説明

暖房便座装置及びトイレ装置

【課題】便座の表面温度を均一に近づけることができる暖房便座装置及びこれを備えたトイレ装置を提供する。
【解決手段】送風部と、前記送風部により送風される空気を加熱する加熱部と、内部に便座内風路を有する便座と、前記送風部と前記加熱部と前記便座内風路とを含む循環風路と、前記便座内風路を通過し前記加熱部に還流する空気の温度を検出する第1温度検知部と、前記加熱部から前記便座内風路に送出される空気の温度を検出する第2温度検知部と、前記第1温度検知部が検出した温度と、前記第2温度検知部が検出した温度と、の差に基づいて前記送風部の送風量を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする暖房便座装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房便座装置及びトイレ装置に関し、より具体的には、温風により便座を暖房する暖房便座装置及びこれを備えたトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水洗便器の便座を暖房できると、気温の低い冬場などでもトイレを快適に使用することができる。便座を暖房する手段として、温風を循環させる方法がある(特許文献1)。温風を循環させると、排熱を抑制し少ないヒータパワーで効率的に便座を暖房することが可能となる。
【0003】
しかし、特許文献1に開示されているような暖房便座では、便座の中に設けた風路の上流側よりも下流側の温度が低くなる傾向がある。これは、風路の上流側で熱交換により温度が低下した風が下流側に至るからである。その結果として、便座の表面温度が不均一になり、使用者に不快感を与えるおそれがある。
【特許文献1】実開平5−237047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、便座の表面温度を均一に近づけることができる暖房便座装置及びこれを備えたトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、送風部と、前記送風部により送風される空気を加熱する加熱部と、内部に便座内風路を有する便座と、前記送風部と前記加熱部と前記便座内風路とを含む循環風路と、前記便座内風路を通過し前記加熱部に還流する空気の温度を検出する第1温度検知部と、前記加熱部から前記便座内風路に送出される空気の温度を検出する第2温度検知部と、前記第1温度検知部が検出した温度と、前記第2温度検知部が検出した温度と、の差に基づいて前記送風部の送風量を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする暖房便座装置が提供される。
【0006】
また、本発明の他の一態様によれば、送風部と、前記送風部により送風される空気を加熱する加熱部と、内部に便座内風路を有する便座と、前記送風部と前記加熱部と前記便座内風路とを含む循環風路と、前記便座内風路を通過し前記加熱部に還流する空気の温度を検出する第1温度検知部と、前記送風部及び前記加熱部の少なくともいずれかの出力と、前記第1温度検知部の検出結果と、に基づいて前記送風部の送風量を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする暖房便座装置が提供される。
【0007】
また、本発明のさらに他の一態様によれば、便器と、前記便器の上に設けられた上記のいずれかの暖房便座装置と、を備えたことを特徴とするトイレ装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、便座の表面温度を均一に近づけることができる暖房便座装置及びこれを備えたトイレ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる暖房便座装置を備えたトイレ装置の模式斜視図である。
【0010】
本具体例の暖房便座装置は、水洗便器300の上部に設けられたケーシング500を有する。なお、水洗便器300の洗浄機構としては、いわゆる「ロータンク式」でもよく、あるいはロータンクを用いない「水道直圧式」であってもよい。
【0011】
ケーシング500には、便座410及び便蓋400がそれぞれ開閉自在に軸支されている。これら便座410及び便蓋400は、手動により開閉できるとともに、電動開閉機構により自動的に開閉可能としてもよい。そして、本実施形態においては、ケーシング500に温風供給手段550が設けられ、便座410の中に温風を導入することにより便座410の暖房が可能とされている。
【0012】
またさらに、ケーシング500には、衛生洗浄装置としての機能部を併設してもよい。すなわち、この暖房便座装置は、便座410に座った使用者の「おしり」などに向けて水を噴出する吐水ノズル615を有する洗浄機能部などを適宜備える。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。暖房便座装置は、さらに、便座に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる温風乾燥機能や、便器のボウル内の空気を吸い込み、フィルタや触媒などを介して臭気成分を低減させる脱臭機能などを有するものとすることができる。これらの動作は、例えば、ケーシング500とは別体として設けられたリモコン200により操作可能としてもよい。ただし、本発明においては、吐水ノズル615やその他の付加機能部は必ずしも設けなくてもよく、便座410の温風暖房機構が設けられていればよい。
【0013】
図2は、本実施形態の便座暖房機構を表す概念図である。
ケーシング500の中には、温風供給手段550として、例えば、ファン552とヒータ554とが設けられている。ファン552から送出された空気はヒータ554により加熱されて温風が生成され、この温風は送出部560を介して、便座410の中に導入される。便座410の中には、温風の便座内風路412が形成されており、送出部560から便座410の便座内風路412に導入された温風は、便座410の中を流れ、戻入部570を介してケーシング500の温風供給手段550に戻る。すなわち、本具体例の便座暖房機構は、温風供給手段550、送出部560、便座内風路412、戻入部570、温風供給手段550という循環路を形成し、温風がこの循環路を繰り返し流れるようにされている。このようにすれば、排熱を抑制して熱効率の優れた温風暖房が可能となる。そして、この温風暖房機構の動作は、例えばリモコン200により制御可能とされている。すなわち、リモコン200に便座410の温度を表示させたり、温度を設定可能とすることができる。
【0014】
送出部560においては、ケーシング500の側に温風の吹出口が設けられ、便座410の側にも、この吹出口に対応した導入口が設けられている。戻入部570についても、便座410の側に温風の吹出口が設けられ、ケーシング500の側も、これに対応した導入口が設けられたものとすることができる。なお、後に図3に関して説明するように、戻入部570は送出部560に隣接させてもよい。
【0015】
以上説明したように、本具体例においては、便座410の中に温風を導入し暖房可能とされている。本具体例によれば、便座410をケーシング500から取り外して清掃や水洗いなどする際にも、簡単に取り外し、再装着することができる。ただし、本発明はこの具体例には限定されず、温風を便座410の中に導入して暖房する形式であれば、その他各種の構造の暖房便座装置に同様に適用することができる。
【0016】
図3は、本実施形態の暖房便座装置の構成を例示する概念図である。
ケーシング500には、外気を取り込む吸引口580と、空気を排出する排出口582と、が設けられている。そして、これら吸引口580と排出口582に連通する風路には、開閉自在のダンパ(風路切替手段)546、548がそれぞれ設けられている。そして、これらダンパ546、548により開閉される風路の途上には、温風供給手段550として、例えば、ファン(送風部)552とヒータ(加熱部)554とが設けられている。
【0017】
図3(a)に表したように、温風供給手段550が供給した風が便座内風路412を通って温風供給手段550に再び戻る循環送風モードにおいては、ダンパ546、548がそれぞれ閉じられて送風が環流される循環風路が形成される。この状態で、ファン552から送出された空気がヒータ554により加熱されて温風が生成され、この温風は送出部560を介して、便座410の中に導入される。便座410の中には、仕切り418により区画された温風の風路(便座内風路)412が形成されている。送出部560から便座410の便座内風路412に導入された温風は、矢印で表したように便座410の中を流れ、戻入部570を介してケーシング500のファン552の上流側に戻る。
【0018】
一方、図3(b)に表したようにダンパ546、548を開いて外気を風路に導入する外気導入モードを実行可能としてもよい。こうすることにより、便座内風路412の風と外気とを迅速に置換することができるため、例えば便座410を迅速に冷却することが可能となる。
【0019】
そして、本具体例においては、戻入部570に戻った温風の温度を検出する第1温度検知部540と、温風供給手段550から送出された温風の温度を検出する第2温度検知部542と、が設けられている。なお、第1温度検知部540は、ファン552とヒータ554との間に設けてもよい。また、第2温度検知部542は必須ではなく、他の手段により温風の温度を把握することも可能である。
【0020】
図4は、本実施形態の暖房便座装置の主要構成を例示するブロック図である。
便座410に温風を導入する温風暖房機構として、第1温度検知部540、送風部552、加熱部554、第2温度検知部542が設けられている。第1温度検知部540は、便座410に設けられた便座内風路412から戻ってきた温風の温度を検出する。送風部552は、温風を循環させる流れを形成する。加熱部554は、流入する温風を所定の温度まで加熱する。第2温度検知部542は、便座410に送出する温風の温度を検出する。
ここで、加熱部554としては、例えばPTC(positive temperature coefficient:正温度係数)特性を有するヒータを用いることができる。
【0021】
第1温度検知部540と第2温度検知部542は、例えば熱電対やサーミスタなどの温度センサにより構成することができる。
【0022】
制御部510は、第1温度検知部540、第2温度検知部542の検出結果に基づいて、送風部552、加熱部554の動作を制御する。こうすることにより、制御部510は、第1温度検知部540と第2温度検知部542の検出値に基づいて便座410の表面温度を特定する。
【0023】
図5は、本実施形態の暖房便座装置において実行される均一化制御を表すフローチャートである。
すなわち、均一化制御(ステップS100)においては、制御部510は、第2温度検知部542により検出した温度T2と第1温度検知部540により検出した温度T1との差ΔTと所定の基準値とを比較する(ステップS102)。温度T1とT2との差が大きいということは、便座内風路412の上流側で熱交換により温度が低下した風が下流側に至ったことを意味する。つまり、便座410の表面温度も、風路の上流側が高く、下流側が低くなり、不均一になる。
【0024】
本実施形態においては、温度T1とT2との差ΔTが基準値を超えた場合(ステップS102:yes)には、制御部510は、送風部552により送風される風量を増加させる(ステップS104)。このようにすると、便座410の表面温度を均一に近づけることができる。
【0025】
図6は、本発明者が実施した実験の結果を表す模式図である。
すなわち、図3(a)に関して前述した循環送風モードにより便座内風路412に温風を循環させ、定常状態における便座410の表面の温度を測定した実験の結果を表す模式図である。ここで、各部の温度は室温からの温度差として表した。また、ヒータ554の出力(投入電力)は、22ワット(25.6ボルト、0.88アンペア)とした。図6(a)は送風部552の風量を毎分0.15立方メートル(m/分)の場合、図6bは風量を毎分0.32立方メートルとした場合、図6(c)は風量を毎分0.36立方メートルとした場合をそれぞれ表す。
【0026】
風量が少ない場合には、図6(a)に表したように、便座410の表面温度は、風路の上流側から順に、15.4度、13.6度、11.3度、11.2度であった。つまり、便座410の表面温度は、風路の上流側と下流側で4.2度ほど異なる。また、この時の第1温度検知部540の検出温度T1は15.3度であり、第2温度検知部542の検出温度T2は25.7度であった。つまり、温度T1とT2との差ΔTは10.4度であった。
これに対して、風量をおよそ2倍に増やすと、図6(b)に表したように、便座410の表面温度は、風路の上流側から順に、15.5度、14.2度、13.3度、13.0度となり、風路の上流側と下流側における温度差は2.5度にまで縮小した。またこの時の第1温度検知部540の検出温度T1は16.8度であり、第2温度検知部542の検出温度T2は23.1度であった。つまり、温度T1とT2との差ΔTも7.7度にまで縮小した。また、風量をさらに増やした場合も、図6(c)に表したように同様の傾向がみられた。
【0027】
これらの結果から、第1温度検知部540の検出値T1と第2温度検知部542の検出値T2との差ΔTと、便座410の表面温度の分布と、の間には相関があることが分かる。そして、送風部552の風量を増加させると、温度T1とT2との差ΔTが小さくなり、これに対応して便座410の表面温度のムラも小さくなって均一に近づくことが分かる。例えば、風量を増加させると、風路の上流側の温度はあまり変化せずに下流側の温度が上昇する。これは、風量を増加させることにより風速が上がり、便座内風路412の上流側における温風と便座との間の熱交換量が低下して便座内風路412の下流側に供給される温風の温度が上がることによると考えられる。
【0028】
このように、第1温度検知部540の検出値T1と第2温度検知部542の検出値T2との差ΔTを調べることにより、便座410の表面温度の分布が分かる。そして、温度差ΔTが所定の基準値を超えた時には、送風部552の送風量を増加させることにより、便座410の表面温度のムラを抑制し温度を均一に近づけることができる。その結果として、便座内風路412の下流側に対応する便座410の一部の温度が低いことによるヒヤリ感を使用者に与えることがなく、快適な暖房便座装置を提供できる。
【0029】
図7は、本実施形態の暖房便座装置において実行される均一化制御の第2の具体例を表すフローチャートである。
本具体例においては、温度T2とT1との差ΔTが基準値を超えた場合(ステップS102:yes)に、送風部552の風量を増加させるとともに、加熱部554の出力(投入電力)を低下させる(ステップS106)。風量を増加させることで便座内風路412の上流側での熱交換を抑制し、抑制した分の熱量を下流側で熱交換させて温度T1を上昇させることができる。さらに、加熱量を低下させることで加熱部554の下流の温度T2を下げ、便座410の表面温度の均一化を早めることができる。このようにすれば、便座410の表面温度のムラをより早く解消することができ、さらに加熱部554における消費電力を低下させることによる節電効果も得られる。
【0030】
図8は、本実施形態の暖房便座装置において実行される均一化制御の第3の具体例を表すフローチャートである。
本具体例においても、温度T2とT1との差ΔTが基準値を超えた場合(ステップS102:yes)には、送風部552の風量を増加させる(ステップS104)。一方、温度T2とT1との差ΔTが基準値を超えていない場合(ステップS102:no)には、送風部552の風量を低下させる(ステップS108)。すなわち、便座410の表面温度の不均一が許容される範囲にある時には、送風部552の風量を低下させることにより、節電効果が得られ、またファンの動作音なども低下させることができる。
【0031】
図9は、本実施形態の暖房便座装置において実行される均一化制御の第4の具体例を表すフローチャートである。
本具体例においても、図8に関して前述した第3具体例と同様に、温度T2とT1との差ΔTが基準値を超えていない場合(ステップS102:no)には、送風部552の風量を低下させる(ステップS108)。一方、温度T2とT1との差ΔTが基準値を超えた場合(ステップS102:yes)には、図7に関して前述した第2具体例と同様に、送風部552の風量を増加させるとともに加熱部554の出力を低下させる(ステップS106)。このようにすれば、加熱部554における消費電力を低下させることによる節電効果も得られる。
【0032】
以上、図5〜図9を参照しつつ、本実施形態において実行される均一化制御について説明した。次に、便座410の温度を設定された目標値に近づける温度制御と、均一化制御との関係について具体例を挙げつつ説明する。
【0033】
図10は、本実施形態の暖房便座装置の主要構成を例示するブロック図である。
本具体例においては、図4に表した構成に、温度設定部526がさらに設けられている。温度設定部526は、例えば、リモコン200などにより便座410の温度を設定可能したものである。
図11は、リモコン200に設けられたスイッチを例示する模式図である。
リモコン200の上面には、その両端にケーシング500との通信のための赤外線透過窓231が設けられている。また、大洗浄スイッチ232、小洗浄スイッチ234、便蓋閉スイッチ236、便蓋開スイッチ238、便座開スイッチ240などがそれぞれ設けられている。
【0034】
また、リモコン200の正面には、各種の設定スイッチが設けられている。そして、本具体例のリモコンにおいては、便座410の設定温度を上げるスイッチ526Aと、設定温度を下げるスイッチ526Bが設けられている。使用者がこれらスイッチ526A、526Bを押すことにより、便座410の目標温度を設定できる。
【0035】
図12は、本具体例の暖房便座装置において実行される温度制御を例示するフローチャートである。
本具体例においては、暖房便座装置の運転が開始されると、制御部510は、第1温度検知部540の検出温度に基づいて温度制御を開始する(ステップS200)。すなわち、便座内風路412を通過し送風部552に向けて戻ってきた温風の温度に基づいて、温度制御をする。
【0036】
制御部510は、まず第1温度検知部540の検出温度T1とその目標値とを比較する(ステップS202)。ここで、目標値は、検出温度T1が到達すべき温度であり、温度設定部526により入力された便座410の設定温度に応じてT1の目標値が決定される。
【0037】
図13は、温度T1の目標値を決定する方法を例示する概念図である。
すなわち、使用者により設定される便座の温度を例えば「低」「中」「高」の3段階とし、一方、環境温度すなわち暖房便座装置が設置されているトイレ室の温度を別途測定した「低」「中」「高」の3段階に分類する。なお、環境温度は、例えば図18に関して後述する環境温度検知部522により検知可能である。そして、これら設定温度と環境温度との9種類の組み合わせに対して、温度T1の目標値をそれぞれ決めておくことができる。ただし、本発明はこの具体例には限定されず、設定温度や環境温度の分類は2段階としてもよく4段階以上としてもよい。また、図13に例示したようなテーブルを用いる代わりに、計算式を用いて設定温度と環境温度から温度T1の目標値を決定してもよい。またさらに、環境温度を用いずに、設定温度のみから温度T1の目標値を決定してもよい。
【0038】
再び図12に戻って説明を続けると、制御部510は、第1温度検知部540において検出された温度T1と、その目標値と、の差が所定値Txを超えたか否かを判定する(ステップS202)。ここで、所定値Txは、温度制御に際しての不感帯あるいは誤差の許容範囲に対応する。
【0039】
そして、温度T1と、その目標値と、の差がTxの範囲内にある時(ステップS202:no)は、均一化制御を開始する(ステップS100)。その内容は、図5〜図9に関して前述した如くである。なお、図5〜図9に表したフローチャートはステップの繰り返しを含むが、ここでは、1サイクルのみを実行してもよく、複数のサイクルを実行させてもよい。均一化制御(ステップS100)を実行した後に、再びステップS202に戻る。
【0040】
一方、温度T1と、その目標値と、の差がTxを超えた場合(ステップS202:yes)は、昇温または降温のために送風部552や加熱部554の動作状態を変更する必要がある。そこで、次に制御部510は、温度T1と、その目標値との大小を判定する(ステップS204)。そして、温度T1がその目標値よりも高い場合(ステップS202:no)には、降温制御を実行する(ステップS206)。これは例えば、送風部552や加熱部554の出力(投入電力)を低下または停止させたり、または、図3に関して前述した外気導入モードを実行させたりすることにより実行される。その後、再びステップS202に戻る。
【0041】
一方、温度T1がその目標値よりも低い場合(ステップS202:yes)には、昇温制御を実行する(ステップS208)。これは例えば、送風部552や加熱部554の出力(投入電力)を上昇させることにより実行される。その後、再びステップS202に戻る。
【0042】
以上説明したように、本具体例においては、第1温度検知部540の検出温度T1に基づいて温度制御を実行する。そして、検出温度T1が許容範囲内にある時に、均一化制御を実行する。例えば、運転開始後に、まず昇温制御により便座410の温度を上昇させる。そして、便座410の温度が設定温度に近づいたら、均一化制御を実行する。このようにすれば、便座410の温度を迅速に設定値に近づけることができ、さらにその表面温度のムラを抑制して均一に近づけることができる。
【0043】
なお、本具体例においては、降温制御及び昇温制御の可否を共通の許容範囲Txにより決定しているが、本発明はこれに限定されず、例えば、降温制御の可否を決定するための許容範囲と、昇温制御の可否を決定するための許容範囲と、をそれぞれ設定してもよい。すなわち、検出温度T1が目標値よりも温度Tx以上高くなったら降温制御を実行し、検出温度T1が目標値よりも温度Ty以上低くなったら昇温制御を実行するようにしてもよい。
【0044】
図14は、本実施形態の暖房便座装置において実行される温度制御の第2の具体例を表すフローチャートである。
本具体例においては、制御部510は、第1温度検知部540の代わりに第2温度検知部542の検出温度T2に基づいて温度制御を実行する。すなわち、加熱部554から便座内風路412に向けて送出される温風の温度に基づいて温度制御を実行する。
本具体例におけるステップS212〜S218の内容は、図12に関して前述したステップS202〜208と同様とすることができるので詳細な説明は省略する。
【0045】
本具体例においても、便座410の温度が設定温度に近づいたら、均一化制御(ステップS100)を実行する。このようにすれば、便座410の温度を迅速に設定値に近づけることができ、さらにその表面温度のムラを抑制して均一に近づけることができる。
【0046】
図15は、本実施形態の暖房便座装置において実行される温度制御の第3の具体例を表すフローチャートである。
本具体例においては、制御部510は、第1温度検知部540の検出温度T1と、第2温度検知部542の検出温度T2と、に基づいて温度制御を実行する。
【0047】
制御部510は、まず第1温度検知部540の検出温度T1とその目標値とを比較し(ステップS202)、その結果に応じて、ステップS100、S204、S206を実行する。その内容は、図12に関して前述した如くである。ただし、ステップS204において温度T1がその目標値よりも低い場合(ステップS202:yes)に、制御部510は昇温制御を直ちに実行せず、第2温度検知部542の検出温度T2とその目標値とを比較する(ステップS212)。
【0048】
図16は、温度T1とT2の目標値をそれぞれ決定する方法を例示した概念図である。 図13に関して前述したものと同様のテーブルにより、設定温度と環境温度との組み合わせに対して、温度T1の目標値をそれぞれ決めておくことができる。なお、本具体例においても、設定温度や環境温度の分類は2段階としてもよく4段階以上としてもよい。また、計算式を用いて設定温度と環境温度から温度T1とT2の目標値を決定してもよい。またさらに、環境温度を用いずに、設定温度のみから温度T1とT2の目標値を決定してもよい。
【0049】
再び図15に戻って説明を続けると、ステップS212において、温度T2と、その目標値と、の差がTyの範囲内にある時(ステップS212:no)は、均一化制御を開始する(ステップS100)。つまり、便座内風路412の下流側の温度T1が許容範囲よりも低く、上流側の温度T2が許容範囲内にある時には、均一化制御を実行することにより、下流側の温度T1を上昇させる。ここで、均一化制御の代わりに昇温制御を実行することも考えられるが、そうすると上流側の温度T2が上がりすぎてしまうおそれがある。これに対して、本具体例によれば、均一化制御を実行することにより、上流側の温度T2が過度に上昇することなく、下流側の温度T1を上昇させることが可能となる。
【0050】
一方、温度T2と、その目標値と、の差がTyを超えた場合(ステップS212:yes)は、その大小を判定する(ステップS214)。そして、温度T2がその目標値よりも高い場合(ステップS212:no)には、エラー処理を実行する(ステップS220)。つまり、下流側の温度T1が許容範囲を下回っているにも拘わらず、上流側の温度T2が許容範囲を上回っている場合には、何らかの異常が生じたと判定し、例えば、暖房運転を停止したり、図3(b)に関して前述した外気導入モードを実行する。また、ケーシング500やリモコン200の表示部にエラー表示をしたり、音や光などで報知してもよい。また、報知の内容はエラーのみでなくてもよく、目標値に一致していない状態のときに、単にその旨を報知するようにしてもよい。
【0051】
一方、温度T2がその目標値よりも低い場合(ステップS212:yes)には、昇温制御を実行する(ステップS218)。つまり、下流側の温度T1が許容範囲を下回っており、上流側の温度T2も許容範囲を下回っている場合には、均一化制御ではなく昇温制御により便座410の温度を上昇させる。
【0052】
以上説明したように、本具体例によれば、下流側の温度T1と上流側の温度T2とに基づき、均一化制御と降温制御、昇温制御を適宜実行する。その結果、便座410の温度を迅速に設定温度に近づけるとともに、表面温度のムラを抑制し均一に近づけることができる。
【0053】
以上、図12〜図16を参照しつつ、本実施形態の暖房便座装置において実行される温度制御について説明した。
以下、温度表示なども組み合わせた制御の一例について説明する。
図17は、本実施形態の暖房便座装置において実行される制御の具体例を表すフローチャートである。
便座暖房の運転が開始されると、制御部510はまず、温度変更スイッチが操作されたかを判定する(ステップS302)。これは、例えば図11に関して前述したスイッチ526A、526Bに対応する。温度変更スイッチが操作されていない場合(ステップS302:no)は、制御部510は室温を測定する(ステップS304)。すなわち、環境温度を調べる。
【0054】
図18は、環境温度検知部522が設けられた暖房便座装置の構成を表すブロック図である。
環境温度検知部522は、例えば、ケーシング500に内蔵させてもよく、または吸引口580(図3参照)に設けてもよい。あるいは、環境温度検知部522は、リモコン200に設けることもできる。この場合には、環境温度検知部522による検出データは、リモコン200からケーシング500に送信すればよい。環境温度検知部522は、例えば熱電対やサーミスタなどの温度センサにより構成することができる。
【0055】
ふたたび図17に戻って説明を続けると、環境温度を検出した後に、制御部510は、第1温度検知部540の検出温度T1と第2温度検知部542の検出温度T2が許容範囲を外れているかを判定する(ステップS306)。すなわち、下流側の温度T1と上流側の温度T2がそれぞれ目標値からみて許容される範囲内にあるか否かを判定する。温度T1とT2がいずれも許容範囲内にある場合(ステップS306:no)は、均一化制御を実行する(ステップS100)。温度T1とT2のいずれかまたは両方が許容範囲を超えている場合(ステップS306:yes)は、昇温制御または降温制御を実行する(ステップS308)。なおここで、図15に関して前述した制御を実行してもよい。すなわち、下流側の温度T1が許容範囲よりも低く、上流側の温度T2が許容範囲内にある時には、均一化制御を実行することにより、下流側の温度を上昇させてもよい。
【0056】
一方、ステップS302において温度変更スイッチが操作された場合(ステップS302:yes)は、室温を測定し(ステップS310)、データベースを照合して(ステップS312)、温度T1とT2の新たな目標値を設定する(ステップS314)。ここで、データベースは、例えば、図13や図16に関して前述した如くである。このようにして、使用者により新たに入力された便座の温度設定に対応した温度T1、T2の目標値を設定できる。
【0057】
しかる後に、制御部510は、第1温度検知部540の検出温度T1と第2温度検知部542の検出温度T2が許容範囲を外れているかを判定する(ステップS316)。そして、温度T1とT2がいずれも許容範囲内にある場合(ステップS316:no)は、均一化制御を実行する(ステップS100)。温度T1とT2のいずれかまたは両方が許容範囲を超えている場合(ステップS316:yes)は、昇温制御または降温制御を実行する(ステップS318)。なおここでも、図15に関して前述した制御を実行してもよい。
【0058】
以上説明した一連のステップの後に、制御部510は、便座410の表面温度を特定するためのデータベースを照合する(ステップS320)。そして、その結果得られた便座410の表面温度をケーシング500やリモコン200の表示部などに表示する(ステップS332)。
【0059】
以下、温度T1やT2に基づいて便座410の表面温度を特定する方法について説明する。
制御部510は、第1温度検知部540と第2温度検知部542の検出値T1、T2に基づいて便座410の表面温度を特定することも可能である。すなわち、図6に関して前述したように、便座内風路412の下流側の温度T1と、上流側の温度T2と、便座410の表面の温度と、の間には相関がある。このような便座410の表面温度と、第1温度検知部540及び第2温度検知部542による検出温度と、の関係は、予め実測やシミュレーションなどにより求めることができる。このようにして求めた結果をデータベースとして制御部510が参照可能な記憶部に格納しておく。なおここで、図6に関して前述したように便座410の表面の温度に分布がある場合には、例えば、その平均値を表面温度として表示してもよい。
【0060】
図19は、このようなデータベースを例示する模式図である。
便座410の表面温度は、第1温度検知部540及び第2温度検知部542による検出値に基づいて一意的に特定することができる。図19に表した具体例の場合、便座410の表面温度と、第1温度検知部540及び第2温度検知部542による検出値と、の対応関係を表したテーブルが設けられている。制御部510は、記憶部に記憶されたこのようなテーブルを参照することにより、便座410の表面温度を特定することができる。
【0061】
また、テーブルの代わりに、関係式を用いてもよい。すなわち、便座410の表面温度と、第1温度検知部540及び第2温度検知部542による検出値と、の関係を表す関係式を作成し、制御部510は、この関係式に基づいて便座410の表面温度を特定するようにしてもよい。
【0062】
このようにして、第1温度検知部540及び第2温度検知部542による検出値から便座410の温度を特定できる。その結果として、暖房運転の開始直後の冷めた状態と、その後の暖まった状態、あるいは、周囲の温度が変化したような場合のように、ダイナミックに変化する便座410の温度を正確に特定し、表示させることができる。
【0063】
またこのようにすれば、便座410には温度センサなどを付設する必要がない。その結果として、便座410をケーシング500から取り外し、便座410の内部及び外部をまるごと水洗いすることも可能となる。このようにすれば、掃除もしやすく常に清潔な状態を維持できる暖房便座装置を提供できる。
【0064】
図20は、本実施形態の暖房便座装置における第3の具体例の主要構成を例示するブロック図である。
本具体例においては、第2温度検知部542が設けられていない。このような構成によっても、図5〜図9を参照しつつ前述した均一化制御や、図12〜図17を参照しつつ前述した温度制御などを実行することが可能である。また、便座410の表面温度を特定することも可能である。
【0065】
すなわち、この場合、制御部510は、第2温度検知部542の検出値を入手する代わりに、温風供給手段550における出力を参照する。例えば、加熱部554においてPTCヒータを用いた場合、自己温度制御機能を有するので、ヒータを通過した温風の温度を任意に決定することが容易である。そこで、この決定した温度をT2とし、T1と比較して均一化制御や温度制御などを実行することができる。また同様に、便座410の表面温度を特定することもできる。
【0066】
以下、熱量と温度の一般的な関係について説明する。
例えば、温風供給手段550から送出された温風の熱量をQ1とし、便座410の便座内風路412を通って戻入部570に戻ってきた温風の熱量をQ2とし、温風供給手段550により温風に加えられた熱量をQ3とすると、次式が成立する。

Q1=Q2+Q3 ・・・・(1)

ここで、Q1は第2温度検知部542により把握可能であり、Q2は第1温度検知部540により把握可能である。また、Q3は、ヒータ554により加えられた熱量であるので、ヒータ554の出力(消費電力)H(W または J/sec)と風の流量f(m3/sec)とにより求めることができる。
【0067】
ここで簡単のため、ヒータ554の出力Hを一定とし、ある時間xの風に加えられる熱量をQ(H,x)とすると、Q3は次式により表される。

Q3=Q(H,τ)

また、流量fは風速に依存するため、ファン552の出力(消費電力)Fにより決まる。ファンの出力yにおける流量をf(y)とすると、

f=f(F)

と表すことができ、結局Q3は、ヒータ554の出力Hとファン552の出力Fにより求めることができる。

Q3=Q(H,f)
=Q(H,f(F))

これを(1)式に代入すると、次式が得られる。

Q1=Q2+Q3
=Q2+Q(H,f(F))

ここで、Q2は第1温度検知部540の検出値により把握可能であり、Q(H、τ(F))は、ファン552とヒータ554の出力(消費電力)とにより把握可能である。つまり、第2温度検知部542により把握可能な熱量Q1は、第1温度検知部540の検出値と、ファン552とヒータ554の出力(消費電力)と、により把握することができる。換言すると、上流側の温度T2は、第1温度検知部540の検出値T1と、ファン552とヒータ554の出力(消費電力)と、により把握することができる。
【0068】
従って、ファン552とヒータ554の出力(消費電力)と、第1温度検知部540の検出値と、に基づいて、均一化制御や温度制御を実行し、さらに便座410の表面の温度を特定及び決定することができる。この場合にも、便座410の表面温度と、ファン552とヒータ554の出力(消費電力)と、第1温度検知部540の検出値と、の関係をデータベースにして制御部510が参照可能な記憶部に格納しておけばよい。
【0069】
図21は、このようなデータベースを例示する模式図である。
すなわち、本具体例においては、ファン552とヒータ554の出力(消費電力)と、第1温度検知部540の検出値T1と、上流側の温度T2と、の関係がテーブルにされている。制御部510は、このテーブルを照合することにより、ファン552とヒータ554の出力(消費電力)と、第1温度検知部540の検出値T1と、に基づいて上流側の温度T2を決定することができる。このようにして求めた温度T1、T2に基づいて、均一化処理や温度制御を実行することができる。また、便座410の表面の温度を特定することもできる。
【0070】
図22は、便座の表面温度を特定するためのデータベースを例示する模式図である。
便座410の表面温度は、第1温度検知部540による検出値と、ファン552とヒータ554の出力(消費電力)と、に基づいて一意的に特定することができる。従って、制御部510は、このようなテーブルを参照することにより、便座410の表面温度を特定することができる。また、本具体例においても、テーブルの代わりに、関係式を用いてもよい。
【0071】
また、環境温度を考慮してもよい。すなわち、図18に関して前述した環境温度検知部522を設け、暖房便座装置が設置されている雰囲気の環境温度を検出する。そして、この環境温度を考慮して均一化制御や温度制御を実行し、さらに便座410の表面温度を特定してもよい。
【0072】
本発明の暖房便座装置は、便座410の表面から周囲の雰囲気に向けて、熱伝導や輻射により常に熱が放散する。つまり、便座410の表面の温度は、環境温度にも依存する。従って、環境温度も考慮に入れることにより、便座410の表面温度をより正確に特定することが可能となる。
【0073】
この場合も、便座410の表面温度と、第1温度検知部540及び第2温度検知部542による検出温度T1、T2と、環境温度と、の関係は、予め実測やシミュレーションなどにより求めることができる。このようにして求めた結果をデータベースとして制御部510が参照可能な記憶部に格納しておく。
【0074】
図23は、このようなデータベースを例示する模式図である。
便座410の表面温度は、第1温度検知部540及び第2温度検知部542による検出値T1、T2と、環境温度と、に基づいて一意的に特定することができる。図23に表した具体例の場合、環境温度ごとに、便座410の表面温度と、第1温度検知部540及び第2温度検知部542による検出値T1、T2と、の対応関係を表したテーブルが設けられている。制御部510は、このようなテーブルを参照することにより、便座410の表面温度をより正確に特定することができる。
【0075】
また、本具体例においても、テーブルの代わりに、関係式を用いてもよい。すなわち、便座410の表面温度と、第1温度検知部540及び第2温度検知部542による検出値T1、T2と、環境温度と、の関係を表す関係式、あるいは、便座410の表面温度と、第1温度検知部540及び第2温度検知部542による検出値T1、T2と、の関係を表す関係式を作成し、制御部510は、この関係式に基づいて便座410の表面温度を特定するようにしてもよい。
【0076】
環境温度を考慮に加えることにより、便座410の温度をより正確に特定することが可能となる。その結果として、暖房運転の開始直後の冷めた状態と、その後の暖まった状態、あるいは、周囲の温度が変化したような場合のように、ダイナミックに変化する便座410の温度をより正確に特定することができる。
【0077】
図24は、本実施形態の暖房便座装置の第4の具体例の主要構成を例示するブロック図である。
本具体例においては、図20に表した第3具体例に、環境温度検知部522が設けられている。環境温度検知部522は、図18に関して前述したものと同様とすることができる。本具体例においては、図20に関して前述したように、制御部510は、ファン552とヒータ554の出力(消費電力)と、第1温度検知部540の検出値T1と、に基づいて便座410の表面の温度を特定することができる。この際に、環境温度を考慮することにより、より正確に便座410の表面の温度を特定することができる。
【0078】
図25は、本具体例において用いることができるデータベースを例示する模式図である。 便座410の表面温度は、第1温度検知部540による検出値T1と、ファン552とヒータ554の出力(消費電力)と、環境温度と、に基づいて一意的に特定することができる。従って、制御部510は、このようなテーブルを参照することにより、便座410の表面温度を特定することができる。また、本具体例においても、テーブルの代わりに、関係式を用いてもよい。
【0079】
以上、図1〜図24を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。
以下、これら各具体例に付加することができる構成について説明する。
図26は、ケーシング500と便座410の間に設けられた送出部560の断面構造を例示する概念図である。
本具体例の場合、ケーシング500には、突出したダクト562が設けられている。ダクト562の先端にはダンパ564が開閉自在に設けられている。ダクト562は、便座410を開いた状態においては後退し、ケーシング500の前端面が略平坦な面となるようにしてもよい。便座410を閉じた状態においては、ダクト562は突出し、便座410に設けられた導入口414に挿入された状態となる。この状態で便座内風路412に温風を導入することができる。また、ダクト562の周囲に、弾性材料からなるパッキン568を適宜設けることにより、送出部560おける温風の「漏れ」を抑制できる。また、戻入部570においても同様の構造を採用することができる。
このような構造にすれば、便座410をケーシング500から取り外して清掃や水洗いなどする際にも、簡単に取り外し、再装着することができる。
【0080】
図27は、乾燥機構を付加した暖房便座装置を表す概念図である。
本具体例においては、便座410に座った状態の使用者の「おしり」などを乾燥する温風乾燥機能部が設けられている。すなわち、ヒータ554の下流には、風路切替部590が設けられている。そして、風路切替部590の下流に温風吹出ダクト592が接続されている。風路切替部590は図示しないダンパなどを内蔵し、ヒータ554から送出された温風の風路を便座410と温風吹出ダクト592との間で切り替える。図27(a)に表した状態においては、ヒータ554から送出された温風は便座内風路412に導かれ、循環送風モードが可能とされている。
【0081】
一方、図27(b)に表した状態においては、ヒータ554から送出された温風は、温風吹出ダクト592に導かれ、便座410に座った使用者の「おしり」に向けて吹き出される。このようにして、使用者の「おしり」などを乾燥することができる。この際に、温風吹出ダクト592から吹き出す温風の温度を検出可能とするように、第2温度検知部542の取り付け位置を決定するとよい。
【0082】
また、便座410から戻る温風の風路に補助ダンパ594を設け、温風乾燥中には、図27(b)に表したように補助ダンパ594を閉じるとよい。このようにすると、温風乾燥中に、便座410の中に加熱された空気を封じ込めることができ、便座410の温度が低下することを抑制できる。
【0083】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、図1乃至図27に関して前述した各具体例は、技術的に可能な範囲において適宜組み合わせることができ、これらも本発明の範囲に包含される。
また、暖房便座装置の構造や動作の内容についても、図1乃至図27に関して前述したものには限定されず、当業者が適宜設計変更することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができるものも本発明の要旨を含む限り、本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態にかかる暖房便座装置を備えたトイレ装置の模式斜視図である。
【図2】本実施形態の便座暖房機構を表す概念図である。
【図3】本実施形態の暖房便座装置の構成を例示する概念図である。
【図4】本実施形態の暖房便座装置の主要構成を例示するブロック図である。
【図5】本実施形態の暖房便座装置において実行される均一化制御を表すフローチャートである。
【図6】本発明者が実施した実験の結果を表す模式図である。
【図7】本実施形態の暖房便座装置において実行される均一化制御の第2の具体例を表すフローチャートである。
【図8】本実施形態の暖房便座装置において実行される均一化制御の第3の具体例を表すフローチャートである。
【図9】本実施形態の暖房便座装置において実行される均一化制御の第4の具体例を表すフローチャートである。
【図10】本実施形態の暖房便座装置の主要構成を例示するブロック図である。
【図11】リモコン200に設けられたスイッチを例示する模式図である。
【図12】本具体例の暖房便座装置において実行される温度制御を例示するフローチャートである。
【図13】温度T1の目標値を決定する方法を例示する概念図である。
【図14】本実施形態の暖房便座装置において実行される温度制御の第2の具体例を表すフローチャートである。
【図15】本実施形態の暖房便座装置において実行される温度制御の第3の具体例を表すフローチャートである。
【図16】温度T1とT2の目標値をそれぞれ決定する方法を例示した概念図である。
【図17】本実施形態の暖房便座装置において実行される制御の具体例を表すフローチャートである。
【図18】環境温度検知部522が設けられた暖房便座装置の構成を表すブロック図である。
【図19】データベースを例示する模式図である。
【図20】本実施形態の暖房便座装置の第3の具体例の主要構成を例示するブロック図である。
【図21】データベースを例示する模式図である。
【図22】便座の表面温度を推定するためのデータベースを例示する模式図である。
【図23】データベースを例示する模式図である。
【図24】本実施形態の暖房便座装置の第4の具体例の主要構成を例示するブロック図である。
【図25】本具体例において用いることができるデータベースを例示する模式図である。
【図26】ケーシング500と便座410の間に設けられた送出部560の断面構造を例示する概念図である。
【図27】乾燥機構を付加した暖房便座装置を表す概念図である。
【符号の説明】
【0085】
200 リモコン、231 赤外線透過窓、232 大洗浄スイッチ、234 小洗浄スイッチ、236 便蓋閉スイッチ、238 便蓋開スイッチ、240 便座開スイッチ、300 水洗便器、400 便蓋、410 便座、412 便座内風路、414 導入口、418 仕切り、500 ケーシング、510 制御部、522 環境温度検知部、526 温度設定部、526A、526B スイッチ、540 温度検知部、542 温度検知部、546 ダンパ、550 温風供給手段、552 ファン(送風部)、554 ヒータ(加熱部)、560 送出部、562 ダクト、564 ダンパ、568 パッキン、570 戻入部、580 吸引口、582 排出口、590 風路切替部、592 温風吹出ダクト、594 補助ダンパ、615 吐水ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風部と、
前記送風部により送風される空気を加熱する加熱部と、
内部に便座内風路を有する便座と、
前記送風部と前記加熱部と前記便座内風路とを含む循環風路と、
前記便座内風路を通過し前記加熱部に還流する空気の温度を検出する第1温度検知部と、
前記加熱部から前記便座内風路に送出される空気の温度を検出する第2温度検知部と、
前記第1温度検知部が検出した温度と、前記第2温度検知部が検出した温度と、の差に基づいて前記送風部の送風量を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする暖房便座装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1温度検知部が検出した温度と、前記第2温度検知部が検出した温度と、の差が任意の値を超えた場合に、前記送風部の送風量を増加させることを特徴とする請求項1記載の暖房便座装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1温度検知部の検出結果と、前記第2温度検知部の検出結果と、に基づいて前記便座の表面の温度を特定することを特徴とする請求項1または2に記載の暖房便座装置。
【請求項4】
送風部と、
前記送風部により送風される空気を加熱する加熱部と、
内部に便座内風路を有する便座と、
前記送風部と前記加熱部と前記便座内風路とを含む循環風路と、
前記便座内風路を通過し前記加熱部に還流する空気の温度を検出する第1温度検知部と、
前記送風部及び前記加熱部の少なくともいずれかの出力と、前記第1温度検知部の検出結果と、に基づいて前記送風部の送風量を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする暖房便座装置。
【請求項5】
前記送風部及び前記加熱部の出力と、前記第1温度検知部の検出結果と、前記加熱部から前記便座内風路に送出される空気の温度と、の関係に関するデータを格納した記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記データに基づいて前記加熱部から前記便座内風路に送出される空気の温度を特定することを特徴とする請求項4記載の暖房便座装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1温度検知部が検出した温度と、前記特定した前記加熱部から前記便座内風路に送出される空気の温度と、の差が任意の値を超えたら前記送風部の送風量を増加させることを特徴とする請求項5記載の暖房便座装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記送風部及び前記加熱部の少なくともいずれかの出力と、前記第1温度検知部の検出結果と、に基づいて前記便座の表面の温度を特定することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つに記載の暖房便座装置。
【請求項8】
前記便座が設置されている雰囲気の温度を検出する環境温度検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記環境温度検知部の検出結果に基づいて前記送風部と前記加熱部の少なくともいずれかの出力を調整することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の暖房便座装置。
【請求項9】
便器と、
前記便器の上に設けられた請求項1〜8のいずれか1つに記載の暖房便座装置と、
を備えたことを特徴とするトイレ装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図6】
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