説明

映像重畳方法、映像重畳装置およびプログラム

【課題】ユーザの身体動作の学習を支援する。
【解決手段】映像重畳装置1は、カメラ4−1,4−2を用いて映像を撮影する撮影手段50−1,50−2,52と、撮影映像を撮影時刻情報と共に記録し、撮影時に映像が表示されていた場合には、この映像の識別情報および撮影時刻情報を、撮影映像とその撮影時刻情報と共に記録する映像情報記録・再生部53と、撮影映像と映像情報記録・再生部53から出力された再生映像とを合成する際に、撮影映像に他の映像の情報が付随している場合には、撮影映像と共に記録されている識別情報および撮影時刻情報に基づき撮影映像と再生映像とを合成する映像情報比較合成部54と、撮影映像または合成された映像を液晶ディスプレイ3に表示させる映像情報出力部55とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラで撮影した撮影映像と他の映像とを重ねて表示する技術に係り、特に人の身体動作の学習の支援や作業の支援に好適な映像重畳方法、映像重畳装置および映像重畳プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
2地点間の映像を重ねて、あたかも同時に存在するように見せるシステムがある(非特許文献1、非特許文献2参照)。これらのシステムでは、ユーザの前に鏡を置き、その鏡に実際に映るユーザの鏡像と、遠隔地等に居る別のユーザの前の鏡に映る世界とを重ね合わせて表示する。したがって、ユーザの前の鏡に映る世界では、ユーザ本人と遠隔地の別のユーザの鏡像があたかも同じ場所に居るように見ることができる。
【0003】
【非特許文献1】Hosoya,Kitabata,Sato,Harada,Nojima,Morisawa,Mutoh,Onozawa,“A Mirror Metaphor Interaction System:Touching Remote Real Objects in an Augmented Reality Environment”,ISMAR'03,p.350-351,2003
【非特許文献2】Morikawa,Maesako,“Hyper Mirror:Toward Pleasant-to-use Video Mediated Communication System”,ACM CSCW'98,p.149-158,1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1、非特許文献2に開示された鏡像を使ったシステムの場合、遠隔地のユーザと録画したユーザとを重ね合わせることが可能であるものの、鏡に映った人は全て鏡像となるため、例えばユーザが右手を上げると鏡の中の人は左手を上げることとなる。このようなシステムを、動作学習の練習、例えばゴルフや舞踊などの練習に使用した場合、左右の関係が逆になってしまうために学習の理解を妨げることとなる。
【0005】
具体的には、ゴルフや舞踊を習いたい学習者本人だけでなく、練習等で録画した映像や遠隔地に居る人の映像も全て鏡像となるため、右利きの指導者の録画映像はシステム上では左利きに表示されてしまうこととなり、結果として学習者の直感的な理解を妨げる要因となる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ユーザの身体動作の学習を支援することができる映像重畳方法、映像重畳装置および映像重畳プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、映像重畳装置を用いて撮影映像と他の映像とを重ねて表示する映像重畳方法であって、撮影手段がカメラを用いて、表示手段の画面と対向する方向から撮影映像を撮影する映像撮影ステップと、映像情報記録・再生手段が、前記撮影映像を撮影時刻情報と共に記録し、前記撮影時に前記表示手段に映像が表示されていた場合には、この映像の識別情報および撮影時刻情報を、前記撮影映像とその撮影時刻情報と共に記録する映像記録ステップと、映像情報比較合成手段が、前記撮影映像と前記映像情報記録・再生手段から出力された再生映像とを合成する際に、前記撮影映像に他の映像の情報が付随している場合には、この撮影映像と共に記録されている識別情報および撮影時刻情報に基づき前記撮影映像と前記再生映像とを合成する映像合成ステップと、映像情報出力手段が、前記撮影映像または前記映像合成ステップで合成された映像を前記表示手段に表示させる表示ステップとを備えることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の映像重畳方法の1構成例において、前記表示手段は、液晶ディスプレイであり、前記カメラは、前記液晶ディスプレイの偏光と直交する偏光フィルタを有し、前記映像撮影ステップは、前記液晶ディスプレイと前記カメラとの間にある物体のみを撮影することを特徴とするものである。
また、本発明の映像重畳方法の1構成例において、前記映像合成ステップは、前記撮影映像に他の映像の情報が付随している場合には、この撮影映像と共に記録されている識別情報および撮影時刻情報に基づいて前記他の映像を前記映像情報記録・再生手段から取得するステップと、この取得した映像と前記撮影映像とを比較し、前記撮影映像内に含まれる前記他の映像の領域を特定するステップと、この特定した領域を前記撮影映像から削除するステップと、前記削除後の撮影映像と前記映像情報記録・再生手段から出力された再生映像とを合成するステップとを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の映像重畳方法の1構成例は、さらに、前記表示手段と前記カメラとの間にいるユーザの位置を測定する位置測定ステップを備え、前記映像撮影ステップは、前記位置測定ステップで得られたユーザの位置情報に基づき、前記表示手段に映るユーザの大きさが所定の大きさになるように前記撮影映像を補正するステップを含むことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の映像重畳方法の1構成例は、さらに、前記表示手段と前記カメラとの間にいるユーザの位置を測定する位置測定ステップを備え、前記カメラは、前記表示手段の画面と対向するように複数配置され、前記映像撮影ステップは、前記位置測定ステップで得られたユーザの位置情報に基づき、前記表示手段に映るユーザの大きさが所定の大きさになるように前記複数のカメラの中から適切なカメラの撮影映像を選択することを特徴とするものである。
また、本発明の映像重畳方法の1構成例は、さらに、他の映像重畳装置と通信を行う通信部が、前記他の映像重畳装置に対して映像を送受信する送受信ステップを備え、前記映像合成ステップは、前記他の映像重畳装置から送信された映像を受信した場合には、前記撮影映像と前記映像情報記録・再生手段から出力された再生映像と前記他の映像重畳装置から送信された映像とを合成することを特徴とするものである。
また、本発明の映像重畳方法の1構成例において、前記映像合成ステップは、ユーザから指定された映像を前記映像情報記録・再生手段に再生させて、この再生映像と前記撮影映像とを合成することを特徴とするものである。
また、本発明の映像重畳方法の1構成例において、前記映像合成ステップは、ユーザから指定された合成方法で前記再生映像と前記撮影映像とを合成することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の映像重畳装置は、映像を表示可能な表示手段と、カメラを用いて前記表示手段の画面と対向する方向から撮影映像を撮影する撮影手段と、前記撮影映像を撮影時刻情報と共に記録し、前記撮影時に前記表示手段に映像が表示されていた場合には、この映像の識別情報および撮影時刻情報を、前記撮影映像とその撮影時刻情報と共に記録する映像情報記録・再生手段と、前記撮影映像と前記映像情報記録・再生手段から出力された再生映像とを合成する際に、前記撮影映像に他の映像の情報が付随している場合には、この撮影映像と共に記録されている識別情報および撮影時刻情報に基づき前記撮影映像と前記再生映像とを合成する映像情報比較合成手段と、前記撮影映像または前記映像情報比較合成手段で合成された映像を前記表示手段に表示させる映像情報出力手段とを備えることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の映像重畳プログラムは、カメラを用いて表示手段の画面と対向する方向から撮影映像を撮影する映像撮影ステップと、前記撮影映像を撮影時刻情報と共に映像情報記録・再生手段に記録し、前記撮影時に前記表示手段に映像が表示されていた場合には、この映像の識別情報および撮影時刻情報を、前記撮影映像とその撮影時刻情報と共に記録する映像記録ステップと、前記撮影映像と前記映像情報記録・再生手段から出力された再生映像とを合成する際に、前記撮影映像に他の映像の情報が付随している場合には、この撮影映像と共に記録されている識別情報および撮影時刻情報に基づき前記撮影映像と前記再生映像とを合成する映像合成ステップと、前記撮影映像または前記映像合成ステップで合成された映像を前記表示手段に表示させる表示ステップとを、コンピュータに実行させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザは自分の背面の映像を見ることができるので、鏡では確認しづらかった後ろから見た自分の様子を容易に確認することができる。その結果、本発明では、ユーザの直感的な理解を支援することができる。また、本発明では、撮影映像と映像情報記録・再生手段から出力された再生映像とを合成する。これにより、本発明では、ユーザの動作を撮影した撮影映像を表示手段に表示すると共に、ユーザに対する指導者の指示を撮影した映像を撮影映像に重ねて表示することができ、ユーザの動作映像と共に指導者の指示映像をユーザに提示することができる。この結果、本発明では、ユーザの身体動作の学習を支援したり、作業を支援したりすることができる。
【0013】
また、本発明では、カメラに偏光フィルタを設けることにより、液晶ディスプレイとカメラとの間にある物体のみを撮影することができ、表示手段に表示されている表示映像と映像情報記録・再生手段から出力された再生映像の重複を避けることができる。
【0014】
また、本発明では、撮影映像に他の映像の情報が付随している場合には、この撮影映像と共に記録されている識別情報および撮影時刻情報に基づいて他の映像を映像情報記録・再生手段から取得し、この取得した映像と撮影映像とを比較し、撮影映像内に含まれる他の映像の領域を特定し、この特定した領域を撮影映像から削除することにより、表示手段に表示されている表示映像と映像情報記録・再生手段から出力された再生映像の重複を避けることができる。
【0015】
また、本発明では、表示手段とカメラとの間にいるユーザの位置を測定し、ユーザの位置情報に基づき、撮影映像を補正することにより、表示手段に映るユーザの大きさが所定の大きさになるように調整することができる。
【0016】
また、本発明では、表示手段とカメラとの間にいるユーザの位置を測定し、ユーザの位置情報に基づき、複数のカメラの中から適切なカメラの撮影映像を選択することにより、表示手段に映るユーザの大きさが所定の大きさになるように調整することができる。
【0017】
また、本発明では、他の映像重畳装置から送信された映像を受信した場合には、撮影映像と映像情報記録・再生手段から出力された再生映像と他の映像重畳装置から送信された映像とを合成する。これにより、本発明では、互いに異なる場所に設けられた映像重畳装置間で学習者の動作映像と共に指導者の指示映像を学習者に提示することが可能になる。また、指導者は、学習者に直接触れることなく指導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る映像重畳装置の構成を示すブロック図である。
映像重畳装置1は、ユーザ2の映像を表示可能な表示手段である1台以上の液晶ディスプレイ3と、液晶ディスプレイ3に対向して設けられた動画撮像手段である1台以上のカメラ4と、映像の収録機能や再生機能を備え、カメラ4で撮影されたユーザ2の背面映像と過去の映像や遠隔地の映像とを重ね合わせて液晶ディスプレイ3に表示させる映像処理装置5とを有する。
【0019】
映像処理装置5は、カメラ4で撮影されたユーザ2の背面映像を液晶ディスプレイ3に表示させる。これにより、ユーザ2の正面に、普通は見えないユーザ2の背中の状態を表示することができる。
ユーザ2とカメラ4との距離によって液晶ディスプレイ3に映るユーザ2の大きさは変わる。そこで、映像処理装置5は、カメラ4によって撮影された映像情報かセンサ等からの情報を用いてユーザ2の位置を測定または推定し、ユーザ2の背面映像が等身大で液晶ディスプレイ3に表示されるように映像情報を補正する。あるいは、映像処理装置5は、ユーザ2の位置に応じて複数のカメラ4の中から適切なカメラ4を選択し、ユーザ2の背面映像が等身大で液晶ディスプレイ3に表示されるようにする。
【0020】
このように、大きな液晶ディスプレイ3を使うことにより、等身大でユーザ2の全身が映ると鏡のように用いることが可能であるが、液晶ディスプレイ3のサイズは任意でよい。映像処理装置5は、ユーザ2を等身大で表示する、ユーザ2の上半身だけを表示する、ユーザ2の足元だけを表示する、等の選択表示をユーザ2からの指示に応じて自由にできる。
【0021】
また、映像処理装置5は、カメラ4で撮影されたユーザ2の背面映像と、遠隔地の映像や過去の映像とを重ね合わせて液晶ディスプレイ3に表示させることができる。これにより、例えばゴルフレッスン等の場合、遠隔地の指導者が実際に練習を受けに来たユーザ2に触れることなくリアルタイムで指導することが可能になる。また、指導者は、過去に練習を受けに来たユーザ2に対して後日指導することも可能になる。
【0022】
2台の映像重畳装置をネットワークを介して接続する場合の構成を図2に示す。地点Aに設置された映像重畳装置1−Aは、例えばゴルフの練習を受けに来たユーザ2−Aが利用する装置である。地点Aから離れた地点Bに設置された映像重畳装置1−Bは、例えばプロゴルファー等の指導者であるユーザ2−Bが利用する装置である。映像重畳装置1−Aと1−Bは、ネットワーク6を介して接続されている。
【0023】
地点Aの映像処理装置5−Aは、カメラ4−Aで撮影されたユーザ2−Aの背面映像と、地点Bのカメラ4−Bで撮影され映像処理装置5−Bからネットワーク6を介して送信されたユーザ2−Bの背面映像とを重ね合わせて液晶ディスプレイ3−Aに表示させることができる。
【0024】
一方、地点Bの映像処理装置5−Bは、カメラ4−Bで撮影されたユーザ2−Bの背面映像と、地点Aのカメラ4−Aで撮影され映像処理装置5−Aからネットワーク6を介して送信されたユーザ2−Aの背面映像とを重ね合わせて液晶ディスプレイ3−Bに表示させる。液晶ディスプレイ3−B、カメラ4−Bは、地点Aの液晶ディスプレイ3−A、カメラ4−Aと同じものでもよいし、同等の機能を有する別の装置でもよい。カメラ4−A,4−Bは、動画撮影が可能なものであればよい。また、液晶ディスプレイ3−Bは、液晶ディスプレイ3−Aより大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0025】
映像処理装置5−A,5−Bは、それぞれカメラ4−A,4−Bで撮影された映像を録画可能である。例えば映像処理装置5−Bは、例えば地点Aにおいて過去に録画された映像を映像処理装置5−Aから受け取り、この過去に録画された映像とカメラ4−Bで撮影された現在の映像とを重ね合わせて液晶ディスプレイ3−Bに表示させることが可能である。つまり、地点Bのユーザ2−Bは、ユーザ2−Aの過去の練習の様子を見ながら、その練習に対して指導することが可能になる。
【0026】
また、映像処理装置5−Bは、このユーザ2−Bによる指導の様子をカメラ4−Bで撮影し、録画することが可能である。映像処理装置5−Aは、この録画された映像を映像処理装置5−Bから受け取って液晶ディスプレイ3−Aに表示させることができる。これにより、ユーザ2−Aは、自分の過去の練習に対してユーザ2−Bが指導している様子を見ることができる。
【0027】
カメラ4−A,4−Bの撮影状態(モード)としては、液晶ディスプレイ3−A,3−Bから少し離れたユーザ2−A,2−Bを撮影する場合と、液晶ディスプレイ3−A,3−Bの直前にいるユーザ2−A,2−Bを撮影する場合の2種類が考えられる。例えば、ユーザ2−Bがゴルフレッスンの指導者である場合、ユーザ2−Bは、液晶ディスプレイ3−Bに映ったユーザ2−Aの映像に対して指導するため、液晶ディスプレイ3−Bの直前に立つと考えられる。この2種類の撮影状態では、カメラ4−A,4−Bからユーザ2−A,2−Bまでの距離が異なり、かつ画面内のユーザの大きさも異なるので、調整が必要になる。
【0028】
従来のビデオカメラでは、ビデオカメラから被写体までの距離が遠くなると、被写体の大きさが小さくなる。これに対して、本実施の形態の映像処理装置5−A,5−Bは、それぞれカメラ4−A,4−Bで撮影された映像を拡大または縮小して大きさを補正し、液晶ディスプレイ3−A,3−Bに映るユーザ2−A,2−Bの大きさが所定の大きさ(例えば等身大)になるように補正することが可能である。これにより、カメラ4−A,4−Bからユーザ2−A,2−Bまでの距離が近いときと同じ大きさでユーザ2−A,2−Bの映像を液晶ディスプレイ3−A,3−Bに表示することが可能になる。
【0029】
映像の補正方法としては、映像処理装置5−A,5−Bがカメラ4−A,4−Bで撮影された映像を解析することによって、ユーザ2−A,2−Bの位置を推定し、この推定した位置に応じてカメラ4−A,4−Bで撮影された映像を補正すればよい。また、距離センサ等によってセンサからユーザ2−A,2−Bまでの距離を測定してもよい。また、床に圧力センサを設置し、映像処理装置5−A,5−Bが圧力センサの検出結果に基づいてユーザ2−A,2−Bの位置を推定してもよい。
【0030】
上記のように映像の拡大または縮小による補正も可能であるが、映像処理装置5−A,5−Bがカメラ4−A,4−Bのズーム機能を用いて、液晶ディスプレイ3−A,3−Bに映るユーザ2−A,2−Bの大きさが所定の大きさ(例えば等身大)になるように補正してもよい。
【0031】
また、映像の大きさの補正方法として、1つの地点にユーザ2までの距離が異なる複数台のカメラ4を用意し、上記の方法によってユーザ2の位置を測定または推定し、このユーザ2の位置に応じて複数台のカメラ4の中から最適なカメラ4を選択して、この選択したカメラ4で撮影される映像を用いるようにしてもよい。
【0032】
以上のように、本実施の形態によれば、ユーザ2は自分の背面の映像を見ることができるので、鏡では確認しづらかった後ろから見た自分の様子を容易に確認することができる。その結果、本実施の形態では、ユーザ2の直感的な理解を支援することができる。
【0033】
なお、本実施の形態では、地点Aと地点Bの2地点間をネットワークで接続する例について説明しているが、これに限るものではなく、3地点以上を接続することも可能である。この場合、地点Aや地点Bと同じように地点Cには映像重畳装置1−Cがあって、地点Cのユーザ2−Cは地点Aや地点Bと同様に映像重畳装置1−Cを利用することが可能である。
【0034】
また、例えば地点Aの映像処理装置5−Aは、カメラ4−Aで撮影されたユーザ2−Aの映像に対して、地点Bで撮影された映像だけでなく、地点Cで撮影された映像も重ね合わせることが可能である。地点Bや地点Cにおいても同様に映像を重ね合わせることができる。
【0035】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態をより具体的に説明するものである。図3は本発明の第2の実施の形態に係る映像重畳装置の構成を示すブロック図である。
第1の実施の形態と同様に、映像重畳装置1は、液晶ディスプレイ3と、カメラ4−1,4−2と、映像処理装置5と、ユーザ2の位置を測定するためのセンサ7とを有する。ここでは、ユーザ2までの距離が異なる2台のカメラ4−1,4−2が設置されているものとする。
【0036】
映像処理装置5は、カメラ4−1,4−2で撮影された映像を取り込むカメラ映像取込部50−1,50−2と、センサ7の検出結果に基づいてユーザ2の位置を測定または推定する位置測定部51と、カメラ4−1で撮影された映像またはカメラ4−2で撮影された映像のいずれかを選択し、必要に応じて映像を補正するカメラ映像出力部52と、映像を記録または再生する映像情報記録・再生部53と、カメラ映像出力部52から出力された撮影映像と映像情報記録・再生部53から出力された再生映像とを合成する映像情報比較合成部54と、映像情報比較合成部54から出力された映像を液晶ディスプレイ3に表示させる映像情報出力部55と、遠隔地に設置された他の映像処理装置と通信を行うための通信部56と、ユーザ2からの指示を受け付ける操作入力部57とから構成される。カメラ映像取込部50−1,50−2とカメラ映像出力部52とは、撮影手段を構成している。
【0037】
次に、本実施の形態の映像重畳装置1の動作を説明する。図4は映像重畳装置1の動作を示すフローチャートである。
最初に、映像処理装置5のカメラ映像取込部50−1,50−2は、それぞれカメラ4−1,4−2で撮影された映像を取り込む(図4ステップS1)。このとき、カメラ映像取込部50−1,50−2は、カメラ4−1,4−2から映像を取り込む際に、映像を受信した時刻を撮影時刻として、この撮影時刻の情報をカメラ4−1,4−2から取り込んだ映像に付与する。
【0038】
カメラ4−1は、液晶ディスプレイ3の直前にユーザ2が立った場合の撮影用で、ユーザが液晶ディスプレイ3の直前に立っていることを前提としてピントや撮影倍率などが最適になるようにあらかじめ調整されている。カメラ4−2は、液晶ディスプレイ3から少し離れた床上の所定位置にユーザ2が立った場合の撮影用で、ユーザが所定位置に立っていることを前提としてピントや撮影倍率などが最適になるようにあらかじめ調整されている。
【0039】
ここで、撮影倍率が最適になるとは、液晶ディスプレイ3に映るユーザ2の映像が所定の大きさ(例えば等身大)になることを言う。カメラ4−1,4−2はいずれも液晶ディスプレイ3を映す形で設置されているので、液晶ディスプレイ3の前にユーザ2が液晶ディスプレイ3を向いて立つと、ユーザ2の背面がカメラ4−1,4−2によって撮影される。
【0040】
続いて、映像処理装置5の位置測定部51は、センサ7の検出結果に基づいてユーザ2の位置を測定または推定する(図4ステップS2)。例えばセンサ7が床上の前記所定位置に設置された圧力センサである場合、ユーザ2がセンサ7の上に載ると、センサ7からの情報が位置測定部51に送られ、ユーザ2が上に載ったことが分かる。位置測定部51は、センサ情報を受信した場合、ユーザ2が所定位置に立っていると推定する。また、位置測定部51は、センサ情報を受信できない場合、ユーザ2が液晶ディスプレイ3の直前に立っていると推定する。
【0041】
また、センサ7が距離センサである場合には、センサ7からユーザ2までの距離が測定できるので、位置測定部51は、測定された距離に基づいてユーザ2の位置を推定する。また、位置測定部51は、カメラ4−1,4−2で撮影された映像を解析することによって、ユーザ2の位置を推定するようにしてもよい。
【0042】
次に、映像処理装置5のカメラ映像出力部52は、位置測定部51の測定結果に応じてカメラ4−1,4−2のうち適切なカメラの映像を選択する(図4ステップS3)。すなわち、カメラ映像出力部52は、ユーザ2が液晶ディスプレイ3の直前に立っている場合、カメラ4−1で撮影された映像を選択して映像情報記録・再生部53に送ると共に映像情報比較合成部54に送る。また、カメラ映像出力部52は、ユーザ2が所定位置に立っている場合、カメラ4−2で撮影された映像を選択して映像情報記録・再生部53に送ると共に映像情報比較合成部54に送る。
【0043】
また、カメラ映像出力部52は、センサ7として距離センサを用いる場合もしくは位置測定部51が映像解析によってユーザ2の位置を推定する場合には、位置測定部51が推定したユーザ2の位置に基づいて、カメラ4−1または4−2のいずれかの映像を選択し、この映像を液晶ディスプレイ3に映るユーザ2の映像が所定の大きさ(例えば等身大)になるように補正してもよい(ステップS3)。
【0044】
次に、映像処理装置5の映像情報記録・再生部53は、カメラ映像出力部52から出力された撮影映像を蓄積する(図4ステップS4)。図5は映像情報記録・再生部53の動作を示すフローチャートである。映像情報記録・再生部53は、液晶ディスプレイ3に映像が表示されているかどうかに基づいて、カメラ映像出力部52から出力された撮影映像にどのような付随情報を関連付けるかを決めて、映像を蓄積する。
【0045】
まず、映像情報記録・再生部53は、カメラ映像出力部52から新たな撮影映像を受信すると、自身が事前に蓄積していた映像が撮影映像の撮影時に液晶ディスプレイ3に表示されていたかどうかを確認する(図5ステップS40)。撮影時に映像情報記録・再生部53が映像を再生していたかどうかは、撮影映像の撮影時刻を調べることで確認することができる。なお、映像情報記録・再生部53は、蓄積している映像の再生および再生映像の選択を、操作入力部57を介したユーザ2からの指示に応じて行う。
【0046】
映像情報記録・再生部53は、撮影時に液晶ディスプレイ3に映像が表示されていなかった場合には、カメラ映像出力部52から受信した撮影映像に付随情報として撮影時の時間情報(タイムスタンプ)を付与して、この付随情報を付与した撮影映像を蓄積する(図5ステップS41)。撮影映像に付与する時間情報としては、撮影時刻、または撮影開始時刻を基準とした撮影経過時間がある。
【0047】
また、映像情報記録・再生部53は、撮影時に液晶ディスプレイ3に映像が表示されていた場合には、撮影時に表示されていた表示映像の識別情報(映像名やID)と、この表示映像に付与されている時間情報とを自身の蓄積内容の中から取得する(図5ステップS42)。撮影映像の場合と同様に、表示映像に付与されている時間情報としては、撮影時刻、または撮影開始時刻を基準とした撮影経過時間がある。
【0048】
そして、映像情報記録・再生部53は、カメラ映像出力部52から受信した撮影映像に付随情報として、この撮影映像の撮影時の時間情報と表示映像の識別情報と表示映像の撮影時の時間情報とを付与して、この付随情報を付与した撮影映像を蓄積する(図5ステップS43)。以上で、映像情報記録・再生部53の処理が終了する。
【0049】
次に、映像処理装置5の映像情報比較合成部54は、カメラ映像出力部52から出力された撮影映像と映像情報記録・再生部53から出力された再生映像とを合成する(図4ステップS5)。映像情報比較合成部54における映像合成方法について詳細に説明する。映像情報比較合成部54における処理は、カメラ4−1,4−2が撮影する映像に応じて以下のように行う。
【0050】
まず、カメラ4−1,4−2が液晶ディスプレイ3の偏光と直交する偏光フィルタを備えている場合、カメラ4−1,4−2は、液晶ディスプレイ3に表示されている表示映像が映らない撮影映像を取得可能であり、液晶ディスプレイ3とカメラ4−1,4−2との間にある物体のみを撮影可能である。この場合、映像情報比較合成部54は、映像情報記録・再生部53から出力された再生映像の全領域のうち、ステップS3で選択されたカメラ4−1または4−2ごとに設定されている表示領域に撮影映像を埋め込むようにして、再生映像と撮影映像とを合成する(ステップS5)。
【0051】
一方、映像情報比較合成部54は、撮影映像に表示映像が映り込む場合には図6(A)〜図6(D)に示すような処理を行う。カメラ映像出力部52から図6(A)に示すような撮影映像60を取得すると、映像情報比較合成部54は、この撮影映像60の撮影時に映像情報記録・再生部53が再生していた図6(B)に示すような再生映像61を映像情報記録・再生部53から取得し、図6(A)の撮影映像60と図6(B)の再生映像61とを比較する。
【0052】
上記のとおり、撮影映像60には、映像情報記録・再生部53に蓄積される際に付随情報が付与され、この付随情報の中に撮影映像60に関連する映像の識別情報と時間情報が含まれている。したがって、映像情報記録・再生部53に蓄積されている当該撮影映像の付随情報を参照することで、撮影映像60の撮影時に映像情報記録・再生部53が再生していた再生映像61を取得することができる。
【0053】
映像情報比較合成部54は、映像を比較した結果、撮影映像60内に含まれる再生映像61の領域を特定する。図6(C)における62が再生映像の領域である。そして、映像情報比較合成部54は、この特定した領域62を撮影映像61から削除し、図6(D)のような削除後の撮影映像63を作成して保存する。その後、映像情報比較合成部54は、この作成した撮影映像63と映像情報記録・再生部53から出力された再生映像61とを合成する。なお、以上のように撮影映像から再生映像の領域を削除する理由は、撮影映像と再生映像を合成する際に、再生映像が重複することを回避するためである。
【0054】
次に、撮影映像と再生映像の合成処理を図7のフローチャートを用いて説明する。なお、以下で合成の対象となる撮影映像とは、上記のようにカメラ4−1,4−2が偏光フィルタを備えている場合であれば、カメラ映像出力部52から出力された撮影映像そのものであり、撮影映像に表示映像が映り込んでいる場合であれば、図6(A)〜図6(D)で説明した処理により再生映像の領域が削除された後の撮影映像である。
【0055】
まず、映像情報比較合成部54は、撮影映像に関連付けられた他の映像があるか無いかを確認する(図7ステップS50)。上記のとおり、撮影映像には、映像情報記録・再生部53に蓄積される際に付随情報が付与され、この付随情報の中に当該撮影映像に関連する映像の識別情報と時間情報が含まれている。したがって、映像情報記録・再生部53に蓄積されている当該撮影映像の付随情報を調べることで、撮影映像に関連付けられた他の映像があるか無いかを確認することができる。
【0056】
映像情報比較合成部54は、撮影映像の付随情報を確認した結果、この撮影映像に関連付けられた映像が無いと判断した場合、すなわち撮影映像と合成すべき再生映像がないと判断した場合、撮影映像をそのまま映像情報出力部55に出力して(図7ステップS51)、合成を終了する。
【0057】
一方、映像情報比較合成部54は、撮影映像の付随情報を確認した結果、この撮影映像に関連付けられた映像がある場合には、この撮影映像の付随情報に含まれる識別情報と時間情報に基づいて、撮影映像に関連付けられた映像を再生映像として映像情報記録・再生部53から読み出す(図7ステップS52)。さらに、映像情報比較合成部54は、ステップS52で読み出した再生映像に関連付けられた他の映像があるか無いかを確認する(図7ステップS53)。ステップS50と同様に、この確認はステップS52で読み出した再生映像の付随情報を調べることで行うことができる。
【0058】
映像情報比較合成部54は、ステップS52で読み出した再生映像の付随情報を確認した結果、この再生映像に関連付けられた映像が無いと判断した場合は、ステップS54に進む。また、映像情報比較合成部54は、ステップS52で読み出した再生映像に関連付けられた映像がある場合には、この再生映像の付随情報に含まれる識別情報と時間情報に基づいて、再生映像に関連付けられた映像も再生映像として映像情報記録・再生部53から読み出す(図7ステップS52)。こうして、ステップS52,S53の処理を繰り返すことにより、撮影映像に直接的もしくは間接的に関連付けられた全ての映像を取得する。
【0059】
映像情報比較合成部54は、撮影映像に関連付けられた全ての映像を再生映像として映像情報記録・再生部53から読み出した後に、これらの再生映像と撮影映像とを合成し(図7ステップS54)、合成映像を映像情報出力部55と映像情報記録・再生部53に出力する(ステップS55)。
【0060】
図8(A)〜図8(H)はステップS54の合成処理を説明するための図である。80は撮影映像、81は撮影映像80に関連付けられた再生映像、82は再生映像81に関連付けられた再生映像、83は再生映像82に関連付けられた再生映像である。
【0061】
撮影映像と再生映像の合成方法としてはいくつかの方法が考えられる。第1の合成方法は、過去の映像にそのまま映像を重ねていく方法である。この場合には、図8(E)の「透過なし」に示すように、過去の映像の上に新しい映像を重ねることにより、映像を合成する。図8(A)〜図8(D)の例では、撮影映像80、再生映像81、再生映像82、再生映像83の順に新しくなる。したがって、合成映像は、図8(E)に示すように、再生映像83の上に再生映像82が重なり、再生映像82の上に再生映像81が重なり、再生映像81の上に撮影映像80が重なった映像84となる。
【0062】
第2の合成方法は、全ての映像を透過するように設定を行い、重ね合わせる方法である。この場合には、合成映像は、図8(F)の「透過あり」に示すように、すべての映像80〜83がそれぞれの透過率に合わせて重なった映像85となる。
【0063】
また、合成処理に関しては、取得した再生映像のうち、どの映像を撮影映像と合成するかをユーザ2が予め設定することも可能である。その設定の種類としては、規定回数前までの再生映像を同時に合成するように設定したり、特定の回数の再生映像を合成するように設定したりするなど様々な設定が可能である。
【0064】
例えば図8(G)の例は、撮影映像から1回前の再生映像のみを合成するように予め設定されている例である。この場合の合成映像は、1回前の再生映像81に撮影映像80が重なった映像86となる。また、図8(H)の例は、撮影映像から3回前の再生映像のみを合成するように予め設定されている例である。この場合の合成映像は、3回前の再生映像83に撮影映像80が重なった映像87となる。
なお、前記第1の合成方法あるいは第2の合成方法も、ユーザ2からの指示に応じて選択可能であることは言うまでもない。
【0065】
映像情報比較合成部54で合成された映像は、映像情報出力部55と映像情報記録・再生部53に出力される。映像情報出力部55は、映像情報比較合成部54から出力された映像を液晶ディスプレイ3に表示させ、映像情報記録・再生部53は、映像情報比較合成部54から出力された映像を蓄積する(図4ステップS6)。
【0066】
ユーザ2は、映像情報記録・再生部53に対して、どの映像を再生するかといった指示や、映像情報比較合成部54から出力された合成映像を蓄積するかしないかといった指示を与えることができる。また、ユーザ2は、カメラ映像出力部52に指示を送って、カメラ映像取込部50−1,50−2からの出力に関係なく撮影映像を切り替えることが可能である。
以上のようにして、本実施の形態では、第1の実施の形態で説明したような効果を得ることができる。
【0067】
なお、本実施の形態では、1台の映像重畳装置を用いて説明したが、第1の実施の形態で説明したとおり、ネットワークを介して複数の地点の映像重畳装置を接続することが可能である。例えば地点Bの映像重畳装置1−Bの映像情報記録・再生部53は、ユーザ2−Bの指示に応じて撮影映像または事前に蓄積されている再生映像を通信部56からネットワークを介して地点Aの映像重畳装置1−Aに送信することができる。
【0068】
映像重畳装置1−Aの通信部56は、映像重畳装置1−Bから送信された映像を受信する。映像重畳装置1−Aの映像情報比較合成部54は、自装置のカメラ4−1または4−2で撮影された撮影映像と自装置の映像情報記録・再生部53から出力された再生映像と映像重畳装置1−Bから送信された映像とを合成する。
【0069】
このとき、映像重畳装置1−Aの映像情報比較合成部54は、通信部56を介して地点Bの映像情報記録・再生部53と情報のやり取りを行うことにより、映像重畳装置1−Bから送信された映像を自装置の映像情報記録・再生部53から出力された再生映像と同様に扱うことができ、自装置の撮影映像と自装置の映像情報記録・再生部53から出力された再生映像と映像重畳装置1−Bから送信された映像とを合成することができる。これにより、地点Aから離れた地点Bで地点Aのユーザ2−Aの動作学習を支援することができる。
【0070】
本実施の形態の応用例としては、例えば舞踊やゴルフ等の練習に映像重畳装置1を利用する例が考えられる。映像重畳装置1によれば、地点Bの指導者が地点Aのユーザ2−Aの映像上で手、肩、腰などの位置を示したり、模範演技を示したりできる。また、映像の録画も可能なので、地点Bの指導者は自分の好きな時間に地点Aで録画された映像を見て指導することができる。また、指導者が指導している映像も録画可能なので、地点Aのユーザ2−Aはその指導者の映像を後で見ることができる。
【0071】
本実施の形態では、地点Aのユーザ2−Aは自分の背面の映像を見ることができるので、鏡では確認しづらかった後ろから見た自分の様子を容易に確認することができる。また、指導者にとっては、生徒に直接触ることなく指示できるので、誤解を受けたりすることなく指導できるし、生徒も安心して指導を受けることができる。また、舞踊の型などの場合、ユーザは、遠隔地の指導者の動きと現在の自分の動きを重ねあわせて、動きを真似することができる。
【0072】
また、本実施の形態の別の応用例として、地点Bからユーザ2−Bが指示して地点Aのユーザ2−Aに作業させる例が考えられる。地点Aのユーザ2−Aの様子はカメラ4−1または4−2で撮影され、地点Bに送信される。専門知識のある地点Bのユーザ2−Bは、地点Bの液晶ディスプレイ3でユーザ2−Aの映像を見ながら例えば指差しをして作業を指示する。地点Aのユーザ2−Aは、地点Aの液晶ディスプレイ3でユーザ2−Bが重畳された映像を見ながら指示された作業を行う。この例では、遠隔地にいるユーザ2−Bの動作が地点Aの液晶ディスプレイ3に重ねて表示されるので、ユーザ2−Aはより的確に指示を受けることが可能となる。
【0073】
なお、第1の実施の形態および第2の実施の形態の映像重畳装置のうち、カメラと液晶ディスプレイとセンサを除く構成は、CPU、記憶装置および外部とのインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。
【0074】
このようなコンピュータにおいて、本発明の映像重畳方法を実現させるための映像重畳プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカードなどの記録媒体に記録された状態で提供され、コンピュータの記憶装置に格納される。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1の実施の形態および第2の実施の形態で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、カメラで撮影した撮影映像と他の映像とを重ねてディスプレイに表示することにより、人の身体動作の学習を支援したり、人の作業を支援したりする技術に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る映像重畳装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態において2台の映像重畳装置をネットワークを介して接続する場合の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る映像重畳装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る映像重畳装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る映像重畳装置における映像情報記録・再生部の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態において撮影映像に表示映像が映り込んでいる場合の撮影映像と再生映像の合成処理の前処理を説明するための図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る映像情報比較合成部による撮影映像と再生映像の合成処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る映像情報比較合成部による撮影映像と再生映像の合成処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0077】
1,1−A,1−B…映像重畳装置、2,2−A,2−B…ユーザ、3,3−A,3−B…液晶ディスプレイ、4,4−A,4−B,4−1,4−2…カメラ、5,5−A,5−B…映像処理装置、6…ネットワーク、7…センサ、50−1,50−2…カメラ映像取込部、51…位置測定部、52…カメラ映像出力部、53…映像情報記録・再生部、54…映像情報比較合成部、55…映像情報出力部、56…通信部、57…操作入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像重畳装置を用いて撮影映像と他の映像とを重ねて表示する映像重畳方法であって、
撮影手段がカメラを用いて、表示手段の画面と対向する方向から撮影映像を撮影する映像撮影ステップと、
映像情報記録・再生手段が、前記撮影映像を撮影時刻情報と共に記録し、前記撮影時に前記表示手段に映像が表示されていた場合には、この映像の識別情報および撮影時刻情報を、前記撮影映像とその撮影時刻情報と共に記録する映像記録ステップと、
映像情報比較合成手段が、前記撮影映像と前記映像情報記録・再生手段から出力された再生映像とを合成する際に、前記撮影映像に他の映像の情報が付随している場合には、この撮影映像と共に記録されている識別情報および撮影時刻情報に基づき前記撮影映像と前記再生映像とを合成する映像合成ステップと、
映像情報出力手段が、前記撮影映像または前記映像合成ステップで合成された映像を前記表示手段に表示させる表示ステップとを備えることを特徴とする映像重畳方法。
【請求項2】
請求項1に記載の映像重畳方法において、
前記表示手段は、液晶ディスプレイであり、
前記カメラは、前記液晶ディスプレイの偏光と直交する偏光フィルタを有し、
前記映像撮影ステップは、前記液晶ディスプレイと前記カメラとの間にある物体のみを撮影することを特徴とする映像重畳方法。
【請求項3】
請求項1に記載の映像重畳方法において、
前記映像合成ステップは、
前記撮影映像に他の映像の情報が付随している場合には、この撮影映像と共に記録されている識別情報および撮影時刻情報に基づいて前記他の映像を前記映像情報記録・再生手段から取得するステップと、
この取得した映像と前記撮影映像とを比較し、前記撮影映像内に含まれる前記他の映像の領域を特定するステップと、
この特定した領域を前記撮影映像から削除するステップと、
前記削除後の撮影映像と前記映像情報記録・再生手段から出力された再生映像とを合成するステップとを含むことを特徴とする映像重畳方法。
【請求項4】
請求項1に記載の映像重畳方法において、
さらに、前記表示手段と前記カメラとの間にいるユーザの位置を測定する位置測定ステップを備え、
前記映像撮影ステップは、前記位置測定ステップで得られたユーザの位置情報に基づき、前記表示手段に映るユーザの大きさが所定の大きさになるように前記撮影映像を補正するステップを含むことを特徴とする映像重畳方法。
【請求項5】
請求項1に記載の映像重畳方法において、
さらに、前記表示手段と前記カメラとの間にいるユーザの位置を測定する位置測定ステップを備え、
前記カメラは、前記表示手段の画面と対向するように複数配置され、
前記映像撮影ステップは、前記位置測定ステップで得られたユーザの位置情報に基づき、前記表示手段に映るユーザの大きさが所定の大きさになるように前記複数のカメラの中から適切なカメラの撮影映像を選択することを特徴とする映像重畳方法。
【請求項6】
請求項1に記載の映像重畳方法において、
さらに、他の映像重畳装置と通信を行う通信部が、前記他の映像重畳装置に対して映像を送受信する送受信ステップを備え、
前記映像合成ステップは、前記他の映像重畳装置から送信された映像を受信した場合には、前記撮影映像と前記映像情報記録・再生手段から出力された再生映像と前記他の映像重畳装置から送信された映像とを合成することを特徴とする映像重畳方法。
【請求項7】
請求項1に記載の映像重畳方法において、
前記映像合成ステップは、ユーザから指定された映像を前記映像情報記録・再生手段に再生させて、この再生映像と前記撮影映像とを合成することを特徴とする映像重畳方法。
【請求項8】
請求項1に記載の映像重畳方法において、
前記映像合成ステップは、ユーザから指定された合成方法で前記再生映像と前記撮影映像とを合成することを特徴とする映像重畳方法。
【請求項9】
映像を表示可能な表示手段と、
カメラを用いて前記表示手段の画面と対向する方向から撮影映像を撮影する撮影手段と、
前記撮影映像を撮影時刻情報と共に記録し、前記撮影時に前記表示手段に映像が表示されていた場合には、この映像の識別情報および撮影時刻情報を、前記撮影映像とその撮影時刻情報と共に記録する映像情報記録・再生手段と、
前記撮影映像と前記映像情報記録・再生手段から出力された再生映像とを合成する際に、前記撮影映像に他の映像の情報が付随している場合には、この撮影映像と共に記録されている識別情報および撮影時刻情報に基づき前記撮影映像と前記再生映像とを合成する映像情報比較合成手段と、
前記撮影映像または前記映像情報比較合成手段で合成された映像を前記表示手段に表示させる映像情報出力手段とを備えることを特徴とする映像重畳装置。
【請求項10】
カメラを用いて表示手段の画面と対向する方向から撮影映像を撮影する映像撮影ステップと、
前記撮影映像を撮影時刻情報と共に映像情報記録・再生手段に記録し、前記撮影時に前記表示手段に映像が表示されていた場合には、この映像の識別情報および撮影時刻情報を、前記撮影映像とその撮影時刻情報と共に記録する映像記録ステップと、
前記撮影映像と前記映像情報記録・再生手段から出力された再生映像とを合成する際に、前記撮影映像に他の映像の情報が付随している場合には、この撮影映像と共に記録されている識別情報および撮影時刻情報に基づき前記撮影映像と前記再生映像とを合成する映像合成ステップと、
前記撮影映像または前記映像合成ステップで合成された映像を前記表示手段に表示させる表示ステップとを、コンピュータに実行させることを特徴とする映像重畳プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−239439(P2009−239439A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80527(P2008−80527)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】