説明

暗証番号入力装置および待ち時間設定方法

【課題】買物客に不快感を与えることなくカードの抜き忘れを防止することが可能な暗証番号入力装置および該装置の警告処理に対する待ち時間設定方法を提供すること。
【解決手段】通信手段を介して情報処理装置からの通知を受信したしたことに応じてタイマにより所定の待ち時間の計時を開始する。このタイマが前記待ち時間を計時し終えた際にカードセンサによりカードが検知される場合、カードリーダにカードが装着中である旨を警告する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードを挿脱可能なカードリーダとICカードの暗証番号の入力手段とを備えた暗証番号入力装置および該装置が行う警告処理に対する待ち時間設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードの普及に伴いその利用機会が増えている。例えば商店においては、クレジットカードを用いたクレジット決済が利用可能である。クレジット決済は、クレジット処理装置と該装置に通信接続された暗証番号入力装置とを用いて行われる。
【0003】
暗証番号入力装置は、カードリーダと、暗証番号の入力手段とを備え、前記カードリーダに装着されたクレジットカードから読み取ったカード情報と買物客が前記入力手段により入力した暗証番号とをクレジット処理装置に送信する。クレジット処理装置は、受信したカード情報および暗証番号と、入力された買い上げ商品の商品情報とに基づいてクレジット決済処理を実行する。暗証番号入力装置には、カード抜き忘れ防止機能を備えたものも存在する。(例えば、特許文献1を参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
暗証番号入力装置のカード抜き忘れ防止機能は、所定のメッセージを表示器に表示したり、ブザーを鳴らしたりして買物客にクレジットカードの抜き忘れを警告することで実現されていた。
【0005】
しかしながら、上記警告は、決済処理の完了後即座に行われていたため、カードの抜き取りを忘れずに意識していた買物客等には不快感を与える蓋然性があった。
【0006】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、買物客に不快感を与えることなくカードの抜き忘れを防止することが可能な暗証番号入力装置および該装置の警告処理に対する待ち時間設定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、着脱自在に装着されるカードのデータを読み取るカードリーダ部と、暗証番号を入力する入力部と、前記カードリーダ部により読み取られたデータおよび前記入力部により入力された暗証番号を用いて所定の情報処理を実行する情報処理装置との通信を行う通信手段とを備えた暗証番号入力装置において、前記カードリーダ部に装着されたカードを検知する検知手段と、前記通信手段を介して前記情報処理装置からの通知を受信したことに応じて所定の待ち時間の計時を開始する計時手段と、この計時手段が前記待ち時間を計時し終えた際に前記検知手段によりカードが検知される場合、前記カードリーダ部にカードが装着中である旨の警告を発する警告手段とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
かかる手段を講じた本発明によれば、買物客に不快感を与えることなくカードの抜き忘れを防止することが可能な暗証番号入力装置および該装置の警告処理に対する待ち時間設定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態におけるピンパッド等の外観斜視図。
【図2】同実施形態におけるクレジット処理装置の内部構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態におけるピンパッドの内部構成を示すブロック図。
【図4】同実施形態におけるカード決済処理の流れ図。
【図5】同実施形態においてクレジット処理装置が実行する設定処理の流れ図。
【図6】同実施形態においてピンパッドが実行する設定処理の流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、本発明に係る暗証番号入力装置を情報処理装置であるクレジット処理装置に接続されるピンパッドに適用する場合について述べる。
【0011】
図1は、クレジット処理装置1およびピンパッド2の外観斜視図である。また、図2はクレジット処理装置1の内部構成を示すブロック図であり、図3はピンパッド2の内部構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、クレジット処理装置1とピンパッド2とは通信手段としてのインターフェイスケーブル3で接続されている。
クレジット処理装置1は、入出力デバイスとしてクレジット処理に必要な各種キーを配設したキーボード11、キー入力データなどを表示する表示器12、クレジット伝票を印字発行するプリンタ13などを備えている。そして、図2に示すように、これらの入出力デバイスを含むクレジット処理装置1全般の動作を制御し、各種処理を実行する制御部本体として、CPU(Central Processing Unit)30を搭載している。
【0013】
また、上記CPU30の制御プログラムなどを格納したROM(Read Only Memory)31、処理内容に応じて作業用メモリエリアを形成するRAM(Random Access Memory)32、前記インターフェイスケーブル3を介してピンパッド2との間で行うデータ通信を制御する通信手段である通信インターフェイス(I/F)33、前記キーボード11から入力キーのキー信号を取込むキーボードコントローラ34、前記表示器12のデータ表示を制御する表示コントローラ35、前記プリンタ13による印字動作を制御するプリンタコントローラ36、オンライン接続されたクレジット会社のホストコンピュータとのデータ伝送を制御する伝送コントローラ37などを搭載している。そして、前記CPU30と、ROM31,RAM32,通信インターフェイス33および各コントローラ34〜37とを、アドレスバス,データバスなどのバスライン38で接続して、クレジット処理装置1の制御回路を構成している。
【0014】
ピンパッド2は、暗証番号を置数入力する入力部としてのキーボード21、キー入力データ等を表示する表示部としての表示器22、ICカードからなるクレジットカードCのデータを読取るカードリーダ部としてのカードリーダ23等の入出力デバイスを備えている。また、カードリーダ23にクレジットカードCが装着されているか否かを検知する検知手段であるカードセンサ24を設けている。そして、図3に示すように、これらの入出力デバイスを含むピンパッド全般の動作を制御する制御部本体として、CPU40を搭載している。
【0015】
上記CPU40の制御プログラムなどを格納したROM41、処理内容に応じて本実施形態における記憶部である待ち時間設定エリア42a(詳しくは図4,5の説明にて後述する)等の作業用メモリエリアを形成するRAM42、CPU40からの指令に応じて所定時間を計時するタイマ43、前記インターフェイスケーブル3を介してクレジット処理装置1との間で行うデータ通信を制御する通信インターフェイス44、前記キーボード21から入力キーのキー信号を取込むキーボードコントローラ45、前記表示器22のデータ表示を制御する表示コントローラ46、前記カードリーダ23により読取られたカードデータを取込むカードリーダコントローラ47、表示器22のバックライト60と所定の警報音を発するブザー61とを制御する警報コントローラ48、前記カードセンサ24からの信号を入力する入力ポート49などを搭載している。そして、前記CPU40と、ROM41,RAM42,タイマ43、通信インターフェイス44、各コントローラ45〜48および入力ポート49とを、アドレスバス,データバスなどのバスライン50で接続して、ピンパッド2の制御回路を構成している。
【0016】
かかる構成のクレジット処理装置1およびピンパッド2は、例えば商店の会計場所に設置される。そして商店の会計担当者は、買物客から買上商品の代金をクレジットカードC
で支払う旨の申し出を受けると、その買上商品のデータをクレジット処理装置1のキーボード11を操作して登録処理するとともにピンパッド2を買物客に渡して、買物客自身によりクレジットカードCのカード情報と暗証番号を入力してもらう。すなわち買物客は、会計担当者からピンパッド2を受け取ると、先ず、自身のクレジットカードCをカードリーダ23に装着してカード情報を読取らせる。次に、キーボード21を操作してクレジットカードCの暗証番号を入力する。
【0017】
一方、会計担当者は、買上商品のデータをクレジット処理装置1に登録処理した後、キーボード11に設けられたクレジット宣言キーを押下してクレジット処理の実行を宣言する。これにより、クレジット処理装置1のCPU30およびピンパッド2のCPU40は、図4の流れ図に示す処理を実行するようにプログラム構成されている。以下、図4の流れ図を用いて本実施形態におけるクレジット処理装置1およびピンパッド2の動作について説明する。
【0018】
先ず、クレジット処理装置1のCPU30は、通信インターフェイス33を介してカード読取要求をピンパッド2に送信する(ST101)。
【0019】
このカード読取要求を受信したことに応じ、ピンパッド2はクレジットカードCの読み取りを受け付ける状態に移行する。その間、CPU40は、カードリーダ23によるクレジットカードCの読み取りを待機する(ST102)。買物客がクレジットカードCをカードリーダ23の挿入口に挿入したとき、カードセンサ24によりクレジットカードCの装着が検知される。これに応じてカードリーダ23は、クレジットカードCからカード情報を読み取り、RAM42に一時的に記憶する。このとき、CPU40は、クレジットカードCが読み取られたと判断し(ST102のYes)、通信インターフェイス44を介してRAM42に記憶したカード情報をクレジット処理装置1に送信する(ST103)。
【0020】
このカード情報を受信したことに応じ、クレジット処理装置1は、当該クレジットカードCが決済に使用可能であるか否かを認証する(ST105,ST106)。当該認証は、カード情報に含まれるカード種別に関する情報と、ROM31に記憶された当該商店と決済契約を締結しているカード会社のカード種別に関する情報とが一致するか否かを判断することで行われる。認証の結果、当該クレジットカードCが使用可能であると判断したときには(ST105のYes)、通信インターフェイス33を介して暗証番号要求をピンパッド2に送信する(ST106)。
【0021】
この暗証番号要求を受信したことに応じ、ピンパッド2のCPU40は、表示コントローラ46を介して表示器22に暗証番号の入力を促すメッセージを表示する(ST107)。このときピンパッド2は、キーボード21からの暗証番号の入力を受け付ける状態に移行し、暗証番号の入力完了を待つ(ST108)。買物客が暗証番号を入力すべくキーボード21に配置された置数キーを操作すると、操作された置数キーに応じた数値が操作された順番を特定可能な態様でRAM42に一時的に記憶される。そして、同じくキーボード21に配置された確定キーが操作されると、暗証番号の入力が完了したと判断し(ST108のYes)、通信インターフェイス44を介してRAM42に記憶された数値から特定される暗証番号をクレジット処理装置1に送信する(ST109)。
【0022】
この暗証番号を受信したことに応じ、クレジット処理装置1のCPU30は、暗証番号が正当であるか否かを認証する(ST110,ST111)。具体的には、伝送コントローラ37を介して当該クレジットカードCのカード会社のサーバにカード情報と当該暗証番号とを送信して認証を依頼する。その結果、暗証番号が正当であるとの応答を得た場合には(ST111のYes)、伝送コントローラ37を介して当該買物客の買い上げ商品に関する商品データや決済金額等からなる決済データを当該カード会社のサーバに送信し、決済を依頼する。そして、当該サーバからの決済完了を示す通知の受け取りを条件として、プリンタコントローラ36を介してプリンタ13を制御し、当該決済に関する情報を印字してなるクレジット伝票を発行する(ST113)。しかる後、通信インターフェイス33を介してクレジット決済が完了したことを示す決済完了通知をピンパッド2に送信する(ST114)。
【0023】
この決済完了通知を受信したことに応じ、ピンパッド2のCPU40は、表示コントローラ46を介してクレジットカードCの抜き取りを促すメッセージを表示器22に表示するとともに、警報コントローラ48を介してバックライト60を点滅させる(ST115)。なお、この処理は、本実施形態における第2の警告手段を構成する。
【0024】
さらに、メッセージの表示およびバックライト60の点滅を開始したことに応じてタイマ43を作動させ、RAM42に形成された待ち時間設定エリア42aに設定された待ち時間の計時を開始する(ST116)。なお、この処理は、本実施形態における計時手段を構成する。
【0025】
タイマ43を作動させた後、CPU40は、入力ポート49を介して入力されるカードセンサ24の出力に基づいてクレジットカードCがカードリーダ23に装着されているか否かを判断する(ST117)。装着されていると判断した場合には(ST117のYes)、タイマ43による待ち時間の計時が完了したか否かを判断する(ST118)。待ち時間の計時が完了していないと判断した場合には(ST118のNo)、再びクレジットカードCがカードリーダ23に装着されているか否かを判断する(ST117)。すなわち、ピンパッド2は、クレジットカードCがカードリーダ23から取り除かれるか、タイマ43による待ち時間の計時が完了するまで待機する状態となる。
【0026】
かかる状態でタイマ43による待ち時間の計時が完了した場合(ST118のYes)、CPU40は、警報コントローラ48を介してブザー61を鳴動させる(ST119)。すなわち、タイマ43が待ち時間を計時し終えた際にカードセンサ24によりクレジットカードCが検知される場合、カードリーダ23にカードが装着中である旨を警告する。この処理は、本実施形態における警告手段を構成する。
【0027】
一方、クレジットカードCがカードリーダ23から取り除かれた場合(ST117のNo)、CPU40は、警報処理を停止する(ST120)。具体的には、ブザー61の鳴動前であればバックライト60の点滅および表示器22へのメッセージ表示を停止し、ブザー61の鳴動後であればバックライト60の点滅、表示器22へのメッセージ表示およびブザー61の鳴動を停止する。しかる後、当該処理を終了する。
【0028】
なお、クレジット処理装置1がカード認証に失敗した場合(ST105のNo)、あるいは暗証番号認証に失敗した場合には(ST111のNo)、クレジット処理装置1のCPU30は、表示器12に所定のエラーメッセージを表示する等して当該クレジットカードCは使用できない旨あるいは暗証番号が間違っている旨を警告し(ST121)、処理を終了する。
【0029】
このように、ピンパッド2は、決済の完了通知を受信した後、待ち時間が経過するまではバックライト60の点滅および表示器22へのメッセージ表示によってクレジットカードCの抜き取りを買物客に促し、待ち時間が経過してもクレジットカードCが抜き取られない場合にブザー61による警告を行う。
【0030】
さて、上記待ち時間は、操作者が所望する時間に設定変更することができる。以下、上記タイマ43に計時させる待ち時間の設定処理について説明する。
クレジット処理装置1のキーボード11に設けられた所定キーを操作すると、クレジット処理装置1およびピンパッド2の各種機能に関する設定処理が開始される。これにより、クレジット処理装置1のCPU30は、図5に示す処理を実行するようにプログラム構成されている。図5の流れ図を用いて当該設定処理におけるクレジット処理装置1の動作について説明する。
【0031】
当該設定処理の開始の後、先ずCPU30は、表示コントローラ35を介して表示器12に設定すべき機能を選択するための処理選択画面を表示し(ST201)、キーボード11のキー入力を受け付ける(ST202)。キーボード11に配設されたいずれかの操作キーが操作された場合には(ST202のYes)、当該キー操作により保守メニューが選択されたか否かを判断する(ST203)。
【0032】
保守メニューが選択された場合には、表示コントローラ35を介して表示器12に保守メニューの選択画面を表示し(ST204)、再びキーボード11のキー入力を受け付ける(ST205)。キーボード11に配設されたいずれかの操作キーが操作された場合には(ST202のYes)、当該キー入力によりタイマ43の待ち時間の設定が選択されたか否かを判断する(ST206)。待ち時間の設定が選択されていない場合には(ST206のNo)、キーボード11のキー入力に応じて選択された設定に関する処理を実行する(ST207)。
【0033】
一方、タイマ43の待ち時間の設定が選択された場合(ST206のYes)、CPU30は、表示コントローラ35を介して表示器12に待ち時間の設定画面を表示するとともに(ST208)、通信インターフェイス33を介して待ち時間の設定モードへの移行要求をピンパッド2に送信する(ST208)。
【0034】
上記待ち時間の設定画面には、タイマ43の待ち時間を1秒,2秒,5秒,10秒のいずれかから選択するための選択エリアが表示される。当該画面を表示した状態において、CPU30は、キーボード11に配設された取消キーが操作されたか否かを判断する(ST210)。上記取消キーが操作されている場合には(ST210のYes)、通信インターフェイス33を介してピンパッド2にタイマ43の待ち時間の設定処理の取消通知を送信する(ST211)。
【0035】
一方、上記取消キーが操作されていない場合(ST210のNo)、CPU30は、キーボード11に配設された実行キーが操作されたか否かを判断する(ST212)。上記実行キーが操作されたと判断した場合には、現在待ち時間の設定画面にて選択された待ち時間が1秒であるか否かを判断する(ST213)。選択されている待ち時間が1秒である場合には(ST213のYes)、通信インターフェイス33を介してピンパッド2に待ち時間を1秒として指定した設定情報を送信する(ST214)。
【0036】
一方、上記実行キーが操作された際に選択されている待ち時間が1秒でない場合(ST213のNo)、CPU30は、選択されている待ち時間が2秒であるか否かを判断する(ST215)。選択されている待ち時間が2秒である場合には(ST215のYes)、通信インターフェイス33を介してピンパッド2に待ち時間を2秒として指定した設定情報を送信する(ST216)。
【0037】
一方、上記実行キーが操作された際に選択されている待ち時間が2秒でない場合(ST215のNo)、CPU30は、選択されている待ち時間が5秒であるか否かを判断する(ST217)。選択されている待ち時間が5秒である場合には(ST217のYes)、通信インターフェイス33を介してピンパッド2に待ち時間を5秒として指定した設定情報を送信する(ST218)。
【0038】
一方、上記実行キーが操作された際に選択されている待ち時間が5秒でない場合(ST217のNo)、CPU30は、選択されている待ち時間が10秒であるか否かを判断する(ST219)。選択されている待ち時間が10秒である場合には(ST219のYes)、通信インターフェイス33を介してピンパッド2に待ち時間を10秒として指定した設定情報を送信する(ST220)。
【0039】
なお、上記実行キーが操作された際に選択されている待ち時間が10秒でない場合(ST219のNo)、いずれの待ち時間も選択されていないため、表示器12にメッセージを表示するなどして操作者に待ち時間の選択を促し、再び待ち時間の選択を受け付けるとともに上記取消キーおよび上記実行キーの操作を待つ(ST210,ST212)。
【0040】
また、上記取消通知あるいは設定情報をピンパッド2に送信した後には、再び処理選択画面を表示して次の操作を待つ(ST201,ST202)。
【0041】
以上説明したような設定処理にてクレジット処理装置1が送信したタイマ43の待ち時間の設定モードへの移行要求を受信したピンパッド2のCPU40は、図6に示す処理を実行するようにプログラム構成されている。以下、図6の流れ図を用いて上記移行要求を受信した際のピンパッド2の動作について説明する。
【0042】
先ず、ピンパッド2のCPU40は、RAM42に形成された待ち時間設定エリア42aをクリアする(ST301)。しかる後、クレジット処理装置1から設定情報を受信したか否かを判断する(ST302)。
【0043】
クレジット処理装置1が送信する設定情報(ST214,ST216,ST218あるいはST220)を、通信インターフェイス44を介して受信している場合(ST302のYes)、CPU40は、受信した設定情報にて指定された待ち時間を待ち時間設定エリア42aに記憶する(ST303)。
【0044】
一方、クレジット処理装置1から設定情報を受信していない場合(ST302のNo)、CPU40は、クレジット処理装置1から取消通知を受信したか否かを判断する(ST304)。クレジット処理装置1が送信する取消通知(ST211)を受信している場合には(ST304のYes)、ROM41に記憶されたタイマ43の待ち時間のデフォルト値(例えば5秒)を待ち時間設定エリア42aに記憶する(ST305)。
【0045】
このように、タイマ設定処理においては、クレジット処理装置1からの設定情報あるいは取消通知の受信を待ち、いずれかを受信して待ち時間設定エリア42aに待ち時間を設定した後に処理を終了する。かくして待ち時間設定エリア42aに操作者の所望するタイマ43の待ち時間が設定された後のクレジット処理では、当該待ち時間が使用される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態における暗証番号入力装置であるピンパッド2は、クレジットカードCによる決済が完了した後、待ち時間が経過するまではブザー61によるカード抜き忘れ防止のための警告を行わない。したがって、クレジットカードCの抜き取りを意識している買物客に対してブザー61が出力する警告音により不快感を与えることはない。
【0047】
また、クレジットカードCによる決済が完了した後、前記ブザー61を鳴動させる以前に表示器22へのメッセージ表示およびバックライト60の点滅によりカード抜き忘れ防止のための警告を行う。したがって、ブザー61による警告音の出力を行わずとも買物客にクレジットカードCの抜脱を意識させることができる。
【0048】
また、タイマ43の待ち時間は、図6を用いて説明した設定処理にて所望の時間に設定変更可能である。これにより、ピンパッド2の使用状況に応じた好適な待ち時間の設定を実現することができる。
【0049】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階においてはその要旨を逸脱しない範囲内にて各構成要素を適宜変形して具体化することができる。
【0050】
例えば、上記実施形態においては、本発明に係る暗証番号入力装置をカード決済装置に接続されたピンパッドに適用した場合について説明したが、他の情報処理装置に接続される暗証番号処理装置に適用してもよいことは言うまでもない。
【0051】
また、決済処理の完了直後においてはバックライト60を点滅させて警告を行うとしたが、バックライト60の点灯色を変更するなど他の警告方法を採用してもよい。
【0052】
また、タイマ43による待ち時間の設定処理では、表示器12に表示された設定画面から1秒,2秒,5秒,10秒のいずれかを選択することで設定すべき待ち時間を指定するとしたが、待ち時間の指定方法はこれに限定されない。その他、表示器12に表示された設定画面から待ち時間を1秒ごとに選択可能とし、選択された待ち時間を設定すべき待ち時間として指定するようにしてもよいし、キーボード11に配設された置数キーの操作により直接数値を入力して待ち時間を指定するようにしてもよい。
【0053】
また、待ち時間の設定は、クレジット処理装置1の操作により行うのではなく、ピンパッド2のキーボード21のキー操作により行うようにしてもよい。かかる場合、例えば、ピンパッド2のキーボード21に待ち時間の設定処理を宣言する操作キーを設け、このキーが操作されたことに応じて待ち時間の設定処理を開始してキーボード21の置数キーの操作による待ち時間の指定を受け付ける。そして、指定された待ち時間にて時間設定エリア42aを更新する。このような設定方法にしても、上記実施形態と同様に操作者が所望の待ち時間を設定可能となる。
【0054】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0055】
1…クレジット処理装置、2…ピンパッド、21…キーボード、22…表示器、23…カードリーダ、24…カードセンサ、40…CPU、43…タイマ、44…通信インターフェイス、60…バックライト、61…ブザー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】実開平4−98776号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在に装着されるカードのデータを読み取るカードリーダ部と、暗証番号を入力する入力部と、前記カードリーダ部により読み取られたデータおよび前記入力部により入力された暗証番号を用いて所定の情報処理を実行する情報処理装置との通信を行う通信手段とを備えた暗証番号入力装置において、
前記カードリーダ部に装着されたカードを検知する検知手段と、
前記通信手段を介して前記情報処理装置からの通知を受信したことに応じて所定の待ち時間の計時を開始する計時手段と、
この計時手段が前記待ち時間を計時し終えた際に前記検知手段によりカードが検知される場合、前記カードリーダ部にカードが装着中である旨の警告を発する警告手段と、
を備えていることを特徴とする暗証番号入力装置。
【請求項2】
前記警告手段は、警告音を発してカードが装着中である旨を警告することを特徴とする請求項1に記載の暗証番号入力装置。
【請求項3】
各種情報を表示する表示手段と、
前記情報処理装置から前記通知を受信したことに応じて前記計時手段が計時を開始した後前記待ち時間を計時し終える前に前記表示手段への表示出力により前記カードリーダ部にカードが装着中である旨を警告する第2の警告手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の暗証番号入力装置。
【請求項4】
所定の待ち時間を記憶した記憶部と、着脱自在に装着されるカードのデータを読み取るカードリーダ部と、暗証番号を入力する入力部と、前記カードリーダ部により読み取られたデータおよび前記入力部により入力された暗証番号を用いて所定の情報処理を実行する情報処理装置との通信を行う通信手段と、前記カードリーダ部に装着されたカードを検知する検知手段と、前記通信手段を介して前記情報処理装置からの通知を受信したことに応じて前記記憶部に記憶された待ち時間の計時を開始する計時手段と、この計時手段が前記待ち時間を計時し終えた際に前記検知手段によりカードが検知される場合、前記カードリーダ部にカードが装着中である旨の警告を発する警告手段とを備えた暗証番号入力装置における前記待ち時間の設定方法であって、
待ち時間として設定すべき時間の指定を受け付けるステップと、
指定を受け付けた時間にて前記記憶部に記憶された待ち時間を更新するステップと、
を備えていることを特徴とする待ち時間設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−244431(P2010−244431A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94320(P2009−94320)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】