説明

映像検索装置及び映像検索方法

【課題】膨大な映像の中から所望の被写体の映像を容易に検出し得る映像検索装置及び方法を提案する。
【解決手段】外部から与えられる第1の映像情報に基づく映像内に存在する各被写体をそれぞれ抽出し、抽出した被写体の映像情報を記録媒体に記録すると共に、抽出した各被写体の特徴部位をそれぞれ抽出し、抽出した各被写体の特徴部位に関する情報である被写体ごとの特徴情報を、それぞれ記録媒体に記録された各被写体の映像情報と関連付けて記憶し、検索対象として指定された被写体の特徴情報に基づいて、記憶した各特徴情報の中から検索対象として指定された被写体に対応する特徴情報を検索するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像検索装置及び映像検索方法に関し、例えば映像監視システムに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスビル、ホテル及びデパートなどの施設では古くから映像監視システムが導入されており、施設内の随所に監視カメラが設置されている。これら監視カメラの撮影映像は、集中管理室などにおいてリアルタイムで表示されるほか、ビデオテープ又はハードディスク装置などの記録媒体に記録されて一定期間保存される。そして、記録媒体に記録された撮影映像は、事件等が発生したときなどに状況検証のために利用されている。
【0003】
ところで、通常、かかる施設には複数台の監視カメラが設置され、またこれら監視カメラによる撮影は昼夜を問わず常時行われる。このため、記録媒体に記録される撮影映像の量が膨大となり、かかる撮影映像の中から特定の人物が写っているシーンを検出しなければならない事態が発生した場合に、その作業に多大な時間及び労力を要するという問題があった。
【0004】
かかる問題を解決するための1つの方法として、例えば特許文献1には、各々の被写体にICタグ等の識別情報素子を所持させ、この識別情報素子から得られる識別情報と、記録媒体に記録するその別情報素子を所持した被写体の撮影映像とを関連付けておく方法が開示されている。
【特許文献1】特開2007−329622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、かかる特許文献1に開示された方法は、各々の被写体に識別情報素子を所持させる必要があるため、例えばホテルやデパートなどの不特定多数の人間が出入りする施設には適用し難い問題があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、膨大な映像の中から所望の被写体の映像を容易に検出し得る映像検索装置及び方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明においては、映像検索装置において、外部から与えられる第1の映像情報に基づく映像内に存在する各被写体をそれぞれ抽出し、抽出した前記被写体の映像情報を記録媒体に記録する被写体抽出部と、前記被写体抽出部により抽出された各前記被写体の特徴部位をそれぞれ抽出する特徴部位抽出部と、前記特徴部位抽出部により抽出された各前記被写体の特徴部位に関する情報である前記被写体ごとの特徴情報を、それぞれ前記記録媒体に記録された各前記被写体の映像情報と関連付けて記憶する記憶部と、検索対象として指定された被写体の特徴情報に基づいて、前記記憶部に記憶された各前記特徴情報の中から前記検索対象として指定された被写体に対応する特徴情報を検索する映像検索部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また本発明においては、映像検索方法において、外部から与えられる第1の映像情報に基づく映像内に存在する各被写体をそれぞれ抽出し、抽出した前記被写体の映像情報を記録媒体に記録すると共に、抽出した各前記被写体の特徴部位をそれぞれ抽出し、抽出した各前記被写体の特徴部位に関する情報である前記被写体ごとの特徴情報を、それぞれ前記記録媒体に記録された各前記被写体の映像情報と関連付けて記憶する第1のステップと、検索対象として指定された被写体の特徴情報に基づいて、記憶した各前記特徴情報の中から前記検索対象として指定された被写体に対応する特徴情報を検索する第2のステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録媒体に記録された複数の被写体の映像情報の中から所望の被写体の映像情報を検出することができ、かくして膨大な映像の中から所望の被写体の映像を容易に検出し得る映像検索装置及び方法を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0011】
(1)第1の実施の形態
(1−1)本実施の形態による映像監視システムの構成
図1において、1は全体として本実施の形態による映像監視システムを示す。この映像監視システム1は、各被写体の特徴に関する情報(以下、これを特徴情報と呼ぶ)を撮影映像から画像処理により抽出して収集し、収集した各被写体の特徴情報に基づいて、記録媒体8に蓄積された映像の中からユーザにより指定された被写体の映像を検索し得るようになされている。
【0012】
実際上、この映像監視システム1は、図2に示すように、同一の被写体2を多視点から撮影可能な状態に固定配置された複数のカメラ3A〜3nから構成されるカメラ部3を備える。図2は、部屋4の四隅から中央に位置する被写体(例えば人物)2を撮影可能なように4台のカメラ3A〜3Dを設置した例であり、矢印aは被写体2の向きを示している。
【0013】
そしてこれらカメラ3A〜3nから出力される例えば図3(A)〜(D)に示すような同一の被写体2の撮影映像の映像信号(以下、これをカメラ映像信号と呼ぶ)が、それぞれ図示しないケーブルを介して映像検索装置5内の映像入力部6に与えられる。
【0014】
映像入力部6は、各カメラ3A〜3nからそれぞれ与えられるカメラ映像信号に対してこれらカメラ映像信号間の同期をとるための同期処理などの所定の信号処理をそれぞれ施し、信号処理後の各カメラ映像信号をそれぞれ映像制御部7に送出する。
【0015】
映像制御部7は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、通常モード時、映像入力部6から与えられる各カメラ映像信号に基づく撮影映像情報(以下、これをカメラ映像情報と呼ぶ)を、例えばハードディスク装置や半導体メモリなどから構成される記録媒体8に順次格納する。
【0016】
記録媒体8に格納されたカメラ映像情報は、この後、被写体抽出部9により1フレーム分ずつ順次読み出される。そして被写体抽出部9は、読み出した1フレーム分のカメラ映像情報に基づくフレーム画像内に被写体2が存在するか否かを判定する。例えば被写体2を人物とした場合、背景差分法や肌色検出法などの従来手法により被写体2の有無を判定することができる。また被写体2を人物や車などの「動く物」とした場合には、フレーム画像間における画像の差分を抽出する動き検出処理などの従来手法により被写体2の有無を判定することができる。
【0017】
被写体抽出部9は、かかる判定によりフレーム画像内に被写体2が存在すると判断した場合には、当該フレーム画像からその被写体2の映像部分(以下、これを被写体映像と呼ぶ)を抽出し、抽出した被写体映像の映像情報を特徴部位抽出部10及び多視点映像生成部11に送出する。また多視点映像生成部11は、被写体抽出部9から与えられる被写体映像の映像情報を記録媒体8に順次格納する。
【0018】
被写体抽出部9は、以上の処理を、記録媒体8に格納された各カメラ映像情報に対して1フレーム分ずつ繰り返し実行する。この結果、同一の被写体を同一のタイミングで多視点から撮影した図4(A)〜(D)に示すような複数の被写体映像の映像情報が記録媒体8に順次蓄積される。ただし、以上の処理を被写体抽出部9が数〜数十フレームごとに行うようにしても良い。このようにすることによって、被写体抽出部9の負荷を軽減し、かつ記録媒体8に蓄積される被写体映像の映像情報の情報量を低減することができる。
【0019】
このとき特徴部位抽出部10は、被写体抽出部9から与えられる被写体映像の映像情報に基づいて、対応する被写体映像内の予め定められた特徴的な部位(以下、これを特徴部位と呼ぶ。)の映像部分を抽出する。例えば被写体が人物である場合、目、眉毛、鼻、口、耳、顔全体、装着している衣料品(服や帽子等)や装飾品(ネックレス、ピアス等)、バッグ、服に描かれた文字などが特徴部位に相当する。
【0020】
そして特徴部位抽出部10は、抽出した特徴部位の映像情報と、当該特徴部位を管理するための管理情報とを特徴情報として、その特徴部位を抽出した被写体映像の映像情報及び対応するカメラ映像情報とそれぞれ関連付けて、記録媒体8内の特徴情報記憶部8Aに格納する。
【0021】
一方、映像制御部7は、ユーザにより操作部13が操作されて被写体検索モードが選択されると、そのときユーザにより選択された1台のカメラ3A〜3nから与えられるカメラ映像信号(以下、これを選択カメラ映像信号と呼ぶ)を映像出力部14を介してモニタ15に与える。これによりこの選択カメラ映像信号に基づいて、図6(A)に示すようなカメラ映像画面16がモニタ15に表示される。
【0022】
このカメラ映像画面16は、かかる選択カメラ映像信号に基づくカメラ映像上に、当該カメラ映像内に存在するいずれか一人の被写体を取り囲むように枠体16Aが表示された画面である。このカメラ映像画面16では、操作部13を操作することによって、かかる枠体16Aを当該カメラ映像画面16上に存在する他の被写体を取り囲むように移動させることができる。
【0023】
そして映像制御部7は、この後、ユーザにより操作部13が操作されてそのとき枠体16Aで囲まれた被写体(以下、適宜、これを検索対象被写体と呼ぶ)の検索命令が入力されると、そのとき特徴部位抽出部9が抽出したその検索対象被写体の特徴部位の映像情報を特徴情報記憶部8Aから読み出す。
【0024】
また映像制御部7は、この特徴部位の映像情報に基づいて、それまでに特徴情報記憶部8Aに蓄積された各被写体の特徴部位の映像情報の中から検索対象被写体のものと推測される特徴部位の映像情報を例えばパターンマッチング処理により検出し、その特徴部位の映像情報と関連付けられている被写体映像に基づいて多視点映像を生成すべき要求(以下、これを多視点映像生成要求と呼ぶ)を多視点映像生成部11に送出する。
【0025】
多視点映像生成部11は、各カメラ3A〜3nの設置位置や撮影方向などのカメラ3A〜3nごとの管理情報(以下、これをカメラ情報と呼ぶ)を例えばハードディスク装置や半導体メモリなどから構成されるカメラ情報記憶部12内に予め保持している。そして多視点映像生成部11は、上述のように映像制御部7から多視点映像生成要求が与えられると、かかるカメラ情報記憶部12に保持した各カメラ3A〜3nのカメラ情報と、記録媒体8に格納されている検索対象被写体の被写体映像の映像情報とに基づいて、例えば図5(A)及び(B)に示すような検索対象被写体の多視点映像を生成する。
【0026】
この多視点映像は、2枚の被写体映像に基づいて、これら2枚の被写体映像の視点位置とは異なる視点位置から被写体を見たときの被写体の3次元モデルであり、例えば図4(A)及び(C)にそれぞれ示す各被写体映像の映像情報に基づいて図5(A)に示すような多視点映像が生成され、図4(A)及び(B)にそれぞれ示す各被写体映像の映像情報に基づいて図5(B)に示すような多視点映像が生成される。なお多視点映像の視点位置は、後述のように操作部13を操作することにより変えることができるが、生成初期時における視点位置は予め定められた所定位置であるものとする。
【0027】
そして多視点映像生成部11は、このようにして生成した検索対象被写体の多視点映像の映像情報を記録媒体8に格納する。
【0028】
さらに映像制御部7は、記録媒体8に格納されているカメラ映像情報のうち、検索対象被写体のものと推測される特徴部位の映像情報と関連付けられているカメラ映像情報に基づく記録映像の中から、検索対象被写体が映っている映像部分を検出すべき要求(以下、これを被写体映像部位検出要求と呼ぶ)を特徴部位抽出部10に送出する。
【0029】
特徴部位抽出部10は、この被写体映像部位検出要求が与えられると、かかる検索対象被写体のものと推測される特徴部位の映像情報を用いたパターンマッチング処理により、当該特定部位の映像情報と関連付けられたカメラ映像情報に基づく記録映像中の当該検索対象被写体が写っている映像部分を検出し、検出結果を映像制御部7に通知する。
【0030】
かくして映像制御部7は、かかる上述のようにして検出した検索対象被写体の被写体映像の映像情報と、この被写体映像に基づいて多視点映像生成部11に生成させた多視点映像の映像情報と、対応するカメラ映像情報に基づく記録映像中の検索対象被写体が写っている映像部分のカメラ映像情報とを記録媒体8から読み出し、これらに基づいて図6(B)に示すような検索結果表示画面17を生成する。そして映像制御部7は、この検索結果表示画面17の画面信号を映像出力部14を介してモニタ15に送出することにより、この検索結果表示画面17をモニタ15に表示させる。
【0031】
なお、図16(B)において、17A及び17Bは、各カメラ3A〜3nから出力されるカメラ映像情報に基づき生成された検索対象被写体の被写体映像のうち、予め定められたカメラ3A〜3nから出力されたカメラ映像情報に基づき生成された被写体映像であり、17Cは、検索対象被写体の多視点映像である。この多視点映像は、操作部13を操作することにより視点位置を自由に変えることができる。さらに17Dは、記録媒体8から読み出したカメラ映像情報に基づき表示される検索対象被写体が写っている記録映像(動画像)である。
【0032】
(1−2)特徴部位抽出処理に関する特徴部位抽出部の具体的な処理内容
ここで特徴部位抽出部10は、上述のように被写体抽出部9から与えられる被写体映像の映像情報に基づいて当、該被写体映像から特徴部位を抽出するための手段として、図7に示すようなテンプレート画像テーブル20を内部メモリ(図示せず)に保持している。
【0033】
このテンプレート画像テーブル20は、抽出対象となる特徴部位(目、眉毛、鼻、口、服に描かれた文字など)のテンプレート画像を管理するためのテーブルであり、これら抽出対象の特徴部位のテンプレート画像の画像情報がそれぞれ複数格納されている。
【0034】
例えば、「目」、「眉毛」、「鼻」及び「口」という特徴部位については、それぞれ「目」、「鼻」及び「口」について複数の形状のテンプレート画像が格納され、「文字」という特徴部位については、それぞれアルファベット、数字、ひらがな及びカタカナなどの抽出対象となる各文字のテンプレート画像が格納される。
【0035】
そして特徴部位抽出部10は、被写体抽出部9から被写体映像の映像情報が与えられると、当該被写体映像に対してテンプレート画像テーブル20に登録されている各テンプレート画像を用いたパターンマッチング処理を実行することにより、当該被写体映像から特徴部位を抽出する。
【0036】
また特徴部位抽出部10は、かかるパターンマッチング処理により特徴部位を検出したときには、その特徴部位の映像部分を被写体映像から抽出し、その映像部分の映像情報とその特徴部位に関する管理情報とを徴情報記憶部8Aに保持された図8に示すような特徴情報管理テーブル21に格納する。
【0037】
この特徴情報管理テーブル21は、被写体映像から抽出された特徴部位の映像情報及び当該特徴部位の管理情報を、その被写体映像の映像ファイル及び対応するカメラ映像情報の映像ファイルと関連付けて管理するためのテーブルであり、特徴部位映像情報欄21A、管理情報欄21B、被写体映像ファイルID欄21C及び撮影映像ファイルID欄21Dから構成される。
【0038】
そして特徴部位映像情報欄21Aには、特徴部位抽出部10により被写体映像から抽出された特徴部位の映像情報が格納され、被写体映像ファイルID欄21Cには、その被写体映像の映像情報が格納された映像ファイルのファイルIDが格納される。またカメラ映像ファイルID欄21Dには、かかる被写体映像が抽出された記録映像の映像ファイルのファイルIDが格納される。
【0039】
一方、特徴情報欄21Bは、属性欄21E、認識文字欄21F及びタイムコード欄21Gなどから構成される。そして属性欄21Eには、対応する特徴部位の属性(目、鼻、口、文字等)が格納され、認識文字欄21Fには、特徴部位の属性が文字である場合に当該特徴部位について認識した文字が格納される。さらにタイムコード欄21Gには、対応する特徴部位を検出した被写体映像が抽出された元のフレーム画像のタイムコードが格納される。
【0040】
図9は、以上のような特徴部位の抽出処理(以下、これを特徴部位抽出処理と呼ぶ)に関する特徴部位抽出部10の具体的な処理内容を示す。特徴部位抽出部10は、図示しない内部メモリに格納された制御プログラムに従って、被写体抽出部9から被写体映像の映像情報が与えられるごとにこの図9に示す特徴部位抽出処理を実行する。
【0041】
すなわち特徴部位抽出部10は、被写体抽出部9から被写体映像の映像情報が与えられるとこの特徴部位抽出処理を開始し、まず、テンプレート画像テーブル20(図7)から1つのテンプレート画像を選択する(SP1)。
【0042】
次いで特徴部位抽出部10は、そのテンプレート画像をそのとき受信した被写体映像上でラスタ走査させながら、被写体映像上のテンプレート画像が重なった領域内の各画素の画素値と、テンプレート画像内の各画素の画素値とをそれぞれ比較する(SP2)。
【0043】
そして特徴部位抽出部10は、被写体映像に対する上述のようなラスタ走査が終了すると、被写体映像上でテンプレート画像の画素の画素値と一定数以上画素値が一致した領域が存在するか否かを判断する(SP3)。
【0044】
特徴部位抽出部10は、この判断において肯定結果を得ると、被写体映像のかかる領域の映像情報を、その管理情報共に特徴情報として、当該被写体映像の映像ファイルのファイルID及び対応する記録映像の映像ファイルのファイルIDと関連付けて特徴情報記憶部8A内の特徴情報管理テーブル21に登録し(SP4)、この後ステップSP7に進む。
【0045】
これに対して特徴部位抽出部10は、かかる判断において否定結果を得ると、テンプレート画像を拡大又は縮小済みであるか否かを判断する(SP5)。すなわち本実施の形態の場合、上述のようなパターンマッチング処理を、テンプレート画像を少しずつ拡大しながら複数回行い、同様にテンプレート画像を少しずつ縮小しながら複数回行う。このため特徴部位抽出部10は、ステップSP5の判断において否定結果を得ると、そのとき利用しているテンプレート画像を拡大又は縮小し(SP6)、この後ステップSP2に戻る。
【0046】
そして特徴部位抽出部10は、以上のようなパターンマッチング処理をすべて終了することによりステップSP5の判断において肯定結果を得ると、未だパターンマッチング処理を行なっていないテンプレート画像がテンプレート画像テーブル20上に存在するか否かを判断する(SP7)。
【0047】
特徴部位抽出部10は、この判断において肯定結果を得ると、テンプレート画像をテンプレート画像テーブル20に格納された他のテンプレート画像と交換した後(SP8)、ステップSP2に戻る。かくして特徴部位抽出部10は、この後、ステップSP2以降の処理を上述と同様に実行する。
【0048】
そして特徴部位抽出部10は、やがてテンプレート画像テーブル20に登録されているすべてのテンプレート画像について同様の処理を終えることによりステップSP7において否定結果を得ると、この特徴部位抽出処理を終了する。
【0049】
(1−3)多視点映像生成処理に関する多視点映像生成部の具体的な処理内容
次に、多視点映像生成部11における多視点映像の生成処理(以下、これを多視点映像生成処理と呼ぶ)の具体的な処理内容について説明する。これに際して、まず、多視点映像生成部11がカメラ情報記憶部12に保持している各カメラ3A〜3nのカメラ情報について説明する。
【0050】
図10は、多視点映像生成部11がカメラ情報記憶部12内に保持している各カメラ3A〜3nのカメラ情報の具体的な内容を示している。この図10からも明らかなように、各カメラ情報は、対応するカメラ3A〜3nの位置情報、向き情報、画角情報及びズーム倍率情報から構成される。
【0051】
位置情報は、各カメラ3A〜3nが設置された場所を1つの空間とした場合の対応するカメラ3A〜3nのワールド座標を表す情報であり、向き情報は、そのカメラ3A〜3nの撮影方向(光軸方向)を表す情報である。図10において、θn(n=1,2,3,……)はそのカメラ3A〜3nの光軸が水平面となす煽り方向の角度を示し、φn(n=1,2,3,……)は当該カメラ3A〜3nの光軸が水平面上の基準方向となす角度を示す。
【0052】
また画角情報は、そのカメラ3A〜3nの画角を表す情報である。図10において、αn(n=1,2,3,……)はそのカメラ3A〜3nの水平方向の画角を示し、βn(n=1,2,3,……)はそのカメラ3A〜3nの垂直方向の画角を示す。さらにズーム倍率情報は、そのカメラ3A〜3nのズーム倍率を表す情報である。
【0053】
これらのカメラ情報のうち、位置情報及び画角情報については、ユーザにより事前にカメラ情報記憶部12に格納される。また向き情報については、各カメラ3A〜3nをそれぞれ保持する各保持機構(図示せず)から映像検索装置5に与えられる対応するカメラ3A〜3nの向き情報に基づいて例えば映像制御部7などにより自動的に更新される。さらにズーム倍率情報は、各カメラ3A〜3nから映像検索装置5に逐次通知される現在のズーム倍率に基づいて自動的に更新される。
【0054】
次に、図11を用いて、同一の被写体30を撮影する2台のカメラ31A,31Bの各撮影映像から抽出した被写体映像32A,23Bの映像情報に基づいて、任意の視点位置から見た被写体30の多視点映像33を生成する方法について説明する。
【0055】
この場合、まず、各被写体映像32A,32B内における被写体30上の対応点を検出する。対応点は、一方のカメラ31Aの撮影により得られた被写体映像32A内の特徴部位と同じ特徴部位を、他方のカメラ31Bの撮影により得られた被写体映像32B内で検出することにより検出することができる。具体的には、基準とする一方の被写体映像32A内の例えば「左目」の位置と、他方の被写体映像31B内の「左目」の位置とを対応点とする。これと同様にして、各被写体映像32A,32B内における被写体30上の対応点を幾つか検出する。
【0056】
続いて、これら検出した幾つかの対応点の座標に基づいて、次式
【数1】

を満たす平面射影行列Hを決定する。
【0057】
次いで、この平面射影行列Hを用いて、基準とする一方の被写体映像32A内の全画素に対して行列変換を行う。これにより一方の被写体映像32A内の各画素とそれぞれ対応する他方の被写体映像32B内の画素を検出することができる。
【0058】
この後、一方のカメラ31Aからそのとき生成しようとする多視点映像33の視点位置までの距離と、他方のカメラ31Bから当該視点位置までの距離との比を求める。この比は、カメラ情報記憶部12に格納されている各カメラ3A〜3nの位置情報に基づいて求めることができる。
【0059】
ここで、仮に一方のカメラ31Aから多視点映像33の視点位置までの距離と、他方のカメラ31Bから当該視点位置までの距離との比をγ:(1−γ)(ただし0≦γ≦)とし、一方の被写体映像32A上の1つの画素の位置ベクトルP1、当該画素と対応する他方の被写体映像32B上の画素(以下、座標をとする)の位置ベクトルをP2とすると、かかる視点位置における多視点映像33上での対応点の座標の位置ベクトルは、次式
【数2】


によって算出することができる。
【0060】
よって、かかる比が求められたら、この後、一方の被写体映像32A上の1つの画素の座標(a1,b1)と、他方の被写体映像32B上のこれに対応する画素の座標(a2,b2)とに基づいて、(2)式によりかかる視点位置における多視点映像33上の対応点の座標(a12,b12)を求める。
【0061】
この後、かかる一方の被写体映像32A上の座標(a1,b1)における画素値と、他方の被写体映像32B上の座標(a2,b2)における画素値とを用いて、多視点映像33上のかかる対応点の画素の画素値を線形補間法により求める。
【0062】
以上の処理を一方の被写体映像32A上のすべての画素について実行する。これにより同一の被写体30を撮影する2台のカメラ31A,31Bの各撮影映像から抽出した被写体映像32A,32Bの映像情報に基づいて、任意の視点位置の多視点映像33を得ることができる。
【0063】
以上の原理に基づいて、多視点映像生成部11は、図示しない内部メモリに格納された制御プログラムに従って図12に示す多視点映像生成処理を実行することにより、検索対象被写体の多視点映像を生成する。
【0064】
実際上、多視点映像生成部11は、映像制御部7から上述の多視点映像生成要求が与えられると、この図12に示す多視点映像生成処理を開始し、まず、多視点映像を生成するために利用する2枚の被写体映像として、カメラ情報記憶部12に格納されている各カメラ3A〜3nのカメラ情報のうち、デフォルトの視点位置に最も近い位置に位置する2台のカメラ3A〜3nからそれぞれ与えられたカメラ映像信号に基づく被写体映像を選択する(SP10)。
【0065】
続いて多視点映像生成部11は、図11について説明した方法により、これら2枚の被写体映像上の対応点を複数個所分それぞれ検出し(SP11)、この検出結果に基づいてデフォルトの視点位置から見た被写体の多視点映像を生成する(SP12)。そして多視点映像生成部11は、この後、この多視点映像生成処理を終了する。
【0066】
なお映像制御部7は、この後、図6(B)について上述した検索結果表示画面17に表示された多視点映像17Cの視点位置を変更すべき旨の操作入力がユーザから与えられると、ユーザが指定した位置を視点位置とする多視点映像の生成要求(多視点映像生成要求)を多視点映像生成部11に与える。
【0067】
そして多視点映像生成部11は、この多視点映像生成要求が与えられたときも上述と同様にして多視点映像を生成する。この場合における多視点映像生成処理の内容は、ステップSP10において、ユーザにより指定された視点位置に最も近い位置に位置する2台のカメラ3A〜3nからそれぞれ与えられたカメラ映像信号に基づく被写体映像を選択する点を除いて上述と同様である。
【0068】
(1−4)被写体検索処理に関する映像制御部の具体的な処理内容
一方、映像制御部7は、ユーザにより操作部13が操作されて被写体検索モードが選択された場合、図示しない内部メモリに格納された制御プログラムに基づいて図13に示す被写体検索処理を実行する。
【0069】
すなわち、映像制御部7は、被写体検索モードが選択されると、ユーザにより指定されたカメラ3A〜3nから与えられる映像信号(選択カメラ映像信号)を上述の映像出力部14を介してモニタ15に送出することにより、この選択カメラ映像信号に基づく図6(A)について上述したカメラ映像画面16をモニタ15に表示させる(SP20)。
【0070】
また映像制御部7は、これと併せて、かかる選択カメラ映像信号に基づくカメラ映像内に被写体を検出したか否かを被写体抽出部9に定期的に問い合わせながら、被写体抽出部9がカメラ映像内の被写体を検出するのを待ち受ける(SP21)。
【0071】
このとき被写体抽出部9は、通常モード時と同様の処理を行っており、選択カメラ映像信号に基づくカメラ映像内に少なくとも1つの被写体を検出した場合には、その旨を映像制御部7に通知すると共に、この後、かかる選択カメラ映像信号に基づくカメラ映像の各フレーム画像内にそれぞれ存在する各被写体の位置を映像制御部7に逐次報告する。
【0072】
かくして映像制御部7は、被写体抽出部9から被写体を検出した旨の通知を受信すると、この後被写体抽出部9から逐次与えられる各被写体の位置情報に基づき生成した枠体画像信号を選択カメラ映像信号に重畳する(SP22)。これにより、かかる選択カメラ映像信号に基づくカメラ映像内に存在する1つの被写体を取り囲むように枠体16A(図6(A))が表示される。
【0073】
この後、映像制御部7は、ユーザ操作に応じて枠体16Aの位置を他の被写体を取り囲む位置に移動させながら、検索対象の被写体(検索対象被写体)が選択されるのを待ち受ける(SP23)。そして映像制御部7は、やがてユーザにより検索対象被写体が選択されると、このとき特徴部位検出部10により検出されたその検索対象被写体の特徴部位の映像情報を特徴情報記憶部8Aから読み出す(SP24)。
【0074】
続いて映像制御部7は、読み出した検索対象被写体の特徴部位の映像情報に基づいて、特徴情報記憶部8Aに蓄積されている他の特徴部位の映像情報のうち、検索対象被写体のものと推測される特徴部位の映像情報をパターンマッチ処理により検索する(SP25)。
【0075】
次いで映像制御部7は、かかる検索処理により検索対象被写体のものと推測される特徴部位の映像情報を検出できたか否かを判断する(SP26)。そして映像制御部7は、この判断において否定結果を得ると、かかる検索対象被写体の被写体映像等を検出できなかった旨のメッセージをモニタ15に表示させ(SP27)、この後この被写体検索処理を終了する。
【0076】
これに対して映像制御部7は、ステップSP26の判断において肯定結果を得ると、そのとき検出した特徴部位の映像情報と関連付けられている被写体映像の映像ファイルのファイルIDと、当該特徴部位の映像情報と関連付けられている記録映像の映像ファイルのファイルIDとを特徴情報記憶部8Aに格納されている特徴情報管理テーブル21(図8)から読み出す(SP28)。
【0077】
また映像制御部7は、ステップSP28において取得したファイルIDにより特定される被写体映像を用いて多視点映像を生成すべき旨の多視点映像生成要求を多視点映像生成部11に送出すると共に(SP29)、ステップSP28において取得したファイルIDにより特定される記録映像の映像内で、検索対象被写体が写っている映像部分を検出すべき旨の被写体映像部位検出要求を特徴部位抽出部10に送出する(SP30)。
【0078】
そして映像制御部7は、この後、かかる被写体映像の映像情報と、当該被写体映像に基づいて多視点映像生成部11により生成された多視点映像の映像情報と、特徴部位抽出部10により検出された対応する記録映像中の検索対象被写体が写っている映像部分のカメラ映像情報とを記録媒体8から読み出す(SP31)。
【0079】
また映像制御部7は、記録媒体8から読み出したこれら被写体映像及び多視点映像の各映像情報と、カメラ映像情報とに基づいて図6(B)について上述した検索結果表示画面17の画面信号を生成し、この画面信号を映像出力部14を介してモニタ15に与えることにより、当該検索結果表示画面17をモニタ15に表示させる(SP32)。そして映像制御部7は、この後この被写体検索処理を終了する。
【0080】
(1−5)本実施の形態の効果
以上のように、本実施の形態による映像監視システム1では、各カメラ3A〜3nから与えられるカメラ映像信号に基づいて、これらカメラ映像信号に基づくカメラ映像内に存在する各被写体の特徴部分の映像情報及びその管理情報を取得すると共に、これらをその被写体の特徴情報として当該被写体の被写体映像及び多視点映像と関連付けて特徴情報記憶部8Aに蓄積する。
【0081】
また映像監視システム1では、この後いずれかのカメラ3A〜3nからのカメラ映像信号に基づくカメラ映像内に存在する被写体(検索対象被写体)が指定されたときに、その被写体の特徴部位の特徴情報に基づいて、特徴情報記憶部8Aに蓄積されている各特徴情報の中から検索対象被写体に対応する特徴情報を検索し、検索結果に基づいて、その被写体の被写体映像及び多視点映像の各映像情報と、記録媒体8に格納されているカメラ映像のうちのその被写体が写っている映像部分の映像をモニタ15に表示する。
【0082】
従って、この映像監視システム1によれば、カメラ3A〜3nの撮影映像から取得した各被写体の特徴情報に基づいてユーザにより指定された被写体の検索が行えるため、膨大な映像の中から所望の被写体の映像を容易に検出でき、また例えばホテルやデパートなどの不特定多数の人間が出入りする施設における映像監視システムとして実用上十分に適用することができる。
【0083】
(2)第2の実施の形態
図1において、40は全体として第2の実施の形態による映像監視システムを示す。この映像監視システム40は、映像検索装置41において、図6(A)について上述したカメラ映像画面16及び図6(B)について上述した検索結果表示画面17が同じ1つの画面にまとめられて表示される点が第1の実施の形態による映像監視システム1と異なる。
【0084】
すなわち、本実施の形態による映像監視システム40の場合、ユーザ操作により被写体検索モードを選択すると、図14に示すような検索画面42がモニタ15に表示される。
【0085】
この検索画面42では、ユーザにより指定されたカメラ3A〜3nから与えられる映像信号(選択カメラ映像信号)に基づくカメラ映像がカメラ映像表示欄42Aに表示され、そのカメラ映像表示欄42Aに表示されたカメラ映像内に存在するすべての被写体の被写体映像が被写体一覧表示欄42Bに一覧表示される。
【0086】
そして検索画面42では、ユーザが操作部13を操作して被写体一覧表示欄42Bに表示された被写体画像の中から検索対象の被写体(検索対象被写体)の被写体画像を選択することによって、その検索対象被写体の被写体映像、多視点映像及びその検索対象被写体が写っている記録映像の映像部分を基本映像表示欄42C、多視点映像表示欄42D及び記録映像表示欄42Eにそれぞれ表示させることができる。
【0087】
図15は、このような検索画面42の表示を含めた第2の実施の形態による被写体検索処理に関する映像制御部43(図1)の具体的な処理内容を示している。映像制御部43は、ユーザにより操作部13が操作されて被写体検索モードが選択されると、図示しない内部メモリに格納された制御プログラムに基づいてこの図15に示す被写体検索処理を実行する。
【0088】
すなわち映像制御部43は、被写体検索モードが選択されるとこの被写体検索処理を開始し、まず、所定の画面信号を映像出力部14を介してモニタ15に送出することにより、図14について上述した検索画面42をモニタ15に表示させる(SP40)。
【0089】
なお、この段階における検索画面42では、選択カメラ映像信号に基づくカメラ映像が検索画面42のカメラ映像表示欄42Aに表示されるが、被写体一覧表示欄42Bや、基本映像表示欄42C、多視点映像表示欄42D及び記録映像表示欄42Eには対応する映像は表示されない。
【0090】
続いて映像制御部43は、選択カメラ映像信号に基づくカメラ映像内に被写体を検出したか否かを被写体抽出部9に定期的に問い合わせながら、被写体抽出部9がカメラ映像内の被写体を検出するのを待ち受ける(SP41)。
【0091】
そして映像制御部43は、やがて被写体抽出部9から被写体を検出した旨の通知が与えられると、そのとき被写体抽出部9により生成されて記録媒体8に格納された、そのとき検出された各被写体の被写体映像の映像情報を記録媒体8から読み出し、当該映像情報に基づく被写体映像を被写体一覧表示欄42B内に一覧表示する(SP42)。
【0092】
続いて映像制御部43は、操作部13が操作されて検索画面42の被写体一覧表示欄42Bに表示された被写体映像の中から検索対象とする被写体(検索対象被写体)の被写体映像が選択されるのを待ち受け(SP43)、やがて検索対象被写体が選択されると、図13について上述した第1の実施の形態による被写体検索処理のステップSP24〜ステップSP31と同様にステップSP44〜ステップSP51を処理する。
【0093】
次いで映像制御部43は、ステップSP51において記録媒体8から読み出した被写体映像の映像情報、多視点映像情報及びカメラ映像情報に基づく被写体映像、多視点映像及び記録映像をそれぞれ検索画面42の基本映像表示欄42C、多視点映像表示欄42D及び記録映像表示欄42Eにそれぞれ表示させ(SP52)、この後この被写体検索処理を終了する。
【0094】
以上のように本実施の形態による映像監視システム40では、選択映像信号に基づくカメラ映像と、当該カメラ映像内の各被写体の被写体映像と、検索結果とが1つの検索画面42内に表示されるため、第1の実施の形態による映像監視システム1と比較して、検索対象の視認性や、操作性を向上させることができる。
【0095】
(3)第3の実施の形態
図1において、50は全体として第3の実施の形態による映像監視システムを示す。この映像監視システム50は、映像検索装置51において、キーワードを用いて所望の被写体を検索し得るようになされた点が第1の実施の形態による映像監視システム1と異なる。
【0096】
すなわち本実施の形態による映像監視システム50の場合、被写体検索モードを選択すると、図16に示すようなキーワード入力ダイアログ52が表示される。そしてユーザが操作部13を操作してこのキーワード入力ダイアログ52のキーワード入力欄52Aに所望のキーワードを入力した後、検索ボタン52Bを押下する操作を行なうことによって、そのキーワードに対応する被写体の検索を実行させることができる。この際使用するキーワードとしては、撮影日時や文字などが適用される。そしてこのときの検索結果が例えば図17(A)に示す検索画面54としてモニタに表示される。
【0097】
この検索画面54では、そのときキーワード入力ダイアログ52を用いてユーザが指定したキーワードがキーワード表示欄54Aに表示され、かかるキーワードに基づいて検出した各被写体の被写体映像が候補一覧表示欄54Bに一覧表示される。
【0098】
そして検索画面54では、この後、ユーザが操作部13を操作して候補一覧表示欄54Bに表示された被写体画像の中から検索対象の被写体(検索対象被写体)の被写体画像を選択することによって、図17(B)に示すように、その検索対象被写体の被写体映像、多視点映像及びその検索対象被写体が写っている記録映像の映像部分をそれぞれ検索画面54内のそれまで空きスペースであった領域に表示させることができる。
【0099】
図18は、このような検索画面54の表示を含めた第3の実施の形態による被写体検索処理に関する映像制御部53の具体的な処理内容を示している。映像制御部53は、ユーザにより操作部13が操作されて被写体検索モードが選択されると、図示しない内部メモリに格納された制御プログラムに基づいてこの図18に示す被写体検索処理を実行する。
【0100】
すなわち映像制御部54は、被写体検索モードが選択されるとこの被写体検索処理を開始し、まず、所定の画面信号を映像出力部14を介してモニタ15に送出することにより、図16について上述したキーワード入力ダイアログ51をモニタ15に表示させる(SP60)。
【0101】
続いて映像制御部53は、かかるキーワード入力ダイアログ52のキーワード入力欄52Aにキーワードが入力された後に検索ボタン52Bが押下する操作が行なわれるのを待ち受け(SP61)、やがてかかるキーワード入力欄52Aにキーワードが入力されて検索ボタン52Bを押下する操作が入力されると、特徴情報管理テーブル21(図8)上の対応するエントリを検索する(SP62)。
【0102】
例えばキーワードが撮影日時であった場合、映像制御部53は、特徴部位管理テーブル21(図8)の各エントリのタイムコード欄21Gにそれぞれ格納されたタイムコードをキーワードと順次比較し、当該タイムコードがキーワードと一致するすべてのエントリを検出する。また映像制御部53は、例えばキーワードが文字であった場合、特徴情報管理テーブル21において属性が「文字」である各エントリの認識結果欄21Fにそれぞれ格納された文字とキーワードとを順次比較し、当該文字がキーワードと一致するすべてのエントリを検出する。
【0103】
そして映像制御部53は、この検索により対応するエントリを検出すると、そのエントリの被写体映像ファイルID欄21C(図8)に格納されているファイルIDを読み出し、そのファイルIDが付与された映像ファイルのファイル情報(被写体映像の映像情報)を記録媒体8から読み出す。また映像制御部53は、このようにして記録媒体8から読み出したファイル情報に基づく被写体映像と、キーワード入力ダイアログ52を介して入力されたキーワードとが表示された検索画面54(図17)を、モニタ15に表示させる(SP63)。
【0104】
この後、映像制御部53は、かかる検索画面54の候補一覧表示欄54Bに表示された被写体映像の中から1つの被写体映像が選択されると、図13について上述した第1の実施の形態による被写体検索処理のステップSP24〜ステップSP31と同様にステップSP65〜ステップSP72を処理することにより、ステップSP64において選択された被写体映像の被写体(検索対象被写体)の被写体映像及び多視点映像の各映像情報と、かかる被写体が写っている撮影映像の映像情報とを記録媒体8から読み出す。
【0105】
そして映像制御部54は、ステップSP72において記録媒体8から読み出した被写体映像の映像情報、多視点映像の映像情報及び対応する記録映像のうちの検索対象被写体が写っている映像部分のカメラ映像情報に基づいて、検索対象被写体の被写体映像及び多視点映像と、記録媒体8に記録されたカメラ映像のうちの検索対象被写体が写っているカメラ映像とをそれぞれ検索画面55上の所定位置にそれぞれ表示させ(SP73)、この後この被写体検索処理を終了する。
【0106】
以上のように本実施の形態による映像監視システムでは、キーワードを用いて検索対象被写体を検索することができるため、撮影日時や被写体の特徴に基づいて所望する被写体の検索を行うことができ、その分、第1の実施の形態による映像監視システム1に比してより一層と使い勝手を向上させることができる。
【0107】
(4)第4の実施の形態
図1との対応部分に同一符号を付した図19において、60は全体として第4の実施の形態による映像監視システムを示す。この映像監視システム60は、映像検索装置61に映像情報通信部62が設けられている点が第1の実施の形態による映像監視システム1と異なる。
【0108】
映像情報通信部62は、外部データベース63との間で通信を行うためのインタフェースであり、映像制御部64がこの映像情報通信部62を介して外部データベース63との間で情報のやり取りを行い得るようになされている。
【0109】
外部データベース63には、上述のような映像検索に関する種々の情報を格納することができる。
【0110】
例えば外部データベース63に指名手配されている犯罪者の画像リストが格納されている場合、映像制御部64は、映像情報通信部62を介して外部データベース63からかかる画像リストを読み出し、これを記録媒体8に記録する。また映像制御部64は、被写体抽出部9を制御してこの記録媒体8に記録した画像リストに登録された各画像内から犯罪者の画像(以下、これを犯罪者画像と呼ぶ)を抽出させると共に、特徴部位抽出部10を制御してこの犯罪者画像から特徴部位の特徴情報(特徴部位の映像情報及びその管理情報)を抽出及び収集させる。
【0111】
そして映像制御部64は、このとき抽出した犯罪者画像の特徴部位の映像情報と、特徴情報記憶部8Aに格納されている特徴情報管理テーブル21(図8)の各エントリの映像情報とをパターンマッチング処理により比較し、一致するエントリが存在する場合にはその旨をモニタ15に表示させる。
【0112】
以上のように本実施の形態による映像監視システム60では、特徴情報記憶部8Aに蓄積した各被写体の特徴情報と、外部データベース63に格納されたデータとの双方を用いた検索や照合が可能となるため、第1の実施の形態による映像監視システム1と比べても使い勝手をより一層と向上させることができる。
【0113】
(5)他の実施の形態
なお上述の第1〜第4の実施の形態においては、映像監視システム1,40,50,60を図1や図19のように構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成を広く適用することができる。
【0114】
また上述の第1〜第4の実施の形態においては、特徴情報記憶部8Aを記録媒体8の一部として構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、特徴情報記憶部8A及び記録媒体8を別体に構成するようにしても良い。
【0115】
さらに上述の第1〜第4の実施の形態においては、検索結果表示画面17(図6(B))や検索画面42,54(図14、図17)において、検索結果として、検索対象被写体の被写体映像、多視点映像及び記録媒体8に記録されたカメラ映像のうちの検索対象被写体が写っている映像部分のすべてを表示するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これら検索結果表示画面17や検索画面42,54において、検索結果として、検索対象被写体の被写体映像、多視点映像及び記録媒体8に記録されたカメラ映像のうちの一部を表示するようにしても良い。
【0116】
さらに上述の第1〜第4の実施の形態においては、映像監視システム1,40,50,60が各カメラ3A〜3nに基づくカメラ映像情報をそのまま記録媒体8に保存するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば特徴情報抽出部10が、特徴情報記憶部8Aに格納された各被写体の特徴情報に基づいて、図20に示すように、記録媒体8に記録されたカメラ映像情報に基づく記録映像を被写体ごとの映像部分に分割したり、被写体が写っていない映像部分を削除するような処理を任意のタイミングで行うようにしても良い。このようにすることによって、検索結果示画面17や検索画面42,54において、検索結果を表示する際の処理速度を向上させることができ、また記録媒体8に記録すべき映像情報の情報量を低減することができる。
【0117】
さらに上述の第1〜第4の実施の形態においては、多視点映像生成部11がユーザにより検索対象の被写体が指定された後に多視点映像を生成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば被写体抽出部9から与えられる被写体映像の映像情報を記録媒体8に格納した後直ぐにこの映像情報を利用して多視点映像を生成するようにしても良く、多視点映像生成部11が多視点映像を生成するタイミングとしては、この他種々のタイミングを適用することができる。
【0118】
さらに上述の第1〜第4の実施の形態においては、検索対象として指定された被写体(検出対象被写体)の特徴情報に基づいて、特徴情報記憶部10に記憶された各特徴情報の中から検索対象被写体に対応する特徴情報を検索する映像検索部としての機能を映像制御部7,43,53,64に搭載するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、かかる機能を有する機能ブロックを映像制御部7,43,53,64とは別個に設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】第1〜第3の実施の形態による映像監視システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】カメラの設置位置の一例を示す略線図である。
【図3】(A)〜(D)は、図2の各カメラの撮影映像を示す略線図である。
【図4】(A)〜(D)は、図3の各カメラの撮影映像に基づく被写体映像を示す略線図である。
【図5】(A)〜(B)は、図4の被写体映像に基づく多視点映像の作成例を示す略線図である。
【図6】(A)はカメラ映像画面、(B)は検索結果表示画面の構成例をそれぞれ示す略線図である。
【図7】テンプレート画像テーブルの説明に供する概念図である。
【図8】特徴情報管理テーブルの説明に供する概念図である。
【図9】特徴部位抽出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】カメラ情報の構成例を示す図表である。
【図11】多視点映像の生成方法の説明に供する概念図である。
【図12】多視点映像生成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】第1の実施の形態による被写体検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態による検索画面の構成を示す略線図である。
【図15】第2の実施の形態による被写体検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】キーワード入力ダイアログの構成例を示す略線図である。
【図17】第3の実施の形態による検索画面の構成を示す略線図である。
【図18】第3の実施の形態による被写体検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】第4の実施の形態による映像監視システムの全体構成を示すブロック図である。
【図20】他の実施の形態の説明に供する概念図である。
【符号の説明】
【0120】
1,40,50,60……映像監視システム、2……被写体、3,3A〜3n……カメラ、5,41,51,61……映像検索装置、7,43,53,64……映像制御部、8……記録媒体、8A……特徴情報記憶部、9……被写体抽出部、10……特徴部位抽出部、11……多視点映像生成部、12……カメラ情報記憶部、13……操作部、15……モニタ、16……カメラ映像画面、17……検索結果表示画面、20……テンプレート画像テーブル、21……特徴情報管理テーブル、42,54……検索画面、52……キーワード入力ダイアログ、62……映像情報通信部、63……外部データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から与えられる第1の映像情報に基づく映像内に存在する各被写体をそれぞれ抽出し、抽出した前記被写体の映像情報を記録媒体に記録する被写体抽出部と、
前記被写体抽出部により抽出された各前記被写体の特徴部位をそれぞれ抽出する特徴部位抽出部と、
前記特徴部位抽出部により抽出された各前記被写体の特徴部位に関する情報である前記被写体ごとの特徴情報を、それぞれ前記記録媒体に記録された各前記被写体の映像情報と関連付けて記憶する記憶部と、
検索対象として指定された被写体の特徴情報に基づいて、前記記憶部に記憶された各前記特徴情報の中から前記検索対象として指定された被写体に対応する特徴情報を検索する映像検索部と
を備えることを特徴とする映像検索装置。
【請求項2】
前記映像検索部は、
前記検索により検出した前記特徴情報と関連付けられた前記映像情報を前記記録媒体から読み出し、当該映像情報に基づく映像を検索結果として表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の映像検索装置。
【請求項3】
前記第1の映像情報は、
同一の被写体を多視点から撮影することにより得られた複数の第2の映像情報から構成され、
前記被写体抽出部は、
各前記第2の映像情報のそれぞれについて、当該第2の映像情報に基づく映像内に存在する各前記被写体をそれぞれ抽出し、抽出した前記被写体の映像情報を前記記録媒体に記録し、
各前記第2の映像情報に基づく映像内にそれぞれ存在する同一の前記被写体の映像情報に基づいて、当該被写体の3次元モデルでなる多視点映像を生成する多視点映像生成部を備え、
前記映像検索部は、
前記検索対象として指定された被写体の映像情報に基づいて前記多視点映像生成部により生成された前記多視点映像を検索結果として表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の映像検索装置。
【請求項4】
前記被写体の特徴情報は、当該被写体の前記特徴部位の映像情報を含み、
前記映像検索部は、
前記検索対象として指定された被写体の特徴情報に基づいて、前記記憶部に記憶された前記各特徴情報の中から前記検索対象として指定された被写体に対応する前記特徴情報を、映像のパターンマッチング処理により検索する
ことを特徴とする請求項1に記載の映像検索装置。
【請求項5】
前記特徴情報は、前記被写体の特徴部位として認識した文字の情報を含み
前記映像検索部は、
前記記憶部に記憶された各前記特徴情報の中からキーワードとして指定された文字と一致する文字の情報を含む特徴情報を検索し、当該検索により検出した前記特徴情報と関連付けられた前記映像情報を前記記録媒体から読み出す
ことを特徴とする請求項1に記載の映像検索装置。
【請求項6】
前記映像検索部は、
前記第1の映像情報を前記記録媒体に記録し、
前記特徴抽出部は、
前記記憶部に記憶された各前記特徴情報に基づいて、前記記録媒体に記録された前記第1の映像情報を被写体ごとの映像部分に分割する
ことを特徴とする請求項1に記載の映像検索装置。
【請求項7】
前記特徴抽出部は、
前記記録媒体に記録された前記第1の映像情報のうち、いずれの前記被写体も写っていない映像部分の映像情報を削除する
ことを特徴とする請求項6に記載の映像検索装置。
【請求項8】
外部から与えられる第1の映像情報に基づく映像内に存在する各被写体をそれぞれ抽出し、抽出した前記被写体の映像情報を記録媒体に記録すると共に、抽出した各前記被写体の特徴部位をそれぞれ抽出し、抽出した各前記被写体の特徴部位に関する情報である前記被写体ごとの特徴情報を、それぞれ前記記録媒体に記録された各前記被写体の映像情報と関連付けて記憶する第1のステップと、
検索対象として指定された被写体の特徴情報に基づいて、記憶した各前記特徴情報の中から前記検索対象として指定された被写体に対応する特徴情報を検索し、当該検索により検出した前記特徴情報と関連付けられた前記映像情報を前記記録媒体から読み出す第2のステップと
を備えることを特徴とする映像検索方法。
【請求項9】
前記第2のステップでは、
前記検索により検出した前記特徴情報と関連付けられた前記映像情報を前記記録媒体から読み出し、当該映像情報に基づく映像を検索結果として表示する
ことを特徴とする請求項8に記載の映像検索方法。
【請求項10】
前記第1の映像情報は、
同一の被写体を多視点から撮影することにより得られた複数の第2の映像情報から構成され、
前記第1のステップでは、
各前記第2の映像情報のそれぞれについて、当該第2の映像情報に基づく映像内に存在する各前記被写体をそれぞれ抽出し、抽出した前記被写体の映像情報を前記記録媒体に記録し、
前記第2のステップでは、
各前記第2の映像情報に基づく映像内にそれぞれ存在する同一の前記被写体の映像情報に基づいて生成した、当該被写体の3次元モデルでなる多視点映像を、前記検索の検索結果として表示する
ことを特徴とする請求項9に記載の映像検索方法。
【請求項11】
前記被写体の特徴情報は、当該被写体の前記特徴部位の映像情報を含み、
前記第2のステップでは、
前記検索対象として指定された被写体の特徴情報に基づいて、記憶した前記各特徴情報の中から前記検索対象として指定された被写体に対応する前記特徴情報を、映像のパターンマッチング処理により検索する
ことを特徴とする請求項8に記載の映像検索方法。
【請求項12】
前記特徴情報は、前記被写体の特徴部位として認識した文字の情報を含み
前記第2のステップでは、
記憶した各前記特徴情報の中からキーワードとして指定された文字と一致する文字の情報を含む特徴情報を検索し、当該検索により検出した前記特徴情報と関連付けられた前記映像情報を前記記録媒体から読み出す
ことを特徴とする請求項8に記載の映像検索方法。
【請求項13】
前記第1のステップでは、
前記第1の映像情報を前記記録媒体に記録し、
記憶した各前記特徴情報に基づいて、前記記録媒体に記録された前記第1の映像情報を被写体ごとの映像部分に分割する
ことを特徴とする請求項8に記載の映像検索方法。
【請求項14】
前記第1のステップでは、
前記記録媒体に記録された前記第1の映像情報のうち、いずれの前記被写体も写っていない映像部分の映像情報を削除する
ことを特徴とする請求項13に記載の映像検索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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