説明

時限管理装置および時限管理方法

【課題】時限管理情報として誤った情報が記録された場合であっても、時限管理機能を修正し、被再生情報を再生可能とする時限管理装置および時限管理方法を提供する。
【解決手段】記録媒体に記録された情報を読み出す読出し手段10と、改竄防止されるように管理された時計手段60と、読出し手段10と時計手段60とを制御する制御手段90と、を備え、記録媒体には、コンテンツ情報と、前回コンテンツの再生が停止された日時である日時記録情報、再生可能期間情報、再生可能期間の開始日時情報、および再生可能期間の終了日時情報を含む時限管理情報と、が記録され、制御手段90は、時計手段60から取得した時刻情報を用いて、再生可能期間の開始日時情報と再生可能期間の終了日時情報とを修正する時限管理手段90Aを備えるコンテンツ再生装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時限管理装置および時限管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット等の通信ネットワークの普及により、ユーザがネットワークを介してコンテンツ情報を入手することが可能となっている。例えば、ネットワークを介してコンテンツ情報が供給される場合に、コンテンツ情報の再生期間を管理するための情報を付加して視聴可能な期間を限定させる場合がある。
【0003】
従来、再生許可時刻データが記録された記録手段の情報を再生する場合に、標準時刻を取得し再生装置の時計を修正した後に、情報の再生許可時刻か否かを判断する再生時刻管理システムが提案されている。
【特許文献1】特開2005−251248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばコンテンツ情報を再生する装置に搭載される時計の管理方式として、ユーザが時刻を任意に変更でき、改竄防止機能を持たない方式(ModeA)と、ユーザが時刻を任意に変更できず、改竄防止機能を備える方式(ModeB)とがある。
【0005】
時限管理されたコンテンツ情報を記録媒体等の記録手段に記録し、複数の再生装置で再生させる場合には、複数の時計によって時刻情報が管理されるため、コンテンツ情報を購入したユーザが、コンテンツを再生することができない場合があった。
【0006】
例えば、ModeA方式で時計を管理する再生装置内の時計が、現在時刻よりも未来の時刻に設定されていた場合には、この再生装置でコンテンツを再生すると、記録手段に時限管理情報として未来の時刻情報が記録される。
【0007】
このような未来の時刻情報が記録された記録手段を、例えば、ModeB方式で管理された時計を備える装置に接続させた場合、コンテンツの視聴可能期間ではないと判断され、コンテンツを視聴できなくなる場合があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであって、時限管理情報として誤った情報が記録された場合であっても、時限管理機能を修正し、被再生情報を再生可能とする時限管理装置および時限管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様による時限管理装置は、記録手段に記録された情報を読み出す読出し手段と、改竄防止されるように管理された時計手段と、前記読出し手段と前記時計手段とを制御する制御手段と、を備え、前記記録手段には、被再生情報と、前回前記被再生情報の再生が停止された日時である日時記録情報、前記被再生情報の再生可能期間情報、前記再生可能期間の開始日時情報、および前記再生可能期間の終了日時情報を含む時限管理情報と、が記録され、前記制御手段は、前記時計手段から取得した時刻情報を用いて、前記再生可能期間の開始日時情報と前記再生可能期間の終了日時情報とを修正する時限管理手段を備える。
【0010】
本発明の第2態様による時限管理方法は、被再生情報と、前回前記被再生情報の再生が停止された日時である日時記録情報、再生可能期間情報、再生可能期間の開始日時情報、および再生可能期間の終了日時情報を含む時限管理情報と、が記録された記録手段の被再生情報を再生するための時限管理方法であって、前記記録手段から読み出された前記日時記録情報の値から前記再生可能期間の開始日時情報の値を引いて閲覧済時間を求めるステップと、前記再生可能期間の開始日時情報として、改竄防止されるように管理された時計手段から得られた現在時刻を書き込むステップと、前記再生可能期間の終了日時情報として、前記現在時刻と前記再生可能期間情報の値とを足した結果から前記閲覧済時間を引いた値を書き込むステップと、前記日時記録情報として前記現在時刻を書き込む日時記録情報更新ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、時限管理情報として誤った情報が記録された場合であっても、時限管理機能を修正し、被再生情報を再生可能とする時限管理装置および時限管理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態に係るコンテンツ再生装置および時限管理方法について図面を参照して以下に説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るコンテンツ再生装置は、記録手段としての例えばSDカード等の記録媒体に記録された情報を読み出す読出し手段としてのメディアスロット10と、表示装置30と、スピーカ40と、使用者によって操作されるキースイッチ50と、時計60と、記録手段としてのROM(Read only memory)70およびRAM(Random Access Memory)80と、これらの動作を制御するCPUモジュール90とを備えている。これらはバス配線を介してネットワーク20に接続されている。
【0014】
キースイッチ50の操作情報は、CPUモジュール90に供給され、CPUモジュール90は、供給された操作情報に応じて、表示装置30やスピーカ40等を制御し、所定の映像や音声を出力させる。ROM70やRAM80は、CPUモジュール90の動作時の一時記憶手段等として用いられる。
【0015】
時計60は、ユーザが時刻を任意に変更できず、改竄防止されるように管理されている。すなわち、本実施形態に係るコンテンツ再生装置は、CPUモジュール90によって時計60の時刻が一定の精度を保つように調整されるModeB方式で管理された装置である。この時計60の時刻は、例えばネットワーク20を介して得られる標準時刻情報によって一定の精度を保つように調整される。
【0016】
メディアスロット10に接続される記録媒体に時限管理されたコンテンツ情報(被再生情報)が記録される場合には、例えば図2に示すような時限管理情報が合わせて記録される。図2に示すように、[Time Stamp]は、コンテンツ情報書き込み時、あるいは、コンテンツ再生時に再生装置から時刻を取得して更新される。
【0017】
[Start Date/Time](s0)は、コンテンツ情報の再生可能開始日時である。[End Date/Time](e0)は、コンテンツ情報の再生可能終了日時である。[Span]は、コンテンツ情報の再生を開始してから再生可能な期間である。
【0018】
[Span: Start Date/Time](ss)は、[Span]情報用の再生開始日時、すなわち、再生可能期間の開始日である。[Span: End Date/Time](se)は、[Span]情報用の再生終了日時、すなわち、再生可能期間の終了日である。
【0019】
[First Play Flag]は、[Span]情報用の再生開始フラグである。[修正済フラグ]は、ModeB方式で管理された時計手段によって時限管理情報が修正された場合に更新される時刻修正済情報である。
【0020】
上記時限管理情報のうち、[Time Stamp]、[Start Date/Time]、[End Date/Time]、[Span]、および[First Play Flag: Reset]はコンテンツ情報書込時に記録媒体に同時に書き込まれる。
【0021】
上記のように時限管理情報と同時に記録されたコンテンツ情報は、図3に示すように、[Start Date/Time]の日時と[End Date/Time]の日時との間の範囲T1で視聴可能であって、さらに、範囲T1内であってもコンテンツ情報の視聴を開始してから[Span]の期間T2([Span Start Date Time]の日時から[Span End Date Time])のみ視聴可能となる。
【0022】
上記のような時限管理情報が記録された記録媒体のコンテンツ情報を再生する再生方法について図4を参照して説明する。上記のような時限管理情報が記録された記録媒体が、コンテンツ再生装置のメディアスロットに接続された場合、このコンテンツ再生装置のCPUモジュールは、コンテンツ情報の再生開始時に、装置の日時情報が[Start Date/Time]と[End Date/Time]との間か否かを確認し(ステップSTA1)、装置の日時情報がすでに[Start Date/Time]から[End Date/Time]の範囲外ならコンテンツ情報を再生しない(ステップSTA8)。
【0023】
CPUモジュールは、時計から取得した日時情報が[Start Date/Time]と[End Date/Time]との間の範囲ならば、[First Play Flag]を確認し(ステップSTA2)、初回の再生(Reset)であった場合、[First Play Flag]をSetし(ステップSTA3)、[Span Start Date/Time]を現時刻で、[Span End Date/Time]を[Span Start Date/Time]と[Span]とを足した値により更新する(ステップSTA4)。
【0024】
さらに、CPUモジュールは、装置から取得した現時刻で[Time Stamp]を更新し(ステップSTA6)、再生を行う(ステップSTA7)。
【0025】
初回の再生でない場合、CPUモジュールは、現時刻が[Span Start Date/Time]と[Span End Date/Time]との間の範囲か否かを確認し(ステップSTA5)、この範囲外なら再生しない(ステップSTA8)。
【0026】
現時刻が[Span Start Date/Time]と[Span End Date/Time]との間の範囲ならば、装置から取得した現時刻で[Time Stamp]の日時を更新し(ステップSTA6)、再生を行う(ステップSTA7)。[Time Stamp]の日時は、再生停止時に更新される。
【0027】
上記のようにコンテンツの再生を行ったコンテンツ再生装置がModeA方式で管理された時計を備え、例えばこの時計の時刻が現時刻よりも未来に設定されている場合、上記処理により、記録媒体内の時限管理情報が、未来の時計情報で設定されてしまう。
【0028】
上記のように、ModeA方式で管理される時計を備えるコンテンツ再生装置で、誤った時限管理情報が記録された後に、ModeB方式で管理される時計を備えるコンテンツ再生装置や、ModeA方式で管理される時計を備える他のコンテンツ再生装置でコンテンツ情報を再生しようとすると、例えば、現在時刻が上記処理により記録されたコンテンツ再生可能期間の開始日時([Span Start Date/Time])よりも前であった場合には、実際にはコンテンツ視聴可能期間であるにもかかわらず、コンテンツが再生されない場合が生じる。
【0029】
本実施形態に係るコンテンツ再生装置は、例えば上記のように時限管理情報を修正することが必要な場合に、時限管理情報に正しい時刻情報によって修正する時限管理部90Aを備える時限管理装置である。時限管理部90Aは、時計60から取得した時刻情報を用いて、再生可能期間の開始日時情報([Span Start Date/Time])と再生可能期間の終了日時情報([Span End Date/Time])とを修正する手段を備える。
【0030】
上記のように、ModeA方式で管理された時計の時刻情報による時限管理情報が記録された記録媒体が、メディアスロット10にセットされると、時限管理部90Aは、[Span Start Date/Time]、および、[Span End Date/Time]を[Time Stamp]と現時刻との差分で修正し、[Time Stamp]を現時刻で更新する。
【0031】
すなわち、時限管理部90Aは、前回の再生が停止された時に更新された[Time Stamp]情報の日時から[Span Start Date Time]情報の日時を差し引いて、コンテンツ閲覧済時間を算出する(ステップSTB1)。続いて、[Span Start Date Time]情報としてModeB方式で管理されている時計60から得られた現在時刻を書き込む(ステップSTB2)。
【0032】
続いて、[Span End Date Time]として、現在時刻と[Span]情報の値とを足した値から、コンテンツ閲覧済時間を引いた値を書き込む(ステップSTB3)。[Time Stamp]として現在時刻を書き込み(ステップSTB4)、時刻修正済情報([修正済フラグ])をセットする(ステップSTB5)。
【0033】
上記のように時刻修正済情報をセットすると、次回、他のコンテンツ再生装置でコンテンツが再生された場合に、例えば、表示装置やスピーカによって、使用者にコンテンツ再生装置側の時計が正しいか否かを確認するメッセージを出力することが可能となる。メッセージ出力後、使用者の了解を得る等の後に、時刻修正済情報がリセットされるようにしてもよい。
【0034】
上記のように時限管理情報を修正することによって、時限管理情報が誤って記録されることがあったとしても、時限管理情報を修正してコンテンツを再生させることが可能となる。
【0035】
したがって、本実施形態に係るコンテンツ再生装置(時限管理装置)およびその時限管理方法によれば、時限管理情報として誤った情報が記録された場合であっても、時限管理機能を修正し、被再生情報を再生可能とする時限管理装置および時限管理方法を提供することができる。
【0036】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、上記のコンテンツ再生装置は、表示装置30およびスピーカ40を備えていたが、表示装置およびスピーカは外部に接続されていても良い。
【0037】
また、上記のコンテンツ再生装置には、SDカード等の記録媒体が接続されていたが、コンテンツ再生装置に接続される記録手段は、ハードディスクドライブ(HDD)やUSDメモリ、CD、DVD等の記録手段であっても良い。
【0038】
したがって、上記のコンテンツ再生装置は、読み出し手段として記録媒体が接続されるメディアスロットを備えていたが、読み出し手段は例えばCD、DVD等の記録媒体に記録された情報を読み出す手段であってもよく、例えばハードディスクドライブやUSBメモリ等に記録された情報を読み出す手段であってもよい。
【0039】
記録手段は被再生情報とその時限管理情報とが合わせて記録されている記録手段であればよく、読み出し手段は、このような記録媒体から情報を読み出す手段であればよい。これらの場合であっても、上記の実施形態に係るコンテンツ再生装置およびコンテンツ再生装置の時限管理方法と同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ再生装置の一構成例を説明するための図。
【図2】図1に示すコンテンツ再生装置において、記録媒体に記録された時限管理情報の一例を説明するための図。
【図3】図2に示す時限管理情報を含む記録媒体のコンテンツを再生可能な期間の一例について説明するための図。
【図4】図2に示す時限管理情報を含む記録媒体のコンテンツの再生方法の一例について説明するためのフローチャート。
【図5】本発明の一実施形態にかかるコンテンツ再生装置の時限管理方法の一例について説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0042】
10…メディアスロット(読出し手段)、60…時計、90…CPUモジュール、90A…時限管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録手段に記録された情報を読み出す読出し手段と、
改竄防止されるように管理された時計手段と、
前記読出し手段と前記時計手段とを制御する制御手段と、を備え、
前記記録手段には、被再生情報と、前回前記被再生情報の再生が停止された日時である日時記録情報、前記被再生情報の再生可能期間情報、前記再生可能期間の開始日時情報、および前記再生可能期間の終了日時情報を含む時限管理情報と、が記録され、
前記制御手段は、前記時計手段から取得した時刻情報を用いて、前記再生可能期間の開始日時情報と前記再生可能期間の終了日時情報とを修正する時限管理手段を備える時限管理装置。
【請求項2】
前記時限管理手段は、前記記録手段から読み出された前記日時記録情報の値から前記再生可能期間の開始日時情報の値を引いて閲覧済時間を求める手段と、
前記再生可能期間の開始日時情報を、前記時計手段から得られた現在時刻とする手段と、
前記再生可能期間の終了日時を、前記現在時刻と前記再生可能期間情報の値とを足した結果から前記閲覧済時間を引いた値とする手段と、
前記日時記録情報を前記現在時刻とする手段と、を備える請求項1記載の時限管理装置。
【請求項3】
前記時限管理情報は、時限管理情報が修正された場合に更新される時刻修正済情報を含み、
前記時限管理手段は、時限管理情報を修正した後に、前記時刻修正済情報を更新する手段を備える請求項1または請求項2記載の時限管理装置。
【請求項4】
被再生情報と、前回前記被再生情報の再生が停止された日時である日時記録情報、再生可能期間情報、再生可能期間の開始日時情報、および再生可能期間の終了日時情報を含む時限管理情報と、が記録された記録手段の被再生情報を再生するための時限管理方法であって、
前記記録手段から読み出された前記日時記録情報の値から前記再生可能期間の開始日時情報の値を引いて閲覧済時間を求めるステップと、
前記再生可能期間の開始日時情報として、改竄防止されるように管理された時計手段から得られた現在時刻を書き込むステップと、
前記再生可能期間の終了日時情報として、前記現在時刻と前記再生可能期間情報の値とを足した結果から前記閲覧済時間を引いた値を書き込むステップと、
前記日時記録情報として前記現在時刻を書き込む日時記録情報更新ステップと、を備える時限管理方法。
【請求項5】
前記時限管理情報は、前記再生可能期間の開始日時情報と前記再生可能期間の終了日時情報とが修正された場合に更新される時刻修正済情報をさらに含み、
前記日時記録情報更新ステップ後に、前記時刻修正済情報を更新するステップをさらに備える請求項4記載の時限管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−129126(P2010−129126A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302801(P2008−302801)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】