説明

曲がり長尺スイッチ

【課題】本発明は、簡略な構成で長尺方向に曲がった取付面に取り付けてスイッチ動作を確実に実行可能な曲がり長尺スイッチを提供する。
【解決手段】本発明の曲がり長尺スイッチは、厚さ方向に曲げ性を有する一対の長尺電極板4を用いたスイッチ部5と、曲がった取付面に添って曲げて取り付け可能であり、スイッチ部5を一対の長尺電極板4の対向方向が取付面と平行になるように、且つ、曲げ可能に内装するとともに、取付面に向かう外力F1を受けて変形する受圧部7aと、この受圧部7aの変形に応じて変形し、前記外力F1を方向変換したスイッチ部5の一対の長尺電極板4の対向方向からの押圧力F2としてスイッチ部5に伝達する変形部7bとを具備する弾性、可撓性を有する長尺の外被6とを有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲がり長尺スイッチに関し、詳しくは、車両の扉等の曲がった戸先部又は戸当部に取り付けて好適な長尺スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の長尺スイッチ30について、図14、図15を参照して説明する。
この長尺スイッチ30は、板状で短冊状に形成した一対の電極板31、32により構成したスイッチ部33を絶縁材からなる外被34に内蔵し、取付面35に取り付けて、前記取付面に対して垂直方向から作用する外力Fにより外被34を介して電極板31、32を接触させてスイッチ動作を行うように構成している。
【0003】
前記長尺スイッチ30の板状の電極板31、32は、前記取付面35と平行に配置されているのが通常である。このような従来の長尺スイッチ30は、例えば無人車のバンパ等に取り付けて衝突検知を行う用途等を有している。
【0004】
このような長尺スイッチ30を、例えば図16に示すように、車両の扉40の戸先部41等のような取付面に取り付けて使用する場合、車両の扉40の戸先部41が曲がりの無い真っすぐな形状であれば、前記長尺スイッチ30のスイッチ機能を支障なく発揮させることができる。
【0005】
しかしながら、近年、例えば新幹線車両や、特急電車の車両のように、鉄道車両の車体外形が車両の進行方向から見てその下部が曲がった曲線形状に構成されるものが多くなってきている。
【0006】
このため、鉄道車両の扉の形状も、その下部が曲がった曲線形状に形成されている。このような扉の戸先部に、前記長尺スイッチ30を取り付け、乗客の人体や異物等が挟まれたことを検知しようとする場合、長尺スイッチ30の形状も扉の戸先部の曲がりに対応して曲がった形状のものが必要となる。
【0007】
しかし、従来の長尺スイッチ30の場合には、その電極板31、32の曲げ可能方向の制約からかかる曲がった形状とすることは不可能である。すなわち、電極板31、32の曲げ可能方向は、その厚さ方向であり、電極板31、32の長手方向及び厚さ方向と直交する幅方向に曲げた形状とすることはできない。
【0008】
特許文献1には、列車の扉の戸先部と戸当部との間に、分割配置のセンサ部の組を多数配置し、センサ部の組毎の導通、不導通動作の相違により戸閉異常、すなわち、異常物の検知を行う構成とした戸閉異常検知装置が提案されている。
【0009】
しかし、特許文献1の戸閉異常検知装置の場合、曲がった形状の戸先部、戸当部にも対応できるものの、分割配置のセンサ部の組を多数配置する構成であるため、全体として配線が複雑になるとという問題を包含している。また、戸先部の曲がった形状に対応してセンサ部を貼り付けることが必要になること、曲がった部分に貼り付けたセンサ部が浮き上がる惧れがあること、電極部分が外部にさらされて酸化してしまう惧れがあること等の問題を包含している。
【特許文献1】特開平10−081234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、簡略な構成で長尺方向に曲がった取付面に取り付けてスイッチ動作を確実に実行可能な曲がり長尺スイッチが存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、曲がった取付面に添って取り付ける曲がり長尺スイッチであり、厚さ方向に曲げ性を有する一対の長尺電極板を用いたスイッチ部と、曲がった取付面に添って曲げて取り付け可能であるとともに、前記スイッチ部を一対の長尺電極板の対向方向が前記取付面と平行で、且つ、取付面に対応して曲げ可能に内装し、前記取付面に向かう外力を前記スイッチ部の一対の長尺電極板の対向方向への力に変換してスイッチ部への押圧力として伝達する力方向変換機能を備えた外被とを有することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、曲がった取付面に添って曲げて取り付け可能であり、スイッチ部を一対の長尺電極板の対向方向が前記取付面と平行で、且つ、取付面に対応して曲げ可能に内装した外被を具備し、且つ、外被の力方向変換機能により、前記取付面に向かう外力を前記スイッチ部の一対の長尺電極板の対向方向への力に変換してスイッチ部への押圧力として伝達するようにした簡略な構成で、長尺方向に曲がった取付面に添って取り付けた状態においてスイッチ動作を確実に実行させることができる曲がり長尺スイッチを提供できる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、曲がった取付面に添って曲げて取り付け可能であり、スイッチ部を一対の長尺電極板の対向方向が前記取付面と平行で、且つ、取付面に対応して曲げ可能に内装した外被を具備し、この外被に取付面に向かう外力を受けて変形する受圧部と、この受圧部の変形に応じて変形し、前記外力を方向変換した前記スイッチ部の一対の長尺電極板の対向方向からの押圧力として前記スイッチ部に伝達する変形部とを設けているので、簡略な構成で、長尺方向に曲がった取付面に添って取り付けた状態においてスイッチ動作を確実に実行させることができる曲がり長尺スイッチを提供できる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、曲がった取付面に添って曲げて取り付け可能であり、スイッチ部を一対の長尺電極板の対向方向が前記取付面と平行になるようにかつ曲げ可能に内装するスイッチ部収容部と、前記取付面に向かう外力を受けて変形する受圧部と、この受圧部の変形に応じて変形し、前記外力を方向変換して前記スイッチ部収容部に収容したスイッチ部の一対の長尺電極板の対向方向からの押圧力として前記スイッチ部に伝達する変形部とを有する長尺の外被を備えているので、請求項2記載の発明と同様、簡略な構成で、長尺方向に曲がった取付面に添って取り付けた状態においてスイッチ動作を確実に実行させることができる曲がり長尺スイッチを提供できる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、曲がった取付面に添って曲げて取り付け可能であり、スイッチ部を一対の長尺電極板の対向方向が前記取付面と平行で、且つ、取付面に対応して曲げ可能に内装した外被を具備し、更に、この外被と前記スイッチ部との間に、前記取付面に向かう外力を受けて変形し前記スイッチ部の一対の長尺電極板の対向方向への力に変換してスイッチ部に伝達する弾性、可撓性を有する長尺の力方向変換部材を介在しているので、簡略な構成で、長尺方向に曲がった取付面に添って取り付けた状態において力方向変換部材の変形によるスイッチ動作を確実に実行させることができる曲がり長尺スイッチを提供できる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、請求項3記載の発明の効果に加え、前記力方向変換部材がスリット部を有するので、曲げ易く取付面への取り付け性に優れた曲がり長尺スイッチを提供することができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、曲がった取付面に添って曲げて取り付け可能であるとともに、外力により変形を受ける外殻部分と、外力により変形を受けない非変形部と、前記外殻部分と非変形部との間に設けた前記スイッチ部を一対の長尺電極板の対向方向が前記取付面と平行になるようにかつ曲げ可能に内装するスイッチ部収容部とを有する外被を有し、外殻部分に作用する外力によりこの外殻部分の変形に応じて前記スイッチ部を変位させて前記非変形部に押し付けることでスイッチ部をオン動作させるように構成しているので、簡略な構成で、長尺方向に曲がった取付面に添って取り付けた状態において外殻部分に作用する外力に応じてスイッチ部自体を変位させてスイッチ動作を確実に実行させることができる曲がり長尺スイッチを提供できる。
【0018】
請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の発明の効果を奏することに加えて、スイッチ部収容部を2箇所備えていることから、2個又は1個のスイッチ部を選択的に収容して各々の場合にスイッチ動作を確実に実行させることができる曲がり長尺スイッチを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、簡略な構成で長尺方向に曲がった取付面に取り付けてスイッチ動作を確実に実行可能な曲がり長尺スイッチを提供するという目的を、曲がった取付面に添って取り付ける曲がり長尺スイッチであって、厚さ方向に曲げ性を有する一対の長尺電極板を用いたスイッチ部と、曲がった取付面に添って曲げて取り付け可能であり、前記スイッチ部を一対の長尺電極板の対向方向が前記取付面と平行になるように、且つ、曲げ可能に内装するとともに、前記取付面に向かう外力を受けて変形する受圧部と、この受圧部の変形に応じて変形し、前記外力を方向変換した前記スイッチ部の一対の長尺電極板の対向方向からの押圧力として前記スイッチ部に伝達する変形部とを具備する弾性、可撓性を有する長尺の外被とを有する構成により実現した。
【実施例】
【0020】
以下に、本発明の実施例を詳細に説明する。
(実施例1)
図1乃至図4を参照して本発明の実施例1の曲がり長尺スイッチ1に付いて説明する。なお、X,Y,Z座標軸を図1に示すように定義して以下の説明を行う。
【0021】
図1、図2に示す本実施例1の曲がり長尺スイッチ1は、例えば、鉄道車両の扉2におけるZ方向(扉2の高さ方向)に関して、下部が鉄道車両の内方に曲がった取付面である戸先部3の端面に添って取り付け、スイッチ機能を発揮させるように構成している。図1中、9は、前記戸先部3が当接する戸当部である。
【0022】
この曲がり長尺スイッチ1は、図3に露出状態として示すように、前記戸先部3のZ方向の曲がりに対応する曲げ性、すなわち、厚さ方向(Y方向)に曲げ性を有し、且つ、対向配置した一対の短冊状の導体金属からなる長尺電極板4、4を用い、絶縁材からなるスイッチ外被5aにより覆ったスイッチ部5と、前記戸先部3のZ方向の曲がりに対応する形状に曲げ可能であるとともに、前記スイッチ部5の長尺電極板4、4を内装し、該戸先部3に向かうX方向の外力F1を前記スイッチ部5の一対の長尺電極板4、4の対向方向(Y方向)への力F2に変換してスイッチ部5の長尺電極板4、4に伝達する力方向変換機能を備えた弾性、可撓性を有する中空状の外被6とを有している。
【0023】
前記外被6は、前記スイッチ部5を内装する中空の内装体7と、前記戸先部3への取付体8とを嵌合した構成としている。
【0024】
前記内装体7は、図2示すように、例えば弾性を有する絶縁材としての合成樹脂材により、前記スイッチ部5を内装する中空部7dを有する筒状に形成され、且つ、前記外力F1を受ける外周が曲面状の受圧部7aをX方向側の突出端側に備えるとともに、前記スイッチ部5の長尺電極板4、4と対向するY方向の両側に受圧部7aに作用する外力F1に応じて内方向(Y方向)に変形し、前記長尺電極板4、4の外面に外力F1を方向変換したY方向の力F2を付与する変形部7b、7bを備え、更に、受圧部7aと反対側には取付体8との嵌合用のハの字状の突片7c、7cを設けている。
【0025】
前記取付体8は、合成樹脂材により形成され、X方向側の一方の端面には前記戸先部3への取付面8aを備え、取付面8aの反対側には前記ハの字状の突片7c、7cがZ方向から嵌合可能なハの字状を呈する嵌合受部8c、8cを設けている。そして、前記内装体7と前記取付体8とを嵌合状態とし、前記取付面8aを前記戸先部3に添って接着による貼り付け又はボルト止め等の手段で取り付け、固定するように構成している。
【0026】
次に、図4を参照して本実施例1の曲がり長尺スイッチ1のスイッチ動作について説明する。この曲がり長尺スイッチ1を鉄道車両の扉2の戸先部3に曲げて取り付け、スイッチ部5がオフ状態となっている場合において、扉2が閉じる際に乗客又は荷物等の存在のため、長尺スイッチ1のいずれかの部分(直線部分、曲がり部分を問わない)において前記受圧部7aにX方向の外力F1が作用すると、受圧部7aは外力F1に応じて変形し、これに伴い前記変形部7b、7bは、受圧部7aに作用する外力F1に応じて内方向(Y方向)に撓んで変形し、前記長尺電極板4、4の外面に外力F1を方向変換したY方向の力F2を付与する。この結果、長尺電極板4、4は、接触状態、すなわち前記スイッチ部5はオン状態となり、これにより乗客又は荷物等の存在を示す異常状態を検知することができる。
【0027】
前記外力F1が除去されれば、前記受圧部7a、変形部7b、7bは元の状態に復元し、前記長尺電極板4、4もその弾性により元の状態、すなわち、オフ状態に戻る。
【0028】
このようにして、本実施例1の曲がり長尺スイッチ1によれば、前記スイッチ部5と、前記外被6とからなる簡略な構成で、長尺方向に曲がった取付面である鉄道車両の扉2の戸先部3に添って取り付けた状態においてスイッチ動作を確実に実行させることが可能となる。
【0029】
次に、図5、図6を参照して本実施例1の曲がり長尺スイッチ1の変形例である曲がり長尺スイッチ1Aについて説明する。
【0030】
この曲がり長尺スイッチ1Aは、前記戸先部3のZ方向の曲がりに対応する曲げ性、すなわち、厚さ方向(Y方向)に曲げ性を有し、且つ、対向配置した一対の短冊状の導体金属からなる長尺電極板4、4を用い、絶縁材からなるスイッチ外被5aにより覆った実施例1の場合と同様なスイッチ部5と、前記戸先部3のZ方向の曲がりに対応する形状に曲げ可能であるとともに、前記スイッチ部5を一対の長尺電極板4、4の対向方向が前記取付面8aと平行になるように、且つ、曲げ可能に内装するスイッチ部収容部11と、前記取付面8aに向かう外力F1(X方向)を受けて変形する中空筒状の受圧部12と、この受圧部12の変形に応じて変形し、前記外力F1を方向変換して前記スイッチ部収容部11に収容したスイッチ部5の一対の長尺電極板4、4の対向方向からの押圧力(Y方向)として前記スイッチ部5に伝達する前記受圧部12内の中空部分の略中央部分に一体に形成した山形状の変形部13とからなる内装体14により構成される弾性、可撓性を有する長尺の外被15とを有している。
【0031】
更に、前記外被15は、前記スイッチ部5を内装する中空の内装体14と、前記戸先部3への取付体8とを嵌合した構成としている。
【0032】
前記内装体14は、図5に示すように、例えば弾性を有する合成樹脂材により形成されるとともに、中空内部の一端側にこの内装体14の長さ方向に沿った前記スイッチ部5を収容可能な長尺のスイッチ部収容部11を備えるとともに、このスイッチ部収容部11に収容されるスイッチ部5の力受部5bに、前記変形部13の突出端13aを臨ませている。
【0033】
前記内装体14と、取付体8とは、内装体14の前記受圧部12とは反対側に連結部16aにより一体に連結した断面略長方形状の突片16と、取付体8に設けた連結部16a及び突片16に対応する形状の受穴8dとを嵌合することで連結するように構成している。
【0034】
そして、前記内装体14と前記取付体8とを嵌合状態とし、前記取付面8aを前記戸先部3に添って接着による貼り付け又はボルト止め等の手段で取り付け、固定するように構成している。
【0035】
次に、図6を参照して前記曲がり長尺スイッチ1Aのスイッチ動作について説明する。この曲がり長尺スイッチ1Aを鉄道車両の扉2の戸先部3に曲げて取り付け、スイッチ部5がオフ状態となっている場合において、扉2が閉じる際に乗客又は荷物等の存在のため、曲がり長尺スイッチ1のいずれかの部分(直線部分、曲がり部分を問わない)において前記受圧部12にX方向の外力F1が作用すると、図6に示すように、前記受圧部12は外力F1に応じて変形し、これに伴い前記変形部13、従って突出端13aは前記外力F1に応じて図6に示すY方向に膨出するように変形し、前記長尺電極板4、4の力受部5bに接触し、前記外力F1を方向変換したY方向の力F2を付与する。
【0036】
この結果、長尺電極板4、4は、接触状態、すなわち、前記スイッチ部5はオン状態となり、これにより乗客又は荷物等の存在を示す異常状態を検知することができる。
【0037】
前記外力F1が除去されれば、前記受圧部12、変形部13は元の状態に復元し、前記長尺電極板4、4もその弾性により元の状態、すなわち、オフ状態に戻る。
このようにして、本変形例の曲がり長尺スイッチ1Aによれば、外被15にスイッチ部収容部11、受圧部12、変形部13を設けた構成で、実施例1の曲がり長尺スイッチ1の場合と同様、前記スイッチ部5と、前記外被6とからなる簡略な構成で、長尺方向に曲がった鉄道車両の扉2の戸先部3に添って取り付けた状態においてスイッチ動作を確実に実行させ異常状態を的確に検知することが可能となる。
【0038】
(実施例2)
図7乃至図10を参照して本発明の実施例2の曲がり長尺スイッチ21に付いて説明する。なお、実施例2の曲がり長尺スイッチ21において、図1、図2に示す曲がり長尺スイッチ1の場合と同一の要素には同一の符号を付して示す。
【0039】
本実施例2の曲がり長尺スイッチ21は、図7、図8に示すように、実施例1の場合と同様な形状の一対の短冊状の長尺電極板4、4を用いたスイッチ部5を、前記戸先部3のZ方向の曲がりに対応する曲がり形状となるように形成した中空状で弾性を有する前記外被6と略同様な構造の外被22に内装するとともに、外被22とスイッチ部5との間に介在した弾性を有する力方向変換部材23を有する構成としている。
【0040】
外被22は、前記スイッチ部5を一対の長尺電極板4、4の対向方向が前記扉2の戸先部3の端面と平行になるように内装している。
【0041】
前記力方向変換部材23は、図8に示すようにその断面形状から見て、一端23aが前記外被22内で長さ方向に添って固定されるとともに、他端(自由端)23b側が前記スイッチ部5を囲むようにように略6の字状に曲げられ、その他端23bを前記スイッチ部5の長尺電極板4の幅方向(X方向)の略中央部近傍に臨む位置となるように構成している。
【0042】
すなわち、前記力方向変換部材23におけるX方向に最も突出した突出部23cが実施例1の前記受圧部7aに対応し、前記他端23bが実施例1の前記変形部7bに対応する構成となっている。
【0043】
次に、図9を参照して本実施例2の曲がり長尺スイッチ21のスイッチ動作について説明する。
この曲がり長尺スイッチ21を鉄道車両の扉2の戸先部3に取り付け、スイッチ部5がオフ状態となっている場合において、扉2が閉じる際に乗客又は荷物等の存在のため、長尺スイッチ21のいずれかの部分(直線部分、曲がり部分を問わない)において前記外被22を介して力方向変換部材23における突出部23cにX方向の外力F1が作用すると、突出部23cは外力F1に応じて変形し(撓み)、これに伴い前記他端23bが前記長尺電極板4の幅方向(X方向)の略中央部に接触する方向に変位してスイッチ部5に押圧力を付与する。
【0044】
この結果、長尺電極板4、4は、接触状態、すなわち前記スイッチ部5はオン状態となり、これにより乗客又は荷物等の存在を示す異常状態を検知することができる。
【0045】
前記外力F1が除去されれば、前記突出部23c、他端23bは元の状態に復元し、前記長尺電極板4、4もその弾性により元の状態、すなわち、オフ状態に戻る。
【0046】
このようにして、本実施例2の曲がり長尺スイッチ21によれば、前記スイッチ部5と、前記外被22と、力方向変換部材23とからなり、前記戸先部3のZ方向の曲がり形状に対応して配置することができ、長尺方向に曲がった取付面である鉄道車両の扉2の戸先部3に添って取り付けた状態においてスイッチ動作を確実に実行させることが可能となる。
【0047】
図10は、長尺スイッチ21における前記力方向変換部材23の変形例である力方向変換部材23Aを示すものであり、この力方向変換部材23Aは、基本的構成は前記力方向変換部材23と同様であるが、その長さ方向に添って間隔をおいて多数のスリット部24を設けたことが特徴である。
【0048】
この力方向変換部材23Aを採用した長尺スイッチ21によれば、既述した作用、効果を奏することに加え、前記多数のスリット部24の存在により曲げ易くなり戸先部3のZ方向の曲がり形状に対応して配置する際の取り付け性が良好となる。
【0049】
(実施例3)
次に、図11、図12を参照して本発明の実施例3について説明する。本実施例3の曲がり長尺スイッチ1Bにおいて、図5に示す曲がり長尺スイッチ1Aと同一の機能を有する要素には同一の符号を付して示す。
【0050】
本実施例3の曲がり長尺スイッチ1Bは、図11に示すように、前記戸先部3のZ方向の曲がりに対応する曲げ性、すなわち、厚さ方向(Y方向)に曲げ性を有し、且つ、対向配置した一対の短冊状の導体金属からなる長尺電極板4、4を用い、絶縁材からなるスイッチ外被5aにより覆った実施例1の場合と同様なスイッチ部5と、外力F1により変形を受ける中空筒状で長尺の外殻部分26と、この外殻部分26の内部に一体形成した外力F1により変形を受けない図11において下方に突出する山形突片状で長尺の非変形部27と、前記外殻部分26の内側で非変形部27の両側に対称配置に設けた前記スイッチ部5を2個各々一対の長尺電極板4、4の対向方向が前記取付面8aと平行になるように、且つ、曲げ可能に内装可能な一対の対称形状の長尺の溝状のスイッチ部収容部28、28とを具備する中空筒状の内装体29を有する外被25を備えている。更に、前記外被25は、図5に示す場合と同様な構造からなる前記戸先部3への取付体8を嵌合した構成としている。
【0051】
そして、前記内装体29と前記取付体8とを嵌合状態とし、前記取付面8aを前記戸先部3に添って接着による貼り付け又はボルト止め等の手段で取り付けて固定するように構成している。
【0052】
前記スイッチ部収容部28、28は、図11において左右対称形状に形成され、その一方に前記スイッチ部5を内装し、又は双方に左右対称配置に前記スイッチ部5を2個内装し、スイッチ部5の力受部5bを前記非変形部27の壁面27aに小距離を隔て対向配置する構成としている。
【0053】
本実施例3の曲がり長尺スイッチ1Bによれば、この曲がり長尺スイッチ1Bを鉄道車両の扉2の戸先部3に曲げて取り付け、スイッチ部5がオフ状態となっている場合において、扉2が閉じる際に乗客又は荷物等の存在のため、曲がり長尺スイッチ1Bのいずれかの部分(直線部分、曲がり部分を問わない)において前記外殻部分26にX方向の外力F1が作用すると、外殻部分26が変形し、この外殻部分26の変形に応じて外殻部分26自体が一対のスイッチ部収容部28、28のうちの例えば一方に収容したスイッチ部5を図12に示すようにY方向に変位させ、その力受部5bを前記非変形部27の壁面27aに押し付ける。
【0054】
この結果、前記スイッチ部5はオン状態となり、これにより鉄道車両の扉2の戸先部3における乗客又は荷物等の存在を示す異常状態を検知することができる。
【0055】
前記外力F1が除去されれば、前記外殻部分26、従ってスイッチ部5は元の状態に復元し、前記長尺電極板4、4もその弾性により元の状態、すなわち、オフ状態に戻る。
【0056】
このようにして、本実施例3の曲がり長尺スイッチ1Bによれば、長尺方向に曲がった鉄道車両の扉2の戸先部3に添って取り付けた状態においてスイッチ動作を確実に実行させ異常状態を的確に検知することが可能となる。
【0057】
図13は、本実施例3に係る曲がり長尺スイッチ1Bのスイッチ部収容部28、28に、各々スイッチ部5を収容した状態を示すものである。この場合には、2個のスイッチ部5を並列接続しておくことで、外殻部分26に作用する外力F1がX方向から作用する場合の他、外殻部分26に対してX方向両側の斜め方向から作用する場合にまで曲がり長尺スイッチ1Bの応答範囲を広げ、異常状態の検知能を拡大することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、上述した場合の他、自動車、船舶等、曲がり形状の取り付け面を有する物体の所定の箇所に取り付けてスイッチ動作を確実に実行させる曲がり長尺スイッチとして幅広く活用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例1の曲がり長尺スイッチの扉の戸先部への取り付け状態を示す斜視図である。
【図2】本実施例1の曲がり長尺スイッチの断面図である。
【図3】本実施例1の曲がり長尺スイッチにおける一対の長尺電極板を示す斜視図である。
【図4】本実施例1の曲がり長尺スイッチの動作説明図である。
【図5】本実施例1の変形例の曲がり長尺スイッチの断面図である。
【図6】本実施例1の変形例の曲がり長尺スイッチの動作説明図である。
【図7】本発明の実施例2の曲がり長尺スイッチの扉の戸先部への取り付け状態を示す斜視図である。
【図8】本実施例2の曲がり長尺スイッチの断面図である。
【図9】本実施例2の曲がり長尺スイッチの動作説明図である。
【図10】本実施例2の曲がり長尺スイッチにおける力方向変換部材の変形例を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施例3の曲がり長尺スイッチの断面図である。
【図12】本実施例3の変形例の曲がり長尺スイッチの動作説明図である。
【図13】本実施例3の曲がり長尺スイッチにおける2個のスイッチ部を収容した状態の断面図である。
【図14】従来の長尺スイッチの一例を示す斜視図である。
【図15】従来の長尺スイッチの一対の電極板を示す斜視図である。
【図16】従来の長尺スイッチの使用例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 長尺スイッチ
1A 長尺スイッチ
1B 長尺スイッチ
2 扉
3 戸先部
4 長尺電極板
5 スイッチ部
5a スイッチ外被
5b 力受部
6 外被
7 内装体
7a 受圧部
7b 変形部
7c 突片
7d 中空部
8 取付体
8a 取付面
8c 嵌合受部
8d 受穴
11 スイッチ部収容部
12 受圧部
13 変形部
13a 突出端
14 内装体
15 外被
16 突片
16a 連結部
21 長尺スイッチ
22 外被
23 力方向変換部材
23A 力方向変換部材
23a 一端
23b 他端
23c 突出部
24 スリット部
25 外被
26 外殻部分
27 非変形部
27a 壁面
28 スイッチ部収容部
29 内装体
F1 外力
F2 力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲がった取付面に添って取り付ける曲がり長尺スイッチであって、
厚さ方向に曲げ性を有する一対の長尺電極板を用いたスイッチ部と、
曲がった取付面に添って曲げて取り付け可能であるとともに、前記スイッチ部を一対の長尺電極板の対向方向が前記取付面と平行で、且つ、取付面に対応して曲げ可能に内装し、前記取付面に向かう外力を前記スイッチ部の一対の長尺電極板の対向方向への力に変換してスイッチ部への押圧力として伝達する力方向変換機能を備えた外被と、
を有することを特徴とする曲がり長尺スイッチ。
【請求項2】
曲がった取付面に添って取り付ける曲がり長尺スイッチであって、
厚さ方向に曲げ性を有する一対の長尺電極板を用いたスイッチ部と、
曲がった取付面に添って曲げて取り付け可能であるとともに、前記スイッチ部を一対の長尺電極板の対向方向が前記取付面と平行になるように、且つ、曲げ可能に内装するとともに、前記取付面に向かう外力を受けて変形する受圧部と、この受圧部の変形に応じて変形し、前記外力を方向変換した前記スイッチ部の一対の長尺電極板の対向方向からの押圧力として前記スイッチ部に伝達する変形部とを具備する弾性、可撓性を有する長尺の外被と、
を有することを特徴とする曲がり長尺スイッチ。
【請求項3】
曲がった取付面に添って取り付ける曲がり長尺スイッチであって、
厚さ方向に曲げ性を有する一対の長尺電極板を用いたスイッチ部と、
曲がった取付面に添って曲げて取り付け可能であるとともに、前記スイッチ部を一対の長尺電極板の対向方向が前記取付面と平行になるように、且つ、曲げ可能に内装するスイッチ部収容部と、前記取付面に向かう外力を受けて変形する受圧部と、この受圧部の変形に応じて変形し、前記外力を方向変換して前記スイッチ部収容部に収容したスイッチ部の一対の長尺電極板の対向方向からの押圧力として前記スイッチ部に伝達する変形部とを具備する弾性、可撓性を有する長尺の外被と、
を有することを特徴とする曲がり長尺スイッチ。
【請求項4】
曲がった取付面に添って取り付ける曲がり長尺スイッチであって、
厚さ方向に曲げ性を有する一対の長尺電極板を用いたスイッチ部と、
曲がった取付面に添って曲げて取り付け可能であるとともに、前記スイッチ部を一対の長尺電極板の対向方向が前記取付面と平行になるように、且つ、曲げ可能に内装した弾性、可撓性を有する長尺の外被と、
この外被と前記一対の長尺電極板を用いたスイッチ部との間に介在した前記取付面に向かう外力を受けて変形し前記スイッチ部の一対の長尺電極板の対向方向への力に変換してスイッチ部に伝達する弾性、可撓性を有する長尺の力方向変換部材と、
を有することを特徴とする曲がり長尺スイッチ。
【請求項5】
曲がった取付面に添って取り付ける曲がり長尺スイッチであって、
厚さ方向に曲げ性を有する一対の長尺電極板を用いたスイッチ部と、
曲がった取付面に添って曲げて取り付け可能であるとともに、前記スイッチ部を一対の長尺電極板の対向方向が前記取付面と平行になるように、且つ、曲げ可能に内装した弾性、可撓性を有する長尺の外被と、
この外被と前記一対の長尺電極板を用いたスイッチ部との間に介在し、前記取付面に向かう外力を前記スイッチ部の一対の長尺電極板の対向方向への力に変換してスイッチ部に伝達する弾性を有し、長尺で間隔をおいてスリット部を設けた弾性、可撓性を有する力方向変換部材と、
を有することを特徴とする曲がり長尺スイッチ。
【請求項6】
曲がった取付面に添って取り付ける曲がり長尺スイッチであって、
厚さ方向に曲げ性を有する一対の長尺電極板を用いたスイッチ部と、
曲がった取付面に添って曲げて取り付け可能であるとともに、外力により変形を受ける外殻部分と、外力により変形を受けない非変形部と、前記外殻部分と非変形部との間に設けた前記スイッチ部を一対の長尺電極板の対向方向が前記取付面と平行になるようにかつ曲げ可能に内装するスイッチ部収容部とを具備し、前記外殻部分に作用する外力により外殻部分の変形に応じて前記スイッチ部を変位させて前記非変形部に押し付けることでスイッチ部をオン動作させる弾性、可撓性を有する長尺の外被と、
を有することを特徴とする曲がり長尺スイッチ。
【請求項7】
曲がった取付面に添って取り付ける曲がり長尺スイッチであって、
厚さ方向に曲げ性を有する一対の長尺電極板を用いたスイッチ部と、
曲がった取付面に添って曲げて取り付け可能であるとともに、外力により変形を受ける中空の外殻部分と、この外殻部分の内部に形成した外力により変形を受けない突片状の非変形部と、前記外殻部分の内側で非変形部の両側に対称配置に設けた2個のスイッチ部を一対の長尺電極板の対向方向が前記取付面と平行になるようにかつ曲げ可能に内装可能な一対のスイッチ部収容部とを具備し、前記外殻部分に作用する外力により外殻部分の変形に応じて一対のスイッチ部収容部に収容する2個又は1個のスイッチ部を変位させて前記非変形部に押し付けることで当該スイッチ部をオン動作させる弾性、可撓性を有する長尺の外被と、
を有することを特徴とする曲がり長尺スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−100035(P2006−100035A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282266(P2004−282266)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(390024718)株式会社東京センサ (12)
【Fターム(参考)】