生成し、前記第2映像信号のフレームレートは、前記第1映像信号のフレームレート以下であってもよい。
【0137】
この構成によれば、第1映像信号の低フレームレート化、または同じフレームレートでフレームを補間画像に置き換えることができる。
【0138】
ここで、前記第1映像信号はNTSC(National Television System Committee)テレビ放送に対応するフレームレートを有し、前記第2映像信号はPAL(Phase Alternation by Line)テレビ放送に対応するフレームレートであってもよい。
【0139】
この構成によれば、NTSC映像信号をPAL映像信号に変換することができる。
ここで、前記画像生成部は、前記補間画像を含む第2映像信号を生成し、前記第2映像信号は第1映像信号と同じフレームレートであり、前記画像生成部は、第1映像信号中の画像の一部を前記補間画像に置き換えることによって前記第2映像信号を生成してもよい。 この構成によれば、例えば、コピーによりプルダウン変換された第1映像信号に対して、動きベクトルを用いた補間画像によるデジャダーをすることができ、第2映像信号の動きを第1映像信号よりも滑らかにすることができる。
【0140】
また、本発明の一面における映像処理方法は、少なくとも第1の視点と第2の視点とを含む互いに異なる複数の視点に対応する画素が混在する画像を含む第1映像信号から、補間画像を生成する映像処理方法であって、前記第1映像信号から前記第1の視点に対応する画素データを取り出すステップと、取り出された第1の視点の画素データから、前記第1の視点に対応する補間用画素データを生成するステップと、前記第1映像信号から前記第2の視点に対応する画素データを取り出すステップと、取り出された第2の視点の画素データから、前記第2の視点に対応する補間用画素データを生成するステップと、前記第1の視点に対応する補間用画素データおよび前記第2の視点に対応する補間用画素データとから補間画像を生成するステップとを有する。
【0141】
この構成によれば、視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、視点毎に取り出された画素データから、視点毎に補間用画素データを生成し、さらに補間画像を生成する。このように視点毎に独立して補間画像を生成するので、視点間のずらし量(またはずらし量)の影響を受けないので、3D画像の品質を損なうことなく補間画像を生成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、互いに異なる複数の視点に対応する画素が混在する画像を含む第1映像信号から、補間画像を生成する映像処理装置および映像処理方法に適している。
【符号の説明】
【0143】
31 第1補間部
32 第2補間部
3n 第n補間部
31a 第1ME部
32a 第2ME部
3na 第nME部
31b 第1MC部
32b 第2MC部
3nb 第nMC部
100 画像記憶部
110 1F遅延部
111 1F遅延部
120 視点制御部
120a ME視点制御部
120b MC視点制御部
130 画像生成部
130a 動き予測部
130b 動き補償補間部
131 出力制御部
139 ME情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる複数の視点に対応する画素が混在する画像を含む第1映像信号から、補間画像を生成する映像処理装置であって、
前記複数の視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出す視点制御部と、
前記視点制御部によって取り出された視点毎の画素データから、前記複数の視点毎に補間用画素データを生成することによって補間画像を生成する画像生成部と
を備える映像処理装置。
【請求項2】
前記画像生成部は、前記補間画像を含み、表示パネルの画素配列に対応した、前記複数の視点に対応する画素データから成る第2映像信号を生成し、
前記視点制御部は、第2映像信号における画素配列に対応するように、前記複数の視点毎に前記第1映像信号の画素を前記複数の視点毎に取り出す
請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項3】
前記視点制御部は、第1映像信号の画素配置における画素アドレスと、第2映像信号の画素配置における画素アドレスとを対応付けることで、前記第1映像信号から、前記第2映像信号の画素配列における画素アドレスに応じて前記複数の視点毎に画素を取り出す
請求項2に記載の映像処理装置。
【請求項4】
前記映像処理装置は、さらに、
前記視点制御部によって取り出された視点毎の画素データから、前記複数の視点毎に画像の動き情報を検出する動き情報検出部を備え、
前記画像生成部は、
前記視点毎の動き情報を用いて前記複数の視点毎に補間用画素データを生成することによって前記複数の視点毎に補間画像を生成する
請求項1に記載の映像処理装置。
【請求項5】
前記視点制御部は、
前記複数の視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、前記画像生成部に供給する第1視点制御部と、
前記複数の視点毎に、前記第1映像信号から当該視点に対応する画素データを取り出し、前記動き情報検出部に供給する第2視点制御部とを備える
請求項4に記載の映像処理装置。
【請求項6】
前記映像処理装置は、前記第1映像信号中の1フレーム以上の画像を一時的に記憶する画像記憶部を備え、
前記視点制御部は、前記複数の視点毎に、前記画像記憶部から当該視点に対応する画素データを取り出し、前記画像生成部に供給する
請求項2に記載の映像処理装置。
【請求項7】
前記映像処理装置は、前記第1映像信号一時的に記憶する画像記憶部を備え、
前記画像記憶部は、前記第1映像信号中の1フレーム以上の画像を記憶し、
前記第1視点制御部は、前記複数の視点毎に、前記画像記憶部から当該視点に対応する画素データを取り出し、前記画像生成部に供給し、
前記第2視点制御部は、前記複数の視点毎に、前記画像記憶部から当該視点に対応する画素データを取り出し、前記動き情報検出部に供給する
請求項5に記載の映像処理装置。
【請求項8】
前記第1視点制御部は、第1映像信号の画素配置における画素アドレスと、第2映像信号の画素配置における画素アドレスとを対応付けることで、前記第1映像信号から、前記第2映像信号の画素配列における画素アドレスに応じて前記複数の視点毎に画素を取り出す
請求項7に記載の映像処理装置。
【請求項9】
前記画像生成部は、前記視点制御部によって取り出された視点毎の画素データに対して(a)動き情報を用いた補間、(b)線形補間、および(c)フレームのコピーによる補間のうち少なくとも1つを用いて、前記補間画像を生成する
請求項1または2に記載の映像処理装置。
【請求項10】
少なくとも第1の視点と第2の視点とを含む互いに異なる複数の視点に対応する画素が混在する画像を含む第1映像信号から、補間画像を生成する映像処理方法であって、
前記第1映像信号から前記第1の視点に対応する画素データを取り出すステップと、
取り出された第1の視点の画素データから、前記第1の視点に対応する補間用画素データを生成するステップと、
前記第1映像信号から前記第2の視点に対応する画素データを取り出すステップと、
取り出された第2の視点の画素データから、前記第2の視点に対応する補間用画素データを生成するステップと、
前記第1の視点に対応する補間用画素データおよび前記第2の視点に対応する補間用画素データとから補間画像を生成するステップと
を有する映像処理方法。

【図1】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図9A】
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【図9B】
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