説明

曲げ加工システム及びその方法

【課題】曲げ加工機3においてワークWの把持手段5に対するずれを補正する機能を有し製品の加工不良を低減させる。
【解決手段】ワークWを把持する把持手段とワークWに曲げ加工を行う曲げ加工機3とを備えた曲げ加工システム1である。そして、把持手段5がワークWを把持してから、所定の加工を終了するまで、把持手段5とワークWとの位置関係にずれが存在する場合に、当該ずれの存在を検出する検出手段17と、検出手段17での検出結果に応じて、ずれを補正する補正手段35とを備える。さらに、検出手段17は、曲げ加工機に備えられたバックゲージであり、把持手段5がワークWを把持し当該バックゲージに突き当てることにより、ずれの生成を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は曲げ加工システム及びその方法に関し、特に曲げ加工機においてワークの把持手段に対するずれを補正する機能を有し製品の加工不良を低減させる曲げ加工システム及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、曲げロボットのロボット本体が、加工する製品(例えば、板金)を把持してベンダー(曲げ加工機等)に取り付けた複数の金型にアプローチして曲げを行っているが、位置ずれが発生した場合に対し補正機能が無い。
【0003】
図23〜29に従来の曲げ加工方法を示す。初めに図23に示すように、曲げ加工の一連の工程において、ロボットが積載されているワーク(材料)Wを把持した際にずれが発生するとワークWがずれたまま曲げ動作による曲げ加工が行われ曲げ不良が発生する。また、把持手段(グリッパ)がワークWの掴み変えを行った際にずれが発生すると、ワークWがずれたまま曲げ動作による曲げ加工が行われ曲げ不良が発生する。さらに、曲げ動作によりワークWと把持手段(グリッパ)のあいだにずれが発生すると、ワークWがずれたまま曲げ動作による曲げ加工が行われ曲げ不良が発生する。
【0004】
具体的な場合を想定し説明する。図24に示すように、ロボットが積載台車37に積載されたずれの存在するワークWを把持する。そして、図25に示すようにバックゲージ17L、17RにワークWを当接させ突き当て動作(ゲージング)を行うと、図26に示すようにワークWとパンチ金型11b、ダイ金型15は平行になるが図の左右方向であるX軸方向において、曲げ箇所と金型位置にずれが発生し曲げ動作による曲げ加工で製品不良が発生する。
【0005】
一方、図27に示すように、ワークWが曲げ加工により把持手段(グリッパ)5の軸心に対し傾いた場合を想定する。ワークWに対し巾が小さく、かつ、1箇所のみを曲げる場合は曲げ後にワークWは回転方向にずれ易い。図28に示すように位置がずれた場合に、バックゲージ17L、17RにワークWを当接させ突き当て動作(ゲージング)を行うと、図29に示すようにワークWとパンチ金型、ダイ金型は平行になるが図の左右方向であるX軸方向において、曲げ箇所とパンチ金型位置にずれが発生し曲げ動作による曲げ加工で製品不良が発生する。
【0006】
また、特許文献1及び2を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−39151号公報
【特許文献2】特開2006−218542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
次のような課題がある。位置ずれが発生した場合に、そのまま気が付かずにおくと不良品を大量に発生してしまう等の課題があった。
【0009】
本願発明は、曲げロボットで材料(板金)を把持して自動運転を行う場合、曲げ前や曲げ途中、曲げ後での把持位置のずれによる不良品の発生を低減させる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述の問題を解決するためのものであり、請求項1に係る発明は、ワークを把持する把持手段とワークに曲げ加工を行う曲げ加工機とを備えた曲げ加工システムにおいて、所定の加工を終了するまでに前記把持手段と前記ワークとの位置関係に、ずれが存在する場合に、当該ずれを検出する検出手段と、前記検出手段での検出結果に応じて前記ずれを補正する補正手段とを備えた曲げ加工システムである。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記検出手段は、前記曲げ加工機に備えられたバックゲージであり、前記把持手段が前記ワークを把持し当該バックゲージに突き当てることにより発生する当該バックゲージの変位量を測定し、この測定結果に応じて前記ずれの存在を検出する請求項1に記載の曲げ加工システムである。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記補正手段による前記ずれの補正において、前記把持手段は前記ワークを掴み変えるものであり、ダイ金型及びパンチ金型により前記ワークを保持した後に前記把持手段は前記ワークの掴み変えを行う請求項1又は2に記載の曲げ加工システムである。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記ワークは積載台に積載されており、前記検出手段による前記ずれの検出は積載台から前記ワークを把持しローディングした直後に行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の曲げ加工システムである。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記ワークに対し複数工程の曲げ加工が行われる場合に、前記検出手段による前記ずれの検出は前記把持手段による前記ワークの掴み換えが行われた直後に行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の曲げ加工システムである。
【0015】
請求項6に係る発明は、前記ワークに対し複数工程の曲げ加工が行われる場合に、前記検出手段による前記ずれの検出は各曲げ加工直後に行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の曲げ加工システムである。
【0016】
請求項7に係る発明は、ワークを把持する把持手段とワークに曲げ加工を行う曲げ加工機とを備えた曲げ加工方法において、検出手段により、所定の加工を終了するまでに前記把持手段と前記ワークとの位置関係に、ずれが存在した場合に当該ずれの存在を検出する検出工程と、補正手段により、前記検出手段での検出結果に応じて前記ずれを補正する補正工程とを含む曲げ加工方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、例えば、突き当てセンサ(例えば、2つのバックゲージ)の値を読み込み、この、突き当てセンサによる値が、規定値を越えた場合、把持手段とワークにずれが存在すると判断すると共に、当該ずれを補正するので不良製品の発生を抑制でき良品を加工できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】曲げ加工システムの概略を示す概略図である。
【図2】曲げ加工システムの要素を説明する説明図である。
【図3】曲げ加工システムの要素を説明する説明図である。
【図4】突き当て動作を説明する説明図である。
【図5】突き当て動作を説明する説明図である。
【図6】突き当て動作を説明する説明図である。
【図7】補正の際の閾値を説明する説明図である。
【図8】補正の動作を示すフローチャートである。
【図9】補正の動作を図示で説明する説明図である。
【図10】補正の動作を図示で説明する説明図である。
【図11】補正の動作を図示で説明する説明図である。
【図12】補正の動作を図示で説明する説明図である。
【図13】補正の動作を図示で説明する説明図である。
【図14】補正の動作を図示で説明する説明図である。
【図15】補正の動作を図示で説明する説明図である。
【図16】補正の動作を図示で説明する説明図である。
【図17】補正の動作を図示で説明する説明図である。
【図18】補正の動作を図示で説明する説明図である。
【図19】補正の動作を図示で説明する説明図である。
【図20】補正の動作を図示で説明する説明図である。
【図21】補正の動作を図示で説明する説明図である。
【図22】補正の動作を図示で説明する説明図である。
【図23】従来の技術を説明する従来図である。
【図24】従来の技術を説明する従来図である。
【図25】従来の技術を説明する従来図である。
【図26】従来の技術を説明する従来図である。
【図27】従来の技術を説明する従来図である。
【図28】従来の技術を説明する従来図である。
【図29】従来の技術を説明する従来図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜3に、作業ステーションの内部に設置される板金パーツを曲げるための曲げ加工システム1の例を示す。なお、図1〜3において、座標軸Dimに示すように、曲げ加工機3のダイホルダ13方向をX軸方向とし、X軸に垂直で曲げ加工機3の前後方向をY軸とし、XY軸により定義される平面に垂直な方向(曲げ加工機3の上下方向)をZ軸方向とする。また、ロボット・アーム7に備えられた把持手段5の回転方向の軸をA回転軸(図4等参照)とする。
【0020】
図1に示すように、曲げ加工システム1には、以下の機械構成が含まれる。即ち、ワークWを曲げるための曲げ加工機(プレスブレーキ)3と、この曲げ加工機(プレスブレーキ)3内でワークWを操作しかつ位置決めするための5自由度(XYZ軸、A回転軸、把持動作等)のロボット・アーム7及び把持手段(グリッパ)5と、このロボット・アーム7及び把持手段(グリッパ)5が掴む位置で素ワークWを搬入し位置決めし且つ完成ワークWを搬出するための材料ローダ・アンローダ(L/UL)19と、把持手段(グリッパ)5がその掴みを変更する間に、ワークWを保持するためのリポジショニング・グリッパ(再位置決めグリッパ)5Aである。材料ローダ・アンローダ(L/UL)19は、ワークWを持ち上げるための上方吸着力を生成する幾つかの吸着盤を備え、X軸方向に走行軸を持ったハンドリングロボットをその具体例として含むものである。これにより材料ローダ・アンローダ(L/UL)19が、ワークWをロボット・アーム7先端に備えられた把持手段(グリッパ)5へ渡し、その後に把持手段(グリッパ)5からのワークWを回収し完成ワークWを搬出することを可能とする。
【0021】
図2は、ワークW上に曲げ加工を行うため位置決めされた曲げ加工機(プレスブレーキ)3のパーツ図である。パーツには、把持手段(グリッパ)5を有するロボット・アーム7と連携してワークWに加工を行うパンチ・ホルダ9に保持されるパンチ金型11a、11b等とダイホルダ13に設置されるダイ金型15a、15b等が含まれる。バックゲージ機構17は、図1においてパンチ金型11aとダイ金型15a付近に示されるが当該バックゲージ機構17は、曲げ加工機・コントローラ21の制御によりXYZ軸方向に移動位置決め自在に構成されている。
【0022】
図3を参照する。ステージ(段)1は、曲げ加工機(プレスブレーキ)3の最左部におけるステージから成り、ステージ2は、ダイホルダ13に沿ったステージ1の右側に位置する。なお、図3ではステージ3以降は図示しないが設定されているものである。
【0023】
例えばステージ1で第1の曲げが行われる場合、把持手段(グリッパ)5に把持されたワークWはステージ1に移動し(この際に2つのバックゲージ17L、17Rを有するバックゲージ機構17もステージ1側へ移動するものである)、図2に示すように、ワークWがバックゲージ機構17のバックゲージ17L、17Rの後部停止部に達し接触するまで移動される。次に、ステージ1でワークW上に曲げ加工が実行される。曲げ加工の実行では、ダイ金型15aが、図2に示すZ軸方向に上方移動する。パンチ金型11aとダイ金型15aが、ワークWが曲げ加工機(プレスブレーキ)3内で比較的安定した姿勢を取るように同時にワークWに接触すると、把持手段(グリッパ)5は、ワークWに対する把持を開放し、ロボット・アーム7の移動により、把持手段(グリッパ)5をワークWから離反せしめる。曲げ加工機(プレスブレーキ)3は、次に、適切な曲げが形成されるまで、ダイ金型15aの上方移動を完了することにより、そのワークWの曲げを完了させる。
【0024】
この曲げ加工の際に、ワークWをその曲げ状態に保持しつつ、ダイ金型15aがパンチ金型11aに対して一旦係合する(噛み合う)と、曲げ加工機(プレスブレーキ)3を下げることによりダイ金型15aを係脱する(解放する)前に、ロボット・アーム7は、ワークWを保持するためにその把持手段(グリッパ)5を再位置決めする。把持手段(グリッパ)5がワークWを保持すると、ダイ金型15aを開放することにより係脱される。ロボット・アーム7は、次に、ワークWに対してプログラムされた特定の曲げシーケンス(曲げ順)での次の曲げを実行するため、ワークWを移動操作し、再び位置決めする。曲げシーケンス内の次の曲げは、実行される曲げ種類および曲げ加工機(プレスブレーキ)3内に設定される金型に応じて、同じステージ1又は、ステージ2、3等の異なるステージで行われる。
【0025】
なお、実行される次の曲げ、及びワークWの形状に応じて、把持手段(グリッパ)5の掴み位置は再位置決めされる必要がある。図1に示す再位置決めグリッパ5Aは、前記ワークWをその曲げ状態に保持しつつ、ダイ金型15aがパンチ金型11aに対して一旦係合する方法によらないで再位置決めをするため設けられている。把持手段(グリッパ)5の再位置決めが必要である次の曲げの実行前に、ワークWは、ロボット・アーム7により再位置決めグリッパ5Aまで移動される。次に、次の曲げ或は一連の曲げのために好適な位置で把持手段(グリッパ)5がワークWを掴むことができるように、再位置決めグリッパ5AがワークWを掴む。
【0026】
図1に示す曲げ加工システム1は、制御装置により制御される。これらの制御装置は、曲げ加工機・コントローラ21、ロボット・コントローラ23、ローディング・アンローディングコントローラ25を備える。これら各コントローラはコンピュータ[PLC(Programmable Logic Controller)等を含む]により構成されるものであり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)の記憶装置等を備えコンピュータプログラムにより動作するものである。
【0027】
前記曲げ加工機・コントローラ21は、曲げ加工機3を制御するものであり、前記ロボット・コントローラ23は、ロボット・アーム7、把持手段(グリッパ)5を有するロボットの動作等を制御する。また、ローディング・アンローディングコントローラ25は、材料ローダ・アンローダ(L/UL)19を制御しワークWの搬入及び搬出を行う。
【0028】
また、曲げ加工機・コントローラ21、ロボット・コントローラ23、ローディング・アンローディングコントローラ25は互いに通信可能に接続されて連携して作動する。
【0029】
さらに、曲げ加工機・コントローラ21は曲げ制御手段27とずれ検出手段29を備え、ロボット・コントローラ23はハンドリング制御手段31と突き当て制御手段33とずれ補正手段35とを備える。
【0030】
前記曲げ制御手段27は、曲げ加工機3において、曲げ加工の動作等を制御する。前記ずれ検出手段29は、2つのバックゲージ17L、17Rを備え、ワークWがバックゲージ17L、17Rに当接した際の移動量等を測定するように構成される。前記ハンドリング制御手段31は、前記把持手段(グリッパ)5と前記ロボット・アーム7の動作を制御する。前記突き当て制御手段33は、ワークWを把持した把持手段(グリッパ)5のゲージング動作等を制御する。前記ずれ補正手段35は、ワークWを掴み換えることによりワークWと把持手段5とに存在する位置のずれを補正する制御を行う。
【0031】
図4〜7を参照し突き当て動作(ゲージング)について説明する。突き当て動作(ゲージング)とは、把持手段(グリッパ)5に把持されたワークWをバックゲージ17L、17Rに突き当てA軸回転方向に交互に振りながらワークWの位置決めを行うものである。すなわち、図4に示すようにワークWをバックゲージ17L、17Rに突き当てワークWを一方の回転方向に回転させる。この結果、ワークWとダイ金型15の角度Ang1は90°より数度程度大きくなる。その後、図5に示すようにワークWをバックゲージ17L、17Rに突き当てワークWを他方の回転方向に回転させる。この結果、ワークWとダイ金型15の角度Ang2は90°より数度程度小さくなる。このような動作を繰り返すことにより、図6に示すようにワークWはバックゲージ17L、17Rに対し平行になりダイ金型15とワークWの角度Ang3は略90°になる。
【0032】
図7に前記バックゲージ機構7の構造を示す。バックゲージ機構17は、突き当て動作(ゲージング)を実行するため、少なくとも2つのポテンショメータとしての機能を含むバックゲージ17L、17Rを備える。位置及び位置の変化量等を求めるバックゲージは既に幾つかの方法が公知であるので詳しい説明は省略するが1例を示す。
【0033】
前記バックゲージ17Lは、測定部17Laと円柱状の心棒部17Lbと当接部17Lcとを有し、前記心棒部17Lbの回りにはバネ部材17Ldがはめられている。そして、当接部17LcにワークWが当接することによりバネ部材17Ldの縮むと共に当接部17Lc、心棒部17Lbが可動する。測定部17Laが前記可動に基づき移動位置、変位量等を電気的に測定する(例えば、15mm程度の変位が測定可能に構成される)。
【0034】
また、前記バックゲージ17Rは、測定部17Raと円柱状の心棒部17Rbと当接部17Rcとを有し、前記心棒部17Rbの回りにはバネ部材17Rdがはめられている。そして、当接部17RcにワークWが当接することによりバネ部材17Rdの縮むと共に当接部17Rc、心棒部17Rbが可動する。測定部17Raが前記可動に基づき移動位置、変位量等を電気的に測定する。
【0035】
これにより、例えば、バックゲージ17Lにより距離Dis1を求め、バックゲージ17Rにより距離Dis2を求めることができる。さらに、距離Dis1と距離Dis2の差からワークWのずれを検出することにより、ワークWの角度Ang4が90°より大きいことを検出できる。
【0036】
図8に曲げ加工システム1の動作を示す。初めに、ステップS01では、材料ローダ・アンローダ(L/UL)19がローディング・アンローディングコントローラ25に制御されてワークWのローディング処理を行う。そして、曲げるワークWをロボット・アーム7に備えた把持手段(グリッパ)5で把持する。次いで、曲げ加工の金型(ダイ金型、パンチ金型)の間へワークWをアプローチする。
【0037】
ステップS03では突き当て制御手段33が把持手段(グリッパ)5を制御し突き当て処理を行う。すなわち、ワークWを曲げるために2個のポテンショメータであるバックゲージ17L、17Rに突き当て動作(ゲージング)する。
【0038】
ステップS05では、ずれ検出手段29が、ずれ検出処理を行う。バックゲージ17L、17Rの移動位置、変位量等を測定し算出する。
【0039】
ステップS07では、すれ検出手段29が許容値の範囲内か否かを判断する。許容値である場合に処理はステップS11に進む。許容値の範囲内でないと判断した場合に処理はステップS09に進む。
【0040】
ステップS09では、ずれ補正手段35に制御された前記把持手段(グリッパ)5によりずれ補正処理が行われる。すなわち、把持しているワークWの姿勢を90°振る。そして、再度ダイ金型、パンチ金型へアプローチする。把持位置を補正するためにバックゲージ17L、17Rに突き当てる。ワークWを把持しているロボットがセンサの値を確認しながらワークWと金型との平行出しを行う。平行が確認できたら、ダイ金型、パンチ金型でワークWを挟む。そして、把持手段(グリッパ)5がワークWのクランプを放し、把持手段(グリッパ)5をワークWと平行にすると共に金型までの距離を正しい位置に補正して掴み換えを行う。そして、90°振った姿勢を元に戻す。
【0041】
次いで、曲げ加工の金型(ダイ金型、パンチ金型)の間へワークWをアプローチし、突き当て処理を行う。そしてバックゲージ17L、17Rに突き当てする。ずれ検出処理を行い、バックゲージ17L、17Rの変位量を測定する。そして、ワークWを把持している把持手段5がセンサの測定値を確認しながらワークWを更に平行にするゲージングを行う。その後ワークWを金型で挟み把持手段(グリッパ)5をワークWから開放する。
【0042】
ステップS11では、曲げ制御手段27に制御された曲げ加工機3によりワークWに対する曲げ加工処理が行われる。
【0043】
ステップS13では、曲げ制御手段27が全ての曲げに関し完了したか否かの判断を行う。完了したと判断した場合に処理はステップS17に進む。全ての曲げについては完了していないと判断した場合に処理はステップS15に移る。
【0044】
ステップS15では、ハンドリング制御手段31に制御され把持手段(グリッパ)5によりハンドリング処理が行われ、その後ステップS03に処理を戻す。
【0045】
ステップS17では、材料ローダ・アンローダ(L/UL)19がローディング・アンローディングコントローラ25に制御されてワークWのアンローディング処理が行われる。
【0046】
上述のように、一般的なずれ補正を行う動作を示したが、具体的な例を示す。図9〜15を参照する。ワークWが、材料ローダ・アンローダ(L/UL)19により積載台車37に積載された場合を想定する。図9に示すように、ワークWは積載台車19に対し積載位置がずれている。ここで、ワークWは所定の厚みを持った板材で外形は略長方形であるものとする。
【0047】
図10を参照する。把持手段(グリッパ)5はワークWを把持する際に積載台車37に対し垂直に移動するのでワークWを把持した場合に当該ワークWは把持手段(グリッパ)5に対し傾いている。そして、バックゲージ17L、17Rに直進し、そのまま当接する。ここでワークWは傾いたまま、バックゲージ17L、17Rに当接するため当接部17Lc、17Rcの移動量が異なる。そして、移動量に所定の差(例えば、0.1mm)が生じた場合に補正を行うように判断する。
【0048】
図11を参照する。ロボット・アーム7の把持手段(グリッパ)5は、ワークWを把持したまま、別のステージへ移動し、90°ワークWを回転し、ワークWの縁をバックゲージ17L、17Rに当接させる。
【0049】
図12を参照する。突き当て動作(ゲージング)により、ワークWをダイ金型15aに対し平行に位置決めする。このため、把持手段(グリッパ)5の軸心はダイ金型15aに対し、垂直ではなく斜めに傾いている。そして、この状態でのバックゲージ17L、17R(例えば、当接部17Lc、17Rc)の位置を記憶装置等に記憶する。
【0050】
図13を参照する。ダイ金型15aに対応するパンチ金型11aとの協働によりワークWを軽く(ワークWを変形させない圧力)把持する。
【0051】
図14を参照する。把持手段(グリッパ)5は一旦、ワークWに対する把持を開放し、その後にワークWに対し斜めに傾いていた姿勢をワークWに対し軸心が垂直になるように補正し、再度ワークWを把持する。なお、再度ワークWを把持する際は、ワークWの外形は加工データ等より求めることができ、ワークWの位置はゲージング動作で求められ、把持手段(グリッパ)5の位置は制御データ等より求められるため寸法a(ワークWの中心)を決定し、寸法bを仮決定して、把持手段(グリッパ)5が掴み換えを行えばよい。
【0052】
図15を参照する。ロボット・アーム7の把持手段(グリッパ)5はワークWを90°回転させ、ステージを変えてワークWを元に戻す。その後、バックゲージ17L、17Rに当接させて、Y軸方向の位置を決め、ダイ金型11a、パンチ金型11bの協働によりワークWに対し曲げ加工を行う。ここで、寸法bに対する補正はワークWの外形の大きさや曲げ位置が分かっているためワークWのY軸方向の停止位置をバックゲージ17L、17Rの変位位置に応じて決めることにより補正する。
【0053】
図16〜22を参照する。ワークWが曲げ加工により把持手段(グリッパ)5の軸心に対し傾いた場合、あるいは掴み換えのときに傾いた場合を想定する。図16に示すように、ワークWに対し巾が小さく、かつ、1箇所のみを曲げる場合は曲げ後にワークWは回転し易い。このため位置がずれた場合に対し補正を行う必要がある。なお、ワークWは所定の厚みを持った板材で外形は略長方形であるものとする。
【0054】
ロボット・アーム7と把持手段(グリッパ)5はワークWを把持する際に正常の場合を想定したワーク位置に対し垂直に移動するので傾いたワークWを把持した場合に当該ワークWは把持手段(グリッパ)5に対し傾いている。
【0055】
図17を参照する。バックゲージ17L、17Rに直進し、そのまま当接する。ここでワークWは傾いたまま、バックゲージ17L、17Rに当接するため当接部17Lc、17Rcの移動量が異なる。そして、移動量に所定の差(例えば、0.1mm)が生じた場合に補正を行うように判断する。
【0056】
図18を参照する。ロボット・アーム7の把持手段(グリッパ)5は、ワークWを把持したまま、別のステージへ移動し、90°ワークWを回転し、ワークWの縁をバックゲージ17L、17Rに当接させる。
【0057】
図19を参照する。突き当て動作(ゲージング)により、ワークWがダイ金型15aに対し平行にする。このため、把持手段(グリッパ)5の軸心はダイ金型15aに対し、垂直ではなく斜めに傾いている。
【0058】
図20を参照する。ダイ金型15aに対応するパンチ金型11aとの協働によりワークWを軽く(ワークWを変形させない圧力)把持する。
【0059】
図21を参照する。把持手段(グリッパ)5は一旦、ワークWに対する把持を開放し、その後にワークWに対し斜めに傾いていた姿勢をワークWに対し軸心が垂直になるように補正し、再度ワークWを把持する。なお、再度ワークWを把持する際は、ワークWの外形は加工データ等より求めることができ、ワークWの位置はゲージング動作で求められ、把持手段(グリッパ)5の位置は制御データ等より求められるため寸法aを決定し、寸法b(ワークWの中心)を仮決定して、把持手段(グリッパ)5が掴み換えを行う。
【0060】
図22を参照する。ロボット・アーム7の把持手段(グリッパ)5はワークWを90°回転させ、ステージを変えてワークWを元に戻す。その後、ゲージング動作によりワークWの位置決めを行い、ダイ金型11a、パンチ金型11bの協働によりワークWに対し曲げ加工を行う。
【0061】
ここで、寸法bの補正値はゲージング動作により、Y軸方向のワーク位置が特定できたので正確な値とすることができる。さらに、正規の把持位置に再度掴み換えを行う場合もある。
【0062】
この発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【符号の説明】
【0063】
1 曲げ加工システム
3 曲げ加工機(プレスブレーキ)
5 把持手段
5A 再位置決めグリッパ
7 ロボット・アーム
9 パンチホルダ
11a パンチ金型
11b パンチ金型
13 ダイホルダ
15a ダイ金型
15b ダイ金型
17 突き当て手段(バックゲージ)
19 ローダ・アンローダ
21 曲げ加工機コントローラ
23 ロボットコントローラ
25 ローディング・アンローディング・コントローラ
27 曲げ制御手段
29 ずれ検出手段
31 ハンドリング制御手段
33 突き当て制御手段
35 ずれ補正手段
W ワーク
Dim 座標軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを把持する把持手段と前記ワークに曲げ加工を行う曲げ加工機とを備えた曲げ加工システムにおいて、
所定の加工を終了するまでに前記把持手段と前記ワークとの位置関係に、ずれが存在する場合に当該ずれを検出する検出手段と、
前記検出手段での検出結果に応じて前記ずれを補正する補正手段とを備えたことを特徴とする曲げ加工システム。
【請求項2】
前記検出手段は、前記曲げ加工機に備えられたバックゲージであり、前記把持手段が前記ワークを把持し当該バックゲージに突き当てることにより生成する当該バックゲージの変位量を測定し、この測定結果に応じて前記ずれの存在を検出することを特徴とする請求項1に記載の曲げ加工システム。
【請求項3】
前記補正手段による前記ずれの補正において、前記把持手段は前記ワークを掴み変えるものであり、ダイ金型及びパンチ金型により前記ワークを保持した後に前記把持手段は前記ワークの掴み変えを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の曲げ加工システム。
【請求項4】
前記ワークは積載台に積載されており、前記検出手段による前記ずれの検出は積載台から前記ワークを把持しローディングした直後に行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の曲げ加工システム。
【請求項5】
前記ワークに対し複数工程の曲げ加工が行われる場合に、前記検出手段による前記ずれの検出は前記把持手段による前記ワークの掴み換えが行われた直後に行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の曲げ加工システム。
【請求項6】
前記ワークに対し複数工程の曲げ加工が行われる場合に、前記検出手段による前記ずれの検出は各曲げ加工直後に行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の曲げ加工システム。
【請求項7】
ワークを把持する把持手段とワークに曲げ加工を行う曲げ加工機とを備えた曲げ加工方法において、
検出手段により、所定の加工を終了するまでに前記把持手段と前記ワークとの位置関係に、ずれが存在した場合に当該ずれの存在を検出する検出工程と、
補正手段により、前記検出手段での検出結果に応じて前記ずれを補正する補正工程とを含むことを特徴とする曲げ加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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