説明

映像処理装置、映像処理方法

【課題】RGBからYCに変換し、さらにRGBに変換する際、映像信号の色域判定を行い、U信号及びV信号のビット割り当てを変更する。
【解決手段】入力RGB信号の色域判定を行う第一の色域判定部11と、第一の色域判定部11の色域判定結果に基づき、U信号及びV信号のビット数割り当てを行い、入力RGB信号をYC信号に変換するRGB/YC変換部12と、色域判定結果に基づき、YC信号を出力RGB信号に変換するYC/RGB変換部13と、を有する映像処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像信号の色変換に関するもので、RGB(Red:赤、Green:緑、Blue:青の色信号)からYC(Y:輝度信号、C:色信号、YUV422フォーマットとも呼ばれる)に変換し、さらにRGBに変換をする際に色域が削減されるのを抑え、色精度の低下を抑制する効果を持つ映像処理装置、映像処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にLCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイのこと)やPDP(Plasma Display Panel、プラズマディスプレイのこと)等の映像受像装置において、デジタル映像を信号処理する際にRGB信号で信号伝送をすると情報量(ビット数)が多く必要になる。
【0003】
RGB信号は信号を赤(R)、緑(G)、青(B)の領域で表現する信号フォーマットである。人間の目は輝度方向の変化に感度が強く、色方向の変化に感度が弱いという特徴があることを利用し、RGB信号とは別フォーマットである、色方向の情報量を抑え輝度方向の情報量を広く取る、YUV(Y:輝度信号、U:輝度成分と青色成分の差分(CbやPbとも呼ばれる))、V:輝度成分と赤色成分の差分(CrやPrとも呼ばれる))信号と呼ばれる信号フォーマットがある。
【0004】
通常YUV信号はYUV444フォーマットやYUV422フォーマット(YCフォーマット)などと呼ばれる複数の方式がある。YUV444フォーマットは例えば1画素毎にY信号が10ビット、U信号が10ビット、V信号が10ビット分のデータを持つフォーマットのことである。すなわち、1画素に付き30ビットの情報量を有する信号フォーマットとなっている。YUV422フォーマットは、色差データ(U信号及びV信号のこと)を水平方向に各1/2に間引いたフォーマットで、2画素毎に1画素分のUとVをそれぞれ持つフォーマットのことである。この場合、1画素に付き20ビット分の情報量を有する信号フォーマットなので、YUV444フォーマットの2/3のサイズになる為デジタル映像処理などに広く用いられる。
【0005】
これらのことから、RGBからYCに変換を行うと情報量を削減することが出来るため、信号受け渡し時などに渡し側がRGBからYCに変換を行い、受け側でYCからRGBに変換することが多い。例えば、RGBそれぞれ10bitの信号(合計30bit)を受け渡しする際、RGBからYCに変換すればYCそれぞれ10bitの信号(合計20bit)の情報量だけですむ。また、信号受け渡しの実現方法はさまざまであるが、簡単な方法はメモリ(キャッシュやバッファなども含む)への保存である。また、異なるデバイス間の信号伝送の際に信号帯域を小さくしたい意図からRGBからYCに変換し、さらにRGBに変換される場合もある。
【0006】
RGB信号からYC信号に変換する場合は一次関数を用いて変換することができ、マトリックス変換、またはマトリクス変換と呼ばれる。YC信号からRGB信号へ変換する場合はR=Y+1.402V、G=Y−0.344U−0.714V、B=Y+1.772Uなどが知られていて、これに類する演算で求めることができる。逆にRGB信号からYC信号へ変換する場合はY=0.299R+0.587G+0.114B、U=−0.169R−0.331G+0.500B、V=0.500R−0.419G−0.081Bなどが知られていて、これに類する演算で求めることが出来る。また、一般的にYUV色空間(YC色空間も同様)は同じビット精度であればRGB色空間よりも表現できる色の範囲が大きいことも特徴である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−273952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
RGBからYCに変換し、さらにRGB変換する場合、前記の通り一次関数で変換することが可能だが、係数が小数点を有していること、またデジタル信号処理において有限なビット数で信号変換することから完全相互変換は不可能であり、信号変換を繰り返す毎にビット精度は低下していくという課題がある。信号変換するビット数を上げれば変換誤差を少なくすることが可能であるが、変換に使用するビット数すなわちデータ受け渡し時の信号伝送量が増加してしまうという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の映像処理装置は、入力RGB信号の色域判定を行う色域判定部と、前記色域判定部の色域判定結果に基づき、U信号及びV信号のビット数割り当てを行い、前記入力RGB信号をYC信号に変換するRGB/YC変換部と、前記色域判定部の色域判定結果に基づき、前記YC信号を出力RGB信号に変換するYC/RGB変換部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の映像処理装置、映像処理方法によれば、色域判定結果に基づきUV信号の重み付けを動的に変更することでRGBからYCに変換し、さらにRGB変換する場合において色域が削減されるのを抑え、色精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1における映像処理装置のシステム構成図
【図2】本発明の実施例1における映像処理装置のローパスフィルタの構成図
【図3】本発明の実施例1における映像処理装置のシーン判定部の構成図
【図4】本発明の実施例1における映像処理装置の第一のRGB色域判定部の構成図
【図5】本発明の実施例1における映像処理装置の色域判定方法を示す図
【図6】本発明の実施例1における映像処理装置のYUVの信号形態を示す図
【図7】本発明の実施例1における映像処理装置のシステム構成図の変形例を示す図
【図8】本発明の実施例2における映像処理装置のシステム構成図
【図9】本発明の実施例3における映像処理装置のシステム構成図
【図10】本発明の実施例3における映像処理装置のマトリックス選択信号を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
なお、本発明が適用される映像処理装置、映像処理方法はこの例に特に限定されず、発明の趣旨に反さない範囲で、実施例において説明した以外の映像処理装置、映像処理方法に対しても容易に適用可能である。
【0014】
また各図面において括弧( )内に記した数値は、その信号のビット数を表すものとする。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1に係わる映像処理装置1のシステム構成図である。
【0016】
映像処理装置1は、第一の色域判定部11、RGB/YC変換部12、YC/RGB変換部13から構成される。
【0017】
また、第一の色域判定部11は、垂直同期信号ラッチフリップフロップ21、ローパスフィルタ22、シーン判定部23、第一のRGB色域判定部24から構成される。
【0018】
また、RGB/YC変換部12は、マトリックス変換部25、第一の変換テーブル部26、UV多重部27、メモリ部28から構成される。
【0019】
また、YC/RGB変換部13は、UV分離部29、第二の変換テーブル部30、逆マトリックス変換部31から構成される。
【0020】
次に映像処理装置1の動作について以下に説明する。
【0021】
まず、入力映像信号RGBは、それぞれ垂直同期信号を基準に垂直同期信号ラッチフリップフロップ21に取り込まれ、垂直同期信号ラッチフリップフロップ21は、1垂直同期期間前の映像信号RGBをローパスフィルタ22及び第一のRGB色域判定部24に出力する。
【0022】
ローパスフィルタ22は、1垂直同期期間前の映像信号RGBのシーンチェンジを検出するシーン判別部23のためのプリフィルタとして用いられ、1垂直同期期間前の映像信号RGBの低周波成分のみをシーン判別部23に出力する。
【0023】
ここでローパスフィルタ22は図2に示すような構成で実現できる。一般に、伝達関数をH(z)とすると、例えばH(z)=(1+2Z^−1+Z^−2)/4としてあらわされる(^:べき乗をあらわす)。なお、具体的なフィルタ係数を例であげており、本例は(1、2、1)のフィルタなどと呼ばれるが、これ以外の係数でもよい。
【0024】
シーン判別部23は、映像領域の輝度平均値や色差平均値などの変化からシーン変化を判別する。
【0025】
例えば、図3に示すようにローパスフィルタ22から出力された映像信号RGBから特徴量検出部230により画面単位での輝度平均値を算出する。輝度平均値を1垂直同期期間遅らせ、現在の輝度平均値と1垂直同期期間後の輝度平均値の差分を取り、ある閾値以上であった場合にシーン変化が起こったと判断し、シーン判別信号を第一のRGB色域判定部24に出力する。本閾値はユーザーが任意に設定可能としても良い。
【0026】
または、差分そのものをシーン判別信号として出力することも可能である。さらに、輝度平均値だけではなく、一般的なシーン判別に使用される重点平均と分散値によるシーン判別を行ってもよく、シーン判別が行えれば実施方法は問わない。
【0027】
第一のRGB色域判定部24では、色域、つまり1垂直同期期間前の映像信号RGBの色信号がどのような傾向にあるかを判定する。
【0028】
図4に示すように色域判定は、例えば次のような方法が考えられる。
【0029】
まず、RGB/H変換部241によって1垂直同期期間前の映像信号RGBをH(HUE:色相)信号に変換する。一般的にRGBの3つの値の最大値をMAX、RGBの3つの値の最小値をMINとすると、RがMAXのとき、H=60×(B−G)/(MAX−MIN)、GがMAXのときH=60×(2+(R−B)/(MAX−MIN))、BがMAXのときH=60×(4+(G−R)/(MAX−MIN))と変換される。Hは色相環において赤を0度としたときの角度で表されるため、0から359の値をとる。Hがマイナスになれば360を足す(マイナスの値はとらない)。図4ではH信号を10ビットとしているが、判定したい精度、つまり0から359までの値を小数点以下どのくらいの精度で判定するかに応じビット数を増やすことが可能である。
【0030】
次に変換されたH信号は、第一〜第三の個別色域判定部242から244に入力される。
【0031】
一例を挙げると、第一の個別色域判定部242が青色判定、第二の個別色域判定部243が赤色判定、第三の個別色域判定部244が肌色判定を行う。もちろん、個別色域判定部の数は3つに限定されず、それぞれの個別色域判定部が例と違う色を判定してもよい。
【0032】
第一〜第三の個別色域判定部242〜244に入力されたH信号に対し、設定された閾値に基づき色判定信号1〜3が出力される。色判定信号1〜3は値が大きいほど目的とする色域に近いことをあらわす。第一〜第三の個別色域判定部242〜244から出力された色判定信号1〜3にシーン判定部23から出力されたシーン判別信号との乗算を行うことでシーン判別結果の重み付けを行い、色判定信号出力部245に出力する。
【0033】
色判定信号出力部245において、例えば色判定信号1と色判定信号2が全くの同一値で入力された場合、どちらの判定結果として色判定信号Aを出力するかを優先順位設定値により決定する。つまり、本例で挙げている3つの判定信号が入力された場合は、3つから2つ選ぶ組み合わせになるので、一般的に(本例の場合はn=3、r=2)で表され、=n!/(n−r)!r!で求めることが出来る。
【0034】
色域判定は、具体的には図5にあるように判定したい領域開始位置、領域終了位置、領域開始位置からの傾き、領域終了位置までの傾き及び最大出力値を設定値により決定する。
【0035】
例えば、純緑の場合、色相は前述した一般式により120°となる。色相の60°〜180°までを緑として検出したいが、60°(黄色)や180°(水色)は色の構成成分として緑は少ない(検出値を小さくしたい)。そのため、領域開始位置からの傾きと領域終了位置への傾きにより重み付けを行うことで入力された色相に応じた検出値を出力することが出来る。
【0036】
具体的には、前述した色相60°〜180°までを緑としたい場合、領域開始位置=1024(10ビット)/360(全色相)×60°≒171が設定値となる。同様に、領域終了位置=1024/360×180°=512が設定値となる。傾きは重み付けであるので、純緑へ近い色、つまり検出したい色相を小さくしたい場合は傾きを図5に示すように緩やかにすればよいし、検出したい色相を大きくしたいは傾きを急峻な設定にする。領域開始位置からの傾きはy=axとした場合の係数aであり、領域終了位置への傾きはy=−bxとした場合の係数−bである。
【0037】
これらにより領域の設定がなされ、領域内にあるハッチング部がその色域として決定される。色域判定は本例に限定されず、他の方法でもよい。
【0038】
マトリックス変換部25は第一のRGB色域判定部24から出力された色域(色判定信号A)によって入力映像信号RGBをYCに変換する係数を動的に制御する。動的に制御することで、単純にマトリックス係数の変更のみで特定の色に対してゲインをあげたりなどの制御が可能になる。どの色に対しゲインをかけるかによって係数が異なる為、いくつかのパターンをテーブル化しておき、該当する色域の場合にパターンマトリックス係数を変更する方法が考えられる。
【0039】
例えば、色判定信号A=1の場合に青色ゲインを2倍にする等のテーブルを用意する。青色のゲインをあげる場合は第一のRGB色域判定部24により色域が青色と判断された結果を受け、入力映像信号RGBをYCに変換する際、B信号の変換式B=Y+1.772Uにおいて、1.772を倍の係数3.544とするとB=Y+3.544Uとなり、青色のゲインが2倍となる。R信号の場合はR=Y+1.402V、G信号の場合はG=Y−0.344U−0.714Vという変換式を用いる。ゲインをあげる為にはU信号もしくはV信号の乗算する係数を変更するといったことも色判定信号を用いれば可能となる。この場合、逆マトリックス変換部31においても同一の色判定信号を用いて逆変換する必要がある。
【0040】
前述したマトリックス演算のような小数点乗算を含む演算の場合、ある程度の精度が得られるビット数で切り捨てや丸めが行われる。切捨てなどを行わない、もしくは切り捨てのビット数を少なくすることで演算した精度に近い値で出力することが可能となる。
【0041】
なお、本実施例ではU信号及びV信号の出力演算値を20ビットとして出力したものとするが、本実施例の出力ビット数に限らない。
【0042】
第一の変換テーブル部26は、第一のRGB色域判定部24によって出力される色判定信号AによってUV信号40ビットの入力をUV信号20ビットの信号に変換する。例えば、映像処理装置1は、第一のRGB色域判定部24により色域が青色と判断された場合にYUV30ビットにおいてUV信号20ビット中何ビットをU信号に割り当てるかを予め設定値として保持している。この設定値はユーザーが任意に変更できるものでもよい。本実施例では、第一のRGB色域判定部24により色域が青色と判断された例を挙げているため、U信号に多くのビット数を割り当てる。色域が第一のRGB色域判定部24により青色だと判断された場合、U信号のビット数をXビットとすると、V信号は(20−X)ビットとなりビット数割り当てが変更されたUV信号は、10ビットのY信号とともにUV多重部27へと出力される。
【0043】
UV多重部27は、色判定信号Aに応じて、UV信号の重み付けを変更し、その信号を出力する。具体的には第一の変換テーブル部26より出力されるXビットのU信号と(20−X)ビットのV信号を図6のように割り当て、C信号とする。
【0044】
例えば、色判定信号A=1の時、つまり青色検出した場合はX=15、色判定信号A=2の時、つまり赤色検出した場合はX=5と決定付けるテーブルを用意し、UV信号のビット数を決定する。
【0045】
メモリ部28(キャッシュやバッファを含む)は、信号伝送やデータ一時保存といった用途に使用する。映像処理結果を一時的にメモリに保存しておきたい場合、例えば1垂直同期期間前の処理結果を保存しておきたい時などに利用する。本発明の場合、UV信号の重み付けをされたC信号及び第一のRGB色域判定部24からの色域判定信号Aをメモリに保存しておく。このことによりY信号10ビット、U信号20ビット、V信号20ビットの合計50bit相当のビット数を要する信号がY信号10ビット、C信号10ビット、色判定信号Aのαbitの合計(20+α)ビットで伝送可能となる。
【0046】
メモリ部28に保存された色判定信号Aは後述する逆マトリックス変換にも利用する。映像信号と色判定信号の位相が合っていなければ逆マトリックス変換が出来ないため、色判定信号Aをメモリ部28に保存し、メモリ部28から出力されるYC信号と同位相で色判定信号Bを出力する。
【0047】
なお、図7に示す通り、メモリ部28を設けず、UV多重部から27から直接UV分離部29にYC信号を出力する構成とし、第一のRGB色判定部24から出力される色判定信号Aを後述するUV分離部29、第二の変換テーブル部30及び逆マトリックス部31に出力する構成としてもよい。
【0048】
UV分離部29は、UV多重部27の逆変換を行う。すなわち、メモリ部28から出力される色判定信号Bに基づき、C信号からUV信号への分離を行う。具体的には色判定信号Bに応じて、C信号からXビットのU信号と(20−X)ビットのV信号へ分離する。
【0049】
第二の変換テーブル部30は、UV分離部29により出力されたUV信号20ビットをUV信号40ビットに逆変換する。このことにより後述する逆マトリックス変換部31において、入力映像信号RGBに限りなく近い出力映像信号を得ることが出来る。
【0050】
例えば、映像処理装置1は、第一の変換テーブル部26の例と同様に第一のRGB色域判定部24により色域が青色であると判断された場合にあらかじめYUV30ビットにおいてUV信号20ビット中何ビットをU信号に割り当てるかを予め設定値として保持している。この設定値はユーザーが任意に変更できるものでもよいが、第一の変換テーブル部26と共通の設定値である必要がある。本実施例では第一のRGB色域判定部24により色域が青色であると判断された場合を例に挙げているため、U信号に多くのビット数を割り当てられている。
【0051】
逆マトリックス変換部31は、第二の変換テーブル部30からの出力であるYUV信号及びメモリ部28から出力された色判定信号Bに基づき、逆マトリックス変換(YC/RGB変換)を行う。
【0052】
以上説明したように、本実施例1によれば、色域判定結果に基づき、UV信号の重み付けを動的に変更することでRGBからYUV(YC)に変換し、さらにRGBに変換する場合において色域が削減されるのを抑え、色精度の低下を抑制することができる。
【実施例2】
【0053】
図8は、実施例1の映像処理装置2にY信号のみの映像処理を行うY映像信号処理部32を追加した構成となっている。
【0054】
実施例1の映像処理装置2と同一の構成には同じ番号を付している。
【0055】
Y映像信号処理部32は、UV多重部27から出力されたY信号のみを映像処理する。例えば、Y信号のみに適応される輪郭補正や白文字補正などが挙げられる。輪郭補正は映像中の物体と物体の境界線(エッジ)などを強調させ、物体がはっきり見えるように映像加工する。輪郭補正をする際は一般的にY信号を用い、C信号つまり色信号を使用しないことから、C信号の重み付けが異なった場合でも適応することが出来る。白文字補正は、Y信号がある閾値以上である場合に青色成分や赤色成分をY信号に対し微量加算することで、色温度の補正を行う。
【実施例3】
【0056】
図9は、本実施例3に係わる映像処理装置4のシステム構成図である。
【0057】
実施例1の映像処理装置2に、係数固定マトリックス変換部33、セレクタ34、マトリックス選択信号生成部35、第二の色域判定部16及び映像信号デコード部38が追加された構成となっている。また、第二の色域判定部16は、係数固定逆マトリックス変換部36、第二のRGB色域判定部37から構成される。
【0058】
RGB/YC変換において、入力映像信号RGBは、係数固定マトリックス変換部33に入力され、係数が固定されたマトリックス変換を行い、YC信号(第二のYC信号と表す)をセレクタ34に出力する(以下、第一のマトリックス変換と表す)。また、既に実施例1で述べた通り、UV多重部27から第一のRGB色域判定部24の色判定信号Aにより重み付けされたYC信号がセレクタ34に出力される(以下、第二のマトリックス変換と表す)。
【0059】
マトリックス選択信号生成部35は、図10に示すようなマトリックス選択信号をセレクタ34に出力する。システムクロックを元に水平同期信号の立ち上がり(または立下り)に同期してHighとLowを繰り返す信号である。
【0060】
UV多重部27から出力されるYC信号と係数固定マトリックス変換部33から出力される第二のYC信号との選択をセレクタ34に入力されたマトリックス選択信号によって行う。例えば、マトリックス変換信号がHighのときに第一のマトリックス変換による第二のYC信号を選択し、Lowのときに第二のマトリックス変換によるYC信号を選択することとすればよい。
【0061】
YC/RGB変換において、セレクタ34から出力されたYC信号及び第二のYC信号は、それぞれUV分離部29及び第二の色域判定部16に出力される。
【0062】
第二の色域判定部16の係数固定逆マトリックス変換部36は、係数固定マトリックス部33と対称のマトリックス変換部である。つまり、入力された第二のYC信号に対し係数が固定された逆マトリックス変換を行い、第二のRGB色域判定部37及び映像信号デコード部38にRGB信号(第二のRGBと表す)を出力する。
【0063】
係数固定逆マトリックス変換部36から出力される第二のRGB信号は第二の色域判定部37に入力され、色判定信号Aを出力する。実施例1と同様に、出力された色域判定信号Aを用いてUV分離部29、第二の変換テーブル部30、逆マトリックス変換部31でYC/RGB変換を行う。
【0064】
このことにより色判定信号Aを、第一のRGB色域判定部24からYC/RGB変換部13に渡すことなく、RGBからYCに変換し、さらにRGBに変換することができる。
【0065】
RGB/YC変換部14とYC/RGB変換部13とが異なるデバイス(例えば、LSI)で構成される場合、デバイス間のインターフェース本数、すなわち信号のビット数を削減することができ、また少ない信号線で信号の伝送を行うことにより、基板にデバイスを実装する際のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0066】
なお、実施例1及び実施例2で述べたメモリ部28、Y映像信号処理部32は、実施例3の映像処理装置4にも適用可能である。
【0067】
映像信号デコード部38は、マトリックス選択信号生成部35から出力されたマトリックス選択信号を用いて画素毎に出力されている映像信号RGBを元の解像度の映像信号にデコードするのを主目的とする。
【0068】
第一のマトリックス変換を行った場合の画素に対し、第二のマトリックス変換を行った場合の前後の画素を比較し補間を行う。一例として、第二のマトリックス変換により出力された画素、第一のマトリックス変換により出力された画素、第二のマトリックス変換により出力された画素、・・・と繰り返される場合、第一のマトリックス変換により出力された画素と前後の画素との平均値との差分、前画素との差分、後画素との差分をそれぞれ算出する。前画素との差分もしくは後画素との差分が大きい場合は該当部分に物体の境界などといったエッジが存在しているものと推察し、補間を行わない。前画素との差分及び後画素との差分が小さい場合はビット情報が不足しているものと判断し、前後の画素の平均値との差分を加算もしくは減算する。加算する場合は第一のマトリックス変換を行った画素が第二のマトリックス変換を行った画素よりも小さい場合かつ差分が小さい場合である。減算する場合は第一のマトリックス変換を行った画素が第二のマトリックス変換を行った画素よりも大きい場合かつ差分が小さい場合である。映像信号デコード部38により、色判定信号AをYC/RGB変換部13に信号伝送するよりは補間する分精度が落ちるものの、第一のマトリックス変換のみの信号伝送に比べ信号精度が高くなる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
色域判定結果に基づきUV信号の重み付けを動的に変更することでRGBからYCに変換し、さらにRGBに変換する場合において色域が削減されるのを抑え、色精度の低下を抑制することができるので映像処理装置、映像処理方法として有用である。
【符号の説明】
【0070】
1、2、3、4 映像信号処理装置
11 第一の色域判定部
12、14、15 RGB/YC変換部
13 YC/RGB変換部
16 第二の色域判定部
21 垂直同期信号ラッチフリップフロップ
22 ローパスフィルタ
23 シーン判定部
24 第一のRGB色域判定部
25 マトリックス変換部
26 第一の変換テーブル部
27 UV多重部
28 メモリ部
29 UV分離部
30 第二の変換テーブル部
31 逆マトリックス変換部
32 Y映像信号処理部
33 係数固定マトリックス変換部
34 セレクタ
35 マトリックス選択信号生成部
36 係数固定逆マトリックス変換部
37 第二のRGB色域判定部
38 映像信号デコード部
230 特徴量検出部
241 RGB/H変換部
242 第一の個別色域判定部
243 第二の個別色域判定部
244 第三の個別色域判定部
245 色判定信号出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力RGB信号の色域判定を行う色域判定部と、
前記色域判定部の色域判定結果に基づきU信号及びV信号のビット数割り当てを行い、前記入力RGB信号をYC信号に変換するRGB/YC変換部と、
前記色域判定部の色域判定結果に基づき、前記YC信号を出力RGB信号に変換するYC/RGB変換部と、
を有する映像処理装置。
【請求項2】
前記RGB/YC変換部は、
前記YC信号及び前記色域判定部の色域判定結果を記憶し、前記記憶したYC信号を前記YC/RGB変換部に出力する際、前記記憶した色域判定部の色域判定結果を前記記憶したYC信号と同位相で前記YC/RGB変換部に出力するメモリ部を備え、
前記YC/RGB変換部は、前記メモリ部から出力されるYC信号と前記記憶したYC信号と同位相で前記YC/RGB変換部に出力される色域判定結果に基づき、前記メモリ部から出力されるYC信号を出力RGB信号に変換する
ことを特徴とする請求項1記載の映像処理装置。
【請求項3】
前記RGB/YC変換部は、
前記YC信号のY信号の映像処理を行なうY映像信号処理部を備える
ことを特徴とする請求項1記載の映像処理装置。
【請求項4】
係数を固定して前記入力RGB信号を第二のYC信号に変換する係数固定マトリックス変換部と、
前記YC信号と前記第二のYC信号とを選択するセレクタと、
前記セレクタが前記YC信号と前記第二のYC信号を選択するための選択信号を生成する選択信号生成部と、
前記セレクタから出力される前記第二のYC信号を第二の出力RGB信号に変換するとともに、前記第二の出力RGB信号に基づき色域判定を行う第二の色域判定部と、
映像信号デコード部と、を備え、
前記YC/RGB変換部は、
前記第二の色域判定部の色域判定結果に基づき、前記YC信号を前記出力RGB信号に変換し、
前記映像信号デコード部は、
前記選択信号に基づき、前記出力RGB信号又は前記第二の出力RGB信号をデコードする
ことを特徴とする請求項1記載の映像処理装置。
【請求項5】
入力RGB信号の色域判定を行うステップと、
前記色域判定結果に基づき、U信号及びV信号のビット割り当てを行い、前記入力RGB信号をYC信号に変換するステップと、
前記色域判定結果に基づき、前記YC信号を出力RGB信号に変換するステップと、
を有する映像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−35757(P2011−35757A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181401(P2009−181401)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】