説明

時刻同期方法、制御システム及び測定装置

【課題】 親機と子機との間で通信を行う場合、親機と子機との時刻同期が必要である。この場合、子機が電池駆動である場合、時刻同期のために子機から親機に対しポーリングによるコマンド要求を行う場合などでは、時刻設定コマンドの他に、ポーリングによる通信回数が加算されるため、親機にコマンドを持たせるための処理が必要となると共に、子機の通信時間がその分延びて、電池の消耗が早くなる。本発明は、電池駆動の複数の子機と単一の親機との間で無線通信する無線センサネットワークを構築し、時刻同期のための余分な通信を削減して、電池の消費電力量を低く抑えることで、電池の長寿命化を図るものである。
【解決手段】 電池駆動の複数の子機と単一の親機との間で無線通信する無線センサネットワークにおいて、親機は時刻同期命令を発行せず、親機は子機からの計測データを受信したとき、送信元の子機へ返す受信確認(ACK)の中に現在時刻を埋め込んで送信すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池駆動の複数の子機と単一の親機との間で無線通信する無線センサネットワークにおいて、親機と複数の子機との間の時刻同期方法、制御システム及び測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池駆動の複数の子機と単一の親機との間で無線通信する無線センサネットワークにおいて、子機は、起床(アクティブ状態)→データ計測→親機との通信→休眠(スリープ状態)の一連の動作(間歇動作)を繰り返し行なっている。この場合、複数の子機と単一の親機とは、時間管理をしつつ通信を行なうために、各子機の時刻を親機に合わせるための時刻同期が必要である。
【0003】
通常、親機との時刻同期は、親機が時刻同期命令(時刻データ書き込み命令)をすべての子機へ送信することで成立するが、子機が間歇動作している場合、子機の休眠中(スリープ中)は、親機からの時刻同期命令(時刻データ書き込み命令)を受信することができず、時刻同期に失敗する。このため、確実に時刻同期を行なうためには、子機が通信可能状態のときに、親機から時刻同期命令(時刻データ書き込み命令)が到達するようにする必要がある。
【0004】
また、複数の子機と単一の親機との間で無線通信する無線センサネットワークにおいて、子機が電池駆動の場合、電池容量の制約があるため、消費電力量を低く押えることにより、電池の長寿命化を図る必要がある。
【0005】
これに関する一つの技術として、電池駆動の端末間で時刻同期を取りつつ、必要なデータを無線通信する無線センサネットワークにおいて、基準となる時刻情報を広告するリファレンス端末を同じセンサネットワーク上に設け、この時刻情報をリファレンス端末から複数の周辺端末へ定期的に配信する際、連続して複数回に亘り同じ時刻データを配信することにより、周辺端末が起床しているとき(アクティブ状態のとき)時刻データを受信できる確立を高めるものがある(特許文献1参照)。
【0006】
また、他の技術として、センサ機能を搭載した小型無線センサノード、中継器、基地局、及び管理サーバから構成されたセンサネットシステムにおいて、管理サーバから指定期間ごとに各基地局へ時刻を設定するための時刻設定コマンドを発行し、中継局は、基地局から受信した時刻を基に自身の時刻を設定あるいは修正した後、配下の全センサノードへの時刻設定コマンドを生成待機状態にする。中継機は、センサノードからポーリングによるコマンド要求を受信した際、その時点での時刻を取得し、該時刻を用いて時刻設定コマンドを生成し、このセンサノードへ送信するものがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−74326号公報
【特許文献2】特開2008−306472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の方法では、周辺端末が起床しているとき(アクティブ状態のとき)時刻データを受信すれば、時刻同期が行なわれるが、周辺端末が休眠しているとき(スリープ状態のとき)は時刻データを受信できないため、時刻データの配信頻度を高くすれば、時刻データを受信できる確率が高くなるが、周辺端末からリファレンス端末への送信との衝突確率が高くなる。一方、配信頻度を低くすれば、時刻データを受信できる確率が低くなり、受信できない可能性がある、という問題がある。
【0009】
また特許文献2の方法では、センサノードから中継機に対し、ポーリングによるコマンド要求を行なうために、時刻設定コマンドの他に、ポーリングによる通信回数が加算されるため、センサノードの通信時間がその分延びること、及び、中継機にコマンドを持たせるための処理が必要となる、という問題がある。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑み、電池駆動の複数の子機と単一の親機との間で無線通信する無線センサネットワークを構築し、上記特許文献1及び2のような、時刻同期のための余分な通信を削減して、電池の消費電力量を更に低く押えることができ、更なる電池の長寿命化を図ることができる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、電池駆動の複数の子機と単一の親機との間で無線通信する無線センサネットワークの同期処理において、親機は子機に対する時刻同期命令を発行せず、親機は子機からの計測データを受信したとき、送信元の子機へ返す受信確認(ACK)の中に現在時刻を埋め込んで送信する時刻同期方法である。
【0012】
また、本発明は、電池駆動の複数の子機と単一の親機とは、無線通信する関係にあり、親機は時刻同期命令を発行せず、親機は子機からの計測データを受信したとき、送信元の子機へ返す受信確認(ACK)の中に現在時刻を埋め込んで送信することを特徴とする制御システムである。
【0013】
また、本発明は、複数の機器夫々における温度、電力等の物理量の測定情報を前記夫々の機器に設けた子機から当該機器と関連付けられた親機へ送信し、当該親機で前記情報を収集するように成した物理量の測定装置において、前記親機には第1の時計と、定期的に前記夫々の機器に設けた子機が送信する前記測定情報の受信が確認された際に第1の時計のタイムスタンプを付した受信確認信号をこの子機に返信し、収集された前記測定情報を少なくとも前記物理量毎に集計する第1の制御部とを設け、
前記夫々の子機には第2の時計と、当該第2の時計の計時に基づき前記親機の周期に実質的に同期してスリープ状態から起床状態へ移行する制御部を有し、当該制御部は前記起床状態において前記測定情報を前記親機に送信し、前記親機から受信確認信号を受信した際には当該受信確認信号に付されたタイムスタンプの時刻で第2の時計の時刻を修正することを特徴とする測定装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、親機は特別に時刻同期命令を発行せず、親機は子機からの計測データを受信したとき、送信元の子機へ返す受信確認(ACK)の中に現在時刻情報(時刻データ)を埋め込んで送信するため、子機から親機への計測データの送信の度に最新の時刻情報(時刻データ)を得られ、任意のタイミングで時刻同期が可能となる。このため、時刻同期のための余分な通信回数を削減でき、通信回数の削減を図ることができ、子機の電池の消費電力量を低く押えることで、電池の長寿命化を図ることができるものとなる。
【0015】
また、子機が親機から受け取った時刻情報(時刻データ)の適用については、子機側で判断できるようになるため、子機それぞれの状況に応じた運用ができるようになる効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る時刻同期方法の基本的説明図である。
【図2】本発明に係る時刻同期方法を適用したトータル制御システムの構成を示す図である。
【図3】本発明に係る時刻同期方法を採用して無線センサネットワークを構築した測定装置または制御システムを示す図である。
【図4】本発明に係る子機及び親機の動作に係るタイミングチャートを示す図である。
【図5】本発明に係る子機から親機へ送信する測定情報(計測データ)転送パケット及び親機から子機へ送信する受信確認(ACK)パケット(受信応答パケット)のフォーマットを示す図である。
【図6】本発明に係る親機の内部構成を示す図である。
【図7】本発明に係る子機の内部構成を示す図である。
【図8】図3の形態に電力量を加えた測定装置または制御システムを示す図である。
【図9】本発明に係る多数の種類の測定情報(計測データ)におけるセンサネットワークの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
本発明に係る時刻同期方法は、電池駆動の複数の子機2と単一の親機1との間で無線通信する無線センサネットワークにおいて、親機1は時刻同期命令を発行せず、親機1は子機2からの計測データを受信したとき、送信元の子機2へ返す受信確認(ACK)の中に現在時刻を埋め込んで送信する方法である。
【0019】
図1において、親機に相当する受信機1(以下、親機1という)に対して、子機に相当する複数の端末2(以下、子機2という)を備え、各子機2は、それぞれ電池駆動するように電池を備えており、取り付け場所や設置場所を自由に変更できる形態であり、また携帯可能な形態である。このため、子機2は、温度管理を行なう必要のある機器3や、電力管理を行なう必要のある機器3等、種々の機器3の温度、電力等の物理量の測定情報(計測データともいう)を、一定周期(間歇動作)で計測し、これら機器3に設けた子機2から当該機器3と関連付けられた親機1へ、この測定情報(計測データ)を一定周期(間歇動作)で送信する。図1は、このように、子機2で計測した測定情報(計測データ)が、親機1で収集するように構成した物理量の測定装置または制御システムを構成している。
【0020】
この場合、各子機2は、一定周期(間歇動作)で該当する機器3の温度、電力等の物理量を計測し、この計測した計測データを親機1へ無線送信する。親機1はこの計測データを受信したとき、送信元の子機2へ受信確認(ACK)情報を送信する。この受信確認(ACK)情報の中に、現在時刻情報(時刻データ)を埋め込んで送信する。
【0021】
図2には、本発明に係る時刻同期方法を適用したトータル制御システムの構成を示している。図1の基本構成と同じ機能部には同じ符号を付している。図2において、コンピュータで構成した中央コントローラ4は、親機1と有線接続され、また、有線端末である複数の有線子機5と有線接続されている。中央コントローラ4は、各子機2及び有線子機5に対して時刻同期命令を発行する。この場合、中央コントローラ4と有線接続されている親機1及び有線子機5は、この時刻同期命令を受けた時点で、自己の時刻同期(内蔵した時計RTCを中央コントローラ4の時刻に合わせこと)を行なうが、子機2は間歇動作をしているため、中央コントローラ4からの時刻同期命令では時刻同期をせず、中央コントローラ4から子機2を宛先とした時刻同期命令が発行されたときは、親機1がそれを保留する。
【0022】
中央コントローラ4は、時刻同期命令が各子機2及び有線子機5に到達していることを確認するために、有線子機5を宛先とした時刻同期命令に対しては、有線子機5が送信する受信確認(ACK)を受信するが、子機2を宛先とした時刻同期命令に対しては、子機2の代わりに親機1が、中央コントローラ4へ受信確認(ACK)を送信する。
【0023】
中央コントローラ4は、親機1及び有線子機5から、温度、電力等の物理量の測定情報を受け、この測定情報の管理および利用を行なう機能である制御システムにおいては、機器3の温度、電力等の物理量の測定情報(計測データ)を、これら機器3に設けた子機2から当該機器3と関連付けられた親機1へ送信し、親機1から中央コントローラ4へ測定情報(計測データ)を送信する。
【0024】
一方、子機2は物理量の測定情報(計測データ)を親機1へ送信し、親機1からの受信確認(ACK)を待つ。そして、親機1は受信確認(ACK)の中に、親機1のRTCによる現在時刻情報(時刻データ、またはタイムスタンプという)を埋め込んで、該当子機2へ送信する。そして、子機2は、受信した現在時刻情報(時刻データ)により、時刻同期を行なう。
【0025】
このように、親機1が子機2に対する時刻同期命令の変換機能を持つことにより、中央コントローラ4において各子機2に対応した制御を行う必要がなくなる。
【0026】
図3には、本発明に係る時刻同期方法を採用して無線センサネットワークを構築した、スーパーマーケット等の店舗20における温度データの測定、及び時刻同期に係る測定装置または制御システム15を示している。店舗20に備えられる機器3として、販売食品を貯蔵する冷蔵ショーケースや冷凍ショーケース6(以下、これらを総称してショーケース6という)、冷凍機7、調理場に設けた業務用冷蔵庫8、食品売り場などの空気調和を行なう空調機9、店舗20の照明機器10等がある。
【0027】
ショーケース6、冷凍機7、業務用冷蔵庫8、空調機9、及び照明機器10には、それぞれ運転管理装置6A、7A、8A、9A及び10Aが備えられ、これらは、店舗20全体の管理を行うように設置された店舗管理装置12と、有線11によって接続されている。
【0028】
また、ショーケース6には食品貯蔵室の温度を検知する庫内センサ部6Sが備えられ、業務用冷蔵庫8には食品貯蔵室の温度を検知する庫内センサ部8Sが備えられ、空調機9には空気吸い込み温度を検知する温度センサ部9Sが備えられている。また、空調機9の運転制御のために、店舗20内の適所の温度を検知する室内センサ部13と、店舗20の外気を検知する室外センサ部14が設けられている。
【0029】
庫内センサ部6S、庫内センサ部8S、温度センサ部9S、室内センサ部13、及び室外センサ部14は、それぞれ温度検知回路や、後述のようにデータの送受信を行う送受信回路を含む。そして、庫内センサ部6S、庫内センサ部8S、温度センサ部9S、室内センサ部13、及び室外センサ部14は、それぞれ単独で電池を備え、その電池を電源として、前記温度検知回路や送受信回路等が動作する仕組みである。これらが電池を電源としているのは、自由に選定した場所へ取り付けることができるようにするためのものである。
【0030】
店舗20には、店舗管理装置12に付随して、または店舗管理装置12に関連して、中央無線送受信機16が備えられている。庫内センサ部6S、庫内センサ部8S、温度センサ部9S、室内センサ部13、及び室外センサ部14は、それぞれ設定された一定周期(間歇動作)で温度を測定し、測定した温度の測定情報(計測データともいう)を、一定周期(間歇動作)で中央無線送受信機16へ送信する。
【0031】
そして、中央無線送受信機16は、庫内センサ部6S、庫内センサ部8S、温度センサ部9S、室内センサ部13、及び室外センサ部14からの温度の測定情報(計測データ)を受信した時、測定情報(計測データ)を送信してきた庫内センサ部6S、庫内センサ部8S、温度センサ部9S、室内センサ部13、または室外センサ部14へ、受信確認(ACK)を送信する。この場合、中央無線送受信機16からは、受信確認(ACK)の中に、中央無線送受信機16のRTCによる現在時刻情報(時刻データ)を埋め込んで、庫内センサ部6S、庫内センサ部8S、温度センサ部9S、室内センサ部13、及び室外センサ部14へ送信する。そして、庫内センサ部6S、庫内センサ部8S、温度センサ部9S、室内センサ部13、及び室外センサ部14は、受信した現在時刻情報(時刻データ)により、RTCの時刻同期を行なう。
【0032】
このような動作を行うため、庫内センサ部6S、庫内センサ部8S、温度センサ部9S、室内センサ部13、及び室外センサ部14は、図1及び図2における子機2に相当し、ショーケース6、業務用冷蔵庫8、空調機9は、図1及び図2における機器3に相当し、また、中央無線送受信機16は親機1に相当する。
【0033】
上記において、中央無線送受信機16は、店舗管理装置12と有線11によって接続されているため、上記のような測定情報(計測データ)を受信して、所定のプログラムに従って、運転管理装置6A、7A、8A、9A及び10Aの動作を制御する。この制御は、例えば、ショーケース6においては、庫内センサ部6Sからの測定情報(計測データ)と設定データとの比較において、運転管理装置6Aを制御して、ショーケース6の庫内温度を設定温度になるように制御する。また、業務用冷蔵庫8においては、庫内センサ部8Sからの測定情報(計測データ)と設定データとの比較において、運転管理装置8Aを制御して、業務用冷蔵庫8の庫内温度を設定温度になるように制御する。また、空調機9においては、温度センサ部9Sからの測定情報(計測データ)と設定データとの比較において、運転管理装置9Aを制御して、空調機9による店舗20内の温度を設定温度になるように制御する。更に、照明機器10においては、消費電力の検知部(図示せず)からの測定情報(計測データ)と設定データとの比較において、運転管理装置10Aを制御して、照明機器10の照度を設定照度になるように制御する。
【0034】
店舗管理装置12は、店舗から離れた中央コントローラ室の遠隔管理装置18と、インターネットなどのネットワーク17で接続されており、受信した上記のような測定情報(計測データ)を、所定のタイミングで遠隔管理装置18へ送信する。遠隔管理装置18は、これら測定情報(計測データ)を記憶し、また利用して、店舗20のよりよい運営を行うように、店舗管理装置12を制御する。
【0035】
図4には、庫内センサ部6S、庫内センサ部8S、温度センサ部9Sを含む子機2(無線端末と表示)及びこの子機2と通信する親機1の動作に係るタイミングチャートを示す。図4において、親機1に相当する中央無線送受信機16は待機モードにある。この状態で、子機2(無線端末と表示)は、スリープモードから起床して温度を測定し、その測定情報(計測データ)を中央無線送受信機16へ送信し、待機状態となる。子機2(無線端末と表示)から親機1に相当する中央無線送受信機16へ送信する測定情報(計測データ)転送パケットは、図5に(イ)計測データ転送パケットとして示すように、型、宛先、発信元、計測時刻、及び測定情報(計測データ)で構成される。
【0036】
一方、中央無線送受信機16は、この測定情報(計測データ)を受信した時、測定情報(計測データ)を送信してきた子機2(無線端末と表示)に対して、現在時刻情報(時刻データ)を埋め込んだ受信確認(ACK)を送信する。この親機1に相当する中央無線送受信機16から子機2(無線端末と表示)へ送信する受信確認(ACK)パケットは、図5に(ロ)受信応答パケットとして示すように、型、宛先、発信元、及び現在時刻で構成される。
【0037】
そして、中央無線送受信機16は、メモリへの書き込みを行った後、再び待機モードとなる。一方、現在時刻情報(時刻データ)を埋め込んだ受信確認(ACK)を受信した子機2(無線端末と表示)は、その時刻情報(時刻データ)に基づきRTCの時刻設定を行い、再びスリープモードとなる。
【0038】
このように、子機2(無線端末と表示)は、一定周期(間歇動作)で温度を測定し、測定した温度の測定情報(計測データともいう)を中央無線送受信機16へ送信する。一方、親機1に相当する中央無線送受信機16は、
常時、子機2(無線端末と表示)からの測定情報(計測データ)を受信できるように、待機モードにあり、子機2(無線端末と表示)から測定情報(計測データ)が送信される度に、上記のように、現在時刻情報(時刻データ)を埋め込んだ受信確認(ACK)を送信する。
【0039】
このように、子機2から親機1への測定情報(計測データ)の送信の度に最新の時刻情報(時刻データ)を得られ、任意のタイミングで親機1と子機2の時刻同期が可能となる。このため、子機2の時刻同期を取るための余分な通信を削減でき、通信回数の削減を図ることができ、子機2の電池の消費電力量を低く押えることができ、電池の長寿命化を図ることができるものとなる。
【0040】
上記における親機1の内部構成及び子機2の内部構成は、それぞれ図6及び図7に示す。図6には親機1の内部構成を示す。図6において、親機1(無線受信機1として示す)は、子機2との情報の送受信を行う無線通信手段1A、店舗管理装置12のような管理装置(監視装置)12との情報の有線で送受信を行う有線通信手段1B、制御手段1C、測定情報(計測データ)受信手段1D、記憶手段1E、現在時刻設定手段1F、リアルタイムクロックと称する時計RTC、到着確認(受信確認ACK)生成手段1G、到着確認(受信確認ACK)送信手段1Hから構成され、これらは、実線で示すように相互に電気的に接続され、制御手段1Cによる制御動作を伴って、矢印方向の情報の伝達及び制御動作を行う。
【0041】
図7には子機2の内部構成を示す。図6において、親機1の内部構成及び子機2の内部構成は、それぞれ図6及び図7に示す。図7において、子機2(無線端末2として示す)は、親機1との情報の送受信を行う無線通信手段2A、到達確認(受信確認ACK)受信手段2B、到着確認(受信確認ACK)判定手段2C、制御手段2D、温度センサ等の計測手段2E、測定情報(計測データ)生成手段2F、測定情報(計測データ)送信手段2G、時刻情報抽出手段2Hから構成され、これらは、実線で示すように相互に電気的に接続され、制御手段2Dによる制御動作を伴って、矢印方向の情報の伝達及び制御動作を行う。
【0042】
図6及び図7に示す親機1及び子機2の構成でもって、図2及び図3に示す測定装置または制御システムを参照して、本発明を以下に記載する。
【0043】
複数の機器3夫々における温度、電力等の物理量の測定情報(計測データ)を夫々の機器3に設けた子機2から当該機器3と関連付けられた親機1(へ送信し、親機1で測定情報(計測データ)を収集するように成した物理量の測定装置において、親機1には第1の時計RTCと、定期的に子機2が送信する前記測定情報(計測データ)の受信が確認された際に、第1の時計RTCのタイムスタンプを付した受信確認信号を到着確認(受信確認ACK)生成手段1Gで生成し、到着確認(受信確認ACK)送信手段1Hから無線通信手段1Aを通して当該子機2に返信し、収集された前記測定情報(計測データ)を少なくとも前記物理量毎に集計する第1の制御部として制御部(制御手段)1Dとを設けている。
【0044】
また、夫々の子機2には、第2の時計RTCと、この第2の時計RTCの計時に基づきスリープ状態から起床状態へ移行する制御部(制御手段)2Dを有し、制御部2Dは、定期的に測定情報(計測データ)生成手段2Fで測定情報(計測データ)を生成し、この測定情報(計測データ)を測定情報(計測データ)送信手段2Gから無線通信手段1Aを通して親機1に送信し、無線通信手段2Aを通して到達確認(受信確認ACK)受信手段2Bが、親機1からの受信確認信号を受信した際には、時刻情報抽出手段2Hによって当該受信確認信号に付されたタイムスタンプ(現在時刻情報)の時刻を抽出し、このタイムスタンプ(現在時刻情報)の時刻で第2の時計RTCの時刻を修正する。
【0045】
このように、子機2から親機1への測定情報(計測データ)の送信の度に最新の時刻情報(時刻データ、タイムスタンプ)を得られ、任意のタイミングで親機1と子機2の時刻同期が可能となる。
【0046】
なお、本発明の応用例として、親機1から子機2への到達確認(受信確認ACK)の中に、図5の(ハ)に矢印で示すような、時刻同期命令フラッグを設けることにより、親機1側から強制的に子機2の時刻情報更新を行なわせることで、親機1が時刻同期のタイミングを制御することが可能となる。
【0047】
上記では、ショーケース6、業務用冷蔵庫8、空調機9の温度の測定情報(計測データともいう)を送信するが、これに限定されず、例えば、ショーケース6、冷凍機7、業務用冷蔵庫8、空調機9、及び照明機器10に、それぞれの消費電力の検知部を備えておき、ショーケース6、冷凍機7、業務用冷蔵庫8、空調機9、及び照明機器10の消費電力を検知し送信する構成とすることもできる。図8には、これに係る測定情報(計測データ)及び時刻同期に係る測定装置または制御システム15を示している。図8の場合も、親機1の内部構成及び子機2の内部構成は、図6及び図7に示すものと同様である。
【0048】
図8には、図3に示した温度の測定情報(計測データ)に、更に、消費電力の測定情報(計測データ)を加えて無線センサネットワークを構築した、スーパーマーケット等の店舗20における測定情報(計測データ)及び時刻同期に係る測定装置または制御システム15を示している。図3に示す部分と同じ機能部には同じ符号を付している。なお、機器3として調理場に設けた調理機器19を備え、その運転管理装置19Aが店舗管理装置(店舗監視装置)12、中央無線送受信機16及び電力量管理装置(電力量管理装置)33と有線で接続されている。
【0049】
この場合、ショーケース6、冷凍機7、業務用冷蔵庫8、空調機9、及び照明機器10にそれぞれ備えた消費電力の検知部は、図示していないが、図1及び図2における子機2に相当する。これら消費電力の検知部は、それぞれ単独で電池を備え、その電池を電源として動作し、図1及び図2における親機1に相当する無線変換機30と無線交信する。無線変換機30は、第2分電盤31に設けた電力量計32と有線接続されている。電力量計32は、それぞれショーケース6、冷凍機7、業務用冷蔵庫8、空調機9、及び照明機器10に対応した電力量計の総称であり、ショーケース6、冷凍機7、業務用冷蔵庫8、空調機9、及び照明機器10に対応した電力量計が、その電力量を表示する。
【0050】
これら消費電力の検知部は、一定周期(間歇動作)で消費電力を測定し、この測定情報(計測データ)を一定周期(間歇動作)で無線変換機30へ無線送信し、無線変換機30は、これらの測定情報(計測データ)を受信した時、測定情報(計測データ)を送信してきたショーケース6、冷凍機7、業務用冷蔵庫8、空調機9、または照明機器10の消費電力の検知部へ、受信確認(ACK)を無線送信する。この場合、受信確認(ACK)の中に、無線変換機30のRTCによる現在時刻情報(時刻データ)を埋め込んで、無線送信する。そして、当該消費電力の検知部は、受信した現在時刻情報(時刻データ)により、時刻同期を行なう。
【0051】
図8において、第1分電盤33に設けた電力量監視装置34は、各運転管理装置(運転監視装置として示す)6A、7A、8A、9A、10A、及び店舗管理装置12と有線接続されており、店舗の総電力量を管理し、そのデータを店舗管理装置(店舗監視装置として示す)12へ送信すると共に、各運転管理装置6A、7A、8A、9A、10Aの総電力量が、所定の最大値を超える場合は、所定の最大値以下になるように、運転管理装置6A、7A、8A、9A、10Aのうちの、電力削減してもよいものから電力削減するように制御する。
【0052】
店舗管理装置12は、店舗から離れた中央コントローラ室の遠隔管理装置18と、インターネットなどのネットワーク17で接続されており、受信した消費電力の測定情報(計測データ)を、所定のタイミングで遠隔管理装置18へ送信する。遠隔管理装置18は、これら測定情報(計測データ)を記憶し、また利用して、店舗20のよりよい省エネ運営を行うように、店舗管理装置12を制御する。
【0053】
このように、子機2に相当するショーケース6、冷凍機7、業務用冷蔵庫8、空調機9、及び照明機器10にそれぞれ備えた消費電力の検知部から、親機1に相当する無線変換機30への測定情報(計測データ)の送信の度に、子機2は最新の時刻情報(時刻データ)を得られ、任意のタイミングで親機1と子機2の時刻同期が可能となる。このため、子機2の時刻同期を取るための余分な通信を削減でき、通信回数の削減を図ることができ、子機2の電池の消費電力量を低く押えることができ、電池の長寿命化を図ることができるものとなる。
【0054】
図9には、多数の種類の測定情報(計測データ)におけるセンサネットワークの構成を示す図であり、本発明が適用できる測定情報(計測データ)の種類は、図9に示すように、測定情報(計測データ)として、温度、電力、照度の他に、湿度、雨量、風力等があり、これに係る機器または装置3における子機2の時刻同期は、上記同様に、子機2からの測定情報(計測データ)を親機1(無線受信機1として示す)が受信したとき、その受信確認(ACK)の中に、現在時刻情報(時刻データ)を埋め込んで、子機2へ無線送信することにより、当該子機2は、受信した現在時刻情報(時刻データ)により、上記同様に時刻同期を行なうことができる。
【0055】
図9には、親機1(無線受信機1として示す)と有線接続されたデータ収集装置12は、図2及び図3に対応した店舗管理装置(店舗監視装置)12に相当し、データ収集装置12は、機器または装置3から離れた中央コントローラ室の遠隔監視装置(遠隔管理装置ともいう)18と、インターネットなどのネットワーク17で接続されている。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る時刻同期方法、制御システム及び測定装置は、上記実施例に示した構成に限定されず、種々の形態のものに適用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0057】
1・・・・・親機
1A・・・・無線通信手段
1B・・・・有線通信手段
1C・・・・制御手段
1D・・・・測定情報(計測データ)受信手段
1E・・・・記憶手段
1F・・・・現在時刻設定手段
1G・・・・到着確認(受信確認ACK)生成手段
1H・・・・到着確認(受信確認ACK)送信手段
2・・・・・子機
2A・・・・無線通信手段
2B・・・・到着確認(受信確認ACK)受信手段
2C・・・・到着確認(受信確認ACK)判定手段
2D・・・・制御手段
2E・・・・計測手段
2F・・・・測定情報(計測データ)生成手段
2G・・・・測定情報(計測データ)送信手段
2H・・・・時刻情報抽出手段
3・・・・・機器
4・・・・・中央コントローラ
5・・・・・有線子機
6・・・・・ショーケース
6A・・・・運転管理装置
6S・・・・庫内センサ部
7・・・・・冷凍機
7S・・・・運転管理装置
8・・・・・業務用冷蔵庫
8A・・・・運転管理装置
8S・・・・庫内センサ部
9・・・・・空調機
9A・・・・運転管理装置
9S・・・・温度センサ部
10・・・・照明機器
10A・・・運転管理装置
11・・・・有線
12・・・・店舗管理装置
13・・・・室内センサ部
14・・・・室外センサ部
15・・・・測定装置または制御システム
16・・・・中央有線送受信機
17・・・・ネットワーク
18・・・・遠隔管理装置
19・・・・調理機器
19A・・・運転管理装置
20・・・・店舗
30・・・・無線変換機
31・・・・第2分電盤
32・・・・電力量計
33・・・・第1分電盤
34・・・・電力量監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池駆動の複数の子機と単一の親機との間で無線通信する無線センサネットワークにおいて、親機は時刻同期命令を発行せず、親機は子機からの計測データを受信したとき、送信元の子機へ返す受信確認(ACK)の中に現在時刻を埋め込んで送信することを特徴とする時刻同期方法。
【請求項2】
電池駆動の複数の子機と単一の親機とは、無線通信する関係にあり、親機は時刻同期命令を発行せず、親機は子機からの計測データを受信したとき、送信元の子機へ返す受信確認(ACK)の中に現在時刻を埋め込んで送信することを特徴とする制御システム。
【請求項3】
複数の機器夫々における温度、電力等の物理量の測定情報を前記夫々の機器に設けた子機から当該機器と関連付けられた親機へ送信し、当該親機で前記情報を収集するように成した物理量の測定装置において、前記親機には第1の時計と、定期的に前記夫々の機器に設けた子機が送信する前記測定情報の受信が確認された際に第1の時計のタイムスタンプを付した受信確認信号をこの子機に返信し、収集された前記測定情報を少なくとも前記物理量毎に集計する第1の制御部とを設け、
前記夫々の子機には第2の時計と、当該第2の時計の計時に基づき前記親機の周期に実質的に同期してスリープ状態から起床状態へ移行する制御部を有し、当該制御部は前記起床状態において前記測定情報を前記親機に送信し、前記親機から受信確認信号を受信した際には当該受信確認信号に付されたタイムスタンプの時刻で第2の時計の時刻を修正することを特徴とする測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−135498(P2011−135498A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295329(P2009−295329)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】