説明

映像放送と連動してユーザ端末にコンテンツをリアルタイム配信可能とするコンテンツ配信制御サーバ、システム、方法及びプログラム

【課題】Webコンテンツの配信タイミングをユーザが手動で指示することなく、映像放送と連動して複数のユーザ端末上にコンテンツを同時にリアルタイム配信可能とするコンテンツ配信制御サーバ、システム及び方法を提供すること。
【解決手段】コンテンツ配信制御サーバ10は、マーカ情報とコンテンツ配信シナリオとを対応付けたテーブルを記憶するマーカ・シナリオDB52を備え、ユーザ端末21からログインを受け付け、ログイン情報DB51に記憶させる。そして、映像放送を受信し、受信した映像放送に埋め込まれたマーカ情報を検知し、検知したマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信シナリオを取得し、取得したコンテンツ配信シナリオの配信タイミングに基づいて、ログイン情報DB51に記憶されたユーザ端末21に、コンテンツを受信するための同期イベント要求を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像放送と連動してユーザ端末にコンテンツをリアルタイム配信可能とするコンテンツ配信制御サーバ、システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット等、高機能なモバイル端末の出現にともない、これらのユーザ端末をセカンドスクリーンとして利用することで、地上波やケーブルテレビをはじめとする放送映像配信時に、関連コンテンツを当該ユーザ端末上に表示させるという要望が出始めている。これにより、視聴者に対しては付加価値情報の提供を、コンテンツ配信事業者に対しては、視聴者をネットショップ等に容易に導ける新たな導線の提供を可能とする。
【0003】
従来より、インターネットの更新情報をユーザ端末に通知する技術が知られている。具体的には、ブログコンテンツの更新をSIP(Session Initiation Protocol)を用いてユーザ端末にプッシュで通知する技術が知られている(特許文献1)。このようなコンテンツ更新通知システムでは、制御サーバがネットを定期的に監視し、ブログの更新を検知すると、ブログコンテンツを解析して内容に興味を持つユーザに更新を通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−181386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ブログの更新は非同期で行われており、ユーザへの更新通知が分〜時間単位で遅延してもブログを更新するユーザ、及びブログを閲覧するユーザのいずれにとっても一般的に不利益にはならない。一方で、テレビ等の放送コンテンツに合わせてWebコンテンツをプッシュで配信する場合、放送のタイミングに合わせたWebコンテンツの配信が要求されるため、上記手法を利用することはできない。また、放送コンテンツが予め作成済みのものであったとしても、このコンテンツをどのタイミングで放送するかは直前まで決定されないことが通常である。このため、Webコンテンツの配信時刻を事前に決めておくことは困難である場合が多い。
【0006】
そこで、放送コンテンツの放送タイミングに依存せず、Webコンテンツの配信を自動的に実行可能とする制御サーバが求められている。
【0007】
本発明は、Webコンテンツの配信タイミングをユーザが手動で指示することなく、映像放送と連動して複数のユーザ端末上にコンテンツを同時にリアルタイム配信可能とするコンテンツ配信制御サーバ、システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
具体的には、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
(1) コンテンツを表示するブラウザを実装したユーザ端末と通信し、映像放送に基づいて前記コンテンツの取得を前記ユーザ端末に指示するコンテンツ配信制御サーバであって、前記映像放送に埋め込まれたマーカ情報と、コンテンツを配信するタイミングである配信タイミングを含むコンテンツ配信シナリオと、を対応付けたテーブルを記憶するマーカ・シナリオ記憶手段と、前記ユーザ端末から前記映像放送に関連付けられたログインを受け付け、受け付けたログインをログイン情報記憶手段に記憶させるログイン管理手段と、前記映像放送を受信する映像放送受信手段と、前記映像放送受信手段によって受信した映像放送に埋め込まれたマーカ情報を検知するマーカ検知手段と、前記マーカ検知手段によって検知したマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信シナリオを前記マーカ・シナリオ記憶手段から取得するシナリオ取得手段と、前記シナリオ取得手段によって取得したコンテンツ配信シナリオの配信タイミングに基づいて、前記ログイン情報記憶手段に記憶された前記ユーザ端末に、コンテンツを受信するための同期イベント要求を送信する同期イベント要求送信手段と、を備えるコンテンツ配信制御サーバ。
【0010】
(1)の構成によれば、本発明に係るコンテンツ配信制御サーバは、映像放送に埋め込まれたマーカ情報と、コンテンツを配信するタイミングである配信タイミングを含むコンテンツ配信シナリオと、を対応付けたテーブルを記憶するマーカ・シナリオ記憶手段を備え、ユーザ端末から映像放送に関連付けられたログインを受け付け、受け付けたログインをログイン情報記憶手段に記憶させる。そして、コンテンツ配信制御サーバは、映像放送を受信し、受信した映像放送に埋め込まれたマーカ情報を検知し、検知したマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信シナリオをマーカ・シナリオ記憶手段から取得し、取得したコンテンツ配信シナリオの配信タイミングに基づいて、ログイン情報記憶手段に記憶されたユーザ端末に、コンテンツを受信するための同期イベント要求を送信する。
【0011】
すなわち、コンテンツ配信制御サーバは、映像放送に埋め込まれたマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信情報に基づいて、ログインしているユーザ端末に、コンテンツを受信するための同期イベント要求を送信する。ユーザ端末は、送信されたページ取得要求によって、コンテンツを有するWebサーバからコンテンツを受信し、表示する。
したがって、本発明に係るコンテンツ配信制御サーバは、Webコンテンツの配信タイミングをユーザが手動で指示することなく、映像放送と連動して複数のユーザ端末上にコンテンツを同時にリアルタイム配信可能とすることができる。
【0012】
(2) 前記同期イベント要求送信手段によって送信された前記同期イベント要求を受信し、受信した同期イベント要求に基づいて、前記コンテンツを有するWebサーバから受信したコンテンツを表示した前記ユーザ端末から、同期イベント応答を受信する同期イベント応答受信手段を、さらに備え、前記同期イベント要求送信手段は、前記同期イベント応答受信手段によって前記同期イベント応答を受信したことに応じて、前記シナリオ取得手段によって取得したコンテンツ配信シナリオに基づいて次の同期イベント要求を送信する、(1)に記載のコンテンツ配信制御サーバ。
【0013】
すなわち、(2)のコンテンツ配信制御サーバ10は、ユーザ端末から同期イベント応答を受信したことに応じて、コンテンツ配信シナリオに基づいて次の同期イベント要求を送信する。
したがって、(2)のコンテンツ配信制御サーバは、Webコンテンツの配信タイミングをユーザが手動で指示することなく、映像放送と連動して複数のユーザ端末上にコンテンツを次々と同時にリアルタイム配信可能とすることができる。
【0014】
(3) 前記マーカ・シナリオ記憶手段の配信タイミングは、マーカ情報を含み、前記同期イベント要求送信手段は、前記シナリオ取得手段によって取得したコンテンツ配信シナリオに含まれるマーカ情報が、前記マーカ検知手段によって検知されるごとに、前記同期イベント要求を送信する、(1)又は(2)に記載のコンテンツ配信制御サーバ。
【0015】
したがって、(3)のコンテンツ配信制御サーバは、Webコンテンツの配信タイミングをユーザが手動で指示することなく、映像放送に埋め込まれたマーカ情報に基づいて、複数のユーザ端末上にコンテンツを次々と同時にリアルタイム配信可能とすることができる。
【0016】
(4) 前記コンテンツ配信シナリオの配信タイミングは、絶対時刻、又は最初の同期イベント要求の送信から経過する相対時刻を含み、前記同期イベント要求送信手段は、前記シナリオ取得手段によって取得したコンテンツ配信シナリオの前記絶対時刻又前記相対時刻に基づいて、前記同期イベント要求を送信する、(1)から(3)のいずれかに記載のコンテンツ配信制御サーバ。
【0017】
したがって、(4)のコンテンツ配信制御サーバは、Webコンテンツの配信タイミングをユーザが手動で指示することなく、映像放送と連動して複数のユーザ端末上に、絶対時刻、又は相対時刻によってコンテンツを次々と同時にリアルタイム配信可能とすることができる。
【0018】
(5) コンテンツを表示するブラウザを実装したユーザ端末と、コンテンツを有するWebサーバと、映像放送に基づいて前記コンテンツの取得を前記ユーザ端末に指示するコンテンツ配信制御サーバとを有するコンテンツ配信制御システムであって、
前記コンテンツ配信制御サーバは、
前記映像放送に埋め込まれたマーカ情報と、コンテンツを配信するタイミングである配信タイミングを含むコンテンツ配信シナリオと、を対応付けたテーブルを記憶するマーカ・シナリオ記憶手段と、前記ユーザ端末から前記映像放送に関連付けられたログインを受け付け、受け付けたログインをログイン情報記憶手段に記憶させるログイン管理手段と、前記映像放送を受信する映像放送受信手段と、前記映像放送受信手段によって受信した映像放送に埋め込まれたマーカ情報を検知するマーカ検知手段と、前記マーカ検知手段によって検知したマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信シナリオを前記マーカ・シナリオ記憶手段から取得するシナリオ取得手段と、前記シナリオ取得手段によって取得したコンテンツ配信シナリオの配信タイミングに基づいて、前記ログイン情報記憶手段に記憶された前記ユーザ端末に、コンテンツを受信するための同期イベント要求を送信する同期イベント要求送信手段と、を備え、
前記ユーザ端末は、
ログインを受け付け、前記コンテンツ配信制御サーバにログインするログイン手段と、前記コンテンツ配信制御サーバから、前記同期イベント要求を受信する同期イベント要求受信手段と、前記同期イベント要求受信手段によって受信した同期イベント要求に基づいて、前記Webサーバからコンテンツを取得するためのページ取得要求を前記Webサーバに送信するページ取得要求送信手段と、前記ページ取得要求送信手段によって送信されたページ取得要求に応じた前記Webサーバから、コンテンツを受信するページ取得応答受信手段と、前記ページ取得応答受信手段によって受信したコンテンツを前記ブラウザによって表示する表示処理手段と、を備える、
コンテンツ配信制御システム。
【0019】
したがって、本発明に係るコンテンツ配信制御システムは、(1)と同様に、Webコンテンツの配信タイミングをユーザが手動で指示することなく、映像放送と連動して複数のユーザ端末上にコンテンツを同時にリアルタイム配信可能とすることができる。
【0020】
(6) コンテンツを表示するブラウザを実装したユーザ端末と通信し、映像放送に基づいて前記コンテンツの取得を前記ユーザ端末に指示するコンテンツ配信制御サーバが実行する方法であって、
前記コンテンツ配信制御サーバは、前記映像放送に埋め込まれたマーカ情報と、コンテンツを配信するタイミングである配信タイミングを含むコンテンツ配信シナリオと、を対応付けたテーブルを記憶するマーカ・シナリオ記憶手段を備え、
前記方法は、
前記ユーザ端末から前記映像放送に関連付けられたログインを受け付け、受け付けたログインをログイン情報記憶手段に記憶させるログインステップと、前記映像放送を受信する映像放送受信ステップと、前記映像放送受信ステップによって受信した映像放送に埋め込まれたマーカ情報を検知するマーカ検知ステップと、前記マーカ検知ステップによって検知したマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信シナリオを前記マーカ・シナリオ記憶手段から取得するシナリオ取得ステップと、前記シナリオ取得ステップによって取得したコンテンツ配信シナリオの配信タイミングに基づいて、前記ログイン情報記憶手段に記憶された前記ユーザ端末に、コンテンツを受信するための同期イベント要求を送信する同期イベント要求送信ステップと、を備える方法。
【0021】
したがって、本発明に係る方法は、(1)と同様に、Webコンテンツの配信タイミングをユーザが手動で指示することなく、映像放送と連動して複数のユーザ端末上にコンテンツを同時にリアルタイム配信可能とすることができる。
【0022】
(7) コンテンツを表示するブラウザを実装したユーザ端末と通信し、映像放送に基づいて前記コンテンツの取得を前記ユーザ端末に指示するコンテンツ配信制御サーバに実行させるためのプログラムであって、
前記コンテンツ配信制御サーバは、前記映像放送に埋め込まれたマーカ情報と、コンテンツを配信するタイミングである配信タイミングを含むコンテンツ配信シナリオと、を対応付けたテーブルを記憶するマーカ・シナリオ記憶手段を備え、
前記プログラムは、
前記ユーザ端末から前記映像放送に関連付けられたログインを受け付け、受け付けたログインをログイン情報記憶手段に記憶させるログインステップと、前記映像放送を受信する映像放送受信ステップと、前記映像放送受信ステップによって受信した映像放送に埋め込まれたマーカ情報を検知するマーカ検知ステップと、前記マーカ検知ステップによって検知したマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信シナリオを前記マーカ・シナリオ記憶手段から取得するシナリオ取得ステップと、前記シナリオ取得ステップによって取得したコンテンツ配信シナリオの配信タイミングに基づいて、前記ログイン情報記憶手段に記憶された前記ユーザ端末に、コンテンツを受信するための同期イベント要求を送信する同期イベント要求送信ステップと、を備えるプログラム。
【0023】
したがって、本発明に係るプログラムは、(1)と同様に、コンテンツ配信制御サーバに、Webコンテンツの配信タイミングをユーザが手動で指示することなく、映像放送と連動して複数のユーザ端末上にコンテンツを同時にリアルタイム配信可能とすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、映像放送に埋め込まれたマーカ情報に基づいて、予め設定された任意のタイミングで、ユーザ端末上にコンテンツを同時に配信可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態におけるコンテンツ配信制御システムの概要を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信制御サーバの機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るログイン情報DBの例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る、マーカ・シナリオDBの例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信制御サーバと、ユーザ端末と、Webサーバとによるコンテンツ配信のシーケンス図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信制御サーバがコンテンツ配信シナリオに基づいて配信可能とした結果、ユーザ端末にコンテンツが表示されていることを示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る、マーカ・シナリオDBの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態におけるコンテンツ配信制御システム1の概要を示すシステム構成図である。コンテンツ配信制御サーバ10、ユーザ端末21a〜21c(以下、ユーザ端末を区別しない場合にユーザ端末21という)及びWebサーバ30が、インターネットに接続されている。ユーザ端末21はコンテンツ配信前の任意のタイミングでコンテンツ配信制御サーバ10とそれぞれログインし、コンテンツ配信制御サーバ10とのセッションを確立する。コンテンツ配信制御サーバ10は、セッションを確立したユーザ端末21の情報(例えば、ユーザ端末ID)をログインリストに記録する。そして、コンテンツ配信制御サーバ10は、映像放送を受信(例えば、アンテナ11やケーブルによって受信)し、受信した映像放送に埋め込まれたマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信シナリオに基づいて、ユーザ端末21に同期イベント要求を送信する。ユーザ端末21は、受信した同期イベント要求に基づいてWebサーバ30からコンテンツを受信し、表示する。なお、コンテンツ配信シナリオに基づく同期イベント要求送信後にコンテンツ配信制御サーバ10にログインしたユーザ端末21に対しては、ログイン以降のコンテンツが配信可能とされる。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信制御サーバ10の機能構成を示す機能ブロック図である。コンテンツ配信制御サーバ10は、ログイン情報記憶手段としてのログイン情報DB51と、マーカ・シナリオ記憶手段としてのマーカ・シナリオDB52と、ログイン管理手段としてのログイン管理部111と、映像放送受信手段としての映像放送受信部101と、マーカ検知手段としてのマーカ検知部102と、シナリオ取得手段としてのシナリオ取得部103と、同期イベント要求送信手段としての同期イベント要求送信部104と、同期イベント応答受信手段としての同期イベント応答受信部105と、を備える。図3は、本発明の一実施形態に係るログイン情報DB51の例を示す図である。図4は、本発明の一実施形態に係る、マーカ・シナリオDB52の例を示す図である。図7は、本発明の一実施形態に係る、マーカ・シナリオDB52の別の例を示す図である。コンテンツ配信制御サーバ10の機能構成を示す機能ブロック図である。以下、各部ごとに機能を詳述する。
【0029】
ログイン管理部111は、ユーザ端末21から映像放送に関連付けられたログインを受け付け、受け付けたログインをログイン情報DB51に記憶させる。具体的には、ユーザ端末21において、ユーザが映像放送を受信するための操作をしたことに応じて、ユーザ端末21が送信した、ログインしたユーザ端末21の識別情報を、ログイン管理部111は、受信し、ログインとして受け付ける。同様に、ユーザ端末21において、ユーザが映像放送の受信を終了するための操作をしたことに応じて、ユーザ端末21が送信したログアウトしたユーザ端末21の識別情報によって、ログイン管理部111は、ログイン情報DB51に記憶した該当するログイン情報を削除し、ログアウトする。ログイン情報DB51は、図3に示すように、ログインしたユーザ端末21の識別情報を記憶する。
【0030】
マーカ・シナリオDB52は、映像放送に埋め込まれたマーカ情報と、コンテンツを配信するタイミングである配信タイミングを含むコンテンツ配信シナリオと、を対応付けたテーブルを記憶する。
具体的には、図4に示すように、マーカ・シナリオDB52は、マーカ情報に対応付けて、コンテンツ配信シナリオを記憶する。
マーカ情報は、映像放送に含まれる特定の信号情報や、データ等である。具体的には、マーカ情報は、表示する場所・形態・色等が事前にきめられた画像や、音声、画像フレーム以外のデジタル信号(例えば、放送されている画像そのものではなく、それに付随して送付される信号等)であってもよい。コンテンツ配信シナリオに含まれる配信タイミングは、コンテンツを配信するためのタイミングを示す情報であって、例えば、コンテンツを配信する絶対時刻や、コンテンツ配信シナリオによる処理の開始からの相対時刻等の情報である。さらに、配信タイミングは、コンテンツを配信するためのトリガとなるための情報であって、映像放送に埋め込まれたマーカに対応する情報であってもよい(図7参照)。コンテンツ配信シナリオに含まれるコンテンツ情報は、コンテンツを受信するための情報、例えば、コンテンツURL(Uniform Resource Locator)等である。
【0031】
映像放送受信部101は、映像放送を受信する。具体的には、映像放送受信部101は、外部/内部アンテナ(例えば、アンテナ11)やネットワーク等の手段を利用して映像放送を受信すると共に、マーカ検知部102が検出可能な映像信号や音声信号に変換する。
【0032】
マーカ検知部102は、映像放送受信部101によって受信した映像放送に埋め込まれたマーカ情報を検知する。具体的には、マーカ検知部102は、受信した映像放送にマーカ情報が含まれるかどうかをリアルタイムでチェックし、マーカ情報を検知すると、シナリオ取得部103に通知する。
【0033】
シナリオ取得部103は、マーカ検知部102によって検知したマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信シナリオをマーカ・シナリオDB52から取得する。具体的には、シナリオ取得部103は、マーカ情報によってマーカ・シナリオDB52を検索し、検索したマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信シナリオを取得する。
【0034】
同期イベント要求送信部104は、シナリオ取得部103によって取得したコンテンツ配信シナリオの配信タイミングに基づいて、ログイン情報DB51に記憶されたユーザ端末21に、コンテンツを受信するための同期イベント要求を送信する。
具体的には、同期イベント要求送信部104は、ログイン情報DB51を検索し、ログインしているユーザ端末21を抽出する。そして、同期イベント要求送信部104は、抽出したユーザ端末21に、配信タイミングに基づいて、コンテンツを受信するための同期イベント要求を送信する。同期イベント要求は、コンテンツ配信シナリオに含まれる、コンテンツを受信するためのコンテンツのURLを含む。
すなわち、同期イベント要求送信部104は、例えば、ログインしている全てのユーザのユーザ端末21に、コンテンツを受信するためのコンテンツURLを含む同期イベント要求を、配信タイミングに基づいて同時に送信する。
【0035】
ユーザ端末21は、ログイン部201と、同期イベント要求受信部202と、ページ取得要求送信部203と、ページ取得応答受信部204と、表示処理部205と、同期イベント応答送信部206とを備える。
【0036】
ログイン部201は、ログインを受け付け、コンテンツ配信制御サーバ10にログインする。
同期イベント要求受信部202は、コンテンツ配信制御サーバ10から、同期イベント要求送信部104によって送信された同期イベント要求を受信する。ページ取得要求送信部203は、同期イベント要求受信部202によって受信した同期イベント要求に基づいて、例えば、コンテンツURLにより、コンテンツを有するWebサーバ30からコンテンツを取得するためのページ取得要求をWebサーバ30に送信する。ページ取得応答受信部204は、ページ取得要求送信部203によって送信されたページ取得要求に応じたWebサーバ30から、コンテンツを受信する。表示処理部205は、ページ取得応答受信部204によって受信したコンテンツをブラウザによって表示する。同期イベント応答送信部206は、同期イベント応答を送信する。
【0037】
同期イベント応答受信部105は、コンテンツを表示したユーザ端末21から、同期イベント応答を受信する。
【0038】
同期イベント要求送信部104は、同期イベント応答受信部105によって同期イベント応答を受信したことに応じて、シナリオ取得部103によって取得したコンテンツ配信シナリオに基づいて次の同期イベント要求を送信する。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信制御サーバ10と、ユーザ端末21と、Webサーバ30とによるコンテンツ配信のシーケンス図である。
【0040】
(S1)コンテンツ配信制御サーバ10は、ユーザ端末21からログインを受け付ける。例えば、ユーザ端末21aと、ユーザ端末21cと、を受け付け、ログイン情報DB51に記憶する。
【0041】
(S2)コンテンツ配信制御サーバ10は、映像放送を受信し、映像放送に埋め込まれたマーカ情報(例えば、予め指定されたマーカや信号)を検知する。
【0042】
(S3)コンテンツ配信制御サーバ10は、検知したマーカ情報により、マーカ・シナリオDB52を検索し、マーカ情報に対応するコンテンツ配信シナリオを抽出する。具体的には、コンテンツ配信制御サーバ10は、マーカ・シナリオDB52からシナリオC1を抽出する。
【0043】
(S4)コンテンツ配信制御サーバ10は、抽出したコンテンツ配信シナリオに基づいて配信シナリオを開始する。具体的には、コンテンツ配信制御サーバ10は、シナリオC1の配信情報に基づくシナリオを開始する。
【0044】
(S5)コンテンツ配信制御サーバ10は、時刻を監視し、コンテンツ配信シナリオの絶対時刻あるいはシナリオ開始時からの相対時間経過を検知する。例えば、コンテンツ配信制御サーバ10は、配信タイミングをタイマ監視部(図視せず)に設定する。タイマ監視部は、設定された時刻になると、又は設定された時間が経過すると、タイマ完了を通知することによって、S6へ制御を移す。
【0045】
(S6)コンテンツ配信制御サーバ10、ログイン情報DB51を参照して、ユーザ端末21のログイン状態を確認する。対象端末が多い場合は、前回参照時との差分を管理することで、全端末の状態を確認する手順としてもよい。
【0046】
(S7)コンテンツ配信制御サーバ10は、ログイン中のユーザ端末21に対して、コンテンツを受信するための同期イベント要求を送信する。具体的には、コンテンツ配信制御サーバ10は、ログインしているユーザ端末21a、21cを抽出し、抽出したユーザ端末21a、21cに、コンテンツを受信するためのコンテンツURL(xxx.co.jp)を含む同期イベント要求を送信する。
【0047】
(S8)ユーザ端末21a、21cは、同期イベント要求に含まれるコンテンツURLに基づいて、リンク先に対してページ取得要求を送信する。
【0048】
(S9)Webサーバ30は、コンテンツを含むページ取得応答をユーザ端末21a、21cに送信する。
【0049】
(S10)ユーザ端末21a、21cは、取得したコンテンツをブラウザ画面上に描画する。
【0050】
(S11)描画を完了したユーザ端末21a、21cは、同期イベント応答をコンテンツ配信制御サーバ10に送信する。
【0051】
以降、(S5)から(S11)が繰り返される。
【0052】
図6は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配信制御サーバ10がコンテンツ配信シナリオに基づいて配信可能とした結果、ユーザ端末21にコンテンツが表示されていることを示す図である。
【0053】
コンテンツ配信制御サーバ10は、セッションを確立したユーザ端末21の情報(例えば、ユーザ端末21a、ユーザ端末21c)をログイン情報DB51に記録する。そして、コンテンツ配信制御サーバ10は、映像放送を受信し、受信した映像放送に埋め込まれたマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信シナリオC1に基づいて、ログインしているユーザ端末21a、21cに、コンテンツ配信シナリオによる配信処理の開始から1分12秒後に、コンテンツURL(xxx.co.jp)を含む同期イベント要求を送信する。ユーザ端末21a、21cは、受信した同期イベント要求に基づいてWebサーバ30からコンテンツ1を受信し、受信したコンテンツ1をブラウザにより表示する。そして、ユーザ端末21a、21cは、同期イベント応答をコンテンツ配信制御サーバ10に送信し、次の配信タイミングに別のコンテンツを表示する。
【0054】
本実施形態のコンテンツ配信制御サーバ10は、コンピュータ及びその周辺装置によって実現され、本実施形態における各部は、コンピュータ及びその周辺装置が備えるハードウェア並びに該ハードウェアを制御するソフトウェアによって構成される。
【0055】
本実施形態によれば、コンテンツ配信制御サーバ10は、映像放送に埋め込まれたマーカ情報と、コンテンツを配信するタイミングである配信タイミングを含むコンテンツ配信シナリオと、を対応付けたテーブルを記憶するマーカ・シナリオDB52を備え、ユーザ端末21から映像放送に関連付けられたログインを受け付け、受け付けたログインをログイン情報DB51に記憶させる。そして、コンテンツ配信制御サーバ10は、映像放送を受信し、受信した映像放送に埋め込まれたマーカ情報を検知し、検知したマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信シナリオをマーカ・シナリオDB52から取得し、取得したコンテンツ配信シナリオの配信タイミングに基づいて、ログイン情報DB51に記憶されたユーザ端末21に、同期イベント要求を送信する。さらに、コンテンツ配信制御サーバ10は、ユーザ端末21から同期イベント応答を受信したことに応じて、コンテンツ配信シナリオに基づいて次の同期イベント要求を送信する。
したがって、コンテンツ配信制御サーバ10は、Webコンテンツの配信タイミングをユーザが手動で指示することなく、映像放送と連動して複数のユーザ端末21上にコンテンツを同時にリアルタイム配信可能とすることができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0057】
1 コンテンツ配信制御システム
10 コンテンツ配信制御サーバ
21 ユーザ端末
30 Webサーバ
51 ログイン情報DB
52 マーカ・シナリオDB
101 映像放送受信部
102 マーカ検知部
103 シナリオ取得部
104 同期イベント要求送信部
105 同期イベント応答受信部
111 ログイン管理部
201 ログイン部
202 同期イベント要求受信部
203 ページ取得要求送信部
204 ページ取得応答受信部
205 表示処理部
206 同期イベント応答送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを表示するブラウザを実装したユーザ端末と通信し、映像放送に基づいて前記コンテンツの取得を前記ユーザ端末に指示するコンテンツ配信制御サーバであって、
前記映像放送に埋め込まれたマーカ情報と、コンテンツを配信するタイミングである配信タイミングを含むコンテンツ配信シナリオと、を対応付けたテーブルを記憶するマーカ・シナリオ記憶手段と、
前記ユーザ端末から前記映像放送に関連付けられたログインを受け付け、受け付けたログインをログイン情報記憶手段に記憶させるログイン管理手段と、
前記映像放送を受信する映像放送受信手段と、
前記映像放送受信手段によって受信した映像放送に埋め込まれたマーカ情報を検知するマーカ検知手段と、
前記マーカ検知手段によって検知したマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信シナリオを前記マーカ・シナリオ記憶手段から取得するシナリオ取得手段と、
前記シナリオ取得手段によって取得したコンテンツ配信シナリオの配信タイミングに基づいて、前記ログイン情報記憶手段に記憶された前記ユーザ端末に、コンテンツを受信するための同期イベント要求を送信する同期イベント要求送信手段と、
を備えるコンテンツ配信制御サーバ。
【請求項2】
前記同期イベント要求送信手段によって送信された前記同期イベント要求を受信し、受信した同期イベント要求に基づいて、前記コンテンツを有するWebサーバから受信したコンテンツを表示した前記ユーザ端末から、同期イベント応答を受信する同期イベント応答受信手段を、さらに備え、
前記同期イベント要求送信手段は、前記同期イベント応答受信手段によって前記同期イベント応答を受信したことに応じて、前記シナリオ取得手段によって取得したコンテンツ配信シナリオに基づいて次の同期イベント要求を送信する、
請求項1に記載のコンテンツ配信制御サーバ。
【請求項3】
前記マーカ・シナリオ記憶手段の配信タイミングは、マーカ情報を含み、
前記同期イベント要求送信手段は、前記シナリオ取得手段によって取得したコンテンツ配信シナリオに含まれるマーカ情報が、前記マーカ検知手段によって検知されるごとに、前記同期イベント要求を送信する、請求項1又は2に記載のコンテンツ配信制御サーバ。
【請求項4】
前記コンテンツ配信シナリオの配信タイミングは、絶対時刻、又は最初の同期イベント要求の送信から経過する相対時刻を含み、
前記同期イベント要求送信手段は、前記シナリオ取得手段によって取得したコンテンツ配信シナリオの前記絶対時刻又前記相対時刻に基づいて、前記同期イベント要求を送信する、請求項1から3のいずれかに記載のコンテンツ配信制御サーバ。
【請求項5】
コンテンツを表示するブラウザを実装したユーザ端末と、コンテンツを有するWebサーバと、映像放送に基づいて前記コンテンツの取得を前記ユーザ端末に指示するコンテンツ配信制御サーバとを有するコンテンツ配信制御システムであって、
前記コンテンツ配信制御サーバは、
前記映像放送に埋め込まれたマーカ情報と、コンテンツを配信するタイミングである配信タイミングを含むコンテンツ配信シナリオと、を対応付けたテーブルを記憶するマーカ・シナリオ記憶手段と、
前記ユーザ端末から前記映像放送に関連付けられたログインを受け付け、受け付けたログインをログイン情報記憶手段に記憶させるログイン管理手段と、
前記映像放送を受信する映像放送受信手段と、
前記映像放送受信手段によって受信した映像放送に埋め込まれたマーカ情報を検知するマーカ検知手段と、
前記マーカ検知手段によって検知したマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信シナリオを前記マーカ・シナリオ記憶手段から取得するシナリオ取得手段と、
前記シナリオ取得手段によって取得したコンテンツ配信シナリオの配信タイミングに基づいて、前記ログイン情報記憶手段に記憶された前記ユーザ端末に、コンテンツを受信するための同期イベント要求を送信する同期イベント要求送信手段と、を備え、
前記ユーザ端末は、
ログインを受け付け、前記コンテンツ配信制御サーバにログインするログイン手段と、
前記コンテンツ配信制御サーバから、前記同期イベント要求を受信する同期イベント要求受信手段と、
前記同期イベント要求受信手段によって受信した同期イベント要求に基づいて、前記Webサーバからコンテンツを取得するためのページ取得要求を前記Webサーバに送信するページ取得要求送信手段と、
前記ページ取得要求送信手段によって送信されたページ取得要求に応じた前記Webサーバから、コンテンツを受信するページ取得応答受信手段と、
前記ページ取得応答受信手段によって受信したコンテンツを前記ブラウザによって表示する表示処理手段と、を備える、
コンテンツ配信制御システム。
【請求項6】
コンテンツを表示するブラウザを実装したユーザ端末と通信し、映像放送に基づいて前記コンテンツの取得を前記ユーザ端末に指示するコンテンツ配信制御サーバが実行する方法であって、
前記コンテンツ配信制御サーバは、前記映像放送に埋め込まれたマーカ情報と、コンテンツを配信するタイミングである配信タイミングを含むコンテンツ配信シナリオと、を対応付けたテーブルを記憶するマーカ・シナリオ記憶手段を備え、
前記方法は、
前記ユーザ端末から前記映像放送に関連付けられたログインを受け付け、受け付けたログインをログイン情報記憶手段に記憶させるログインステップと、
前記映像放送を受信する映像放送受信ステップと、
前記映像放送受信ステップによって受信した映像放送に埋め込まれたマーカ情報を検知するマーカ検知ステップと、
前記マーカ検知ステップによって検知したマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信シナリオを前記マーカ・シナリオ記憶手段から取得するシナリオ取得ステップと、
前記シナリオ取得ステップによって取得したコンテンツ配信シナリオの配信タイミングに基づいて、前記ログイン情報記憶手段に記憶された前記ユーザ端末に、コンテンツを受信するための同期イベント要求を送信する同期イベント要求送信ステップと、
を備える方法。
【請求項7】
コンテンツを表示するブラウザを実装したユーザ端末と通信し、映像放送に基づいて前記コンテンツの取得を前記ユーザ端末に指示するコンテンツ配信制御サーバに実行させるためのプログラムであって、
前記コンテンツ配信制御サーバは、前記映像放送に埋め込まれたマーカ情報と、コンテンツを配信するタイミングである配信タイミングを含むコンテンツ配信シナリオと、を対応付けたテーブルを記憶するマーカ・シナリオ記憶手段を備え、
前記プログラムは、
前記ユーザ端末から前記映像放送に関連付けられたログインを受け付け、受け付けたログインをログイン情報記憶手段に記憶させるログインステップと、
前記映像放送を受信する映像放送受信ステップと、
前記映像放送受信ステップによって受信した映像放送に埋め込まれたマーカ情報を検知するマーカ検知ステップと、
前記マーカ検知ステップによって検知したマーカ情報に対応付けられたコンテンツ配信シナリオを前記マーカ・シナリオ記憶手段から取得するシナリオ取得ステップと、
前記シナリオ取得ステップによって取得したコンテンツ配信シナリオの配信タイミングに基づいて、前記ログイン情報記憶手段に記憶された前記ユーザ端末に、コンテンツを受信するための同期イベント要求を送信する同期イベント要求送信ステップと、
を備えるプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−208654(P2012−208654A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72858(P2011−72858)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】