説明

時計機能を有する電子機器及び印刷装置

【課題】12時間制及び24時間制を用いた時間表示を切り替えるための操作を必要とせずに、ユーザに応じた最適な時制で時間表示を実行する。
【解決手段】テープ印刷装置では、キーボード部とCPUとが複数のソルダーポイントA,B,Cのいずれかを介して接続されている。ソルダーポイントが「A」であれば(S103:YES)、時制フラグをOFFにする(S105)。ソルダーポイントが「A」でなければ(S103:NO)、時制フラグをONにする(S107)。時制フラグがOFFであれば、キーボード部の対象国(対象地域)が「アメリカ」であるため、液晶表示部に12時間制の時間表示を行う一方、時制フラグがONであれば、キーボード部の対象国(対象地域)が「アメリカ」でないため、液晶表示部に24時間制の時間表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計機能を有する電子機器及び印刷装置に関し、詳細には、12時間制及び24時間制を用いて時間表示を制御するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリ,プリンタ,テレビ,パーソナルコンピュータなどの各種電子機器は、時間を計測するためのいわゆる時計ICなどを内蔵しておき、現在日時の表示や予約タイマの設定などの各種機能を実現している。一般には、各種電子機器で時間を表示する場合には、12時間制(例えば、PM2:00)と24時間制(例えば、14:00)とが用いられる。そして、いずれの時制を用いて時間を表示するかは、各種電子機器にあらかじめ設定されているのが通常である。
【0003】
ところで、時間表示の時制として12時間制と24時間制とのいずれが好まれるかは、ユーザが属する地域などによって判断することができる。具体的には、アメリカ人やカナダ人は12時間制の時間表示を好むことが知られている。そのため、電子機器の仕向け地に応じて、あらかじめ最適な時間表示の時制を当該電子機器の製造時に設定しておくことが、一般に行われている。
【0004】
また、時計機能の時間表示を切り替える技術として、標準時間から夏時間の切り替えのためのスイッチを具備し、このスイッチを操作する度に設定時間を1時間進めたり、遅らせたりすることができるファクシミリ装置が知られている。これによれば、オペレータの操作を簡略化して、標準時間と夏時間との切り替えを容易に行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−284236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の時計機能を有する電子機器では、ユーザがその時間表示の時制を好まない場合には、当該電子機器において所定の設定操作を行って時制を切り替える手間が生じていたため、ユーザにとって不便であった。一方、電子機器の製造時(出荷前)にあらかじめ最適な時間表示の時制を設定しておくには、各電子機器の仕向け地に応じて最適な時間表示の時制を設定する作業を行う必要があり、製造者にとって不便であった。
【0006】
また、特許文献1に記載の発明のように、電子機器に時計機能の時間表示を切り替えるスイッチを設け、このスイッチの操作に応じて12時間制と24時間制とを切り替えるようにすることが考えられる。しかしながら、このような時間表示の切り替え用スイッチを設けると、当該電子機器の製造に関する手間やコストが増大する問題があった。また、時間表示を最適な時制に切り替えるために、ユーザや製造者が必要に応じてスイッチ操作を行う手間が生じるという問題があった。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、12時間制及び24時間制を用いた時間表示を切り替えるための操作を必要とせずに、ユーザに応じた最適な時制で時間表示を実行することができる時計機能を有する電子機器及び印刷装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の時計機能を有する電子機器は、時間を計測する時計手段と、前記時計手段により計測された時間を表示する時間表示手段とを備え、12時間制及び24時間制を用いて時間表示を制御する時計機能を有する電子機器であって、電子機器が使用される環境を特定する使用環境特定手段と、前記使用環境特定手段により特定された使用環境に応じて、12時間制及び24時間制のいずれを用いて時間を表示するかを選択する時制選択手段と、前記時制選択手段により選択された時制を用いて、前記時計手段により計測された時間を前記時間表示手段に表示させる時間表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明の時計機能を有する電子機器は、請求項1に記載の発明の構成に加え、電子機器に接続又は内蔵されている機器の使用環境に関する情報を検出する環境情報検出手段を備え、前記使用環境特定手段は、前記環境情報検出手段により検出された環境情報に基づいて、電子機器の使用環境を特定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明の時計機能を有する電子機器は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記使用環境を任意に設定するための使用環境設定手段を備え、前記使用環境特定手段は、前記使用環境設定手段から設定された使用環境を、電子機器の使用環境として特定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る発明の時計機能を有する電子機器は、請求項1に記載の発明の構成に加え、電子機器に関する情報を表示する表示手段と、前記表示手段に表示される情報に用いられる言語を任意に設定するための言語設定手段とを備え、前記使用環境特定手段は、前記言語設定手段から設定された使用言語に基づいて、電子機器の使用環境を特定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る発明の時計機能を有する電子機器は、請求項1に記載の発明の構成に加え、電子機器に関する情報を表示する表示手段と、前記表示手段に表示される情報に用いられる言語を任意に設定するための言語設定手段と、電子機器に接続又は内蔵されている機器の使用環境に関する情報を任意に設定するための環境情報設定手段とを備え、前記使用環境特定手段は、前記環境情報設定手段から設定された環境情報と、前記言語設定手段から設定された使用言語とに基づいて、電子機器の使用環境を特定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る発明の時計機能を有する電子機器は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記使用環境は、電子機器の使用対象国又は使用対象地域であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に係る発明の印刷装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載の時計機能を有する電子機器が、被記録媒体に印刷データに基づいて印刷する印刷手段を備えたものであって、前記時計手段により計測された時間を印刷する場合に、前記印刷手段が用いる印刷フォーマットを任意に設定するための印刷フォーマット設定手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明の時計機能を有する電子機器では、電子機器が使用される環境を特定して、その使用環境に応じて12時間制及び24時間制のいずれを用いて時間を表示するかを選択し、その選択された時制を用いて時間を表示するようにした。よって、12時間制及び24時間制を用いた時間表示を切り替えるための操作を必要とせずに、ユーザに応じた最適な時制で時間表示を実行することができる。
【0016】
また、請求項2に係る発明の時計機能を有する電子機器では、請求項1に記載の発明の効果に加え、電子機器に接続又は内蔵されている機器の使用環境に関する情報を検出する手段を備えて、これから検出された環境情報に基づいて電子機器の使用環境を特定するようにした。よって、電子機器に接続又は内蔵されている機器から検出される環境情報に応じて、12時間制及び24時間制のいずれか適した時制を用いた時間表示を実行することができる。
【0017】
また、請求項3に係る発明の時計機能を有する電子機器では、請求項1に記載の発明の効果に加え、使用環境を任意に設定するための手段を備えて、これから任意に設定された使用環境を電子機器の使用環境として特定するようにした。よって、ユーザや製造者が任意に設定した使用環境に応じて、12時間制及び24時間制のいずれか適した時制を用いた時間表示を実行することができる。
【0018】
また、請求項4に係る発明の時計機能を有する電子機器では、請求項1に記載の発明の効果に加え、表示手段での情報表示に用いられる言語を任意に設定するための手段を備えて、これから設定された使用言語に基づいて電子機器の使用環境を特定するようにした。よって、ユーザや製造者が任意に設定した使用言語に応じて、12時間制及び24時間制のいずれか適した時制を用いた時間表示を実行することができる。
【0019】
また、請求項5に係る発明の時計機能を有する電子機器では、請求項1に記載の発明の効果に加え、電子機器に接続又は内蔵されている機器の使用環境に関する情報を任意に設定するための手段と、表示手段での表示情報に用いられる使用言語を任意に設定するための手段とを備えて、これらから設定された環境情報及び使用言語とに基づいて電子機器の使用環境を特定するようにした。よって、ユーザや製造者が任意に設定した環境情報及び使用言語に応じて、12時間制及び24時間制のいずれか適した時制を用いた時間表示を実行することができる。
【0020】
また、請求項6に係る発明の時計機能を有する電子機器では、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明の効果に加え、使用環境は電子機器の使用対象国又は使用対象地域である。よって、電子機器の使用対象国又は使用対象地域に応じて、12時間制及び24時間制のいずれか適した時制を用いた時間表示を実行することができる。
【0021】
また、請求項7に係る発明の印刷装置では、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の効果に加え、被記録媒体に印刷データに基づいて印刷するものであって、時間を印刷する場合に用いる印刷フォーマットを任意に設定するための手段を備えた。よって、被記録媒体に対して最適な印刷フォーマットで時間を印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、テープ印刷装置1の全体構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態における、テープ印刷装置1のテープ収納部の蓋を取り去った状態を示す平面図である。
【0023】
図1に示すように、テープ印刷装置1の後部には、後述するテープカセット51(図2参照)を収納する凹部であるテープカセット収納部2が設けられ、また、テープ印刷装置1の前部には、文字や記号を入力するキーボード部3が設けられ、キーボード部3には、文字、記号及び機能のコマンドを入力するキー3Aが複数配列されている。また、テープカセット収納部2とキーボード部3との間には、液晶表示部4が設けられ、キーボード部3で入力された文字、記号等が表示可能となっている。
【0024】
次に、図2乃至図4を参照して、テープ印刷装置1のテープカセット収納部2に装着されるテープカセット51の構造を説明する。図2は、テープカセット51の斜視図である。図3は、テープカセット51の底面図である。図4は、上ケース52を取り外した状態の下ケース53の平面図である。
【0025】
図2乃至図4に示すように、テープカセット51は上ケース52と下ケース53とから構成され、テープカセット51には、後述する印字テープ67の離形紙を外側に向けて巻回したテープスプール68を回動可能に支持する支持孔57、サーマルヘッド(図示外)により印字テープ67上に文字等を印字する際にリボンスプール70からインクリボン69を引き出すとともに巻取るリボン巻取スプール71を支持する支持孔55が形成されている。なお、下ケース53にも、上ケース52に形成された各支持孔55、57に対向して、支持孔55、57が各々形成されている。
【0026】
また、テープカセット51の前側(図2中下側)には、テープスプール68から引き出された印字テープ67、及び、リボンスプール70から引き出されたインクリボン69を案内し、開口58Aから送出するアーム部58が設けられており、かかるアーム部58の後方にはテープ印刷装置1のサーマルヘッドが装着されるヘッド装着部59が設けられている。
【0027】
更に、ヘッド装着部59においてアーム部58と対向する壁部59Aにはテープカセット51の後方に向かって入り込んだ第1嵌合部60が形成され、また、ヘッド装着部59の左側側壁には第1嵌合部60と直交する方向(壁部59Aに沿った方向)に入り込んだ第2嵌合部61が形成されている。これらの各第1嵌合部60、第2嵌合部61は、サーマルヘッドを支持する図示外のヘッドホルダに形成された2つの各突起部に嵌合されて、ヘッド装着部59に対するサーマルヘッドの装着を各インクリボン69、印字テープ67に干渉することなく確実に行うためのものである。
【0028】
更に、各インクリボン69、印字テープ67の走行方向に関しヘッド装着部59の下流側において、テープ送りローラ62が支持孔63に回動可能に支持されており、かかるテープ送りローラ62は、それに対向する側からテープ送りローラ62に圧接される圧接ローラ(図示外)との協働により、テープスプール68から印字テープ67を引き出す。また、テープ送りローラ62の近傍位置には上下一対の規制部材64、65が設けられており、これらの各規制部材64、65は、サーマルヘッドの下流側にて文字等が印字された印字テープ67を幅方向に規制案内するものである。
【0029】
次に、テープカセット51の内部構成について説明する。図4に示すように、テープカセット51の内部には、下ケース53内の後部(図4中上部)において印字テープ67を巻回したテープスプール68が前記支持孔57を介して回動可能に配置されている。また、下ケース53の前部(図4中下部)には、インクリボン69を巻回したリボンスプール70が回動可能に配置され、更に、リボンスプール70からインクリボン69を引き出すとともに、文字等の印字にて消費されたインクリボン69を巻き取るリボン巻取スプール71が、テープスプール68とリボンスプール70との間で前記支持孔55を介して回動可能に配置されている。
【0030】
印字テープ67は、前述したようにテープ送りローラ62と図示外の圧接ローラ(テープ印刷装置側1に設けられている)との協働により、テープスプール68から引き出され、アーム部58の開口58Aからヘッド装着部59の前側(図4下側)を通過した後、テープ排出部74からテープカセット51の外方へ排出される。
【0031】
また、カセット装着部9の側方には、テープ排出部74から排出された印字テープ67を切断するカッター機構14が配されている。カッター機構14は、固定刃(図示外)に対して接離する回動可能な可動刃(図示外)を有している。そして、可動刃がカッター駆動回路110(図5参照)の駆動により回動して、固定刃との間ではさみの原理によりテープ排出部74から排出された印字テープ67を切断できるようになっている。
【0032】
また、インクリボン69は、リボン巻取スプール71を介してリボンスプール70から引き出され、アーム部58の開口58Aからヘッド装着部59の前側(図4中下側)を通過した後、各規制部材64、65の内方に形成された案内部75に案内されてリボン巻取スプール71の周囲に巻き取られる。尚、リボン巻取スプール71の下部にはクラッチバネ76が取り付けられており、このクラッチバネ76はリボン巻取スプール71が逆転して巻き取ったインクリボン69が緩んでしまうことを防止するものである。
【0033】
次に、図5乃至図10を参照して、テープ印刷装置1の電気的構成について説明する。図5は、テープ印刷装置1の制御構成を示すブロック図である。図6は、ROM102の構成を示す模式図である。図7は、12時間制フォーマット記憶エリア123aの構成を示す模式図である。図8は、24時間制フォーマット記憶エリア123bの構成を示す模式図である。図9は、RAM103の構成を示す模式図である。図10は、CPU101とキーボード部3とを接続するソルダーポイント5の構成図である。
【0034】
図5に示すように、テープ印刷装置1は、CPU101,ROM102,RAM103を有した制御装置100を備えている。そして、CPU101には、前述のキーボード部3と、時間を計測する発振回路であるRTC(real time clock)回路19と、サーマルヘッド11を駆動するためのヘッド駆動回路107と、テープ送りモータ37を駆動するためのモータ駆動回路108と、液晶表示部4に表示データを出力するためのビデオRAM(図示外)を有するディスプレイコントローラ(以下、LCDCという)109と、カッター機構14を駆動するためのカッター駆動回路110とが各々接続されている。なお、キーボード部3は、制御装置100のプリント基板上にあらかじめ設けられた設定変更のための回路パターンであるソルダーポイント5を介してCPU101と接続されているが、詳細は後述する。
【0035】
図6に示すように、ROM102には、CGデータ記憶領域121,プログラム記憶領域122,時制フォーマット記憶領域123,その他のデータ領域124が設けられている。CGデータ記憶領域121には、アルファベット文字や記号等のキャラクタを印字するための多数のキャラクタの各々に関して、印字用ドットパターンデータが書体(ゴシック系書体、明朝体書体等)毎に分類され、各書体毎に6種類(16、24、32、48、64、96のドットサイズ)の印字文字サイズ分、コードデータに対応させて格納されている。また、グラフィック画像を印字するためのグラフィックパターンデータも記憶されている。
【0036】
また、プログラム記憶領域122には、キーボード部3から入力された文字や数字等のキャラクタのコードデータに対応させてLCDC109を制御する表示駆動制御プログラム、プリントバッファ132(図9参照)のデータを読み出してサーマルヘッド11やテープ送りモータ37を駆動する印字駆動制御プログラム、その他テープ印刷装置1の制御上必要な各種のプログラムが格納されている。そして、CPU101は、かかるROM102に記憶されている各種プログラムに基づいて各種の演算を行うものである。なお、後述のメイン処理(図11参照)を実行するためのメイン制御プログラムも、プログラム記憶領域122に記憶されている。
【0037】
また、時制フォーマット記憶領域123には、RTC回路19により計測された時間を、テープ上に印字する場合や液晶表示部4に表示する場合に用いられる複数のフォーマットが格納されている。本実施の形態では、時間表示(時間印刷)の時制として12時間制と24時間制とを利用可能であるため、12時間制を用いた時間表示(時間印刷)のための12時間制フォーマットと、24時間制を用いた時間表示(時間印刷)のための24時間制フォーマットとを備えている。
【0038】
具体的には、図7及び図8に示すように、時制フォーマット記憶領域123は、複数の12時間制フォーマットを記憶した12時間制フォーマット記憶エリア123a(図7参照)と、複数の24時間制フォーマットを記憶した24時間制フォーマット記憶エリア123b(図8参照)とから構成されている。そして、12時間制フォーマット記憶エリア123a及び24時間制フォーマット記憶エリア123bでは、複数のフォーマットが上から優先度の高い順に並べられている。そのため、テープ印刷装置1のデフォルト状態では、あらかじめ使用すべき12時間制フォーマットとして「P/A HH:MM」が設定されており、あらかじめ使用すべき24時間制フォーマットとして「HH:MM」が設定されている。なお、図7及び図8において、「HH」が二桁の時(Hour)であり、「MM」が二桁の分(Minute)であり、「SS」が二桁の秒(Second)である。「P/A」が午前(AM)と午後(PM)の別を示し、「MM/DD」が二桁の月(Month)と二桁の日(Day)である。
【0039】
図9に示すように、RAM103には、テキストバッファ131,プリントバッファ132,時制フラグ記憶領域133,機能設定記憶領域134,その他データ領域135等が設けられている。テキストバッファ131には、キーボード部3から入力された文書データが格納される。また、プリントバッファ132には、複数の文字や記号等の印字用ドットパターンや各ドットの形成エネルギ量である印加パルス数等がドットパターンデータとして格納されている。サーマルヘッド11はかかるプリントバッファ132に記憶されているドットパターンデータに従ってドット印字を行う。
【0040】
また、時制フラグ記憶領域133には、時間表示(時間印刷)の時制として12時間制と24時間制とのいずれを利用すべきかを示す時制フラグが記憶されている。なお、時制フラグが「OFF」とされて「0」を示す場合は、時間表示(時間印刷)の時制として12時間制を使用すべきことを示す一方、時制フラグが「ON」とされて「1」を示す場合は、時間表示(時間印刷)の時制として24時間制を使用すべきことを示す。
【0041】
さらに、機能設定記憶領域134には、テープ印刷装置1の表示や印刷などの諸機能に関する設定内容が記憶されている。後述するように、機能設定記憶領域134に記憶される機能設定(例えば、使用言語や印刷フォーマットなど)は、ユーザや製造者が任意に変更可能であるが、初期状態ではあらかじめ定められた内容がデフォルト値(例えば、初期状態の使用言語は「英語」)として記憶されている。
【0042】
以上の構成を有するテープ印刷装置1においては、その電源が投入されると、ROM102(プログラム記憶領域122)に記憶されているメイン制御プログラムに基づいて、CPU101により後述のメイン処理(図11参照)が実行される。そして、キーボード部3の文字キーを介して文字等が入力されて印刷実行が指示されると、そのテキスト(文書データ)がRAM103のテキストバッファ131に順次記憶されていくとともに、ドットパターン発生制御プログラム及び表示駆動制御プログラムに基づいてキーボード部3を介して入力された文字等に対応するドットパターンが液晶表示部4上に表示される。また、サーマルヘッド11はヘッド駆動回路107を介して駆動され、プリントバッファ132に記憶されたドットパターンデータの印字を行い、これと同期してテープ送りモータ37がモータ駆動回路108を介してテープの送り制御を行うものである。ここで、サーマルヘッド11は、ヘッド駆動回路107を介して発熱素子が1ライン分の印字ドットに対応して選択的に発熱駆動されることによって、文字等をテープ上に印字する。最後に、カッター機構14がテープ排出部74から排出されたテープを切断することで、一片のラベル片が作成される。
【0043】
ところで、図10に示すように、本実施の形態に係るテープ印刷装置1では、CPU101とキーボード部3とは前述のソルダーポイント5を介して接続されている。すなわち、制御装置100のプリント基板上では、電源VCCに抵抗Rを介して接続された配線K0がCPU101に接続されており、さらに配線K0には、3つのソルダーポイント5A,5B,5Cも並列に設けられている。また、CPU101とキーボード部3とは、3つの配線K1,K2,K3によって接続されている。そして、配線K0と配線K1とはソルダーポイント5Aを介して接続可能であり、配線K0と配線K2とはソルダーポイント5Bを介して接続可能であり、配線K0と配線K3とはソルダーポイント5Cを介して接続可能である。
【0044】
そして、テープ印刷装置1の製造時に、キーボード部3の種類(すなわち、キーボード部3の対象国や対象地域)に応じてソルダーポイント5A,5B,5Cのいずれか一つをハンダ付けにより電気的に接続する。例えば、ソルダーポイント5Aをハンダ付けすると配線K0及び配線K1が導通状態となるため、CPU101ではソルダーポイント5Aに対応するキーボード部3の種類を特定可能である。同様に、ソルダーポイント5Bをハンダ付けすると配線K0及び配線K2の導通状態となり、ソルダーポイント5Bに対応するキーボード部3の種類を特定可能である。また、ソルダーポイント5Cをハンダ付けすると配線K0及び配線K3の導通状態となり、ソルダーポイント5Cに対応するキーボード部3の種類を特定可能である。
【0045】
なお、本実施の形態では、例えば、ソルダーポイント5Aに対応するキーボード部3の対象国(対象地域)が「アメリカ」であり、ソルダーポイント5Bに対応するキーボード部3の対象国(対象地域)が「フランス」であり、ソルダーポイント5Bに対応するキーボード部3の対象国(対象地域)が「日本」である。ここでは、キーボード部3の対象国(対象地域)は「アメリカ」であって、テープ印刷装置1の製造時にソルダーポイント5Aが接続されているものとする。
【0046】
次に、上記の構成を有するテープ印刷装置1の動作について図11乃至図18を参照して説明する。図11は、テープ印刷装置1のメインフローチャートである。図12は、言語設定画面4aの具体例を示す図である。図13は、第1の実施の形態における、時制設定処理(S15)の詳細を示すフローチャートである。図14は、液晶表示部4における12時間単位の時間表示を示す具体例である。図15は、液晶表示部4における24時間単位の時間表示を示す具体例である。図16は、時間印刷処理(S19)の詳細を示すフローチャートである。図17は、フォーマット設定画面4bの具体例を示す図である。図18は、フォーマット設定画面4cの具体例を示す図である。
【0047】
テープ印刷装置1に電源が投入されて起動すると、図11に示すように、各種の初期値やフラグ等の初期化が実行される(S1)。そして、キーボード部3から入力がなされるまで(S3:NO)、待ち状態となる。キーボード部3から入力がなされた場合(S3:YES)、その入力されたキー3Aがテープ印刷装置1の機能設定を行うための「機能キー」でなければ(S5:NO)、そのキー3Aは文字や記号を入力するための「キャラクタキー」であるため文書編集処理が実行される(S7)。S7の文書編集処理では、液晶表示部4に所定の文書編集画面が表示され、ユーザは「キャラクタキー」を用いて文書編集画面で任意の文書を作成することができる。
【0048】
一方、その入力されたキー3Aがテープ印刷装置1の機能設定を行うための「機能キー」であれば(S7:YES)、液晶表示部4に所定の機能設定画面が表示される。本実施の形態では、この機能設定画面に「言語設定キー」,「時制設定キー」,「時間印刷キー」,「印刷キー」などの複数の機能キーがコマンドメニューとして表示され、ユーザは図示外のテンキーやカーソルキーを用いて任意の機能キーを選択することができる。
【0049】
そして、機能設定画面から「言語設定キー」が選択されると(S9:YES)、テープ印刷装置1において表示や印刷に用いられる言語を設定するための言語設定処理が実行される(S11)。S11の言語設定処理では、液晶表示部4に所定の言語設定画面が表示され、ユーザは言語設定画面で任意の言語を選択することができる。例えば、図12に示す言語設定画面4aでは、「English」,「Dutch」,「French」,「Portuguese」などの複数の言語がメニュー表示されており、ユーザは図示外のテンキーやカーソルキーを用いて任意の言語を選択することができる。ここでは、ユーザは言語設定画面4aから「English」を使用言語として選択したものとし、RAM103の機能設定記憶領域134に使用言語「English」がセットされたものとする。
【0050】
図11に戻り、機能設定画面から「時制設定キー」が選択されると(S9:NO,S13:YES)、テープ印刷装置1で用いられる時制を設定する時制設定処理が実行される(S15)。図13に示すように、本実施形態の時制設定処理では、まずソルダーポイント5A,5B,5Cのいずれが接続されているかが特定される(S101)。このソルダーポイント5の特定は、前述のように配線K0,K1,K2,K3の導通状態から特定可能である。そして、S101で特定されたソルダーポイント5が「A」であるか否かが判定される(S103)。S101で特定されたものがソルダーポイント5Aであれば(S103:YES)、RAM103の時制フラグ記憶領域133に記憶される時制フラグが「OFF」とされて「0」を示すようになる(S105)。一方、S101で特定されたものがソルダーポイント5B,5Cであれば(S103:NO)、当該時制フラグが「ON」とされて「1」を示すようになる(S107)。
【0051】
以上の処理により、時制フラグが「0」であれば、テープ印刷装置1での時間表示(時間印刷)に12時間制が用いられる。例えば、図14に示すように、液晶表示部4に時間を表示する場合は、午前・午後の区別を用いて12時間単位の時間表示を行う。一方、時制フラグが「1」であれば、テープ印刷装置1での時間表示(時間印刷)に24時間制が用いられる。例えば、図15に示すように、液晶表示部4に時間を表示する場合は、午前・午後の区別を用いない24時間単位の時間表示を行う。なお、本実施の形態では、テープ印刷装置1においてソルダーポイント5Aが接続されており、キーボード部3の対象国(対象地域)は「アメリカ」であるから、上記の処理によって12時間制が用いられるように時制フラグが「0」にセットされる。このように、時制設定処理(S15)では、キーボード部3の種類に応じて、ユーザにとって最適な時制を自動的に設定することができる。
【0052】
図11に戻り、機能設定画面から「時間印刷キー」が選択されると(S13:NO,S17:YES)、テープ印刷装置1で計測されている時間をテープ上に印刷する時間印刷処理が実行される(S19)。図16に示すように、S19の時間印刷処理では、まず時制フラグ記憶領域133に記憶された時制フラグが「0」であるか否かが判定される(S201)。そして、時制フラグが「0」であれば(S201:YES)、12時間制フォーマット記憶エリア123a(図7参照)から印刷フォーマットを選択する12時間制フォーマット選択処理が実行される(S203)。S203の12時間制フォーマット選択処理では、液晶表示部4に所定のフォーマット選択画面が表示され、ユーザはこのフォーマット設定画面で任意の印刷フォーマットを選択することができる。例えば、図17に示すフォーマット設定画面4bでは、12時間制フォーマット記憶エリア123aに記憶された複数のフォーマットを、ユーザは図示外のテンキーやカーソルキーを用いて順次表示させて任意の印刷フォーマットを選択することができる。なお、S203においてユーザが12時間制フォーマットを選択しなかった場合は、最も優先度が高い12時間制フォーマット(すなわち、「P/A HH:MM」)が印刷フォーマットして選択される。
【0053】
一方、時制フラグが「1」であれば(S201:NO)、24時間制フォーマット記憶エリア123b(図8参照)から使用対象となるフォーマットを選択する24時間制フォーマット選択処理が実行される(S205)。S205の24時間制フォーマット選択処理では、液晶表示部4に所定のフォーマット選択画面が表示され、ユーザはこのフォーマット設定画面で任意の印刷フォーマットを選択することができる。例えば、図18に示すフォーマット設定画面4cでは、24時間制フォーマット記憶エリア123bに記憶された複数のフォーマットを、ユーザは図示外のテンキーやカーソルキーを用いて順次表示させて任意の印刷フォーマットを選択することができる。なお、S205においてユーザが24時間制フォーマットを選択しなかった場合は、最も優先度が高い24時間制フォーマット(すなわち、「HH:MM」)が印刷フォーマットして選択される。
【0054】
S203又はS205で選択されたフォーマットは、RAM103の機能設定記憶領域134に印刷フォーマットとしてセットされる。そして、RTC回路19により計測された時間情報が取得され(S207)、S203又はS205で選択された印刷フォーマットと、S207で取得された時間情報とに基づいて、時間印刷用の印刷データが作成される(S209)。最後に、S209で作成された印刷データに基づいて、テープ上への時間印刷が実行される(S211)。詳細には、S209で作成された印刷データに対応するドットパターンが液晶表示部4上に表示されると同時に、サーマルヘッド11によるドットパターンデータの印字と、テープ送りモータ37によるテープ送り制御とが同期して実行される。これにより、印刷フォーマットに応じた時間情報がテープ上に印字され、最後にカッター機構14によりテープ切断されて一片のラベル片が作成される。
【0055】
例えば、ユーザが12時間制フォーマット「HH:MM P/A」を選択すれば、テープ上に「11:59 PM」のような印刷が施される一方、ユーザが24時間制フォーマット「HH:MM:SS」を選択すれば、テープ上に「23:59:19」のような印刷が施される。このように、時間印刷処理(S19)では、ユーザは任意の印刷フォーマットを用いて、12時間制又は24時間制を用いた時間印刷を行うことができる。
【0056】
図11に戻り、機能設定画面から「印刷キー」が選択されると(S17:NO,S21:YES)、印刷すべき文字や画像をテープ上に印刷する印刷処理が実行される(S23)。詳細には、テキストバッファ131に記憶された文字等に対応するドットパターンが液晶表示部4上に表示されると同時に、サーマルヘッド11によるドットパターンデータの印字と、テープ送りモータ37によるテープ送り制御とが同期して実行される。これにより、印刷対象の文字等がテープ上に印字され、最後にカッター機構14によりテープ切断されて一片のラベル片を作成される。
【0057】
なお、機能設定画面から他の機能キーが選択されると(S21:NO)、その機能キーに応じた他の処理が実行される(S25)。また、S7,S11,S15,S19,S23,S25の各処理の実行後は、S3に戻って次の入力を待ち受ける。
【0058】
以上、第1の実施の形態に係るテープ印刷装置1によれば、テープ印刷装置1に接続されているキーボード部3からソルダーポイント5を検出し、これに基づいてキーボード部3の対象国(対象地域)を特定し、それに応じて12時間制及び24時間制のいずれかを用いて時間表示(時間印刷)を行うようにした。よって、12時間制及び24時間制を用いた時間表示(時間印刷)を切り替えるための操作を必要とせずに、ユーザに応じた最適な時制で時間表示(時間印刷)を実行することができる。
【0059】
さらに、時間印刷処理(S19)の実行時には、ユーザが時制に応じて複数の12時間制フォーマット又は複数の24時間制フォーマットから任意の印刷フォーマットを設定できるようにした。よって、被記録媒体であるテープに対して最適な印刷フォーマットで時間を印刷することができる。
【0060】
次に、本発明を実施するための第2の実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施の形態に係るテープ印刷装置1は、基本的に第1の実施の形態にかかるものと同一であるが、時間表示(時間印刷)に用いられる時制の選択方法が異なる。以下、第1の実施の形態と異なる点について説明する。
【0061】
まず、本実施の形態に係るテープ印刷装置1では、その製造時(製品出荷前)に以下の機能設定(出荷前設定処理)が実行されることを前提とする。図19は、第2の実施の形態における、出荷前設定処理のメインフローチャートである。図20は、コントラスト設定画面4dの具体例を示す図である。図21は、仕向けパラメータ設定画面4eの具体例を示す図である。図22は、メカ動作パラメータ設定画面4fの具体例を示す図である。図23は、IF通信パラメータ設定画面4gの具体例を示す図である。
【0062】
なお、テープ印刷装置1の出荷前設定処理では、製造者等が液晶表示部4に所定の初期機能設定画面を表示させて、その初期機能設定画面からキーボード部3を用いて各種機能設定を実行するものとする。なお、本処理は、テープ印刷装置1の製品完成から製品出荷までの任意のタイミングで、製造者が実行すればよい。
【0063】
図19に示すように、テープ印刷装置1の出荷前設定処理では、まず液晶表示部4のコントラスト(明暗比)の初期値を設定するコントラスト設定処理が実行される(S301)。S301のコントラスト設定処理では、図20に示すようなコントラスト設定画面4dが液晶表示部4に表示され、製造者はこのコントラスト設定画面4dから液晶表示部4のコントラストを任意に設定することができる。
【0064】
また、テープ印刷装置1の仕向け地を設定する仕向けパラメータ設定処理が実行される(S303)。S303の仕向けパラメータ設定処理では、図21に示すような仕向けパラメータ設定画面4eが液晶表示部4に表示され、製造者はこの仕向けパラメータ設定画面4eからテープ印刷装置1の仕向け地を任意に設定することができる。本実施の形態では、あらかじめ設定されている複数の候補国から、製造者がテープ印刷装置1の仕向け地として「CANADA」を選択したものとする。
【0065】
また、サーマルヘッド11の熱特性を設定するメカ動作パラメータ設定処理が実行される(S305)。S305のメカ動作パラメータでは、図22に示すようなメカ動作パラメータ設定画面4fが液晶表示部4に表示され、製造者はこのメカ動作パラメータ設定画面4fからサーマルヘッド11の熱特性を任意に設定することができる。
【0066】
また、テープ印刷装置1のUSB(図示外)のID番号を設定するIF通信パラメータ設定処理が実行される(S307)。S307のIF通信パラメータ設定処理では、図23に示すようなIF通信パラメータ設定画面4gが表示され、製造者はこのIF通信パラメータ設定画面4gからUSB(図示外)のID番号を任意に設定することができる。
【0067】
以上のようにして、テープ印刷装置1の出荷前設定処理が実行されると、テープ印刷装置1に各種初期機能が設定されて、その仕向け地に向けて出荷可能となる。S301乃至S307で設定された内容は、RAM103の機能設定記憶領域134に記憶される。そして、テープ印刷装置1の初期起動時には、この機能設定記憶領域134に記憶された機能設定に基づいて各種動作が実行されることになる。
【0068】
次に、上記のように出荷前機能設定が実行されたテープ印刷装置1の動作について、図24を参照して説明する。図24は、第2の実施の形態における、図11のS15に示される時制設定処理の詳細を示すフローチャートである。本実施の形態に係るテープ印刷装置1の動作は、第1の実施の形態(図11)と基本的に同一であるが、前述の時制設定処理(S15)の処理内容が異なる。以下、第1の実施の形態(図11)と異なる点のみを説明する。
【0069】
図24に示すように、本実施形態の時制設定処理では、まずテープ印刷装置1の仕向け地が特定される(S401)。この仕向け地の特定は、出荷前設定処理(図19)の仕向けパラメータ設定処理(S303)で設定された仕向け地を参照して行われる。そして、S401で特定された仕向け地が、本実施の形態において、例えば「アメリカ」又は「カナダ」であるか否かが判定される(S403)。S401で特定された仕向け地が「アメリカ」又は「カナダ」であれば(S403:YES)、時制フラグ記憶領域133に記憶される時制フラグが「OFF」とされて「0」を示すようになる(S405)。一方、S401で特定された仕向け地が「アメリカ」又は「カナダ」以外の国であれば(S403:NO)、当該時制フラグが「ON」とされて「1」を示すようになる(S407)。
【0070】
以上の処理により、時制フラグが「0」であれば、テープ印刷装置1での時間表示(時間印刷)に12時間制が用いられる(図14参照)。一方、時制フラグが「1」であれば、テープ印刷装置1での時間表示(時間印刷)に24時間制が用いられる(図15参照)。なお、本実施の形態では、製造者がテープ印刷装置1の仕向け地として「CANADA」を選択しているため、上記の処理によって12時間制が用いられるように時制フラグが「0」にセットされる。このように、時制設定処理(S15)では、テープ印刷装置1の仕向け地に応じて、ユーザにとって最適な時制を自動的に設定することができる。
【0071】
以上、第2の実施の形態に係るテープ印刷装置1によれば、製造者が任意に設定したテープ印刷装置1の仕向け地を特定し、それに応じて12時間制及び24時間制のいずれかを用いて時間を表示するようにした。よって、12時間制及び24時間制を用いた時間表示を切り替えるための操作を必要とせずに、ユーザに応じた最適な時制で時間表示(時間印刷)を実行することができる。
【0072】
次に、本発明を実施するための第3の形態の形態について、図面を参照して説明する。本実施の形態に係るテープ印刷装置1は、基本的に第1及び第2の実施の形態にかかるものと同一であるが、時間表示(時間印刷)に用いられる時制の選択方法が異なる。以下、第1及び第2の実施の形態と異なる点について説明する。
【0073】
まず、本実施の形態に係るテープ印刷装置1では、その製造時(製品出荷前)に以下の機能設定(出荷前設定処理)が実行されることを前提とする。図25は、第3の実施の形態における、出荷前設定処理のメインフローチャートである。図26は、キーボード種類パラメータ設定画面4hの具体例を示す図である。なお、テープ印刷装置1の出荷前設定処理では、第2の実施の形態と同様に、製造者等が液晶表示部4に表示させた初期機能設定画面からキーボード部3を用いて各種機能設定を実行するものとし、テープ印刷装置1の製品完成から製品出荷までの任意のタイミングで製造者が実行すればよい。
【0074】
図25に示すように、テープ印刷装置1の出荷前設定処理は、第2の実施の形態(図19)と同様であるが、仕向けパラメータ設定処理(S303)に代えて、キーボード部3の種類(すなわち、キーボード部3の対象国や対象地域)を設定するキーボード種類パラメータ設定処理が実行される(S503)。S503のキーボード種類パラメータ設定処理では、図26に示すようなキーボード種類パラメータ設定画面4hが液晶表示部4に表示され、製造者はこのキーボード種類パラメータ設定画面4hからキーボード部3の対象国(対象地域)を任意に設定することができる。本実施の形態では、あらかじめ設定されている複数のキーボード種類から、製造者がキーボード部3の対象国(対象地域)として「USA」を選択したものとする。
【0075】
なお、S501のコントラスト設定処理は、第2の実施の形態(図19のS301,図20参照)と同様である。また、S505のメカ動作パラメータ設定処理は、第2の実施の形態(図19のS305,図22参照)と同様である。また、S507のIF通信パラメータ設定処理は、第2の実施の形態(図19のS307,図23参照)と同様である。
【0076】
以上のようにして、テープ印刷装置1の出荷前設定処理が実行されると、テープ印刷装置1に各種初期機能が設定されて、その仕向け地に向けて出荷可能となる。S501乃至S507で設定された内容は、RAM103の機能設定記憶エリア(図示外)に記憶される。そして、テープ印刷装置1の初期起動時には、この機能設定記憶エリア(図示外)に設定された内容に基づいて各種動作が実行されることになる。
【0077】
次に、上記のように出荷前機能設定が実行されたテープ印刷装置1の動作について、図27を参照して説明する。図27は、第3の実施の形態における、図11のS15に示される時制設定処理の詳細を示すフローチャートである。本実施の形態に係るテープ印刷装置1の動作は、第1の実施の形態(図11)と基本的に同一であるが、前述の時制設定処理(S15)の処理内容が異なる。以下、第1の実施の形態(図11)と異なる点のみを説明する。
【0078】
図27に示すように、本実施形態の時制設定処理では、まずキーボード部3の種類が特定される(S601)。このキーボード種類の特定は、前述の出荷前設定処理(図25)のキーボード種類パラメータ設定処理(S503)でRAM103の機能設定記憶エリア(図示外)に設定されたキーボード種類を参照して行われる。そして、S601でキーボード種類が「USA」であるか否かが判定される(S603)。
【0079】
S601で特定されたキーボード種類が「USA」であれば(S603:YES)、テープ印刷装置1の使用言語が特定される(S601)。この使用言語の特定は、メイン処理(図11)の言語設定処理(S11)で設定された使用言語を参照して行われる。そして、S605で特定された使用言語が、本実施の形態において、例えば「英語」,「スペイン語」,「フランス語」のいずれかであれば(S607:YES)、時制フラグ記憶領域133に記憶される時制フラグが「OFF」とされて「0」を示すようになる(S609)。一方、S601で特定されたキーボード種類が「USA」以外である場合(S603:NO)や、S605で特定された使用言語が「英語」,「スペイン語」,「フランス語」のいずれかにも該当しない場合(S607:NO)は、当該時制フラグが「ON」とされて「1」を示すようになる(S611)。
【0080】
以上の処理により、時制フラグが「0」であれば、テープ印刷装置1での時間表示(時間印刷)に12時間制が用いられる(図14参照)。一方、時制フラグが「1」であれば、テープ印刷装置1での時間表示(時間印刷)に24時間制が用いられる(図15参照)。なお、本実施の形態では、製造者がキーボード部3の対象国(対象地域)として「USA」を選択しており、かつユーザが使用言語として「English」を選択しているため、上記の処理によって12時間制が用いられるように時制フラグが「0」にセットされる。このように、時制設定処理(S15)では、キーボード部3の種類とテープ印刷装置1の使用言語に応じて、ユーザにとって最適な時制を自動的に設定することができる。
【0081】
以上、第3の実施の形態に係るテープ印刷装置1によれば、製造者が任意に設定したキーボード部3の種類と、ユーザが任意に設定した使用言語とを特定し、それらの組み合わせに応じて12時間制及び24時間制のいずれかを用いて時間を表示するようにした。よって、12時間制及び24時間制を用いた時間表示を切り替えるための操作を必要とせずに、ユーザに応じた最適な時制で時間表示(時間印刷)を実行することができる。
【0082】
ところで、上記第1乃至3の実施の形態において、テープ印刷装置1が本発明の「電子機器」に相当し、RTC回路19が本発明の「時計手段」に相当し、液晶表示部4が本発明の「時間表示手段」に相当し、メイン処理(図11)の時制設定処理(S15)を実行するCPU102が本発明の「使用環境特定手段」及び「時制選択手段」に相当し、時制フラグに応じて時間表示を実行するCPU102が本発明の「時間表示制御手段」に相当する。また、サーマルヘッド11が本発明の「印刷手段」に相当し、フォーマット設定画面4b,4cから印刷フォーマットを設定するためのキーボード部3が本発明の「印刷フォーマット設定手段」に相当する。
【0083】
なお、第1の実施の形態において、キーボード部3が本発明の「接続又は内蔵されている機器」に相当し、ソルダーポイント5が本発明の「環境情報」に相当し、キーボード部3の対象国(対象地域)が本発明の「使用環境」に相当する。また、第2の実施の形態において、テープ印刷装置1の仕向け地が本発明の「使用環境」に相当し、仕向けパラメータ設定画面4eから仕向け地を設定するためのキーボード部3が本発明の「使用環境設定手段」に相当する。また、第3の実施の形態において、液晶表示部4が本発明の「表示手段」に相当し、言語設定画面4aから使用言語を設定するためのキーボード部3が本発明の「言語設定手段」に相当し、キーボード種類パラメータ設定画面4hからキーボード種類を設定するためのキーボード部3が本発明の「環境情報設定手段」に相当し、キーボード部3の種類が本発明の「環境情報」に相当する。
【0084】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。上記実施の形態では、「電子機器」としてテープ印刷装置1を例示したが、12時間制及び24時間制を用いて時間表示を制御する時計機能を有する電子機器であれば、ファクシミリ,携帯電話,パーソナルコンピュータ,テレビ,ビデオ,ラジオなどの各種機器に本発明を適用することができる。
【0085】
また、上記実施の形態では、「使用環境」をテープ印刷装置1の使用対象国(使用対象地域)として、それがアメリカ又はカナダであると判断できる場合に12時間制の時間表示(時間印刷)を行うようにしている。しかし、12時間制又は24時間制のいずれを用いるかを適切に判別できるのであれば、「使用環境」として他の情報を用いてもよい。例えば、「使用環境」をテープ印刷装置1のユーザ国籍として、テープ印刷装置1のユーザ国籍がアメリカ人又はカナダ人であると判断できる場合に、12時間制の時間表示(時間印刷)を行うようにしてもよい。
【0086】
また、第1の実施の形態では、「接続又は内蔵されている機器」としてキーボード部3を例示しているが、USB(図示外)やテープカセット51などの他の機器から検出される情報に基づいて、テープ印刷装置1の使用対象国(使用対象地域)を判別するようにしてもよい。また、「環境情報」としてソルダーポイント5を検出しているが、キーボード部3の製造番号やテープカセット51の識別番号などを検出するようにしてもよい。
【0087】
また、第2の実施の形態では、製造者が任意に「使用環境」としてテープ印刷装置1の仕向け地を設定しているが、ユーザが任意にテープ印刷装置1の仕向け地を設定するようにしてもよい。つまり、テープ印刷装置1が12時間制又は24時間制のいずれを用いるかを判別するために必要な情報は、ユーザ又は製造者のいずれが設定したものでもよい。
【0088】
また、第3の実施の形態では、ユーザにより設定された「使用言語」と製造者により設定された「環境情報」との組み合わせに基づいて12時間制又は24時間制のいずれを用いるかを判別しているが、「使用言語」のみに基づいて判別してもよいし、「環境情報」のみに基づいて判別してもよい。また、前述のように、「環境情報」は、キーボード部3の種類に限定されず、USB(図示外)のID番号やテープカセット51の製造番号などの各種情報を利用することができる。
【0089】
なお、上記実施の形態では、時制設定処理(S15)を「時制設定キー」が選択された場合に実行しているが、時制設定処理(S15)は任意のタイミングで実行可能である。よって、テープ印刷装置1の起動開始時(初期設定(S1)の実行時)に、自動的に時制設定処理(S15)が実行されるようにしてもよい。これにより、ユーザによる「時制設定キー」の操作を必要とせず、テープ印刷装置1はその起動時から当該ユーザに応じた時制の時間表示(時間印刷)を実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の時計機能を有する電子機器及び印刷装置は、12時間制及び24時間制を用いて時間表示を制御するテープ印刷装置などに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施の形態における、テープ印刷装置1のテープ収納部の蓋を取り去った状態を示す平面図である。
【図2】テープカセット51の斜視図である。
【図3】テープカセット51の底面図である。
【図4】上ケース52を取り外した状態の下ケース53の平面図である。
【図5】テープ印刷装置1の制御構成を示すブロック図である。
【図6】ROM102の構成を示す模式図である。
【図7】12時間制フォーマット記憶エリア123aの構成を示す模式図である。
【図8】24時間制フォーマット記憶エリア123bの構成を示す模式図である。
【図9】RAM103の構成を示す模式図である。
【図10】CPU101とキーボード部3とを接続するソルダーポイント5の構成図である。
【図11】テープ印刷装置1のメインフローチャートである。
【図12】言語設定画面4aの具体例を示す図である。
【図13】第1の実施の形態における、時制設定処理(S15)の詳細を示すフローチャートである。
【図14】液晶表示部4における12時間単位の時間表示を示す具体例である。
【図15】液晶表示部4における24時間単位の時間表示を示す具体例である。
【図16】時間印刷処理(S19)の詳細を示すフローチャートである。
【図17】フォーマット設定画面4bの具体例を示す図である。
【図18】フォーマット設定画面4cの具体例を示す図である。
【図19】第2の実施の形態における、出荷前設定処理のメインフローチャートである。
【図20】コントラスト設定画面4dの具体例を示す図である。
【図21】仕向けパラメータ設定画面4eの具体例を示す図である。
【図22】メカ動作パラメータ設定画面4fの具体例を示す図である。
【図23】IF通信パラメータ設定画面4gの具体例を示す図である。
【図24】第2の実施の形態における、時制設定処理(S15)の詳細を示すフローチャートである。
【図25】第3の実施の形態における、出荷前設定処理のメインフローチャートである。
【図26】キーボード種類パラメータ設定画面4hの具体例を示す図である。
【図27】第3の実施の形態における、時制設定処理(S15)の詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
1 テープ印刷装置
2 テープカセット収納部
3 キーボード部
4 液晶表示部
5 ソルダーポイント
11 サーマルヘッド
19 RTC回路
67 印字テープ
100 制御装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
121 プログラム記憶領域
122 データ記憶領域
123 時制フォーマット記憶領域
123a 12時間制フォーマット記憶エリア
123b 24時間制フォーマット記憶エリア
133 時制フラグ記憶領域
134 機能設定記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間を計測する時計手段と、前記時計手段により計測された時間を表示する時間表示手段とを備え、12時間制及び24時間制を用いて時間表示を制御する時計機能を有する電子機器であって、
電子機器が使用される環境を特定する使用環境特定手段と、
前記使用環境特定手段により特定された使用環境に応じて、12時間制及び24時間制のいずれを用いて時間を表示するかを選択する時制選択手段と、
前記時制選択手段により選択された時制を用いて、前記時計手段により計測された時間を前記時間表示手段に表示させる時間表示制御手段とを備えたことを特徴とする時計機能を有する電子機器。
【請求項2】
電子機器に接続又は内蔵されている機器の使用環境に関する情報を検出する環境情報検出手段を備え、
前記使用環境特定手段は、前記環境情報検出手段により検出された環境情報に基づいて、電子機器の使用環境を特定することを特徴とする請求項1に記載の時計機能を有する電子機器。
【請求項3】
前記使用環境を任意に設定するための使用環境設定手段を備え、
前記使用環境特定手段は、前記使用環境設定手段から設定された使用環境を、電子機器の使用環境として特定することを特徴とする請求項1に記載の時計機能を有する電子機器。
【請求項4】
電子機器に関する情報を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示される情報に用いられる言語を任意に設定するための言語設定手段とを備え、
前記使用環境特定手段は、前記言語設定手段から設定された使用言語に基づいて、電子機器の使用環境を特定することを特徴とする請求項1に記載の時計機能を有する電子機器。
【請求項5】
電子機器に関する情報を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示される情報に用いられる言語を任意に設定するための言語設定手段と、
電子機器に接続又は内蔵されている機器の使用環境に関する情報を任意に設定するための環境情報設定手段とを備え、
前記使用環境特定手段は、前記環境情報設定手段から設定された環境情報と、前記言語設定手段から設定された使用言語とに基づいて、電子機器の使用環境を特定することを特徴とする請求項1に記載の時計機能を有する電子機器。
【請求項6】
前記使用環境は、電子機器の使用対象国又は使用対象地域であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の時計機能を有する電子機器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の時計機能を有する電子機器は、被記録媒体に印刷データに基づいて印刷する印刷手段を備えた印刷装置であって、
前記時計手段により計測された時間を印刷する場合に、前記印刷手段が用いる印刷フォーマットを任意に設定するための印刷フォーマット設定手段を備えたことを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2007−205961(P2007−205961A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26618(P2006−26618)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】