説明

映像音声記録装置

【課題】HDDなどの記憶装置に記録したコンテンツに対して重要度を評価し、評価結果に基づいて所定単位ごとにコンテンツを圧縮して再記録することを繰り返すことにより記憶装置の容量の有効活用を可能にする。
【解決手段】記憶装置に記録済みの所定の時間範囲のコンテンツについて、コンテンツの所定の時間範囲の時間軸と関連付けて重要度を決定する重要度決定手段22と、決定した重要度に応じて所定の時間範囲のコンテンツを圧縮して記録するコンテンツ圧縮手段21と、重要度決定手段22とコンテンツ圧縮手段21を動作させる圧縮開始タイミング信号を発生する圧縮処理開始決定手段30を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばハードディスクドライブ(以下HDDとする)にコンテンツであるデジタル映像音声信号を記録する映像音声記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
HDTV(High Definition TeleVision)品質のデジタル放送の普及に伴い、高画質でのデジタル記録に対する要求は高まりつつあり、HDTV品質でデジタル記録可能な録画再生装置も市場に現れるようになった。これらの録画再生装置に使用される記録媒体として、現在の主流はハードディスクであり、昨今のHDDの大容量化に伴い、HDTV品質での長時間録画が可能となってきた。しかし、いかに大容量のHDDであっても、大量のコンテンツが録画されていくと、いずれはHDDの空き容量が足りなくなり、記録ができなくなる。したがって、HDDの容量を効率よく利用することが重要となる。このような要求に対応する方法として、複数のコンテンツのうち、ファイル名が同じではなくても、内容が重複する場合には、一つのみを記録するという技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、重複するコンテンツは、一つだけを残して他の重複するコンテンツは消去し、消去したコンテンツが記録したどのコンテンツと同一であるかを記憶し、消去したコンテンツの再生が指示された場合には、記憶した情報を元に、記録されているコンテンツを再生するようにするという技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−342272号公報
【特許文献2】特開2007−266808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された技術の場合、同じ内容のコンテンツは削除され、HDD容量は効率的に運用可能となることが期待できるが、予約録画などを行った場合に、期待されるコンテンツが削除されてしまっており再生できないといった問題がある。また、特許文献2に記載された技術の場合、同じ内容のコンテンツは削除されるが、その記録を残すことで、削除されたコンテンツへの再生指示があった場合でも、同じ内容の記録されたコンテンツを再生することが可能であるとされているが、同じ内容であることを判断する手段があいまい、かつ、ほぼ同じであれば重複とみなすようになっており、同一内容ではないコンテンツが削除されてしまうおそれがある。
【0005】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、HDDなどの記憶装置に記録したコンテンツに対して重要度を評価し、評価結果に基づいて所定単位ごとにコンテンツを圧縮して再記録することを繰り返すことにより記憶装置の容量の有効活用を可能にする映像音声記録装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る映像音声記録装置は、コンテンツを記憶装置に記録する映像音声記録装置において、記憶装置に記録済みの所定の時間範囲のコンテンツについて、コンテンツの所定の時間範囲の時間軸と関連付けて重要度を決定する重要度決定手段と、決定された重要度に応じて前記所定の時間範囲のコンテンツを圧縮して記録するコンテンツ圧縮手段と、重要度決定手段とコンテンツ圧縮手段を動作させる圧縮開始タイミング信号を発生する圧縮処理開始決定手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、HDDなどの記憶装置に記録したコンテンツの所定単位毎に、コンテンツに対するユーザの保存志向を考慮した基準に従ってコンテンツの重要度を評価し、評価結果に基づいて所定単位毎にコンテンツを圧縮して再記録することを繰り返し実施するようにしているため、重要な部位のコンテンツの品質を保持しながら全てのコンテンツを記録したまま、記憶装置の容量の有効活用を行い、より多くのコンテンツの記録を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による映像音声記録装置の主要機能を示すブロック構成図である。
【図2】同実施の形態1に係るユーザ嗜好による重要度の算出方法の例を示す説明図である。
【図3】同実施の形態1に係るコンテンツのアクティビティによる重要度の算出方法の例を示す説明図である。
【図4】同実施の形態1に係る記録からの経過時間による重要度の算出方法の例を示す説明図である。
【図5】同実施の形態1に係るコンテンツの画像特徴量による重要度の算出方法の例を示す説明図である。
【図6】同実施の形態1に係る重要度テーブルの構成例を示す説明図である。
【図7】同実施の形態1に係る空間解像度(画像サイズ)の圧縮方法の例を示す説明図である。
【図8】同実施の形態1に係る時間解像度の圧縮方法の例を示す説明図である。
【図9】同実施の形態1に係る符号量制御による圧縮方法の例を示す説明図である。
【図10】同実施の形態1に係る符号化方式変換による圧縮方法の例を示す説明図である。
【図11】同実施の形態1に係るHDDの全残量により圧縮処理開始を決める方法を示す説明図である。
【図12】同実施の形態1に係るHDDの分割された領域の残量により圧縮処理開始を決める方法を示す説明図である。
【図13】同実施の形態1に係る、経過時間により圧縮処理開始を決める方法を実行する圧縮処理開始決定部の機能構成図である。
【図14】この発明の実施の形態2による映像音声記録装置の主要機能を示すブロック構成図である。
【図15】同実施の形態2に係る重要度テーブルの構成例を示す説明図である。
【図16】この発明の実施の形態3による映像音声記録装置の主要機能を示すブロック構成図である。
【図17】同実施の形態3に係る圧縮手段指定テーブルの構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による映像音声記録装置の主要機能を示すブロック構成図である。
民生用デジタル放送レコーダとして使用される場合、映像音声記録装置100にはTVチューナ1が接続される。TVチューナ1は、放送局から送られたトランスポートストリーム(TS)から録画する番組のTSパケットを分離し連続させたストリームにして映像音声記録装置100のエンコード部10に与える。エンコード部10では、入力されたTSパケットに対してHDに記録するための所定の変調等を行ったのち、そのデータをHDD20へ与えて記録する。
一方、映像音声記録装置100が業務用監視レコーダとして使用される場合、カメラ2が接続される。カメラ2から出力された映像信号はエンコード部10に与えられる。この場合、エンコード部10では、映像信号をA/D変換し、放送信号と同じ方式で符号化を行い、TSパケットと同じ映像データのストリームとし、上記と同じ変調等を行ったのち、HDD20へ記録する。なお、カメラ2がTSパケットと同じ映像データのストリームを出力するデジタルカメラである場合には、エンコード部10はそのストリームに直接所定の変調処理を行うことになる。
ここまでは、従来から行われている処理について説明したものである。また、HDD20からの再生処理については省略してある。
【0010】
この実施の形態1の場合、映像音声記録装置100は、従来の構成に加えてコンテンツ圧縮部21、重要度決定部22、圧縮処理開決定部30等を備えている。また、重要度決定部22は、重要度算出部23、重要度テーブル24、重要度出力部25を有している。これらの概略動作について、次に説明する。
HDD20に記録されたストリームが重要度決定部22の重要度算出部23に出力されると、重要度算出部23では、そのストリームからコンテンツに対するユーザの保存志向を表わすと考えられる重要度を時系列に算出する。算出された重要度データは重要度テーブル24に記録される。重要度テーブル24の重要度データは、重要度出力部25から、コンテンツ圧縮のために決定した重要度としてコンテンツ圧縮部21に出力される。コンテンツ圧縮部21には、HDD20に記録されているストリームと、重要度決定部22で決定された、このストリームに対応するコンテンツの重要度が入力されており、当該ストリームに対してコンテンツの重要度に応じた所定の圧縮処理を行う。圧縮されたストリームはHDD20に上書き記録される。
一方、圧縮処理開始決定部30では、HDD20の記憶容量を考慮して定期または不定期的に上記圧縮処理のタイミングを決める圧縮処理開始信号を生成する。この圧縮処理開始信号は、重要度決定部22、コンテンツ圧縮部21に入力され、一連のストリームの圧縮処理を実行するトリガとして用いられる。
【0011】
次に、重要度算出部23において使用する重要度算出方法の幾つかの例を説明する。
図2は、ユーザ嗜好による重要度の算出方法の例を示したものである。ここでは、図2(a)に示すように、予めコンテンツのジャンル毎の重要度を設定しておく。この場合の重要度は、ユーザが感じている嗜好に合わせて手動で決めてもよいし、実際の視聴履歴などからユーザの嗜好を自動判定して設定してもよい。デジタル放送では、コンテンツのジャンルはARIB(社団法人電波産業会)規格にて細かく分類されており、かつ、TSにはジャンルコードが多重されている。そこで、重要度算出部23では、HDD20から入力された所定範囲のストリームのコードからジャンルを識別する。ストリームに含まれるコンテンツのジャンルは図2(b)示されるようになる。次に、図2(b)のコンテンツに重要度を、図2(a)のジャンル毎の重要度の設定値に従って割り付けると、図2(c)に示すように所定範囲のストリームのコンテンツ毎に重要度が決まる。
【0012】
図3は、コンテンツのアクティビティによる重要度の算出方法の例を示したものである。この場合の重要度算出部23は、HDD20から入力された所定範囲のストリームのコンテンツについてアクティビティの算出を行う。一般的に、画像上で動きが大きい領域は、注目度が高いことが多い。この領域は動きベクトルの絶対値和や二乗和で表わすことができる。そこで、重要度算出部23は、所定範囲の映像ストリームに含まれる動きベクトルの評価値(絶対値和もしくは二乗和)求め、コンテンツのアクティビティ値とする。ストリームに含まれるアクティビティ値は、例えば図(3)(a)に示されるようになる。次に、重要度算出部23では、求めたアクティビティ値を予め決めた大小範囲に従って分けることで、図3(b)に示すように重要度が時系列に決まる。
また、高い周波数成分が多く含まれる箇所は、動きベクトル同様に、動きが大きい領域であるから、所定範囲に含まれる画像をFFT(Fast Fourier Transform)やDCT(Discrete Cosine Transform)等により周波数変換して得た最高周波成分の評価値(絶対値和もしくは二乗和)をコンテンツのアクティビティとして求めてもよい。さらにまた、音声信号のレベルが大きくなるところは映像上で変化が著しい場合が多いから、所定範囲に含まれる音声信号のパワーの評価値をコンテンツのアクティビティとして求めてもよい。
【0013】
図4は、コンテンツ記録時からの経過時間による重要度の算出方法の例を示したものである。重要度算出部23は、HDD20から入力された所定範囲のストリームのコンテンツについて記録されてからの経過時間に従って重要度を算出する。コンテンツは一般的に古くなるに従ってその価値は低くなると考えられるので、ここでは、この前提に立って重要度を算出していく。そのため、例えば図4(a)に示すように、予めコンテンツの記録からの経過時間と重要度の関係を設定しておく。この関係を用いて、図4(b)に示すような記録されているストリームについて、その経過時間に従ってコンテンツの重要度を決めると、図4(b)のようになる。
【0014】
図5は、コンテンツの画像特徴量による重要度の算出方法の例を示したものである。重要度算出部23は、HDD20から入力されたストリームのコンテンツの画像特徴量に基づいて重要度を決定する。ここでは、重要な映像を特徴付けるものとして、図5(a)に示すように、例えば色分布を画像特徴量として定義しておく。次に、入力された所定範囲のストリームのコンテンツから、図5(b)に示すような画像特徴量をそれぞれ求める。そして、求めた画像特徴量について図5(a)で定義された画像特徴量との類似度を算出し、算出された類似度の高さを図5(c)に示すような重要度として算出する。
【0015】
次に、重要度テーブル24について説明する。
この実施の形態1の重要度算出部23の場合、上記図2から図5で説明した重要度算出方法のいずれかを用いてコンテンツの重要度を算出するが、算出した重要度は図6に例示するような重要度テーブル24に構成される。この重要度テーブル24は、重要度算出部23で算出した所定範囲のコンテンツの重要度を時間軸と関連付けて構成したものである。重要度は0〜100の値域で表わされており、100が最大の重要度を示す。図6では、上記図2で説明した個人嗜好の重要度の算出例を示したもので、他の方法による重要度の場合も同様に構成される。重要度出力部25は、コンテンツ圧縮時にこの重要度テーブル24上の重要度を順次コンテンツ圧縮部21に出力する。
【0016】
次に、コンテンツ圧縮部21において使用する圧縮処理方法についての幾つかの例を説明する。
図7は、空間解像度(画像サイズ)の圧縮方法を示したものである。ここでは、HDD20から入力されるコンテンツの画像に対して、所定の時間範囲毎に、重要度決定部22で算出決定された重要度テーブル24上の重要度に従って空間解像度の圧縮を行う。この空間解像度の圧縮では、元のコンテンツの画像サイズは、重要度が大きい場合はほとんど変わらないが、重要度が小さくなるに従って、データ量が圧縮されて画像サイズは小さくなる。圧縮されたコンテンツはHDD20に戻されて記録される。なお、コンテンツ圧縮部21で圧縮されたコンテンツがHDD20に記録される場合、元のコンテンツは消去されることが望ましい。これは、以下の圧縮部の説明でも同様である。
【0017】
図8は、時間解像度(フレームレート)の圧縮方法を示したものである。ここでは、HDD20から入力されるコンテンツの画像に対して、所定の時間範囲毎に、重要度決定部22で算出決定された重要度テーブル24上の重要度に従って時間解像度の圧縮を行う。この時間解像度の圧縮では、重要度に応じてフレームを間引く。この間引く方法としては、単純に間引くだけでなく、時間方向でフィルタリングしてから間引いてもよい。
【0018】
図9は、符号量制御による圧縮方法を示したものである。ここでは、HDD20から入力されるコンテンツの画像に対して、所定の時間範囲毎に、重要度決定部22で算出決定された重要度テーブル24上の重要度に従ってデータ量をより小さくする方向の符号量制御を行いつつ、再符号化を行う。この符号量制御による圧縮では、元のビットレートを重要度に応じて変更し、変更したビットレートに従って再符号化(またはトランスコード)を実施して圧縮する。
【0019】
図10は、図9の符号量制御においてさらに符号化方式の変換を行う方法を示したものである。ここでは、HDD20から入力されるコンテンツの画像に対して、所定の時間範囲毎に、重要度決定部22で算出決定された重要度テーブル24上の重要度に従って再符号化する際の目標符号量を制御して符号化効率の優れた符号化方式を用いて、再符号化を行う。この符号化方式変換による圧縮では、元のビットレートを重要度に応じて変更し、変更したビットレートに従って、元の符号化方式(例、JPEG)より符号化効率の優れた符号化方式(例、H.264)により再符号化(またはトランスコード)を実施して圧縮する。なお、この例では、入力コンテンツはJPEG、変換後のコンテンツはH.264としているが、この符号化方式に限定されることなく、さまざまな組み合わせが可能である。
【0020】
次に、圧縮処理開始決定部30における圧縮処理開始のタイミングの決定方法の例について説明する。
図11は、HDDの全残量により圧縮処理開始を決める方法を示したものである。圧縮処理開始決定部30では、HDD20から出力されたHDDの残量RMを、予め設定された全HDD残量に対する閾値THと比較し、残量RMが閾値THを下回った際に、圧縮開始タイミング信号を発生する。この圧縮処理開始タイミング信号により、重要度決定部22、コンテンツ圧縮部21が動作し、HDD20から読み出した一連のストリームの圧縮処理を実行することで、HDDの空き容量を増やすことができる。
【0021】
図12は、HDDの分割された領域の残量により圧縮処理開始を決める方法を示したものである。圧縮処理開始決定部30では、HDD20から出力されたHDDの複数に分割された領域毎の残量RMa,RMbを、対応する予め設定された分割領域毎のHDDの残量の閾値RHa,RHbと比較し、いずれかの残量が対応する閾値を下回った場合に、圧縮開始タイミング信号を発生する。これにより、複数分割されているHDDの何れか一つが予め設定しておいた残量より少なくなった場合に、一連のストリームの圧縮処理を実行し、HDDの空き容量を増やすことができる。
【0022】
図13は、経過時間により圧縮処理開始を決める方法を実行する圧縮処理開始決定部30の機能構成例を示したものである。
クロック信号発生器31からクロック信号がコンパレータ301の一つの入力端子「+」に与えられている。コンパレータ301の出力は、圧縮開始タイミング信号となり、重要度決定部22、コンテンツ圧縮部21に与えられる。また、圧縮開始タイミング信号はメモリ302に与えられて、圧縮開始タイミング信号の出力時刻が記録される。加算器303には、メモリ302の出力と経過時刻の閾値304が与えられ、加算器303の出力はコンパレータ301の残りの入力端子「−」に与えられるようになっている。加算器303の出力は、メモリ302から出力される前回の圧縮処理を行った時刻と経過時刻の閾値とを加算した時刻である。コンパレータ301は、この加算時刻と現在の時刻を示すクロック信号と比較しており、クロック信号の現在の時刻が加算時刻より大きくなった場合に、次の圧縮開始タイミング信号を発生する。次の圧縮開始タイミング信号を受けることで、重要度決定部22とコンテンツ圧縮部21は再び動作し、一連のストリームの圧縮処理を実行する。この動作を繰り返すことにより、HDD20の記憶容量を考慮した圧縮処理の実行が可能となる。
【0023】
以上のように、この実施の形態1によれば、圧縮処理開始決定部30から、HDD20の記憶容量を考慮して定期または不定期的に圧縮開始タイミング信号を発生して重要度決定部22とコンテンツ圧縮部21を動作させ、重要度決定部22により、HDD20に記録済みの所定の時間範囲のコンテンツについて、コンテンツの重要度(コンテンツのジャンルに基づくユーザの個人嗜好の重要度、コンテンツのアクティビティによる重要度、画像特徴量との類似性に応じた重要度、あるいは記録からの経過時間に応じた重要度)を求めてコンテンツの所定の時間範囲の時間軸と関連付けて決定し、コンテンツ圧縮部21において、この決定された重要度に応じてコンテンツを所定の方法(空間解像度圧縮方法、時間解像度圧縮方法、あるいは符号化方式変換による圧縮方法)を用いてコンテンツを圧縮して記録するようにしている。したがって、HDD20に記録したコンテンツの所定単位毎に、コンテンツに対するユーザの保存志向を考慮した基準に従ってコンテンツの重要度を評価し、評価結果に基づいて所定単位毎にコンテンツを圧縮して再記録することを繰り返し実施するようにしているため、重要な部位のコンテンツの品質を保持しながら全てのコンテンツを記録したまま、HDD容量の有効活用を行い、より多くのコンテンツの記録を可能にする。
【0024】
実施の形態2.
図14は、この発明の実施の形態2による映像音声記録装置の主要機能を示すブロック構成図である。図において、図1に相当する部分には同一符号を付し、その説明は原則として省略する。この実施の形態2では、重要度決定部22が、複数の重要度算出部23A,23B,23C,23D、重要度合成部26を備えている。
ここで、複数の重要度算出部23A,23B,23C,23Dは、図2で説明した個人嗜好の重要度算出方法、図3で説明したアクティビティの重要度算出方法、図4で説明した経過時間の重要度算出方法、図5で説明した画像特徴量類似性の重要度算出方法をそれぞれ実行する手段とする。
【0025】
各重要度算出部が算出された重要度で、図15に例示するような重要度テーブル241を構成する。この重要度テーブル241は、重要度算出部23A,23B,23C,23Dで算出した所定範囲のコンテンツの4種類の重要度を時間軸と関連付けて示したものである。重要度は0〜100の値域で表わされており、100が最大の重要度を示す。ここでは、4種類の重要度を用いてテーブルが作成されているが、少なくともいずれか2種類の系列でもよい。また、全ての種類の重要度が同じ時刻で定義されているが、個別に独立した時刻であってもかまわない。
【0026】
重要度合成部26は、重要度テーブル241に基づいてコンテンツ圧縮のための重要度を合成し、合成値を重要度の決定値として重要度出力部25を介してコンテンツ圧縮部21に出力する。そのための重要度の合成方法は、図15の重要度テーブル241に示した重要度を、例えば(1)式に適用して合成重要度Itを求める。
It=wa×Ia+wb×Ib+wc×Ic+wd×Ic (1)
ここで、Iaは図2で示したジャンル領域の重要度、Ibは図3で示したアクティビティの重要度、Icは図4で示した経過時間の重要度、Idは図5で示した画像特徴量の重要度である。wa、wb、wc、wdは、各々重要度Ia、Ib、Ic、Idに対する重み付けである。(1)式のように重み付け加算を行うことで重要度を合成することで、重要度の決定値を複数の重要度の特性を活かした値にすることができる。例えば、wa=0.5、wb=0、wc=0.5、wd=0とすることで、ジャンル別の重要度を活かしつつ、記録した時刻が比較的最近のコンテンツの品質をより高く保持することが可能になる。
【0027】
以上のように、この実施の形態2によれば、記録済みの所定の時間範囲のコンテンツについて、複数の異なる重要度算出部で重要度をそれぞれ算出し、算出された重要度に重み付けして合成した値を、同じ記録済みのコンテンツの所定の時間範囲の時間軸と関連付けた重要度の決定値として使用し、この重要度の決定値に応じて所定の圧縮方法を適用してコンテンツを圧縮するようにしたので、複数の重要度の特性を活かした値でコンテンツの圧縮を行うことができる。
【0028】
実施の形態3.
図16は、この発明の実施の形態3による映像音声記録装置の主要機能を示すブロック構成図である。図において、図1に相当する部分には同一符号を付し、その説明は原則として省略する。実施の形態3は、コンテンツ圧縮部21が種類の異なる複数の圧縮手段を211〜214を有し、また、圧縮手段指定部35を設けた点が実施の形態1の構成と異なっている。
コンテンツ圧縮部21内の構成において、空間解像度圧縮手段211は図7で説明した方法、時間解像度圧縮手段212は図8で説明した方法、符号量制御による圧縮手段213は図9で説明した方法、符号化方式変換による圧縮手段214は図10で説明した方法を用いて圧縮を行うものとする。
【0029】
圧縮手段指定部35は、図17に例示するように、コンテンツ圧縮部21における圧縮処理回数とその回に使用する圧縮手段の種類を予め対応付けた圧縮手段指定テーブルを有しており、圧縮処理開始決定部30から出力される圧縮開始タイミング信号の出力回数を計数し、圧縮手段指定テーブルに従って当該計数値に対応する種類の圧縮部を指定する。
圧縮処理開始決定部30が1回目の圧縮処理開始タイミング信号を発生した場合において、圧縮手段指定部35は、1回目の圧縮処理として時間解像度圧縮手段212を指定する指定信号を出力する。コンテンツ圧縮部21では時間解像度圧縮手段212を作動させ、重要度決定部22から出力される、コンテンツの所定範囲の時間軸と関連付けられた重要度の決定値に従ってコンテンツの圧縮を行う。同様にして、2回目の圧縮処理開始タイミング信号に対しては符号化方式変換による圧縮手段214、3回目の圧縮処理開始タイミング信号に対しては符号量制御による圧縮手段213、4回目の圧縮処理開始タイミング信号に対しては空間解像度圧縮手段211というように、圧縮手段指定部35から指示された圧縮手段に従ってコンテンツの圧縮処理が行われる。
【0030】
以上のように、この実施の形態3によれば、コンテンツ圧縮部21において、種類(方法)の異なる圧縮手段を複数用意しておき、圧縮手段指定部35により、圧縮開始タイミング信号の出力回数を計数し、予め圧縮手段の順序付けを定めた圧縮手段指定テーブルに従って計数値に対応する種類の圧縮部を指定してコンテンツの圧縮処理を行うようにしたので、圧縮処理の回数を重ねても品質劣化を最小限に抑えることが可能になる。特に同じ圧縮処理を何度も繰り返すことにより画像品質の劣化が進む可能性が高いが、そのような劣化を抑えることに大きな効果がある。なお、この実施の形態3は、上記実施の形態2にも適用できることは言うまでもない。
【0031】
上記各実施の形態では、HDDを記憶装置として使用することで説明してきたが、HDDの代りにフラッシュメモリ等の大容量の記憶装置を使用してこの発明は同様な効果を得ることができる。
また、各実施の形態では、主として映像信号に対する圧縮について説明してきたが、音声データに対する圧縮の場合、映像の空間解像度は音声の量子化ビット数に、映像の時間解像度は音声のサンプリング周波数と読み替えることで、映像と同様の手法が利用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 テレビチューナ、2 カメラ、20 ハードディスクドライブ(HDD)、21 コンテンツ圧縮部、22 重要度決定部、23,23A〜23D 重要度算出部、24,241 重要度テーブル、25 重要度出力部、26 重要度合成部、30 圧縮処理開始決定部、31 クロック信号発生器、35 圧縮手段指定部、211 空間解像度圧縮手段、212 時間解像度圧縮手段、213 符号量制御による圧縮手段、214 符号化方式変換による圧縮手段、301 コンパレータ、302 メモリ、303 加算器、304 経過時刻の閾値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを記憶装置に記録する映像音声記録装置において、
前記記憶装置に記録済みの所定の時間範囲のコンテンツについて、前記コンテンツの所定の時間範囲の時間軸と関連付けて重要度を決定する重要度決定手段と、
前記決定した重要度に応じて前記所定の時間範囲のコンテンツを圧縮して記録するコンテンツ圧縮手段と、
前記重要度決定手段と前記コンテンツ圧縮手段を動作させる圧縮開始タイミング信号を発生する圧縮処理開始決定手段を備えたことを特徴とする映像音声記録装置。
【請求項2】
重要度決定手段は、記録済みの所定の時間範囲のコンテンツについて、予め設定されたコンテンツのジャンル毎の重要度に基づいて、ユーザの個人嗜好の重要度を算出し、当該個人嗜好の重要度を重要度の決定値として使用することを特徴とする請求項1記載の映像音声記録装置。
【請求項3】
重要度決定手段は、記録済みの所定の時間範囲のコンテンツについて、コンテンツ映像に含まれる動きベクトルの評価値または画像を周波数変換して得られた最高周波成分の評価値または音声信号のパワーの評価値を、コンテンツのアクティビティによる重要度として算出し、当該アクティビティの重要度を重要度の決定値として使用することを特徴とする請求項1記載の映像音声記録装置。
【請求項4】
重要度決定手段は、記録済みの所定の時間範囲のコンテンツについて、予め設定された経過時間毎の重要度に基づいて、コンテンツを記録してからの経過時間に応じた重要度を算出し、当該経過時間の重要度を重要度の決定値として使用することを特徴とする請求項1記載の映像音声記録装置。
【請求項5】
重要度決定手段は、記録済みの所定の時間範囲のコンテンツについて、予め設定した画像特徴量とコンテンツから求めた画像特徴量との類似性に応じた重要度を算出し、当該類似性の重要度を重要度の決定値として使用することを特徴とする請求項1記載の映像音声記録装置。
【請求項6】
重要度決定手段は、記録済みの所定の時間範囲のコンテンツについて、
予め設定されたコンテンツのジャンル毎の重要度に基づいて、ユーザの個人嗜好の重要度を算出する個人嗜好の重要度算出手段、
コンテンツ映像に含まれる動きベクトルの評価値または画像を周波数変換して得られた最高周波成分の評価値または音声信号のパワーの評価値を、コンテンツのアクティビティによる重要度として算出するアクティビティの重要度算出手段、
予め設定された経過時間毎の重要度に基づいて、コンテンツを記録してからの経過時間に応じた重要度を算出する経過時間の重要度算出手段、
予め設定した画像特徴量とコンテンツから求めた画像特徴量との類似性に応じた重要度を算出する画像特徴量類似性の重要度算出手段のうちから、少なくとも2種類の重要度算出手段を有し、
前記少なくとも2種類の重要度算出手段で算出された重要度を重み付け合成した重要度の決定値として使用することを特徴とする請求項1記載の映像音声記録装置。
【請求項7】
コンテンツ圧縮手段は、コンテンツの所定の時間範囲の時間軸と関連付けられた重要度の決定値に従って、画像サイズを小さくする変換を行うことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の映像音声記録装置。
【請求項8】
コンテンツ圧縮手段は、コンテンツの所定の時間範囲の時間軸と関連付けられた重要度の決定値に従って、時間方向でのフレームを間引く変換を行うことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の映像音声記録装置。
【請求項9】
コンテンツ圧縮手段は、コンテンツの所定の時間範囲の時間軸と関連付けられた重要度の決定値に従って、コンテンツを再符号化する際の目標符号量を制御して、元の符号化方式より効率の良い符号化方式で再符号化処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の映像音声記録装置。
【請求項10】
コンテンツ圧縮手段における圧縮処理回数と使用する圧縮手段の種類を予め対応付けた関連テーブルを有し、圧縮処理開始決定手段が発する圧縮開始タイミング信号の出力回数を計数し、前記関連テーブルに基づいて当該計数値に対応する種類の圧縮手段を指定する圧縮手段指定手段を備え、
コンテンツ圧縮手段は、
画像サイズを小さくする変換を行う空間解像度圧縮手段、
時間方向でのフレームを間引く変換を行う時間解像度圧縮手段、
コンテンツを再符号化する際の目標符号量を制御して、元の符号化方式より効率の良い符号化方式で再符号化処理を行う符号化方式変更による圧縮手段の少なくとも2つを含む複数種類の圧縮手段を有し、圧縮開始時に前記圧縮手段指定手段が指定する種類の圧縮手段により、コンテンツの所定の時間範囲の時間軸と関連付けられた重要度の決定値に従ってコンテンツの圧縮を行うことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の映像音声記録装置。
【請求項11】
圧縮処理開始決定手段は、記憶装置の残量が予め定めた残量を下回る毎に、コンテンツ圧縮を実行させる圧縮開始タイミング信号を発生することを特徴とする請求項1から請求項10のうちのいずれか1項記載の映像音声記録装置。
【請求項12】
圧縮処理開始決定手段は、前回実行したコンテンツ圧縮処理の時刻から、予め定めた時刻を経過する毎にコンテンツ圧縮処理を実行させる圧縮開始タイミング信号を発生することを特徴とする請求項1から請求項10のうちのいずれか1項記載の映像音声記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−177783(P2010−177783A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15603(P2009−15603)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】