説明

映像送信装置ならびに映像受信装置、および映像送受信制御装置

【課題】
映像ストリームを再生開始時にネットワークバスを通じて送受信する構成において、ユーザの特殊再生開始の指示から特殊再生画面が表示されるまで時間がかかる。
【解決手段】
ストリーム生成部160は特殊再生が行われることが想定されるときは、記録媒体140に格納された映像ストリームを送信する際、送信しているピクチャの時間軸上の時間よりも未来のピクチャをあらかじめ読出し、特殊再生用のピクチャに変換して映像ストリームに多重して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像を送信する装置ならびに映像を受信する装置、および映像の送受信制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、例えば、特開2007−6025号公報(特許文献1)がある。該公報は「[課題] 映像データ全体を受信して録画することなく、再生開始画像を選択可能にすることにある。また、サーバの蓄積装置には映像ファイルとは別にシーン記述ファイルを蓄積することなく、早送り/早戻し再生などを行って再生開始画像を選択可能とし、選択した画像近傍を先頭にして通常速で映像を再生できるようにすること[解決手段]ネットワークを介して映像配信サーバより映像データを受信して映像を再生する映像再生装置において、任意のサイズのデータを飛び越しては少なくとも1枚のIピクチャを含む映像データを受信することで、複数のIピクチャを飛ばすごとに少なくとも1枚のIピクチャを受信及び抽出し、該Iピクチャを抽出した順番に順番号を付して該順番号からIピクチャを読み出しできるようにIピクチャを含む映像データを記録媒体に保存し、該記録媒体から該Iピクチャを読み出して再生することで飛び飛びの早送り/早戻し再生もしくはサムネール表示を行」うとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−6025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビデオ機器に記録した映像を表示装置(例えばテレビ)にて再生する際、ビデオ機器は情報圧縮した映像ストリームをテレビに送り、テレビ側で映像ストリームのデコードを行い表示する構成がある。双方の接続は直結による接続ではなく、他の機器と共通したネットワークバスを通じて行うことができることから接続構成の多様性に富み、DLNA(Digital Living Network Alliance)(登録商標)といった業界団体により標準化が進められていることから、このような接続形態が普及することが予想される。
【0005】
ビデオ機器が映像ストリームをテレビに送る場合、テレビがデコード可能な映像ストリームの形式で出力を行う。例えばビデオ機器はMPEG−4 AVC(ISO/IEC 14496−10)で記録を行い、テレビはMPEG−2(ISO/IEC 13818−2)のデコードに対応しているときは、ビデオ機器はMPEG−4 AVCからMPEG−2にトランスコードを行い、テレビに映像ストリームを送信する。
【0006】
また、他の機器と共通したネットワークバスを使用することから、映像ストリームの送受は他のデータの送受による遅延の影響を受ける。
【0007】
トランスコード処理に伴う遅延、ネットワーク遅延に伴うデコード遅延により、ユーザが再生開始や早送り、巻戻しといった特殊再生の指示をビデオ機器に行ってから、テレビにピクチャデータが表示されるまでの遅延は、従来の映像信号を専用線を用いて送信する方法に比べ大きくなる。
【0008】
ネットワークバスを通じて受信したストリームを再生中に、早送り、巻戻しといった特殊再生を行う際、ストリームの表示に必要なビットレートを超えた大きな帯域を用いることで、特殊再生が開始されるまでの遅延をある程度低減することができる。しかし高画質の映像であるほど、ビットレートが高くなるため表示は遅れることになる。ビットレートを下げることで表示を早めることができるが、画質が低くなってしまう。特殊再生の指示は定期的に発生するものではなく、ユーザが不必要と判断した部分を飛ばしながら視聴するときなど局所的に発生する。このため、特殊再生においてある定まったビットレート、もしくは画質に固定することは難しい。
【0009】
特開2007−6025号公報の技術は、あらかじめ特殊再生用の画像を受信しておき、再生機内のバッファに保持するが、再生前に特殊再生用の画像を受信する時間が必要となり、再生開始までに時間を要してしまう。
【0010】
本発明は、上記課題を鑑み、映像ストリームをネットワーク越しに受け取って映像を特殊再生するとき、ユーザの特殊再生開始の指示から特殊再生画面が表示されるまで時間がかかることを低減する映像送信装置を提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明は、例えば、ネットワークから制御信号を受け取り、制御信号の解釈を行う制御部と、複数のピクチャデータからなる記録映像ストリームを記録する記録媒体と、記録媒体から記録映像ストリームを読み出し、制御部の指示に基づき出力映像ストリームを出力するストリーム生成部と、ストリーム生成部が出力する出力映像ストリームをネットワークに送出するネットワークI/Fを有してなり、ストリーム生成部は出力映像ストリームに含まれるピクチャデータを送信する前に特殊再生用のピクチャデータを送信することを特徴する。
なお、本発明は、例えば、以下のようなことを特徴とする。
特殊再生用のピクチャデータは記録映像ストリームと同じ圧縮方法を用いて圧縮されていることを特徴とする。
あるいは、特殊再生用のピクチャデータは記録映像ストリームと異なる圧縮方法を用いて、特殊再生用のピクチャデータのビット量を削減することを特徴とする。
あるいは、特殊再生用のピクチャデータは画面内符号化を用いて圧縮されたピクチャデータ、もしくは画面内符号化を用いて圧縮されたピクチャデータを参照する画面間符号化を用いて圧縮されたピクチャデータであることを特徴とする。
あるいは、制御部は再生開始の制御信号を受信した時間を記憶し,直前の再生開始の制御信号を受信した時間との差分があらかじめ定めた時間よりも小さいときは複数の特殊再生用のピクチャデータを多重するようストリーム生成部を制御することを特徴とする。
あるいは、制御部は直前の再生開始の制御信号を受信した時間との差分があらかじめ定めた時間よりも小さい回数を記憶し、あらかじめ定めた回数を超えた場合は複数の特殊再生用のピクチャデータを多重するようストリーム生成部を制御することを特徴とする。
あるいは、制御部は、ネットワークに接続され出力映像ストリームをデコードする映像受信装置の接続情報を持ち、接続情報に含まれる映像受信装置の画面解像度に基づいて特殊再生用のピクチャデータの解像度を制御することを特徴とした映像送信装置を特徴とする。
あるいは、制御部は、ネットワークに接続され出力映像ストリームをデコードする映像受信装置の受信ビット量情報を持ち、受信ビット量が大きいほど出力映像ストリームのビット量を高くすることを特徴とする。
あるいは、制御部は、ネットワークに接続され出力映像ストリームをデコードする映像受信装置から出力映像ストリームを要求する制御信号を受信した際、ストリーム生成部に出力映像ストリームに含まれるピクチャデータを送信する前に特殊再生用のピクチャデータを送信するよう制御することを特徴とする。
あるいは、制御部は、ネットワークに接続され出力映像ストリームをデコードする映像受信装置から、特殊再生を要求する制御信号を受信した際、ストリーム生成部に出力映像ストリームに含まれるピクチャデータを送信する前に特殊再生用のピクチャデータを送信するよう制御することを特徴とする。
あるいは、制御部は特殊再生用のピクチャデータの枚数を増やす制御を行うことを特徴とする。
あるいは、制御部は特殊再生用のピクチャデータの時間軸上のフレーム間隔を大きくすることを特徴とする。
あるいは、制御部は特殊再生用のピクチャデータのビット量を増やすことを特徴とする。
あるいは、制御部は記録映像ストリームに含まれるピクチャデータのうち、画面内符号化を行ったピクチャデータを特殊再生用のピクチャデータとし、特殊再生用のピクチャデータは記録映像ストリームにおいて画面内符号化を行ったピクチャデータが含まれるグループオブピクチャよりも先に送信することを特徴とする。
あるいは、ストリーム生成部は量子化係数を変更することにより特殊再生用のピクチャデータの1枚あたりのビット量を制御することを特徴とする。
あるいは、ストリーム生成部は解像度を変更して特殊再生用のピクチャデータのビット量を制御することを特徴とする。
あるいは、特殊再生用のピクチャデータの解像度の変更は画素間引きにより行うことを特徴とする。
あるいは、ストリーム生成部は量子化係数を変更すること、もしくは解像度を変更して特殊再生用のピクチャデータのビット量を制御すること、もしくは特殊再生用のピクチャデータの圧縮フォーマットを変えてビット量を制御することにより特殊再生用のピクチャデータの1枚あたりのビット量を制御することを特徴とする。
あるいは、制御部は、記録媒体に記録された記録映像ストリームのうち、出力映像ストリームの画面内符号化されたピクチャデータと特殊再生用のピクチャデータのビット量の和と、画面内符号化されたピクチャデータのビット量が同等となるよう量子化係数を制御することを特徴とする。
【0013】
その他、発明が解決しようとする課題に記載した目的は特許請求の範囲に記載の発明により達成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザが特殊再生開始などの指示をビデオ機器に行ってから、特殊再生が行われるまでの遅延を低減する映像送信装置を提供することができる。
【0015】
なお、本発明は、例えば、以下のような効果を有する。
【0016】
受信機において、特殊再生用のピクチャデータのデコーダが不要になり、回路規模を増大することなく、特殊再生の操作から再生開始までのレスポンスを向上できる。
あるいは、特殊再生用のピクチャデータに要するビット量を削減することができ、出力映像ストリームのビットあたりの画質を向上できる。
あるいは、受信機において、特殊再生用のピクチャデータのデコード時に参照画像を格納するバッファが不要となり、必要とするメモリ量を減らすことができる。
あるいは、頻繁に特殊再生を繰り返すときに特殊再生が開始されるまでの時間が短縮される。
あるいは、特殊再生用のピクチャデータが送信される時間は局所的になるので、特殊再生用のピクチャデータ送信に伴う画質低下が発生する期間が少なくすむ。
あるいは、受信側で保持する画像の枚数を最適化できる。
あるいは、受信側で保持する画像の枚数を最適化できる特殊再生時に拡大,縮小処理が必要なくなり,特殊再生速度が向上する。
あるいは、ネットワークの状態に応じて特殊再生用のピクチャデータの画質、および出力映像ストリーム全体の画質が向上する。
あるいは、原則常に特殊再生のレスポンスが向上する出力映像ストリームを送出できる。
あるいは、特殊再生が行われるときだけ特殊再生用のピクチャデータを送信するため、特殊再生を行わず再生のみ行うシステムで再生画質が向上する。
あるいは、特殊再生のフレームレートを上げ、滑らかに再生できる。
あるいは、画質を落とさず特殊再生速度が上がる。
あるいは、ビットあたりの特殊再生用のピクチャデータの情報量を増やすことができ特殊再生速度が向上する。
【0017】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一の実施例における映像送信装置の一例を示す概略図
【図2】第一の実施例において記録映像ストリームを出力するまでを示すシーケンス図
【図3】第一の実施例において特殊再生を行うときのシーケンス図
【図4】第一の実施例において送信される出力映像ストリームおよびピクチャデータ
【図5】第一の実施例において特殊再生が予想される場合に送信される出力映像ストリームおよびピクチャデータ
【図6】第二の実施例において特殊再生が予想される場合に送信される出力映像ストリームおよびピクチャデータ
【図7】第三の実施例において巻戻し再生を行う際に送信される出力映像ストリームおよびピクチャデータ
【図8】第三の実施例において作成する特殊再生用のピクチャデータの時間軸上のフレーム位置
【図9】第四の実施例において表示する特殊再生中の画像
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は映像送信装置の一例を示す概略図である。
【0021】
映像送信装置100は映像受信装置300とネットワーク200により接続されており、映像受信装置300から制御信号を受け取り、再生開始の制御信号である場合は出力映像ストリームを映像受信装置300に出力する。
【0022】
映像送信装置100はネットワークI/F110、制御部120、バス130、記録媒体140、ストリーム生成部160から構成される。
【0023】
ネットワークI/F110はネットワーク200から情報を受け取り、制御部120に供給するとともに、制御部120、ストリーム生成部160が出力するデータをネットワーク200に出力する。
【0024】
制御部120はネットワークI/F310、ネットワーク200、ネットワークI/F110を通じて制御部320が出力する制御信号を受け取り、制御信号に応じて記録媒体140、ストリーム生成部160を制御する。
【0025】
バス130は制御部120の出力する制御信号を記録媒体140、ストリーム生成部160に供給するバスである。
【0026】
記録媒体140は複数の記録映像ストリームを記録する媒体である。制御部120からファイル名、再生開始時間を受け取り、対応する記録映像ストリームをストリーム生成部160に出力する。
【0027】
ストリーム生成部160は記録映像ストリームを記録媒体140から受け取り、制御部120から再生可能な出力映像ストリームのフォーマットをバス130を通じて受け取り、記録媒体140に記録された記録映像ストリームとフォーマットが異なる場合はトランスコードし、出力映像ストリームを出力する。また、特殊再生用のピクチャデータを作成し、出力映像ストリームに多重する。
【0028】
ストリーム再生部330はネットワークI/F110、ネットワーク200、ネットワークI/F310を通じて出力映像ストリームを受け取り、デコード処理を行いピクチャデータを得る。バッファ340はピクチャデータを一時的に格納する。ストリーム再生部330は一定の間隔(秒間30フレームの場合33ms)でバッファ340からデコードしたピクチャデータを読み出し、表示部350に出力する。表示部350はピクチャデータを表示する。
【0029】
図2は映像送信装置100が映像受信装置300から再生開始の制御信号を受け取り、記録映像ストリームを出力するまでを示すシーケンス図である。
【0030】
映像送信装置100、および映像受信装置300はネットワーク200に接続した際、互いの存在を認識することができない。このため映像送信装置100は通知400をネットワーク200に対し、あらかじめ定めた時間間隔で送出する。映像受信装置300は通知400をネットワーク200から受け取ると、映像送信装置100のアドレスを得ることができ、デバイス発見410を映像送信装置100に返す。映像送信装置100はデバイス発見410を受け取ることにより、映像受信装置300のアドレスを得ることができ、映像受信装置300だけにデータを送ることができる。
【0031】
続いて映像受信装置300はデバイス・サービス情報取得420を映像送信装置100に出力し、デバイス・サービス情報430を得る。デバイス・サービス情報430は映像送信装置100が提供するサービスが含まれており、出力映像ストリームを配信するサーバであることや、通信に用いるプロトコルの情報などが含まれている。映像受信装置300は映像送信装置100が出力映像ストリームを配信することができることを認識できる。
【0032】
映像受信装置300はデバイス記述440を送信する。デバイス記述440には映像受信装置300が再生可能な映像フォーマットの情報、再生開始時のビットレート情報などが含まれている。
【0033】
映像受信装置300を操作しているユーザは映像送信装置100の記録映像ストリームを表示させる操作をする。このとき映像受信装置300はコンテンツ取得450を出力し、コンテンツリスト460を得る。コンテンツリスト460は映像送信装置100が保持しているファイル名が記載されている。コンテンツリスト460を得ることにより、映像受信装置300はユーザにファイル名の一覧を表示する。
【0034】
ユーザがファイル名の一覧から一つの記録映像ストリームを選択し、再生の動作を行うと、映像受信装置300に含まれる制御部320はネットワークI/F310を経由して再生開始470を送信する。再生開始470には再生開始の命令、ファイル名、再生開始時間、再生時間が含まれている。ここでファイル名は記録媒体140に含まれる記録映像ストリームを特定するための情報を示す。再生開始時間はファイル名で示される記録映像ストリームの時間軸上の再生を開始する時間位置を示す。再生時間は記録映像ストリームの時間軸上の再生開始時間から再生を行う時間を示す。
【0035】
映像送信装置100は再生開始470を受け取ると、ストリーム送信480を行い、出力映像ストリームを出力する。映像受信装置300は得た出力映像ストリームをデコードし、表示することでユーザはピクチャデータを見ることができる。
【0036】
次に図4を用いて映像送信装置100が図2の再生開始470を受け取り、ストリーム送信480を行うまでを説明した後、図3、図5を用いて特殊再生時のストリーム送信について述べる。
【0037】
映像送信装置100は再生開始470を受け取ると、制御部120を用いて再生開始470に含まれる再生開始の命令、ファイル名、再生開始時間、再生時間を分離する。制御部120は記録媒体140に対し、ファイル名と等しい記録映像ストリームを再生開始時間から出力するよう制御信号を出力する。
【0038】
図4において、横軸は時間を示し、ストリーム生成部160が出力する出力映像ストリームのピクチャデータ、ストリーム再生部330が出力するピクチャデータをそれぞれ表す。出力映像ストリームのピクチャデータにおいて、I、P、Bは予測符号化方法を示し、Iは画面内予測符号化、Pは時間軸上の過去の画像に対する画面間予測符号化、Bは時間軸上の過去と未来の双方に対する画面間予測符号化を行うことを示す。I、P、Bの後に続く数字は表示部350に表示する順番を示す。
ストリーム生成部160はピクチャデータB0、B1がピクチャデータI2を参照して予測符号化を行っているため、時間t10でピクチャデータI2を出力し、次いでピクチャデータB0、B1を出力する。同様にピクチャデータB3、B4はピクチャデータP5を参照して予測符号化しているため、ピクチャデータP5、B3、B4の順で出力を行う。
ストリーム再生部330は出力映像ストリームを順次受け取り、デコード処理を行いピクチャデータをバッファ340に格納する。t11のタイミングよりピクチャデータB0を読み出し、出力を行う。ストリーム再生部330は一定間隔でピクチャデータB1、I2、B3…とピクチャデータを表示順に読み出す。
【0039】
次に図3を用いて特殊再生時がおこなわれる場合のシーケンスを説明する。図2における再生開始470までのシーケンスは同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。ユーザが早送りの操作を行うと、映像受信装置300は特殊再生の制御信号として、再生開始471、および再生開始472、再生開始473を出力する。再生開始471〜473は再生開始時間が例えば2秒ずつ異なっており、再生時間は例えば0.5秒を指定する。映像受信装置300は対応したストリーム送信481、ストリーム送信482、ストリーム送信483を受け取り、出力映像ストリームの一部分を再生することで早送り映像を得る。
【0040】
図5にこのときのストリーム生成部160、ストリーム再生部330の動きを示す。ストリーム生成部160は特殊再生が行われることが想定されるときは、時間t20においてピクチャデータI2を内部でデコードし、ピクチャデータI2の符号化フォーマットを変更するトランスコードを行う。次に時間軸上で未来のピクチャデータI8、P11を読み出し、ピクチャデータI2と同様の符号化を行い特殊再生用のピクチャデータI8a、P11aとして送信する。ストリーム再生部330はピクチャデータI8a、P11aを受信するとデコード処理を行い、バッファ340に格納する。ストリーム再生部330は時間t21からピクチャデータB0の表示を行う。時間t22において、特殊再生するようユーザから指示があった場合は、制御部320は再生開始471を映像送信装置100に出力する。このとき再生開始時間はピクチャデータI14とする。また、制御部320はストリーム再生部330に対し、ピクチャデータI2出力後、バッファ340に格納しているピクチャデータP5を出力するよう制御を行う。時間t23において、ピクチャデータP5の出力が開始されると、制御部320は再生開始472を映像送信装置100に出力する。このとき再生開始時間はピクチャデータP17とする。またピクチャデータP5の出力後バッファ340に格納しているピクチャデータI8aの特殊再生用のピクチャデータを出力するよう制御を行う。制御部320はピクチャデータI8aの出力後ピクチャデータP11a、I14、P17と出力することにより、早送り再生を可能とする。
【0041】
図4のように出力映像ストリームを構成した場合、再生開始時間として時間t22でピクチャデータI8、時間t23でピクチャデータP11を指定することになり、出力映像ストリームとしてピクチャデータP11を送信しているときにピクチャデータP11を出力することになり、特殊再生が一時的に止まってしまう。図5のように特殊再生に備え、ピクチャデータI8a、P11aを送信することにより、時間t22で特殊再生が開始されてからも時間軸上で一定のフレーム間隔でピクチャデータを読み出すことができ、特殊再生のレスポンスを向上することができる。
【0042】
上記の例ではピクチャデータI8a、P11aをピクチャデータI2と同様の符号化方式にトランスコードとするとしたが、異なる符号化方式を用いて、ビット量を削減してもよい。圧縮率の高い符号化方式を用いることにより、出力映像ストリームのビット量を削減し、出力映像ストリームのビットあたりの画質を向上できる。
【0043】
上記の例では特殊再生用のピクチャデータとしてピクチャデータI8a、P11aを送信しているが、ピクチャデータI8aのみを特殊再生用のピクチャデータとして送信してもよい。記録映像ストリームのみトランスコードし出力映像ストリームとする場合に比べて、特殊再生用のピクチャデータをトランスコードにより作成し、出力映像ストリームに付加する方法はストリーム生成部160の処理負荷が多くなる。画面内符号化のみ行われているピクチャデータI8aのみトランスコードする場合、参照画像バッファへのアクセス処理、予測画像の作成処理が不要となり、ストリーム生成部160の処理負荷増を減らすことができる。さらには出力映像ストリームのデコードを行う映像受信装置300において、ストリーム再生部330の処理負荷を減らすことができる。
【0044】
また、ピクチャデータP11aを特殊再生用のピクチャデータとしてトランスコードする際、画面内符号化のみを行いピクチャデータI11aとしてもよい。画面間符号化を行っているピクチャデータP11aに比べ、画面内符号化のみを用いたピクチャデータI11aはトランスコードの処理負荷が低く、ストリーム生成部160の処理負荷を減らすことができる。さらには出力映像ストリームのデコードを行う映像受信装置300において、ストリーム再生部330の処理負荷を減らすことができる。
【0045】
特殊再生用のピクチャデータを増やすと出力映像ストリームのビット量が増加するため、特殊再生用のピクチャデータの枚数が増えるごとに量子化係数を変え、特殊再生用のピクチャデータ1枚あたりのビット量を減らしてもよい。
【0046】
また、特殊再生用のピクチャデータの解像度をスケーリング、もしくは画素間引きにより小さくしてビット量を減らしてもよい。スケーリングによる解像度変換は画質に優れる利点があり、画素間引きによる解像度変換は処理負荷が小さい利点がある。
【0047】
量子化係数の変更と、解像度変換を併用して特殊再生用のピクチャデータ1枚あたりのビット量を減らしてもよい。
【0048】
特殊再生用の1枚あたりのビット量を減らすことで、ネットワーク伝送による遅延が少なくなるため特殊再生速度が向上する。
【0049】
記録媒体140に格納されているIピクチャのビット量と、出力映像ストリームのIピクチャと特殊再生用のピクチャデータのビット量の和が同等となるよう量子化係数を制御してもよい。ビット量を制御することにより記録媒体140に格納されている記録映像ストリームと同等のビット量となり、特殊再生用ピクチャデータの付加による伝送遅延が小さくなる。
【0050】
また、特殊再生を終了した後のあらかじめ定めた一定期間のストリーム送信では特殊再生用のピクチャデータとして、時間軸上において離れたフレームのピクチャデータを送信してもよい。図4に示す例では特殊再生用のピクチャデータとしてピクチャデータI8、P11を送信したが、例えばピクチャデータI14、I20とする。ピクチャデータのフレーム間隔を空けることにより、早送りの速度を上げることができ、ユーザは所望の部分まで素早い早送りを続けることができる。
【0051】
特殊再生を終了した後のあらかじめ定めた一定期間のストリーム送信ではIピクチャのビット量を減らし、特殊再生用のピクチャデータに多くのビット量を割り当てるようにしてもよい。特殊再生用のピクチャデータのビット量を増やすことで早送り時の画質を向上することができる。
【実施例2】
【0052】
本発明の第二の実施例では、特殊再生用のピクチャデータを多重するトリガとなる制御信号について述べる。構成は実施例1における図1と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
図1において、制御部120は図3における再生開始470を受信すると、受信時間を保持する。制御部120は前回の再生開始の制御信号を受信した時間と、今回の再生開始470を受信した時間の差分を計算し、ストリーム生成部160に対し出力映像ストリームに挿入する特殊再生用のピクチャデータの枚数を設定する。図4に示す例では、特殊再生用のピクチャデータを2つ付加しているが、2枚以上のピクチャデータを送信してもよい。例えばテレビ番組を視聴中に広告放送であるCMが放送された際、早送りを行いCMをスキップし、通常再生に戻した際にCM期間である場合、再度早送りが行われる。このように特殊再生の直後には再度特殊再生が行われることが多いため、再生開始の制御信号が発行される時間間隔が短い場合は出力映像ストリームに含まれる特殊再生用のピクチャデータの枚数を増やし、ストリーム生成部160の処理遅延、ネットワーク200の伝送遅延が大きくなっても表示するピクチャデータが枯渇し一時停止することなく特殊再生が可能になる。
【0054】
上記の例では再生開始の制御信号が発行される時間間隔が短い場合に特殊再生用のピクチャデータの枚数を増やすとしたが、時間間隔に加えて一定時間内に特殊再生の制御信号を受け取った回数をカウントし、一定値以上であれば、特殊再生用のピクチャデータを送信するようにしてもよい。特殊再生用のピクチャデータの枚数が多く送信される時間は局所的になるので、特殊再生用のピクチャデータ送信に伴う画質低下が発生する期間が少なくできる。
【0055】
また、映像受信装置の性能を前提として特殊再生用のピクチャデータ枚数を決定してもよい。図2のデバイス記述440において、映像受信装置300はバッファ容量を映像送信装置100に送信する。制御部120は得られたバッファ容量から映像受信装置300が保持できる特殊再生用のピクチャデータの枚数を計算し、ストリーム生成部160に送信する。ストリーム生成部160は制御部120の制御信号に基づき特殊再生用のピクチャデータを生成する。
【0056】
映像受信装置300のバッファ容量をあらかじめ知り特殊再生用のピクチャデータの枚数を計算することで、映像受信装置300はより多くの特殊再生用のピクチャデータを保持でき、ストリーム生成部160の遅延、ネットワーク200の遅延が大きくなっても表示するピクチャデータが枯渇し停止することなく特殊再生が可能になる。より素早く特殊再生を開始することができる。バッファ容量が少ない場合は特殊再生用のピクチャデータを少なくすることで出力映像ストリームのビット量を少なくすることができ、出力映像ストリームの伝送に関わる遅延を小さくすることができる。
【0057】
上記の例ではデバイス記述440からバッファ容量を得たが、この他映像受信装置300の表示部350の解像度を得て、特殊再生用のピクチャデータの解像度としてもよい。表示部350の解像度にあわせた特殊再生用のピクチャデータを作成することで表示部350に表示する際のスケーリング処理を減らすことができ、より素早く特殊再生を開始することができる。
【0058】
また図3においてデバイス・サービス情報430から映像受信装置300が受け取ることのできる出力映像ストリームの最大ビット量を得て、出力映像ストリームに含まれる特殊再生用のピクチャデータのビット量を決めてもよい。映像送信装置100はネットワーク200の状態に応じて受信ビット量が大きいほど前記出力映像ストリームのビット量を高くすることで、特殊再生用のピクチャデータの画質、および出力映像ストリーム全体の画質を決定でき、よりよい画質を持つ出力映像ストリームを出力できる。
【0059】
上記の例において、制御部120はリセット後、前回の再生開始の制御信号を受信した時間に時間が設定されていない場合は特殊再生の制御信号を受け取るまで特殊再生用のピクチャデータを送信しないようストリーム生成部160を制御してもよい。特殊再生の制御信号を受信してから特殊再生用のピクチャデータを送信することで、特殊再生を行わず再生のみ行うシステムにおいて特殊再生用のピクチャデータの送信に伴うビット量を記録映像ストリームのピクチャデータにあてることができるため、再生画質が向上する。
【0060】
上記の例では特殊再生用のピクチャデータとしてピクチャデータI8a、P11aを送信したが、制御部120は特殊再生用のピクチャデータの枚数を増やす際、ピクチャデータB9、B10をトランスコードして特殊再生用のピクチャデータとして送信してもよい。特殊再生用のピクチャデータの枚数を増やし、時間軸上のフレーム間隔を短くすることで、特殊再生のフレームレートを上げ、滑らかに再生できる。
【0061】
上記の例では再生開始の制御信号が発行される時間間隔が短い場合に特殊再生用のピクチャデータの枚数を増やすとしたが、時間軸上において離れたフレームのピクチャデータを選択して送信してもよい。図4に示す例では特殊再生用のピクチャデータとしてピクチャデータI8、P11を送信したが、例えばピクチャデータI14、I20とする。ピクチャデータのフレーム間隔を大きくすることにより、早送りの速度を上げることができ、ユーザは所望の部分まで素早い早送りを続けることができる。
【0062】
制御部120は前回の再生開始の制御信号を受信した時間と、今回の再生開始470を受信した時間の差分値があらかじめ定めた値より小さい場合、もしくは一定時間内に特殊再生の制御信号を受け取った回数があらかじめ定めた値より大きい場合は特殊再生用のピクチャデータに割り当てるビット量を増やしてもよい。特殊再生用のピクチャデータのビット量を増やすことで特殊再生時の再生画質が向上し、頻繁に特殊再生を行う際の画質を向上できる。
【0063】
上記の例では特殊再生用のピクチャデータをトランスコードして送信したが、記録映像ストリームのピクチャデータ送信順を変更することで特殊再生のレスポンスを向上させてもよい。図6はストリーム生成部160が出力する出力映像ストリームと表示部350に表示されるピクチャデータを時間軸上に配置した図である。
【0064】
出力映像ストリームにおいてピクチャデータB6、B7、P11はピクチャデータI8を参照した予測符号化を行い、ピクチャデータB9、B10はピクチャデータI8、P11を参照した予測符号化が行われている。出力映像ストリームは時間t40から送信を行い時間t41から表示が行われる。時間t42においてユーザから特殊再生の指示がある場合、制御部320はピクチャデータP23を再生開始時間とする再生開始470を映像送信装置100に送信し、ピクチャデータB9の次にバッファ340に格納されているピクチャデータP11を表示するようストリーム再生部330に制御信号を送る。
図5の出力映像ストリームと異なり、参照されるピクチャデータを1GOP(グループオブピクチャ:画面間予測符号化されるピクチャデータと参照されるピクチャデータをまとめたピクチャデータ群)分ずらすことにより、特殊再生用のピクチャデータを送信することなく素早く特殊再生を開始することを可能とする。
【実施例3】
【0065】
本発明の第三の実施例では、映像受信装置300において巻戻し再生を操作開始からレスポンスよく開始する方法について述べる。構成は実施例1における図1と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
図1において、ストリーム再生部330は特殊再生用のピクチャデータを受信するとバッファ340にあらかじめ定めた一定量を保持する。図7に映像受信装置300が受信する出力映像ストリームと表示部350に出力するピクチャデータの関係を示す。また、巻戻し再生を行う際のシーケンスは図3に示す。映像受信装置300のユーザが時間t50において巻戻し開始を操作した際、バッファ340には特殊再生用のピクチャデータとしてピクチャデータP11a、P14a、P17aを保持しているとする。制御部320はt50の時点で保持している特殊再生用のピクチャデータのうち、表示していたピクチャデータB20に最も近いピクチャデータP17aを出力するようストリーム再生部330を制御する。同時に再生開始471を映像送信装置100に出力する。このとき再生開始時間はピクチャデータP8とする。t51においてピクチャデータP17aの表示が開始されると、制御部320はバッファ340に格納しているピクチャデータP14aを出力するようストリーム再生部330を制御する。同時に再生開始472を映像送信装置100に出力する。このとき再生開始時間はピクチャデータI5とする。
【0067】
巻戻し開始時にバッファ340に格納した特殊再生用のピクチャデータを出力することにより、巻戻し再生用のピクチャデータが映像送信装置100から映像受信装置300に供給されるまでのタイムラグを解消することができ、巻戻しの操作レスポンスを向上することができる。また、制御部320は保持している特殊再生用のピクチャデータの時間軸上のフレーム間隔と同じフレーム間隔となるピクチャデータを送信するよう制御を行うことで、巻戻し再生のフレームレートを一定にできる。
【0068】
上記の例では巻戻し開始時にバッファ340に格納されている特殊再生用のピクチャデータを出力するとしたが、ストリーム再生部330は再生時にピクチャデータ出力を行うと同時に、再生したピクチャデータから特殊再生用のピクチャデータを生成しバッファ340に保持してもよい。図8に示すようにピクチャデータB3とB4のそれぞれの画素値の平均を取り、ピクチャデータB3とB4の時間軸上の中間の位置を示すピクチャデータB3bを作成し、特殊再生用のピクチャデータとする。同様にピクチャデータB6とB7からピクチャデータB6bを作成する。巻戻しの際はピクチャデータB6b、P5a、B3b、I2aの順番に出力することにより、出力映像ストリームに含まれる特殊再生用のピクチャデータを再生する場合に比べフレームレートの高い巻戻し再生を行うことができる。
【0069】
上記の例では特殊再生用のピクチャデータを保持するバッファ量はあらかじめ定めた値とする、としたが、制御部320は一定時間内にユーザからの巻戻し操作の制御信号を受け取った回数をカウントし、一定値以上であれば、保持する特殊再生用のピクチャデータの枚数を増やしてもよい。特殊再生用のピクチャデータを保持するバッファ量を変更することにより、巻戻し再生を繰り返してもレスポンスのよい巻戻しを行うことができる。
【0070】
上記の例では特殊再生用のピクチャデータをバッファ340に保持するとしたが、制御部320あるいはストリーム再生部330は、情報圧縮を行いバッファ340に保持してもよい。
もしくは制御部320あるいはストリーム再生部330は、あらかじめ定めた枚数おきに特殊再生用のピクチャデータをバッファ340に格納してもよい。
もしくは制御部320あるいはストリーム再生部330は、特殊再生用のピクチャデータの解像度を下げ、データサイズを減らしてバッファ340に格納してもよい。
もしくは制御部320あるいはストリーム再生部330は、特殊再生用のピクチャデータの量子化係数を変更し、データサイズを減らして、バッファ340に格納してもよい。
もしくは制御部320あるいはストリーム再生部330は、特殊再生用のピクチャデータの圧縮フォーマットを変更し、データサイズを減らして、バッファ340に格納してもよい。
特殊再生用のピクチャデータのビット量を減らすことにより、バッファ340の特殊再生用のピクチャデータの保持に要するビット量を小さくでき、より多くの特殊再生用のピクチャデータを保持することができる。
【0071】
また、制御部320はバッファ340から特殊再生用のピクチャデータを削除する際、ストリーム再生部330が出力するピクチャデータと特殊再生用のピクチャデータの差分の総和があらかじめ定めた一定値以下であるときに削除を行う制御を行ってもよい。このように削除を行うことにより、バッファ340にはシーンチェンジ部分の特殊再生用のピクチャデータが残ることになり、何回も巻戻しが起きたときでも、巻戻し再生を停止する可能性が高いシーンチェンジ部分を表示することができる。
【0072】
また、制御部320は、ストリーム再生部330が出力するピクチャデータと直前に出力したピクチャデータの差分の総和があらかじめ定めた一定値以上であるとき、バッファ340に特殊再生用のピクチャデータとして保持する制御を行ってもよい。このように制御を行うことにより、特殊再生用のピクチャデータにシーンチェンジ部分が含まれていなくても、巻戻しバッファに残しておくことが出来るようになり、巻戻し再生を停止する可能性が高いシーンチェンジ部分を表示することができる。
【実施例4】
【0073】
本発明の第四の実施例では、映像受信装置300における特殊再生の表示方法について述べる。構成は実施例1における図1と同様であるため、説明を省略する。
【0074】
図9に映像受信装置300において早送りもしくは巻戻しの特殊再生を行っている際に表示部350に表示されている画像を示す。画像600、620、630、640はバッファ340に格納されている特殊再生用のピクチャデータのサムネイル画像を示し、制御部320はストリーム再生部330に時間軸上のフレーム順に左から右に表示するよう制御を行う。画像650および画像610はストリーム再生部330が出力する出力映像ストリームのデコード画像である。
ユーザは特殊再生中に表示された特殊再生用のピクチャデータ、例えば画像630を選択する動作を行うと、制御部320は選択された特殊再生用のピクチャデータを読み出し、画像650および610の位置に表示し、再生を行うようストリーム再生部330に制御信号を送信する。
表示部350にバッファ340に格納した特殊再生用のピクチャデータを時系列順に表示することにより、早送り、巻戻し可能な時間が視覚的に確認できる。また、ユーザが直接特殊再生用のピクチャデータを選択して再生位置を指定することにより、早送り、巻き戻しに加えジャンプ再生が可能になる。
【0075】
上記の例では制御部320は表示部350に特殊再生用のピクチャデータを表示する際、時間軸上のフレーム順に表示するとしたが、特殊再生用のピクチャデータと直前に表示した特殊再生用のピクチャデータの差分の総和があらかじめ定めた一定値以下であるとき、表示部350に表示するようにしてもよい。シーンの切り替わりなど画面全体が大きく変わるときは、特殊再生用のピクチャデータの差分の総和が大きくなる。本構成により、表示部350に表示される特殊再生用ピクチャデータはシーンの切り替わり部分が多くなり、再生中の映像から時間軸上で離れたフレームが表示されやすくなりジャンプ再生の利便性が増す。
【0076】
上記の例では制御部320は表示部350に特殊再生用のピクチャデータを表示する際、時間軸上のフレーム順に表示するとしたが、制御部320はあらかじめ定めた時間軸上のフレーム間隔となるよう特殊再生用のピクチャデータを選択し、表示部350に表示してもよい。本構成により再生中の映像から時間軸上で離れたフレームが表示されやすくなりジャンプ再生の利便性が増す。
【0077】
上記の例では制御部320は表示部350に右側に早送り用の特殊再生用のピクチャデータ、左側に巻戻し用の特殊再生用のピクチャデータを表示し、中央に再生中の画像610を表示するようにしたが、早送りの制御命令の回数があらかじめ定めた回数以上であるときに早送り用の特殊再生ピクチャデータのバッファ容量を増加させ、表示部350に表示している再生中の画面を中央左側に寄せて、早送り用の特殊再生用のピクチャデータの表示枚数を増やしてもよい。同様に巻戻しの制御命令の回数があらかじめ定めた回数以上であるときは巻戻し用の特殊再生用のピクチャデータのバッファ容量を増加させ、表示部350に表示している再生中の画面を中央右側に寄せて、巻戻し用の特殊再生用のピクチャデータの表示枚数を増やしてもよい。ユーザの操作に応じてバッファ容量、および画面表示を変更することで特殊再生の利便性が増す。
【0078】
以上、添付図面を参照しながら本発明にかかる好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0079】
例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、2つ以上の実施例を、その全部または一部において同時に採用する構成も可能である。
【符号の説明】
【0080】
100 映像送信装置
110 ネットワークI/F
120 制御部
130 バス
140 記録媒体
160 ストリーム生成部
200 ネットワーク
300 映像受信装置
310 ネットワークI/F
320 制御部
330 ストリーム再生部
340 バッファ
350 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークから制御信号を受け取り、前記制御信号の解釈を行う制御部と、
複数のピクチャ情報からなる記録映像ストリームを記録する記録媒体と、
前記記録媒体から前記映像ストリームを読み出し、前記制御部の指示に基づき出力映像ストリームを出力するストリーム生成部と、
前記ストリーム生成部が出力する前記出力映像ストリームを前記ネットワークに送出するネットワークI/Fと、
を備え、
前記ストリーム生成部は前記出力映像ストリームに含まれるピクチャデータを送信する前に特殊再生用のピクチャデータを送信すること
を特徴とした映像送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像送信装置において、
前記特殊再生用のピクチャデータは前記記録映像ストリームと同じ圧縮方法を用いて圧縮されていること
を特徴とした映像送信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の映像送信装置において、
前記特殊再生用のピクチャデータは前記記録映像ストリームと異なる圧縮方法を用いて、前記特殊再生用のピクチャデータのビット量を削減すること
を特徴とした映像送信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の映像送信装置において、
前記制御部は再生開始の制御信号を受信した時間を記憶し,直前の再生開始の制御信号を受信した時間との差分があらかじめ定めた時間よりも小さいときは複数の特殊再生用のピクチャデータを多重するよう前記ストリーム生成部を制御すること
を特徴とした映像送信装置。
【請求項5】
請求項4に記載の映像送信装置において、
前記制御部は直前の再生開始の制御信号を受信した時間との差分があらかじめ定めた時間よりも小さい回数を記憶し、あらかじめ定めた回数を超えた場合は複数の特殊再生用のピクチャデータを多重するよう前記ストリーム生成部を制御すること
を特徴とした映像送信装置。
【請求項6】
請求項1に記載の映像送信装置において、
前記制御部は、前記ネットワークに接続され前記出力映像ストリームをデコードする映像受信装置から出力映像ストリームを要求する制御信号を受信した際、
前記制御部は、前記ストリーム生成部に前記出力映像ストリームに含まれるピクチャデータを送信する前に特殊再生用のピクチャデータを送信するよう制御すること
を特徴とした映像送信装置。
【請求項7】
請求項1に記載の映像送信装置において、
前記制御部は、前記ネットワークに接続され前記出力映像ストリームをデコードする映像受信装置から、特殊再生を要求する制御信号を受信した際、
前記制御部は、前記ストリーム生成部に前記出力映像ストリームに含まれるピクチャデータを送信する前に特殊再生用のピクチャデータを送信するよう制御すること
を特徴とした映像送信装置。
【請求項8】
請求項4に記載の映像送信装置において、
前記制御部は特殊再生用のピクチャデータの枚数を増やす制御を行うこと
を特徴とした映像送信装置。
【請求項9】
請求項4に記載の映像送信装置において、
前記制御部は特殊再生用のピクチャデータの時間軸上のフレーム間隔を大きくすること
を特徴とした映像送信装置。
【請求項10】
請求項4に記載の映像送信装置において、
前記制御部は特殊再生用のピクチャデータのビット量を増やすこと
を特徴とした映像送信装置。
【請求項11】
請求項4に記載の映像送信装置において、
前記制御部は前記記録映像ストリームに含まれるピクチャのうち、画面内符号化を行ったピクチャを特殊再生用のピクチャデータとし、前記特殊再生用のピクチャデータは前記記録映像ストリームにおいて画面内符号化を行ったピクチャが含まれるグループオブピクチャよりも先に送信すること
を特徴とした映像送信装置。
【請求項12】
請求項8、9、10に記載の映像送信装置において、
前記ストリーム生成部は量子化係数を変更することにより特殊再生用のピクチャデータの1枚あたりのビット量を制御すること
を特徴とした映像送信装置。
【請求項13】
請求項8、9、10に記載の映像送信装置において、
前記ストリーム生成部は解像度を変更して特殊再生用のピクチャデータのビット量を制御すること
を特徴とした映像送信装置。
【請求項14】
請求項13に記載の映像送信装置において、
特殊再生用のピクチャデータの解像度は画素間引きにより行うこと
を特徴とした映像送信装置。
【請求項15】
請求項8、9、10に記載の映像送信装置において、
前記ストリーム生成部は量子化係数を変更すること、もしくは解像度を変更して特殊再生用のピクチャデータのビット量を制御すること、もしくは特殊再生用のピクチャデータの圧縮フォーマットを変えてビット量を制御することにより特殊再生用のピクチャデータの1枚あたりのビット量を制御すること
を特徴とした映像送信装置。
【請求項16】
請求項8、9、10に記載の映像送信装置において、
前記制御部は、前記記録媒体に記録された映像ストリームのうち、出力映像ストリームの画面内符号化されたピクチャと前記特殊再生用のピクチャデータのビット量の和と、画面内符号化されたピクチャのビット量が同等となるよう量子化係数を制御すること
を特徴とした映像送信装置。
【請求項17】
通常再生用のピクチャデータと特殊再生用のピクチャデータからなる出力映像ストリームをネットワークから受信するネットワークI/Fと、
前記ネットワークI/Fから前記出力映像ストリームを受け取り、復号を行ない、映像データを出力するストリーム再生部と、
前記ストリーム再生部が出力する前記映像データを格納するバッファと、
前記ストリーム再生部が前記バッファから読み出した映像データを表示する表示部と、
前記ストリーム再生部と、前記ネットワークI/Fに制御信号を出力する制御部と、
を備え、
前記制御部は前記出力映像ストリームに対し、早送り再生を行う際、前記出力映像ストリームに含まれる特殊再生用のピクチャデータを表示すること
を特徴とした映像受信装置。
【請求項18】
請求項17に記載の映像受信装置において、
前記制御部は早送り再生を行う際、前記ネットワークI/Fに早送り再生の制御信号を出力すること
を特徴とした映像受信装置。
【請求項19】
請求項17に記載の映像受信装置において、
前記制御部は、前記バッファに格納している特殊再生用のピクチャデータの時間軸上の間隔と等しいフレーム間隔となるピクチャデータを送信するよう前記ネットワークI/Fに早送り再生の制御信号を出力すること
を特徴とした映像受信装置。
【請求項20】
請求項17に記載の映像受信装置において、
前記ストリーム再生部は特殊再生用のピクチャデータを前記バッファに記録し、
前記制御部は巻戻し再生を行う際、前記バッファから特殊再生用のピクチャデータを読み出し出力すること
を特徴とした映像受信装置。
【請求項21】
請求項20に記載の映像受信装置において、
前記制御部は巻戻し再生を行う際、前記ネットワークI/Fに巻戻し再生の制御信号を出力すること
を特徴とした映像受信装置。
【請求項22】
請求項20に記載の映像受信装置において、
前記ストリーム再生部は前記出力映像ストリームに含まれる前記特殊再生用のピクチャデータに情報圧縮を行い、データサイズを削減して前記バッファに格納すること
を特徴とした映像受信装置。
【請求項23】
請求項20に記載の映像受信装置において、
前記制御部は早送り再生、もしくは巻戻し再生を行う際、前記バッファに格納されている前記特殊再生データを読出し、再生ピクチャと並べて前記表示部に表示すること
を特徴とした映像受信装置。
【請求項24】
請求項23に記載の映像受信装置において、
前記制御部は、前記ストリーム再生部が出力するピクチャデータの左側に過去再生時間の前記特殊再生用のピクチャデータを、右側に未来の再生時間の前記特殊再生用のピクチャデータを前記表示部に表示するよう制御を行うこと
を特徴とした映像受信装置。
【請求項25】
請求項24に記載の映像受信装置において、
前記表示部に表示された特殊再生用のピクチャデータが選択されたとき、前記制御部は表示している特殊再生用のピクチャデータから再生を行うよう前記ストリーム再生部を制御すること
を特徴とした映像受信装置。
【請求項26】
映像送信装置と映像受信装置からなる映像送受信装置において、
映像送信装置は
ネットワークから制御信号を受け取り、前記制御信号の解釈を行う制御部と、
複数のピクチャ情報からなる記録映像ストリームを記録する記録媒体と、
前記記録媒体から前記映像ストリームを読み出し、前記制御部の指示に基づき出力映像ストリームを出力するストリーム生成部と、
前記ストリーム生成部が出力する前記出力映像ストリームを前記ネットワークに送出するネットワークI/Fと、
を備え、
前記ストリーム生成部は前記出力映像ストリームに含まれるピクチャデータを送信する前に特殊再生用のピクチャデータを送信し、
映像受信装置は
通常再生用のピクチャデータと特殊再生用のピクチャデータからなる出力映像ストリームをネットワークから受信するネットワークI/Fと、
前記ネットワークI/Fから前記出力映像ストリームを受け取り、復号を行ない、映像データを出力するストリーム再生部と、
前記ストリーム再生部が出力する前記映像データを格納するバッファと、
前記ストリーム再生部が前記バッファから読み出した映像データを表示する表示部と、
前記ストリーム再生部と、前記ネットワークI/Fに制御信号を出力する制御部と、
を備え、
前記制御部は前記出力映像ストリームに対し、早送り再生を行う際、前記出力映像ストリームに含まれる特殊再生用のピクチャデータを表示すること
を特徴とした映像送受信制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−160982(P2012−160982A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20293(P2011−20293)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】