説明

映像出力装置

【課題】信号が劣化するのを抑制しながら、輝度を調整することが可能な映像出力装置を提供する。
【解決手段】この液晶テレビジョン装置(映像出力装置)100は、左目に伝達される左目用画像および右目に伝達される右目用画像をそれぞれ表示するとともに、左目用画像と右目用画像との間に表示には寄与しない輝度を下げるための黒画像を挿入して出力する表示部1と、表示部1に表示される左目用画像と右目用画像との間に挿入される黒画像の挿入時間B1(B2)を調整することにより輝度が調整されるように制御する制御部4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、映像出力装置に関し、特に、表示部を備える映像出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示部を備える映像出力装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、左目に伝達される左目用画像および右目に伝達される右目用画像が所定の周期で交互に表示される液晶パネル(表示部)を備える立体映像表示装置(映像出力装置)が開示されている。この立体映像表示装置では、左目用画像および右目用画像の所定の周期に同期して駆動される液晶シャッターを備える眼鏡を用いて左目用画像および右目用画像を観察することにより、立体映像が視認可能となる。また、上記立体映像表示装置では、左目用画像の表示と右目用画像の表示との間には、表示には寄与しない黒画像が一定時間挿入されるように構成されている。これにより、左目用画像の一部が右目に漏れこむ現象または右目用画像の一部が左目に漏れこむ現象(クロストーク)が発生するのを黒画像の挿入により抑制可能となる。また、左目用画像の表示と右目用画像の表示との間に黒画像が挿入されることによって、黒画像が挿入されている一定時間分、左目用画像および右目用画像が表示される表示部の輝度が一定の輝度に下げられた状態(保たれた状態)で表示される。なお、表示部の輝度は、コントラストアンプなどを用いて、左目用画像および右目用画像の信号処理を行うことにより調整されると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−266852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の立体映像表示装置では、左目用画像の表示と右目用画像の表示との間に黒画像が挿入されることによって、クロストークが発生するのを抑制することが可能である一方、黒画像が一定時間挿入されている分、表示部の輝度が一定の輝度に保たれるため、輝度を調整することが困難であるという不都合がある。また、輝度を調整するためにコントラストアンプなどを用いた場合には、信号処理により信号が劣化するという問題点があると考えられる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、信号が劣化するのを抑制しながら、輝度を調整することが可能な映像出力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の一の局面による映像出力装置は、左目に伝達される左目用画像および右目に伝達される右目用画像をそれぞれ表示するとともに、左目用画像と右目用画像との間に表示には寄与しない輝度を下げるための輝度調整画像を挿入して出力する表示部と、表示部に表示される左目用画像と右目用画像との間に挿入される輝度調整画像の挿入時間を調整することにより輝度が調整されるように制御する制御部とを備える。
【0008】
この一の局面による映像出力装置では、上記のように、表示部に表示される左目用画像と右目用画像との間に挿入される輝度調整画像の挿入時間を調整することにより輝度が調整されるように制御する制御部を備えることによって、輝度を調整するためにコントラストアンプなどを用いた場合と異なり、左目用画像および右目用画像の信号処理を行わないので、左目用画像および右目用画像の信号が劣化するのを抑制しながら、輝度調整画像の挿入時間の調整により表示部の輝度を調整することができる。
【0009】
上記一の局面による映像出力装置において、好ましくは、制御部は、輝度の調整後における輝度調整画像の挿入時間を、輝度の調整前における輝度調整画像の挿入時間よりも長くなるように調整することにより、調整後の輝度を調整前の輝度よりも低くなるように調整するとともに、輝度の調整後における輝度調整画像の挿入時間を、輝度の調整前における輝度調整画像の挿入時間よりも短くなるように調整することにより、調整後の輝度を調整前の輝度よりも高くなるように調整する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、調整前の輝度と調整後の輝度とを異ならせることができるので、容易に、表示部の輝度を調整することができる。
【0010】
上記一の局面による映像出力装置において、好ましくは、輝度調整画像は、黒画像を含み、制御部は、左目用画像と右目用画像との間に挿入される黒画像の挿入時間を調整することにより輝度を調整する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、黒画像の挿入時間に応じて左目用画像および右目用画像が表示される表示部の輝度を調整することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、制御部は、輝度を調整する際には、左目用画像および右目用画像の表示時間を調整するとともに、調整された表示時間に応じて黒画像の挿入時間を調整する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、調整された表示時間に応じて左目用画像および右目用画像が表示される表示部の輝度を調整することができる。
【0012】
上記左目用画像および右目用画像の表示時間の調整時間に応じて黒画像の挿入時間を調整する映像出力装置において、好ましくは、制御部は、輝度の調整前における左目用画像または右目用画像の表示時間と黒画像の挿入時間との合計時間と、輝度の調整後における左目用画像または右目用画像の表示時間と黒画像の挿入時間との合計時間とが略等しくなるように輝度を調整する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、輝度の調整前と調整後とにおいて、左目用画像または右目用画像の表示時間と黒画像の挿入時間との合計時間が変化しないので、左目用画像を表示するタイミングと右目用画像を表示するタイミングとを変化させる制御を行うことなく表示部の輝度を調整することができる。
【0013】
上記黒画像を含む輝度調整画像を表示部に出力する映像出力装置において、好ましくは、照度を測定可能な照度センサをさらに備え、制御部は、照度センサにより測定された照度に基づいて、左目用画像と右目用画像との間に挿入される黒画像の挿入時間を調整することにより輝度を調整する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、照度センサにより測定された照度に基づいて、容易に、表示部の輝度を調整することができる。
【0014】
上記黒画像を含む輝度調整画像を表示部に出力する映像出力装置において、好ましくは、ユーザにより輝度を調整可能な輝度調整部をさらに備え、制御部は、ユーザにより輝度調整部が調整操作された際には、輝度調整部の調整量に応じて左目用画像と右目用画像との間に挿入される黒画像の挿入時間を調整することにより輝度を調整する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、輝度調整部の調整量に応じて、容易に、表示部の輝度を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置および眼鏡の全体図である。
【図2】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置および眼鏡のブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置の制御処理フローを示したフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置の輝度の調整前の左目用画像および右目用画像の表示時間と黒画像の挿入時間とを説明するための図である。
【図5】本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置の輝度の調整後の左目用画像および右目用画像の表示時間と黒画像の挿入時間とを説明するための図である。
【図6】本発明の第2実施形態による液晶テレビジョン装置および眼鏡のブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態による液晶テレビジョン装置の制御処理フローを示したフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態による液晶テレビジョン装置のコントラストボリュームによる輝度の調整前の左目用画像および右目用画像の表示時間と黒画像の挿入時間とを説明するための図である。
【図9】本発明の第2実施形態による液晶テレビジョン装置のコントラストボリュームによる輝度の調整後の左目用画像および右目用画像の表示時間と黒画像の挿入時間とを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置100の構成について説明する。
【0017】
本発明の第1実施形態による液晶テレビジョン装置100は、図1に示すように、2次元映像(2D)および3次元映像(3D)を表示する表示部1と、Bluetooth(登録商標)などにより、眼鏡200と無線通信を行う通信部2と、音声を出力するスピーカ部3とを含んでいる。また、眼鏡200は、液晶テレビジョン装置100の表示部1に表示される3次元映像を観察(鑑賞)するために用いられる。
【0018】
また、表示部1は、ユーザの左目に伝達される左目用画像および右目に伝達される右目用画像を表示するように構成されている。また、表示部1は、右目用画像と左目用画像とを所定の時間間隔で交互に表示することにより、3次元映像を表示可能に構成されている。また、表示部1は、左目用画像と右目用画像との間に黒画像を挿入して出力(表示)するように構成されている。この黒画像は、表示には寄与しない画像であるとともに、表示部1に表示される画像(左目用画像および右目用画像)の輝度を下げる機能を有している。
【0019】
また、図2に示すように、液晶テレビジョン装置100は、液晶テレビジョン装置100全体の制御を行う制御部4を備えている。また、制御部4と液晶テレビジョン装置100内の各部分とは、バス(伝送路)5によって互いに接続されることによって、制御信号および制御上のデータを互いに通信することが可能に構成されている。
【0020】
また、液晶テレビジョン装置100は、DVDレコーダ(録画再生装置)などと接続するための外部入力端子6と、アンテナ7を介して放送局から配信されるデジタルテレビジョン放送信号を受信する受信部8とを備えている。これら外部入力端子6および受信部8は、映像信号および音声信号の入出力を切り替える機能を有するAVセレクタ9に接続されている。
【0021】
また、AVセレクタ9には、受信部8からの映像・音声信号をデコード(復号)するためのAVデコーダ10が接続されている。AVデコーダ10は、AVセレクタ9によって分離された映像信号および音声信号のそれぞれに対してデコード処理(符号の復号化)を行い、映像データおよび音声データを生成する機能を有する。また、AVデコーダ10は、音声処理部11および映像処理部12に接続されている。
【0022】
また、音声処理部11は、AVデコーダ10からの音声信号を処理する機能を有する。また、音声処理部11は、制御部4の制御により、D/A変換処理(デジタル/アナログ変換処理)を施した上で、デジタルテレビジョン放送の番組などの音声をスピーカ部3に出力する機能を有している。
【0023】
また、映像処理部12は、表示部1に接続されており、制御部4の制御により、D/A変換処理を施した上で、デジタルテレビジョン放送の番組などの2次元映像と3次元映像とを切り替えて表示部1に表示されるように出力する機能を有している。また、映像処理部12は、制御部4の制御により、AVデコーダ10から3次元映像に関する映像信号が送信された場合には、3次元映像に関する映像信号を左目用画像の信号(L)と右目用画像の信号(R)とに分離する処理を行うように構成されている。
【0024】
また、制御部4は、バス5を介して、照度センサ13に接続されている。照度センサ13は、液晶テレビジョン装置100の設置場所(部屋)の照度を測定する機能をしており、測定した照度(測定値)を制御部4に送信する機能を有している。また、制御部4は、照度センサ13により測定された照度(測定値)に基づいて、左目用画像および右目用画像の表示時間と、左目用画像と右目用画像との間に挿入される黒画像の挿入時間とを調整することにより、左目用画像および右目用画像が表示される表示部1のユーザが視認する輝度を調整するように構成されている。また、映像処理部12は、制御部4の制御により、左目用画像および右目用画像と黒画像とを順次表示部1に出力するように構成されている。
【0025】
また、制御部4は、バス5を介して、バックライト14に接続されている。バックライト14は、制御部4の制御により、ライトの輝度(明るさ)を調整する機能を有している。
【0026】
また、眼鏡200は、眼鏡200全体の制御を司る制御部20と、液晶テレビジョン装置100の通信部2と無線通信を行うための通信部21と、電池22と、電源部23と、右目用ドライバ24と、左目用ドライバ25とを備えている。これら通信部21、電池22、電源部23、右目用ドライバ24および左目用ドライバ25は、制御部20に接続されている。
【0027】
また、右目用ドライバ24は、液晶シャッターからなる右目用シャッター24aを駆動するように構成されており、左目用ドライバ25は、液晶シャッターからなる左目用シャッター25aを駆動するように構成されている。また、液晶テレビジョン装置100の表示部1に3次元映像の右目用画像が表示されている場合には、制御部20は、眼鏡200の左目用シャッター25aを閉じる(見えなくなる)ことにより、ユーザの左目に右目用画像が入らないので、ユーザの右目だけで表示部1の右目用画像を観察(鑑賞)可能に制御するように構成されている。また、表示部1に左目用画像が表示されている場合には、制御部20は、眼鏡200の右目用シャッター24aを閉じる(見えなくなる)ことにより、ユーザの右目に左目用画像が入らないので、ユーザの左目だけで表示部1の左目用画像を観察(鑑賞)可能に制御するように構成されている。これにより、ユーザが眼鏡200を装着した状態で、表示部1に表示される3次元映像を立体的に観察(鑑賞)することが可能となる。
【0028】
次に、図3〜図5を参照して、第1実施形態による液晶テレビジョン装置100の制御動作について説明する。
【0029】
図3に示すように、ステップS1において、3次元映像信号が入力されるまでこの判断が繰り返され、3次元映像信号が入力されたと判断された場合には、ステップS2に進む。
【0030】
次に、ステップS2において、入力された3次元映像信号が映像処理部12により左目用画像および右目用画像(左右の画像信号)に分離された後に、ステップS3に進む。ステップS3において、照度センサがON状態であるか否かが判断される。ステップS3において、照度センサがON状態ではない(照度センサがOFF状態である)と判断された場合には、ステップS4に進む。なお、照度センサがON状態ではない(照度センサがOFF状態である)と判断された場合には、液晶テレビジョン装置100の設置場所(部屋)が最も明るい場合と同様の条件で、左目用画像および右目用画像の表示時間と、黒画像の挿入時間とが調整される。
【0031】
そして、ステップS4において、図4に示すように、1フレーム目の左目用画像が表示時間A1で表示部1に表示される。次に、2フレーム目の黒画像が挿入時間B1で表示部1に表示される。その後、3フレーム目の右目用画像が1フレーム目の左目用画像の表示時間と同じ表示時間A1で表示部1に表示される。そして、4フレーム目の黒画像が2フレーム目の黒画像の挿入時間と同じ挿入時間B1で表示部1に表示される。この後、左目用画像、黒画像、右目用画像および黒画像が順次表示部1に表示される。
【0032】
また、図3に示すように、ステップS3において、照度センサがON状態であると判断された場合には、ステップS5に進み、照度センサ13により液晶テレビジョン装置100の設置場所(部屋)の照度(明るさ)が測定される。ここで、液晶テレビジョン装置100の設置場所(部屋)の照度は、設置場所(部屋)が最も明るい場合と比べて、比較的暗いものとする。これにより、表示部1の輝度は、設置場所(部屋)が最も明るい場合と比べて、比較的低くてもよいと判断される。そして、ステップS6に進む。
【0033】
ここで、第1実施形態では、ステップS6において、液晶テレビジョン装置100の設置場所の照度に応じて、左目用画像および右目用画像の表示時間と、黒画像の挿入時間とが調整される。この場合、液晶テレビジョン装置100の設置場所の照度が比較的暗いので、表示部1の輝度が低くなるように、左目用画像および右目用画像の表示時間と、黒画像の挿入時間とが調整される。
【0034】
具体的には、図5に示すように、輝度の調整後の1フレーム目の左目用画像の表示時間A2は、輝度の調整前の1フレーム目の左目用画像の表示時間A1(図4参照)よりも短くなるように調整される。次に、輝度の調整後の2フレーム目の黒画像の挿入時間B2は、輝度の調整前の2フレーム目の黒画像の挿入時間B1(図4参照)よりも長くなるように調整される。その後、輝度の調整後の3フレーム目の左目用画像の表示時間A2は、輝度の調整前の3フレーム目の左目用画像の表示時間A1(図4参照)よりも短くなるように調整される。そして、輝度の調整後の4フレーム目の黒画像の挿入時間B2は、輝度の調整前の4フレーム目の黒画像の挿入時間B1(図4参照)よりも長くなるように調整される。これにより、輝度の調整前と調整後とにおいて、黒画像の挿入時間が長くなる分、輝度の調整後における表示部1の輝度は、輝度の調整前における輝度に比べて低くなる。
【0035】
また、輝度の調整前における左目用画像(右目用画像)の表示時間A1と黒画像の挿入時間B1との合計時間と、輝度の調整後における左目用画像(右目用画像)の表示時間A2と黒画像の挿入時間B2との合計時間とは、略等しくなるように調整される。その後、ステップS7に進む。
【0036】
次に、ステップS7において、黒画像の挿入時間が所定の時間よりも長いか否かが判断される。ステップS7において、黒画像の挿入時間が所定の時間よりも長いと判断された場合には、黒画像の挿入時間が所定の時間よりも長いことに起因して、表示画像にフリッカ(ちらつき)が発生する恐れがあると判断される。そして、ステップS8に進む。
【0037】
次に、ステップS8において、黒画像の挿入時間が所定の時間よりも長いと判断された場合には、フリッカが発生する恐れがあるため、黒画像の挿入時間を所定の時間以内に調整するとともに、バックライト14の輝度(明るさ)が低くなるように調整される。つまり、黒画像の挿入時間の調整と、バックライト14の輝度の調整とを併用することにより、表示部1の輝度が調整される。
【0038】
その後、ステップS4に進み、黒画像の挿入時間の調整と、バックライト14の輝度の調整とが併用された状態で、左目用画像、黒画像、右目用画像および黒画像が順次表示部1に表示される。
【0039】
また、ステップS7において、黒画像の挿入時間が所定の時間よりも長くない(所定の時間以内)と判断された場合には、フリッカが発生する恐れがないと判断された後に、ステップS4に進み、図5に示すように、1フレーム目〜4フレーム目の画像が表示される。なお、液晶テレビジョン装置100の設置場所の照度(明るさ)が変わった場合には、照度センサ13により、再度設置場所の照度が測定された後に、設置場所の照度に応じて左目用画像および右目用画像の表示時間と黒画像の挿入時間とが調整される。
【0040】
第1実施形態では、上記のように、表示部1に表示される左目用画像と右目用画像との間に挿入される黒画像の挿入時間B1(B2)を調整することにより輝度を調整することによって、輝度を調整するためにコントラストアンプなどを用いた場合と異なり、左目用画像および右目用画像の信号処理を行わないので、左目用画像および右目用画像の信号が劣化するのを抑制しながら、黒画像の挿入時間B1(B2)の調整により表示部1の輝度を調整することができる。
【0041】
また、第1実施形態では、上記のように、輝度の調整後における黒画像の挿入時間B2を、輝度の調整前における黒画像の挿入時間B1よりも長くなるように調整することにより、調整後の輝度を調整前の輝度よりも低くなるように調整するとともに、輝度の調整後における黒画像の挿入時間B2を、輝度の調整前における黒画像の挿入時間B1よりも短くなるように調整することにより、調整後の輝度を調整前の輝度よりも高くなるように調整することによって、調整前の輝度と調整後の輝度とを異ならせることができるので、容易に、表示部1の輝度を調整することができる。
【0042】
また、第1実施形態では、上記のように、輝度を調整する際には、左目用画像および右目用画像の表示時間A1を調整するとともに、調整された表示時間に応じて黒画像の挿入時間B1を調整することによって、調整された表示時間に応じて左目用画像および右目用画像が表示される表示部1の輝度を調整することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、上記のように、輝度の調整前における左目用画像または右目用画像の表示時間A1と黒画像の挿入時間B1との合計時間と、輝度の調整後における左目用画像または右目用画像の表示時間A2と黒画像の挿入時間B2との合計時間とが略等しくなるように輝度を調整することによって、輝度の調整前と調整後とにおいて、左目用画像または右目用画像の表示時間A1(A2)と黒画像の挿入時間B1(B2)との合計時間が変化しないので、左目用画像を表示するタイミングと右目用画像を表示するタイミングとを変化させる制御を行うことなく表示部1の輝度を調整することができる。
【0044】
また、第1実施形態では、上記のように、照度センサ13により測定された照度に基づいて、左目用画像と右目用画像との間に挿入される黒画像の挿入時間B1を調整することにより輝度を調整することによって、照度センサ13により測定された照度に基づいて、容易に、表示部1の輝度を調整することができる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、図6を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態による液晶テレビジョン装置101では、照度センサにより測定された照度(測定値)に基づいて左目用画像および右目用画像の表示時間と黒画像の挿入時間とを調整する上記第1実施形態とは異なり、ユーザによりコントラストボリュームが調整操作された際に、コントラストボリュームの調整量に応じて左目用画像および右目用画像の表示時間と黒画像の挿入時間とを調整する例について説明する。
【0046】
第2実施形態による液晶テレビジョン装置101では、制御部4は、バス5を介して、コントラストボリューム30に接続されている。なお、コントラストボリューム30は、本発明の「輝度調整部」の一例である。このコントラストボリューム30は、ユーザによりコントラストボリューム30が調整操作された際に、コントラストボリューム30の調整量に応じた信号を制御部4に送信するように構成されている。また、制御部4は、ユーザによるコントラストボリューム30の調整量に応じて左目用画像および右目用画像の表示時間と黒画像の挿入時間とを調整するように構成されている。たとえば、ユーザによりコントラストボリューム30を下げるように調整操作された場合には、制御部4は、左目用画像および右目用画像の表示時間を短くするとともに、黒画像の挿入時間を長くすることによって、表示部1の輝度が低く(暗く)なるように調整するように構成されている。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0047】
次に、図7〜図9を参照して、第2実施形態による液晶テレビジョン装置101の制御動作について説明する。
【0048】
図7に示すように、ステップS11において、3次元映像信号が入力されるまでこの判断が繰り返され、3次元映像信号が入力されたと判断された場合には、ステップS12に進む。
【0049】
次に、ステップS12において、入力された3次元映像信号が映像処理部12により左目用画像および右目用画像(左右の画像信号)に分離された後に、ステップS13に進む。ステップS13において、ユーザによりコントラストボリューム30が調整操作されたか否かが判断される。ステップS13において、ユーザによりコントラストボリューム30が調整操作されていないと判断された場合には、ステップS14に進む。なお、ユーザによりコントラストボリューム30が調整操作されていないと判断された場合には、表示部1の輝度が最も高い(明るい)状態に調整される。
【0050】
ステップS14において、図8に示すように、1フレーム目の左目用画像が表示時間A3で表示部1に表示される。次に、2フレーム目の黒画像が挿入時間B3で表示部1に表示される。その後、3フレーム目の右目用画像が1フレーム目の左目用画像の表示時間と同じ表示時間A3で表示部1に表示される。そして、4フレーム目の黒画像が2フレーム目の黒画像の挿入時間と同じ挿入時間B3で表示部1に表示される。この後、左目用画像、黒画像、右目用画像および黒画像が順次表示部1に表示される。
【0051】
また、図7に示すように、ステップS13において、ユーザによりコントラストボリューム30が調整操作されたと判断された場合には、ステップS15に進む。
【0052】
次に、ステップS15において、第2実施形態では、ユーザのコントラストボリューム30の調整量に応じて、左目用画像および右目用画像の表示時間と黒画像の挿入時間とが調整される。ここで、ユーザは、輝度を低くするためにコントラストボリューム30を任意の位置(ユーザ設定位置)まで調整操作したものとする。この場合、図9に示すように、コントラストボリューム30の輝度の調整後の1フレーム目の左目用画像の表示時間A4は、コントラストボリューム30の輝度の調整前の1フレーム目の左目用画像の表示時間A3(図8参照)よりも短くなるように調整される。次に、輝度の調整後の2フレーム目の黒画像の挿入時間B4は、輝度の調整前の2フレーム目の挿入時間B3(図8参照)よりも長くなるように調整される。その後、輝度の調整後の3フレーム目の左目用画像の表示時間A4は、輝度の調整前の3フレーム目の左目用画像の表示時間A3(図8参照)よりも短くなるように調整される。そして、輝度の調整後の4フレーム目の黒画像の挿入時間B4は、輝度の調整前の4フレーム目の黒画像の挿入時間B3(図8参照)よりも長くなるように調整される。これにより、輝度の調整前と調整後とにおいて、黒画像の挿入時間が長くなる分、輝度の調整後における表示部1の輝度は、調整前に比べて低くなるように調整される。
【0053】
また、輝度の調整前における左目用画像(右目用画像)の表示時間A3と黒画像の挿入時間B3との合計時間と、輝度の調整後における左目用画像(右目用画像)の表示時間A4と黒画像の挿入時間B4との合計時間とは、略等しくなるように調整される。その後、ステップS16に進む。
【0054】
次に、ステップS16において、黒画像の挿入時間が所定の時間よりも長いか否かが判断される。ステップS16において、黒画像の挿入時間が所定の時間よりも長いと判断された場合には、黒画像の挿入時間が所定の時間よりも長いことに起因して、表示画像にフリッカ(ちらつき)が発生する恐れがあると判断される。そして、ステップS17に進む。
【0055】
次に、ステップS17において、黒画像の挿入時間が所定の時間よりも長いと判断された場合には、フリッカが発生する恐れがあるため、黒画像の挿入時間を所定の時間以内に調整するとともに、バックライト14の輝度(明るさ)が低くなるように調整される。つまり、黒画像の挿入時間の調整と、バックライト14の輝度の調整とを併用することにより、表示部1の輝度が調整される。その後、ステップS14に進む。
【0056】
次に、ステップS14において、黒画像の挿入時間の調整と、バックライト14の輝度の調整とが併用された状態で、左目用画像、黒画像、右目用画像および黒画像が順次表示部1に表示される。
【0057】
また、ステップS16において、黒画像の挿入時間が所定の時間よりも長くない(所定の時間以内)と判断された場合には、フリッカが発生する恐れがないと判断された後に、ステップS14に進み、図9に示すように、1フレーム目〜4フレーム目までの画像が表示される。
【0058】
第2実施形態では、上記のように、ユーザによりコントラストボリューム30が調整操作された際には、コントラストボリューム30の調整量に応じて左目用画像と右目用画像との間に挿入される黒画像の挿入時間B3(B4)を調整することにより輝度を調整することによって、コントラストボリューム30の調整量に応じて、容易に、表示部1の輝度を調整することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0059】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0060】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、本発明の映像出力装置の一例として、液晶テレビジョン装置を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、3次元映像を表示することが可能な表示部が設けられていれば、液晶テレビジョン装置以外の映像出力装置でもよい。
【0061】
また、上記第1および第2実施形態では、照度センサによる照度の測定値またはコントラストボリュームの調整量に基づいて、制御部が輝度を調整する制御を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、照度センサやコントラストボリューム以外の装置やスイッチなどによる測定値(検出値)や調整量に基づいて、制御部が輝度を調整する制御を行ってもよい。
【0062】
また、上記第1および第2実施形態では、輝度を下げるための輝度調整画像の一例として、黒画像を適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、輝度を下げることが可能であれば黒画像以外の画像でも適用可能である。
【0063】
また、上記第1および第2実施形態では、黒画像の挿入時間と、左目用画像および右目用画像の表示時間との両方を調整する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、黒画像の挿入時間を調整する一方、左目用画像および右目用画像の表示時間を調整しなくてもよい。
【0064】
また、上記第1および第2実施形態では、輝度の調整前と調整後とにおいて、左目用画像および右目用画像の表示時間と、黒画像の挿入時間との合計時間が略等しくなるように調整する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、黒画像の挿入時間を調整することにより輝度が調整されるものであれば、輝度の調整前と調整後とにおいて、左目用画像および右目用画像の表示時間と、黒画像の挿入時間との合計時間が異なってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 表示部
4 制御部
13 照度センサ
30 コントラストボリューム(輝度調整部)
100、101 液晶テレビジョン装置(映像出力装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左目に伝達される左目用画像および右目に伝達される右目用画像をそれぞれ表示するとともに、前記左目用画像と前記右目用画像との間に表示には寄与しない輝度を下げるための輝度調整画像を挿入して出力する表示部と、
前記表示部に表示される前記左目用画像と前記右目用画像との間に挿入される前記輝度調整画像の挿入時間を調整することにより輝度が調整されるように制御する制御部とを備える、映像出力装置。
【請求項2】
前記制御部は、輝度の調整後における前記輝度調整画像の挿入時間を、輝度の調整前における前記輝度調整画像の挿入時間よりも長くなるように調整することにより、調整後の輝度を調整前の輝度よりも低くなるように調整するとともに、輝度の調整後における前記輝度調整画像の挿入時間を、輝度の調整前における前記輝度調整画像の挿入時間よりも短くなるように調整することにより、調整後の輝度を調整前の輝度よりも高くなるように調整する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の映像出力装置。
【請求項3】
前記輝度調整画像は、黒画像を含み、
前記制御部は、前記左目用画像と前記右目用画像との間に挿入される前記黒画像の挿入時間を調整することにより輝度を調整する制御を行うように構成されている、請求項1または2に記載の映像出力装置。
【請求項4】
前記制御部は、輝度を調整する際には、前記左目用画像および前記右目用画像の表示時間を調整するとともに、前記調整された表示時間に応じて前記黒画像の挿入時間を調整する制御を行うように構成されている、請求項3に記載の映像出力装置。
【請求項5】
前記制御部は、輝度の調整前における前記左目用画像または前記右目用画像の表示時間と前記黒画像の挿入時間との合計時間と、輝度の調整後における前記左目用画像または前記右目用画像の表示時間と前記黒画像の挿入時間との合計時間とが略等しくなるように輝度を調整する制御を行うように構成されている、請求項4に記載の映像出力装置。
【請求項6】
照度を測定可能な照度センサをさらに備え、
前記制御部は、前記照度センサにより測定された照度に基づいて、前記左目用画像と前記右目用画像との間に挿入される前記黒画像の挿入時間を調整することにより輝度を調整する制御を行うように構成されている、請求項3〜5のいずれか1項に記載の映像出力装置。
【請求項7】
ユーザにより輝度を調整可能な輝度調整部をさらに備え、
前記制御部は、ユーザにより前記輝度調整部が調整操作された際には、前記輝度調整部の調整量に応じて前記左目用画像と前記右目用画像との間に挿入される前記黒画像の挿入時間を調整することにより輝度を調整する制御を行うように構成されている、請求項3〜5のいずれか1項に記載の映像出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−191588(P2012−191588A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55764(P2011−55764)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】