説明

暖房式便座装置

【課題】暖房式便座装置において、男子が小便をする通常使用時にも、便座と便蓋が開か
れれば便座を加熱する電気ヒータの通電をOFFするものがあるが、便座を長時間に亘っ
て開いたままにした場合でも、電気ヒータの通電がOFFしたままであり、再び便座を洋
式便器の上に倒して用足しをする場合にはこの便座は冷えており、冬季などの低温時には
着座したときの不快感が強く、特に老人などには好ましくない。本発明はこれを解消する
ものである。
【解決手段】暖房式便座装置において、便座の回動位置を検出する便座位置検出手段が便
座の起立状態を検出したときは電気ヒータの通電をOFFし、便座位置検出手段が便座の
平坦状態を検出したときは電気ヒータの通電による加熱状態に制御し、便座が起立状態の
まま長時間継続する場合には電気ヒータの通電が所定時間に亘ってOFF状態を継続した
後、電気ヒータの通電による加熱状態に復帰させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座ヒータの通電により加温状態に保たれる暖房式便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
男子が小便をするときや清掃時に、便座と便蓋が開かれたときは、便座ヒータの通電を
遮断して省電力を図る技術がある。(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−083863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、男子が小便をするときは、便座と便蓋が開かれ、小便が終わったときにこの開い
た便座と便蓋が閉じられるが、この開いた便座と便蓋を閉じ忘れ、便座と便蓋を長時間に
亘って開いたままにする場合がある。また、洋式便器等を清掃するときも便座と便蓋が開
かれるが、乾燥などのために便座と便蓋を長時間に亘って開いたままにする場合もある。
【0004】
しかし、特許文献1のものは、便座と便蓋を長時間に亘って開いたままにした場合でも
、便座ヒータの通電がOFFしたままであり、再び便座を洋式便器の上に倒して便座に着
座して用足しをする場合には、この便座は冷えており、特に冬季などの低温時には便座が
その周囲温度にまで冷えるため、着座したときの不快感が強く、特に老人などには好まし
くないものとなる。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて、便座を長時間に亘って開いたままにした場合でも、
便座ヒータの通電がOFFしたままとせず、便座が起立状態(開いた状態)のまま長時間
継続する場合には、便座ヒータの通電が所定時間に亘ってOFF状態を継続した後、便座
ヒータの通電による加熱状態に復帰させるように制御することにより、便座が起立状態(
開いた状態)を継続していても、便座ヒータの通電による加温状態に復帰するため、再び
洋式便器の上に倒して便座に着座して用足しをする場合にも、暖房便座状態となっている
ため、冬季などの低温時における上記の問題や、冷えた便座に着座するような不快感もな
くなり、特に老人などには好ましいものとなる。
【0006】
また、本発明はこのような効果を維持しつつ、省エネ効果も発揮できる技術を提供する
ものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明は、洋式便器上に載置される平坦状態(閉じた状態)と起立状態(開いた状態
)とに回動可能な便座と、この便座を加温する便座ヒータと、前記便座の平坦状態(閉じ
た状態)と起立状態(開いた状態)を検出する便座位置検出手段と、前記便座ヒータの通
電制御を行う制御部を設け、この制御部は、前記便座位置検出手段が便座の起立状態(開
いた状態)を検出したときは前記便座ヒータの通電をOFFモードとし、前記便座位置検
出手段が便座の平坦状態(閉じた状態)を検出したときは前記便座ヒータの通電による加
温モードとするものにおいて、前記便座の起立状態(開いた状態)が所定時間以上継続す
る場合には、前記所定時間に亘って前記OFFモードとした後、前記便座ヒータの通電に
よる加温モードに復帰させるように制御することを特徴とする。
【0008】
第2発明は、洋式便器上に載置される平坦状態(閉じた状態)と起立状態(開いた状態
)とに回動可能な便座と、この便座を加温する便座ヒータと、前記便座の平坦状態(閉じ
た状態)と起立状態(開いた状態)を検出する便座位置検出手段と、前記便座ヒータの通
電制御を行う制御部を設け、この制御部は、前記便座位置検出手段が便座の起立状態(開
いた状態)を検出したときは前記便座ヒータの通電をOFFモードとし、前記便座位置検
出手段が便座の平坦状態(閉じた状態)を検出したときは前記便座ヒータの通電による加
温モードとするものにおいて、前記加温モードでは前記便座ヒータの通電制御によって設
定温度に制御され、前記便座の起立状態(開いた状態)が所定時間以上継続する場合には
、前記所定時間に亘って前記OFFモードとした後、前記設定温度よりも低い省エネ温度
に前記便座ヒータの通電制御を行うことを特徴とする。
【0009】
第3発明は、洋式便器上に載置される平坦状態(閉じた状態)と起立状態(開いた状態
)とに回動可能な便座と、この便座を加温する便座ヒータと、前記便座の平坦状態(閉じ
た状態)と起立状態(開いた状態)を検出する便座位置検出手段と、前記便座ヒータの通
電制御を行う制御部を設け、この制御部は、前記便座位置検出手段が便座の起立状態(開
いた状態)を検出したときは前記便座ヒータの通電をOFFモードとし、前記便座位置検
出手段が便座の平坦状態(閉じた状態)を検出したときは前記便座ヒータの通電による加
温モードとするものにおいて、前記便座の起立状態(開いた状態)が所定時間以上継続す
る場合には、前記便座ヒータの通電のOFFモードと、前記便座ヒータの通電による加温
モードとを交互に行い、前記OFFモード中に前記便座位置検出手段が便座の平坦状態(
閉じた状態)を検出したときは前記便座ヒータの通電による加温モードとなることを特徴
とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明では、通常使用時は、便座は所定温度に加温されて好ましい暖房便座状態であ
り、また、便座を長時間に亘って開いたままにした場合でも、便座ヒータの通電がOFF
したままとせず、便座が起立状態(開いた状態)のまま長時間継続する場合には、便座ヒ
ータの通電が所定時間に亘ってOFF状態を継続した後、便座ヒータの通電による加熱状
態に復帰させるように制御することにより、便座が起立状態(開いた状態)を継続してい
ても、便座ヒータの通電による加温状態に復帰するため、再び洋式便器の上に倒して便座
に着座して用足しをする場合にも暖房便座状態となっているため、冬季などの低温時にお
いて冷えた便座に着座するような不快感もなく、特に老人などには好ましいものとなる。
【0011】
第2発明では、通常使用時は、便座は所定温度に加温されて好ましい暖房便座状態であ
り、また、便座を長時間に亘って開いたままにした場合でも、便座ヒータの通電がOFF
したままとせず、便座が起立状態(開いた状態)のまま長時間継続する場合には、便座ヒ
ータの通電が所定時間に亘ってOFF状態を継続した後、便座ヒータの通電による加熱状
態に復帰させるように制御することにより、便座が起立状態(開いた状態)を継続してい
ても、便座ヒータの通電による加温状態に復帰する。この場合、前記設定温度よりも低い
省エネ温度になるように、省エネ加温モードによる便座ヒータの通電制御を行うことによ
り、再び洋式便器の上に倒して便座に着座して用足しをする場合に備えた予備加温の省エ
ネ効果が得られる。そして、この予備加温によって暖房便座状態となっているため、冬季
などの低温時において冷えた便座に着座するような不快感もなく、特に老人などには好ま
しいものとなる。
【0012】
第3発明では、通常使用時は、便座は所定温度に加温されて好ましい暖房便座状態であ
り、また、便座を長時間に亘って開いたままにした場合でも、便座ヒータの通電がOFF
したままとせず、便座が起立状態(開いた状態)のまま長時間継続する場合には、便座ヒ
ータの通電のOFFモードと、便座ヒータの通電による加温モードとを交互に行い、OF
Fモード中に便座位置検出手段が便座の平坦状態(閉じた状態)を検出したときは便座ヒ
ータの通電による加温モードとなるため、再び洋式便器の上に倒して便座に着座して用足
しをする場合にも暖房便座状態となっており、冬季などの低温時において冷えた便座に着
座するような不快感もなく、特に老人などには好ましいものとなる。そして、便座ヒータ
の通電のOFFモードと加温モードとを交互に行うことにより、上記の効果を維持しつつ
、便座が長時間に亘って開いたままであっても、省エネ効果が得られるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の暖房式便座装置は、洋式便器上に載置される平坦状態(閉じた状態)と起立状
態(開いた状態)とに回動可能な便座と、便座を加温する便座ヒータと、前記便座の平坦
状態(閉じた状態)と起立状態(開いた状態)を検出する便座位置検出手段と、前記便座
ヒータの通電制御を行う制御部を設け、この制御部は、前記便座位置検出手段が便座の起
立状態(開いた状態)を検出したときは前記便座ヒータの通電をOFFモードとし、前記
便座位置検出手段が便座の平坦状態(閉じた状態)を検出したときは前記便座ヒータの通
電による加温モードとするものにおいて、前記便座の起立状態(開いた状態)が所定時間
以上継続する場合には、前記所定時間に亘って前記OFFモードとした後、前記便座ヒー
タの通電による加温モードに復帰させるように制御する構成であり、本発明の実施例を以
下に記載する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明に係る暖房式便座装置の斜視図、図2は図1の暖房式便座装置の本体ケー
ス及び操作部の内部構成を一部破断により示す平面図、図3は本発明に係る暖房式便座装
置の制御回路ブロック図、図4は水銀式スイッチ式便座位置検出スイッチの動作状態の説
明図である。
【0015】
本発明の実施例を先ず図1に基づき説明すると、1は洋式便器2の上に着脱可能に設置
された暖房式便座装置で、本体ケース3に便座4と便蓋5を上下方向に開閉自在に枢支し
ている。本体ケース3の一方の側面には給水管6を突設し、この給水管にフレキシブルな
配管ホース7を接続していると共に、この配管ホースは、分岐水栓8を介して市水等の水
道管9に接続している。
【0016】
本体ケース3は、その一方の側面に、前方が上記便座4の側面に沿って延設された操作
部10を一体的に突設しており、操作部10は本体ケース3の一部分を構成する。この操
作部10の上面に複数の操作ボタン11・・や表示器12等を配置している。
【0017】
制御部32を構成する制御回路基板として、メイン基板17と操作基板18が設けられ
ている。図示のものは、制御部32をメイン基板17で構成している。操作をリモートコ
ントロール方式とする場合は、操作部10の部分が、本体ケース3から離れてトイレの壁
等に取り付けられるリモートコントローラとなる。図示のものは、制御部32をメイン基
板17で構成している。
【0018】
本体ケース3内には、図2に示す様に、内部に後述の温水ヒータを内蔵した加温部とな
る温水タンク13と、この温水タンクと上記給水管6とを接続する給水配管14と、洗浄
ノズルセット15と、脱臭機構16と、メイン基板17とを主に収納配置していると共に
、操作部10内には、操作ボタン11・・や表示器12の下方に対向位置して操作基板1
8を配置している。
【0019】
洗浄ノズルセット15は、ノズルベース19に一対のおしり用洗浄ノズル20とビデ用
洗浄ノズル21を前後方向に進出及び後退自在に収納し、かつ給湯配管22により図示し
ない切替弁を介して上記温水タンク13に接続され、この温水タンクより洗浄用の温水を
供給する。
【0020】
脱臭機構16は、脱臭用触媒24と、脱臭ファン25と、ファンケース26にて主に構
成し、このファンケース26は、上記洋式便器2のボウルに対向して開口した第1吸気孔
27と、本体ケース3内に開口した第2吸気孔28と、これらの吸気孔から吸引した空気
が上記脱臭用触媒24を通過した後、本体ケース3の外に排出する排気孔29とを設けて
いる。
【0021】
便座4は、図1に一部断面で示すように、便座4の裏側にアルミニウム箔4Aを介して
絶縁被覆された電気ヒータの便座ヒータ41が取り付けられており、便座ヒータ41の発
熱によって便座4が加温される暖房式便座である。
【0022】
図3は、制御手段となる制御回路30のブロック図を示すもので、商用電源31には、
マイクロコンピュータを中心に構成した上記制御部32を接続し、この制御部32の出力
にて各々制御するスイッチング素子36、37、38、39、40を介して、便座ヒータ
41、温水タンク13内の水を加熱する温水ヒータ42、上記切替弁を回転駆動する洗浄
モータ43、脱臭ファン25、洗浄バルブ44を接続している。
【0023】
便座4と便蓋5は、手動で開閉されるタイプと、電動で開閉されるタイプがあり、後者
の場合は、本体ケース3に設けた便座4開閉用電動機と便蓋5開閉用電動機が、操作部1
0の操作ボタン11の操作によって作動される。また、前記リモートコントローラ方式の
場合は、このリモートコントローラに設けたスイッチ操作によって、本体ケース3に設け
た便座4開閉用電動機と便蓋5開閉用電動機が作動される。また、人感知センサ方式では
、トイレ室内への人の出入を人感知センサが検知して、本体ケース3に設けた便座4開閉
用電動機と便蓋5開閉用電動機が作動される。
【0024】
制御部32は着座スイッチ33により便座4への人体の着座を検出すると、スイッチン
グ素子39を通電して脱臭ファン25を回転し、操作部10の操作ボタン11・・が操作
されて洗浄操作が行なわれると、スイッチング素子38、40を適宜作動して洗浄モータ
43や洗浄バルブ44を作動し、洗浄モータ43によって洗浄ノズル20または21が進
出すると共に、洗浄バルブ44が開いて温水タンク13内の温水の洗浄水が、操作ボタン
11で選択された洗浄ノズル20または21から噴出する。そして、操作部10の操作ボ
タン11・・が操作されて洗浄停止操作が行なわれると、スイッチング素子38、40を
適宜作動して洗浄モータ43や洗浄バルブ44を作動し、洗浄モータ43によって進出し
ていた洗浄ノズル20または21が後退すると共に、洗浄バルブ44が閉じて洗浄水の噴
出を停止する。
【0025】
制御部32は、便座用温度センサ35により便座4の温度を検出し、この便座4が設定
温度になるようにスイッチング素子36を制御して便座ヒータ41への通電をON−OF
F制御する。この設定温度は、操作部10の操作ボタン11のうちの便座4の加温温度を
設定する所定のボタン操作(スイッチ操作)を使用者が操作することによって、任意に設
定される温度であり、この所定のボタン操作(スイッチ操作)によって、便座ヒータ41
の発熱状態を、例えば、強、中、弱の三段階のいずれかを選択することによって、便座ヒ
ータ41の発熱による加温温度が、強、中、弱のいずれかに設定される温度である。なお
、このようなボタン操作(スイッチ操作)部が設けられていないものでは、制御部32に
あらかじめ設定された設定温度である。また、便座4の開閉状態を検出する便座位置検出
手段50として、便座4の開閉に応じて作動する便座位置検出スイッチ50を設けている

【0026】
制御部32の入出力回路には上記操作基板18を接続し、入力回路には上記便座4への
着座を検出する着座スイッチ33と、便座4の温度を検出する便座用温度センサ35と、
便座位置検出スイッチ50を接続している。
【0027】
便座位置検出スイッチ50は、その一つの形態として、図4に示すように、密閉容器5
0A内に間隔を存して配置した接点としての電極50P、50Qと、水銀Hgが封入され
た水銀式スイッチであり、これは、便座4が平坦状態になれば水銀Hgによって電極50
P、50Qが導通し、便座4が起立状態になれば水銀Hgが電極50P、50Qから離れ
て非導通となる構成である。また他の形態として、便座4が平坦状態になれば洋式便器2
の上面によって押圧されるスイッチ作動棒によって接点が閉じて導通し、便座4が起立状
態になれば押圧解除されるスイッチ作動棒によって接点が開いて非導通となる機械的スイ
ッチであり、更に他の形態としては、便座4の開閉によって発光部から受光部への光通路
が遮断・導通制御されるように、例えば、便座4が平坦状態になれば発光部から受光部へ
の光通路が遮断し、便座4が起立状態になれば発光部から受光部への光通路が導通となる
光スイッチで構成できる。これら便座位置検出スイッチ50のスイッチ動作に基づき、制
御部32が動作して、上記のように便座ヒータ41の通電が制御されるようにすればよい

【0028】
通常、男子が小便をするときは、便座4と便蓋5が開かれ、小便が終わったときにこの
開いた便座4と便蓋5が閉じられるが、この開いた便座4と便蓋5を閉じ忘れ、便座4と
便蓋5を長時間に亘って開いたままにする場合がある。また、洋式便器2等を清掃すると
きも便座4と便蓋5が開かれるが、乾燥などのために便座4と便蓋5を長時間に亘って開
いたままにする場合もある。
【0029】
このように便座4と便蓋5を長時間に亘って開いたままにした場合でも、上記のように
、便座用温度センサ35により便座4の温度を検出し、この便座4が設定温度になるよう
に制御部32の動作によってスイッチング素子36を制御して、便座ヒータ41への通電
をON−OFF制御される場合は、便座ヒータ41による加温モードであるため、省電力
の観点からすれば無駄なことである。
【0030】
この点、上記の従来技術では、男子が小便をする通常使用時にも、便座4と便蓋5が開
かれれば便座4を加温する便座ヒータ41の通電をOFFするため省電力となるが、上記
のように便座4と便蓋5を長時間に亘って開いたままにした場合でも、便座ヒータ41の
通電がOFFしたままであり、再び便座4を洋式便器2の上に倒して便座4に着座して用
足しをする場合には、この便座は冷えており、特に冬季などの低温時には便座4がその周
囲温度にまで冷えるため、着座したときの不快感が強く、特に老人などには好ましくない
ものとなる。
【0031】
そこで本発明は、便座位置検出手段50としての便座位置検出スイッチ50と、便座ヒ
ータ41の通電制御を行う制御部32を設け、制御部32は、この便座位置検出手段50
が便座4の起立状態(開いた状態)を検出したときは便座ヒータ41の通電をOFFし、
便座位置検出手段50が便座4の平坦状態(閉じた状態)を検出したときは便座ヒータ4
1の通電による加熱状態とする。また、便座4が起立状態(開いた状態)のまま平坦状態
(閉じた状態)に戻されずに、便座4が起立状態(開いた状態)のまま長時間継続する場
合には、途中で便座ヒータ41による加温モードにする。このため、便座位置検出手段5
0が便座4の起立状態(開いた状態)を検出したときから制御部32に含まれるタイマが
作動し、上記の制御によって便座ヒータ41の通電が所定時間に亘ってOFF状態を継続
した後、制御部32の動作によって、便座ヒータ41の通電による加温モードに復帰させ
るように制御するものである。この加温モードでは、上記のように、便座用温度センサ3
5により便座4の温度を検出し、制御部32は、この便座4が設定温度になるようにスイ
ッチング素子36を制御して便座ヒータ41への通電をON−OFF制御する。
【0032】
即ち、便座4の起立状態(開いた状態)が所定時間(KTと称することとする)以上継
続する場合には、便座ヒータ41への通電を前記所定時間(KT)に亘ってOFF状態(
OFFモード)で継続し、その後、便座ヒータ41の通電による加温状態(加温モード)
に復帰させるように制御する。この便座ヒータ41の通電が所定時間(KT)に亘ってO
FF状態(OFFモード)を継続する場合のこの所定時間(KT)は、男子が小便をする
ときに便座4を起立状態とする通常使用時間(略数分間)よりも十分長い通電休止時間(
例えば、30分から1時間位)である。
【0033】
これによって、この通電休止時間、即ち前記所定時間(KT)を例えば1時間に設定す
れば、便座4を加温する前記設定温度にもよるが、通常はこの1時間において便座ヒータ
41の通電がON−OFF制御される回数は十数回であるため、この1時間に便座ヒータ
41が通電される積算時間だけ省電力になることとなる。
【0034】
また、この設定された便座ヒータ41の通電休止時間中(所定時間KT中)に、即ち上
記実施例の30分から1時間の間に、便座4を洋式便器2上に平坦状態に倒したときは、
便座位置検出スイッチ50が便座4の平坦状態を検出するため、便座ヒータ41は、上記
のように制御部32の動作によって、便座4の温度を上記設定温度に維持するように、便
座ヒータ41の通電がON−OFF制御される通電制御状態となり、便座ヒータ41の通
電による加熱状態に復帰する。
【0035】
本発明では、便座4が起立状態のまま長時間継続しても、便座4が閉じられるまでいつ
までも便座ヒータ41の通電をOFFするものではないため、男子が小便をした後や清掃
後等に便座4を閉じ忘れても、上記通電休止時間(所定時間KT)後にはこの便座ヒータ
41の通電が開始しているため、そのとき便座4に着座する人が不快感を得ることはなく
なる。そして、この通電休止時間中に便座4を洋式便器2上に平坦状態に倒したときは、
便座位置検出スイッチ50が作動し制御部32の動作によって、便座4の温度を設定温度
に維持するように便座ヒータ41の通電がON−OFF制御される通電制御モード(加温
モード)となるため、暖房式便座装置1を使用する上で、特に問題になることはない。
【0036】
この通電休止時間は、暖房式便座装置1を製造出荷するときに、予め設定した時間とし
ておき、暖房式便座装置1を家屋内に運搬して設置しそのまま使用する場合は、その予め
設定した時間でもって通電休止時間制御が行われるが、操作部11のスイッチ操作やリモ
ートコントローラのスイッチ操作によって、この通電休止時間を変更できるようにすれば
、暖房式便座装置1を使用する人の希望に副うことができるものとなる。
【実施例2】
【0037】
図5は便座ヒータ41へ通電制御状態の説明図であり、前記所定時間(KT)に達した
とき、未だに便座4が起立状態のままであるときは、実施例1のように、便座ヒータ41
へ通電して便座4の温度を上記設定温度TBに維持する加温モードとするのではなく、実
施例2の場合は、図5に示すように、制御部32の動作によって、この設定温度TBより
も所定温度(例えば2〜5℃)低い省エネ温度TAに制御するように、便座ヒータ41の
通電をON−OFF制御する通電制御状態(省エネ加温モード)とする。この設定温度T
Bは、操作部10の操作ボタン11のうちの便座4の加温温度を設定する所定のボタン操
作(スイッチ操作)によって、使用者によって任意に設定される温度であるが、このよう
なボタンが設けられていないものでは、制御部32にあらかじめ設定された設定温度であ
る。そして、ある時点で便座4を洋式便器2上に平坦状態に倒したときは、便座位置検出
スイッチ50が作動し制御部32の動作によって、便座ヒータ41への通電制御を通常の
制御モード、即ち、便座4の温度を上記設定温度TBに維持する加温モードにて制御を行
うようにシフトさせる。この加温モードでは、上記のように、便座用温度センサ35によ
り便座4の温度を検出し、制御部32は、この便座4が設定温度になるようにスイッチン
グ素子36を制御して便座ヒータ41への通電をON−OFF制御する。なお、上記設定
温度TA、TBは、便座ヒータ41のON−OFFの値の平均値となる。
【実施例3】
【0038】
図6は便座ヒータ41へ通電制御状態の説明図であり、前記所定時間(KT)に達した
とき、未だに便座4が起立状態のままであるときは、実施例1のように、便座ヒータ41
へ通電して便座4の温度を上記設定温度TBに維持する制御モード(加温モード)とする
。そして、この制御モード(加温モード)が所定時間(KT1)継続しても未だに便座4
が起立状態のままであるときは、再び便座ヒータ41への通電を所定時間(KT2)に亘
ってOFF状態(OFFモード)とする。便座4が起立状態のままであるときは、このよ
うに便座ヒータ41への通電を加温モードとOFFモードを交互に行う制御をする。
【0039】
このような交互制御において、例えば、OFFモードの所定時間KT2中のある時点T
Xに便座4を洋式便器2上に平坦状態に倒したときは、便座位置検出スイッチ50が作動
し制御部32の動作によって、便座ヒータ41への通電制御を通常の制御モード、即ち、
便座4の温度を上記設定温度TBに維持する加温モードにて制御を行うようにシフトさせ
る。
【0040】
また、このような交互制御において、例えば、加温モードの所定時間KT1中のある時
点TYに便座4を洋式便器2上に平坦状態に倒したときは、便座位置検出スイッチ50が
作動するが、既に制御部32の動作によって、便座ヒータ41への通電制御は加温モード
での制御であるため、この状態を所定時間KT1に亘って継続することとなる。このよう
な加温モードでは、上記のように、便座用温度センサ35により便座4の温度を検出し、
制御部32は、この便座4が設定温度になるようにスイッチング素子36を制御して便座
ヒータ41への通電をON−OFF制御する。
【0041】
なお、この実施例3において、加温モードの所定時間KT1中は、実施例2と同様に、
設定温度TBよりも所定温度(例えば2〜5℃)低い省エネ温度TAに制御するように、
便座ヒータ41の通電をON−OFF制御する通電制御状態(省エネ加温モード)とし、
ある時点に便座4を洋式便器2上に平坦状態に倒したときは、便座位置検出スイッチ50
が作動し制御部32の動作によって、便座ヒータ41への通電制御を通常の制御モード、
即ち、便座4の温度を上記設定温度TBに維持する加温モード制御を行うようにシフトさ
せるようにすれば、省エネ効果が発揮できる。
【0042】
実施例3において、所定時間KT2は、所定時間KTと同じ時間でもよいが、便座ヒ
ータ41によって加温する所定時間KT1との関係において、別個に定めた時間でもよい

【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、上記実施例に示した構成に限定されず、種々の形態の暖房式便座装置に適用
できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る暖房式便座装置の斜視図である。(実施例1)
【図2】図1の暖房式便座装置の本体ケース及び操作部の内部構成を一部破断により示す平面図である。(実施例1)
【図3】本発明に係る暖房式便座装置の制御回路ブロック図である。(実施例1)
【図4】本発明に係る水銀式スイッチ式便座位置検出スイッチの動作状態の説明図である。(実施例1)
【図5】本発明に係る暖房式便座装置の便座ヒータへ通電制御状態の説明図である。(実施例2)
【図6】本発明に係る暖房式便座装置の便座ヒータへ通電制御状態の説明図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0045】
1・・・・暖房式便座装置
2・・・・洋式便器
3・・・・本体ケース
4・・・・便座
5・・・・便蓋
10・・・操作部
13・・・温水タンク(加温部)
16・・・脱臭機構
17・・・メイン基板
18・・・操作基板
20・・・おしり用洗浄ノズル
21・・・ビデ用洗浄ノズル
32・・・制御部
41・・・便座ヒータ
50・・・便座位置検出手段(便座位置検出スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋式便器上に載置される平坦状態(閉じた状態)と起立状態(開いた状態)とに回動可
能な便座と、この便座を加温する便座ヒータと、前記便座の平坦状態(閉じた状態)と起
立状態(開いた状態)を検出する便座位置検出手段と、前記便座ヒータの通電制御を行う
制御部を設け、この制御部は、前記便座位置検出手段が便座の起立状態(開いた状態)を
検出したときは前記便座ヒータの通電をOFFモードとし、前記便座位置検出手段が便座
の平坦状態(閉じた状態)を検出したときは前記便座ヒータの通電による加温モードとす
るものにおいて、前記便座の起立状態(開いた状態)が所定時間以上継続する場合には、
前記所定時間に亘って前記OFFモードとした後、前記便座ヒータの通電による加温モー
ドに復帰させるように制御することを特徴とする暖房式便座装置。
【請求項2】
洋式便器上に載置される平坦状態(閉じた状態)と起立状態(開いた状態)とに回動可
能な便座と、この便座を加温する便座ヒータと、前記便座の平坦状態(閉じた状態)と起
立状態(開いた状態)を検出する便座位置検出手段と、前記便座ヒータの通電制御を行う
制御部を設け、この制御部は、前記便座位置検出手段が便座の起立状態(開いた状態)を
検出したときは前記便座ヒータの通電をOFFモードとし、前記便座位置検出手段が便座
の平坦状態(閉じた状態)を検出したときは前記便座ヒータの通電による加温モードとす
るものにおいて、前記加温モードでは前記便座ヒータの通電制御によって設定温度に制御
され、前記便座の起立状態(開いた状態)が所定時間以上継続する場合には、前記所定時
間に亘って前記OFFモードとした後、前記設定温度よりも低い省エネ温度に前記便座ヒ
ータの通電制御を行うことを特徴とする暖房式便座装置。
【請求項3】
洋式便器上に載置される平坦状態(閉じた状態)と起立状態(開いた状態)とに回動可
能な便座と、この便座を加温する便座ヒータと、前記便座の平坦状態(閉じた状態)と起
立状態(開いた状態)を検出する便座位置検出手段と、前記便座ヒータの通電制御を行う
制御部を設け、この制御部は、前記便座位置検出手段が便座の起立状態(開いた状態)を
検出したときは前記便座ヒータの通電をOFFモードとし、前記便座位置検出手段が便座
の平坦状態(閉じた状態)を検出したときは前記便座ヒータの通電による加温モードとす
るものにおいて、前記便座の起立状態(開いた状態)が所定時間以上継続する場合には、
前記便座ヒータの通電のOFFモードと、前記便座ヒータの通電による加温モードとを交
互に行い、前記OFFモード中に前記便座位置検出手段が便座の平坦状態(閉じた状態)
を検出したときは前記便座ヒータの通電による加温モードとなることを特徴とする暖房式
便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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