説明

景品管理装置

【課題】遊技媒体という遊技店に特有の媒体の元で、景品を商品のごとく管理することを支援する装置を提供する。
【解決手段】景品管理装置10は、コンピュータ12と記憶装置14を備える。記憶装置14は、複数の景品の夫々について、遊技者が獲得した遊技媒体との交換に必要な交換遊技媒体数と、遊技媒体の貸出単価とは異なる価値であって景品との交換における遊技媒体の単価を示す交換単価を記憶している。コンピュータ12は、交換遊技媒体数に交換単価を乗じて得られる景品提供価格を表示させる。景品提供価格は、一般の小売店における商品売値に対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者が獲得した遊技媒体と交換するための景品を管理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店やパチスロ店などの遊技店では、遊技者が獲得したパチンコ玉やメダルなどの遊技媒体を、それらの数に応じてタバコや菓子などの景品と交換することが慣行になっている。そのため、景品の管理業務の効率化が遊技店における経営上の課題の一つとなっている。一つの方法として、遊技店と景品を提供する業者(景品の製造会社や販売会社)をインターネットでつなぎ、遊技者は、獲得した遊技媒体数に応じた景品を、遊技店に備えられた端末から直接に景品提供業者に伝えるシステムが提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−136748号公報
【特許文献2】特開2001−340598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利益管理も含む景品管理を、遊技店とは異なる業者に委託するのも一つの解決策ではあるが、それでは業者の手数料が嵩んでしまう。従来通り、遊技店にて景品を仕入れ、効率よく管理することが望まれている。
【0005】
景品を管理するための装置は従来から存在した。例えば図12に、従来の景品管理装置が表示するモニタ画面の一例を示す。モニタ画面90には、景品データベースに記憶されている帳票92が表示されている。この例では、景品毎に、景品コード、景品の種別(特殊景品、お菓子、タバコ、玩具など、その景品の種類を表す)、仕入原価、交換玉数(交換遊技媒体数)、及び、市場価格(「販売価格」)が表示されている。
【0006】
景品との交換に要する交換玉数(交換遊技媒体数)は、景品毎に遊技店側が予め定めることができる。交換玉数に、遊技媒体の「貸出単価」を乗じた値は、その景品の市場価格に相当する。「貸出単価」とは、遊技店が遊技媒体を貸し出す際の遊技媒体1個当たりの貸し出し価格である。図12の例では、遊技媒体1個の貸出単価を4円として「販売価格」が計算されている。
【0007】
景品を交換する際、等価交換をする場合には上記「販売価格」が、実際に遊技者に提供する価格となる。しかしながら、等価交換をしない遊技店も多く存在する。そうすると、貸出単価を用いて「販売価格」を算出して表示している図12の帳票92では、販売価格から仕入原価を差し引いた値を算出しても、各景品について景品交換の際に利益があるのか損失があるのか、一見しただけではわからない。
【0008】
小売店は、商品毎に売値を操作することで、利益率は低いが客にとって魅力的な商品を作り、その一方で、客にとっては価格的な魅力は小さいが利益率が大きい商品を作り、集客力と収益力の向上を図っている。遊技店において、それぞれの景品について発生する個別の利益を認識することによって、経営効率化を図ることが期待される。以上の状況に鑑み、本発明は、景品毎の利益管理を容易にする装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、遊技店において、遊技者が獲得した遊技媒体との交換に供する景品を管理する装置(景品管理装置)に関する。景品管理装置は、記憶装置とコンピュータを備える。記憶装置は、複数の景品の夫々について、交換に必要な遊技媒体数(交換遊技媒体数)と、遊技媒体の貸出単価とは異なる価値であって景品との交換における遊技媒体1個の価値(単価)を示す交換単価を記憶している。コンピュータは、交換遊技媒体数に交換単価を乗じて得られる景品提供価格を表示させる。以下、「景品提供価格」を単に「提供価格」と称する。交換遊技媒体数は、遊技店が予め定める。交換単価は、典型的には金額で表される。コンピュータは、提供価格をモニタに表示する場合があれば、印刷する(即ち紙媒体に表示する)場合もある。この景品管理装置は、景品毎の提供価格を表示するので、遊技店の経営者は、景品毎のいわゆる「売値」を把握できるという利点が得られる。なお、「交換単価」は、遊技店の従業員が設定・入力するものであってよい。或いは、「交換単価」は、所定のアルゴリズムに基づいてコンピュータが算出するものであってもよい。
【0010】
記憶装置はさらに、景品の仕入原価を記憶しており、コンピュータは、提供価格と仕入原価の差額を表示させることが好ましい。差額は、その景品を提供した際に遊技店が得る利益に相当する。差額が表示されると遊技店の利益を計算し易くなる。なお、以下では、「提供価格と仕入原価の差額」を「提供利益」と称する場合がある。
【0011】
コンピュータは、記憶装置に記憶されている複数の景品について、提供価格、提供利益、又は、過去に提供した景品数にその景品の提供利益(上記した差額)を乗じた提供利益合計(利益合計)、のいずれかの額の昇順又は降順で景品名をリスト表示させることが好ましい。「昇順」とは、額の小さいものから順に並べることであり、「降順」とは、額の大きいものから順に並べることを意味する。降順でリスト表示すると、利益への貢献度が高い景品が把握でき、昇順でリスト表示すると、利益への貢献度が低い景品が把握できる。なお、コンピュータは、記憶装置が記憶している全ての景品について昇順または降順でリスト表示する必要はない。例えば上位10位までをリスト表示することも好適である。
【0012】
記憶装置は、予め定められた特殊景品の仕入原価と交換遊技媒体数を記憶しており、コンピュータは、特殊景品の仕入原価を特殊景品の交換遊技媒体数で除した値を前記交換単価として用いることも好適である。多くの遊技店では、多種の一般的な景品とは別に、特殊景品を定めている。特殊景品は、他の景品と比較するとユーザが交換を希望する頻度が極めて高い景品である。他方、特殊景品の交換単価は、特殊景品の仕入原価を特殊景品の交換遊技媒体数で除して求められる。コンピュータは、この特殊景品の交換単価を用いて算出された他の景品の提供価格を表示するとよい。その提供価格は、特殊景品を基準として、遊技店にとって有利な景品であるか否かを表す一つの指標となる。即ち、そのような提供価格に基づくと、遊技店の経営者は、各景品が、特殊景品よりも利幅が大きいのか小さいのかを把握することができる。
【0013】
記憶装置は、上記のデータとともに、景品の在庫数が記録されている在庫データを記憶しているとよい。この場合、コンピュータは、提供された景品数(交換数)を在庫数から減じるとともに、在庫数が予め定められた発注喚起数以下となった景品について、その景品の差額(提供利益)に応じて異なるメッセージを表示させるように構成されているとよい。差額が大きいことは、利幅が大きいことを意味するから、コンピュータは、差額が大きい景品の場合には、積極的に仕入れる(即ち予定仕入れ量より、或いは、前回仕入れ量より多く仕入れる)ことを促すメッセージ(発注を促すメッセージ)を出力するとよい。逆に、差額が小さいことは、利幅が小さいことを意味するから、コンピュータは、差額が小さい景品の場合には、予定仕入れ量より、あるいは、前回の仕入れ量よりも少なく仕入れることを促すメッセージを出力するとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、「遊技媒体」という遊技店に特有の媒体の元で、景品毎の利益管理を容易にする装置を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例の景品管理装置のブロック図を示す。
【図2】実施例の景品管理装置の画面の一例を示す(1)。
【図3】実施例の景品管理装置の画面の一例を示す(2)。
【図4】実施例の景品管理装置の画面の一例を示す(3)。
【図5】実施例の景品管理装置の画面の一例を示す(4)。
【図6】実施例の景品管理装置の画面の一例を示す(5)。
【図7】実施例の景品管理装置の画面の一例を示す(6)。
【図8】実施例の景品管理装置の画面の一例を示す(7)。
【図9】実施例の景品管理装置の画面の一例を示す(8)。
【図10】実施例の景品管理装置の画面の一例を示す(9)。
【図11】実施例の景品管理装置の画面の一例を示す(10)。
【図12】従来の景品管理装置の画面の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に、景品管理装置10のブロック図を示す。景品管理装置10は、コンピュータ12と、コンピュータ12に接続されているモニタ16、キーボード17、マウス18、バーコードリーダ19、及び、記憶装置14(ハードディスク装置)を備える。記憶装置14には、景品に関する情報が登録された景品データベースが格納されている。景品データベースの詳細については後述する。以下、景品データベースを単にデータベースと称する。また、このデータベースに基づいて表示されたものは、「帳票」と呼ばれることがある。なお、所定のデータが登録されたデータベースを記憶装置14が記憶しているということは、記憶装置14がその「所定のデータ」を記憶していることに他ならないことに留意されたい。
【0017】
キーボード17、マウス18、及び、バーコードリーダ19は、遊技店の従業員等が操作するいわゆる入力デバイスである。従業員は、キーボード17、マウス18を操作し、データベースへのデータの登録や、遊技者に提供した景品の個数を入力する。バーコードリーダ19は、景品に付されているバーコードを読み取るために備えられている。遊技者へ提供する景品のバーコードを読み取ることによって、遊技者へ提供する景品の名称が景品管理装置10に入力される。モニタ16には、景品データベースの内容が表示される(即ち帳票が表示される)。詳しくは後述するが、景品データベースには各景品の在庫数も記録されており、景品が遊技者に提供される毎に従業員が提供された景品数を入力すると、コンピュータ12がデータベース上の在庫数を更新する。景品管理装置10は、図示しない他の装置、例えば、各遊技機の遊技情報を管理するホールコンピュータに接続している。また、図示を省略しているが、コンピュータ12にはプリンタも接続されており、データベースに記録された情報(帳票)を印刷して出力する(表示する)こともできる。
【0018】
図2は、モニタ16の表示画面の一例(表示画面16a)を示している。図2を参照して、データベースの構造とともに、表示される情報について説明する。表示されている帳表20は、データベースに記憶されているデータに基づいて表示されている。データベースには、複数の景品の夫々について、景品コード、景品名、種別、仕入原価、交換玉数(交換遊技媒体数)、販売価格、提供価格、提供利益(後述する)、交換数(出庫数)、提供利益合計(後述する)、及び、在庫数が対応付けられて記憶されている。これらの項目のうち、従業員によって入力されるのは、景品コード、景品名、種別、仕入原価、交換玉数、初期の在庫数である。販売価格、提供価格、提供利益、提供利益合計、在庫数(景品が提供された後の在庫数)は、コンピュータ12が計算する。仕入原価、販売価格、提供価格、提供利益、提供利益合計の単位は「円」である。交換玉数の単位は「個」である。
【0019】
帳票20の各項目について説明する。景品コードは、コンピュータが各景品を識別・管理するのを容易にするための識別子である。種別は、景品の種類を表す記号である。例えば種別Sは、景品Aが特殊景品であることを表している。種別Tは、景品B、景品Cがタバコであることを表している。種別Cは、景品D〜Fが、CD(コンパクトディスク)であることを表している。仕入原価は、各景品の仕入値である。交換玉数は、遊技者が景品を受け取るのに必要な遊技媒体数(交換に必要な遊技媒体数)である。交換数(出庫数)は、過去に出庫した景品数、即ち、過去に遊技者に提供された景品数である。在庫数は、現在の景品の在庫の個数である。
【0020】
データベース上の項目である販売価格、提供価格、提供利益、提供利益合計を説明する前に、画面16aの右上に表示されている貸出単価と交換単価について説明する。貸出単価は、遊技者(遊技店の客)が遊技を開始する際、遊技店から遊技媒体を借り受ける際の遊技媒体1個当たりの借り賃である。交換単価は、景品と交換する際の遊技媒体1個当たりの価値を表す。本実施例では、貸出単価、交換単価はともに、従業員が入力する。貸出単価は4.0円に設定され、交換単価は2.5円に設定されている。交換単価は、一例として、特殊景品(データベース上で種別Sが設定されている景品)のデータに基づいて決定される。例えば、交換単価は、[特殊景品の仕入原価]/[特殊景品の交換玉数]を基準に設定される。本実施例では、[特殊景品の仕入原価]/[特殊景品の交換玉数]=203円/80個=2.5375円/個であり、この値の少数第2位以下を切り捨てにして、交換単価=2.5円/個が設定される。ただし、交換単価は遊技店が任意に設定してもよい。例えば、[全景品の仕入原価合計]/[交換玉数合計]を基準に設定されていてもよい。
【0021】
帳票20の「販売価格」は、各景品の交換玉数に貸出単価を乗じた値である。「提供価格」は、各景品の交換玉数に交換単価を乗じた値である。
【0022】
帳票20の「提供利益」は、提供価格から仕入原価を引いた値(差額)である。景品Aの場合、提供価格が200円であり、原価が203円であるから、提供利益はマイナス3円となっている。「提供利益合計」は、提供利益に交換数(即ち、過去に交換された景品数であり、出庫した個数である)を乗じた値である。
【0023】
画面16aに表示された帳票20の活用例を説明する。まず、景品D(景品コード021の景品)の場合を説明する。帳票20によると、景品Dの市場価格(販売価格)は600円である。また、景品Dの提供価格は375円であり、交換玉数は150個である。景品Dは1個300円で仕入れているので、1個交換する毎に遊技店は375円(提供価格)−300円(仕入価格)=75円の利益を得る。この値が「提供利益」の項目に表示されている。なお、図2の場合、景品Dは、50個が交換(提供)されているので、遊技店は75円(提供利益)×50個(交換数)=3750円の利益を得ている。この値が、「提供利益合計」の項目に表示されている。他方、特殊景品Aは、世間での換金に好都合な景品であり、仮に150個の玉が景品Dでなく、特殊景品Aに交換された後に換金されると仮定すると、375円となる。150個の遊技媒体が特殊景品Aを介して換金される場合は遊技店にとって損得なしであるが、景品Dと交換される場合、景品1個の交換に際して遊技店は75円の利益を得る。即ち、景品Dは遊技店にとって、特殊景品Aと交換されるよりも利益を生む景品であることが分かる。
【0024】
次に、景品F(景品コード023の景品)の場合を説明する。帳票20によると、景品Fの市場価格(販売価格)は、1888円である。また、景品Fの提供価格は1180円であり、交換玉数は472個である。景品Fは1個1200円で仕入れているので、1個交換する毎に遊技店は1180円(提供価格)−1200円(仕入価格)=−20円の損失を出す。この値が「提供利益」の項目に表示されている。図2の場合、景品Fは1500個が提供(交換)されているので、遊技店は−20円(提供利益)×1500個(交換数)=−30000円の損失を出している。この値が、「提供利益合計」の項目に表示されている。472個の遊技媒体が特殊景品Aを介して換金される場合は遊技店にとって損得なしであるが、景品Fと交換される場合、景品1個の交換に際して遊技店は20円の損失を出す。景品Fは、1個交換されるごとの損失は20円だけであるが、人気があって交換数が多いため、合計で30000円の損失となり、遊技店の経営にとって問題があることが帳票20から把握することができる。このケースの場合、遊技店は、仕入原価の値下げ交渉を行うという戦略を立てることができる。値下げ交渉により1180円に値下げしてもらうことができれば、少なくとも損失を出さずに済むように経営を改善できる。
【0025】
次に景品I(景品コード026の景品)の場合を説明する。帳票20によると、景品Iの市場価格(販売価格)は1200円である。また、景品Iの提供価格は750円であり、交換玉数は300個である。景品Iは、1個780円で仕入れているので、1個交換する毎に遊技店は750円(提供価格)−780円(仕入価格)=−30円の損失を出す。この値が「提供利益」の項目に表示されている。図2の場合、景品Iは15個が提供(交換)されているので、遊技店は−30円(提供利益)×15個(交換数)=−450円の損失を出している。300個の遊技媒体が特殊景品Aを介して換金される場合は遊技店にとって損得なしであるが、景品Iと交換される場合、景品1個の交換に際して遊技店は30円の損失を出す。景品Iは、1個交換されるごとの損失は30円だけであるが、交換数が少ないため、合計450円の損失で済んでいる。景品Iについても仕入原価の値下げ交渉をした方がよいが、損失合計が少ないので交渉の優先度は低い、という経営戦略が策定できる。
【0026】
次に、景品G(景品コード024の景品)の場合を説明する。帳票20によると、景品Gの市場価格(販売価格)は800円である。また、景品Gの提供価格は500円であり、交換玉数は200個である。景品Gは450円で仕入れているので、1個交換する毎に遊技店は500円(提供価格)−450円(仕入価格)=50円の利益を得る。この値が「提供利益」の項目に表示されている。図2の場合、景品Gは300個が提供(交換)されているので、遊技店は50円(提供利益)×300個(交換数)=15000円の利益を得ている。この値が、「提供利益合計」の項目に表示されている。200個の遊技媒体が特殊景品Aを介して換金される場合は遊技店にとって損得なしであるが、景品Gと交換される場合、景品1個の交換に際して遊技店は50円の利益を得ることができる。即ち、景品Gは遊技店にとって、特殊景品Aに交換されるよりも利益を生む景品であることが分かる。
【0027】
上記例のように、帳票20の表示は、経営戦略の立案に大きく貢献する。特に、提供利益の値がプラスであれば、その景品の交換で遊技店は利益を得ることができるが、提供利益の値がマイナスであれば、その景品の交換で遊技店は損失を出すことが、帳票20の表示から把握することができる。
【0028】
図2の符号a2が示す2個の三角記号は、表示されている表の並び替えを行うためのスイッチである。左側の上向き三角記号をクリックすると、表示されているデータは、その項目の数値の降順に並び替えられる。右側の下向きの三角記号をクリックすると、表示されているデータは、その項目の数値の昇順に並び替えられる。図3は、提供価格の欄の左側の三角記号をクリックしたときの画面(画面16b)である。破線部b1、b2が示すように、提供価格の降順(提供価格の大きい順)に、景品のリストが並び替えられている。
【0029】
表の並び替えは、符号a3が示している「並び替え」ボタンをクリックすることによっても実行できる。例えば、図2の表示において、まず、「提供利益」の項目を選択した後(「提供利益」と表示されたセルをクリックした後)、「並び替え」のボタンa3をクリックすると、図4cに示すように、ポップアップ画面c1が表示される(画面16c)。ポップアップ画面c1の中の「OK」のボタンをクリックすると、モニタの表示が図5の画面16dに切り換わる。画面16dの破線部d1が示すように、「提供利益」の値の昇順(提供利益の小さい順)に、景品のリストが並び替えられる。また、図2の画面において「提供利益合計」の項目をクリックした後、「並び替え」のボタンa3をクリックし、さらにポップアップ画面c1の「OK」をクリックすると、表示が図6の画面16eに切り換わる。画面16eの破線部e1が示すように、この場合、「提供利益合計」の値の昇順に、景品リストが並び替えられる。
【0030】
図2の符号a4が示すボタンは、表示されたデータに対してABC分析を実行するためのボタンである。ABC分析とは、「重点分析」とも呼ばれ、複数存在するものを整理して大事なものから順に並べ、プライオリティをつけて管理するための分析手法であり、経営のあらゆる面で活用できる有力な管理手法の一つである。例えば、表示されている「提供価格」と記されたセルと「交換数」と記されたセルをクリックしたのち、ボタンa4をクリックすると、図7に示すように、ABC分析の結果が、「提供価格」×「交換数」を縦軸とするグラフとなって表示される(画面16f)。もちろん、「提供価格」と「交換数」以外の項目のセルをクリックすることで、ABC分析の対象を変更することができる。なお、変形例として、「ABC分析」のボタンをクリックすると、横軸及び/又は縦軸を設定する画面が表示されるようにすることも好適である。
【0031】
図2の符号a5が示す2つのボタンを説明する。販売価格、提供価格、提供利益、又は、提供利益合計のいずれかの項目について降順にリスト表示させた後に左側の「円グラフ」と書かれたボタンをクリックすると、降順の上位5つの景品が円グラフ表示される。販売価格、提供価格、提供利益、又は、提供利益合計のいずれかの項目について降順にリスト表示させた後に右側の「棒グラフ」と書かれたボタンをクリックすると、降順の上位5つの景品が棒グラフ表示される。
【0032】
次に、景品管理装置10の在庫管理機能について説明する。遊技店の従業員は、遊技者が獲得した遊技媒体をいずれかの景品と交換する際、バーコードリーダ19を使って景品の種類を景品管理装置10に入力するとともに、交換する景品の個数(交換個数)を入力する。景品管理装置10は、入力された景品の入力された交換個数を、対応する景品の出庫数に加算するとともに、対応する景品の在庫数から交換個数を減算する。即ち、コンピュータ12は、在庫データを更新する。景品管理装置10には、景品毎に、発注喚起数が予め登録されている。発注喚起数とは、景品在庫数が少なくなり、景品を新たに発注して在庫を増やす時期であること従業員に知らせるために定められている数値である。コンピュータ12は、在庫数が発注喚起数を下回った場合、その旨を通知するメッセージを表示する。ここで、コンピュータ12は、在庫数が発注喚起数を下回った景品の提供利益に応じて異なるメッセージを出力する。コンピュータ12は、提供利益が予め定められた閾値利益額よりも大きい場合、積極的に(即ち予定仕入れ量より、或いは、前回仕入れ量より多く)仕入れることを促すメッセージを出力する。逆に、コンピュータ12は、提供利益が予め定められた閾値利益額よりも小さい場合には、予定仕入れ量より、あるいは、前回の仕入れ量よりも少なく仕入れることを促すメッセージを出力する。
【0033】
図8に、メッセージ出力の一例(画面16g)を示す。例えば、景品Hの発注喚起数は25に設定されており、閾値利益額は500円に設定されているとする。図8のケースでは、景品Hの在庫数が発注喚起数である25を下回ったので(符号g1)、発注を促すメッセージg2が表示されている。景品Hの提供利益は812円であり、閾値利益額500円よりも大きいので、「多量の発注を推奨します」というメッセージが付加されている。
【0034】
メッセージ出力の態様は、上記例に限られない。たとえば、景品の在庫数が発注喚起数を下回った場合、自動発注を促すメッセージを記したポップアップ画面が割り込みでモニタに表示されることも好適である。この場合、その画面表示に景品名や在庫数を表示するとともに、その景品の提供利益が表示されることが好ましい。
【0035】
メッセージ出力の他の例を説明する。図9に示されているポップアップ画面h1は、在庫数が予め定められた適正在庫数を下回ったときに表示される。適正在庫数は、景品毎に予め定められる。適正在庫数は、遊技店の従業員が事前に定め、景品管理装置10に入力しておく。或いは、適正在庫数は、景品管理装置10が、1日当たりの平均出庫数に基づいて自動的に算出して更新するようにしてもよい。
【0036】
図9の例では、景品Eの在庫が20個になり、適正在庫数21個を下回ったので、景品管理装置10はポップアップ画面h1を表示する。景品管理装置10は、景品仕入先の業者のコンピュータとオンラインで接続しており、ポップアップ画面h1内の「発注」ボタンがクリックされると、景品Eについて、予め定められた発注量を仕入先の業者へオンラインで発注する。「後で」ボタンがクリックされた場合には、在庫がさらに5個減少したときに景品管理装置10はポップアップ画面h1を再度表示する。「不要」ボタンがクリックされた場合、景品管理装置10は、ポップアップ画面h1を消去するだけで後は何もしない。
【0037】
景品管理装置10が出力するメッセージの他の例を図10に示す(画面16j)。景品管理装置10は、提供損失が予め定められた値(例えば30円)以上のときには、自動発注を促す画面ではなく、注意喚起のポップアップ画面j1を表示する。どちらの画面も表示しないようにしてもよい。遊技店の従業員は、注意喚起のメッセージに反しても発注を望む場合は、「発注ロック解除」ボタンをクリックすればよい。このボタンがクリックされると景品管理装置10は、ネットワークで接続している仕入先の業者のコンピュータに対して、景品Iを所定量だけ、オンラインで発注する。
【0038】
メッセージのさらに別の例を図11に示す(画面16k)。この例では、景品管理装置10は、提供損失が予め定められた値(例えば30円)以上のときには、自動発注を促す画面ではなく、所定の条件を満たす代替の景品の発注を促すポップアップ画面k1を表示する。所定の条件とは、例えば、提供利益が所定額以上という条件である。ポップアップ画面k1では、提供利益が50円である景品Mを代替景品として発注することを喚起するメッセージが表示されている。従業員は、メッセージに従って代替景品の発注を希望する場合は「代替発注」のボタンをクリックする。そうすると景品管理装置10は、景品Mを所定量オンラインで発注する。従業員がメッセージに反しても景品Iの発注を望む場合は、「ロック解除」ボタンをクリックすればよい。このボタンがクリックされると景品管理装置10は、ネットワークで接続している仕入先の業者のコンピュータに対して、景品Iを所定量だけ、オンラインで発注する。従業員は、現時点ではいずれの景品の発注も必要ないと判断した場合には、「後で」ボタンをクリックする。「後で」ボタンがクリックされた場合には、在庫がさらに5個減少したときに景品管理装置10はポップアップ画面k1を再度表示する。
【0039】
その他、例えば、夫々の景品について、提供利益合計額が所定の設定値を下回っている場合に、景品管理装置10は、その景品に対して代替景品の発注を促すメッセージを表示するようにしてもよい。また、景品が食品の場合、景品データベースにその景品の賞味期限あるいは消費期限が登録されていることも好適である。この場合、景品管理装置10は、賞味期限あるいは消費期限の残り日数が所定の日数となった場合に、その旨を通知するメッセージを表示するようにしてもよい。
【0040】
以上説明した景品管理装置10を用いると、景品の利益管理に関し、様々な戦略を立てることができる。例えば、仕入れる景品の提供利益に関して、「個別の景品の提供利益/仕入価格」(即ち、利益率)の下限値を設定し、下限値を下回る景品は再発注を中止するという経営戦略を立てることができる。逆に、提供利益がマイナスの景品については、交換数が多ければ仕入個数を増やすかわりに仕入単価を引き下げる交渉を行うなどの戦略を立てることも有益である。
【0041】
交換単価は、遊技店の従業員等が設定した値ではなく、所定のアルゴリズムに基づいてコンピュータが計算した値を用いてもよい。例えば、コンピュータが、特殊景品の仕入原価を特殊景品の交換遊技媒体数で除した値を計算して、交換単価として用いてもよい。
【0042】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0043】
10:景品管理装置
12:コンピュータ
14:記憶装置
16:モニタ
16a、16b、16c:表示画面
17:キーボード
18:マウス
19:バーコードリーダ
20:帳票(データベース)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者が獲得した遊技媒体との交換に供する景品を管理する装置であり、
複数の景品の夫々について、交換に必要な交換遊技媒体数と、遊技媒体の貸出単価とは異なる価値であって景品との交換における遊技媒体の単価を示す交換単価を記憶している記憶装置と、
交換遊技媒体数に交換単価を乗じて得られる景品提供価格を表示させるコンピュータと、
を備えることを特徴とする景品管理装置。
【請求項2】
前記記憶装置はさらに、景品の仕入原価を記憶しており、
前記コンピュータは、景品提供価格と仕入原価の差額を表示させることを特徴とする請求項1に記載の景品管理装置。
【請求項3】
前記コンピュータは、記憶装置に記憶されている複数の景品について、景品提供価格、差額、又は、過去に提供した景品数にその景品の差額を乗じた利益合計、のいずれかの額の昇順又は降順で景品名をリスト表示させることを特徴とする請求項2に記載の景品管理装置。
【請求項4】
前記記憶装置は、予め定められた特殊景品の仕入原価と交換遊技媒体数を記憶しており、
前記コンピュータは、特殊景品の仕入原価を特殊景品の交換遊技媒体数で除した値を前記交換単価として用いることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の景品管理装置。
【請求項5】
前記記憶装置は、景品の在庫数が記録されている在庫データを記憶しており、
前記コンピュータは、提供された景品数を在庫数から減じるとともに、在庫数が予め定められた発注喚起数以下となった景品について、当該景品の発注を促す画面を表示することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の景品管理装置。
【請求項6】
前記記憶装置は、景品の在庫数が記録されている在庫データを記憶しており、
前記コンピュータは、提供された景品数を在庫数から減じるとともに、在庫数が予め定められた発注喚起数以下となった景品について、当該景品の前記差額に応じて異なるメッセージを表示させることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の景品管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−120721(P2012−120721A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274223(P2010−274223)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000106690)サン電子株式会社 (161)
【Fターム(参考)】