説明

映像投射システム

【課題】投射手段に対する遠隔操作を、長期間安定して行うことができる映像投射システムを提供すること。
【解決手段】液晶プロジェクタ10と、前記液晶プロジェクタのリモートコントローラ20と、を含む映像投射システムである。
前記リモートコントローラ20は、ポインティングデバイス部28と、操作キー22と、操作信号をワイヤレス送信する発光部36とを含む。前記液晶プロジェクタ10は、前記ワイヤレス送信信号を受信する受光部14を含む。
そして、前記リモートコントローラは、ポインティングデバイス部28が所定時間操作されない場合には、前記ポインティングデバイス部28への給電を停止するスリープ動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像投射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータを主制御手段として利用したマルチメディアプレゼンテーションシステムの開発実用化が進められている。このようなシステムの1つとして、液晶プロジェクタをパーソナルコンピュータによって制御し、コンピュータの画像を、液晶プロジェクタを用いてスクリーン上に投射させるものがある。
【0003】
この画像投射システムは、コンピュータのディスプレイ上に表示されている画像と同一の画像を、液晶プロジェクタを用い大きな画像として表示することができるため、多人数を相手にしたプレゼンテーションを行う場合に、極めて好適なものとなる。
【特許文献1】米国特許第5,204,768号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記映像投射システムでは、コンピュータ本体に接続されたマウスを操作して、投射画像上に表示されたカーソルの位置制御を行う。このため、プレゼンターが、プレゼンテーションの進展に合わせて、手元でカーソル位置の変更操作を行うことができない。すなわち、カーソル位置の変更を行う場合には、その都度プレゼンテーションを中断し、コンピュータ本体のマウス設置位置までプレゼンター自身が移動しなければならず、システムの使い勝手が悪いという問題がある。
【0005】
これに加えて、液晶プロジェクタの表示制御、例えばページ送り、ページ戻し、等の各種制御は、同様にコンピュータ本体に接続されたキーボードを操作しなければならず、この面からも極めて使い勝手の悪いという問題がある。
【0006】
この問題を解決するため、前記映像投射システムに、プレゼンター以外に、専用のコンピュータオペレータを配置することも考えられるが、このようにするとシステム運営にコストがかかるばかりでなく、プレゼンターと、コンピュータオペレータとの意気が合わないと、スムーズなプレゼンテーションが行えないという問題が生ずる。
【0007】
本発明の目的は、投射手段に対する遠隔操作を、長期間安定して行うことができる映像投射システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の映像投射システムは、
位置マークを含む画像を投射する投射手段と、
位置マークの表示位置制御用のポインティングデバイス及び操作キーを含む操作部を備えたリモートコントローラと、
を含み、
前記リモートコントローラは、
前記ポインティングデバイスが所定時間操作されない場合には、前記ポインティングデバイスの機能を停止するスリープ動作を行う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に実施の形態を説明する。
【0010】
(1)本実施の形態の映像投射システムは、
任意の表示エリアに向け画像を投射する投射手段と、
主ポインティングデバイスを含む主操作部と、
前記主操作部からの操作信号及び所定の制御プログラムに基づき、前記投射手段を制御し、かつ投射画像上に位置マークを表示させる主制御手段と、
前記投射手段のリモートコントローラと、
を含み、
前記リモートコントローラは、
ポインティングデバイスと、
操作信号をワイヤレス送信するワイヤレス送信手段と、
を含み、
前記投射手段は、
前記操作信号を受信するワイヤレス受信手段を含むよう形成され、
前記主制御手段は、
受信信号を主制御手段に転送するよう前記投射手段を制御する手段と、
前記主ポインティングデバイスからの操作信号と、前記リモートコントローラのポインティングデバイスからの操作信号との競合を判定する判定手段と、
を含み、競合した場合には、前記主ポインティングデバイスの操作信号に基づき、前記位置マークの表示位置を制御し、競合しない場合には、転送されてくる前記ポインティングデバイス操作信号に基づき、前記位置マークの表示位置を制御することを特徴とする。
【0011】
また、本実施の形態の映像投射システムの制御方法は、
任意の表示エリアに向け画像を投射する投射手段と、
主操作部からの操作信号及び所定の制御プログラムに基づき、前記投射手段を制御し、投射手段の投射する投射画面上に位置マークを表示させる主制御手段と、
前記投射手段へ向けリモートコントロール信号をワイヤレス送信するリモートコントローラと、
を含む映像投射システムにおいて、
前記リモートコントローラから前記投射手段に向けポインティングデバイス操作信号をワイヤレス送信する工程と、
投射手段の受信したポインティングデバイス操作信号を主制御手段に転送する工程と、
前記主ポインティングデバイスからの操作信号と、前記リモートコントローラのポインティングデバイスからの操作信号との競合を判定する工程と、
競合した場合には、前記主ポインティングデバイスの操作信号に基づき、前記位置マークの表示位置を制御し、競合しない場合には、転送されてくる前記ポインティングデバイス操作信号に基づき、前記位置マークの表示位置を制御する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0012】
本実施の形態では、主操作部からの操作信号及び所定の制御プログラムに基づき、主制御手段が投射手段を制御し、任意の表示エリアに画像を投射させる。
【0013】
このとき、投射手段から投射する画像は、例えば主制御手段の演算した画像そのものでもよく、またVTRやレーザディスクプレーヤ等の映像信号を再生する映像再生手段の出力映像を投射するようにしてもよい。
【0014】
このとき、前記投射画像には、主制御手段によって制御されるカーソル等の位置マークが表示される。
【0015】
本実施の形態では、リモートコントローラにポインティングデバイスを設け、このポインティングデバイスの操作信号を投射手段へ向けワイヤレス送信している。そして、投射手段は、受信したポインティングデバイス操作信号を主制御手段に転送し、主制御手段は、このポインティングデバイス操作信号に基づき、投射画像上に表示される位置マークの表示位置を制御する。
【0016】
このような構成とすることにより、操作者は手元のリモートコントローラのポインティングデバイスを操作するのみで、投射画像上における位置マークの表示位置を自由に制御することができる。
【0017】
従って、前記投射手段として液晶プロジェクタを用い、前記主制御手段としてパーソナルコンピュータを用いてシステムを構築し、例えばパーソナルコンピュータの画像を液晶プロジェクタを用いて大画面表示しながらプレゼンテーションを行うような場合、プレゼンターは、手元のリモートコントローラのポインティングデバイスを制御することにより、プレゼンテーションの進行に合わせてカーソル等の位置マークの表示位置を変更でき、スムーズなプレゼンテーションを行うことが可能となる。
【0018】
また、このようなシステムでは、主制御手段に、カーソル等の位置マークの表示位置を変更させるための主ポインティングデバイスが接続されているが多い。従って、主ポインティングデバイスの操作と、リモートコントローラのポインティングデバイスの操作とが競合した場合、どちらを優先するかが問題となる。本実施の形態は、システムの安全性を維持するために、前述した競合が発生した場合に、主ポインティングデバイスの操作信号を優先し、位置マークの表示位置を制御するよう構成している。
【0019】
(2)また、(1)において、
前記主制御手段は、
前記投射手段を制御するためのアプリケーションプログラムがインストールされ、前記アプリケーションプログラム及び前記主操作部からの操作信号に基づき前記投射手段を制御するように形成してもよい。
【0020】
以上の構成とすることにより、市販のアプリケーションプログラムを利用してマルチメディアプレゼンテーションシステムを構築した場合でも、プレゼンターは、手元のリモートコントローラを用い投射画像上における位置マークの表示位置制御を簡単に行うことができる。
【0021】
(3)また、(1)(2)のいずれかにおいて、
前記リモートコントローラは、
前記主操作部の操作が割付可能な操作キーを含み、
前記主制御手段は、
前記リモートコントローラの操作キーに対する、前記主操作部の操作の割り付けを行う割付手段を含み、前記操作キーからの入力信号に基づき前記投射手段を制御するようにしてもよい。
【0022】
以上の構成することにより、使用者が手元のリモートコントローラに設けられた操作キーを操作することにより、主操作部を操作した場合と同様な信号入力を行うことができる。これにより、システム全体の使い勝手をより便利なものとすることができる。
【0023】
(4)また、(3)において、
前記主制御手段は、
前記リモートコントローラからの入力信号と、前記キーボードからの入力信号との競合を判定する判定手段を含み、競合した場合には、前記主操作部からの入力信号に基づき前記投射手段を制御するようにしてもよい。
【0024】
リモートコントローラからの入力信号と、キーボードからの入力信号とが競合した場合に、キーボードからの入力信号を優先することができ、システム全体の安全性を高めることができる。
【0025】
(5)また、(1)〜(4)のいずれかにおいて、
前記主制御手段は、
ディスプレイを備え、アプリケーションプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータとして形成され、
前記主操作部は、
前記パーソナルコンピュータに接続されたキーボード及びポインティングデバイスを含んで形成され、
前記投射手段は、
前記パーソナルコンピュータにより制御され、前記パーソナルコンピュータまたは映像再生手段から供給される映像を投射するよう形成してもよい。
【0026】
以上の構成とすることにより、市販のパーソナルコンピュータと、プロジェクタとを組合せ、プロジェクタを用いて投影される大画面を利用したマルチメディアプレゼンテーションシステムを構築することができる。
【0027】
(6)また、本実施の形態は、
任意の表示エリアに向け位置マークを含む画像を投射する投射手段と、
位置マークの表示位置制御用のポインティングデバイス、点灯キー及び操作キーを含む操作部を備えたリモートコントローラと、
所定の制御プログラム及び前記操作部の操作信号に基づき前記投射手段を制御し、かつ前記ポインティングデバイスの操作信号に基づき前記位置マークの表示位置を制御する主制御手段と、
を含み、
前記リモートコントローラは、
前記点灯キーの点灯指示に基づき操作部を照明する照明部と、
前記ポインティングデバイスの操作中には、点灯中の前記照明部を強制的に消灯制御する点灯制御部と、
を含むようにしてもよい。
【0028】
本実施の形態において、リモートコントローラは点灯キーの点灯指示に基づき照明部が点灯し、操作部がライトアップされる。この時、リモートコントローラのポインティングデバイスを操作すると、点灯中の照明部が強制的に消灯制御される。
【0029】
即ち、ポインティングデバイスが操作されると、このポインティングデバイスの動作を検出するために一時的に消費電力が大きくなり電源回路の電圧が低下する。これにより、リモートコントローラ内部の回路の動作が不安定になり、リモートコントロール操作も不安定になる場合がある。
【0030】
本実施の形態では、このような問題を解決するために、ポインティングデバイスの動作と同時に、照明部を強制的にオフ制御することにより、電源回路の不安定さが除去され、安定した遠隔制御を実現することができる。
【0031】
なお、本実施の形態において、ポインティングデバイスの操作中は、点灯中の照明部を強制的に消灯制御し、ポインティングデバイスの操作終了後は、照明部を再度点灯制御するように構成することが好ましい。
【0032】
(7)また、(6)において、
前記点灯制御部は、
前記ポインティングデバイスが所定時間操作されない場合には、前記点灯キーからの点灯指示を受け付けないスリープ動作を行うようにしてもよい。
【0033】
即ち、リモートコントローラのポインティングデバイスが一定時間全く動作しない場合には、リモートコントローラそのものが動作していないと判断し、点灯キーからの点灯指示があっても、照明部を強制的にオフ制御をする。
【0034】
このような構成とすることにより、リモートコントローラを使用していない場合に、何らかの原因で点灯キーがオンしてしまったような場合でも、リモートコントローラの消費電力の節減を図ることができ、この結果、長期間安定したリモートコントロール操作を行える映像投射システムを実現することができる。
【0035】
特に、本実施の形態は、照明部を用いたリモートコントローラのライトアップ機能を、ポインティングデバイスの動作に連動して強制的にオフしたり、またスリープ動作させることにより、リモートコントローラの消費電力を節減することができ、しかも回路確保の安定的な動作を実現し、安定した遠隔制御を実現することができる。
【0036】
(8)また、本実施の形態は、
任意の表示エリアに向け位置マークを含む画像を投射する投射手段と、
位置マークの表示位置制御用のポインティングデバイス及び操作キーを含む操作部を備えたリモートコントローラと、
所定の制御プログラム及び前記操作部の操作信号に基づき前記投射手段を制御し、かつ前記ポインティングデバイスの操作信号に基づき前記位置マークの表示位置を制御する主制御手段と、
を含み、
前記リモートコントローラは、
前記ポインティングデバイスが所定時間操作されない場合には、前記ポインティングデバイスへの給電を停止するスリープ動作を行うことを特徴とする。
【0037】
即ち、リモートコントローラのポインティングデバイスが一定時間全く動作しない場合には、リモートコントローラそのものが動作していないと判断し、電力消費の大きいポインティングデバイスへの電力供給を強制的にオフ制御をする。
【0038】
このような構成とすることにより、リモートコントローラを使用していない場合に、何らかの原因でポインティングデバイスが操作してしまったような場合でも、リモートコントローラの消費電力の節減を図ることができ、この結果、長期間安定したリモートコントロール操作を行える映像投射システムを実現することができる。
【0039】
(9)また、本実施の形態は、
任意の表示エリアに向け位置マークを含む画像を投射する投射手段と、
位置マークの表示位置制御用のポインティングデバイス及び操作キーを含む操作部を備えたリモートコントローラと、
所定の制御プログラム及び前記操作部の操作信号に基づき前記投射手段を制御し、かつ前記ポインティングデバイスの操作信号に基づき前記位置マークの表示位置を制御する主制御手段と、
を含み、
前記リモートコントローラは、
前記ポインティングデバイス及び前記キーの組合せ操作により、前記投射手段の調整信号を送信することを特徴とする。
【0040】
本実施の形態によれば、ポインティングデバイス及び操作キーの組合せ操作により、リモートコントローラから投射手段の調整信号を送信し、投射手段の調整を離れた位置から行うことができる。
【0041】
特に、本実施の形態では、ポインティングデバイス及びキーの組合せ操作により、リモートコントローラから投射手段の調整信号を送信するよう構成されている。このため、リモートコントローラに割り付けられた限られた個数のキーを用い投射手段の調整を効果的に行うことができる。
【0042】
(10)また本実施の形態は、(9)において、
前記操作部は、
前記組合せ操作されるポインティングデバイス及びキーが、互いに関連づけられてグループ設定表示されるようにしてもよい。
【0043】
(11)また本実施の形態は、(10)において、
前記操作部は、
前記組合せ操作されるポインティングデバイス及びキーが、同一色でグループ設定表示されるようにしてもよい。
【0044】
このようにコントローラの操作部において、組合せ操作させるポインティングデバイス及びキーを、互いに関連づけてグループ設定表示することにより、これらの組合せにより、投射手段の調整機能があることを、使用者に分かり易く伝達することができ、使用時の使い勝手が極めて良好なものとなる。
【0045】
特に、(11)の実施形態のように、組合せ操作されるポインティングデバイス及びキーを、同一色でグループ設定表示することにより、前記組合せ表示を、使用者により分かり易く、かつ簡単に行うことができる。
【0046】
(12)また、本実施の形態は、
任意の表示エリアに向け画像を投射する投射手段と、
前記投射手段のリモートコントローラと、
を含み、
前記リモートコントローラは、
操作信号をワイヤレス送信するワイヤレス送信手段を含み、
前記投射手段は、
異なる方向から送信される前記操作信号を受信する複数のワイヤレス受信手段を含むよう形成されたことを特徴とする。
【0047】
このような構成とすることにより、投射手段と、リモートコントローラとの相対位置がどのように変化しても、リモートコントローラからの信号を確実に投射手段に向けて送信し、安定した遠隔制御を実現することができる。
【0048】
特に、リモートコントローラを用いて投射手段を制御しながら、他人数を相手にしたプレゼンテーションを行うような場合には、プレゼンターは場所を移動しながら、プレゼンテーションを行うことが多い。このような場合、プレゼンターの手にしたリモートコントローラと、投射手段との相対位置が随時変化しても、本実施の形態によれば、確実にそのリモートコントロール信号を投射手段に向け送信し、安定した遠隔操作を行うことが可能となる。
【0049】
次に本発明の最良の形態を示す実施例を、図面に基づき詳細に説明する。
【0050】
図1には、投射手段である液晶プロジェクタ10を用い、その投射口12から任意の表示エリア、例えばスクリーン16上に所定の画像を投射している様子が示されている。このとき、前記液晶プロジェクタ10は、複数のビデオソースと接続可能に形成されている。
【0051】
実施例では、2個のビデオソースと接続可能に形成されており、第1のビデオソース端子は、映像信号を供給するコンピュータと接続するように形成され、第2のビデオソース端子はビデオデッキ、ビデオカメラ、ビデオディスクプレーヤなどの映像再生装置と接続するように形成されている。そして、ビデオソースを切り換えることにより、コンピュータや、映像再生装置からの映像信号を選択してスクリーン16上に大きな画面として投影することができる。
【0052】
前記液晶プロジェクタ10は、プロジェクタ本体に設けられた各種操作部を操作することにより、その基本的な操作を行うことができるが、本実施例では、プロジェクタ用のリモートコントローラ20を用い、液晶プロジェクタ10を遠隔操作をするように構成されている。
【0053】
図2に示すよう、リモートコントローラ20の先端には、ワイヤレス送信手段として赤外線発光部36が設けられ、操作信号をプロジェクタ10に向け送信する。
【0054】
液晶プロジェクタ10の前面及び背面には、水平方向の受光範囲が左右30度づつ、合計60度に設定された赤外線受光部14a、14bがワイヤレス受信手段として設置されている。従って、操作者は、プロジェクタ10の前方及び後方のどちらの側からも、リモートコントローラ20を用いて、プロジェクタ10を遠隔操作することができる。
【0055】
図3には、前記リモートコントローラ20の平面概略図が示されている。
【0056】
電源がオンされた液晶プロジェクタ10を遠隔操作するために、前記リモートコントローラ20は、複数のボタンから構成されたキー群22が配置された操作部400が設けられている。
【0057】
前記キー群22は、スタンバイボタン22a、ソース切替ボタン22b、音量調整ボタン22c、消音ボタン22d、フリーズボタン22e、明るさ調整ボタン22f、ライトアップボタン22g、同期調整ボタン22h、その他のボタン24a,24b,24cを含んで構成される。
【0058】
前記スタンバイボタン22aを押すと、液晶プロジェクタ10のランプが点灯して、ウォームアップを開始する。前記ソース切替ボタン22bを操作すると、表示映像が、前記第1のソースと第2のソースとに選択的に切り替わる。前記音量調整ボタン22cを操作すると、液晶プロジェクタ10内に設けられたスピーカから出力される映像音声の音量を調整できる。消音ボタン22dを操作すると、音声を消去でき、再度、消音ボタン22dを操作すると音声出力がもとに戻る。前記フリーズボタン22eを操作すると、表示されている映像が静止する。再度このボタンを操作することにより、静止状態は解除される。明るさ調整ボタン22fを操作することにより、画像の明るさを調整できる。ライトアップボタン22gを操作すると、リモコン20の操作部400が約10秒間点灯し、暗闇での操作を容易にする。同期調整ボタン22hを操作することにより、ちらついた画面やぼやけた画面が最も鮮明になるように調整できる。
【0059】
なお、ライトアップボタン22gの操作に基づき、操作部400をライトアップする照明機構の構成は後述する。
【0060】
このようなキー群22と同様な操作部は、ライトアップボタン22gを除きすべて液晶プロジェクタ本体にも設けられている。
【0061】
リモートコントローラ20は、液晶プロジェクタ10に設けられたこれら操作部と同様な操作を、離れた所から行うことを可能としている。
【0062】
図4に示すよう、本実施例では、前記液晶プロジェクタ10及びそのリモートコントローラ20と、主制御手段として機能するパーソナルコンピュータ40と組み合わせ、パーソナルコンピュータ40を用い液晶プロジェクタ10を制御するマルチメディアプレゼンテーション用の映像投射システムを構築したことを特徴とする。
【0063】
パーソナルコンピュータ40は、コンピュータ本体42と、前述したディスプレイ44と、コンピュータ本体42に接続され主操作部として機能するキーボード46及びマウス48とを含んで構成される。なお、前記液晶プロジェクタ10と、パーソナルコンピュータ40の本体42とは、シリアル通信ライン(RS−235C)50を介して接続され、デジタルデータをシリアル通信するように構成されている。
【0064】
このようにコンピュータ40から直接液晶プロジェクタ10を操作するシステムを構築することにより、例えば、実施例のシステムを用いてプレゼンテーションを行う場合に、プレゼンテーションを中断することなく、プロジェクタ10の各種の調整、例えば画面の明るさ、音量調整等の各種の操作のみならず、画面のページ送り、ページ戻しやウンドウのオープン、クローズといったプレゼンテーション用表示画像の制御を行うことができる。
【0065】
前記コンピュータ本体42内には、予めオペレーティングシステム100と、プロジェクタ10のドライバーソフトウエア110とがインストールされ、内蔵されたメモリ内に記憶されている。さらにこのコンピュータ本体42には、各種のアプリケーションソフトウエアがインストールされている。実施例では、プレゼンテーション用のアプリケーションソフトウエアがインストールされているものとする。
【0066】
前記ドライバーソフトウエア110は、デバイスドライバーの一種である。このドライバーソフトウエア110は、オペレーティングシステム100やアプリケーションソフトウエア120が発した命令に従って、コンピュータ40に、実際の細かい処理や情報のやり取りを液晶プロジェクタ10との間で行わせる。
【0067】
特に、実施例のドライバーソフトウエア110は、前記シリアル通信ライン50を介して液晶プロジェクタ10を完全に制御管理するように形成されており、具体的には、プロジェクタ10の映像とは全く異なる調整用の画面をコンピュータ40のディスプレイ44上に表示し、液晶プロジェクタ10の明るさ、音量、その他前記リモートコントローラ20によるプロジェクタ操作や、プロジェクタ10本体に設定された操作部を用いた操作を行えるように形成されている。このような操作は、具体的にはオペレータがマウス48やキーボード46を操作し、コンピュータ40に所望の指令を与えることにより行われる。
【0068】
また、前述したようにプレゼンテーション用のアプリケーションソフトウエア120を、コンピュータ本体42にインストールし、プロジェクタ10を用いプレゼンテーション用の画像をスクリーン16上へ表示し、プレゼンテーション等を行う場合には、パーソナルコンピュータ40のオペレータが、キーボード46を操作し、所定のキー入力を行ったり、またポインティングデバイスして機能するマウス48を操作し、カーソル等の表示位置を制御することが行われる。
【0069】
特に、カーソルを画面の一部を指し示してプレゼンテーションを行う場合、カーソルを所望アイコンの表示位置まで移動させ、コマンドの選択を行う場合、また画面内のある表示エリアを拡大もしくは縮小表示するような場合、あるいは画面中に他のウィンドウを開くような場合には、マウス48を用いカーソルの表示位置を制御することが通常行われる。
【0070】
また、パーソナルコンピュータ40に対し、各種のコマンドを入力したり、あるいは文字等の入力を行う場合には、オペレータがキーボード46を必要に応じて操作し、所望のキー入力を行う。
【0071】
このため、図4に示すようなパーソナルコンピュータ40及びプロジェクタ10を組み合わせた映像投射システムを採用した場合には、前述したマウス48やキーボード46の操作は、オペレータがパーソナルコンピュータ40付近に居なければ行うことができない。このため、プロジェクタ10を用いてプレゼンテーションを行っているプレゼンターは、その都度パーソナルコンピュータ40のオペレータに対し、各種の指示を行わなければならず、またオペレータが居ない場合には、プレゼンターがその都度パーソナルコンピュータ40の設置位置まで移動し、マウス48又はキーボード46を操作しなければならず、プレゼンテーションをスムーズに行えないという問題がある。
【0072】
このような問題を解決するため、本実施例のシステムでは、リモートコントローラ20に、パーソナルコンピュータ40の本体に接続されたマウス48などのポインティングデバイスとしての機能と、マウス48やキーボード46から入力される各種コマンドやデータ入力等の入力機能とを持たせている。
【0073】
図3に示すよう実施例のリモートコントローラ20の操作部400は、ポインティングデバイス部として機能するトラックボール部28と、前記キー群22と、他のボタン群24とを含んで構成される。
【0074】
前記トラックボール部28は、トラックボール28aと、ドラッグボタン28b及び一対のアジャストボタン28cとを含んで構成されている。
【0075】
前記ドライバーソフトウエア110がインストールされたコンピュータ本体42は、プロジェクタ10を制御管理下におくことは前述した。そして、このコンピュータ本体42は、リモートコントローラ20から赤外線200を用いてプロジェクタ10に向けワイレス送信されてくる操作信号を、プロジェクタ10から一旦シリアル通信ライン50を介してコンピュータ本体へ向け転送させる。さらに、このコンピュータ本体42は、リモートコントローラ20のトラックボール部やキー群に対する各種機能の割り付けを行い、リモートコントローラ20から操作信号が入力されると、入力信号に割り付けられた機能に従って各種演算処理を行い、プロジェクタ10の制御や、画像表示制御及びその他必要な演算や制御を行う。
【0076】
図5には、実施例の映像投射システムの機能ブロック図が示されている。
【0077】
前述したように、リモートコントローラ20はトラックボール部28及び操作キー群22を含み、これらの操作信号を信号処理部34を用いデジタル信号に変換し、赤外線発光部36を介し赤外線200を用いプロジェクタ10へ向けワイヤレス送信する。
【0078】
前記プロジェクタ10は、プロジェクタとしての基本的な動作を行う主プロジェクタ機構64と、CPUやメモリ等を用いて構成され主プロジェクタ機構64の制御等を受け持つ演算制御部62と、赤外線受光部14で受光したリモートコントローラからの信号を処理し、電気信号に変換して演算制御部62へ向け出力する信号処理部60と、外部機器との接続を行うI/Oインターフェース66とを含んで構成される。
【0079】
そして演算制御部62は、プロジェクタ10がパーソナルコンピュータ40の管理下にある場合には、赤外線受光部14を用いて受信したリモートコントローラ20からの操作信号を、I/Oインターフェース66、シリアル通信ライン50を介してパーソナルコンピュータ40へ向け転送し、さらに通信ライン50、I/Oインターフェース66を介してパーソナルコンピュータ40から入力される各種制御信号等に基づき、主プロジェクタ機構64及びその他の箇所を制御するように構成されている。
【0080】
パーソナルコンピュータ40のコンピュータ本体42は、CPU等を用いて構成された主演算制御回路70と、RAM、R0M等を用いて構成され前記アプリケーションソフトウエア120、ドライバーソフトウエア110、オペレーティングシステム100の各プログラム及びその他必要なデータが記憶されたメモリ76と、外部との接続を行うI/Oインターフェース72、74とを含んで構成される。
【0081】
そして主演算制御回路70は、プロジェクタ10を介して転送されてくるリモートコントローラ20の各操作信号を、主制御部52を構成するマウス48及びキーボード46の操作信号と同様に取り扱い、各種の演算制御動作を行う。
【0082】
実施例において、前記トラックボール部28の操作信号はマウス48の操作信号と同様に取り扱われる。また、操作キー群22に割り付けられた各種コマンドやキー操作は、マウス48及びキーボード46から入力される対応コマンドや、キーボード46からの対応キー入力と同様に取り扱われる。
【0083】
なお、リモートコントローラ20からの操作信号と、主操作部52を構成するキーボード46及びマウス48からの操作信号とが競合した場合(例えばトラックボール部28の操作とマウス48の操作とが競合した場合)には、リモートコントローラ20からの信号は無視し、主操作部52からの操作信号を優先して取り扱うように構成されている。これは、プレゼンテーション用のアプリケーションソフトウエア等は、主としてパーソナルコンピュータ40に直接接続されたマウス48及びキーボード46等の主操作部52の操作を想定して構成されており、リモートコントローラ20からの信号に基づく動作は全く想定していないためである。従って主操作部52からの操作信号を優先して取り扱う構成とすることにより、システム全体の安全性を高めることができる。
【0084】
このように、本実施例のシステムによれば、本来パーソナルコンピュータ40に直結されたマウス48及びキーボード46を操作しなければ行えなかったような操作を、手元のリモートコントローラ20の操作によって簡単に行うことができ、プロジェクタ10及びパーソナルコンピュータ40から構成されるシステムを用いたマルチメディアプレゼンテーションを、効率よくスムーズに行うことが可能となる。
【0085】
特に、カーソル等の位置制御を行うポインティングデバイスの役割は、各種のアプリケーションソフトでは極めて重要なものである。このようなポインティングデバイスとしての機能を、リモートコントローラ20に持たせることにより、プロジェクタ10を用いたプレゼンテーションを極めてスムーズに行えること可能となる。
【0086】
図6には、メモリ76及び主演算制御回路70を用いて構成されるコンピュータ本体42の機能ブロック図が示されている。実施例の本体コンピュータ42は、割付部80と、判定部86と、演算制御部88として機能するよう構成される。
【0087】
前記割付部80は、リモートコントローラ20の操作信号が入力される割付設定部82と、各操作信号に割り付けられたデータを記憶する割付データ記憶部84とを含んで構成される。
【0088】
図7には、リモートコントローラ20のトラックボール部28及び各操作キー群22に対する割付設定動作のフローチャートが概略的に示されている。
【0089】
まず、割付を行うためのプログラマブルモードの設定は、コンピュータ本体42に接続されたキーボード46又はマウス48を操作することにより行うことができる(ステップS10)。
【0090】
プログラマブルモードが設定されると、パーソナルコンピュータ40のディスプレイ44上及びプロジェクタ10から投射される投射画面上には、いずれも図8に示すような割付設定用の画面が表示される。この画面上方には、キー記録ボタン310、キーヘルプボタン312、実行ボタン314、ボタンテストボタン316の各アイコンが表示される。
【0091】
また、画面の下方には、リモートコントローラの操作部の表示320と、各操作部に対し現在割付中の機能を表すプログラム割付画面330が表示される。
【0092】
この状態で、画面上のカーソルを、キー記録ボタン310を表すアイコン表示位置まで移動させ、これをクリックすると、割付可能状態に設定される(ステップS12)。この状態で操作部表示320の所望の操作ボタン上にカーソルを移動しこれをクリックすると、当該ボタンが画面上において識別表示され、且つ割付画面330内に当該ボタンが表示される。図8に示す画面では、ページ戻しボタン24c、ページ送りボタン24d、ドラッグボタン28b、一対のアジャストボタン28cがそれぞれ割付対象となるボタンとして選択表示されている。
【0093】
このようにして、対象とするボタン選択した後、選択された各ボタンに対し、各種の機能を割り付ける。ここでは、前記5つのボタンに対し、マウス48のクリックやドラッグ等の機能を割り付けている。
【0094】
また必要に応じ、これ以外の各ボタンに対し、ページ送り、ページ戻し、その他のコマンドや、マクロ(最大32のキーストロークとマウスコマンドとのシーケンス)や、他のキー入力を割り付けることができる。このようにすると、プレゼンテーション中にリモートコントローラ20の対応するボタンを押すだけで必要なプログラムをオープンすることができる。
【0095】
このような機能の割り付けは、例えばキーボード46等を用いて行う。
【0096】
割り付けを終了した後、実行ボタン314の表示位置までカーソルを移動し、これを選択すると、コンピュータ本体42は確定モードに切り替わり(ステップs14)、これにより、リモートコントローラ20を用い、前記割付モード(ステップS12)で割り付けられた各種機能を実行できるようになる。
【0097】
その後、テストボタン16を選択すると、ディスプレイ及びプロジェクタ画面内には、リモートコントローラ20の各ボタンに割り付けられたキーストローク等を表すテキスト画面が表示され、使用者はこの表示画面を見ながら割り付けが正確に行われているか否かを確認することができる(ステップS16)。
【0098】
この時、設定の誤り等を見つけた場合には、再度ステップS10に戻り同様な割付動作を行えばよい。また、割り付けが正確に行われていることを確認した場合には(ステップS18)、テストボタン316を再度操作し、テストモードを解除してやることにより、リモートコントローラ20に対する割付動作が完全に終了することになる。
【0099】
この際、各キーに割り付けられたデータは、割付データ記憶部84内に記憶されることになる。これ以降は、リモートコントローラから入力される信号に基づき、割付設定部82は、入力信号を対応する割付機能を表す信号に変換し、判定部86へ向け出力する。例えば、ボタン24c、ボタン24b等の操作信号が入力されると、この操作信号をマウス48のクリック信号やドラッグ信号に変換し、判定部86へ向け出力する。なお、リモートコントローラ20のトラックボール部28aに対しては、予めマウス48の操作に対応した割付機能が割付データ記憶部84内に記憶されている。従って、トラックボール部28aを上下左右に動かし、これに対応した信号がリモートコントローラ20から割付設定部82へ入力されると、割付設定部82は、この操作信号をマウス48の操作信号に変換し判定部86へ向け出力する。このようにすることにより、リモートコントローラ20を操作することにより、マウス48やキーボード46の操作と同様な操作信号を、コンピュータ本体42へ向け出力し、コンピュータ本体42の制御を行うことが可能となる。
【0100】
次に、図6に示す判定部86の機能について説明する。判定部86は割付設定部82から入力される信号と、マウス48及びキーボード46から入力される信号とを対比し、マウス48及びキーボード46等の主制御部52からの入力と、リモートコントローラ20からの入力とが競合するか否かの判定を行う。そして、競合しないと判断した場合には、現在入力されている信号をそのまま演算制御部88へ向け出力する。例えば、マウス48及びキーボード46からの入力信号は無く、リモートコントローラ20からの信号のみが入力されている場合には、この入力信号をそのまま演算制御部88へ向け出力する。また、主制御部52からの信号と、リモートコントローラ20からの信号が競合している場合には、主制御部52からの入力信号のみを演算制御部88へ向け出力し、リモートコントローラ20からの信号の受付を拒否する。これにより、前述したようにシステム全体の安全性を高めることができる。
【0101】
演算制御部88は、このようにして判定部86を介して選択的に入力される信号と、前述した演算制御プログラム100、110、120とに基づき、制御信号を演算しプロジェクタ10へ向け出力すると共に、各種の映像信号を演算し、ディスプレイ44及びプロジェクタ10へ向け出力する。また、この演算制御部88は、前記以外に、プロジェクタ10からの入力信号に基づき、前述したプロジェクタ制御信号を演算出力するようにも構成されている。
【0102】
このように、本実施例のシステムによれば、本来プロジェクタ用に形成されたリモートコントローラ20からの遠隔制御信号を用い、マウス48やキーボード46から各信号を入力した場合と同様に、コンピュータ本体42を操作し、コンピュータ本体42に対し、プロジェクタ10の制御を行わせることができる。
【0103】
特に、本実施例のシステムでは、プロジェクタ10の制御に用いられているリモートコントローラ20に対し、パーソナルコンピュータ40を制御するための各種機能を割り付け、コンピュータに対する操作をリモートコントローラ20を用い直接行うことができる構成とすることにより、プロジェクタ10及びパーソナルコンピュータ40を用いて構成されたマルチメディアプレゼンテーション用の映像投射システムを極めて使い勝手のよいものとすることができる。
【0104】
次に、リモートコントローラ20の点灯機構の構成について詳細に説明する。
【0105】
前述したように、実施例のリモートコントローラ20は、ライトアップボタン22gをオン操作すると、操作部400が一定時間ライトアップされる。このため、実施例の操作部400は、半透明基板402上に各種ボタン及びトラックボール部28が配置されており、基板402の裏面側に配置された複数の照明用LED群450により、操作部400がライトアップされるように構成されている。
【0106】
図9には、リモートコントローラ20の、点灯機構の回路構成が示されている。
【0107】
このリモートコントローラ20は、交換可能なバッテリ410と、トラックボール部28の動作を検出する動作検出部420と、各ボタン群24,28の操作を検出する操作スイッチマトリクス430と、リモートコントローラ全体を制御するマイクロコンピュータ440と、基板402の裏面側に配置され操作部400を照明する照明用LED450と、発光部36を構成する送信用LED36aとを含む。
【0108】
そして、マイクロコンピュータ440は、トランジスタQ1を制御することにより、送信用LED36aを駆動し、発光部36からプロジェクタ10へ向け赤外線200を用いリモートコントロール信号をワイヤレス送信する。
【0109】
さらに、マイクロコンピュータ440は、ライトアップボタン22gのオン操作を操作スイッチマトリクス430からの信号に基づき検出し、トランジスタQ2をオンし、照明用LED群450を一定時間点灯制御する。
【0110】
また、前記トラックボール部用動作検出部420は、トラックボール28aの動作を検出し、この検出信号をマイクロコンピュータ440へ向け出力する。これにより、マイクロコンピュータ440は、トラックボール28の操作信号を、送信用LED36aを介してプロジェクタへ向けワイヤレス送信することになる。
【0111】
ところで、トラックボール用動作検出部420は、トラックボール28aの動作を検出する際、その消費電力が大きくなる。このため、小容量のバッテリ410を用いたリモートコントローラ20の回路各部では、電圧が一時的に低下し、回路全体の動作が不安定になりやすい。このような事態の発生を防止するため、前記マイクロコンピュータ440は、トラックボール用動作検出部420がトラックボール28aの動作を検出すると、トランジスタQ2を強制的にオフし、照明用LED群450を消灯制御するように構成されている。これにより、トラックボール28aの操作に伴う電源回路の不安定さが除去され、安定したリモコン操作を実現することができる。
【0112】
さらに、前記マイクロコンピュータ440は、トラックボール部用動作検出部420から、一定時間(実施例では15分間)動作信号が入力されない場合には、ライトアップボタン22gからの点灯指令を受け付けないスリープ動作を行うように構成されている。即ち、トラックボール28aが15分間全く動作しない場合には、リモートコントローラ20が動作していないと判断し、点灯機能をスリープ動作させることにより、リモートコントローラ20の電力消費を節減するように構成されている。
【0113】
さらに、前記マイクロコンピュータ440は、トラックボール部用動作検出部420から、一定時間動作信号が入力されない場合には、バッテリ410からトラックボール用動作検出部420への電力供給を強制的にオフし、トラックボールをスリープさせるように構成されている。そして、いずれかの操作キーが操作されたときに、電力供給を再開する。これにより、リモートコントローラ20が動作していないときに、何らかの原因でトラックボール28aが誤操作されても、リモートコントローラのバッテリ電力が無駄に消費されることを防止することができる。
【0114】
図10には、実施例の回路のライトアップ動作のフローチャートが示されている。
【0115】
まず、リモートコントローラ20のライトアップボタン22gをオンすると(ステップS30)、トランジスタQ2がオンされ(ステップS32)、照明用LED群450が点灯制御される。これにより、操作部400は、半透明基板402を裏面側からライトアップされ、手暗がりの場所でも操作部400の操作を良好に行うことが可能となる。
【0116】
このようにして、照明用LED群450の点灯制御が介しされると、これと同時に、マイクロコンピュータ440内に内蔵された点灯タイマーがスタートし、(ステップS34)、10秒経過した時点で(ステップS44)、トランジスタQ2が制御され、照明用LED群450は、自動的に消灯制御されることになる(ステップS46)。
【0117】
また、前記照明用LED群450が点灯中に、いずれかのボタン24又は28が操作されると(ステップS36)、点灯タイマーはリセットされ、再スタートされることになる(ステップS34)。これにより、点灯動作中に、いずれかのボタンが操作されている限り、照明部400は点灯し続けることになる。
【0118】
また、点灯動作中にトラックボール28が操作されると(ステップS38)、トランジスタQ2は自動的にオフ制御され、照明用LED群450は強制的に消灯制御されることになる。そして、トラックボール28の動作が停止した時点でトランジスタQ2が再度オンされ、照明用LED群450はオン制御される。
【0119】
このようにして電力消費が大きなトラックボール28a操作時には、照明用LED群450を強制的にオフ制御することにより、バッテリ410の電圧低下を防止することができ、これにより安定したリモコン動作を実現することが可能となる。
【0120】
図11には、本実施例の装置の、前述したスリープ動作のフローチャートが示されている。
【0121】
実施例のマイクロコンピュータ440は、操作部400が全く操作されない場合には待機状態に制御される(ステップS50)。
【0122】
この時、いずれか一つのボタンが操作されると(ステップS52)、トランジスタQ3がオン制御され(ステップS54)、マイクロコンピュータ440のタイマーがスタートする(ステップS56)。
【0123】
このタイマー動作中に、トラックボール28aの操作信号が入力されると、マイクロコンピュータ440は、この操作信号を送信用LED36aを用いて送信し(ステップS60)、タイマーを再スタートさせる(ステップS56)。
【0124】
また、前記タイマーがスタートしてから、15分間トラックボール部28aの操作信号が全く入力されない場合には(ステップS62)、トランジスタQ3を強制的にオフし(ステップS64)、待機状態に移行する(ステップS66)。この待機状態では、ライトアップ22gがオン操作されても、マイクロコンピュータ440はこの操作信号を受け付けないようにスリープ動作する。
【0125】
このように、実施例のリモートコントローラ20は、トラックボール28aが15分間全く操作されない場合には、リモートコントローラが操作されていない状態と判断し、照明用LED群450の点灯指令を受け付けないスリープ動作を行い、これにより、リモートコントローラ20の電力消費を節減することができる。
【0126】
以上説明したように、実施例のリモートコントローラ20は、照明用LED群450を用いたライトアップ機能を、トラックボール28aの動作に連動して強制的にオフしたり、又はスリープ動作させることにより、リモートコントローラ20の電力消費を節減し、しかも回路確保の安定的な動作を実現することができる。
【0127】
また、本実施例のリモートコントローラ22には、プロジェクタ10の調整機構も設けられている。
【0128】
即ち、実施例のプロジェクタ10は、図示しない調整用操作部を有しており、この調整用操作部のメニューボタン、セレクトボタン等を操作することにより、図12に示す動作フローに従って所望のメニュー画面を選択表示するように構成されている。そして、任意のメニュー画面を表示した状態で、調整機構の所望の調整ボタンを操作し、当該画面内に表示された項目の調整を行う。
【0129】
ここにおいて、コンピュータメニュー画面は、画面の明るさ、コントラストなどの調整画面であり、ビデオメニュー画面は、赤、緑、青などの調整を行う画面であり、表示メニュー画面は、トラッキング、信号形式などの調整画面であり、音声メニュー画面は、ボリューム、左右のバランスなどの調整画面であり、オプションメニュー画面は、入力ソースの切替、表示言語などの調整画面であり、カスタムメニュー画面は、プログラムボタンへの割付機能、切替等を行う画面である。
【0130】
本実施例の他の特徴は、前記リモートコントローラ20の操作部400に、プロジェクタ10の調整機能を持たせたことにある。本実施例において、リモートコントローラ20を用いたプロジェクタ10の調整は、基本的にはメニューボタン22j、セレクトボタン22e及びトラックボール部28の組合せ操作により行われるよう構成されている。なお、これら各ボタン22j、22e及びトラックボール部28がこのような調整機能を有することを使用者に視覚的に認識させるため、図3に示すように、基板402上において、これら各ボタン22j、22e及びトラックボール部28が設けられた各エリア402j、402e及び404には同一色が施されている。
【0131】
次に、リモートコントローラ20を用い、プロジェクタ10の調整を行う場合の動作を図12、図13に示すフローチャートに基づき説明する。
【0132】
まず、プロジェクタ10の調整を行う場合には、リモートコントローラ20のメニューボタン22jを操作した後、セレクトボタン22eを操作し、4つのメニュー画面の中から任意の一つの画面を選択する。この時、メニューボタン22j、セレクトボタン22eの操作信号は、リモートコントローラ20からプロジェクタ10へ向けワイヤレス送信され、プロジェクタ10は、この受信信号に基づき、プロジェクタ本体に設けられた調整機構を操作した場合と同様に動作する。
【0133】
ここでは、説明を簡単にするために、図15に示す、コンピュータメニュー画面が選択された場合を例にとり説明する。
【0134】
図13には、このメニュー画面から、任意の項目を選択し、当該項目の機能調整を行う場合のリモートコントローラ操作手順が示されており、図14にはその手順を示すフローチャートが示されている。
【0135】
図15に示すコンピュータメニュー画面が選択されると、最初に「明るさ」を表す機能項目が画面内においてハイライト表示される。これが現在選択中の項目である。
【0136】
操作者が他の機能項目を選択する場合には、図13(A)に示すようトラックボール28aを操作する。この操作信号を受信したプロジェクタ10は、トラックボールの操作に応じて選択する機能項目を次々と移動していく(ステップS70、S72)。操作者は、所望の項目が選択された時点で、トラックボールの操作を中止し、次に図13(B)に示すように、左右一対のアジャストボタン28c、28cを用いて機能調整を行う。この時、プラス側のボタンを操作すると、調整量が増し、マイナス側のボタンを操作すると調整量が減少するようなグラフィック表示が行われる(ステップS74、S78)。
【0137】
このようにして所望の機能項目を選択し、選択項目の機能調整を繰り返して行うことにより、図15に示すメニュー画面に表示された各機能項目の調整を順次行うことができる。
【0138】
そして、このメニュー画面での調整が終了した時点で、次のメニュー画面を選択する場合には、セレクトボタン22eを操作すればよい(ステップS80,S82)。このセレクトボタンを任意の回数繰り返して操作することにより、図12に示すフローチャートに従って、所望のメニュー画面が選択表示されることになる。そして、選択したメニュー画面内における各機能項目の選択と、機能調整を、図14に示すステップS70〜ステップS78と同様にして行えばよい。
【0139】
そして、このような機能調整がすべて終了した時点で、リモートコントローラ20のメニューボタン22jを操作すると(ステップS84)、メニューの表示が終了することになる(ステップS86)。
【0140】
このようにして、本実施例のシステムは、リモートコントローラ20を用い、プロジェクタ10の機能調整を行うことができる。特に、本実施例のリモートコントローラ20は、組み合わせて操作するボタンと、トラックボール部28とが同一色の基板上に形成され、両者の関係が視認できるように構成されているため、その使い勝手が極めて良好なものとなる。
【0141】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨の範囲内で各種の変形実施が可能である。
【0142】
例えば、前記実施例では、本発明をプレゼンテーション用のシステムに適用する場合を例に取り説明したが、本発明はこれに限らず、これ以外にも、例えば教師が生徒達に講義する場合の学習用のシステムや、各種講習会用のシステム、さらにはセールス用のデモンストレーションシステム等、必要に応じて各種用途のシステムに適用することができる。
【0143】
また、前記実施例では、リモートコントローラ20とプロジェクタ10との間のワイヤレス送信に赤外線を利用する場合を例にとり説明したが、必要に応じてこれ以外の手法、例えば各種電波等を用いることもできる。
【0144】
さらに、前記実施例では、投射手段としてプロジェクタ10を用いる場合を例に取り説明したが、本発明はこれに限らず、これ以外の各種投射手段、例えばオーバーヘッドプロジェクタなどを用いた場合にも適用可能である。
【0145】
また、前記実施例ではリモートコントローラ20のポインティングデバイスとして、トラックボールを用いた場合を例に取り説明したが、本発明はこれに限らず、必要に応じこれ以外の各種ポインティングデバイスをリモートコントローラに設ける場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】使用者がリモートコントローラを用いて液晶プロジェクタを操作している状態の説明図である。
【図2】リモートコントローラに設けられたワイヤレス送信用の発光部と、液晶プロジェクタに設けられたワイヤレス受信用の受光部との対応関係を示す説明図である。
【図3】実施例のリモートコントローラの概略説明図である。
【図4】本発明が適用されたリモートコントローラ、液晶プロジェクタ及びパーソナルコンピュータを組み合わせた映像投射システムの概略説明図である。
【図5】図4に示すシステムの機能ブロック図である。
【図6】図5に示すシステムの要部の機能ブロック図である。
【図7】図6に示す機能ブロック図の動作フローチャート図である。
【図8】ディスプレイ上に表示される割付設定画面の説明図である。
【図9】リモートコントローラに内蔵された回路の説明図である。
【図10】リモートコントローラの点灯制御動作のフローチャート図である。
【図11】リモートコントローラ点灯制御動作のフローチャート図である。
【図12】プロジェクタの機能調整動作の手順を示すフローチャート図である。
【図13】リモートコントローラを用いたプロジェクタの機能調整手順を示す操作説明図である。
【図14】リモートコントローラを用いた機能調整動作のフローチャート図である。
【図15】プロジェクタを用いて表示される機能調整画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0147】
10 プロジェクタ、 14 受光部、 20 リモートコントローラ、
22 スイッチ群、 28 トラックボール部、 36 発光部、
40 パーソナルコンピュータ、 46 キーボード、 48 マウス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置マークを含む画像を投射する投射手段と、
位置マークの表示位置制御用のポインティングデバイス及び操作キーを含む操作部を備えたリモートコントローラと、
を含み、
前記リモートコントローラは、
前記ポインティングデバイスが所定時間操作されない場合には、前記ポインティングデバイスの機能を停止するスリープ動作を行うことを特徴とする映像投射システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記リモートコントローラの操作部は、
点灯キーを更に含み、
前記リモートコントローラは、
前記点灯キーの点灯指示に基づき操作部を照明する照明手段と、
前記ポインティングデバイスの操作中には、点灯中の前記照明手段を強制的に消灯制御する点灯制御手段と、
を含むことを特徴とする映像投射システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記点灯制御手段は、
前記ポインティングデバイスが所定時間操作されない場合には、前記点灯キーからの点灯指示を受け付けないことを特徴とする映像投射システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記ポインティングデバイスは、
トラックボール部と、前記トラックボール部の動作を検出するトラックボール用動作検出手段を含み、
前記トラックボール用動作検出手段からの操作検出信号が所定時間無い時に、前記トラックボール用動作検出手段への電力供給を強制的に停止する前記スリープ動作を行なうことを特徴とする映像投射システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記スリープ動作中に、いずれか一つの操作キーが操作されたとき、前記トラックボール用動作検出手段への電力供給を再開し前記スリープ動作を終了することを特徴とする映像投射システム。
【請求項6】
位置マークを含む画像を投射する投射手段に操作信号を送信する映像投射システム用リモートコントローラであって、
位置マークの表示位置制御用のポインティングデバイス及び操作キーを備え、
前記ポインティングデバイスが所定時間操作されない場合には、前記ポインティングデバイスの機能を停止するスリープ動作を行うことを特徴とする映像投射システム用リモートコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−15541(P2008−15541A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204206(P2007−204206)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【分割の表示】特願2005−7181(P2005−7181)の分割
【原出願日】平成7年12月15日(1995.12.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】