説明

映像編集装置

【課題】イベント会場などで活躍するビデオジョッキーが使用する映像再生編集装置の多くはパソコンを使用している。そのためユーザーIFがマウスやキーボードとなり、ユーザーが音楽のリズムに合わせて即興による映像の切り替えや、並び替えが困難であるため、直感的に映像の切り替えと並び替えを行える映像再生編集装置が望まれていた。
【解決手段】再生する映像の情報をICカード201に保持し、ユーザーが編集エリア111の上でICカード201を並べ替えたり、重ねたり、回したり、裏返したりすることにより、映像の再生する順番や、映像効果を制御する。ICカード201は加速度センサーまたは無線LANにより位置情報と回転情報を検出され、検出された位置情報と回転情報を元に再生順と映像効果を決める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の映像を並べ替えることによりプレイリストを作成する映像編集装置に関し、ユーザーが直感的に映像の編集を行える映像編集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の映像編集装置では、再生する映像の順番の変更はスイッチやマウス、キーボード等のインターフェイスを介して行っている(例えば、特許文献1参照。)。また音楽のリズムに合わせて映像を自動的に切り替える映像編集装置もあり、イベント会場などで、効果的な映像演出を実現している。
【特許文献1】特開平9−70011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の映像編集装置では、ユーザーがスイッチやマウス、キーボードを介して映像の再生順、映像の効果を編集するため、直感的な操作ではなく、例えばビデオジョッキーが活躍するイベント会場において、即興で再生する順番を編集することが困難である。すなわち、イベント会場等で使用する映像再生編集装置の多くはパソコンを使用している。そのためユーザーIFがマウスやキーボードとなり、ユーザーが音楽のリズムに合わせて即興による映像の切り替えや、並び替えが困難であるため、直感的に映像の切り替えと並び替えを行える映像再生編集装置が望まれていた。また音楽のリズムに合わせて自動的に映像を切り替える映像編集装置もあるが、必ずしもユーザーが望むタイミングや映像を切り替えるわけではなかった。
【0004】
このような課題に鑑みて本発明の映像編集装置は、ビデオジョッキー等のユーザーが直感的に映像の編集を行える装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために本発明は、映像情報を保持した複数のICカードを編集用エリアの上に配置し、前記複数のICカードの並び順により前記映像情報の再生順を決定する構成としたものである。
【0006】
すなわち、映像クリップ情報を保持するICカードを編集エリアの上で並べ替えることにより、映像の再生順を決めて再生を行い、また、カードに備えられたボタンを叩くことにより即座にそのカードに対応する映像に切り替えることにより、直感的な映像編集と再生ができる映像編集装置を提供する。具体的には、ユーザーより命令を入力するユーザーIF部、映像を外部から入力するビデオ入力部、映像データを映像編集装置に取り込むためのメディアIF部、取り込んだ映像データを記録する映像保持部、各ブロックの制御を行うシステム制御部、ICカードの位置情報を検出する位置検出部、検出した位置情報より映像の再生順を保持するプレイリスト情報を作成するプレイリスト生成部、作成されたプレイリストを元に、映像に信号処理を行う信号処理部、外部に映像を出力するビデオ出力部、ICカードへ映像情報の転送、ICカードから位置情報、動き情報の受信を行う無線LANアクセスポイント部、ICカードを並べる編集エリア、ICカードの位置を初期化する位置初期化部とを備える。また、ICカードは、無線LAN部と加速度センサーと映像表示部と再生する映像を選択する選択ボタンとを備え、無線LANを介して映像情報を受け取り、映像情報を映像表示部に表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の映像編集装置によって、ユーザーは映像情報が登録された複数のICカードを再生したい順番に並べ替えるだけで、所望のプレイリストを作成することができ、直感的に映像の編集と再生と切り替えを行う事ができる。また外部出力したい映像をICカードに備えている選択ボタンを押すことにより、ユーザーの所望のタイミングで映像を切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態についてを説明する。なお、本発明はこれらの実施の形態に何ら限定されるものではなく、様々な形態で実施しうる。
【0009】
本発明の映像編集装置は、再生する映像の情報をICカードに保持し、ユーザーが編集エリアの上でICカードを並べ替えたり、重ねたり、回したり、裏返したりすることにより、映像の再生する順番や、映像効果を制御する。ICカードは加速度センサーまたは無線LANにより位置情報と回転情報を検出され、検出された位置情報と回転情報を元に再生順と映像効果を決める。
【0010】
図1は、本実施の形態の映像編集装置における機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施の形態の映像編集装置は、ユーザーIF部101とビデオ入力部102とメディアIF部103と映像保持部104とシステム制御部105と位置検出部106とプレイリスト生成部107と信号処理部108とビデオ出力部109と無線LANアクセスポイント部110と編集エリア111と位置初期化エリア112とICカード201とを有する。
【0011】
ユーザーIF部101は、ユーザーからの再生、停止などの命令を入力し、システム制御部105に転送する機能を有する。ビデオ入力部102は、外部からの一つ以上の映像データを入力し、直接またはシステム制御部105により他の機能ブロックに映像データを転送する機能を有する。メディアIF部103は、ビデオ入力部102より映像データを受け取り、映像保持部104に映像データを書き込む機能と、映像保持部104から映像データを読み込み、他の機能ブロックに映像データを転送する機能を有する。映像保持部104は、ビデオ入力部102やメディアIF部103より入力または取り込んだ、映像データをハードディスクやメモリに保持する機能を有する。
【0012】
システム制御部105は各ブロックの制御と、ユーザーIF部101からの入力に従って映像データの再生の制御を行う機能を有する。また、ICカード201の回転情報を元に映像の再生を制御する機能を有する。
【0013】
位置検出部106は、ICカード201に備えられた加速度センサーまたは、ICカード201から送信された電波の各無線LANアクセスポイントへの到達時間の差を元に、ICカード201の位置を検出する機能を持つ。またICカード201の回転方向を検出する機能を有する。プレイリスト生成部107は、位置検出部106により検出された各ICカードの位置情報を元にプレイリストを作成する機能を有する。また、ユーザーによりICカード201の位置を変更されるたびに、プレイリストを修正する機能を持つ。信号処理部108は、作成されたプレイリスト情報に従って、映像データにディゾルブやフェードインやフェードアウト等の映像効果を追加する機能を有する。ビデオ出力部109は、外部に映像データを出力する機能を有する。
【0014】
無線LANアクセスポイント部110は、ICカード201に、映像保持部104に保持された映像データを転送する機能と、ICカード201より加速度情報を受信し位置検出部106に転送する機能を有する。編集エリア111は、ICカード201を並び替えるためのエリアである。位置初期化エリア112は、ICカード201の位置を検出するための基準となる場所である。
【0015】
ICカード201は、図2に示すように、加速度センサー202と無線LAN部203と映像表示部204と選択ボタン205とを有する。加速度センサー202は、ICカード201の位置検出の元になる情報と、回転方向と速度の情報を、無線LAN部203を介して位置検出部106に転送する機能を有する。無線LAN部203は、無線LANアクセスポイント部110より転送される映像データを受信する機能と、加速度センサー202からの情報と選択ボタン205の状態を無線LANアクセスポイント部110へ転送する機能を有する。映像表示部204は、無線LAN部が受信した映像データや映像情報を表示する機能を有し、液晶パネルや電子ペーパー等を備える。ユーザーは、ICカード201に登録されたクリップの映像データを映像表示部によって確認することができる。
【0016】
ICカード201の位置検出は、ICカード201に備えられた加速度センサー202の情報を元に行う。ユーザーによってICカード201を動かされた時の加速度と動かされた時間とによってICカード201の動いた方向と距離を計算し、現在の位置を求める。システムの起動時または編集開始時にICカード201を位置初期化エリア112に置き、位置初期化エリア112をICカード201の基準の位置とし、その後、加速度センサー202によって得られた情報よりICカード201の位置を求めていく。
【0017】
また、複数の無線LANアクセスポイント部110を用いて、ICカード201から放射された電波が各無線LANアクセスポイントに到達する時間の差や、電波のレベルの差で位置を検出する方法を用いても良い。
【0018】
次に、プレイリスト作成について説明する。図3に示すのは、本実施の形態のICカード201による映像データの再生順を決める方法の一例を表す図である。ユーザーの操作によりICカード201aに映像クリップA、ICカード201bに映像クリップB、ICカード201cに映像クリップC、ICカード201dに映像クリップDを登録する。ユーザーは各ICカードを位置初期化エリア112から編集エリア111に動かし、再生したい順に左から右へ並べる。この四つのICカードを編集エリアの上で図のように左からA,B,D,Cと並べると、位置検出部106は、各ICカードからの加速度と移動した時間より、各ICカードが初期化エリアよりどれだけ移動したかを計算する。全てのICカードの位置を検出した後、ICカードの位置情報を水平方向と垂直方向にソートする。水平方向にソートされた順番が再生する順番となり、ここではICカード201a、201b、201d、201cが順に並んでいることが検出できる。プレイリスト生成部107によって図のように、A,B,D,Cの順で再生するプレイリストが作成される。ユーザーは再生中でも任意にICカードの位置を並べ替えることができ、プレイリスト生成部107は、位置検出部106で検出されたICカードの位置情報を元にプレイリストを修正していく。システム制御部105は作成されたプレイリストに従って、メディアIF部103または映像保持部104より映像データを読み込み、信号処理部108へ映像データを転送する。信号処理部108で信号処理された後、ビデオ出力部109により外部に映像データが出力される。
【0019】
図4は、本実施の形態の映像データ間をディゾルブする方法の一例を表す図である。図4のように、ユーザーによって映像クリップCが登録されたICカードが映像クリップBが登録されたICカードの斜め下に置かれると、位置検出部106において、各ICカードの位置情報を垂直方向にソートした時に、映像クリップCが登録されたICカードが、映像クリップBが登録されたICカードより下にあると判断する。プレイリスト生成部107では垂直方向の位置情報を元に、映像クリップBと映像クリップCの間にディゾルブを挿入し、信号処理部によってディゾルブを行う。もし二つのICカードの水平位置が同じ場合、ICカードに登録された二つの映像データを重ねて同時に再生する。
【0020】
図5は、プレイリストからクリップを削除する一例を表す図である。図5に示すように、ICカードを裏返すと、裏返したときのICカードから送られる回転方向のデータより、位置検出部106が、ICカードが裏返しになったと判断する。位置検出部106は各ICカードの位置をソートする際に、裏返しになったカードは無視する。そのため、プレイリスト上では裏返しになったICカードに登録されたクリップは削除される。再びICカードを表にすれば、プレイリスト上に追加される。
【0021】
図6は、プレイリストに一色の画面を追加する一例を表す図である。図6に示すようにICカードを互いにある一定の距離以上離すと、プレイリスト生成部は映像クリップの間に黒または白のような一色の映像を挿入する。
【0022】
図7は、映像にフェードインとフェードアウト効果を追加する一例を表す図である。図7のように、ICカードを右または左に一定角度傾けると信号処理部108によって、映像データにそれぞれフェードインとフェードアウト処理を行う。
【0023】
図8は、再生の制御方法の一例を表す図である。図8に示すように、再生中のクリップに対応するICカードを回転させると、位置検出部106において、回転の方向と速度を検出する。システム制御部105では検出された回転方向と回転速度に従って再生速度を変更する。すなわち、ICカードに登録された映像クリップの早送りと巻き戻しとスロー再生と一時停止を行う。
【0024】
図9は、出力する映像データを切り替える方法の一例を表す図である。出力する映像の切り替えはICカードに備えられたボタンにより行い、図9のように、プレイリストを再生中でも、再生する順番に関係なく選択ボタンを押されたICカードに登録されたクリップから優先的に再生される。
【0025】
図10は、映像切り替え機能を応用したカメラ入力の切り替え方法の一例を表す図である。各カメラから入力した映像より映像情報を作成し、各ICカードに登録する。ユーザーはICカードに備えたボタンを選択することにより外部出力するカメラの映像を切り替えることができる。各カメラからの映像はICカードの映像表示部で確認することができる。
【0026】
上記のような構成をとる本発明によって、ユーザーは映像情報が登録された複数のICカードを再生したい順番に並べ替えるだけで、プレイリストを作成することにより、ユーザーは直感的に映像の編集と再生の制御と出力の切り替えを行う事ができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の映像編集装置によって、ユーザーは映像情報が登録された複数のICカードを再生したい順番に並べ替えるだけで、所望のプレイリストを作成することができ、直感的に映像の編集と再生と切り替えを行う事ができるため、即興で再生する順番を編集する用途等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施の形態の映像編集装置における機能ブロックの一例を示す図
【図2】映像編集装置におけるICカードの構成を示す図
【図3】映像データの再生順を決める方法の一例を示す図
【図4】映像データ間をディゾルブする方法の一例を示す図
【図5】プレイリストからクリップを削除する一例を示す図
【図6】プレイリストに一色の画面を追加する一例を示す図
【図7】映像にフェードインとフェードアウト効果を追加する一例を示す図
【図8】再生の制御方法の一例を示す図
【図9】出力する映像データを切り替える方法の一例を示す図
【図10】映像切り替え機能を応用したカメラ入力の切り替え方法の一例を示す図
【符号の説明】
【0029】
101 ユーザーIF部
102 ビデオ入力部
103 メディアIF部
104 映像保持部
105 システム制御部
106 位置検出部
107 プレイリスト生成部
108 信号処理部
109 ビデオ出力部
110 無線LANアクセスポイント部
111 編集エリア
112 位置初期化エリア
201 ICカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像情報を保持した複数のICカードを編集用エリアの上に配置し、前記複数のICカードの並び順により前記映像情報の再生順を決定する映像編集装置。
【請求項2】
前記ICカードは加速度センサーを備え、加速度と加速された時間より前記ICカードの位置情報および各ICカードの並び順を判断し、映像の再生順を制御する請求項1記載の映像編集装置。
【請求項3】
前記ICカードは無線LAN機能を備え、前記編集エリア周辺にある複数の無線LANアクセスポイントへの電波の強さおよびアクセスする時間の差の少なくともいずれか一方にもとづいて各ICカードの位置を検出し、映像の再生順を制御する請求項1記載の映像編集装置。
【請求項4】
前記ICカードは映像表示手段を備え、前記映像情報を表示することが可能な請求項1記載の映像編集装置。
【請求項5】
前記ICカードはボタンを備え、前記ボタンを押すことにより前記ボタンが押されたICカードに対応する映像情報を再生するように出力する映像を切り替える請求項1記載の映像編集装置。
【請求項6】
前記ICカードを並べたときの互いの距離により前記ICカードに対応する映像情報に対する映像効果を制御する請求項1記載の映像編集装置。
【請求項7】
前記ICカードを前記編集エリアに配置したときの角度により前記ICカードに対応する映像情報に対する映像効果を制御する請求項1記載の映像編集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−141461(P2010−141461A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314028(P2008−314028)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】