説明

暖房便座装置

【課題】便座への座り方や座る位置にかかわらず便座の温度をより正確に検出できる暖房便座装置を提供することを目的とする。
【解決手段】便座と、前記便座の内部に配設され、前記便座の着座面を加熱するヒータ線と、前記ヒータ線の長さ以上の長さを有し、前記ヒータ線の一端部と他端部との間を往復するように前記ヒータ線の周囲に配設された抵抗線と、を有する発熱体と、前記抵抗線の全長に亘る抵抗値を検出する制御部と、を備えたことを特徴とする暖房便座装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、暖房便座装置に関し、具体的には便器に設けられる便座を暖めることができる暖房便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
暖房便座装置は、例えば、ヒータ線と、ヒータ線の温度管理を行うサーミスタと、を便座の内部に備える(特許文献1)。特許文献1に記載されたような暖房便座装置は、便座を所定温度に加熱することができるため、使用者は、冬場などの気温の低いときに便座に座っても冷感を感じない。
【0003】
しかしながら、サーミスタは、便座の内部の一箇所に設置されているため、使用者の便座への座り方あるいは座る位置によっては、便座の温度を正確に検知できない場合がある。すなわち、サーミスタが設置された部分と、使用者が着座した部分と、の間における便座の温度差が大きい場合がある。これは、使用者が着座している部分は、使用者の臀部と便座とが密着しているため温度上昇しやすいが、一方で、使用者が着座していない部分は、使用者の臀部と便座とが密着していなため温度上昇しにくい、あるいは温度低下するためである。
【0004】
このような場合としては、例えば、使用者がトイレ室の壁面に設けられた手すりなどを掴み、主に便座の片側に着座している場合や、便座に対してあまり深く着座していない場合などが挙げられる。
【0005】
そうすると、使用者が便座に着座しているにもかかわらず、サーミスタ近傍の便座の温度が低いため、暖房便座装置は便座の温度を上げようとする。そのため、使用者が着座している部分は、設定温度よりも高くなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−210231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、便座への座り方や座る位置にかかわらず便座の温度をより正確に検出できる暖房便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、便座と、前記便座の内部に配設され、前記便座の着座面を加熱するヒータ線と、前記ヒータ線の長さ以上の長さを有し、前記ヒータ線の一端部と他端部との間を往復するように前記ヒータ線の周囲に配設された抵抗線と、を有する発熱体と、前記抵抗線の全長に亘る抵抗値を検出する制御部と、を備えたことを特徴とする暖房便座装置である。
この暖房便座装置によれば、便座の全体の平均温度をより精度良く検出することができる。したがって、使用者の便座への座り方や座る位置にかかわらず便座の温度をより正確に検出することができる。また、ヒータ線と、抵抗線と、が発熱体として一体化されているため、それらを便座内に配設しやすく、製造工程を削減することができるため、便座の歩留まりを向上させることができる。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記発熱体は、前記ヒータ線の周囲に設けられた絶縁体をさらに有し、前記抵抗線は、前記絶縁体の周囲に配設されたことを特徴とする暖房便座装置である。
この暖房便座装置によれば、ヒータ線と抵抗線との間には、絶縁体が設けられているため、便座の温度をより安全に検出することができる。
【0010】
また、第3の発明は、便座と、前記便座の内部に配設され、前記便座の着座面を加熱するヒータ線と、芯材と、前記ヒータ線の長さ以上の長さを有し前記芯材の一端部と他端部との間を往復するように前記芯材に配設された抵抗線と、を有する温度検知線と、前記抵抗線の全長に亘る抵抗値を検出する制御部と、を備え、前記温度検知線は、前記ヒータ線に沿って配設されたことを特徴とする暖房便座装置である。
この暖房便座装置によれば、便座の全体の平均温度をより精度良く検出することができる。そのため、使用者の便座への座り方や座る位置にかかわらず便座の温度をより正確に検出することができる。また、温度検知線とヒータ線とは、別体であるため、より高い柔軟性を有する。そのため、温度検知線およびヒータ線の配設の自由度を確保することができる。
【0011】
また、第4の発明は、便座と、前記便座の着座面を加熱するヒータ線と、前記ヒータ線の長さ以上の長さを有する抵抗線と、前記抵抗線の全長に亘る抵抗値を検出する制御部と、を備え、前記ヒータ線を屈曲させた加熱層と、前記抵抗線を屈曲させた温度検知層と、が積層されたことを特徴とする暖房便座装置である。
この暖房便座装置によれば、この暖房便座装置によれば、便座の全体の平均温度をより精度良く検出することができる。そのため、使用者の便座への座り方や座る位置にかかわらず便座の温度をより正確に検出することができる。また、温度検知線とヒータ線とは、別体であるため、より高い柔軟性を有する。そのため、温度検知線およびヒータ線の配設の自由度を確保することができる。
【0012】
また、第5の発明は、便座と、前記便座の内部に配設され、前記便座の着座面を加熱するヒータ線と、芯材と、前記ヒータ線の長さ以上の長さを有し前記芯材の一端部と他端部との間を往復するように前記芯材に配設された抵抗線と、を有する温度検知線と、を有する発熱体と、前記抵抗線の全長に亘る抵抗値を検出する制御部と、を備え、前記ヒータ線は、前記温度検知線の周囲に配設されたことを特徴とする暖房便座装置である。
この暖房便座装置によれば、便座の全体の平均温度をより精度良く検出することができる。そのため、使用者の便座への座り方や座る位置にかかわらず便座の温度をより正確に検出することができる。また、ヒータ線が抵抗線よりも外側に設けられているため、温度変化に対する応答性がよく、便座の速暖性を向上させることができる。さらに、ヒータ線と、抵抗線と、が発熱体として一体化されているため、それらを便座内に配設しやすく、製造工程を削減することができるため、便座の歩留まりを向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の態様によれば、便座への座り方や座る位置にかかわらず便座の温度をより正確に検出できる暖房便座装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる暖房便座装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
【図2】本実施形態の発熱体の内部を表す斜視模式図である。
【図3】本実施形態の温度検出に関する回路構成を例示する構成図である。
【図4】図4(a)は、温度変化に対する抵抗線の抵抗値の変化を表すグラフ図であり、図4(b)は、温度変化に対する抵抗R2にかかる電圧の変化を表すグラフ図である。
【図5】本実施形態の温度検出に関する回路構成の変形例を例示する構成図である。
【図6】本実施形態の変形例の発熱体の内部を表す斜視模式図である。
【図7】本実施形態の他の変形例の発熱体の内部を表す斜視模式図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態にかかる暖房便座装置に設けられた温度検知線を表す斜視模式図である。
【図9】本実施形態にかかる暖房便座装置に設けられた温度検知線の変形例を表す斜視模式図である。
【図10】本実施形態の便座内における温度検知線およびヒータ線の配設例を例示する模式図である。
【図11】本実施形態の便座内における温度検知線およびヒータ線の配設の変形例を表す模式図である。
【図12】本変形例の便座内を表す断面模式図である。
【図13】便座内の構造の変形例を表す断面模式図である。
【図14】本実施形態の便座内における温度検知線およびヒータ線の配設の他の変形例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる暖房便座装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
【0016】
図1に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、その上に設けられた暖房便座装置100と、を備える。暖房便座装置100は、暖房便座機能部400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、暖房便座機能部400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【0017】
便座200は、その内部に発熱体210を有する。発熱体210は、発熱することにより便座200を暖めることができる。これにより、使用者は、冬場などの気温の低いときに便座に座っても冷感を感じることなく、より快適に暖房便座装置100を使用できる。
【0018】
暖房便座機能部400は、後に詳述する抵抗線の全長に亘る抵抗値を検出する制御部410を有する。暖房便座機能部400は、衛生洗浄装置としての機能部を併設してもよい。すなわち、暖房便座機能部400は、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて水を噴出する図示しない吐水ノズルを有する衛生洗浄機能部などを適宜備えてもよい。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【0019】
さらに、暖房便座機能部400には、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭ユニット」や「室内暖房ユニット」などの各種の機構が適宜設けられていてもよい。この際、暖房便座機能部400の側面には、脱臭ユニットからの排気口440及び室内暖房ユニットからの排出口450が適宜設けられる。ただし、本発明においては、衛生洗浄機能部やその他の付加機能部は必ずしも設けなくてもよい。
【0020】
図2は、本実施形態の発熱体の内部を表す斜視模式図である。
本実施形態の発熱体210は、便座200の着座面を加熱するヒータ線212と、温度の変化により抵抗値が変化する抵抗線214と、を有する。ヒータ線212は、例えば、いわゆるニクロム線などである。また、抵抗線214は、金属などから形成されている。なお、抵抗線214は、温度の変化により抵抗値が大きく変化する材質から形成されることがより好ましい。
【0021】
ヒータ線212は、図2に表したように、ガラス繊維や樹脂繊維などの絶縁体から形成された芯材211の周囲に巻回するように配設されている。そして、芯材211に巻回されたヒータ線212は、その周囲において、絶縁体213により被覆されている。但し、ヒータ線212は、必ずしも芯材211に巻回されていなくともよく、略直線の状態において絶縁体213により被覆されていてもよい。
【0022】
抵抗線214は、図2に表したように、絶縁体213の周囲に巻回するように配設されている。そして、抵抗線214は、ヒータ線212の一端部と他端部との間を往復するように巻回されている。つまり、抵抗線214は、その端部214aにおいて直列に接続されており、ヒータ線212の長さ以上の長さを有する。但し、抵抗線214は、必ずしも絶縁体213に巻回されていなくともよく、略直線の状態において絶縁体213の周囲に配設されていてもよい。なお、図2に表した発熱体210では、抵抗線214は、ヒータ線212の一端部と他端部との間を2往復するように巻回されているが、これだけに限定されず、1往復あるいは3往復以上するように巻回されていてもよい。
【0023】
抵抗線214は、隣接する抵抗線214同士が接触しないように、例えば塩化ビニルなどの樹脂から形成されるシース215により被覆されている。そのため、隣接する抵抗線214同士は、互いに電気的に絶縁されている。なお、抵抗線214は、各線ごとに被覆されていてもよい。これによっても、隣接する抵抗線214同士を互いに電気的に絶縁することができる。
【0024】
本実施形態では、ヒータ線212と、抵抗線214と、は発熱体210として一体化されているため、その発熱体210を便座200内に配設しやすい。そのため、便座200の製造工程を削減することができ、便座200の歩留まりを向上させることができる。また、ヒータ線212と抵抗線214との間には、絶縁体213が設けられているため、より安全である。
【0025】
図3は、本実施形態の温度検出に関する回路構成を例示する構成図である。
また、図4(a)は、温度変化に対する抵抗線の抵抗値の変化を表すグラフ図であり、図4(b)は、温度変化に対する抵抗R2にかかる電圧の変化を表すグラフ図である。
また、図5は、本実施形態の温度検出に関する回路構成の変形例を例示する構成図である。
【0026】
図3に表した回路構成では、抵抗線214の抵抗(以下説明の便宜上、「温度検知抵抗」という)R1と、抵抗R2と、が直列に接続され、それらの両端には定電圧Vinがかけられている。そして、制御部410は、抵抗R2の両端にかかる出力電圧Voutを検出できる。このとき、出力電圧Voutは、次式のように表すことができる。

【数1】

【0027】
一方、温度検知抵抗R1は、図4(a)に表したように、温度が上昇するにつれて上昇し、温度が低下するにつれて低下する。つまり、ヒータ線212が加熱され、便座200および抵抗線214の温度が上昇すると、温度検知抵抗R1は上昇する。そうすると、直列に接続された温度検知抵抗R1と抵抗R2との両端には定電圧Vinがかけられているため、抵抗R2の両端にかかる出力電圧Voutは、図4(b)に表したように低下する。また、このことは、式(1)からも導き出せる。
【0028】
これに対して、ヒータ線212が加熱されず、便座200および抵抗線214の温度が低下すると、温度検知抵抗R1は低下する。そうすると、直列に接続された温度検知抵抗R1と抵抗R2との両端には定電圧Vinがかけられているため、抵抗R2の両端にかかる出力電圧Voutは、図4(b)に表したように上昇する。また、このことは、式(1)からも導き出せる。
【0029】
このように、抵抗線214の温度が変化すると、温度検知抵抗R1が変化するとともに、抵抗R2にかかる電圧が変化する。つまり、制御部410は、抵抗線214の温度変化を抵抗R2にかかる電圧の変化として検出できる。したがって、制御部410は、抵抗線214の抵抗値を抵抗R2にかかる電圧値として検出できる。これにより、制御部410は、抵抗線214の平均温度を検出できる。そして、制御部410は、抵抗R2にかかる電圧値を介して検出した抵抗線214の平均温度に基づいて、ヒータ線212の加熱量を制御できる。
【0030】
ここで、抵抗線214は、ヒータ線212の一端部と他端部との間を往復するように配設されているため、ヒータ線212の長さ以上の長さを有する。これにより、温度変化に対する温度検知抵抗R1の変化は、より顕著になる。そのため、制御部410は、温度検知抵抗R1の変化、すなわち抵抗線214の温度変化をより精度良く検出できる。つまり、制御部410は、抵抗線214の平均温度をより精度良く検出できる。
【0031】
本実施形態によれば、抵抗線214を有する発熱体210は、図1に表したように、便座200の全体に亘って配設されており、制御部410は、抵抗線214の平均温度をより精度良く検出できる。そのため、本実施形態にかかる暖房便座装置は、便座200の全体の平均温度をより精度良く検出できる。したがって、本実施形態にかかる暖房便座装置は、使用者の便座200への座り方や座る位置にかかわらず便座200の温度をより正確に検出できる。
【0032】
これに対して、抵抗線214の長さが、ヒータ線212の長さよりも短い場合には、温度変化に対する温度検知抵抗R1の変化は、あまり顕著にならない。そうすると、温度検知抵抗R1の変化は、測定誤差などに吸収されてしまい、抵抗線214の平均温度を精度良く検出できないおそれがある。また、ヒータ線212の一端部と他端部との間を往復させることなく、絶縁体213の周囲に密に抵抗線214を巻回させることにより、抵抗線214の長さをヒータ線212の長さ以上にすると、発熱体210が硬くなるおそれがある。これは、抵抗線214が密集し、発熱体210の柔軟性が低下するためである。そうすると、便座200の内部に発熱体210を配設できない、あるいは発熱体210の配設の自由度を確保できないおそれがある。
【0033】
本実施形態の発熱体210では、ヒータ線212の一端部と他端部との間を往復するように抵抗線214を巻回するように配設させることにより、その抵抗線214の長さをヒータ線212の長さ以上に確保しているため、往路同士あるいは復路同士の抵抗線214の間隔は、往復させずに密に巻回させた場合よりも離れている。そのため、発熱体210が硬くなったり、その柔軟性が低下するおそれは少ない。そのため、便座200の内部に発熱体210をより容易に配設することができ、発熱体210の配設の自由度を確保することができる。
【0034】
なお、温度検出に関する回路構成は、図3に表した回路構成に限定されず、図5の表したいわゆる「ホイートストンブリッジ」を用いた回路であってもよい。この場合の出力電圧Voutは、次式のように表すことができる。

【数2】


図5に表した回路構成によれば、制御部410は、温度検知抵抗R1の微小な変化を検出することができる。また、制御部410は、その内部抵抗などをほとんど受けることなく、温度検知抵抗R1をより精度良く検出することができる。
【0035】
図6は、本実施形態の変形例の発熱体の内部を表す斜視模式図である。
また、図7は、本実施形態の他の変形例の発熱体の内部を表す斜視模式図である。
本変形例の発熱体210aでは、抵抗線214が芯材211の周囲に巻回するように配設されている。すなわち、芯材211とその周囲に巻回された抵抗線214は、温度検知線を構成している。この温度検知線の周囲は、絶縁体213により被覆されている。このようにして、隣接する抵抗線214同士は、互いに電気的に絶縁されている。なお、抵抗線214は、各線ごとに被覆されることにより、互いに電気的に絶縁されていてもよい。 また、発熱体210aでは、芯材211の周囲に抵抗線214を巻回させるのに代えて、図7に表したように、絶縁体213などによりそれぞれ被覆された複数の抵抗線214を撚り、その撚った状態の抵抗線214の周りを芯材211で一体化させてもよい。これにおいても、隣接する抵抗線214同士が互いに電気的に絶縁された温度検知線を構成することができる。
【0036】
ヒータ線212は、絶縁体213により被覆された温度検知線の周囲に巻回されている。そして、絶縁体213の周囲に巻回されたヒータ線212は、シース215により被覆されている。つまり、本変形例の発熱体210aでは、ヒータ線212は、抵抗線214よりも外側に設けられている。また、抵抗線214は、芯材211の一端部と他端部との間を往復するように配設されている。その結果、本変形例の発熱体210aにおいても、抵抗線214は、ヒータ線212の一端部と他端部との間を往復するように配設されている。つまり、抵抗線214は、その端部214aにおいて直列に接続されており、ヒータ線212の長さ以上の長さを有する。
【0037】
本変形例の発熱体210aは、ヒータ線212がより外側に設けられているため、図2に表した発熱体210よりも早く便座200を暖めることができる。つまり、本変形例の発熱体210aは、温度変化に対する応答性がよく、便座200の速暖性を向上させることができる。また、図2に表した発熱体210と同様に、ヒータ線212の一端部と他端部との間を往復するように抵抗線214を配設させることにより、その抵抗線214は、ヒータ線212の長さ以上の長さを確保しているため、図3〜図5に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。さらに、ヒータ線212と、抵抗線214と、は発熱体210として一体化されているため、その発熱体210を便座200内に配設しやすい。そのため、図2に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0038】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図8は、本発明の第2の実施の形態にかかる暖房便座装置に設けられた温度検知線を表す斜視模式図である。
また、図9は、本実施形態にかかる暖房便座装置に設けられた温度検知線の変形例を表す斜視模式図である。
【0039】
図1〜図6に関して前述した実施形態では、ヒータ線212と抵抗線214とが発熱体210、210aとして一体化されている場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されず、ヒータ線212と抵抗線214とは別体として設けられていてもよい。本実施形態では、ヒータ線212と抵抗線214とは別体として設けられている場合を例に挙げて説明する。
【0040】
本実施形態の温度検知線220は、図8に表したように、抵抗線214が芯材211の周囲に巻回するように配設された構造を有する。そして、芯材211に巻回された抵抗線214は、その周囲において、シース215により被覆されている。このようにして、隣接する抵抗線214同士は、互いに電気的に絶縁されている。なお、抵抗線214は、各線ごとに被覆されることにより、互いに電気的に絶縁されていてもよい。
【0041】
また、温度検知線220では、芯材211の周囲に抵抗線214を巻回させるのに代えて、図9に表したように、絶縁体213などによりそれぞれ被覆された複数の抵抗線214を撚り、その撚った状態の抵抗線214の周りを芯材211で一体化させてもよい。これにおいても、隣接する抵抗線214同士が互いに電気的に絶縁された温度検知線を構成することができる。なお、図9に表した温度検知線の場合には、絶縁体213などによりそれぞれ被覆された抵抗線214同士は、互いに電気的に絶縁されているため、必ずしもシース215を設けなくともよい。
【0042】
抵抗線214は、芯材211の一端部と他端部との間を往復するように巻回されている。つまり、抵抗線214は、その端部214aにおいて直列に接続されている。なお、図8に表した温度検知線220は、芯材211の一端部と他端部との間を2往復するように配設されているが、これだけに限定されず、1往復あるいは3往復以上するように配設されていてもよい。芯材211は、図2に関して前述したように、ガラス繊維や樹脂繊維などの絶縁体から形成されている。また、シース215は、図2に関して前述したように、例えば塩化ビニルなどの樹脂から形成されている。
【0043】
温度検知線220に設けられた抵抗線214は、前述したように、温度の変化により抵抗値が変化する。そのため、図3または図5に表した回路を構成することにより、制御部410は、抵抗線214の平均温度を検出できる。つまり、制御部410は、温度検知線220により便座200の平均温度を検出できる。
【0044】
図10は、本実施形態の便座内における温度検知線およびヒータ線の配設例を例示する模式図である。
なお、図10(a)は、便座全体を上方から眺めた平面模式図であり、図10(b)は、図10(a)に表した便座の一部Aを拡大して眺めた平面模式図である。
【0045】
本実施形態にかかる暖房便座装置は、温度検知線220と、ヒータ線212と、を便座200内に有する。つまり、ヒータ線212と抵抗線214とは、別体として便座200内に配設されている。そして、温度検知線220は、ヒータ線212に沿って配設されている。ヒータ線212は、例えば図2に表したように、芯材211の周囲に巻回された状態で配設されてもよいし、芯材211の周囲に巻回されずに配設されていてもよい。
【0046】
温度検知線220は、ヒータ線212とは別体であるため、図2および図6に表した発熱体210、210aよりも高い柔軟性を有する。これと同様に、ヒータ線212は、温度検知線220とは別体であるため、図2および図6に表した発熱体210、210aよりも高い柔軟性を有する。これは、温度検知線220およびヒータ線212の長手方向に対して直交する方向の断面形状における径を小さくすることができ、また、抵抗線214およびヒータ線212が密集していないためである。
【0047】
そのため、本実施形態にかかる暖房便座装置では、温度検知線220およびヒータ線212を便座200内に密に配設することができる。つまり、温度検知線220およびヒータ線212を配設するときの曲げの曲率を大きく設定でき、温度検知線220およびヒータ線212の配設の自由度を確保することができる。
【0048】
また、温度検知線220に設けられた抵抗線214は、図8に表したように、芯材211の一端部と他端部との間を往復するように巻回させて配設されている。そのため、抵抗線214は、ヒータ線212の長さ以上の長さを有する。そして、温度検知線220の配設の自由度が確保されているため、便座200のより広範囲に亘って配設される。そのため、暖房便座装置は、便座200の全体の平均温度をより精度良く検出できる。したがって、本実施形態にかかる暖房便座装置は、使用者の便座200への座り方や座る位置にかかわらず便座200の温度をより正確に検出できる。
【0049】
図11は、本実施形態の便座内における温度検知線およびヒータ線の配設の変形例を表す模式図である。
また、図12は、本変形例の便座内を表す断面模式図である。
また、図13は、便座内の構造の変形例を表す断面模式図である。
なお、図11(a)は、便座全体を上方から眺めた平面模式図であり、図11(b)は、図11(a)に表した便座の一部Bを拡大して眺めた平面模式図である。また、図11(a)では、ヒータ線を省略している。また、図12および図13は、図11(b)に表したC−C断面図に相当する。
【0050】
本変形例の暖房便座装置では、図10に表した配設例と同様に、ヒータ線212と抵抗線214とは、別体として便座200内に配設されている。抵抗線214を有する温度検知線220は、図12に表したように、保持部(抵抗線保持部)231に適宜保持されている。また、ヒータ線212は、温度検知線220と同様に、保持部(ヒータ線保持部)233に適宜保持されている。保持部231、233は、電気的な絶縁性を有しており、シート状に形成されていてもよいし、プレート状に形成されていてもよい。
【0051】
また、温度検知線220およびヒータ線212は、図13に表したように、電気的な絶縁性を有する保持部231の表裏面にそれぞれ保持されていてもよい。すなわち、温度検知線220は、保持部231の一面側に保持され、ヒータ線212は、保持部231の他面側に保持されていてもよい。これによれば、図12に表した保持部231、233を共用化することができ、製造コストの低減を図ることができる。なお、図13に表した便座においては、保持部231の上面に温度検知線220が保持され、保持部231の下面にヒータ線212が保持されているが、これに限定されず、保持部231の上面にヒータ線212が保持され、保持部231の下面に温度検知線220が保持されていてもよい。
【0052】
温度検知線220は、図11(a)に表したように、屈曲して配設されている。また、ヒータ線212は、図11(b)に表したように、屈曲して配設されている。そして、ヒータ線212が屈曲した状態で保持部233に保持された加熱層250と、温度検知線220が屈曲した状態で保持部231に保持された温度検知層240と、は図12に表したように便座200内において積層されている。温度検知線220およびヒータ線212を便座200内に配設する場合には、加熱層250および温度検知層240を積層させるだけでよいため、便座200の製造工程を簡略化することができる。
【0053】
本変形例においても、温度検知線220とヒータ線212とは、別体であるため、発熱体210、210aよりも高い柔軟性を有する。そのため、温度検知線220およびヒータ線212を保持部231、233上において密にそれぞれ配設することができる。その結果、温度検知線220およびヒータ線212の配設の自由度は、発熱体210、210aの配設の自由度よりも高くなり、便座200内に密に配設することができる。したがって、図10に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0054】
また、保持部231、233は電気的な絶縁性を有し、シート状あるいはプレート状に形成されているため、保持部231には抵抗線214が保持されていてもよい。すなわち、芯材211に巻回された抵抗線214の周囲をシース215により被覆した温度検知線220ではなく、抵抗線214のみが屈曲した状態で保持部231に保持されていてもよい。この場合であっても、抵抗線214は、屈曲した状態で保持部231に保持されているため、ヒータ線212の長さ以上の長さを有する。また、隣接する抵抗線214同士、および抵抗線214とヒータ線212とは、保持部231、233により電気的に絶縁されるため、図12に表したように、加熱層250と温度検知層240とを積層させることができる。
【0055】
なお、本変形例においては、加熱層250の上に温度検知層240が積層されているが、これだけに限定されず、温度検知層240の上に加熱層250が積層されていてもよい。これによれば、ヒータ線212が便座200の表面近傍に設けられるため、温度変化に対する応答性がよく、便座200の速暖性を向上させることができる。
【0056】
図14は、本実施形態の便座内における温度検知線およびヒータ線の配設の他の変形例を表す模式図である。
なお、ヒータ線の配設は、図11(b)に表したヒータ線の配設例と同様であるため、図14では省略している。
【0057】
図11(a)に表した配設例では、温度検知線220または抵抗線214は、便座200の前部D(図11(a)参照)および後部E(図11(a)参照)において折り返されて保持部231に適宜保持されているが、本変形例の温度検知線220は、便座200内で折り返されることなく周回した状態で保持部231に適宜保持されている。
【0058】
これによれば、温度検知線220を折り返さずに周回させて配設するため、図11(a)および図11(b)に表した配設例よりも密に温度検知線220を便座200内に配設することができる。そのため、本変形例の温度検知線220に設けられた抵抗線214は、図11(a)に表した配設例の抵抗線214よりも長い。そのため、本変形例の暖房便座装置は、便座200の全体の平均温度をより精度良く検出できる。したがって、本変形例の暖房便座装置は、使用者の便座200への座り方や座る位置にかかわらず便座200の温度をより正確に検出できる。
【0059】
なお、図11(a)に関して前述した配設例と同様に、芯材211に巻回された抵抗線214の周囲をシース215により被覆した温度検知線220ではなく、抵抗線214のみが屈曲した状態で保持部231に保持されていてもよい。この場合であっても、抵抗線214を折り返さずに周回させて配設するため、その抵抗線214は、ヒータ線212の長さ以上の長さを有する。そして、抵抗線214が周回した状態で保持部231に保持された温度検知層240と、ヒータ線212が屈曲した状態で保持部233に保持された加熱層250と、は図12に表したように便座200内において積層されている。
【0060】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、抵抗線214は、ヒータ線212の一端部と他端部との間を往復するように配設されているため、ヒータ線212の長さ以上の長さを有する。また、第2の実施の形態によれば、抵抗線214は、芯材211の一端部と他端部との間を往復するように配設されているため、ヒータ線212の長さ以上の長さを有する。そのため、暖房便座装置100は、便座200の全体の平均温度をより精度良く検出できる。したがって、暖房便座装置100は、使用者の便座200への座り方や座る位置にかかわらず便座200の温度をより正確に検出できる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、暖房便座装置100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや発熱体210、210a、温度検知線220、ヒータ線212、および抵抗線214の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0062】
100 暖房便座装置、 200 便座、 210 、210a 発熱体、 211 芯材、 212 ヒータ線、 213 絶縁体、 214 抵抗線、 214a 端部、 215 シース、 220 温度検知線、 231 、233 保持部、 240 温度検知層、 250 加熱層、 300 便蓋、 400 暖房便座機能部、 410 制御部、 440 排気口、 450 排出口、 800 洋式腰掛便器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座と、
前記便座の内部に配設され、
前記便座の着座面を加熱するヒータ線と、
前記ヒータ線の長さ以上の長さを有し、前記ヒータ線の一端部と他端部との間を往復するように前記ヒータ線の周囲に配設された抵抗線と、
を有する発熱体と、
前記抵抗線の全長に亘る抵抗値を検出する制御部と、
を備えたことを特徴とする暖房便座装置。
【請求項2】
前記発熱体は、前記ヒータ線の周囲に設けられた絶縁体をさらに有し、
前記抵抗線は、前記絶縁体の周囲に配設されたことを特徴とする請求項1記載の暖房便座装置。
【請求項3】
便座と、
前記便座の内部に配設され、前記便座の着座面を加熱するヒータ線と、
芯材と、前記ヒータ線の長さ以上の長さを有し前記芯材の一端部と他端部との間を往復するように前記芯材に配設された抵抗線と、を有する温度検知線と、
前記抵抗線の全長に亘る抵抗値を検出する制御部と、
を備え、
前記温度検知線は、前記ヒータ線に沿って配設されたことを特徴とする暖房便座装置。
【請求項4】
便座と、
前記便座の着座面を加熱するヒータ線と、
前記ヒータ線の長さ以上の長さを有する抵抗線と、
前記抵抗線の全長に亘る抵抗値を検出する制御部と、
を備え、
前記ヒータ線を屈曲させた加熱層と、前記抵抗線を屈曲させた温度検知層と、が積層されたことを特徴とする暖房便座装置。
【請求項5】
便座と、
前記便座の内部に配設され、
前記便座の着座面を加熱するヒータ線と、
芯材と、前記ヒータ線の長さ以上の長さを有し前記芯材の一端部と他端部との間を往復するように前記芯材に配設された抵抗線と、を有する温度検知線と、
を有する発熱体と、
前記抵抗線の全長に亘る抵抗値を検出する制御部と、
を備え、
前記ヒータ線は、前記温度検知線の周囲に配設されたことを特徴とする暖房便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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