暖房便座装置
【課題】暖房便座において 皺や亀裂等の欠陥の無い状態で着座面用発熱体を配置して着座面加熱が円滑にできるようにする。
【解決手段】便座2の着座部2cの曲面領域を有する外表面側に、導電性材料より成る着座面用発熱体Dが配置され、便座2の内部に配置した誘導コイルCへ通電することで着座面用発熱体Dを誘導発熱させる暖房便座装置1において、着座面用発熱体Dは、シート状からなり、複数個の貫通抜き部Daが分散して設けられていること。
【解決手段】便座2の着座部2cの曲面領域を有する外表面側に、導電性材料より成る着座面用発熱体Dが配置され、便座2の内部に配置した誘導コイルCへ通電することで着座面用発熱体Dを誘導発熱させる暖房便座装置1において、着座面用発熱体Dは、シート状からなり、複数個の貫通抜き部Daが分散して設けられていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導加熱方式の暖房便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁誘導加熱方式の暖房便座装置は、便座の着座部の曲面領域を有する外表面側に、導電性材料より成る面状の着座面用発熱体が配置され、便座に配置した誘導コイルへ通電することで着座面用発熱体を誘導発熱させるものがある(特許文献1)。
着座面用発熱体としては、アルミニュームの金属箔又はプラスチックフィルムに金属箔を貼合わせたもの等が用いられる。
【特許文献1】特開2001−8859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
便座の着座面は、全体が平面ではなく曲面部分がある。そのため、着座面用発熱体は、便座の着座面の形状に沿わせて曲面成形するときに皺や亀裂等の欠陥が生じ、所定どおりに発熱のできない箇所を生じさせることがある。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するために、皺や亀裂等の欠陥の無い状態で着座面用発熱体を配置して着座面加熱が円滑にできる暖房便座装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
皺や亀裂等の欠陥の無い状態で着座面用発熱体を配置して着座面加熱が円滑にできるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、便座の着座部の曲面領域を有する外表面側に、導電性材料より成る着座面用発熱体が配置され、便座の内部に配置した誘導コイルへ通電することで着座面用発熱体を誘導発熱させる暖房便座装置において、着座面用発熱体は、シート状からなり、複数個の貫通抜き部が分散して設けられていることを特徴とする暖房便座装置である。
【0006】
着座面加熱の均一化を図るために請求項2記載の本発明が採用した手段は、前記着座面用発熱体は、前記誘導コイルの磁力を強く受ける部分が弱く受ける部分に比べて、単位面積当たりに占める貫通抜き部の開口面積の総和の割合である開口率を大きくし、単位面積当たりの発熱量を全体に亘って均一化させるようにした請求項1記載の暖房便座装置である。
【0007】
着座面への磁気の漏れを抑制するために請求項3記載の本発明が採用した手段は、複数枚の前記着座面用発熱体が重ね合わせて配置され、一つの着座面用発熱体の貫通抜き部と他の着座面用発熱体の貫通抜き部の開口していない連結部とを重ね合わせた請求項1記載の暖房便座装置である。
【0008】
皺や亀裂等の欠陥の無い状態で着座面用発熱体を配置して着座面加熱が円滑にできるようにするために請求項4記載の本発明が採用した手段は、便座の着座部の曲面領域を有する外表面側に、導電性材料より成る着座面用発熱体が配置され、便座の内部に配置した誘導コイルへ通電することで着座面用発熱体を誘導発熱させる暖房便座装置において、着座面用発熱体は、非導電性材料よりなる変形可能なベースシートと、ベースシートに分散して担持され導電性材料よりなる複数個の薄膜とからなることを特徴とする暖房便座装置である。
【0009】
着座面加熱の均一化を図るために請求項5記載の本発明が採用した手段は、前記着座面用発熱体は、前記誘導コイルの磁力を強く受ける部分が弱く受ける部分に比べて、単位面積当たりに占める薄膜の面積の総和の割合である面積率を小さくし、単位面積当たりの発熱量を全体に亘って均一化させるようにした請求項4記載の暖房便座装置である。
【0010】
着座面への磁気の漏れを抑制するために請求項6記載の本発明が採用した手段は、複数枚の前記着座面用発熱体が重ね合わせて配置され、一つの着座面用発熱体の薄膜を担持していない連結部と他の着座面用発熱体の薄膜とを重ね合わせた請求項4記載の暖房便座装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の本発明に係る暖房便座装置は、シート状の着座面用発熱体を平面状態から着座部の曲面領域に沿わせて曲面形成するときに、貫通抜き部の開口していない連結部を円滑に変形して皺や亀裂等の欠陥の無い状態の曲面部分とすることができるため、皺や亀裂等の欠陥の無い状態の着座面用発熱体の配置により着座面加熱が円滑にできる。
【0012】
請求項2記載の本発明に係る暖房便座装置は、着座面用発熱体における貫通抜き部の開口率を調整することで、誘導コイルの磁力を強く受ける部分と弱く受ける部分の単位面積当たりの発熱量を近似させて、着座面加熱の均一化を図ることができる。
【0013】
請求項3記載の本発明に係る暖房便座装置は、一つの着座面用発熱体の貫通抜き部を通過しようとすると磁力が他の着座面用発熱体の連結部に衝突して弱められることにより、着座面への磁気の漏れを抑制することができる。
【0014】
請求項4記載の本発明に係る暖房便座装置は、シート状の着座面用発熱体を平面状態から着座部の曲面領域に沿わせて曲面形成するときに、複数個の薄膜を担持していなベースシートの部分を変形して皺や亀裂等の欠陥の無い状態の曲面部分とすることができるため、皺や亀裂等の欠陥の無い状態の着座面用発熱体の配置により着座面加熱が円滑にできる。
【0015】
請求項5記載の本発明に係る暖房便座装置は、着座面用発熱体における薄膜の面積率を調整することで、誘導コイルの磁力を強く受ける部分と弱く受ける部分の単位面積当たりの発熱量を近似させて、着座面加熱の均一化を図ることができる。
【0016】
請求項6記載の本発明に係る暖房便座装置は、一つの着座面用発熱体の薄膜を担持していなベースシートの部分を通過しようとすると磁力が他の着座面用発熱体の薄膜に衝突して弱められることにより、着座面への磁気の漏れを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る暖房便座装置を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1乃至図8は本発明の第1の実施の形態を示すものであり、図1の図(A)は暖房便座装置1の概略構成を示す側面図、図1の図(B)は図(A)における一点鎖線Bで囲んで部分の拡大断面図、図2は便座の表面材2aを截取して便座内部の概略構成を示す平面図、図3は図2のIII−III線で断面して展開した側面図、図4は誘導コイルCの巻き方を説明する平面図、図5は誘導コイルC(C1,C2)が生成する磁束Φ1,Φ2の状況を説明するものであって、図(A)は平面図、図(B)は正面図、図6は便座2の表面材2aの一部を截取して着座面用発熱体Dを露出させた状態を示す平面図、図7は別形態の着座面用発熱体Dの一部を拡大して示す平面図、図8の図(A)は便座の表面材2aの一部を除去して着座面用発熱体を露出させ、左半分に一つの着座面用発熱体D1のみを示すと共に右半分に二つの着座面用発熱体D1,D2を重ね合わせた状態を示す平面図であり、図8の図(B)は便座2の表面側の一部分を拡大した断面図である。
【0019】
本発明に係る暖房便座装置1は、図1及び図2に示す如く、便座2と、便器(図示略)の上面に設置される便座支持体3とから構成される。本例では、便座2の後端部の左右に所定間隔を置いて後方へ突出するように取付腕部4,4を設け、該取付腕部4,4の間に、便座支持体3の前面部に設けた膨出部5を挟持するように構成してある。そして、便座支持体3における膨出部5の左右側面から突出させた支持具6で、左右の取付腕部4,4を支持することにより、便座2を揺動可能としている。なお、支持具6を抜き出すなどの方法で分離することにより、便座2を便座支持体3から取り外し可能に構成することが可能である。
【0020】
便座支持体3は、例えば箱状の形態を有し、その内部に、電源Wに接続されて電力の供給を受ける制御回路7が設けられる。制御回路7は、便座支持体3の側面に設けたスイッチ基板8が接続され、スイッチ基板8の表面に設けたスイッチボタン(図示略)を押すことにより、制御回路7を通じ、後述する暖房手段Hの誘導コイルCへの通電量を制御して、便座着座面温度を調節し、もしくは誘導コイルCへの通電を停止させるようになされている。
【0021】
前記便座2は、その内部に、便座着座面を加熱する着座面用発熱体Dと該発熱体Dに渦電流を生じさせて発熱体Dを発熱させる誘導コイルCとからなる暖房手段H、誘導コイルCへ供給する電流を生成する調整回路9、及び温度センサ(図示せず)が設けられる。調整回路9は、後述する給電装置10から相互誘導方式により電力の供給を受け、この電力から誘導コイルCへ与える高周波電流を生成するための整流器及びインバータを備える。また温度センサの検知温度信号に基づき、誘導コイルCへの通電状態を調整し、あるいは異常昇温を検知したときに送電を停止させる機能を有している。
【0022】
前記便座2は、図3に示す如く、便座着座部(着座した使用者の臀部の接触が予定される部分)2cを形成する表面材2aの裏面側に発熱体Dが配置され、発熱体Dの下方側で底板2b上に誘導コイルCが配置される。誘導コイルCと発熱体Dとの間の空間は、所望により適宜の断熱材11で充填してもよい。
【0023】
前記発熱体Dは、図1,図3及び図6に示す如く、鉄・銅・アルミニウム等の金属や、これらを主体とする合金又は金属化合物などの導電性材料をシート状の形態としたものであって、複数個の貫通抜き部Daが分散して設けられ、シート状の平面状態から便座着座部2cの曲面領域(図3参照)に沿わせて曲面形成するときに、貫通抜き部Daの開口していない連結部Dbを円滑に変形させて皺や亀裂等の欠陥の無い状態の曲面部分に形成でき、表面材2aの曲面領域を含む裏面に密接させて便座着座部2cの全体に対する加熱を円滑にできるようにしてある。例えば、発熱体Dは、アルミニウムからなる厚みが10〜100μmのシート状であって、貫通抜き部Daの直径が2〜5mmで、単位面積(P) 当たりに占める複数個の貫通抜き部Daの開口面積の総和(Q) の割合(Q/P)を百分率で表した開口率を30〜50%程度としてある。貫通抜き部Daの形状は、本例の如く円孔とする以外に、図示は省略したが、長孔やスリット状等とすることも可能である。
【0024】
前記発熱体Dは、シート状の平面状態のものを予めプレス成形で塑性変形させて、便座着座部2cの曲面領域(図3参照)に沿わせた曲面形成に成形し、その後に、表面材2aの裏面に密接させるように配置するとよい。
【0025】
前記発熱体Dは、着座面加熱の均一化を図るために、図7に示す如く、曲面部分以外の平坦面部分を含めて便座着座部2cの裏面側の全域に複数個の貫通抜き部Daが分散して設けられ、前記誘導コイルCの磁力を強く受ける部分(誘導コイルCの捲線部Ca(図5(A)参照)と対面する箇所)が弱く受ける部分(誘導コイルCの捲線部Caと対面しない箇所)に比べて前記開口率を大きくし、着座面の全域に亘って発熱量を均一化させるようにしてある。発熱体Dは、貫通抜き部Daの開口率を調整することで、誘導コイルCの磁力を強く受ける部分と弱く受ける部分の単位面積当たりの発熱量を近似させて、着座面加熱の均一化を図ることができる。
【0026】
前記暖房便座装置1は、着座面への磁気の漏れを抑制するために、図8に示す如く、便座着座部2cの裏面側の全域に複数枚(本例では二枚)の前記着座面用発熱体D1,D2が絶縁層U(図8の図(B)参照)を介して重ね合わせて配置され、一つの着座面用発熱体D1の貫通抜き部Daと他の着座面用発熱体D2の貫通抜き部の開口していない連結部Dbとを重ね合わせることで、一つの着座面用発熱体D1の貫通抜き部Daを通過しようとすると磁力が他の着座面用発熱体D2の連結部Dbに衝突して弱められることにより、着座使用者(図示略)の接する着座面への磁気の漏れを抑制することができる。上記絶縁層Uは、熱可塑性のプラスチック(例えば、ポリプロピレン、ポリエステル等)からなる厚みが20〜40μmのシートが選択され、シート状の平面状態のものを加熱した成形型によるプレス成形で便座着座部2cの曲面領域に沿わせた曲面形状に塑性変形させ、その後に、隣接する着座面用発熱体D1,D2の間に密接させるように配置するとよい。また、絶縁層Uは、何れか一方の着座面用発熱体D1(又はD2)に予めラミネートする等して予め貼着させ、着座面用発熱体D1(又はD2)と共に便座着座部2cの曲面領域に沿わせた曲面形状に成形することも可能である。
【0027】
前記誘導コイルCは、図4に示す如く、導線を四角状等に巻き上げた薄い面状のものであって、複数個を直列に接続され、発熱体Dとの間の距離G(図3参照)の違いに応じ導線の捲き数及び/又は平面積M(外側の導線で囲まれた内側の面積であって、図5(A)の誘導コイルC1にあってはM=縦寸法Ex横寸法F)を調整して、発熱体Dの発熱量を均等化してある。本例では、誘導コイルCの配置領域(便座2の底板2b上面)を、発熱体Dとの距離Gに応じて複数の領域X1〜X5(図4参照)に区画し、複数の誘導コイルC1〜7・C11〜17における導線の捲き数及び/又は平面積を、各区画ごとに所定の値に設定してある。また、各誘導コイルC1〜7・C11〜17における導線の巻き方を、隣接するものどうしでは、図5に示す如く、通電時に生成する磁束Φ1,Φ2の方向が互いに反対方向を向くよう設定してある。
【0028】
各誘導コイルC1〜7・C11〜17における導線の捲き数及び平面積は、通電時に電磁誘導で加熱される発熱体Dの発熱量が全域にわたり出来るだけ均等化されるよう設定される。例えば、図4に示す便座2の左半分について説明すると、誘導コイルCの配置領域を発熱体Dとの距離G(図3参照)に基づいて、X1〜X5の5つの領域に区画する。先端側X5が距離Gの最も短い領域であり、次いで後端側領域X1の距離Gが短く、中間部領域はX4<X3<X2の順で距離が大きくなっているものとする。そして領域X1及びX5には、比較的平面積の小さい誘導コイルを2個ずつ配置し(C1,C2及びC6,C7)、領域X2〜X4には比較的平面積の大きい誘導コイルC3〜C5を配置する。各誘導コイルC1〜C7の平面積をそれぞれM1〜M7とすると、それらの関係は図面から分かるように、ほぼM6=M7<M1=M2<M5<M4<M3となっている。
【0029】
このような条件で、発熱体Dを誘導加熱したときの発熱量を均等化するには、発熱体Dに作用する磁界の強さを均一にすればよいが、そのためには、発熱体Dとの距離Gが大きい誘導コイル又は平面積の大きい誘導コイルは、導線の捲き数を増やして磁束密度を高める必要がある。反対に距離Gが短い誘導コイル又は平面積の小さい誘導コイルは、磁束密度が小さくてもよいから、導線の捲き数を少なくすることができる。従って、図4に示す例では、各誘導コイルC1〜C7の巻き数をN1〜N7とすると、N6=N7<N1=N2<N5<N4<N3となるように設定しなくてはならない。(なお、便座2の右半分の誘導コイルC11〜C17についても、上記と同様である。)
【0030】
なお、暖房便座を製作する際の構造上の制約あるいはデザイン上の必要性等から、誘導コイルCの平面積M、誘導コイルCと発熱体Dとの距離G、及び、誘導コイルCそれぞれが受け持つ発熱体Dの誘導加熱領域の平面積Xs等は、あらかじめ製作時に規定され、変更の自由度が少ないと考えられる。しかるに、誘導コイルCの捲き数Nについては、比較的容易に変更できる。従って、上記各要素(M,G,Xs)を勘案して、誘導コイルCの捲き数Nを適宜設定することにより、発熱体Dの発熱量を所定値に設定することが可能である。
【0031】
ところで本例では、全ての誘導コイルについて、隣接する誘導コイルは導線の巻き方が反対となるように形成し、通電時に生成する磁束の方向が反対方向を向くように設定している。このためには、直列に接続する誘導コイルCの個数を偶数個にする。すなわち図4に示すように、14個の誘導コイルのうちC1,C3,C5,C7,C16,C14,C12は導線の巻き方を反時計回りとし、誘導コイルC2,C4,C6,C17,C15,C13,C11は導線の巻き方を時計回りとした。
【0032】
かかる構成を採用すると、次のような効果が得られる。図5(A)に示す如く、隣接する誘導コイルC1,C2の導線の捲き方向が反対であり、それらに矢印で示す方向に電流Iが流れた瞬間を考える。このとき生成される磁束Φ1,Φ2は、右ネジの法則により、誘導コイルC1では図面から手前側へ向かう方向(同図(B)においては上方)、誘導コイルC2では図面から奥側へ向かう方向(同図(B)においては下方)となる。そして同図(B)に示すように、誘導コイルC1から生成する磁束Φ1が隣接する誘導コイルC2へ収束し、誘導コイルC2から生成する磁束Φ1が誘導コイルC2へ収束するような磁界が形成される。その結果、外部への磁束漏洩が少なくなり、発熱体Dを効率よく誘導加熱することができる。また、人体や電子機器への悪影響も抑えられる。さらに、磁束Φ1,Φ2が誘導コイルC1,C2の境界部Rを通過するので、発熱体Dにおける誘導コイルCの直上部位だけでなく、境界部Rに対応する部位をも確実に誘導加熱することができ、よって発熱体Dの全域にわたる均一加熱が可能になっている。
【0033】
本例では、図1に示す如く、制御回路7から暖房手段Hへ通電するための給電装置10を次のように構成した。便座支持体3の膨出部5に、一次コイルL1を外周に巻き付けた一次側コアK1を配置する。一次コイルL1は制御回路7に接続され、電力の供給を受ける。他方、二次コイルL2を巻き付けた二次側コアK2は、便座2の後端部であって、便座2が伏倒位置(使用者が着座可能である位置)に在るとき、前記一次側コアK1と近接して対向する位置に配置する。二次コイルL2は調整回路11と接続される。コアK1,K2はコ字状とし、その中間部にコイルL1,L2を巻き付ける。コアK1,K2の材質は、フェライト・電磁軟鉄・ケイ素鋼・炭素鋼・その他の鉄合金など、磁芯材料として用いられる強磁性体材料である。なお、給電装置10は、図示は省略したが、便座2を揺動可能に支持する支持具6を、一次コイル及び二次コイルを巻き付けるコアに利用して構成することも可能である。
【0034】
前記の如く構成された給電装置10は、便座2が伏倒位置に在るとき、便座支持体3側の一次側コアK1の端面と、便座2側の二次側コアK2の端面とが近接して対向する。そして、制御回路7から一次コイルL1へ適当な周波数の交流電力を与えると、相互誘導作用により、二次コイルL2に起電力が発生する。さらに、この電力が調整回路9で高周波電流に変換されて誘導コイルCへ供給され、誘導コイルCの電磁誘導作用により発熱体Dが発熱して、便座2表面を所望温度に昇温させる。
【0035】
本例では、直列に接続した各誘導コイルC1〜C7・C11〜17の巻き数及び平面積を、発熱体Dとの距離に応じて調整し、発熱体Dの発熱量が全域でなるべく均等化されるように設定した。それ故、各誘導コイルCと発熱体Dからなる暖房手段に通電すれば、便座2の表面が均一にむらなく暖められるから、熱すぎたり冷たかったりする部位を生じさせて使用者に不快感を与えるおそれがない。殊に、複数個の貫通抜き部9aが分散して設けられ発熱体Dについて、図7に示すように、誘導コイルCの磁力を強く受ける部分が弱く受ける部分に比べて開口率を大きくする場合にあっては、直列に接続した各誘導コイルC1〜C7・C11〜17の上記調整と相まって、単位面積当たりの発熱量を全体に亘って更に均一化させることができ、熱すぎたり冷たかったりする部位を生じさせないようにして使用者に不快感を与えないようにできる。また、誘導加熱による発熱体Dの昇温は短時間になされるから、通電を始めれば、すぐに便座2の着座部2cの全体が暖かくなる。従って、例えば便座支持体3等に人体検知センサーを設け、不使用時は通電を停止しておき、使用者を検知したときに上記暖房手段に通電するように構成すれば、節電効果を得ることが可能である。
【0036】
(第2の実施の形態)
図9乃至図11は本発明の第2の実施の形態を示すものであって、図9の図(A)は便座2の表面材2aの一部を截取して着座面用発熱体Sを露出させると共に発熱体Sの一部を截取した平面図、図9の図(B)は便座2の表面側の一部分を拡大した断面図、図10は別形態の着座面用発熱体Sの一部を拡大して示す平面図、図11の図(A)は便座の表面材2aの一部を截取して着座面用発熱体を露出させ、左半分に一つの着座面用発熱体D1のみを示すと共に右半分に二つの着座面用発熱体S1,S2を重ね合わせた状態を示す平面図であり、図10の図(B)は便座2の表面側の一部分を拡大した断面図である。
【0037】
本実施の形態の暖房便座装置21は、図9に示す如く着座面用発熱体Sが前記第1の実施の形態(図1〜図8参照)と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図9乃至図11において図1及び図8と同一符号は相当部分を示す。
【0038】
着座面用発熱体Sは、非導電性材料よりなる変形可能なベースシートSbと、ベースシートSbに分散して担持され導電性材料よりなる複数個の薄膜Saとかららなる。ベースシートSbは、熱可塑性のプラスチック(例えば、ポリプロピレン、ポリエステル等)からなる厚みが20〜40μmのシートが選択され、薄膜Saは、鉄・銅・アルミニウム等の金属や、これらを主体とする合金又は金属化合物などの導電性材料からなる厚みが20〜40μmであって、直径が10〜50mmの円形の平面形状に成形され、ベースシートSbに接着する等して担持されている。発熱体Sは、単位面積(A)当たりに占める薄膜Saの面積の総和(B)の割合(B/A)の百分率である面積率を30〜70%程度としてある。薄膜Saの平面形状は、本例の如く円形とする以外に、図示は省略したが、長円形や楕円等とすることも可能である。
【0039】
前記着座面用発熱体Sは、シート状の平面状態のものを加熱した成形型によるプレス成形でベースシートSbを塑性変形させて便座着座部2cの曲面領域に沿わせた曲面形状に成形し、その後に、表面材2aの裏面に密接させるように配置するとよい。ベースシートSbの塑性変形は、薄膜Saを担持していない領域について大きく変形させることができる。曲面形状する領域にある薄膜Saは、プレス成形されるときにベースシートSbと共に、便座着座部2cの曲面領域に沿わせた曲面形状に変形される。
【0040】
前記着座面用発熱体Sは、複数個の薄膜Saを担持していなベースシートSbの部分を変形して皺や亀裂等の欠陥の無い状態の曲面部分とすることができるため、皺や亀裂等の欠陥の無い状態で便座着座部2cに密着させて配置することができ、着座面加熱が円滑にできる。
【0041】
前記発熱体Sは、着座面加熱の均一化を図るために、図10に示す如く、曲面部分以外の平坦面部分を含めて便座着座部2cの裏面側の全域に複数個の薄膜Saが分散して設けられ、前記誘導コイルCの磁力を強く受ける部分(誘導コイルCの捲線部Caと対面する箇所)が弱く受ける部分(誘導コイルCの捲線部Caと対面しない箇所)に比べて、単位面積(A)当たりに占める薄膜Saの面積の総和(B)の割合(B/A)の百分率である面積率を小さくし、単位面積当たりの発熱量を全体に亘って均一化させるようにしてある。発熱体Sは、薄膜Saの面積率を調整することで、誘導コイルCの磁力を強く受ける部分と弱く受ける部分の単位面積当たりの発熱量を近似させて、着座面加熱の均一化を図ることができる。
【0042】
前記暖房便座装置21は、着座面への磁気の漏れを抑制するために、図11に示す如く、便座着座部2cの裏面側の全域に複数枚(本例では二枚)の前記着座面用発熱体S1,S2が重ね合わせて配置され、一つの着座面用発熱体S1の薄膜Saの無い部分と他の着座面用発熱体S2の薄膜Saの有る部分とを重ね合わせることで、一つの着座面用発熱体S1の薄膜Saの無い部分を通過しようとすると磁力が他の着座面用発熱体S2の薄膜Saに衝突して弱められることにより、着座使用者(図示略)の接する着座面への磁気の漏れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すものであり、図(A)は暖房便座装置の概略構成を示す側面図、図(B)は図(A)における一点鎖線で囲んで部分の拡大断面図である。
【図2】第1の実施の形態において、便座の表面材を截取して便座内部の概略構成を示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線で断面して展開した側面図である。
【図4】第1の実施の形態において、誘導コイルの巻き方を説明する平面図である。
【図5】第1の実施の形態において、誘導コイルが生成する磁束の状況を説明するものであって、図(A)は平面図、図(B)は正面図である。
【図6】第1の実施の形態において、便座の表面材の一部を截取して着座面用発熱体を露出させた状態を示す平面図である。
【図7】第1の実施の形態において、別形態の着座面用発熱体の一部を拡大して示す平面図である。
【図8】第1の実施の形態において、図(A)は便座の表面材の一部を除去して着座面用発熱体を露出させ、左半分に一つの着座面用発熱体のみを示すと共に右半分に二つの着座面用発熱体を重ね合わせた状態を示す平面図であり、図(B)は便座の表面側の一部分を拡大した断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示すものであり、図(A)は便座の表面材の一部を截取して着座面用発熱体を露出させると共に発熱体の一部を截取した平面図、図(B)は便座の表面部の一部分を拡大した断面図である。
【図10】第2の実施の形態において、別形態の着座面用発熱体の一部を拡大して示す平面図である。
【図11】第2の実施の形態において、図(A)は便座の表面部の一部を除去して着座面用発熱体を露出させ、左半分に一つの着座面用発熱体のみを示すと共に右半分に二つの着座面用発熱体を重ね合わせた状態を示す平面図であり、図(B)は便座の表面部の一部分を拡大した断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1…暖房便座装置、2…便座、2c…着座部、C…誘導コイル,D(S)…着座面用発熱体、Da…貫通抜き部、Db…連結部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導加熱方式の暖房便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁誘導加熱方式の暖房便座装置は、便座の着座部の曲面領域を有する外表面側に、導電性材料より成る面状の着座面用発熱体が配置され、便座に配置した誘導コイルへ通電することで着座面用発熱体を誘導発熱させるものがある(特許文献1)。
着座面用発熱体としては、アルミニュームの金属箔又はプラスチックフィルムに金属箔を貼合わせたもの等が用いられる。
【特許文献1】特開2001−8859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
便座の着座面は、全体が平面ではなく曲面部分がある。そのため、着座面用発熱体は、便座の着座面の形状に沿わせて曲面成形するときに皺や亀裂等の欠陥が生じ、所定どおりに発熱のできない箇所を生じさせることがある。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するために、皺や亀裂等の欠陥の無い状態で着座面用発熱体を配置して着座面加熱が円滑にできる暖房便座装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
皺や亀裂等の欠陥の無い状態で着座面用発熱体を配置して着座面加熱が円滑にできるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、便座の着座部の曲面領域を有する外表面側に、導電性材料より成る着座面用発熱体が配置され、便座の内部に配置した誘導コイルへ通電することで着座面用発熱体を誘導発熱させる暖房便座装置において、着座面用発熱体は、シート状からなり、複数個の貫通抜き部が分散して設けられていることを特徴とする暖房便座装置である。
【0006】
着座面加熱の均一化を図るために請求項2記載の本発明が採用した手段は、前記着座面用発熱体は、前記誘導コイルの磁力を強く受ける部分が弱く受ける部分に比べて、単位面積当たりに占める貫通抜き部の開口面積の総和の割合である開口率を大きくし、単位面積当たりの発熱量を全体に亘って均一化させるようにした請求項1記載の暖房便座装置である。
【0007】
着座面への磁気の漏れを抑制するために請求項3記載の本発明が採用した手段は、複数枚の前記着座面用発熱体が重ね合わせて配置され、一つの着座面用発熱体の貫通抜き部と他の着座面用発熱体の貫通抜き部の開口していない連結部とを重ね合わせた請求項1記載の暖房便座装置である。
【0008】
皺や亀裂等の欠陥の無い状態で着座面用発熱体を配置して着座面加熱が円滑にできるようにするために請求項4記載の本発明が採用した手段は、便座の着座部の曲面領域を有する外表面側に、導電性材料より成る着座面用発熱体が配置され、便座の内部に配置した誘導コイルへ通電することで着座面用発熱体を誘導発熱させる暖房便座装置において、着座面用発熱体は、非導電性材料よりなる変形可能なベースシートと、ベースシートに分散して担持され導電性材料よりなる複数個の薄膜とからなることを特徴とする暖房便座装置である。
【0009】
着座面加熱の均一化を図るために請求項5記載の本発明が採用した手段は、前記着座面用発熱体は、前記誘導コイルの磁力を強く受ける部分が弱く受ける部分に比べて、単位面積当たりに占める薄膜の面積の総和の割合である面積率を小さくし、単位面積当たりの発熱量を全体に亘って均一化させるようにした請求項4記載の暖房便座装置である。
【0010】
着座面への磁気の漏れを抑制するために請求項6記載の本発明が採用した手段は、複数枚の前記着座面用発熱体が重ね合わせて配置され、一つの着座面用発熱体の薄膜を担持していない連結部と他の着座面用発熱体の薄膜とを重ね合わせた請求項4記載の暖房便座装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の本発明に係る暖房便座装置は、シート状の着座面用発熱体を平面状態から着座部の曲面領域に沿わせて曲面形成するときに、貫通抜き部の開口していない連結部を円滑に変形して皺や亀裂等の欠陥の無い状態の曲面部分とすることができるため、皺や亀裂等の欠陥の無い状態の着座面用発熱体の配置により着座面加熱が円滑にできる。
【0012】
請求項2記載の本発明に係る暖房便座装置は、着座面用発熱体における貫通抜き部の開口率を調整することで、誘導コイルの磁力を強く受ける部分と弱く受ける部分の単位面積当たりの発熱量を近似させて、着座面加熱の均一化を図ることができる。
【0013】
請求項3記載の本発明に係る暖房便座装置は、一つの着座面用発熱体の貫通抜き部を通過しようとすると磁力が他の着座面用発熱体の連結部に衝突して弱められることにより、着座面への磁気の漏れを抑制することができる。
【0014】
請求項4記載の本発明に係る暖房便座装置は、シート状の着座面用発熱体を平面状態から着座部の曲面領域に沿わせて曲面形成するときに、複数個の薄膜を担持していなベースシートの部分を変形して皺や亀裂等の欠陥の無い状態の曲面部分とすることができるため、皺や亀裂等の欠陥の無い状態の着座面用発熱体の配置により着座面加熱が円滑にできる。
【0015】
請求項5記載の本発明に係る暖房便座装置は、着座面用発熱体における薄膜の面積率を調整することで、誘導コイルの磁力を強く受ける部分と弱く受ける部分の単位面積当たりの発熱量を近似させて、着座面加熱の均一化を図ることができる。
【0016】
請求項6記載の本発明に係る暖房便座装置は、一つの着座面用発熱体の薄膜を担持していなベースシートの部分を通過しようとすると磁力が他の着座面用発熱体の薄膜に衝突して弱められることにより、着座面への磁気の漏れを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る暖房便座装置を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1乃至図8は本発明の第1の実施の形態を示すものであり、図1の図(A)は暖房便座装置1の概略構成を示す側面図、図1の図(B)は図(A)における一点鎖線Bで囲んで部分の拡大断面図、図2は便座の表面材2aを截取して便座内部の概略構成を示す平面図、図3は図2のIII−III線で断面して展開した側面図、図4は誘導コイルCの巻き方を説明する平面図、図5は誘導コイルC(C1,C2)が生成する磁束Φ1,Φ2の状況を説明するものであって、図(A)は平面図、図(B)は正面図、図6は便座2の表面材2aの一部を截取して着座面用発熱体Dを露出させた状態を示す平面図、図7は別形態の着座面用発熱体Dの一部を拡大して示す平面図、図8の図(A)は便座の表面材2aの一部を除去して着座面用発熱体を露出させ、左半分に一つの着座面用発熱体D1のみを示すと共に右半分に二つの着座面用発熱体D1,D2を重ね合わせた状態を示す平面図であり、図8の図(B)は便座2の表面側の一部分を拡大した断面図である。
【0019】
本発明に係る暖房便座装置1は、図1及び図2に示す如く、便座2と、便器(図示略)の上面に設置される便座支持体3とから構成される。本例では、便座2の後端部の左右に所定間隔を置いて後方へ突出するように取付腕部4,4を設け、該取付腕部4,4の間に、便座支持体3の前面部に設けた膨出部5を挟持するように構成してある。そして、便座支持体3における膨出部5の左右側面から突出させた支持具6で、左右の取付腕部4,4を支持することにより、便座2を揺動可能としている。なお、支持具6を抜き出すなどの方法で分離することにより、便座2を便座支持体3から取り外し可能に構成することが可能である。
【0020】
便座支持体3は、例えば箱状の形態を有し、その内部に、電源Wに接続されて電力の供給を受ける制御回路7が設けられる。制御回路7は、便座支持体3の側面に設けたスイッチ基板8が接続され、スイッチ基板8の表面に設けたスイッチボタン(図示略)を押すことにより、制御回路7を通じ、後述する暖房手段Hの誘導コイルCへの通電量を制御して、便座着座面温度を調節し、もしくは誘導コイルCへの通電を停止させるようになされている。
【0021】
前記便座2は、その内部に、便座着座面を加熱する着座面用発熱体Dと該発熱体Dに渦電流を生じさせて発熱体Dを発熱させる誘導コイルCとからなる暖房手段H、誘導コイルCへ供給する電流を生成する調整回路9、及び温度センサ(図示せず)が設けられる。調整回路9は、後述する給電装置10から相互誘導方式により電力の供給を受け、この電力から誘導コイルCへ与える高周波電流を生成するための整流器及びインバータを備える。また温度センサの検知温度信号に基づき、誘導コイルCへの通電状態を調整し、あるいは異常昇温を検知したときに送電を停止させる機能を有している。
【0022】
前記便座2は、図3に示す如く、便座着座部(着座した使用者の臀部の接触が予定される部分)2cを形成する表面材2aの裏面側に発熱体Dが配置され、発熱体Dの下方側で底板2b上に誘導コイルCが配置される。誘導コイルCと発熱体Dとの間の空間は、所望により適宜の断熱材11で充填してもよい。
【0023】
前記発熱体Dは、図1,図3及び図6に示す如く、鉄・銅・アルミニウム等の金属や、これらを主体とする合金又は金属化合物などの導電性材料をシート状の形態としたものであって、複数個の貫通抜き部Daが分散して設けられ、シート状の平面状態から便座着座部2cの曲面領域(図3参照)に沿わせて曲面形成するときに、貫通抜き部Daの開口していない連結部Dbを円滑に変形させて皺や亀裂等の欠陥の無い状態の曲面部分に形成でき、表面材2aの曲面領域を含む裏面に密接させて便座着座部2cの全体に対する加熱を円滑にできるようにしてある。例えば、発熱体Dは、アルミニウムからなる厚みが10〜100μmのシート状であって、貫通抜き部Daの直径が2〜5mmで、単位面積(P) 当たりに占める複数個の貫通抜き部Daの開口面積の総和(Q) の割合(Q/P)を百分率で表した開口率を30〜50%程度としてある。貫通抜き部Daの形状は、本例の如く円孔とする以外に、図示は省略したが、長孔やスリット状等とすることも可能である。
【0024】
前記発熱体Dは、シート状の平面状態のものを予めプレス成形で塑性変形させて、便座着座部2cの曲面領域(図3参照)に沿わせた曲面形成に成形し、その後に、表面材2aの裏面に密接させるように配置するとよい。
【0025】
前記発熱体Dは、着座面加熱の均一化を図るために、図7に示す如く、曲面部分以外の平坦面部分を含めて便座着座部2cの裏面側の全域に複数個の貫通抜き部Daが分散して設けられ、前記誘導コイルCの磁力を強く受ける部分(誘導コイルCの捲線部Ca(図5(A)参照)と対面する箇所)が弱く受ける部分(誘導コイルCの捲線部Caと対面しない箇所)に比べて前記開口率を大きくし、着座面の全域に亘って発熱量を均一化させるようにしてある。発熱体Dは、貫通抜き部Daの開口率を調整することで、誘導コイルCの磁力を強く受ける部分と弱く受ける部分の単位面積当たりの発熱量を近似させて、着座面加熱の均一化を図ることができる。
【0026】
前記暖房便座装置1は、着座面への磁気の漏れを抑制するために、図8に示す如く、便座着座部2cの裏面側の全域に複数枚(本例では二枚)の前記着座面用発熱体D1,D2が絶縁層U(図8の図(B)参照)を介して重ね合わせて配置され、一つの着座面用発熱体D1の貫通抜き部Daと他の着座面用発熱体D2の貫通抜き部の開口していない連結部Dbとを重ね合わせることで、一つの着座面用発熱体D1の貫通抜き部Daを通過しようとすると磁力が他の着座面用発熱体D2の連結部Dbに衝突して弱められることにより、着座使用者(図示略)の接する着座面への磁気の漏れを抑制することができる。上記絶縁層Uは、熱可塑性のプラスチック(例えば、ポリプロピレン、ポリエステル等)からなる厚みが20〜40μmのシートが選択され、シート状の平面状態のものを加熱した成形型によるプレス成形で便座着座部2cの曲面領域に沿わせた曲面形状に塑性変形させ、その後に、隣接する着座面用発熱体D1,D2の間に密接させるように配置するとよい。また、絶縁層Uは、何れか一方の着座面用発熱体D1(又はD2)に予めラミネートする等して予め貼着させ、着座面用発熱体D1(又はD2)と共に便座着座部2cの曲面領域に沿わせた曲面形状に成形することも可能である。
【0027】
前記誘導コイルCは、図4に示す如く、導線を四角状等に巻き上げた薄い面状のものであって、複数個を直列に接続され、発熱体Dとの間の距離G(図3参照)の違いに応じ導線の捲き数及び/又は平面積M(外側の導線で囲まれた内側の面積であって、図5(A)の誘導コイルC1にあってはM=縦寸法Ex横寸法F)を調整して、発熱体Dの発熱量を均等化してある。本例では、誘導コイルCの配置領域(便座2の底板2b上面)を、発熱体Dとの距離Gに応じて複数の領域X1〜X5(図4参照)に区画し、複数の誘導コイルC1〜7・C11〜17における導線の捲き数及び/又は平面積を、各区画ごとに所定の値に設定してある。また、各誘導コイルC1〜7・C11〜17における導線の巻き方を、隣接するものどうしでは、図5に示す如く、通電時に生成する磁束Φ1,Φ2の方向が互いに反対方向を向くよう設定してある。
【0028】
各誘導コイルC1〜7・C11〜17における導線の捲き数及び平面積は、通電時に電磁誘導で加熱される発熱体Dの発熱量が全域にわたり出来るだけ均等化されるよう設定される。例えば、図4に示す便座2の左半分について説明すると、誘導コイルCの配置領域を発熱体Dとの距離G(図3参照)に基づいて、X1〜X5の5つの領域に区画する。先端側X5が距離Gの最も短い領域であり、次いで後端側領域X1の距離Gが短く、中間部領域はX4<X3<X2の順で距離が大きくなっているものとする。そして領域X1及びX5には、比較的平面積の小さい誘導コイルを2個ずつ配置し(C1,C2及びC6,C7)、領域X2〜X4には比較的平面積の大きい誘導コイルC3〜C5を配置する。各誘導コイルC1〜C7の平面積をそれぞれM1〜M7とすると、それらの関係は図面から分かるように、ほぼM6=M7<M1=M2<M5<M4<M3となっている。
【0029】
このような条件で、発熱体Dを誘導加熱したときの発熱量を均等化するには、発熱体Dに作用する磁界の強さを均一にすればよいが、そのためには、発熱体Dとの距離Gが大きい誘導コイル又は平面積の大きい誘導コイルは、導線の捲き数を増やして磁束密度を高める必要がある。反対に距離Gが短い誘導コイル又は平面積の小さい誘導コイルは、磁束密度が小さくてもよいから、導線の捲き数を少なくすることができる。従って、図4に示す例では、各誘導コイルC1〜C7の巻き数をN1〜N7とすると、N6=N7<N1=N2<N5<N4<N3となるように設定しなくてはならない。(なお、便座2の右半分の誘導コイルC11〜C17についても、上記と同様である。)
【0030】
なお、暖房便座を製作する際の構造上の制約あるいはデザイン上の必要性等から、誘導コイルCの平面積M、誘導コイルCと発熱体Dとの距離G、及び、誘導コイルCそれぞれが受け持つ発熱体Dの誘導加熱領域の平面積Xs等は、あらかじめ製作時に規定され、変更の自由度が少ないと考えられる。しかるに、誘導コイルCの捲き数Nについては、比較的容易に変更できる。従って、上記各要素(M,G,Xs)を勘案して、誘導コイルCの捲き数Nを適宜設定することにより、発熱体Dの発熱量を所定値に設定することが可能である。
【0031】
ところで本例では、全ての誘導コイルについて、隣接する誘導コイルは導線の巻き方が反対となるように形成し、通電時に生成する磁束の方向が反対方向を向くように設定している。このためには、直列に接続する誘導コイルCの個数を偶数個にする。すなわち図4に示すように、14個の誘導コイルのうちC1,C3,C5,C7,C16,C14,C12は導線の巻き方を反時計回りとし、誘導コイルC2,C4,C6,C17,C15,C13,C11は導線の巻き方を時計回りとした。
【0032】
かかる構成を採用すると、次のような効果が得られる。図5(A)に示す如く、隣接する誘導コイルC1,C2の導線の捲き方向が反対であり、それらに矢印で示す方向に電流Iが流れた瞬間を考える。このとき生成される磁束Φ1,Φ2は、右ネジの法則により、誘導コイルC1では図面から手前側へ向かう方向(同図(B)においては上方)、誘導コイルC2では図面から奥側へ向かう方向(同図(B)においては下方)となる。そして同図(B)に示すように、誘導コイルC1から生成する磁束Φ1が隣接する誘導コイルC2へ収束し、誘導コイルC2から生成する磁束Φ1が誘導コイルC2へ収束するような磁界が形成される。その結果、外部への磁束漏洩が少なくなり、発熱体Dを効率よく誘導加熱することができる。また、人体や電子機器への悪影響も抑えられる。さらに、磁束Φ1,Φ2が誘導コイルC1,C2の境界部Rを通過するので、発熱体Dにおける誘導コイルCの直上部位だけでなく、境界部Rに対応する部位をも確実に誘導加熱することができ、よって発熱体Dの全域にわたる均一加熱が可能になっている。
【0033】
本例では、図1に示す如く、制御回路7から暖房手段Hへ通電するための給電装置10を次のように構成した。便座支持体3の膨出部5に、一次コイルL1を外周に巻き付けた一次側コアK1を配置する。一次コイルL1は制御回路7に接続され、電力の供給を受ける。他方、二次コイルL2を巻き付けた二次側コアK2は、便座2の後端部であって、便座2が伏倒位置(使用者が着座可能である位置)に在るとき、前記一次側コアK1と近接して対向する位置に配置する。二次コイルL2は調整回路11と接続される。コアK1,K2はコ字状とし、その中間部にコイルL1,L2を巻き付ける。コアK1,K2の材質は、フェライト・電磁軟鉄・ケイ素鋼・炭素鋼・その他の鉄合金など、磁芯材料として用いられる強磁性体材料である。なお、給電装置10は、図示は省略したが、便座2を揺動可能に支持する支持具6を、一次コイル及び二次コイルを巻き付けるコアに利用して構成することも可能である。
【0034】
前記の如く構成された給電装置10は、便座2が伏倒位置に在るとき、便座支持体3側の一次側コアK1の端面と、便座2側の二次側コアK2の端面とが近接して対向する。そして、制御回路7から一次コイルL1へ適当な周波数の交流電力を与えると、相互誘導作用により、二次コイルL2に起電力が発生する。さらに、この電力が調整回路9で高周波電流に変換されて誘導コイルCへ供給され、誘導コイルCの電磁誘導作用により発熱体Dが発熱して、便座2表面を所望温度に昇温させる。
【0035】
本例では、直列に接続した各誘導コイルC1〜C7・C11〜17の巻き数及び平面積を、発熱体Dとの距離に応じて調整し、発熱体Dの発熱量が全域でなるべく均等化されるように設定した。それ故、各誘導コイルCと発熱体Dからなる暖房手段に通電すれば、便座2の表面が均一にむらなく暖められるから、熱すぎたり冷たかったりする部位を生じさせて使用者に不快感を与えるおそれがない。殊に、複数個の貫通抜き部9aが分散して設けられ発熱体Dについて、図7に示すように、誘導コイルCの磁力を強く受ける部分が弱く受ける部分に比べて開口率を大きくする場合にあっては、直列に接続した各誘導コイルC1〜C7・C11〜17の上記調整と相まって、単位面積当たりの発熱量を全体に亘って更に均一化させることができ、熱すぎたり冷たかったりする部位を生じさせないようにして使用者に不快感を与えないようにできる。また、誘導加熱による発熱体Dの昇温は短時間になされるから、通電を始めれば、すぐに便座2の着座部2cの全体が暖かくなる。従って、例えば便座支持体3等に人体検知センサーを設け、不使用時は通電を停止しておき、使用者を検知したときに上記暖房手段に通電するように構成すれば、節電効果を得ることが可能である。
【0036】
(第2の実施の形態)
図9乃至図11は本発明の第2の実施の形態を示すものであって、図9の図(A)は便座2の表面材2aの一部を截取して着座面用発熱体Sを露出させると共に発熱体Sの一部を截取した平面図、図9の図(B)は便座2の表面側の一部分を拡大した断面図、図10は別形態の着座面用発熱体Sの一部を拡大して示す平面図、図11の図(A)は便座の表面材2aの一部を截取して着座面用発熱体を露出させ、左半分に一つの着座面用発熱体D1のみを示すと共に右半分に二つの着座面用発熱体S1,S2を重ね合わせた状態を示す平面図であり、図10の図(B)は便座2の表面側の一部分を拡大した断面図である。
【0037】
本実施の形態の暖房便座装置21は、図9に示す如く着座面用発熱体Sが前記第1の実施の形態(図1〜図8参照)と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態と実質的に同一であり、図9乃至図11において図1及び図8と同一符号は相当部分を示す。
【0038】
着座面用発熱体Sは、非導電性材料よりなる変形可能なベースシートSbと、ベースシートSbに分散して担持され導電性材料よりなる複数個の薄膜Saとかららなる。ベースシートSbは、熱可塑性のプラスチック(例えば、ポリプロピレン、ポリエステル等)からなる厚みが20〜40μmのシートが選択され、薄膜Saは、鉄・銅・アルミニウム等の金属や、これらを主体とする合金又は金属化合物などの導電性材料からなる厚みが20〜40μmであって、直径が10〜50mmの円形の平面形状に成形され、ベースシートSbに接着する等して担持されている。発熱体Sは、単位面積(A)当たりに占める薄膜Saの面積の総和(B)の割合(B/A)の百分率である面積率を30〜70%程度としてある。薄膜Saの平面形状は、本例の如く円形とする以外に、図示は省略したが、長円形や楕円等とすることも可能である。
【0039】
前記着座面用発熱体Sは、シート状の平面状態のものを加熱した成形型によるプレス成形でベースシートSbを塑性変形させて便座着座部2cの曲面領域に沿わせた曲面形状に成形し、その後に、表面材2aの裏面に密接させるように配置するとよい。ベースシートSbの塑性変形は、薄膜Saを担持していない領域について大きく変形させることができる。曲面形状する領域にある薄膜Saは、プレス成形されるときにベースシートSbと共に、便座着座部2cの曲面領域に沿わせた曲面形状に変形される。
【0040】
前記着座面用発熱体Sは、複数個の薄膜Saを担持していなベースシートSbの部分を変形して皺や亀裂等の欠陥の無い状態の曲面部分とすることができるため、皺や亀裂等の欠陥の無い状態で便座着座部2cに密着させて配置することができ、着座面加熱が円滑にできる。
【0041】
前記発熱体Sは、着座面加熱の均一化を図るために、図10に示す如く、曲面部分以外の平坦面部分を含めて便座着座部2cの裏面側の全域に複数個の薄膜Saが分散して設けられ、前記誘導コイルCの磁力を強く受ける部分(誘導コイルCの捲線部Caと対面する箇所)が弱く受ける部分(誘導コイルCの捲線部Caと対面しない箇所)に比べて、単位面積(A)当たりに占める薄膜Saの面積の総和(B)の割合(B/A)の百分率である面積率を小さくし、単位面積当たりの発熱量を全体に亘って均一化させるようにしてある。発熱体Sは、薄膜Saの面積率を調整することで、誘導コイルCの磁力を強く受ける部分と弱く受ける部分の単位面積当たりの発熱量を近似させて、着座面加熱の均一化を図ることができる。
【0042】
前記暖房便座装置21は、着座面への磁気の漏れを抑制するために、図11に示す如く、便座着座部2cの裏面側の全域に複数枚(本例では二枚)の前記着座面用発熱体S1,S2が重ね合わせて配置され、一つの着座面用発熱体S1の薄膜Saの無い部分と他の着座面用発熱体S2の薄膜Saの有る部分とを重ね合わせることで、一つの着座面用発熱体S1の薄膜Saの無い部分を通過しようとすると磁力が他の着座面用発熱体S2の薄膜Saに衝突して弱められることにより、着座使用者(図示略)の接する着座面への磁気の漏れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すものであり、図(A)は暖房便座装置の概略構成を示す側面図、図(B)は図(A)における一点鎖線で囲んで部分の拡大断面図である。
【図2】第1の実施の形態において、便座の表面材を截取して便座内部の概略構成を示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線で断面して展開した側面図である。
【図4】第1の実施の形態において、誘導コイルの巻き方を説明する平面図である。
【図5】第1の実施の形態において、誘導コイルが生成する磁束の状況を説明するものであって、図(A)は平面図、図(B)は正面図である。
【図6】第1の実施の形態において、便座の表面材の一部を截取して着座面用発熱体を露出させた状態を示す平面図である。
【図7】第1の実施の形態において、別形態の着座面用発熱体の一部を拡大して示す平面図である。
【図8】第1の実施の形態において、図(A)は便座の表面材の一部を除去して着座面用発熱体を露出させ、左半分に一つの着座面用発熱体のみを示すと共に右半分に二つの着座面用発熱体を重ね合わせた状態を示す平面図であり、図(B)は便座の表面側の一部分を拡大した断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示すものであり、図(A)は便座の表面材の一部を截取して着座面用発熱体を露出させると共に発熱体の一部を截取した平面図、図(B)は便座の表面部の一部分を拡大した断面図である。
【図10】第2の実施の形態において、別形態の着座面用発熱体の一部を拡大して示す平面図である。
【図11】第2の実施の形態において、図(A)は便座の表面部の一部を除去して着座面用発熱体を露出させ、左半分に一つの着座面用発熱体のみを示すと共に右半分に二つの着座面用発熱体を重ね合わせた状態を示す平面図であり、図(B)は便座の表面部の一部分を拡大した断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1…暖房便座装置、2…便座、2c…着座部、C…誘導コイル,D(S)…着座面用発熱体、Da…貫通抜き部、Db…連結部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座の着座部の曲面領域を有する外表面側に、導電性材料より成る着座面用発熱体が配置され、便座の内部に配置した誘導コイルへ通電することで着座面用発熱体を誘導発熱させる暖房便座装置において、着座面用発熱体は、シート状からなり、複数個の貫通抜き部が分散して設けられていることを特徴とする暖房便座装置。
【請求項2】
前記着座面用発熱体は、前記誘導コイルの磁力を強く受ける部分が弱く受ける部分に比べて、単位面積当たりに占める貫通抜き部の開口面積の総和の割合である開口率を大きくし、単位面積当たりの発熱量を全体に亘って均一化させるようにした請求項1記載の暖房便座装置。
【請求項3】
複数枚の前記着座面用発熱体が重ね合わせて配置され、一つの着座面用発熱体の貫通抜き部と他の着座面用発熱体の貫通抜き部の開口していない連結部とを重ね合わせた請求項1記載の暖房便座装置。
【請求項4】
便座の着座部の曲面領域を有する外表面側に、導電性材料より成る着座面用発熱体が配置され、便座の内部に配置した誘導コイルへ通電することで着座面用発熱体を誘導発熱させる暖房便座装置において、着座面用発熱体は、非導電性材料よりなる変形可能なベースシートと、ベースシートに分散して担持され導電性材料よりなる複数個の薄膜とからなることを特徴とする暖房便座装置。
【請求項5】
前記着座面用発熱体は、前記誘導コイルの磁力を強く受ける部分が弱く受ける部分に比べて、単位面積当たりに占める薄膜の面積の総和の割合である面積率を小さくし、単位面積当たりの発熱量を全体に亘って均一化させるようにした請求項4記載の暖房便座装置。
【請求項6】
複数枚の前記着座面用発熱体が重ね合わせて配置され、一つの着座面用発熱体の薄膜を担持していない連結部と他の着座面用発熱体の薄膜とを重ね合わせた請求項4記載の暖房便座装置。
【請求項1】
便座の着座部の曲面領域を有する外表面側に、導電性材料より成る着座面用発熱体が配置され、便座の内部に配置した誘導コイルへ通電することで着座面用発熱体を誘導発熱させる暖房便座装置において、着座面用発熱体は、シート状からなり、複数個の貫通抜き部が分散して設けられていることを特徴とする暖房便座装置。
【請求項2】
前記着座面用発熱体は、前記誘導コイルの磁力を強く受ける部分が弱く受ける部分に比べて、単位面積当たりに占める貫通抜き部の開口面積の総和の割合である開口率を大きくし、単位面積当たりの発熱量を全体に亘って均一化させるようにした請求項1記載の暖房便座装置。
【請求項3】
複数枚の前記着座面用発熱体が重ね合わせて配置され、一つの着座面用発熱体の貫通抜き部と他の着座面用発熱体の貫通抜き部の開口していない連結部とを重ね合わせた請求項1記載の暖房便座装置。
【請求項4】
便座の着座部の曲面領域を有する外表面側に、導電性材料より成る着座面用発熱体が配置され、便座の内部に配置した誘導コイルへ通電することで着座面用発熱体を誘導発熱させる暖房便座装置において、着座面用発熱体は、非導電性材料よりなる変形可能なベースシートと、ベースシートに分散して担持され導電性材料よりなる複数個の薄膜とからなることを特徴とする暖房便座装置。
【請求項5】
前記着座面用発熱体は、前記誘導コイルの磁力を強く受ける部分が弱く受ける部分に比べて、単位面積当たりに占める薄膜の面積の総和の割合である面積率を小さくし、単位面積当たりの発熱量を全体に亘って均一化させるようにした請求項4記載の暖房便座装置。
【請求項6】
複数枚の前記着座面用発熱体が重ね合わせて配置され、一つの着座面用発熱体の薄膜を担持していない連結部と他の着座面用発熱体の薄膜とを重ね合わせた請求項4記載の暖房便座装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−273756(P2009−273756A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129419(P2008−129419)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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