説明

映像配信システム

【課題】映像配信システムに適した配信レートで映像フレームデータを映像受信装置に配信し、映像受信装置の要求配信レートが制限されているときは映像受信装置に通知することができる映像配信システムを提供する。
【解決手段】監視カメラ装置210の映像配信処理部214aは、映像受信装置である監視装置220及び録画装置240から送信される要求配信レートを入力し、入力部216からオペレータが設定した優先度を入力する。また、映像配信処理部214aは、要求配信レート、優先度、及び映像配信システムの処理能力に基づいて映像受信装置の配信レートを決定し、決定した配信レートで映像フレームデータを映像受信装置に配信する。更に、映像配信処理部214aは、要求配信レートと配信レートの値が異なるときには、映像受信装置に配信制限中を送信することで、配信制限中を受信した映像受信装置は、要求配信レートが制限中であることを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラ装置が撮影した映像をネットワークを経由して映像受信装置に配信する映像配信システムに係り、特に映像配信システムの処理能力に応じて映像受信装置に映像を配信することができる映像配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラ装置が撮影した映像を複数の映像受信装置に配信し、映像受信装置は受信した映像を表示または保存している。このような映像配信システムにおいて、映像受信装置は監視カメラ装置に対して、1秒間に配信する映像の1断面データ(以下、映像フレームデータという)の数を要求している。監視カメラ装置は、映像受信装置から1秒間に配信する映像フレームデータの数(配信レート(fps)という)の要求を受信すると、この要求された配信レート(以下、要求配信レートという)に基づいて映像受信装置に撮影した映像の映像フレームデータを配信している。
【0003】
従来の実施例に係る映像配信システムについて、図面を参照して説明する。従来の映像配信システム500の構成を図5に示す。映像配信システム500は、監視カメラ装置510、監視装置520、監視装置530、録画装置540、及びネットワーク550から構成されている。監視装置520、監視装置530、及び録画装置540が映像受信装置である。
【0004】
このような図5に示す映像配信システム500において、監視装置520、監視装置530、及び録画装置540が監視カメラ装置510に要求配信レートを送信する。監視カメラ装置510は、監視装置520、監視装置530、及び録画装置540から要求配信レートを受信すると、この要求配信レートに基づいて、監視装置520、監視装置530、及び録画装置540に映像フレームデータを配信する。例えば、監視装置520から送信された要求配信レートが5(fps)であれば、監視カメラ装置510は、図5に示すように1秒間に5つの映像フレームデータ521を監視装置520に配信する。また、監視装置530から送信された要求配信レートが3(fps)であれば、監視カメラ装置510は、図5に示すように1秒間に3つの映像フレームデータ531を監視装置530に配信する。また、録画装置540から送信された要求配信レートが2(fps)であれば、監視カメラ装置510は、図5に示すように1秒間に2つの映像フレームデータ541を録画装置540に配信する。
【0005】
しかし、従来の映像配信システム500においては、監視カメラ装置510やネットワーク550の性能により映像配信システム500の処理能力に限界があるため、監視装置520、監視装置530、及び録画装置540などの映像受信装置から要求される要求配信レートで映像フレームデータを配信すると、映像フレームデータが欠落してしまうという問題があった。しかし、映像配信システム500を安価で提供するためには、映像配信システム500を構成する監視カメラ装置510やネットワーク550を高価な高性能の装置に置き換えることができなかった。
【0006】
監視カメラで撮影した映像を配信する技術として下記の特許文献1がある。特許文献1は、複数の映像配信拠点と複数の監視拠点とその他の各種の端末が設置された複合ネットワークにおいて、管理サーバを設け、複数の映像配信拠点または複数の監視拠点に予め任意に定めた優先順位を管理サーバに設定しておく。そして、監視拠点の監視端末から管理サーバに映像配信拠点の映像配信要求が行われた場合に、管理サーバがトラフィック状況及び優先順位に基づいて映像配信要求のあった映像配信拠点から監視拠点に対しての映像配信を許可するかを判断する。そして、管理サーバが許可したときに映像配信することでネットワーク上のトラフィックを必要以上に増大させないようにするネットワーク監視システムを提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−136613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のネットワーク監視システムでは、管理サーバを設け、複数の映像配信拠点または複数の監視拠点に予め任意に定めた優先順位を管理サーバに設定し、管理サーバがトラフィック状況及び優先順位に基づいて映像配信を許可するかを判断しているので、監視サーバが必要となる。しかし、管理サーバを設置するためには管理サーバのハードウェア費用、管理サーバの構築や保守などのメンテナンス費用が必要となるので、映像配信システムを安価で提供することができないという問題がある。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できる映像配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の映像配信システムは、監視カメラ装置と映像受信装置が接続されている映像配信システムであって、前記監視カメラ装置に要求配信レートを送信する前記映像受信装置の要求配信レート送信手段と、前記要求配信レートを受信する前記監視カメラ装置の要求配信レート受信手段と、前記映像受信装置に優先順位を設定する前記監視カメラ装置の優先順位設定手段と、前記要求配信レート、前記優先順位、及び前記映像配信システムの処理能力に基づいて配信レートを決定する前記監視カメラ装置の配信レート決定手段と、前記要求配信レートと前記配信レートが異なるときに前記映像受信装置に配信制限通知を送信する前記監視カメラ装置の配信制限通知送信手段と、前記配信制限通知を受信する前記映像受信装置の配信制限通知受信手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、監視カメラ装置は、映像受信装置から要求される配信レート、映像受信装置に設定される優先順位、及び映像配信システムの処理能力に基づいて映像配信システムに適した配信レートを決定し、決定した配信レートで映像フレームデータを映像受信装置に配信できる。更に、要求される配信レートが制限されているときには、配信レートが制限中であることを映像受信装置に送信することで、映像受信装置は配信レートの制限中をオペレータに通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る映像配信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る映像配信システムの機能構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る配信レート設定テーブルの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る映像配信処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】従来の実施例に係る映像配信システムの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための実施形態を、図面を参照して説明する。本発明の実施形態は、映像受信装置から監視カメラ装置に送信された要求配信レートと、映像受信装置に設定される優先度、及び映像配信システムの処理能力に基づいて、監視カメラ装置が配信レートを決定し、この決定した配信ルートで映像フレームデータを配信する実施形態である。
【0014】
まず、本発明の実施形態の映像配信システム100について説明する。映像配信システム100の構成を図1に示す。映像配信システム100は、監視カメラ装置110、監視装置120、監視装置130、録画装置140、及びネットワーク150から構成されている。監視装置120、監視装置130、及び録画装置140が映像受信装置である。図1の映像配信システム100では映像受信装置として監視装置120、監視装置130、及び録画装置140を図示しているが、実際にはこれ以上の複数の映像受信装置により構成されている。
【0015】
次に、映像配信システム100の機能構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る映像配信システム100の機能構成200を示す図である。図2に示すように、監視カメラシステム100の機能構成200は、監視カメラ装置210、監視装置220、録画装置240、及びネットワーク250の機能から構成されている。監視カメラ装置210は、図1の監視カメラ装置110の機能構成である。監視装置220は、図1の監視装置120と監視装置130の機能構成である。録画装置240は、図1の録画装置140の機能構成である。ネットワーク250は、図1のネットワーク150の機能構成である。
【0016】
監視カメラ装置210は、レンズ部211、カメラモジュール部212、通信部213、制御部214、不揮発性メモリ215、及び入力部216から構成されている。また、制御部214には映像配信処理部214aが設けられ、不揮発性メモリ215には配信レート設定テーブル215aが設けられている。配信レート設定テーブル215aは、映像受信装置の装置名称、映像受信装置の優先順位、要求配信レート、配信レート、及び配信制限の有無が設定されるテーブルである。配信レート設定テーブル215aの詳細については、後述する。レンズ部211は電動で位置を移動できるレンズを備え、カメラモジュール部212を介して入力する制御部214の指令に基づいてレンズの位置を移動させる。カメラモジュール部212は、レンズ部211から映像を入力すると、映像の1断面である映像フレームデータを通信部213に出力する。通信部213は、監視装置220と録画装置240との通信を行うためのインターフェースである。通信部213は、カメラモジュール部212から映像フレームデータを入力し、Motion-JPEG、MPEG-4、またはH.264などの方式で符号化処理を行う。次に、通信部213は、映像配信処理部214aから出力される配信レートに基づいて符号化処理された映像フレームデータのパケット化を行い、ネットワーク250を経由して監視装置220及び録画装置240に映像フレームデータのパケットを配信する。また、通信部213は、監視装置220または録画装置240からの要求配信レートのパケットを受信すると、送信先の装置名称と要求配信レートを制御部214に出力する。
【0017】
制御部214は、監視カメラ装置210全体の制御を行う。映像配信処理部214aは、通信部213から装置名称と要求配信レートを入力すると、不揮発性メモリ215の配信レート設定テーブル215aに設定する。また、映像配信処理部214aは、監視装置220及び録画装置240から送信される要求配信レートと映像配信システムの処理能力に基づいて、監視装置220及び録画装置240への配信レートを決定する。そして、映像配信処理部214aは、決定した配信レートを配信レート設定テーブル215aに設定するとともに通信部213に出力する。更に、映像配信処理部214aは、要求配信レートが制限中であるかを判定し、制限中であるときには、配信制限中データを通信部213に出力すると、通信部213は配信制限中データをパケット化し、監視装置220と録画装置24に送信する。映像配信処理部214aの詳細処理については、後述する。不揮発性メモリ215は、制御部214が実行する処理のプログラムやデータを記憶するメモリでもある。入力部216は、監視カメラ装置210に対して行われる設定を入力する。オペレータが監視装置220及び録画装置240の優先度を入力部216から入力すると、優先度は、入力部216から映像配信処理部214aに出力され、映像配信処理部214aが配信レート設定テーブル215aに設定する。
【0018】
監視装置220は、通信部221、制御部222、入力部223、及び表示部224から構成されている。また、制御部222には、要求配信レートを監視カメラ装置210に送信する配信レート要求処理部222aと、監視カメラ装置210から受信した映像フレームデータを表示する映像表示処理部222bが設けられている。入力部223は、監視装置220に対する設定を入力する。オペレータが監視装置220の要求配信レートを入力部223から入力すると、入力部223から配信レート要求処理部222aに出力される。配信レート要求処理部222aは、入力部223から出力された要求配信レートのデータを入力すると、通信部221に出力する。通信部221は、監視カメラ装置210と通信を行うためのインターフェースである。通信部221は、配信レート要求処理部222aから出力された要求配信レートのデータを入力すると、要求配信レートのデータをパケット化し、ネットワーク250を経由して監視カメラ装置210に送信する。また、通信部221は、監視カメラ装置210から映像フレームデータのパケットを受信すると、パケットから符号化処理された映像フレームデータを取り出し、符号化処理を元に戻した映像フレームデータを、映像表示処理部222bに出力する。更に、通信部221は、配信制限中データのパケットを受信すると、パケットから配信制限中データを取り出し制御部222に出力する。制御部222は、監視装置220全体の制御を行う。また、制御部222は、通信部221から配信制限中データを入力すると表示部224に出力する。映像表示処理部222bは、通信部221から出力された映像フレームデータを入力すると、表示部224に出力する。表示部224は、映像表示処理部222bから出力される映像フレームデータを入力すると図示しない表示器に出力する。また、表示部224は、制御部224から出力される配信制限中データを入力すると図示しない表示器に出力する。この配信制限中データの表示により、要求配信レートに対して制限が行われていることをオペレータに通知することができる。
【0019】
録画装置240は、通信部241、制御部242、入力部243、表示部244、及び映像フレームデータ保存エリア245から構成されている。また、制御部242には、要求配信レートを監視カメラ装置210に送信する配信レート要求処理部242aが設けられている。映像フレームデータ保存エリア245には、監視カメラ装置210から受信した映像フレームデータが保存される。入力部243は、録画装置240に対する設定を入力する。オペレータが録画装置240の要求配信レートを入力部243から入力すると、入力部243から配信レート要求処理部242aに出力される。配信レート要求処理部242aは、入力部243から要求配信レートのデータを入力すると、通信部241に出力する。通信部241は、監視カメラ装置210と通信を行うためのインターフェースである。通信部241は、配信レート要求処理部242aから出力された要求配信レートのデータを入力すると、要求配信レートのデータをパケット化し、ネットワーク250を経由して監視カメラ装置210に送信する。また、通信部241は、監視カメラ装置210からパケット化された映像フレームデータを受信すると、映像フレームデータ保存エリア245に保存する。更に、通信部241は、配信制限中データのパケットを受信すると、パケットから配信制限中データを取り出し、配信制限中データを制御部242に出力する。制御部242は、録画装置240全体の制御を行う。また、制御部242は、通信部241から配信制限中データを入力すると表示部244に出力する。表示部244は、制御部242から出力される配信制限中データを入力すると図示しない表示器に出力する。この配信制限中データの表示により、要求配信レートに対して制限が行われていることをオペレータに通知することができる。
【0020】
ネットワーク250は、インターネットやイントラネット等のIPネットワークであり、監視カメラ装置210、監視装置220及び録画装置240が接続され通信が行われる。ネットワーク250の通信プロトコルとしては、例えば、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)、RTP(Real-time Transport Protocol)などのプロトコルが使用できる。
【0021】
次に、監視カメラ装置210の不揮発性メモリ215に記憶されている配信レート設定テーブル215aの構成について説明する。図3に、配信レート設定テーブル215aの構成を示す。配信レート設定テーブル215aは、「インデックスNo」、「装置名称」、「優先順位」、「要求配信レート」、「配信レート」、及び「配信制限フラグ」の項目から構成されている。「インデックスNo」は、監視装置220及び録画装置240の映像受信装置に付けられるユニークな番号で、映像配信システム100にn台の映像受信装置が設置されているときは、1からnまでの番号が順番に設定される。「装置名称」には、映像受信装置を識別するために付けられているユニークな名称が設定される。「優先順位」には、映像受信装置に対する優先順位が設定され、優先順位が上位の映像受信装置については「要求配信レート」に対する制限が無いまたは小さいが、優先順位が下位の映像受信装置については、「要求配信レート」に対する制限が大きくなる。「要求配信レート」には、映像受信装置から監視カメラ装置に送信される要求配信レートが設定される。「配信レート」には、「優先順位」、「要求配信レート」、及び映像配信システム200の処理能力に基づいて決定された「配信レート」が設定される。「配信制限フラグ」には、「要求配信レート」に対する制限の有無が設定される。つまり、「要求配信レート」と「配信レート」を比較し、「要求配信レート」が低いときには制限が有ると判定され、「配信制限フラグ」に「1」が設定される。また、「要求配信レート」と「配信レート」を比較し、「要求配信レート」と「配信レート」が同じであるときには制限が無い判定され、「配信制限フラグ」には「0」が設定される。
【0022】
このような配信レート設定テーブル215aにおいて、例えば、「装置名称」の「録画装置1」では、「優先順位」が最上位の「1」であるので、「配信レート」には「要求配信レート」と同じ値である「10」が設定されている。つまり、優先順位が最上位の場合は「要求配信レート」が「配信レート」となっており制限がなされていないので、「配信制限フラグ」には「0」が設定される。しかし、「装置名称」の「監視装置2」では、「優先順位」が「3」であり最上位ではないので、「要求配信レート」には「15」が設定されているが「配信レート」には「5」が設定されている。つまり、優先順位が最上位でない場合は「配信レート」は「要求配信レート」より小さい値となっており制限されているので、「配信制限フラグ」には「1」が設定される。また、「優先順位」、「要求配信レート」、及び映像配信システム200の処理能力から「配信レート」を決定する方法としては、例えば、映像配信システム200に設置されている映像受信装置から送信された「要求配信レート」から映像フレーム数を合計し、合計した映像フレーム数が監視カメラ装置210の配信可能な映像フレーム数の範囲内となるように調整する。このように調整するときに、「優先順位」が上位の装置については、「要求配信レート」に対する制限が無いまたは小さくなるような「配信レート」とし、優先順位が下位の装置については、「要求配信レート」に対する制限が大きくなるような「配信レート」とする。
【0023】
次に、本発明の実施の形態に係わる監視カメラ装置210における映像配信処理について説明する。図4は、映像配信処理手順を示すフローチャートである。監視カメラ装置210の電源が投入されると、制御部214が映像配信処理部214aを起動する。この起動により、映像配信処理部214aは映像配信処理を予め決められた周期で実行する。
【0024】
まず、ステップS10において、映像配信処理部214aは、配信レート設定テーブル215aのインデックスNo(I)に初期値である「1」を設定する。
【0025】
次にステップS20において、映像配信処理部214aは、インデックスNo(I)に対応する「装置名称」の映像受信装置から通信部213が要求配信レートを受信したかを判定する。通信部213が要求配信レートを受信している(ステップS20のYes)ときは、映像配信処理部214aは、配信レート設定テーブル215aの「要求配信レート」を更新するステップS30に進む。また、通信部213が要求配信レートを受信していない(ステップS20のNo)ときは、インデックスNo(I)を更新するステップS40に進む。
【0026】
次にステップS30において、映像配信処理部214aは、配信レート設定テーブル215aのインデックスNo(I)に対応する「装置名称」の映像受信装置の「要求配信レート」を通信部213から入力した要求配信レートに更新する。
【0027】
次にステップS40において、映像配信処理部214aは、インデックスNo(I)に「1」を加算する。
【0028】
次にステップS50において、映像配信処理部214aは、全ての映像受信装置について要求配信レートの受信チェックが終了したかを判定するため、インデックスNo(I)と映像受信装置の最大数である「M」とを比較する。インデックスNo(I)が「M」より大きい(ステップS50のYes)ときは受信チェックが終了しているので、映像配信処理部214aは、配信レート設定テーブル215aの「配信レート」を計算するステップS60に進む。また、インデックスNo(I)が「M」以下である(ステップS50のNo)ときは受信チェックが終了していないので、次のインデックスNo(I)に対応する「装置名称」の映像受信装置から要求配信レートを受信したかを判定するステップS20に戻る。
【0029】
次にステップS60において、映像配信処理部214aは、配信レート設定テーブル215aの「優先順位」と「要求配信レート」、及び映像配信システム100の処理能力に基づいて、全ての映像受信装置の配信レートを決定する。
【0030】
次にステップS70において、映像配信処理部214aは、配信レート設定テーブル215aの映像受信装置の「要求配信レート」を、ステップS60で計算した映像受信装置の配信レートで更新する。
【0031】
次にステップS80において、映像配信処理部214aは、配信レート設定テーブル215aの全ての映像受信装置について「要求配信レート」と「配信レート」を比較する。そして、配信レート設定テーブル215aの「要求配信レート」と「配信レート」が同じ値でないときには、配信レート設定テーブル215aの「配信制限フラグ」に「1」を設定する。また、配信レート設定テーブル215aの「要求配信レート」と「配信レート」が同じ値のときには、配信レート設定テーブル215aの「配信制限フラグ」に「0」を設定する。
【0032】
次にステップS90において、映像配信処理部214aは、インデックスNo(I)に初期値である「1」を設定する。
【0033】
次にステップS100において、映像配信処理部214aは、インデックスNo(I)に対応する映像受信装置の「配信制限フラグ」に「1」がセットされているかを判定する。「配信制限フラグ」に「1」がセットされている(ステップS100のYes)ときは、映像配信処理部214aは、インデックスNo(I)に対応する映像受信装置が配信制限中であることを通信部213に通知するステップS110に進む。また、「配信制限フラグ」に「1」がセットされていない(ステップS100のNo)ときは、映像配信処理部214aは、インデックスNo(I)に対応する装置の配信レートを通信部213に通知するステップS120に進む。
【0034】
ステップS110において、映像配信処理部214aは、インデックスNo(I)に対応する映像受信装置が配信制限中であることを通知するために通信部213に配信制限中データを出力する。尚、通知部213が映像配信処理部214aからインデックスNo(I)に対応する映像受信装置について配信制限中データを入力すると、配信制限中データをパケット化し、パケット化した配信制限中データをインデックスNo(I)に対応する映像受信装置に送信する。例えば、図3に示すインデックスNo(I)が「2」である「監視装置2」には「配信制御フラグ」に「1」がセットされているので、通信部213は、「監視装置2」に配信制限中データを送信する。この配信制限中データを送信された「監視装置2」は、要求配信レートが制限中であることを表示してオペレータに通知する。
【0035】
次にステップS120において、映像配信処理部214aは、配信レート設定テーブル215aのインデックスNo(I)に対応する映像受信装置の「配信レート」を通信部213に通知する。尚、通知部213が映像配信処理部214aからインデックスNo(I)に対応する映像受信装置について配信レートの通知を入力すると、この配信レートで映像受信装置に映像ストリームデータを配信する。例えば、図3に示すインデックスNo(I)が「2」である「監視装置2」の「配信レート」には「5」がセットされているので、通信部213は、1秒間に5回映像フレームデータを「監視装置2」に配信する。
【0036】
次にステップS130において、映像配信処理部214aは、インデックスNo(I)に「1」を加算する。
【0037】
次にステップS140において、映像配信処理部214aは、全ての映像受信装置の配信レートを通信部213に通知が完了したかを判定するため、インデックスNo(I)と映像受信装置の最大数である「M」とを比較する。インデックスNo(I)が「M」より大きい(ステップS140のYes)ときは通知が完了しているので、映像配信処理部214aは、映像配信処理を終了する。また、インデックスNo(I)が「M」以下である(ステップS140のNo)ときは通知が完了していないので、次のインデックスNo(I)に対応する「配信制限フラグ」に「1」がセットされているかを判定するステップS100に戻る。
【0038】
なお、実施の形態では、映像受信装置が受信した映像ストリームデータに配信制限中がセットされていたときに、監視装置220は、要求した配信レートが制限中であることを表示してオペレータに通知するようにしたが、映像受信装置に音声出力部を設け音声でオペレータに通知するようにしてもよい。また、映像受信装置に配信制限通知釦を設け配信制限通知釦の点灯で要求した配信レートが制限中であることをオペレータに通知するようにしてもよい。
【0039】
また、実施の形態では、映像配信システム200において監視カメラ装置210に通信部213を備えているが、通信部213を監視カメラ装置210と別の装置としてもよい。同様に、監視装置220に通信部221を備えているが、通信部221を監視装置220と別の装置としてもよい。同様に、録画装置240に通信部241を備えているが、通信部241を録画装置240と別の装置としてもよい。
【0040】
また、実施の形態では、録画装置240は映像フレームデータを映像ストリームデータ保存エリア245に保存しているが、録画装置240の制御部242に映像表示処理部を設けることで、監視カメラ装置210から受信した映像フレームデータを表示するようにしてもよい。
【0041】
以上のように、本発明の映像配信システムによれば、監視装置及び録画装置から配信レートが要求された場合でも、の能力に適した映像フレームデータを配信することができるので、映像フレームデータの配信における欠落を防止できる。また、映像配信システムに許可なく監視装置が接続された場合には、その監視装置には優先順位が設定されため、映像フレームデータの配信は行われないので不適切な映像フレームデータの配信を防止し、また配信負荷による映像フレームデータの欠落を防止できる。
以上のように、本発明の映像配信システムによれば、映像受信装置から配信レートが要求された場合でも、映像配信システムの処理能力に適した映像フレームデータを配信することができるので、映像フレームデータの配信における欠落を防止できる。また、映像配信システムに許可なく監視装置が接続された場合でも、その監視装置には優先順位が設定されないため、映像フレームデータの配信は行われないので不適切な映像フレームデータの配信を防止できる。更に、要求される配信レートが制限されているときには、配信レートが制限中であることを映像受信装置に送信することで、映像受信装置は配信レートが制限中であることをオペレータに通知することができる。
【0042】
以上、具体的な実施の形態により本発明を説明したが、上記実施の形態は本発明の例示であり、この実施の形態に限定されないことは言うまでもない。
【0043】
以上の実施態様の特徴をまとめると次のようになる。
(1) 本発明の映像配信システムは、監視カメラ装置と映像受信装置が接続されている映像配信システムであって、前記監視カメラ装置に要求配信レートを送信する前記映像受信装置の要求配信レート送信手段と、前記要求配信レートを受信する前記監視カメラ装置の要求配信レート受信手段と、前記映像受信装置に優先順位を設定する前記監視カメラ装置の優先順位設定手段と、前記要求配信レート、前記優先順位、及び前記映像配信システムの処理能力に基づいて配信レートを決定する前記監視カメラ装置の配信レート決定手段と、前記要求配信レートと前記配信レートが異なるときに前記映像受信装置に配信制限通知を送信する前記監視カメラ装置の配信制限通知送信手段と、前記配信制限通知を受信する前記映像受信装置の配信制限通知受信手段と、を備えることを特徴としている。
(2)(1)の映像配信システムは、前記映像受信装置に表示部を備え、前記監視カメラ装置から送信された映像フレームデータの映像を前記表示部に表示するときに、前記映像受信装置は前記配信制限通知を前記表示部に出力させることを特徴としている。
(3)(1)の映像配信システムは、前記映像受信装置に表示部と音声出力部を備え、前記監視カメラ装置から送信された映像フレームデータの映像を前記表示部に表示するときに、前記映像受信装置は前記配信制限通知を前記音声出力部に出力することを特徴としている。
(4)(1)の映像配信システムは、前記映像受信装置に表示部と配信制限通知釦を備え、前記監視カメラ装置から送信された映像フレームデータの映像を前記表示部に表示するときに、前記映像受信装置は前記配信制限通知を前記配信制限通知釦に出力することを特徴としている。
(5)(1)から(4)のいずれかの映像配信システムは、前記映像受信装置が、監視装置であることを特徴としている。
(6)(1)から(4)のいずれかの映像配信システムは、前記映像受信装置が、録画装置であることを特徴としている。
(7)本発明の映像配信システムの映像フレームデータ配信方法は、監視カメラ装置と映像受信装置が接続されている映像配信システムの映像フレームデータ配信方法であって、前記監視カメラ装置に要求配信レートを送信する前記映像受信装置の要求配信レート送信工程と、前記要求配信レートを受信する前記監視カメラ装置の要求配信レート受信工程と、前記映像受信装置に優先順位を設定する前記監視カメラ装置の優先順位設定工程と、前記要求配信レート、前記優先順位、及び前記映像配信システムの処理能力に基づいて配信レートを決定する前記監視カメラ装置の配信レート決定工程と、前記要求配信レートと前記配信レートが異なるときに前記映像受信装置に配信制限通知を送信する前記監視カメラ装置の配信制限通知送信工程と、前記配信制限通知を受信する前記映像受信装置の配信制限通知受信工程と、を備えることを特徴としている。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、映像配信システムに好適であるが、映像配信システムに限られるものではなく、データを配信するシステム一般に適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
100・・・・・映像配信システム
110・・・・・監視カメラ装置
120・・・・・監視装置
121・・・・・映像フレームデータ
130・・・・・監視装置
131・・・・・映像フレームデータ
140・・・・・録画装置
141・・・・・映像フレームデータ
150・・・・・ネットワーク
200・・・・・映像配信システム
210・・・・・監視カメラ装置
211・・・・・レンズ部
212・・・・・カメラモジュール部
213・・・・・通信部
214・・・・・制御部
214a・・・・映像配信処理部
215・・・・・不揮発性メモリ
215a・・・・配信レート設定テーブル
216・・・・・入力部
220・・・・・監視装置
221・・・・・通信部
222・・・・・制御部
222a・・・・配信レート要求処理部
222b・・・・映像表示処理部
223・・・・・入力部
224・・・・・表示部
240・・・・・録画装置
241・・・・・通信部
242・・・・・制御部
242a・・・・配信レート要求処理部
243・・・・・入力部
244・・・・・表示部
245・・・・・映像フレームデータ保存エリア
250・・・・・ネットワーク
500・・・・・映像配信システム
510・・・・・監視カメラ装置
520・・・・・監視装置
521・・・・・映像フレームデータ
530・・・・・監視装置
531・・・・・映像フレームデータ
540・・・・・録画装置
541・・・・・映像フレームデータ
550・・・・・ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラ装置と映像受信装置が接続されている映像配信システムであって、
前記監視カメラ装置に要求配信レートを送信する前記映像受信装置の要求配信レート送信手段と、
前記要求配信レートを受信する前記監視カメラ装置の要求配信レート受信手段と、
前記映像受信装置に優先順位を設定する前記監視カメラ装置の優先順位設定手段と、
前記要求配信レート、前記優先順位、及び前記映像配信システムの処理能力に基づいて配信レートを決定する前記監視カメラ装置の配信レート決定手段と、
前記要求配信レートと前記配信レートが異なるときに前記映像受信装置に配信制限通知を送信する前記監視カメラ装置の配信制限通知送信手段と、
前記配信制限通知を受信する前記映像受信装置の配信制限通知受信手段と、
を備えることを特徴とする映像配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−70257(P2012−70257A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214070(P2010−214070)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】