説明

時計および時計システム

【課題】時計が提示する時刻を恣意的に調整する。
【解決手段】時計100は、時刻を視覚的表示ないし音声によって利用者10に提示する時計である。時計100は、利用者A10aにより操作されるリモコン装置200から送信された、時刻の進行速度を操作する契機となる操作指示のデータを受信する。時計100は、受信された操作指示にしたがって、時刻の進行速度を変化させることにより、利用者A10aが他の利用者10の行動をコントロールすることを支援する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、時計および時計システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの人々が時刻や時間を意識して行動する現在、時計は人々の営みにおいて重要な存在である。したがって、正確な現在時刻を時計に表示させることは重要である。
【0003】
また、時計の読み方を子供に学習させることも重要である。以下の特許文献1では、ユーザの操作に基づいて、指針を任意の方向に回転させることで、任意の時刻を表示する学習用時計が提案されている。
【特許文献1】特開2001−005373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人々の作業は予定通りに進捗しないことが多い。例えば会議においては、その終了予定時刻があらかじめ設定されることがある。しかし、実際には、会議が効率的に進行せず、その終了予定時刻となっても終了しないことが多々ある。
【0005】
このような会議では、終了予定時刻が近づいたことを知った参加者により、会議の収束が図られることを本発明者は知見した。この知見に基づき、本発明者は、時計が提示する時刻を恣意的に調整することで、その時計を参照する人々の行動をコントロールしやすくなると考えた。
【0006】
本発明は、本発明者の上記着目に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、時計が提示する時刻を恣意的に調整することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の時計は、時刻を視覚的表示ないし音声によって利用者に提示する時計であって、時刻の進行速度を操作する契機となる操作指示を取得する指示取得部と、取得された操作指示にしたがって、進行速度を変化させる調整部と、を備える。
【0008】
この時計の種類に特に制限はない。例えば、時刻を利用者に提示する態様は、長針および短針等の指針を備えるアナログ式の時計でもよく、デジタル式の時計、時刻を音声で通知する時計でもよい。また、時計の形状は、壁掛け時計でもよく、腕時計、PCや携帯電話に組み込まれた時計でもよい。
【0009】
本発明の別の態様もまた、時計である。この時計は、時刻を視覚的表示ないし音声によって利用者に提示する時計であって、現在の時刻を通常の時間進行速度で計時する第1の計時部と、外部からの操作指示にしたがって、通常の時間進行速度とは異なる時間進行速度で計時する第2の計時部と、を備える。
【0010】
第1の計時部と第2の計時部とは、物理的に同一の機能ブロックでもよい。この場合、第1の計時部は、その時間進行速度が操作指示に応じて変化した結果、第2の計時部となってもよい。
【0011】
本発明のさらに別の態様もまた、時計である。この時計は、時刻を視覚的表示ないし音声によって利用者に提示する時計であって、時刻の進行速度の操作を開始する時刻のデータを記憶する記憶部と、開始する時刻になったことを条件として、進行速度を変化させる調整部と、を備える。
【0012】
本発明のさらに別の態様もまた、時計である。この時計は、時刻を視覚的表示ないし音声によって利用者に提示する時計であって、利用者に提示される時刻を操作する契機となる操作指示を取得する指示取得部と、取得された操作指示にしたがって、利用者に提示される時刻を、所定時間だけ進める、もしくは、所定時間だけ遅らせる調整部と、を備える。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、時計システムである。この時計システムは、時刻を視覚的表示ないし音声によって利用者に提示する複数の時計と、複数の時計のそれぞれにおいて時刻の進行速度を操作する契機となる操作指示を各時計に送信する指示装置と、を備える。複数の時計のそれぞれは、指示装置により送信された操作指示を取得する指示取得部と、取得された操作指示にしたがって、進行速度を変化させる調整部と、を有する。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、時計を参照する人々の行動をコントロールしやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
企業では様々な会議が実施される。会議には終了予定時刻が設定されることがあるが、会議の途中で議論が発散することがあり、また、だらだらと議論が続けられることもあり、終了予定時刻を過ぎても終了しないことが多々ある。しかし、会議の終了予定時刻が近づくもしくは過ぎてしまうと、時計を見た参加者が「そろそろ、まとめましょう」等のいわゆる「巻き」を発言することがあり、これにより会議が収束に向かうことがある。
【0017】
本発明者は、時計に表示させる時刻(以下、「表示時刻」と呼ぶ。)を調整することで、その表示時刻を参照する人々(以下、「利用者」と呼ぶ。)をコントロールしやすくなると考えた。例えば、会議室の時計の表示時刻を実際の時刻(以下、「実時刻」と呼ぶ。)よりも進めることで、その会議において「巻き」が入る実時刻が早まる。その結果、実時刻における終了予定時刻までに会議を終了させやすくなる。また逆に、時計の表示時刻を実時刻よりも遅らせることで、利用者の行為を長引かせるように誘導しやすくなる。
【0018】
すなわち、人々の行動が時刻や時間により律されている現実に基づき、常に正確な時刻を時計に表示させるのではなく、必要に応じて、実時刻と表示時刻とを乖離させることで、利用者の行動をよい方向に誘導できると本発明者は考える。以下、実施の形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態である時計調整システムの構成を示す。時計調整システム1000は、時計100と、リモコン装置200と、現在時刻管理装置300とを備える。時計調整システム1000の各装置は、Bluetoothや、赤外線、LAN(Local Area Network)、インターネット等の公知の通信手段で接続されている。
【0020】
時計100は、会議室に設置された時計であり、時刻を表示することで、利用者10で総称される利用者A10aと利用者B10bと利用者C10cと利用者D10dとに対して時刻を提示する。利用者10は、会議を行う主体であるが、このうち利用者A10aは、リモコン装置200を操作することで、時計100の表示時刻の進行速度(以下、「時刻進行速度」と呼ぶ。)を調整する。これにより、利用者A10aは、会議の進捗をコントロールする。
【0021】
リモコン装置200は、時計100の時刻進行速度を変化させる指示データ(以下、「操作指示データ」と呼ぶ。)と、変化させた時刻進行速度を元に戻させる指示データ(以下、「キャンセル指示データ」と呼ぶ)とを時計100に対して送信する。この操作指示データには、時刻進行速度を速くさせるための加速指示、または、遅くさせるための減速指示が含まれる。
【0022】
リモコン装置200は、専用のハードウェアであってもよく、会議室の電話、会議室の照明スイッチ、空調機器のリモコン等の他のハードウェアに組み込まれてもよい。リモコン装置200は、好ましくは、利用者A10aによる操作が他の利用者には気づかれないような態様である。例えば、会議室の電話に組み込まれた場合、操作指示データを送信するためのボタン、好ましくは、通常時は隠された部分に配置される言わば隠しボタンがその電話に設けられてもよい。また例えば、その電話で特定の番号がダイヤルされたとき、そのダイヤル操作を検出して、操作指示データを送信するように設定されてもよい。
【0023】
現在時刻管理装置300は、現在時刻を保持して、現在時刻を外部に通知する装置である。現在時刻管理装置300は、例えば、時計100に内蔵され、時計100とは独立した仕組みで計時する時計でもよく、インターネット上のNTP(Network Time Protocol)サーバ、時刻を通知するための標準電波の送信局でもよい。
【0024】
図2は、図1の時計100の機能構成を示すブロック図である。時計100は、現在時刻取得部102と、調整部104と、時刻表示部106と、指示受信部108と、乖離時間算出部110とを有する。
【0025】
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところであり、これらのいずれかに限定されるものではない。
【0026】
現在時刻取得部102は、現在時刻管理装置300から現在時刻を示すデータを取得する。調整部104は、表示時刻の時刻進行速度を調整して、調整した時刻進行速度に基づき表示時刻を逐次決定し、決定した表示時刻を時刻表示部106に通知する。
【0027】
時刻進行速度の調整は、例えば、表示時刻の単位時間(以下、「表示単位時間」と呼ぶ。)の経過をタイマ等で検出して、表示時刻を単位時間進める場合、そのタイマの設定を調整することにより実現されてもよい。例えば、タイマの設定時間を初期設定よりも短くすれば、表示単位時間あたりの実際の経過時間(以下、「実経過時間」と呼ぶ。)は表示単位時間よりも短くなる。例えば、実経過時間50秒に対して、表示単位時間が1分経過することになるため、時刻進行速度がより速くなる。
【0028】
また例えば、水晶振動子からの信号を分周して表示単位時間を取得するクォーツ時計の場合には、表示単位時間の長さを変更するために、分周器を設定変更して、分周比を適宜調整してもよい。さらにまた、分周比を調整することなく、変更前の表示単位時間の1単位で、変更後の表示単位時間を2単位進めることで、時刻進行速度を速めてもよい。同様に、変更前の表示単位時間の2単位で、変更後の表示単位時間を1単位進めることで、時刻進行速度を遅くしてもよい。
【0029】
また例えば、機械式時計の場合には、複数の単位時間を計時するための複数のギアが設けられてもよい。これらのギアが適宜切換えられることで、言い換えればギア比が適宜変更されることで、時刻進行速度が調整されてもよい。
【0030】
時刻表示部106は、調整部104から通知された表示時刻を所定の態様で表示する。例えば、時刻表示部106は、7セグメントLED等を使用して、表示時刻をデジタル表示してもよく、また、ステッピングモータ等のアクチュエータを駆動して、指針により表示時刻を示してもよい。また、表示時刻を液晶表示してもよい。
【0031】
指示受信部108は、操作指示データまたはキャンセル指示データをリモコン装置200から受信する。調整部104は、指示受信部108において受信された操作指示データにしたがって時刻進行速度を変化させる。具体的には、操作指示データが加速指示を示すとき、時刻進行速度を速くさせ、減速指示を示すとき、時刻進行速度を遅くさせる。また、調整部104は、キャンセル指示データが受信されたとき、時刻進行速度を元の設定、例えば初期設定に戻す。
【0032】
乖離時間算出部110は、現在時刻取得部102から現在時刻を取得し、調整部104から表示時刻を取得して、表示時刻と現在時刻との乖離時間を算出する。調整部104は、この乖離時間が所定時間以上になったとき、表示時刻の進行速度を再調整する。この所定時間は、表示時刻と実時刻との乖離がこれ以上大きくなると、利用者10が時刻進行速度の変化に気づきやすくなる時間であり、企業の経験や実験等により適切な値が決定されればよい。ここでは、調整部104は、乖離時間がそれ以上大きくならないように、表示時刻の進行速度を初期設定に戻すこととする。他の態様として、乖離時間の増加速度を低減するために、表示時刻の進行速度を徐々に初期設定に近づけてもよい。
【0033】
以上の構成による動作を以下説明する。
図3は、図2の時計100における処理の流れを示すフローチャートである。以下の説明において、時刻表示部106は、「時」および「分」をデジタル表示することとする。したがって、表示単位時間は1分となる。
【0034】
所定の開始条件が充足された、例えば時計100の動作スイッチがONに設定されたことが検出されたとき、一連の処理が開始される。現在時刻取得部102は、現在時刻管理装置300から現在時刻を取得する(S10)。調整部104は、その現在時刻を表示時刻に設定し(S12)、その表示時刻を時刻表示部106に通知して表示させる。
【0035】
指示受信部108において操作指示データが受信されていないとき(S14のN)、調整部104は、表示単位時間である1分のタイマを設定して、表示単位時間の経過を待つ(S16のN)。表示単位時間が経過すると(S16のY)、調整部104は、表示時刻を表示単位時間進めて(S18)、その表示時刻を時刻表示部106に通知して表示させる。所定の終了条件が充足された、例えば時計100の動作スイッチがOFFに設定されたことが検出されたとき(S20のY)、時計100は処理を終了する。終了条件が充足されなければ(S20のN)、S14の処理に戻る。
【0036】
指示受信部108において操作指示データが受信されると(S14のY)、調整部104は、後述する時刻進行速度変更処理を実行する(S22)。
【0037】
図4は、図3のS22の時刻進行速度変更処理を示すフローチャートである。調整部104は、表示単位時間あたりの実経過時間を特定する(S30)。ここでは、操作指示データが加速指示を示すとき、表示単位時間1分あたりの実経過時間が50秒に設定され、操作指示データが減速指示を示すとき、表示単位時間1分あたりの実経過時間が70秒に設定されることとする。
【0038】
なお、上述のように、表示単位時間あたりの実経過時間があらかじめ決定されていてもよいが、操作指示データに基づいて動的に決定されてもよい。この場合、操作指示データには、特定の未来時点の実時刻を示す第1の時刻と、その未来時点における表示時刻を示す第2の時刻とが指定される。調整部104は、現在の進行速度で第1の時刻となるときに、変化後の進行速度では第2の時刻が表示されるように、実単位時間および表示単位時間を決定する。例えば、S10を実行する現在時刻が15:00、第1の時刻が15:50、第2の時刻が16:00であるとき、表示単位時間1分あたりの実経過時間を50秒に決定する。このように動的に決定されることで、利用者A10aは、状況に応じて、時刻進行速度を柔軟に調整できる。
【0039】
続いて、乖離時間算出部110は、表示時刻と現在時刻との乖離時間を算出する。乖離時間が所定時間未満であるとき(S32のN)、調整部104は実経過時間の経過を待つ(S34のN)。一方で、乖離時間が所定時間以上であるとき(S32のY)、調整部104は表示単位時間の経過を待つ(S36のN)。実経過時間が経過する(S34のY)、または、表示単位時間が経過すると(S36のY)、調整部104は、表示時刻を表示単位時間進めて(S38)、その表示時刻を時刻表示部106に通知して表示させる。例えば、操作指示データが加速指示を示すとき、乖離時間が所定時間未満であれば、実経過時間50秒の経過で表示時刻を1分進め、乖離時間が所定時間以上であれば、表示単位時間1分の経過で表示時刻を1分進める。
【0040】
指示受信部108においてキャンセル指示データが受信されると(S40のY)、図3のS10の処理に戻る。すなわち、時計100は、キャンセル指示データにしたがって、現在時刻を表示し、時刻進行速度も元に戻す。キャンセル指示データが受信されなければ(S40のN)、S32の処理に戻る。
【0041】
この時計調整システム1000によれば、利用者A10aは、リモコン装置200を操作することで、時計100の表示時刻の時刻進行速度を変化させることができる。これにより、利用者A10aは、他の利用者10の行動をコントロールしやすくなる。
【0042】
例えば、利用者10による会議の中で、利用者A10aが加速指示を出すことで、実時刻よりも進んだ表示時刻が利用者10に提示される。したがって、他の利用者10に進んだ表示時刻を意識させることができ、その会議を終了予定時刻までに終了させやすくなる。また例えば、利用者A10aが他の利用者10に勉強させる場合、利用者A10aが今度は減速指示を出すことで、実時刻よりも遅れた表示時刻が利用者10に提示される。したがって、より長い時間勉強させやすくなる。
【0043】
会議が終了予定時刻までに終了することは、企業活動にとって大きな意義がある。1つの会議の終了が遅れてしまうと、その会議室を次に使用する別の会議が開始できず、したがって別の会議の終了も遅れやすくなる。また、これらの会議に参加した人々が次に参加するイベントや、予定していた作業も滞ってしまう。時計調整システム1000は、このような負のスパイラルを生じさせにくくして、企業活動に好循環をもたらす。
【0044】
また、他の利用者10が時刻進行速度の変化に気づいてしまうと、他の利用者10はそのことを意識し、例えば「進んでいるから大丈夫」と考えてしまい、利用者A10aが他の利用者10をコントロールしにくくなる。時計調整システム1000によれば、表示時刻は実時刻と徐々に乖離していき、また、利用者A10aが時計100を直接手で操作する必要がない。これにより、他の利用者10が時刻進行速度の変化に気づく可能性を低減できる。
【0045】
また、乖離時間が大きくなると、他の利用者10が時刻進行速度の変化に気づきやすくなる。時計調整システム1000によれば、乖離時間が所定時間以上になると、乖離時間がそれ以上大きくならないように、または乖離時間の増加が抑制されるように、時刻進行速度が再調整される。これにより、他の利用者10が時刻進行速度の変化に気づく可能性を低減できる。
【0046】
なお、時刻進行速度を変化させたことが、他の利用者10に気づかれても、表示時刻が実時刻よりも進み、もしくは遅れることで、他の利用者10の行動にある程度の影響を及ぼすと考えられる。これは、会議室の時計があらかじめ進められておけば、利用者10がそのことを知っていたとしても、比較的短時間で会議が終了しやすいことからも妥当であると考えられる。時計調整システム1000によれば、典型的には、会議開始時の表示時刻は実時刻と整合しており、徐々に乖離時間が大きくなるため、利用者10への影響はより大きいと考えられる。したがって、時計100自体が、リモコン装置200の代わりとなる機能ブロック、例えば、時計100に設けられた隠しボタンが押下されたことを検出する指示入力部を有してもよいのはもちろんである。
【0047】
また、利用者10が時刻進行速度の変化を知っている典型的な例は、時計100が利用者10の腕時計に組み込まれた場合である。利用者10は、時刻進行速度を変化させることで、自分自身をコントロールしやすくなる。例えば、腕時計の時刻進行速度をより速くしておくことで、遅刻を防止しやすくなる。
【0048】
さらにまた、時計調整システム1000によれば、時刻進行速度の操作を簡単にキャンセルできる。すなわち、表示時刻を現在時刻に戻し、時刻進行速度を元の設定に戻すことが簡易な操作、典型的にはリモコン装置200のボタンを押すことで可能になる。これにより、時刻進行速度を操作する利用者A10aの負担が軽減される。
【0049】
図1では、時計調整システム1000として、1つの時計100を備える構成を記載したが、時計100は複数存在してもよい。典型的には、会議室に複数の時計が備え付けられる場合である。リモコン装置200は、複数の時計100のそれぞれに対して操作指示データを送信し、複数の時計100のそれぞれは受信した操作指示データにしたがって時刻進行速度を変化させる。これにより、複数の時計100の時刻進行速度が一斉に変化するため、時刻進行速度が変化した時計100の表示時刻が実時刻であると他の利用者10に認識させやすくなる。例えば、他の利用者10が腕時計をしていても、会議室に設置された複数の壁時計がその腕時計とは異なる別の時刻を表示することで、他の利用者10には自身の腕時計の方が実時刻よりも進みもしくは遅れていると認識させやすくなる。したがって、他の利用者10が時刻進行速度の変化に気づく可能性を低減できる。なお、複数の時計100のそれぞれが、表示時刻のデータを定期的に相互に送信することで、複数の時計100のそれぞれにおける表示時刻が同期されてもよい。
【0050】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0051】
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各機能ブロックの単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【0052】
第1の変形例を説明する。実施の形態の時計100は、外部の現在時刻管理装置300から現在時刻を取得したが、本変形例の時計100は、現在時刻を自身で管理する。本変形例での現在時刻は、正確な現在時刻であると考えられる実施の形態の現在時刻と比べて、厳密には異なる場合があり、実施の形態での現在時刻と区別するために、以下、「仮想現在時刻」と呼ぶこととする。
【0053】
図5は、第1の変形例における時計100のブロック図である。本変形例における時計100は、図2における現在時刻取得部102の代わりに、記憶部112と現在時刻維持部114とを有する。記憶部112は、現在時刻維持部114により挿入および更新される仮想現在時刻の記憶領域である。
【0054】
現在時刻維持部114は、指示受信部108において操作指示データが受信されたときの表示時刻を仮想現在時刻として記憶部112に記録する。続いて、現在時刻維持部114は、実時刻の経過にしたがって、言い換えれば、時刻進行速度が変化した後であっても、変化前の時刻進行速度にしたがって、仮想現在時刻を逐次更新する。
【0055】
乖離時間算出部110は、記憶部112に記憶された仮想現在時刻と表示時刻との乖離時間を算出する。これにより、実施の形態の時計100と同様に、乖離時間に応じた処理が実現される。また、指示受信部108においてキャンセル指示データが受信されたとき、調整部104は、記憶部112に記憶された仮想現在時刻を表示時刻に設定する。これにより、実施の形態の時計100と同様に、キャンセル指示データに応じた処理が実現される。
【0056】
第1の変形例によれば、時計100が外部から現在時刻データを取得しないときであっても、仮想現在時刻を現在時刻と近似する時刻として維持できるため、実施の形態で既述した効果が得られる。
【0057】
第2の変形例を説明する。指示受信部108は、時刻進行速度の操作を開始する時刻の指定を含む操作指示データを受信してもよい。この操作指示データは、典型的には、会議等のイベントのスケジュールを管理するスケジュール管理装置から送信される。調整部104は、指定された時刻になったことを条件として、時刻進行速度を変化させる。なお、時刻進行速度の操作を終了する時刻も指定されてよく、調整部104はその時刻になったとき、キャンセル指示データが受信されたときと同様の処理を実施してもよい。
【0058】
第2の変形例によれば、利用者等があらかじめ時刻を指定しておくことで、その時刻に時刻進行速度の調整が自動的に開始される。例えば、利用者A10aが会議の開始時刻をスケジュール管理装置に登録しておくことで、その時刻になったとき、時刻進行速度の調整が自動的に開始される。また、利用者A10aは明示的な操作が不要になり、利用者A10aの負担が軽減される。また、時刻進行速度が変化することが他の利用者10に気づかれにくい。
【0059】
また、第2の変形例において、イベントのスケジュールを入力するユーザは、時計100の進行速度を指定するために、特定の未来時点の実時刻を示す第1の時刻と、その未来時点における表示時刻を示す第2の時刻とを指定してもよい。スケジュール管理装置は、時刻進行速度の操作を開始する時刻と、第1の時刻および第2の時刻を含む操作指示データを時計100に対して送信する。この操作指示データを受信した時計100は、既述したように、第1の時刻および第2の時刻にしたがって、表示単位時間あたりの実経過時間を動的に決定する。
【0060】
第3の変形例を説明する。本変形例では、時計100の近傍に利用者が存在するときに、時刻進行速度を調整する。時計100の近傍に利用者が存在することは、会議等が行われている可能性が高いことを示し、時刻進行速度を調整する契機となりうるという本発明者の見識に基づくものである。なお、近傍の範囲等の閾値については、企業の経験や実験等に基づき適切な値が決定されればよい。他の閾値についても同様である。
【0061】
第3の変形例の時計調整システム1000は、時計100から所定範囲内に存在する利用者を赤外線強度等に基づき検知する公知の人感センサをさらに備える。なお、本明細書の「センサ」とは、素子としての狭義のセンサに加え、信号処理装置などのハードウェアおよび信号処理アルゴリズムなどのソフトウェアを備えるセンシング・システムを含む概念である。
【0062】
指示受信部108は、人感センサに対して定期的にポーリングし、もしくは、人感センサからの通知を受信することで、利用者が存在する事実を示すデータを、時刻進行速度の操作契機として取得する。調整部104は、そのデータが取得されたとき、時刻進行速度を変化させる。人感センサにより検知された利用者の人数に応じて、時刻進行速度の操作契機とするか否かを指示受信部108が判定してもよく、または、時刻進行速度を変化させるか否かを調整部104が判定してもよい。
【0063】
第3の変形例によれば、時計100の近傍に利用者が存在するとき、自動的に時刻進行速度が変化する。会議室の時計の場合、典型的には、会議の開始にあわせて、時刻進行速度が初期設定よりも速くなるように変更される。また、利用者A10aは明示的な操作が不要になり、利用者A10aの負担が軽減される。また、時刻進行速度が変化することが他の利用者10に気づかれにくい。
【0064】
第4の変形例を説明する。本変形例では、所定位置の明るさを示す環境照度に応じて、時刻進行速度を調整する。例えば、会議室が明るいことは会議が行われている可能性が高いことを示し、また、屋外が暗いことは夜である可能性が高いことを示し、時刻進行速度を調整する契機となりうるという本発明者の見識に基づくものである。
【0065】
第4の変形例の時計調整システム1000は、環境照度を検知する公知の照度センサをさらに備える。指示受信部108は、照度センサに対して定期的にポーリングし、もしくは、照度センサからの通知を受信することで、所定位置の環境照度を示すデータを取得する。調整部104は、その環境照度にしたがって、時刻進行速度を変化させる。照度センサにより検知された環境照度の大きさに応じて、時刻進行速度の操作契機とするか否かを指示受信部108が判定してもよく、または、時刻進行速度を変化させるか否かを調整部104が判定してもよい。
【0066】
第4の変形例によれば、所定位置の照度が所定値以上のとき、もしくは所定値以下のとき、自動的に時刻進行速度が変化する。例えば、会議室の時計の場合、会議室内の照度が所定値以上のとき、典型的には会議室の照明がついていることを示す照度であるときには、時刻進行速度が初期設定よりも速くなるように変更される。また例えば、屋外の照度が所定値以下のとき、典型的には夜になると、時刻進行速度が初期の設定よりも速くなるように変更される。また、利用者A10aは明示的な操作が不要になり、利用者A10aの負担が軽減される。また、時刻進行速度が変化することが他の利用者10に気づかれにくい。
【0067】
第5の変形例を説明する。本変形例では、音声を発する音源数に応じて、時刻進行速度を調整する。例えば、多数の利用者10が同時に会話をすることは会議の議論が発散した可能性が高いことを示し、また、利用者10の発言がないことは会議が煮詰まっている可能性が高いことを示し、時刻進行速度を調整する契機となりうるという本発明者の見識に基づくものである。
【0068】
第5の本変形例の時計調整システム1000は、周囲の音声をもとに音源数を推定する音声処理装置をさらに備える。この音声処理装置は、時計100に内蔵されてもよく、音声取得部と、音源数推定部とを有する。音声取得部は、周囲の音源から発せられた音声信号を取得して、アナログの音声信号をアナログ・デジタル変換し、デジタルの音声データを生成する。音源数推定部は、独立成分分析等の公知の音源分離技術を使用して、その音声データを音源毎に分離し、音源数を推定する。
【0069】
音源数推定部が音源数を推定する具体例を説明する。音源数推定部は、利用者10それぞれの声のピーク周波数を基準データとしてあらかじめ保持しておく。音源数推定部は、音声取得部により生成された音声データをフーリエ変換して、得られたスペクトルをもとに、1以上のピーク周波数を対象データとして特定する。音源数推定部は、基準データと対象データとを比較して、誤差が所定範囲内である基準データおよび対象データを合致するものとして、音声データに声が含まれる利用者10の数を推定する。
【0070】
指示受信部108は、音声処理装置に対して定期的にポーリングし、もしくは、音声処理装置からの通知を受信することで、音声処理装置において推定された音源数を示すデータを取得する。調整部104は、その音源数にしたがって、時刻進行速度を変化させる。音源数に応じて、時刻進行速度の操作契機とするか否かを指示受信部108が判定してもよく、または、時刻進行速度を変化させるか否かを調整部104が判定してもよい。
【0071】
第5の変形例によれば、音声処理装置の周囲の音源数が所定数以上もしくは所定数以下のとき、自動的に時刻進行速度が変化する。また、利用者A10aは明示的な操作が不要になり、利用者A10aの負担が軽減される。また、時刻進行速度が変化することが他の利用者10に気づかれにくい。
【0072】
第6の変形例を説明する。本変形例では、利用者10の発言内容に応じて、時刻進行速度を調整する。会議において時刻進行速度を進めるべきときには、特定のキーワードが発言されることが多い、また、さりげなく時刻進行速度を進めるためには、発言内容での自動調整が有用であるという本発明者の見識に基づくものである。
【0073】
第6の変形例の時計調整システム1000は、周囲の音声の内容に特定のキーワードが含まれるか否かを判定する音声処理装置をさらに備える。この音声処理装置は、時計100に内蔵されてもよく、記憶部と、音声取得部と、音声判定部とを有する。記憶部は、時刻進行速度を変化させるためのキーワードを記憶する。音声取得部は、周囲の音源から発せられた音声信号を取得して、アナログの音声信号をアナログ・デジタル変換し、デジタルの音声データを生成する。音声判定部は、公知の音声認識技術を使用して、その音声データにキーワードが含まれるか否かを判定する。
【0074】
音声判定部における判定処理の具体例を説明する。記憶部は、利用者A10aがキーワードをあらかじめ発声して得られた音声データについて、その周波数の特徴データを基準データとして保持しておく。音声判定部は、音声取得部により生成された音声データをフーリエ変換して、得られたスペクトルをもとに、周波数の特徴データを対象データとして特定する。音声判定部は、基準データと対象データとを比較して、誤差が所定範囲内である基準データおよび対象データを合致するものとして、利用者A10aがキーワードを発声したか否かを判定する。
【0075】
指示受信部108は、音声処理装置に対して定期的にポーリングし、もしくは、音声処理装置からの通知を受信することで、利用者10がキーワードを発声したと判定された事実を示すデータを、時刻進行速度の操作契機として取得する。調整部104は、そのデータが取得されたとき、時刻進行速度を変化させる。
【0076】
第6の変形例によれば、音声処理装置により取得された音声に特定のキーワードが含まれるとき、自動的に時刻進行速度が変化する。例えば、キーワードとして、「議論がまとまりませんね」が設定されているとき、利用者A10aがその言葉を発言することで、時刻進行速度が初期の設定よりも速くなるように変更される。また、利用者A10aはキーワードを発言するだけであるため、利用者A10aの負担が軽減される。また、時刻進行速度が変化することが他の利用者10に気づかれにくい。
【0077】
第7の変形例を説明する。本変形例では、利用者10が時計100を目視したことに基づき、時刻進行速度を調整する。会議が効率的に進行しないときや、会議が長時間に亘るとき、時計100を目視する利用者が増えるという本発明者の見識に基づくものである。
【0078】
第7の変形の時計調整システム1000は、典型的には時計100に内蔵される装置であって、利用者10が時計100を目視したか否かを判定する画像処理装置をさらに備える。この画像処理装置は、撮影部と、目視判定部とを有する。撮影部は、利用者10を撮影して、利用者10の撮像データを取得する。目視判定部は、取得された撮像データをもとに、公知の画像処理技術を使用して、利用者10が時計100を目視したか否かを判定する。
【0079】
目視判定部における判定処理の具体例を説明する。目視判定部は、利用者10の撮像データ、典型的には顔画像データを基準データとしてあらかじめ保持しておく。目視判定部は、撮影部において取得された撮像データを対象データとして、基準データとの間で公知の画像マッチング・テンプレートマッチングを実行する。例えば、両データの各画素におけるRGB成分を比較して、誤差が所定範囲内であれば、画素が一致すると判定してもよい。目視判定部は、基準データの所定割合以上が対象データに含まれると判定された利用者10について、時計100を目視したと判定する。
【0080】
指示受信部108は、画像処理装置に対して定期的にポーリングし、または、画像処理装置からの通知を受信することで、利用者10が時計100を目視したと判定された事実を示すデータを、時刻進行速度の操作契機として取得する。調整部104は、そのデータが取得されたとき、時刻進行速度を変化させる。利用者10が時計100を目視したと判定された回数に応じて、時刻進行速度の操作契機とするか否かを指示受信部108が判定してもよく、または、時刻進行速度を変化させるか否かを調整部104が判定してもよい。
【0081】
第7の変形例によれば、利用者10が時計100を所定回数以上目視したとき、自動的に時刻進行速度が変化する。典型的には、時刻進行速度が初期の設定よりも速くなるように変更される。また、利用者A10aは明示的な操作が不要になり、利用者A10aの負担が軽減される。また、時刻進行速度が変化することが他の利用者10に気づかれにくい。
【0082】
第8の変形例を説明する。指示受信部108は、操作指示データの受信後、所定時間以上に亘ってキャンセル指示データを受信しないとき、キャンセル指示データを受信したこととして調整部104に通知してもよい。また、調整部104は、時刻進行速度を変化させた後、所定時間以上に亘ってキャンセル指示データが受信されないとき、キャンセル指示データが受信されたこととして、現在時刻を表示時刻に設定し、時刻進行速度を元に戻してもよい。
【0083】
第8の変形例によれば、明示的なキャンセル操作が無くても、典型的には利用者A10aがキャンセル操作を失念した場合であっても、一定の時間が経過すれば、時計100は現在時刻を表示し、時刻進行速度も初期の設定に戻る。これにより、利用者A10aの負担が軽減される。また、時刻進行速度が変化することが他の利用者10に気づかれにくくなる。
【0084】
第9の変形例を説明する。時計100は、自身の時刻進行速度が速くなっている、もしくは遅くなっている状態を表示する状態表示部を更に有してもよい。同様に、リモコン装置200は、時計100の時刻進行速度が速くなっている、もしくは遅くなっている状態を表示する状態表示部を更に有してもよい。時刻進行速度の状態を表示する態様には制限はなく、一部の利用者10に対してのみ、状態が理解されるような態様であってもよい。
【0085】
第9の変形例によれば、時計100の時刻進行速度の状態を利用者10の少なくとも一部に提示できる。これにより、利用者A10aが時刻進行速度の状態を失念することを防止できる。また、一部の利用者10には時刻進行速度の状態を知らしめた上で、会議等の進捗のコントロールを図ることができる。
【0086】
第10の変形例を説明する。本変形例の時計100は、時刻の進行速度の操作を開始する操作開始時刻と、加速指示もしくは減速指示を示す操作内容の情報を記憶する記憶部をさらに有する。調整部104は、記憶部を参照して、表示時刻が操作開始時刻になったことを検出する。このとき、調整部104は、操作指示データが受け付けられたときと同様に、操作内容の情報にしたがって時刻進行速度を変化させる。
【0087】
また、記憶部は、時刻の進行速度の操作を終了する操作終了時刻も記憶する。調整部104は、現在時刻管理装置300から取得された現在時刻、または、自身で管理する仮想現在時刻が操作終了時刻となったことを検出したとき、キャンセル指示データ受信時と同様の処理を行う。
【0088】
第10の変形例によれば、ユーザによるリモコン装置200の操作が無くても、あらかじめ定められた第1の時刻になると時刻進行速度が変化し、第1の時刻とは異なる第2の時刻になると時刻進行速度が元に戻る。これにより、利用者A10aの負担が軽減される。また、時刻進行速度が変化することが他の利用者10に気づかれにくい。
【0089】
第11の変形例を説明する。実施の形態の時計100は、表示時刻の進行速度を変化させたが、本変形例の時計100は、操作指示データにしたがって、表示時刻を所定時間だけ進め、もしくは、表示時刻を所定時間だけ遅らせる。
【0090】
具体的には、リモコン装置200は、表示時刻を進めるもしくは遅らせる時間の指定を含む操作指示データを、時計100に対して送信する。時計100の調整部104は、操作指示データに進める時間が指定されているとき、その進める時間だけ表示時刻を進める。操作指示データに遅らせる時間が指定されているとき、その遅らせる時間だけ表示時刻を遅らせる。調整部104は、表示時刻の進行速度についても変化させてもよく、変化させなくてもよい。キャンセル指示データ受信時には、上述したように、現在時刻管理装置300から取得された現在時刻、または、自身で管理する仮想現在時刻が表示時刻として設定される。
【0091】
第11の変形例においても、実施の形態と同様に、利用者A10aの操作により、実時刻と表示時刻とが乖離するため、利用者A10aは、他の利用者10の行動をコントロールしやすくなる。また、本変形例によれば、実時刻と表示時刻とがすぐに指定時間だけ乖離するため、利用者A10aによる操作後、すぐに他の利用者10の行動に影響を与えることができる。
【0092】
上述した実施の形態および変形例の構成が適宜組み合わされてもよく、本発明の思想を逸脱しない範囲において様々な態様を取り得ることは当業者に理解されるところである。例えば、第2の変形例と第11の変形例との組み合わせとして、イベントのスケジュールを入力するユーザは、表示時刻を進めるもしくは遅らせる時間をさらに指定してもよい。このとき、スケジュール管理装置は、表示時刻を進めるもしくは遅らせる操作の開始時刻に加えて、表示時刻を進めるもしくは遅らせる時間の指定を含む操作指示データを、時計100に対して送信する。時計100は、その開始時刻になったことを検出したとき、表示時刻を指定時間だけ進め、もしくは、表示時刻を指定時間だけ遅らせる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施の形態である時計調整システムの構成を示す図である。
【図2】図1の時計の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図2の時計における処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図3のS22の時刻進行速度変更処理を示すフローチャートである。
【図5】第1の変形例における時計のブロック図である。
【符号の説明】
【0094】
10 利用者、 100 時計、 102 現在時刻取得部、 104 調整部、 106 時刻表示部、 108 指示受信部、 110 乖離時間算出部、 112 記憶部、 114 現在時刻維持部、 200 リモコン装置、 300 現在時刻管理装置、 1000 時計調整システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻を視覚的表示ないし音声によって利用者に提示する時計であって、
時刻の進行速度を操作する契機となる操作指示を取得する指示取得部と、
取得された操作指示にしたがって、前記進行速度を変化させる調整部と、
を備えることを特徴とする時計。
【請求項2】
前記操作指示には、前記進行速度を速くするもしくは遅くする指定が含まれ、
前記調整部は、前記速くする指定を含む操作指示が取得されたとき、前記進行速度を現在の設定より速くさせ、前記遅くする指定を含む操作指示が取得されたとき、前記進行速度を現在の設定より遅くさせることを特徴とする請求項1に記載の時計。
【請求項3】
前記操作指示には、特定の未来時刻を示す第1の時刻と、この未来時刻において利用者に提示させる時刻を示す第2の時刻とが含まれ、
前記調整部は、現在の進行速度で前記第1の時刻になるときに、変化後の進行速度では前記第2の時刻を提示するように、現在の進行速度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の時計。
【請求項4】
現在時刻を示すデータを取得する現在時刻取得部と、
利用者に提示される時刻と前記現在時刻との乖離時間を算出する乖離時間算出部と、
をさらに備え、
前記調整部は、前記乖離時間が所定時間以上であるとき、前記操作指示にしたがって変化させた進行速度を再調整することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の時計。
【請求項5】
現在時刻を示すデータを取得する現在時刻取得部をさらに備え、
前記指示取得部は、前記操作指示に対するキャンセル指示も取得し、
前記調整部は、前記キャンセル指示が取得されたとき、前記利用者に提示される時刻として前記現在時刻を設定し、かつ、前記操作指示にしたがって変化させた進行速度を元に戻すことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の時計。
【請求項6】
前記操作指示が取得された時点で利用者に提示された時刻を仮想現在時刻として記憶装置に記憶させ、かつ、前記進行速度が変化した後であっても、変化前の進行速度にしたがって当該仮想現在時刻を逐次更新する仮想現在時刻維持部と、
利用者に提示される時刻と前記仮想現在時刻との乖離時間を算出する乖離時間算出部と、
をさらに備え、
前記調整部は、前記乖離時間が所定時間以上であるとき、前記操作指示にしたがって変化させた進行速度を再調整することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の時計。
【請求項7】
前記操作指示が取得された時点で利用者に提示された時刻を仮想現在時刻として記憶装置に記憶させ、かつ、前記進行速度が変化した後であっても、変化前の進行速度にしたがって当該仮想現在時刻を逐次更新する仮想現在時刻維持部をさらに備え、
前記指示取得部は、前記操作指示に対するキャンセル指示も取得し、
前記調整部は、前記キャンセル指示が取得されたとき、前記利用者に提示される時刻として前記仮想現在時刻を設定し、かつ、前記操作指示にしたがって変化させた進行速度を元に戻すことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の時計。
【請求項8】
前記操作指示には、前記進行速度の操作を開始する時刻が含まれ、
前記調整部は、前記開始する時刻になったことを条件として、前記進行速度を変化させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の時計。
【請求項9】
利用者の存在を検知する検知部をさらに備え、
前記指示取得部は、前記利用者の存在が検知されたとき、この事実を前記操作指示として取得し、
前記調整部は、前記事実にしたがって、前記進行速度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の時計。
【請求項10】
環境照度を検知する検知部をさらに備え、
前記指示取得部は、検知された環境照度を示すデータを、当該データに依存する前記操作指示として取得し、
前記調整部は、前記検知された環境照度に応じて、前記進行速度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の時計。
【請求項11】
周囲の音声を取得する音声取得部と、
取得された音声をもとに音源数を推定する音源数推定部と、
をさらに備え、
前記指示取得部は、推定された音源数を示すデータを、当該データに依存する前記操作指示として取得し、
前記調整部は、前記推定された音源数に応じて、前記進行速度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の時計。
【請求項12】
時刻の進行速度を変化させるためのキーワードを記憶する記憶部と、
周囲の音声を取得する音声取得部と、
取得された音声の内容に前記キーワードが含まれるか否かを判定する音声判定部と、
をさらに備え、
前記指示取得部は、前記音声の内容に前記キーワードが含まれると判定されたとき、この事実を前記操作指示として取得し、
前記調整部は、前記事実にしたがって、前記進行速度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の時計。
【請求項13】
利用者を撮影して、当該利用者の撮像データを取得する撮影部と、
取得された撮像データをもとに、前記利用者がこの時計を目視したか否かを判定する目視判定部と、
をさらに備え、
前記指示取得部は、前記利用者がこの時計を目視したと判定されたとき、この事実を前記操作指示として取得し、
前記調整部は、前記事実にしたがって、前記進行速度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の時計。
【請求項14】
時刻を視覚的表示ないし音声によって利用者に提示する時計であって、
現在の時刻を通常の時間進行速度で計時する第1の計時部と、
外部からの操作指示にしたがって、通常の時間進行速度とは異なる時間進行速度で計時する第2の計時部と、
を備えることを特徴とする時計。
【請求項15】
時刻を視覚的表示ないし音声によって利用者に提示する時計であって、
時刻の進行速度の操作を開始する時刻のデータを記憶する記憶部と、
前記開始する時刻になったことを条件として、前記進行速度を変化させる調整部と、
を備えることを特徴とする時計。
【請求項16】
時刻を視覚的表示ないし音声によって利用者に提示する時計であって、
前記利用者に提示される時刻を操作する契機となる操作指示を取得する指示取得部と、
取得された操作指示にしたがって、前記利用者に提示される時刻を、所定時間だけ進める、もしくは、所定時間だけ遅らせる調整部と、
を備えることを特徴とする時計。
【請求項17】
前記操作指示には、前記利用者に提示される時刻を指定時間だけ進める、もしくは、指定時間だけ遅らせる指定が含まれ、
前記調整部は、前記指定時間だけ進める指定を含む操作指示が取得されたとき、前記利用者に提示される時刻を前記指定時間だけ進め、前記指定時間だけ遅らせる指定を含む操作指示が取得されたとき、前記利用者に提示される時刻を前記指定時間だけ遅らせることを特徴とする請求項16に記載の時計。
【請求項18】
時刻を視覚的表示ないし音声によって利用者に提示する複数の時計と、
前記複数の時計のそれぞれにおいて時刻の進行速度を操作する契機となる操作指示を各時計に送信する指示装置と、
を備え、
前記複数の時計のそれぞれは、
前記指示装置により送信された操作指示を取得する指示取得部と、
取得された操作指示にしたがって、前記進行速度を変化させる調整部と、
を有することを特徴とする時計システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−276295(P2009−276295A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130054(P2008−130054)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】